goo blog サービス終了のお知らせ 

ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

角丸 @岐阜県関市

2015年10月14日 | 岐阜県(中濃・老舗)

刃物産業で有名な岐阜県関市。近年は鰻(うなぎ)の店の評判が伝わり、遠く離れた県からも鰻を目当てに客が集まっている。当然休日ともなると大行列が出来るような人気店もあるが、なかなか長時間並ぼうとは思わない。関市は刀鍛冶に代表される職人の町なので、体力をつけるために鰻が好まれたという話や、寺社が多く、参拝の「ハレ」の日に御馳走を食べる習慣から好まれたという話を聞いたことがある。そういえば同じように炎を使う陶器の町、多治見や土岐、それに瀬戸でも鰻屋が人気じゃなかったか。この日は鎌倉時代の伽藍配置が残る「新長谷寺(吉田観音)」(※名刹だが禁止看板が多くて萎える)の参道に店がある「角丸(かくまる)」に家族で訪問した。大店で、創業は明治7年(1874)というから、同じ関市では老舗「辻屋」に次ぐぐらいの歴史がある。昔の人も参拝がてら、こちらに寄って鰻を食べたんだろうな。いつもなら並ぶようなことはほとんどないと思うが、この日は連休の夕方とあって早い時間から客も多く、珍しく少し待ちが出るほどの盛況ぶりだった。こちらの焼きはもちろん炭焼きで、入口横の格子から調理を覗き見ることが出来る。少し待って、多人数だったこともあって2階の座敷に案内された。

広い座敷は宴会などにも使われるようで、うちの家族で使うだけだとちょっと広過ぎて申し訳ない(もちろん多人数だったのでこういう広間のある店を選んだのだけれど)。いつもなら並だが、ちょっと豪勢にそれぞれ上鰻丼と、骨の唐揚げ、そしてビールを注文した。階下は満員なので待つ時間が長くなるのは承知済み。香ばしい鰻の骨とビールで喉を潤す。しばらく待って丼ぶりが運ばれた。肝吸いと香の物(守口漬と胡瓜)が付く。上と並の違いはたぶん鰻の枚数。こんがりと焼き上がった鰻が5切れ載っている。食べ進むと中にも1切れ(これがウレシイ)。東海地方は基本的に関西風の蒸さない焼き方。たれは濃いめで甘辛い(ただ実際に関西へ行って鰻をいただいた事は無いので、実際のところ、鰻丼として似たものなのか、違うのかは知らない)。焼きは上々、ご飯の炊き具合も、たれとのバランスも良く、美味しくいただいた。ヴォリュームも十分。他の人気店と比べると客は少ないと思うが、こちらはこちらで旨いなァ。普段なら並ぶこともないし(1時間以上待ちとか、辛いよね…)、大勢でも入ることが出来るし、使い勝手がとてもいい店だ。(勘定は¥2,750/上鰻丼)

この後の記事はこちら (2)(3)(4

 

角丸 (かくまる)

岐阜県関市東門前町21

 

( 関 関市 うなぎ うなぎ丼 うな丼 うなどん しげ吉 辻屋 みよし亭 孫六 )

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

入船 @岐阜県関市

2015年10月09日 | 岐阜県(中濃・老舗)

 

関市の大平町にある小さな食堂「入船」。店の存在はずっと前から知っていたが、古い店のわりに表の佇まいに風情が無く、何となく行きそびれていた。最近になって知人に勧められたので初めて訪問してみた。店の横に駐車場があるので車を停め、暖簾をくぐって中へ。うわっ、すごい。中は座敷(というか居間)と土間のテーブル席があるのだが、調理場は古い造作のまま、小さなカウンター付きの小窓のある壁と扉で仕切られており、その向こうには「竈(くど)」がある(さすがに薪ではなくバーナーが突っ込まれているが)。小さなガラス棚、座卓、テーブルなど、時を経て黒光りしている調度品は風格十分。

女将さん1人で賄っているが、店の中には出汁の香りがぷーんと香り、業務用製品で済ませている店とは違うことが分かる。テーブル席に座りお茶をもらい、壁に掛けられた色褪せた紙短冊の品書きから「カツ丼」を注文すると、女将さんがてきぱきと調理場とおくどさんを行き来して、調理が始まった。トントンと肉を叩く音が聞こえ、その場で衣を付けて揚げ始めると、くどからお湯をすくって丼を温めるなど、作業は細やか。しばらくして丼ぶりと漬物(たくあん)、それに氷水が置かれた。

こちらのカツ丼は玉ねぎではなく長ネギ(南蛮)で、しっかりと色濃いつゆが滲みている。(叩いてあるので)薄めのカツは、普通だと5、6切れに切ってある事が多いと思うが、こちらのカツは3、4切れと大きめ。ちょっと口に入れ辛いが、熱々の衣がつゆを吸って、長ネギの甘味が加わり、玉子が全体をまろやかにまとめていて、…旨い。やや甘くなったつゆがご飯にぴったり。それにこの雰囲気の中で食べるカツ丼はたまらない。あっという間に食べ終わってしまった。もう次に来たときは何を食べようか考えている。店の表の意匠がもう少し風情あるものだったら、なお良いと思うが、中の雰囲気だけだったら、多治見の「信濃屋」や、名古屋の「山田屋」に劣らず渋くて素晴らしい佇まいだ。来てみてヨカッタ。(勘定は¥650)

この後の記事はこちら (2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10

 

入船 (いりふね)

岐阜県関市大平町2-6

 

( 関 関市 せき せきし いりふね 大衆食堂 麺類食堂 かつ丼 かつどん )

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

魚國 @岐阜県関市

2015年09月18日 | 岐阜県(中濃・老舗)

岐阜県関市にある割烹「魚國」。創業は明治10年(1877)とのこと。関市のかつてのメインストリート、本町通りから一本入った狭い路地にあり、川魚の佃煮などを売る店と、会席料理の食事処がある。小売の店は木のガラス引き戸に大きな暖簾がかかり、中も土間という、昔を偲ばせる風情ある佇まい。建物の反対側に大広間の座敷がある食事処がある(写真上の門扉の中)。この日は仕事の関係で広間を利用した。門をくぐり店の中へ。堅苦しい挨拶(笑)と乾杯の後、次々と食事が運び込まれる。こちらは以前にも利用した事があるが、いわゆる宴会料理ではあるものの、あまり大きくない店とあって、さすがに煮たり焼いたりした品は出来てすぐのものが出されるので、さほど冷めておらず、どれも美味しくいただける。お膳に並べられる造りは川魚ではないが質もなかなかのもの。最近はこういう宴会だとビールで通す人の方が多いが、自分は料理に合わせてすぐに日本酒をもらった。吸い物はすっぽん、椀物は穴子が調理されている。その他にも鱧、天然鮎など季節を感じさせる品々が出たが、それぞれ素材の調子も良く、酒がすすむ。

仕事での宴会は注いだり注がれたりがどうしてもつきまとうが、日本酒を呑んでいるとなぜか大酒呑みに見られてしまう。猪口で呑んでいると、そのうちに「面倒くさいでしょ」なんて言って気を効かせてコップを持ってくる人が出てくるので困るのだ(笑)。コップにお酌をされると(意地汚く呑んでしまうので)あとが大変。宴席は進み、その他にもビーフシチューや、主人が打ったという手打ちうどんなど、意外な品が出てきたりして驚かされた。どれも美味しくいただくことが出来た。宴会料理もこれ位バラエティに富んでいて、それぞれの品の調子も良いものだったら悪くないし、お酒も美味しくいただける。たらふく呑んで食べて、帰路についた。

 ↑ 店のマッチ

割烹 魚國

岐阜県関市兼永町 20番地

( 関 関市 魚国 うおくに 割烹 料亭 日本料理 鮎 いかだばえ あまご うるり 子持ち鮎 )

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

末広堂 @岐阜県美濃市

2015年09月01日 | 岐阜県(中濃・老舗)

「うだつの上がる街並み」がある岐阜県美濃市。古い建物が立ち並ぶ通りから少し離れたところにあるアイスクリーム屋さん「末広堂」に行ってみた。創業は昭和29年(1954)だそうだ。店構えからも分かる通り、喫茶もやっていたことがあったそうだが、現在はモナカアイスの持ち帰り専門店。店の前に立つと右側にガラス窓の窓口があり、そこにご高齢のお母さんが座っていらっしゃる(もう90歳だとか。お元気!)。この日は暑かったこともあって、お疲れなのだろう、少しウトウトしていらっしゃった。申し訳ないが声をかけて、モナカアイスクリームのバニラを購入した。最中は他に抹茶とあずきもある。

歩いたまま道端ですぐに食べる。ひとつづつビニール包装されたアイス最中は最中種(皮)がパリッとしていて、アイスは口解けのよいサラッとしたタイプで、自分好み。乳脂肪分が少なく、「アイスクリン」みたいだというと分かりやすいだろうか。いやァ、旨い。これなら2つ、3つ楽にいけてしまいそう。すぐに引き返して他の味を買おうかどうか迷ったが、我慢して次の機会に。(勘定は¥100)

この後の記事はこちら

 ↓ 美濃市立花にある「長良川発電所(旧・名古屋電燈)」(明治43年・1910・建造)。レンガ造りで、現在も中部電力が運転する現役発電所。国の登録有形文化財。

 

 

末広堂

美濃市俵町2636

( 美濃 美濃市 すえひろどう 美濃アイス 末広堂美濃アイス アイスモナカ アイス最中 ) 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松井屋酒造場 @岐阜県加茂郡富加町

2015年06月02日 | 岐阜県(中濃・老舗)

岐阜県加茂郡富加町にある酒造「松井屋酒造場」。こちらは江戸時代の町屋がそのまま残り、現在でも昔のままの手法でお酒を造っているという貴重な酒造。どこかで野立ての看板を見たことがあり、以前から存在は知っていたが、酒に精通した知人のK氏と話していて話題に挙がったので、初めて店に入ってみた。この店のある「加治田(かじた)」の近辺は狭い街道沿いの集落なのだが、近くに「清水寺」があるものの、すでに昔の面影を残す建物はほぼ無くなっている。店の横に車を停めて、中に入ると帳場には主人がいらっしゃった。店の奥は暗いが、昔の生活の道具が色々置いてあり、酒蔵は酒造りの時期以外は「酒造資料館」として公開しているのだそうだ。見上げると信じられないくらい太い梁が渡っていて、へーっと感心していると、主人が色々説明してくれた。

建物は220年前そのままだそうで、太い梁は大人が上に寝転がることが出来るほどの幅だとか。長さは6間半(約12m)もある。街道に面した窓もつっかい棒を使って開ける「蔀戸(しとみど)」だし、格子は「鬼格子(おにごうし)」と呼ばれる太いもの。名称をよく知らないのがもどかしいが、店を終う際の表の木戸も時代劇で見るような小さい入口がついたもの(主人がわざわざ引き出して見せてくれた)など、実際に今も使われているのが信じられないくらいの代物だ。主人はこの地方の歴史にもすごく詳しく、信長などの歴史上の人物がどのようにこの地方に関わったかを丁寧に教えてくれた。主人によると、ここはその昔、美濃と飛騨を結ぶ交通要所として栄えたのだが、大正時代に国有鉄道・越美南線(現・長良川鉄道)が敷設された際に、汽車が通ることを拒んで、路線と駅(現・富加駅)が南にずれてから、人の通りが無くなって没落したのだとか。

この日はもう夕方だったのでこれ以上居る事が出来なかったが、次はその酒蔵資料館にも入らせてもらおう。という訳で、こちらで醸している酒を買ってみた。基本の酒は上撰「睦鳥」、純米酒「半布里戸籍※」、本醸造酒「加治田城」の3種。今では上撰(昔でいう2級酒)も本醸造もほとんど変わりがないとのこと。そこでクラシックなラベルの「睦鳥」を購入した。炭濾過が控えめなのか、色が濃く、しっかりとした印象。昔風にもっと甘ったるい感じを想像していたが、そんな事はなく、燗で引き立つなかなかいい酒だった。(勘定は¥870/720ml)

※ こちら富加町は奈良・正倉院に残る日本最古(1,300年前)の戸籍「半布里戸籍(はにゅうりこせき)」に載っている土地として有名なのです。

 ↓ こちらが件の「富加駅(旧・国鉄加茂野駅)」(大正12年・1923・建造)。松井屋酒造から南西に4km程。駅舎にテナントとして税理士事務所が入っている。(下右・線路側より撮影)

 

松井屋酒造場

岐阜県加茂郡富加町加治田688-2

( 富加町 加治田 とみかちょう かじた むつみどり はにゅうりこせき 長良川鉄道 越美南線 )

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三勝屋 @岐阜県加茂郡八百津町 (2)

2015年04月08日 | 岐阜県(中濃・老舗)

久しぶりに訪問した岐阜県加茂郡八百津の老舗食堂「三勝屋(さんかつや)」。この日は平日だったが、仕事で近くまで来る用事があったので足を延ばしてみた。さすがに平日のこの辺りは人通りも少なく、のんびりしている。横の広場に車を停め暖簾をくぐる。中には先客が1名のみ。テレビを見ながらゆっくり食事していらっしゃる地元の人。店を訪れた有名人のサインや、切り抜きがたくさん貼られた壁に囲まれたテーブル席に腰を下ろし、壁に並んだ黒い木札の品書きの中から、カツ丼(並)を注文した。

のんびりとテレビを見ながら丼ぶりを待つ。こちらのカツ丼は、以前紹介したこちらと同様に、出汁を玉子でとじてカツの上からのせたタイプだとの情報を得て、わざわざ試してみたかったのだ。この八百津は地域的にみると中山道の宿場町上ではないが、御嵩宿とはすぐ近くの場所。創業して80年を越える老舗なので、昔からこのタイプのカツ丼だったと考えるのが普通だろうか。まぁ、カツ丼の亜種を中山道の宿場町毎に考えるのはかなり無理があるのかもしれないが(←でも、ちょっとだけ本気・笑)。それにしても、岐阜県内でのカツ丼亜種の分布は不思議というか、興味深い。

しばらくして、黒いプラスチック丼の蓋の上に小皿の漬物が載せられるという「正調・丼ぶりものの運び方」みたいな状態でカツ丼が置かれた。カツと玉子以外の具は何も入っておらず、出汁で溶かれた玉子のみのシンプルな姿。上に少しだけ海苔がかけられている。下のカツを持ち上げてかぶりつく。カツは脂が多いバラ肉で、これがロース肉になると「カツ丼(上)」になるとの事。出汁はやや甘め。カツの脂身がそれ自体充分甘いので、個人的にはもう少し出汁の甘さが控えめな方が好きだが、箸でカツごと持ち上げると、フルフルと震える位の玉子のゆるさが絶妙。旨かった。この日は給仕のご高齢の女将さんは不在だったが、若い衆が給仕もこなしていた。こうして歴史が受け継がれていく。(勘定は¥650)

前回の記事はこちら (1

この後の記事はこちら (3)(4)(5

お食事処 三勝屋

岐阜県加茂郡八百津町八百津4118-1

 

( 八百津 やおつ 三勝屋 さんかつや パーコー にっぽん全国百年食堂 椎名誠 玉子とじカツ丼 餡かけカツ丼 てりカツ丼 亜種 )

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュー柳屋食堂 @岐阜県美濃市

2014年07月24日 | 岐阜県(中濃・老舗)

Photo_3

うだつの上がる古い街並みで有名な岐阜県美濃市。その古い通りからは外れているが、地元の人達がバーベキュー用に「とんちゃん」(豚ホルモン)を持ち帰りで購入する「ニュー柳屋食堂」。旧名鉄美濃町線の美濃駅舎からほど近いところにある緑色の建物。友人がこちらで買ってきたとんちゃんをバーベキューに持ち込んだりすることはあったのだが、店で食べるのは初めて。道路の反対側に駐車場があります。ちょっと暑い日だったが、昼どきの口開けで店に入ってみた。

店に入ると鉄板が組み込まれたテーブルがずらりと並んでいる。壁には様々な肉の部位の書かれた品書きが掛かっているが、食堂というだけあって麺類やご飯ものもあった。給仕のお姉さんにとんちゃんと野菜ミックス、それにライスの小を注文。しばらくしてお姉さんが鉄板に火を付け、準備が始まる。まずとんちゃんを鉄板に乗せ、その上からアイロンのような持ち手のついた厚めのコテを乗せる。これが重しになって肉にしっかり火を通す訳だ。自分で焼いた事のある人なら分かると思うが、ホルモンを焼くと肉が縮んだり、丸まったりして、しっかり火を通すのは案外難しい。なるほどこれなら目を離しても大丈夫。お姉さんはそのまま去っていき、しばらくの間放置。もちろんその間の手出しは無用。頃合いを見て今度は野菜(玉葱、もやし、キャベツ)を投入し、また去って行く。そうして最後は全てを混ぜ合わせ完成。ご飯とたくあんを運んで来てくれて「どうぞ」とひと言。

味付けは味噌ベースではなく、食べ始めは意外にも薄めに感じる。辛味も少しある。それが食べ進むうちに煮詰まってきて、丁度良い具合の濃さになる。もちろんご飯に合うことは言うまでもない(本当はビールが飲みたいけれど…)。ご飯は小でも普通の茶碗1杯強はあるので充分な量だった。まだ他にお客が居ないのでゆるーい感じの店内。今度こそドライバーを用意してビールを…。(勘定は¥760)

この後の記事はこちら (2)(3)(4

 

ニュー柳屋食堂

岐阜県美濃市広岡町2559-14

 

( みの 柳屋食堂 やなぎや ニューやなぎやしょくどう ホルモン とんちゃん 焼肉 )

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

亀喜総本家 @岐阜県加茂郡八百津町

2014年05月28日 | 岐阜県(中濃・老舗)

Photo_5

岐阜県の八百津(やおつ)町で昼食を食べた「三勝屋」の、広場を挟んで並びにある和菓子店「亀喜総本家」。見上げるようなとても立派な建物。年季の入っていそうな木の看板が掲げられている。広い店内に入ると、ショーケース以外にも色々な菓子が並べられていて、洋菓子と言えるようなものもあった。今日はまだこの後の行動予定がたっていなかったので、生菓子を買うのは止めて、天気が良く、少し暑いこともあって、珍しい「栗金アイス」を注文。お店の方が冷蔵庫から出して下さった。すぐだとまだ硬いので包丁を入れましょうか?と言ってくださったのでお言葉に甘える。

店の中にはテーブルが用意されており、セルフサービスでお茶などの飲み物、それに試食の和菓子がたくさん並べられている。どれでもどうぞ、と勧められるが、アイスひとつの購入で申し訳なかったので、小さいのをひとつだけつまませてもらった。お店の方の素朴で控え目なサービス精神が嬉しい(内容はすごい大盤振る舞いだ)。栗金アイスはこの地で特産となっているやや甘い煎餅(八百津煎餅)を皿にしてあり、冷たいので栗の風味がいっぱいという訳にはいかないが、口解け良いアイスで、淡い味の栗きんとんを冷やして食べているような感覚。旨かった。(勘定は¥180)

この後の記事はこちら (2)(3

2_4

亀喜総本家

岐阜県加茂郡八百津町八百津3921-1

 

( 亀喜 かめき かめきそうほんけ )

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三勝屋 @岐阜県加茂郡八百津町

2014年05月21日 | 岐阜県(中濃・老舗)

2_2

一度、臨時休業で振られた岐阜県八百津町の老舗大衆食堂「三勝屋(さんかつや)」。この日もバイクで出掛けて行く。昭和8(1933)年創業とのこと。正直、店が開くのか確証はなかったが、店の前の広場にバイクを停めると同好の士と思われる数名が待っていたのでそのまま待つ。ほどなくして主人が店の中からこちらをちらりと覗き、待っていた我々数名を手招きして中へ招き入れる。ん…? でも暖簾を上げる様子はない。なんでも、出前だか仕出しだかの注文が入ってしまってすぐには店を開けられないから、いま外で待っている人達だけ店内で座って待ってもらう、との事。でも予め料理の提供が遅くなることは念を押された。意外な展開に、自分を含む数名は閉まったままの店の土間のテーブルに座り、お茶をもらい、とりあえず注文だけ訊かれた。

壁に掛けられた木札の品書きは麺類から飯物からなんでもあり(それでも看板にあった寿司の品書きは見つけられなかった)。その中から、なぜこんな山奥の大衆食堂に?と不思議な名物「パーコー」(排骨)と、なんかの紹介で出汁が自慢と書かれていた「中華そば」を注文。注文をとってくださったのはご高齢だがきっちりとお化粧をして、老いてなお、かくしゃくとしていらっしゃる女将さん。当分料理は出てきそうにないので、女将さんのお話を聞いたり、古い建物を見回したり、はいどうぞ、とリモコンごと渡されたテレビを眺めつつぼんやりと過ごす。

店の中には2畳ほどの小上がりに丸いちゃぶ台が置いてあったり、額に入った賞状や資格証が飾ってあり、昭和のままの風情。いろんな芸能人が残していった色紙、それに記事もいっぱい張り出してある。女将さんによると品書きの木札は開店したころのままのものだとか。店もだいたいそのままとの事。「お客さんがなぶっちゃあかんっていうもんやでねぇ」(お客さんが触っては駄目と言うから)とおっしゃる通り、「ずっとそのまま」であることを期待されてもいるし、古い木椅子を見ても金具で後から補強してあったりと、お店の側もそうやっていこうという意志が見られる。すごいなぁ。品書きに「支度(したく)」という謎のメニューがあったので女将さんに訊いてみると、煮物や煮魚など出来上がったおかずとご飯だそう。「もう支度が出来とるよっていうことやわ」。素敵。

かなり長い時間が経ち(30分以上か)、やっと我々の注文した品に手がつけられ始めたらしく、店のカーテンが開けられ、暖簾が掛けられた。外には店の様子を伺っていただろう客が数名待っていて、「え?何でもう客が入ってるの」的な視線を向けられる(笑)。やっと運ばれてきた中華そばは鰹の風味の効いた出汁であっさりとしており、花麩、蒲鉾、小さい海苔、そして豚バラ肉が気持ち程度乗っている。動物系の出汁はこの豚バラなのかな。色んな店を食べ歩いた元ラーメン好きな自分も、最近はこういう一杯がやたらとうれしい。パーコーは平皿に盛られた豚肉の天ぷらとでもいうべきもので、上にはたくさんの刻み葱が掛けられている。これをテーブルに用意された酢醤油でいただく。チューブのにんにくも置かれたが使うのは止めておいた。ご飯にあうだろうなぁ、これ(ビールか)。

自分がこの店を知ったのは椎名誠の書籍で名前を見つけたから。いやぁ、来てみて(入る事が出来て)良かった。次は隣の人が頼んで旨そうだった丼物を頼んでみたいな。それとも「支度」か。こんな店で一杯やりながら、のどかな休日を過ごしてみたい。日曜も営業しているのは有り難いが、前回自分が遭遇したように、臨時休業や地元の人達の貸し切りがあるようなので遠方から訪れる際には注意が必要です。(勘定は¥1,000)

この後の記事はこちら (2)(3)(4)(5

Photo_3

 ↓ 写真は三勝屋の向かいにある「玉柏酒造」の建物。突当たりが三勝屋。

Photo

三勝屋

岐阜県加茂郡八百津町八百津4118-1

 

(さんかつや)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

緑屋老舗 @岐阜県加茂郡八百津町

2014年05月17日 | 岐阜県(中濃・老舗)

Photo

息子を後ろに乗せて、一緒にバイクで岐阜県の八百津(やおつ)町までツーリング。バイク乗りにとって本当に短い快適な季節を新緑の道で堪能し、近くの「杉原千畝記念館」を見学した後、昼食に向かったが、目当ての店は臨時休業。せっかくなので八百津町の古い町並みを散策して、ついでに入った店が創業明治5(1872)年の和菓子屋「緑屋老舗」。数軒先にはまだ古い店舗が残っていたが、こちらの新しい店舗は大きく立派な建物。広々とした店内に入り、和菓子を眺める。

岐阜というと最近では中津川や恵那(えな)の栗きんとんが全国的に有名になっていて、季節になると有名デパートや首都圏でも売られていたりするが、八百津町も栗きんとんで有名で、そもそもの栗きんとんの元祖はこの八百津町なのだと紹介されている事も多い(諸説あるようです)。こちらのお店のHPにも「元祖 栗金飩」の名で売られていて、3代目が創作したとの記述がある。最近は毎年自分で栗きんとんを作ったりするので(意外と簡単に出来ます)、色々なお店のを食べて比べている。ま、食感の違いなどはあれど、どこもそれぞれ美味しいですよ、ホント(ついでに自作のも)。もう季節的には最終だろうが、嫁と娘のために栗金飩と草もちを購入。息子はいちご大福を買って、店を出たところで頬張って食べてしまった。苺がでかくてイイとの事(笑)。

家に帰ってからお茶と一緒にいただいたこちらの栗金飩は、とてもきめが細かく、いいしっとり加減。甘さもほどほどで、栗の風味を壊していなくて旨い。草もちは手に吸いつくようなねっとりとした皮にヨモギの香りがしっかりと効いていて、これも旨い。嫁はどちらかというとこの草もちの方が気に行ったとの事。この八百津町には他にも古い和菓子のお店が残っているので、ぜひまた行ってみようと思う。

↓ 写真は数軒先にある旧店舗(こっちの方がいいなー)

2

緑屋老舗

岐阜県加茂郡八百津町八百津4096-1

(緑屋 みどりや みどりやろうほ 元祖栗きんとん やおつ)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする