マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

アルゴ

2012-10-31 19:07:14 | 映画ー劇場鑑賞

ーアルゴーARGO

2012年 アメリカ

ベン・アフレック監督 ベン・アフレック(トニー)ブライアン・クランストン(ジャック)アラン・アーキン(レスター)ジョン・グッドマン(ジョン)

 

【解説】

『ザ・タウン』などのベン・アフレックが、監督、製作、主演を努めたサスペンス。1979年のテヘランで起きたアメリカ大使館人質事件と、その裏で敢行されたCIAによる救出作戦の行方を追い掛ける。監督として『ザ・タウン』で見せた緩急自在な演出をベンが本作でも繰り出し、謎に包まれていた救出作戦の全ぼうを活写。その一方で、貫録たっぷりに指揮を執るCIAエージェントを熱演する。『リトル・ミス・サンシャイン』のアラン・アーキンや『アーティスト』のジョン・グッドマンら、脇を固めるベテラン勢にも注目。

 

【あらすじ】

1979114日、テヘラン。イラン革命が激しさを募らせ、その果てにアメリカ大使館を過激派グループが占拠し、52人もの人質を取るという事件が起きる。パニックの中、アメリカ人6名が大使館から逃げ出してカナダ大使の自宅に潜伏。救出作戦のエキスパートとして名をはせるCIAエージェントのトニー・メンデス(ベン・アフレック)は、6名が過激派たちに発見され、殺害されるのも時間の問題だと判断。彼らを混乱するテヘランから救出する作戦を立案する。しかし、それは前代未聞で大胆不敵、そして無数の危険が伴うものだった……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

これはなんだ!?

すごく面白い!!

実話ベースなのに、最後まではらはらどきどき。

「ザ・タウン」でも実力を発揮したベン・アフレック、またまたやってくれました。

恐るべし!!

 

始めにイラストを使ったイランの歴史のおさらいがあって、とてもわかりやすい。

イランの近代史は、石油の発見とともに、ヨーロッパ列強国の覇権争いの中で近代化に取り組んだ歴史だったのですね。

 

1951年、モハマンド・モデサックによって、民主政権が誕生し、モハマンド・レザー・シャー・パフラヴィー国王(日本ではパーレビ国王として親しまれる。私も呼びなれたパーレビ国王と呼びます)は亡命したのだが、アメリカが内政干渉して、パーレビ国王は復権、民主主義はついえた。

国王はこの見返りとして、石油の利権をアメリカ初めヨーロッパ諸国に分配、結局、イランにはなんの利益も残らなかった。

 

イランはアメリカから多大な支援を受け、経済は安定はしたが、宗教団体を政治から遠ざける結果となり、不満が膨れ上がっていった。

体制側の思想的な締め付けもきつく、ホメイニ師が率いるイスラム勢力に不満分子が集約されて行くようになる。

 

1978年、自らの権力の崩壊を悟ったパーレビ国王はイランから亡命した。

 

1979年、フランスに亡命していたホメイニ師が帰国。

最高指導者に就いて、イラン革命が成功した。

新政府は非常に保守的で、産業の国有化、法律・文化のイスラム化を断行した。

西洋的文化は禁止され、激しい抑圧は常態化した。

 

そんな中で、このアメリカ大使館人質事件が起きました。

 

エジプトへ亡命したパーレビ国王だが、アメリカ政府に入国を求めた。

時の大統領、ジミー・カーターは逡巡するが、キッシンジャー元国務長官らの働きかけで、癌の治療という人道的見地からアメリカに入国を果たした。

しかし、国王のアメリカ入国にイラン国内の学生たちが反発し、114日にテヘランのアメリカ大使館を占拠して、54人の大使館員やその関係者たちを人質に取り、パーレビ国王の身柄と引き換えを要求した。

 

この事件は膠着し続け、結局1980年、パーレビ国王がカイロで癌で亡くなるまで解決の糸口すらみつかりませんでした。

人質が解放されたのは、1981120日、なんと444日ぶりの事でした。

 

これが表の事件で、この映画に描かれているのは、つい先日まで国家の最高機密に指定されていた6人の大使館員の話。

 

1979114日、群衆がアメリカ大使館に押し寄せ、とうとう門を乗り越えてしまった。

大使館員や警備員は書類を焼いたり、シュレッダーにかけたりてんやわんやとなった。

そして、いよいよもうダメだ、となったとき、大使館員の6名がビザの申請に訪れていたイラン人に混じって外に脱出した。

いろんな大使館に保護を求めて断られたが、カナダ大使夫妻が自宅で受け入れて匿ってくれた。

 

アメリカ大使館は過激派グループが占拠し、大使館員やその関係者を人質にとって、パーレビ国王をイランに引き渡して裁判にかけるよう要求した。

 アメリカ政府は応じず、事態は膠着化した。

逃げ出した大使館員たちの事もばれて、イラン側もしらみつぶしに探し始めた。

彼らはスパイだと言われ、見っけたら公開処刑が決まっていた。

シュレッターにかけた大使館員の顔写真も、子供を使って復原する作業も始まった。

発見されるのは、時間の問題。

 

アメリカ当局には、焦りの色が濃くなった。

そこで白羽の矢が立ったのは、CIAの救出専門家、トニー・メンデス(ベン・アフレック)だった。

 

☆ネタバレ

いやいや、ネタバレはしません。

予告編でも知らされているように、トニーの作戦は映画の撮影のロケハンとして、イランの市場を見に行くという口実。

その架空の映画のタイトルが「アルゴ」。

 

そんなこと、できるわけがないでしょう?と思う方は、ぜひ見てください。

もう、最後までハラハラドキドキ、そして、ユーモアたっぷりのこの作戦。

この作戦に命を託して脱出を計る6人は、ユーモアなんて、言っている場合ではありませんが。

 

最後に、事実と対比させた写真が出てきて、ご本人たちの写真も出てきて、当時の緊迫感や、本人といかによく似ているかわかります。

 

トニーも無事に暮らしているそうなので、ほんとうにほっとしました。

 

日本人が外国で孤立したら、日本政府は救出のために何をしてくれるでしょう?

そう考えたら、もっと怖い!!

拉致された日本人も救えないんだからなあ。

 

今年のベスト3に入りそうな、大満足の作品でした。

 

にせの映画製作に関わるアラン・アーキンとジョン・グッドマンもいいですよ。