ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

Head Hunters / Herbie Hancock

2016年01月26日 | ソウル・ファンク・R&B

Head Hunters / Herbie Hancock (1973)

ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)の73年の名アルバム「ヘッド・ハンターズ」。便宜上、ジャズでカテゴリー分けしようと思ったが、やっぱりこれはファンクだナ。1973年と言えば、御大マイルス・デイビス(Miles Davis)は「On The Corner」(1972)の後。どっぷりとファンクの波に浸かり、ジャズでさえない全く新しい音を出していた頃。それに比べるとこのハービー・ハンコックはファンクと言っても大人しく感じるくらい。でもよく考えたら数年前まで折り目正しい(?)ジャズを演っていたんだから、その変節の幅といったらかなりのもの。当時はいわゆるブラック・パワーが台頭していた頃で、政治的にも文化的にも黒人や黒人文化の影響が強い時代。60年代後半からミュージシャンに対しても過激な黒人政治団体からの圧力があったと聞く。ジミヘン(Jimi Hendrix)、ジェームス・ブラウン(James Brown)、先述のマイルスなどの大物ミュージシャンには特に様々な干渉があったそうだから、そういうものや「アフリカ」など、自分のルーツを意識しない訳にはいかなかったろう。

もとよりテクニック的には文句のつけようのない名ピアニストだし、進取の気風があることは後の活動でも充分理解出来る。62年の自身の名曲「Watermelon Man」のエレクトリック新解釈や、曲名がまんまで疾走感がすごい「Sly」(もちろんスライ・ストーンのことだろう)、70年代を象徴するフェンダー・ローズ(エレクトリック・ピアノ)の音色など、たった4曲の収録だが聴きどころはいっぱいだ。自分が最初にハービー・ハンコックを聴いたのは、80年代に青春を過ごした人なら知らない人はいない「Rockit」だったと思う。シュールなPVも良かったが、何と言っても1983年のグラミー賞授賞式でやったシンセドラムとスクラッチ、それにブレイクダンス(!)が登場する生演奏が衝撃的だった。この頃はまだ彼がジャズの名アーティストであることさえ知らなかったはず。それから遡っていくつか聴いてはいるものの、ジャズ期ファンク期も数枚止まり。一度腰を据えて聴いてみようか…。

ブックオフにて購入(¥500)

  • CD (1997/3/27)
  • Disc : 1
  • Format: Original recording remastered, Import
  • Label : Sony
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