ートスカーナの贋作ーCERTIFIED COPY
2010年 フランス/イタリア
アッバス・キアロスタミ監督 ジュリエット・ビノシュ(彼女)ウィリアム・シメル(ジェームズ)ジャン=クロード・カリエール(広場の男)アガット・ナタンソン(広場の女)ジャンナ・ジャンケッティ(カフェの主人)アドリアン・ムーア(息子)アンジェロ・バルバガッロ(通訳)アンドレア・ラウレンツィ(ガイド)フィリッポ・トロジャーノ(花婿)マニュエラ・バルシメッリ(花嫁)
【解説】
イタリアの南トスカーナ地方で出会った男女が、夫婦に間違われたことから始まるラブストーリー。『桜桃の味』で第50回カンヌ国際映画祭パルムドールに輝いたアッバス・キアロスタミ監督が初めてイラン国外で撮影した本作は、本物の夫婦のふりをしているうちに互いの心情も変化していく一組のカップルの恋物語を映し出す。妻を、本作で初のカンヌ映画祭女優賞を受賞したジュリエット・ビノシュが、夫をイギリスのオペラ界を代表するバリトン歌手のウィリアム・シメルが好演。名匠ルカ・ビガッツィによるトスカーナの絶景も見ものだ。
【あらすじ】
イタリア、南トスカーナ地方の小さな村で講演を終えたばかりのイギリスの作家(ウィリアム・シメル)が、ギャラリーを経営しているフランス人女性(ジュリエット・ビノシュ)と出会う。芸術に関して議論を交わした彼らは、カフェの女主人に夫婦かと勘違いされたことをきっかけに、あたかも夫婦のコピーであるかのように振る舞い、あるときは仲良く、あるときは言い争いつつ、車で村を巡り始める。(シネマトゥデイ)
【感想】
なんの前知識もなく見ましたら、「この二人は、旧知なの?元夫婦なの?全くの他人?」と、どんどんこちらも混乱して行くくらいの、名演技。
ジュリエット・ビノシュの独壇場でした。
英語、フランス語、イタリア語を相手にあわせて使い分ける技は、才女だなあ、ととても感心しました。
これだけでも、見る価値ありです。
そしてお相手の男性ウィリアム・シメルって、知らない人だなあ…
と思っていたら、それもそのはず、イギリスでは有名なオペラ歌手(バリトン)で、映画出演は初めてですって。
ジュリエットのエキセントリックな態度にたじたじするところが素っぽくて、とても好感が持てました。
また、この作品の監督は、イラン人で、自分の国以外で撮った最初の映画だそうです。
脚本も書いておられます。
中年夫婦の機微がセリフの端々に効いています。
効いてはいるのですが、私の感覚とは違っていました。
恋愛や疑似恋愛を大切にする妻、仕事に夢中で家庭は妻に任せっぱなしだけど、妻の突飛な言動には批判的な夫。
よくわかる話だけど、こんなエキセントリックで刺激的な妻は、しんどいよね、と思ってしまいました。
ま、お芝居だし、ゲームなんだけどね。
でも、楽しめたとはいいがたい、にせものの妻と夫でした。
贋作ー何が贋作と言えるのか、というテーマに引っ掛けたところは面白かったです。
男は、辟易して去ったのでしょうか?
それとも、部屋に戻って、新しい恋愛が始まったのでしょうか?
私は…去ったと思うけど。
夢がないねー。