The Complete Matrix Tapes / The Velvet Underground (2015)
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)の末期、1969年のサンフランシスコのクラブ、マトリックスでのライヴ演奏をコンプリート収録したという触れ込みのボックス・セット。このライヴから1年も経たないうちにルー・リード(Lou Reed)が脱退するのでルー在籍時最後の貴重なライヴといえる。後期の彼らのライヴ演奏はグルーヴが凄い。(実はルー抜きでもう少し活動を続けるものの)崩壊直前とは思えないタイトさがあり、ジョン・ケイル(John Cale)在籍時の初期のヒリヒリとしたアバンギャルドな緊張感もいいが、ダグ・ユール(Doug Yule)が在籍したこの時期の彼らこそ素晴らしいという自分のようなファンも多いはず。その様子は1974年に発表されたライヴ盤「1969: The Velvet Underground Live」(写真下左)で聴くことが出来、自分はアナログ盤で愛聴し、CDでも買い直した(CD化にあたってこっそりボーナス・トラックが加えられていた)。このライヴ盤も7割がたはマトリックスでのライヴ演奏が収録されている。また後年になって、何だかイレギュラーな企画だったが元ヴォイドイズ(The Voidoids)のギタリストでルーとも共演した故・ロバート・クワイン(Robert Quine)が隠密録音していたテープ音源を集めた「Bootleg Series Volume 1: The Quine Tapes」でも一部を聴くことが出来た(写真下右)。
その後、デラックス盤のボーナスとしても発表されたが、ついにコンプリートとなった訳だ(実際にコンプリートだかどうだかの検証はしていません)。1日に2ショウ行っていたようで、どの演奏も若干弛緩した雰囲気で始まり拍手もまばらだし、ルーの営業トークも緩いが、演奏が始まるとテンポの早い曲、遅い曲に関わらず、濃密。クールさの中にもリラックスした感じは感じ取れ、ヒリヒリとした緊張感こそ無いものの、音としてはやはり一音も聴き逃せない素晴らしい出来。当時の彼らの写真を見るとファッションにはフラワー・パワー通過後の大衆化も少し感じられるが、少なくとも音に関してはやはり先鋭だ(相変わらずセールスはダメだったようだが・笑)。バイオで読んだのかどうか忘れたが、この時期のヴェルヴェッツに強く影響を受けたミュージシャンも少なくないようだ。何度聴いてもノックアウトされる1-2「What Goes On」のグルーヴ! 30分以上演奏が続く狂気の3-6「Sister Ray」、後から発表されたがライヴ当時はまだレコード化されていなかった数々の曲、と聴きどころはたっぷり。
オークションにて購入(¥2,980)
- CD (2015/11/20)
- Disc : 4
- Format: CD, Import
- Label : Polydor / Umgd
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