ー東京家族ー
2012年 日本
監督=山田洋次 キャスト=橋爪功(平山周吉)吉行和子(平山とみこ)西村雅彦(平山幸一)夏川結衣(平山文子)中嶋朋子(金井滋子)林家正蔵[9代目](金井庫造)妻夫木聡(平山昌次)蒼井優(間宮紀子)小林稔侍(沼田三平)風吹ジュン(かよ)茅島成美(服部京子)柴田龍一郎(平山実)丸山歩夢(平山勇)中村勘九郎[6代目] 中村宜生 中村七之助
【解説】
『男はつらいよ』シリーズや『たそがれ清兵衛』『おとうと』などで知られる、山田洋次の監督81作目となるファミリー・ドラマ。瀬戸内の小島から上京し、自分の子どもたちと久々の対面を果たした老夫婦の姿を通して、現代日本における家族の在り方や絆などを見つめていく。『奇跡』の橋爪功、『人生、いろどり』の吉行和子、「古畑任三郎」シリーズの西村雅彦、『悪人』の妻夫木聡などの実力派が集結し、いつの間にか生じた隙間を埋めようとする家族を熱演する。随所にちりばめられた、山田監督による巨匠・小津安二郎の『東京物語』へのオマージュも見逃せない。
【あらすじ】
瀬戸内海の小さな島で生活している夫婦、平山周吉(橋爪功)ととみこ(吉行和子)。東京にやって来た彼らは、個人病院を開く長男・幸一(西村雅彦)、美容院を営む長女・滋子(中嶋朋子)、舞台美術の仕事に携わる次男・昌次(妻夫木聡)との再会を果たす。しかし、仕事を抱えて忙しい日々を送る彼らは両親の面倒を見られず、二人をホテルに宿泊させようとする。そんな状況に寂しさを覚えた周吉は、やめていた酒を飲んで騒動を起こしてしまう。一方のとみこは、何かと心配していた昌次の住まいを訪ね、そこで恋人の間宮紀子(蒼井優)を紹介される。(シネマトゥデイ)
【感想】
巨匠・小津安二郎の『東京物語』へのオマージュということですが、残念ながら「東京物語」は見ていません。
スカイツリーが出てくるから、現代のお話でしょうが、ドラマの詰めがちょっと昔風と言うか、現代的ではなかったと思いました。
現代はもっと深刻、夢を語る余地が少ないのかなあ。
瀬戸内の島から出て来た両親、平山周吉(橋爪功)ととみこ(吉行和子)。
次男の昌次(妻夫木聡)との待ち合わせが違っていた。
東京と品川。
せっかちな父は長男、幸一(西村雅彦)の住む多摩市までタクシーで向かう。
幸一は自宅で開業している医者。
妻、文子(夏川結衣)、中学生と小学生の男の子の父。
家は狭い。
長男の部屋を両親の寝室に当てる。
長女の滋子(中嶋朋子)は下町で美容院を経営している。
夫、金井庫造(林家正蔵[9代目])と従業員が2名。
両親が泊まりにくるが、もっと狭い。
東京の住宅事情は、貧しいですね。
でも、最近ではホテルに泊まって遊びに行くというのも、アリだと思いますが。
それにしても、東京の子供たち、忙し過ぎて、両親に東京見物もさせてあげられないようです。
そんなことより、両親の心配は、次男の昌次のこと。
上京の目的は、古い友達が亡くなったのでその仏壇にお参りすることだった。
☆ネタバレ
ネタバレと言っても、子供を心配する両親の話です。
昌次は、舞台美術の仕事をしていて、まだまだ一人前というわけにはいきません。
両親の目からは頼りなく映ります。
長男、長女が立派だからね。
うちも、同じ子供の構成、長男、長女、次男なので、このご両親と共通する思いはたくさんありました。
賢い長男と、手に職を持ったしっかりした長女。
うちの場合も、もう少しでこのご家庭のように次男が不安定だったかもしれないけど、お陰さまで今はしっかりした大人に成長しました。
うちも、この映画の蒼井優ちゃんみたいな、しっかりしたお嫁さんが見つかればいいなあと思いながら見ていました。
だから、このお母さんの喜びはよくわかりました。
親は、特に母親はいつも子供の幸せを望んでいるものです。
こんなふうにとても身近に感じながら見ていて、とても楽しかったです。
ただ見終わったあとですが、残念なことに何も残らないんですね。
次男も幸せ、お父さんも島で幸せで終わり、かな?
お父さんの生活は、隣の主婦が見てくれるみたい。
そんなんでいいのかなあ、と思いました。
助け合いは美徳ですけどねー。
実は、日本の現実はそんなに甘くないですからね。
過疎の村での隠居生活も、3,11のあとの東北の暮らしも、不安定な職業の若者の将来も、かといって医者や美容師の将来でさえも、決して大丈夫とは言えないでしょう?
みんなが未来に不安を持っているというのが、現実じゃないでしょうか?
山田監督には、もう一捻りして欲しかったなあと思いました。
なぜ、日本がこんなに生きにくくなっているのかー。
それこそが、家族の危機でしょう?
昨日は、WOWOWで「男はつらいよ 寅次郎の告白」(1991年)を見ましたが、この作品の方がずっと面白かったです。
テーマが凝縮されて、心に沁みてきました。
昌次が働いている劇場で、連獅子が演じられているのですが、「まさかなあ…」と思っていたら、エンドロールに中村勘九郎[6代目]のお名前。
なんか急に亡くなられた勘三郎さんのことが思い出されて、ジーンとしてしまいました。
どっちの感動が大きかったことやら…。