ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

太田屋本店 @愛知県一宮市

2014年05月16日 | 愛知県(尾張・老舗)

Photo

最近では「名古屋メシ」なる呼び方で市民権を得ている名古屋を代表する、あるいは発祥のメニュー。その中のひとつに「味噌煮込うどん」がある。みなさんご存じの通り、山本姓の専門店2店が有名(その系譜についてはここでは触れません)。ただ、この地方に住んで、よその地方の方達よりは食べる機会が多い(と思われる)自分からすると、あの系列の味噌煮込うどんはかなり特殊なんじゃないかと思っていた。他の一般的なうどん屋にもたいてい味噌煮込うどんはあるのだが、そういう店でもかなりコシが強めの太麺を使う事はもちろん多いとは言え、あれほど特殊な麺ではないと思う(製麺に塩を使わないとか)。それでも今はその両店が味噌煮込うどんを代表する店になっていることは間違いない。まぁ、最近その両店もとんと御無沙汰なので、思い出しがてら確かめに行ってみないとダメだな。

自分は今までこのメニューの発祥とかルーツなんて考えた事もなかったし、そんな有名な両店にいわく付きの系譜がある事も知らなかった(ずっと前には両者のHPかなんかに類似店に注意、みたいな記述があったような気がするが…)。ともかく、最近あらためて歴史ある店を廻るようになって興味を持って調べるうちに、味噌煮込うどん自体、名古屋の発祥ではないという記述も目にするようになった。これも諸説あるらしいが、そのうちのひとつは繊維業の盛んだった愛知県一宮市(いちのみやし)で工員の食事として生まれたとする説。そんな一宮に古い味噌煮込専門店があると知ったので、その説と関係ある店なのかどうかは全く分らないが、早速車を飛ばして行ってみた。

大通りから1本入った路地にある「太田屋本店」。HPによると創業100年との事(正確な年号は分からず)。店の周囲は更地になっている場所も多く、街自体の古さは感じられなくなってしまっているが、所々に古そうな建物も残る地域。休日の半端な時間(午後4時頃)だったが、なんとこの店、中休み無しという嬉しいお店。さっそく隣の駐車場に車を停めて、年季の入った渋い木製看板を見つつ、店の中に入ってみた。

外れた時間だったので先客はなし。店内には有線だろうか、スマップの曲が流れている(笑)。テーブルと小上がりがあり、正面奥が調理場。この日は若い女性店員のみだった(調理もその方)。メニューはシンプルに「うどん」のみ。つまりここでは「うどん=味噌煮込うどん」なのだ。潔い。この地方では味噌煮込うどんにはご飯を付けるのがスタンダードと言えるが、ここでは注文しなかった。

しばらくして定番の土鍋(いわゆる鍋焼き)ではなく、普通の丼になみなみと入ったうどんが到着。麺の上にはかしわ(鶏肉)、葱、かまぼこが乗っている。レンゲは付いていない。平打ちの麺は太くはなく、硬さもやや硬めぐらい。味噌の具合はやや濃いめとは思うが、とろみもほどほどで、ぐつぐつと熱々に煮込まれている訳ではないのと、麺由来の酸味や出汁感が強い訳ではないので、するするといただける。煮込まれたかしわはひね肉なのか随分としっかりした食感だった。これが100年続いてきたメニューそのままなのかどうかは分からないが、鍋焼きでない味噌煮込うどんは初めて食べたなぁ。面白い。愛知県だけでなく、岐阜県にも同じスタイルの暖簾分けの店があるようなので、一度行ってみようか。(勘定は¥750)

この後の記事はこちら

2

太田屋本店

愛知県一宮市大宮1-2-2

 

(太田屋  本店 おおたや おおたやほんてん 味噌煮込み 味噌煮込みうどん )

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする