マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ゼロ・ダーク・サーティ

2013-02-23 11:13:21 | 映画ー劇場鑑賞

ーゼロ・ダーク・サーティーZERO DARK THIRTY

2012年 アメリカ

 

キャスリン・ビグロー監督 ジェシカ・チャステイン(マヤ)ジェイソン・クラーク(ダニエル)ジョエル・エドガートン(パトリック)ジェニファー・イーリー(ジェシカ)マーク・ストロング(ジョージ)カイル・チャンドラー(ジョセフ・ブラッドリー)エドガー・ラミレス(ラリー)ジェームズ・ガンドルフィーニ(CIA長官)クリス・プラット(ジャスティン)ハロルド・ペリノー(ジャック)レダ・カテブ(アマール)

 

【解説】

911全米同時多発テロの首謀者にしてテロ組織アルカイダの指導者、ビンラディンの殺害計画が題材のサスペンス。CIAの女性分析官の姿を通し、全世界を驚がくさせた同作戦の全貌を描き出す。メガホンを取るのは、アカデミー賞で作品賞などを受賞した『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー。『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』などで注目のジェシカ・チャステインが、狂気にも似た執念でビンラディンを追跡する主人公を熱演。リアル志向のアクションやドキュメント風の映像も見ものだ。

 

【あらすじ】

ビンラディンの行方を追うものの、的確な情報を得られずにいる捜索チーム。そこへ、人並み外れた情報収集力と分析力を誇るCIAアナリストのマヤ(ジェシカ・チャスティン)が加わることに。しかし、巨額の予算を投入した捜査は一向に進展せず、世界各国で新たな血が次々と流されていく。そんな中、同僚の一人が自爆テロの犠牲となって命を落としてしまう。それを機に、マヤの中でビンラディン捕獲という職務が狂気じみた執心へと変貌。ついに、彼が身を隠している場所を特定することに成功するが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

「ハート・ロッカー」で2006年度のアカデミー賞作品賞と監督賞などを、元夫ジェームズ・キャメロンの「アバター」を抑えて獲得したキャスリン・ビグローの最新作。

今年も、アカデミー賞作品賞などにノミネートされています。

 

2001年9月11日、あの忘れられない史上最悪のテロ事件、アメリカ同時多発テロ事件が起きました。

オープニングは、スクリーンが暗いままで犠牲になった人たちの電話の声が流されました。

観客は、あの惨事を昨日のことのように思い出したことでしょう。

 

オサマ・ビンラディンはこの事件の首謀者と断定され、アメリカ身柄確保を目標とするが、大規模な捜索にも関わらず拘束することがでできないまま長い年月が過ぎていった。

 そして、これも世界中で物議をかもしたCIAによるグアンタナモ収容所の捕虜の拷問が描かれていました。

 

CIAのダニエル(ジェイソン・クラーク)が、9.11の資金の運び屋と見られる男を厳しい拷問によってその上司を聞き出そうとしていたが、彼はなかなか本当のことを言おうとしなかった。

そこへ加わったのがマヤ(ジェシカ・チャステイン)だった。

 

アメリカが国家をあげて、巨額な資金をつぎ込んでいるのに、ビン・ラディンにたどり着く有力な情報は得られなかった。

それをあざ笑うかのように、各国でテロ事件は次々に起こった。

あろうことか、CIAの基地内部でも自爆テロが起こり、マヤも親友を亡くした。

 

ここからビン・ラディンの追跡にますます執念を燃やすマヤだが、世論に批判されて捕虜の拷問も禁止となり、情報収集は困難を極めた。

しかし、地道な情報収集の結果、パキスタン・イスラマバードの郊外アボッターバードに要塞のように警備された一見すると民家のような豪邸を見つけた。

マヤは、ビン・ラディンの隠れ家だと断定した。

 

☆ネタバレ

衛星画像で屋敷を見張った。

本部は慎重で、なかなか決断を下さず、マヤは苛立つが、とうとう決行の日がやってきた。

 

2011年5月2日の真夜中、ステルスヘリコプター2機に精鋭部隊が乗り込んで、この屋敷を急襲した。

激しい銃撃戦の末、ビン・ラディンや数人の親族の人や手下の者を射殺し、ビン・ラディンの死体と証拠物を押収して持ち帰った。

そのときに、ヘリ1機が不時着したので、証拠隠滅のために爆破した。

 

基地に戻り、マヤが遺体を確認して、この事件は決着を見た。

 

アボッターバードのビン・ラディンの屋敷を特定するに至る経緯は、とても興味深く見ていましたが、この屋敷を襲うために、他の国からステルスヘリでレーダーをかいくぐってパキスタン領内に入るところでは、「こんなことが許されるんだろうか?」と愕然としました。

のちに、パキスタン政府は「主権を侵された」と抗議したそうですが、それはそうですよね。

この強引さが世界の警察を自負するアメリカの所行なのでしょう。

ただただ、驚きました。

 

ラスト、マヤはたった一人で専用の軍用機に乗り込み、涙を流すのですが、私はこれはマヤの孤独だと思いました。

マヤは、これからアルカイダに命を狙われる対象としてひっそりと生きていくのでしょうし、いままでだって、孤独な作業に身を投じてきたのです。

なんとも言えない気持ちになりました。

 

そして、ビン・ラディン一人が亡くなったからといって、テロ事件はなくならない。

記憶にも新しい、日本人が多数犠牲になったアルジェリアの事件の首謀者はアルカイダの立ち上げにも関わった人物とされています。

 

復讐が復讐を生む不幸な連鎖。

どこで止めれるのかと、暗澹たる気持ちになりました。

 

でも、この作品は娯楽作品としてとても面白く、私としては「アルゴ」につぐヒットとなりました。

 

自国の国民のために、恥も外聞もなく闘う姿勢のアメリカは、間違っているのかもしれないと戸惑いつつも、頼もしいものを感じてしまいました。

でも、やはり復讐は何も生まないですよね。

別の解決方法を模索しないとダメですよね。

難しいけど…。

 

ゼロ・ダーク・サーティとは、軍事用語で真夜中の12時半のことで、この作戦の決行時間。

「ジェロニモ」という暗号名で呼ばれたビン・ラディンの最後はあっけないものでした。