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ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

入船 @岐阜県関市(3)

2016年06月03日 | 岐阜県(中濃・老舗)

岐阜県関市のお気に入りの麺類食堂「入船(いりふね)」へ。ご高齢の女将さん(と言ってもお若いが)ひとりで賄っている大衆食堂だ。何度も通っているが、この日はたまたま用事で一緒に近辺に居た連れと、昼休みの過ぎた時間にお邪魔した。年輩の連れは大昔に何度か来たことがあるはずというくらい久しぶりの訪問らしい。へぇ、そうだったのか。店の横に車を停めて暖簾をくぐると、この日は大盛況。先客が座敷の席(と言っても家庭の応接間といった風情)も含めて4組8名。まだ調理が始まっていない人も居る様子。相席の大テーブルも2人一緒には座れなかったので、縁側のような上がり框の席へ。足を土間に投げ出すここの中途半端な腰掛け具合と年季の入った飯台がお気に入り。仕事の関係であまりゆっくりもしていられなかったので、注文をまとめて2人共「中華そば」を注文した。

女将さんは大釜と年季の入った木製扉付きの調理場を行ったり来たりと大忙し。女将さんに声を掛けていく親しげな客が多いので、時々調理の手が止まってしまう。おまけに電話もかかってきたりして…。うちらの麺大丈夫かナ、と心配になる。しばらくして運ばれた中華そばは、案の定、前にも増して「やわやわ」の茹で加減(笑)。でもこれがトゲのないまろやかなスープにピッタリなのだ。現代のラオタ(ラーメンオタクの意・自分も以前は…)には我慢ならない所業かもしれないが、こちらではこれもまた「味」のうち。小さいが相変わらず旨いチャーシューと共に平らげて勘定をしてもらった。連れに感想を訊くのを忘れたが、大昔の事をちゃんと思い出したのだろうか?(勘定は¥500/杯)

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↓ 「長良川鉄道関口駅」(旧・国鉄関口駅)横の古い木造建築。ガラスには薄っすらと「自転車預所」の文字が。昔は駅の横には必ずこういう店があった。建物が大きいので宿か何かだったのだろうか。2階軒下には隣の大衆食堂(廃業済)の案内看板(写真下右)が。2階の欄干が途中で切れて台が残っている。屋根神様でもあったのかな。

 

 


 

入船

岐阜県関市大平町2-6

( 関市 関 せき たいへいちょう 太平町 いりふね 麺類食堂 大衆食堂 中華そば ラーメン チャーシュー麺 カツ丼 かつ丼 )

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白扇酒造株式会社 (蔵開き) @岐阜県加茂郡川辺町

2016年01月21日 | 岐阜県(中濃・老舗)

以前に読んだ本や雑誌に、この酒造が作る昔ながらの製法の「みりん」の事が載っていて、ずっと訪問したいと思っていた。創業は江戸後期とのこと。日曜日にもかかわらず休日返上で仕事先に赴き、ひと仕事終えた後、帰り道に41号線を通ったので、そういえばと脇に入り寄ってみる。すると狭い通りにはえらく人の姿が多い。なんと、たまたまこの日は蔵開きのようだ。イイねェ。車を停め、蔵の中へ。中庭では露店も出て、餅つきなども行われていて人でごった返している。車なので呑むことは出来ないが、それでも生原酒の「花美蔵・朝しぼり・蔵出し」や、にごり酒の「どろりん」を舐めることが出来た。どちらも当然ながらフレッシュな口当たり。どちらかというと元々しっかりとした味わいのある花美蔵だが、新酒らしい爽やかさが加わるとよりいい感じ。にごり酒は普段あまり口にしないが、これも口当たり良く旨かった。正月用に買ったものや、頂いた一升瓶がまだうちに何本もあるので、「どろりん」だけでも買って帰りたかったが、もう1件仕事が残っていて、真っ直ぐ家に帰ることが出来なかったので、断念(大丈夫だとは思うが発酵途中で発泡性があり長時間放置出来ないので念のため)。試飲コーナーのテーブルでは、ここで作られる日本酒はもちろん、焼酎なんかも置かれていて、みんな手酌でやっている。明らかに呑み過ぎだろっていう人もいるが、本当に車じゃないんだろうな(笑)。そこで以前から気になっていたみりん「福来純・三年熟成本みりん」(写真下右)を購入して持ち帰った。

  

今、家で使っている本みりんと比べるとより色が濃いのが分かる。もちろん熟成年月が3年と長いからだろう。グラスに入れて味わってみる。同じ岐阜にある「白木恒助商店」の古酒「達磨正宗」の熟成三年を思わせる色と香り。とろみは強く、口に含むとまろやかでどっしりとした甘味が拡がる。昔の人はみりんを酒として呑んでいたというが、呑んべえでもさすがにこれを常飲する気にはなれないなァ(笑)。昔は「甘い」=「旨い」だったそうだし、アルコール度数は14度と日本酒と変わらないから、好んで呑まれたんだろうな。今使っているものと比べて風味がしっかりしているし、”みりん風調味料”のような変な臭みも無く、まさに酒っていう感じなので色々使えそう。料理に使うのが楽しみ。これバニラのアイスクリームなんかに垂らしても旨そうだな。さて、次回の蔵開きはなんとかしてドライバーを探そう。(勘定は¥432/250ml)

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白扇酒造株式会社

岐阜県加茂郡川辺町中川辺28

( 川辺町 川辺 かわべ かわべちょう はくせん はくせん酒造 花美蔵 はなみくら 本みりん 本味醂 みりん 味醂 福来純 蔵開き みりん風調味料 黒松白扇 )

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山水本店 @岐阜県美濃市

2016年01月01日 | 岐阜県(中濃・老舗)

あけましておめでとうございます。

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うだつの上がる古い街並みが残る岐阜県美濃市の麺類食堂「山水本店」。創業は大正元年(1912)と歴史も古い。店横の駐車場に車を停めて暖簾をくぐる。店の中は土間のテーブル席と小上がり席で、奥が厨房になっている。テレビが流れ、奥から赤ちゃんの泣き声も聞こえる家庭的な店。テーブル席に腰かけると、小さなやかんに入ったお茶が運ばれた。各テーブルのメニューの他にも、壁には木札に品名が書かれている。他にも壁には新聞や雑誌の切り抜きが貼ってあり「えびカレー丼」なるちょっと変わった丼ぶりメニューが取り上げられていて気になった。でも、ちょっと前から亜種を求めてカツ丼を食べることが多かったので、こちらでもとりあえず「かつ丼」を注文。

まだ昼前だったが、店にはぽつぽつと客が入り始めている。メニューも見ずに注文を入れている人を見ると平日は地元の人が多いようだ。しばらくしてかつ丼が登場。こちらのカツ丼はご飯の上のかつの上から、つゆにゆるくとじた玉子がかけられていて、カツ煮ではないタイプ。粗めのパン粉で揚げられたカツは厚みがあり、それだけでしっかり旨い。ご飯はやや多めで、少し甘めのつゆを吸ってしっかりとお腹を満たしてくれた。次はもちろん「えびカレー丼」にしてみよう。(勘定は¥780)

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↓ 以前訪問した時には外壁修復中だった「美濃和紙あかりアート記念館(旧・美濃町産業会館)」(昭和16年・1941・建造 ※登録有形文化財)と、殿町の急な坂の途中に建つ和+洋館

 

 


 

御食事処 山水本店

岐阜県美濃市本住町1902-2

 

 ( 岐阜 ぎふ 美濃 美濃市 みの お食事処山水 さんすい かつ丼 あんかけカツ丼 玉子とじカツ丼 てりカツ丼 えびカレー丼 麺類食堂 大衆食堂 亜種 )

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辻屋 @岐阜県関市

2015年12月26日 | 岐阜県(中濃・老舗)

うなぎで有名な岐阜県関市の「辻屋」。人気店の中でも一番歴史が古く、創業は幕末・慶応年間(1860頃)という老舗。戦前までは専業ではなく、いろいろな料理を出していたのだそう。店前のアーケードが無粋ではあるが、建物も創業当時のものというから凄い。暖簾をくぐり店に入ると、ずらっと卓が並んだ入れ込みの小上がり席が目に入る。相席が好まれない今では貴重だが、昔の大店にはごく普通にこういう感じの入れ込みの間があったようだ。雰囲気は違うが浅草の「駒形どぜう」や「飯田屋」の2階が入れ込みの大広間。老舗ならではの風格がある。休日ともなるとアーケード下に行列が出来ることもある店だが、この日は平日の夜とあって客もまばらで、石敷きの土間にある手前のテーブル席が空いていたのでそこに腰を下ろした。土間と調理場の間には水が流され、平成14年から居るという大きな天然鰻が身を横たえていた。この店に入るのは何年か振り。昔は出前もやっていたはずで、仕事の訪問先で出されていただいた事もある。着物姿の給仕の女性がおしぼりとお茶を運んできてくれた。「並丼」を注文。あれ?姿が見えないなと思ったら、奥にいらっしゃった、名物女将。相変わらず元気そうだ。

空いていたので小上がり席に移動させてもらい、店や関市にまつわる様々なものが飾ってある棚や雰囲気を楽しみながら待っていると、しばらくして丼ぶりが運ばれた。肝吸いが付いていて、お茶は鉄瓶で置かれる。鰻は4切れのっていて、焼きの塩梅も良い。こちらのたれは昔からやや甘めの多め。もちろんこの日も変わらず。ご飯の量は多め。置いてある山椒粉は風味の良いもので、少し振って風味を増した鰻とご飯を頬張った。肝吸いの肝には焼きが入っている。少し柚子皮が散らしてあり風味の良いものだった。昔感じたよりもずっと良く感じたのは、並んで長く待たされるような事が無かったからだろうか。落ち着いた雰囲気の時なら、水の流れる音をBGMに歴史ある建物でいただく鰻丼はいいもんだなァと感じた次第。(勘定は¥2,610)

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名代 辻屋

岐阜県関市本町5-14

 

( 関 関市 せき せきし つじや 鰻丼 うな丼 うなぎ丼 しげ吉 みよし亭 角丸 孫六 )

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御代桜醸造株式会社(蔵開き) @岐阜県美濃加茂市

2015年12月10日 | 岐阜県(中濃・老舗)

 

仕事で近くに来たついでに岐阜県美濃加茂市の「御代桜醸造」(創業明治26年・1893)の事務所横の直売所へ寄って「純米原酒ひやおろし」の1升瓶を調達。するとチラシが置いてあり、翌日から「新酒披露2015」と称し、蔵開きをすると知った。土曜は仕事で行けないが、日曜は早朝の奉仕活動以外に何も予定が無かったのでふらりと出掛けてみた(嫁と息子を誘ったが振られた…涙)。蔵のある旧中山道の太田宿以前にも紹介した町並みは歴史ある古い建物がいくつも残り、風情の残る通りとなっている。前々日の閑散とした通りとはうって変わって、かなりの人出。蔵開き以外にも様々なイベントが催されていて、家族連れはもちろん、着物を着た人、イベントで時代物の衣装を着た人もいて、なかなかの賑わいだ。

さっそく蔵に入ってまず試飲。小さなプラスチックカップに「御代櫻(みよざくら)」のいくつかを注いでもらう。もちろん舐める程度。試食で「ライン漬」という名前のついた好物の守口漬があったので購入(「日本ライン」と呼ばれる川下りで有名な木曽川にちなんでいます)。そしてこちらの酒で樽香をつけたのは珍しいなと、限定数販売の「本樽貯蔵酒」(720ml)も購入。

 

次はふるまわれていた酒粕を焼いたのを味見。甘酒は得意じゃないけれど、この焼いた酒粕はなかなか乙なもの。つまみになりそう。歩みを進めると「SAKE Bar みよざくら」と名付けられた有料試飲コーナーがあり、若い杜氏の酒向氏、若社長の渡辺氏自ら酒を注いでいる。

ドラム缶を立ち飲みテーブルにしていて洒落ている。こちらは100円でグラスを購入し、5種類の酒の中から選んで注いでもらうシステム。1杯だけいただいた。呑んだのは「純米酒 美濃加茂市産あさひの夢 滓がらみ 26BY」(100円)というこの地で採れた品種の米で作られた酒。すこし滓(おり)で濁っていて、ふくよかな味わいと香り。キンキンに冷えていたが、もう少し温度を上げるとより芳醇な香りが広がりそう。出来れば全種呑みたいが、そうもいかないので歩みを先に進める。

ラベルに「平成二十七年新酒披露」と書かれたお目当ての「しぼりたて原酒」の直売。まず先に空瓶を購入し、横でタンクから直接注いだものを封してもらう。自分用の1升瓶と、友人向けの4号瓶を購入し、隣の蔵人に渡すと「ハイッ」と受け取って1本づつ注いでくれ、栓を木槌でトントンと叩き、封をする。自分のための1升瓶を目の前で注いでもらうというのもなかなか気分のいいもの。これで旨さは1割増し(笑)。

最後に1000円購入毎にもらえる抽選券でくじを引いたら御代桜のエコバッグが当たった。ワーイ。本当はもっと試飲コーナーでうだうだしていたいが、帰りのこともあるので後ろ髪引かれながら表に出る。

前に来た時には入ることが出来なかった重要文化財「林家住宅」(明和6年・1769・建造)主屋が公開されていたので、中を見学。

  

吹き抜けた土間には地面より低い半地下に造られた大きな竈(かまど)が圧巻。その昔は醸造を営んでいて、たくさんの湯を使ったり、風呂も沸かしてからわざわざ汲んだので、運び易いようにこういう造りになったんだとか。スゴイ。見学後は通りをゆっくりブラブラと散歩し、露店などを冷やかして楽しんだ。(勘定は純米原酒が¥2268、樽酒が¥1,000、無濾過生原酒が¥2,000など)

御代櫻醸造株式会社

岐阜県美濃加茂市太田本町3-2-9

( 美濃加茂市 みのかもし みのかも 太田 おおた みよざくら 御代櫻 御代桜 御代桜酒造 御代桜醸造 蔵びらき 新酒 生酒 生原酒 太田宿 姫街道 旅籠 )

 

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入船 @岐阜県関市(2)

2015年11月25日 | 岐阜県(中濃・老舗)

前回初めて店に入った途端に、店内のその風情ある佇まいが気に入ってしまった岐阜県関市の大衆食堂「入船」。前回はカツ丼だったが、今回は先達がブログに書いていらして気になっていた「中華そば」を目当てに訪れた。この日は先客がおらず、店に入ってすぐの大テーブルに腰を下ろす。中華そばの他に「五目中華そば」と「焼豚めん」があり、どちらも100円上がるだけだったので「焼豚めん」を注文した。飴色になるまで時を経たガラス棚や、座敷への上がり框に置かれた小さいテーブルを愛でながら、忙しく立ち働くお母さんの様子を見眺める。大テーブルのある土間には調理場とは別の囲われたスペースがある。そちらにも小窓が付いていて、帳場のようにも見えるが、現在は岡持ちが仕舞われている。現役時はいったい何に使われていたんだろう。今度訊いてみようか。しっかり事前に丼ぶりを温めて、その場で刻んだ葱や焼豚などを散らす丁寧な仕事ぶりを経て、中華そばが運ばれてきた。

濃い和出汁が香るスープは、かえしも濃いめでしっかり色付いている。葱、蒲鉾、メンマがのり、胡椒は最初から振られていた。細ストレートの麺は”やわ”に茹でられていてスープとの相性もいい。店の壁に掛けてある鏡に製麺所の名前が入っていたので麺はそこから仕入れているのかな。焼豚は脂身のついた部位で、ほんのりピンク色。厚みがあり、しっかり肉の食感と香りが残っていて、旨い。焼豚の脂がだんだんスープの熱さで溶けなじんできて更に旨くなる。これで100円増しなら是非こちらをお勧め。大衆食堂でありがちな化学っぽさも無く、スープをグビグビと飲み干した。(勘定は¥600)

別の日にはうどんを食べてみようと「カレーなんば」を注文。この日は地元のサラリーマンらしき人達が先客。自分は念願の上がり框に置かれた小さいテーブルの席へ。座布団に腰かけ、足は土間に投げ出す。いいねぇ、この小さなテーブル。「カレーなんば」はとろみが強い餡。辛味はしっかりあり、葱、鶏肉が入っている。うどんは中細の麺でヤワヤワの茹で加減。自分はとろみの強い餡のうどんが好みではないので、このうどんは口に合わなかったが、カレー丼だったら食べてみたいかな。(勘定は¥530)

前回の記事はこちら (1

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入船 (いりふね)

岐阜県関市大平町2-6

 

( 関 関市 せき せきし いりふね 大衆食堂 麺類食堂 中華そば チャーシュー麺 カレーなんば カレー南蛮 かつ丼 かつどん )

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大和屋 @岐阜県郡上市

2015年11月22日 | 岐阜県(中濃・老舗)

曇り空の下、バイクで北上し、郡上白鳥(しろとり)まで走る。これまでずっとアメリカンタイプのバイクに乗っていたので、最初はネイキッドの運転姿勢に戸惑ったが、やっと慣れてきた(と言うより、アメリカンが普通と違うのか)。特に目標は無かったが、しっかり腹は減る。美濃白鳥駅の前の通りまでやってきた。日曜の昼だからか、いつもそうなのか、酒造など風情ある建物がいくつもあるが周囲はひっそりとしている。通りでひときわ「名代かつ丼」の看板が目立つ「大和屋」へ。創業は昭和5年(1930)だとか。いかにも街の食堂といった雰囲気。暖簾をくぐって店の中に入ると、閑散とした外とは大違いでお客さんがいっぱい。家族連れ、学生、夫婦、老夫婦、職人、と客層は様々で大賑わい。みんな地元の人のような感じだった。というのも給仕のおかあさんに一声かけて勝手に引き出しを開けて物を取ったりと慣れた感じの人が多いのだ。土間にはテーブル席、そして小上がりがあり、奥が厨房になっている細長い造り。まだテーブルに何ものっていない客が多く、時間がかかりそう。すばやく「かつ丼」を注文した。店は出前もしているようで、注文の電話や調理もひっきりなし。すごい人気だなァ。

おかあさんが置いてくれたスポーツ新聞とテレビを眺めながら待った。やっと「かつ丼」が運ばれる。岐阜県は地域によって様々なヴァリエーションのカツ丼(注)がある面白いところなので、奥美濃~飛騨地方のこの店はどうかと楽しみにしていた。どうだったかというと…意外にもオーソドックスなかつ丼。玉ねぎと揚がったカツをつゆと玉子で煮た”カツ煮”タイプ。つゆがたっぷり入っており、薄めのかつが最初から小さく切ってあるのが面白い。しっかりつゆの浸みたかつとご飯をかきこんだ。こちらは洋食もあるので、オムライス、チキンライスやポークチャップ、グリルドチキン定食なんてハイカラなものも。初訪の今回はかつ丼一択だったが、次に来たら迷うだろうなァ。(勘定は¥750)

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↓ (下左)店のすぐ斜め前に建つ町家「原邸」(明治40年頃・1907頃・建造)、(下右)通りにある近代建築らしき雰囲気の建物。何の店だったんだろう?

 

↓ ひっそりとした「美濃白鳥駅」(昭和8年・1933・建造)

 


 

 

大和屋

岐阜県郡上市白鳥町白鳥993-2

 

( 白鳥 美濃白鳥 しろとり みのしろとり 郡上白鳥 ぐじょう やまとや 名代かつ丼 大衆食堂 麺類食堂 洋食 郡上踊り 郡上おどり 亜種 )

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泉屋 @岐阜県郡上市

2015年11月16日 | 岐阜県(中濃・老舗)

買ったばかりのオンボロ単気筒「カワサキ・エストレア」の調子を上げるべく郡上八幡まで単独ツーリング。中古格安で買ったはいいが、結局すぐにスターターアイドルギアの交換とタペット調整が必要になり、乗り出しに追加3枚かかってしまった(苦笑)。まだいくつか調整が必要なところはあるが、何とか無事に乗れるようになり、単気筒独特のドコドコと鳴くエンジン音を楽しみながら郡上八幡へ。

風情ある郡上八幡の街中を歩くのは、まだ子供が小さかった頃以来で久しぶりだが、昔とは違って建物にも興味が出ているので、以前よりずっと楽しい。観光客が多く訪れる食品サンプル工房などを尻目に古い街並みと建物をじっくり観察して歩いた。いくつか古い大衆食堂や蕎麦屋が残っているのでどこで昼食を摂ろうかと悩んだ挙句、伺ったのは賑わう界隈から少し離れた場所にある「泉屋」。窓に格子が付いた建物の佇まいが素晴らしい蕎麦屋。創業は昭和5年(1930)で、年季の入った建物は昭和3年に建てられたものだとか。暖簾をくぐって中に入るとタイル貼りの土間があり、奥には小上がりが。その脇には現役の箱階段(階段箪笥)がある。階段の空洞部分が抽斗になっていて物が収納出来るようになっている。渋いなァ。こちらは見上げると渡り廊下みたいになっている吹き抜け部分があったりととても興味深い建物だ。調理場とは別に麺打ち場があり、手打ちしているようす。外の幟とは裏腹に品書きはうどん中心のようにも見えたが、名物と言う「あまごそば」を注文した。

しばらくして運ばれた「あまごそば」は簡単に言うとにしんそばの"あまご"ヴァージョン。甘辛く煮付けられたあまごが丸っとそのまま蕎麦にのっている。あまご特有の赤い斑点もはっきり。まずそのあまごだけかぶりついてみる。よくあるにしんそばよりは甘さが控えめで旨い。もちろん頭からいけるくらい柔らかく煮られている。そばのつゆは東海地方だと濃いめのものが多いが、こちらは色も味も薄めの味付けですっきりとしている。上から降られたゴマとのせられた貝割れ大根は好みではないが(常々、貝割れ大根や水菜って安いけど難しい食材じゃないかと思っています)、つゆまで飲み干して、ごちそうさま。(勘定は¥1,150)

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↑ 現在は観光拠点となっている「郡上八幡旧庁舎記念館」(昭和11年・1936・建造 ※)。(※は国登録有形文化財)

 

↑ 左:庁舎のすぐ横を流れる清流・吉田川。庁舎の脇がこの景色ってすごい。右:新橋から下流の素晴らしい眺め。

 

↑ 左:「袖壁」のある「直井家住宅土蔵」(明治元年・1868・建造 ※)。右:「郡上八幡博覧館(旧・税務署)」(大正9年・1920・建造)。なぜ歴史的建造物の入口横を喫煙所にするかな…(怒)。

 

↑ 「旧堀谷医院」(大正9年・1920・建造 ※)。入口のアーチ型の屋根と手造りの欄干の意匠がかっこいい。近代建築に松っていうのが何とも言えずイイね。

 

↑ 左:「郡上八幡樂藝館(旧・林療院本館)」(明治37年・1904・建造 ※)。右隣りにはレントゲン棟も。右:左隣に建つ「旧・林療院看護婦棟」(江戸末期建造 ※)。

 

↑ 左:街中の古い建物の軒下には「屋根神様」が。しっかりとした囲い付きで、支えているつっかえ棒の意匠も凝っている。右:「庄村家住宅主屋」(明治初期建造 ※)

 

↑ 街のそこかしこには名も無き近代建築が散見できる。まだまだ色んな建物がありそう。

 


 

そば処 泉屋

岐阜県郡上市八幡町島谷1083

 

( 郡上 郡上八幡 ぐじょう ぐじょうはちまん いずみや 泉家 郡上おどり 郡上踊り 徹夜おどり 袖壁 屋根神様 有形文化財 )

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丸登屋 @岐阜県関市

2015年11月05日 | 岐阜県(中濃・老舗)

岐阜県関市下之保にある旧街道の街並みに店を構える「丸登屋(まるとや)」。今や関市は刃物産業だけでなく「うなぎ」で有名と言っても過言ではない。市内にはいくつも有名店があり、休日ともなると遠くからわざわざ訪問する客が列をなしている。こちらの店は市町村合併があるまでは武儀郡武儀町で、関市内ではなかったが、鰻で紹介されていたので訪問してみた。創業は明治28年(1895)。100年以上の歴史がある店だ。近辺は綺麗な河川(津保川)以外、ほとんど何もない田舎で、店の場所は現在の幹線道路(県道58号関金山線)からも外れひっそりしている。この店のある短い通りにだけ若干昔の宿場町の名残りがある。歴史には詳しくないが、旧飛騨街道の一部のようだ。隣に建つ歴史ある佇まいの「旅館・丸登屋」が街道沿いの宿場だったのだろう。店には縄のれんが掛かり、居酒屋といった風情。暖簾をくぐって中に入ってもそんな感じで、カウンターと小上がりだけの店だ。女将さんに声をかけ、うなぎ丼を注文した。厨房は奥なので調理の様子は全く見ることが出来ない。

テレビが流れる中でスポーツ新聞を広げながら待っていると、しばらくして丼ぶり、肝吸い、漬物と小鉢の一品が運ばれた。小鉢にはタコの刺身が入って最初からたまり醤油がかけられている。ご飯の上のうなぎはやや小さめのものが4切れほど。やや甘めのたれで味付けられていて、独特の風味がある。少し皮は硬めだが、中はふんわりと焼かれている。食べ進むとご飯の中からも尻尾の部分2切れほど挟まれていた。こんな小さな事がうれしい。置いてあった山椒が風味の弱いものだったのが残念だったが(山椒好きなもので)きれいにいただいた。サービスの気持ちはうれしいが小鉢は余計だったかな。今や鰻丼や鰻重は3,000円、4,000円もという異常な世界だが(だって、たかが「丼ぶり」料理だよ…)こちらの値付けはがんばっている。(勘定は¥2,050)

↓ (左)店のある古い街道。(右)店に隣接する旅館「丸登屋」。周りには何もないが風情ある古い建物がそのまま残っている。部屋はどんなだろう? 泊まってみたいな。

 

丸登屋

岐阜県関市下之保2932-2

( 関 関市 せき しものほ まるとや 丸登屋旅館 鰻 うなぎ うな丼 鰻丼 辻屋 しげ吉 みよし亭 孫六 飛騨街道 飛騨西街道 下之保村 )

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梅屋 @岐阜県加茂郡八百津町

2015年10月29日 | 岐阜県(中濃・老舗)

岐阜県の八百津町は「栗きんとん」発祥(※諸説あり)の地のひとつとして有名な田舎町。風光明媚な土地で、通りには昔の商店が残っていて、古い和菓子屋、食堂、酒造会社、醸造会社などが集まっている。秋になると時々出かけて栗きんとんをはじめとする和菓子を買うが、この「梅屋」は初めて訪れた。創業年は分からず。他の店と違い、栗きんとんを「栗金糖」と称するようで、建物の壁面には「元祖・栗金糖」の文字が(ちなみに「緑屋老舗」では「栗金飩」)。店の前まで来ると、何台も栗金糖を買い求める車が路上に停まっていた。遠くは県外ナンバーの車も。店に入るとガラスケースの中に様々な菓子が並んでいる。季節柄、ほとんど栗を使った菓子ばかり。自分の感覚だと栗の実が生るのはもっと秋深まった時期だと思うんだけれど、どうなんだろう。

こちらでいただいた栗金糖は中に小さい栗の実の粒々が感じられるもの。生地自体は滑らかな舌触りで旨い。甘さもちょうど良く、旨いものだった。次回は他の和菓子も試してみたいなァ。実は近年、栗きんとんは自作もしているのだが、栗さえ入手出来れば意外と簡単に出来る。甘煮と違って鬼皮は気にせず、実は茹でて(あるいは蒸して)半分に切った後にスプーンでほじくり出すだけだし、手作りならマッシャーでつぶす位で充分。かえってその位の方が栗の食感が残るし、市販のものと差別化出来ていい。砂糖(グラニュー糖)の具合は有名店のレシピなどを参考にして自分で調節すればいい。材料がシンプルなので、びっくりするほど遜色ないものが作れますよ。お試しあれ。とは言いつつ、買いにも行くんだけど。(勘定は¥170/個)

この後の記事はこちら (2)(3

 


 

↓ (左)「旧八百津発電所資料館・本館」(明治44年・1911・建造)と、本館より後に増設された「放水口発電所」(大正6年・1917・建造)。共に国の重要文化財。

 

↓ 両建物を望む素晴らしい遠景。前日まで長雨だったので川の水が濁っている。

 


 

栗金糖本舗 梅屋

岐阜県加茂郡八百津町八百津4067-5

 

( 八百津 八百津町 やおつ うめや 栗きんとん 栗きんとう 中津川 恵那 杉原千畝 杉原千畝記念館 シンドラー )

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