ーゴーストライターーTHE GHOST WRITER
2010年 フランス/ドイツ/イギリス
ロマン・ポランスキー監督 ユアン・マクレガー(ゴースト)ピアース・ブロスナン(アダム・ラング)キム・キャトラル(アメリア・ブライ)オリヴィア・ウィリアムズ(ルース・ラング)トム・ウィルキンソン(ポール・エメット)ティモシー・ハットン(シドニー・クロール)ジョン・バーンサル(リック・リカルデッリ)デヴィッド・リントール(ストレンジャー)ロバート・パフ(リチャード・ライカールト)ジェームズ・ベルーシ(ジョン・マドックス)イーライ・ウォラック(老人)
【解説】
『戦場のピアニスト』などの巨匠ロマン・ポランスキー監督が、ロバート・ハリスの小説を映画化したサスペンス。元イギリス首相のゴーストライターとして雇われた平凡な男が、ある秘密に吸い寄せられていくさまを鮮やかなタッチで描く。主人公を好演するのは『スター・ウォーズ』シリーズのユアン・マクレガー。魅力的な元首相を、『007』シリーズのピアース・ブロスナンが演じ切る。冒頭からラストまで徹底的に練り上げられた物語に引き込まれる。
【あらすじ】
元イギリス首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝執筆を、破格の報酬で引き受けたゴーストライター(ユアン・マクレガー)。その仕事の前任者が事故死したこともあり、彼は気乗りがしないままアメリカ東部の島へと向かう。同じころ、イスラム過激派のテロ容疑者に対する拷問への元首相の関与が取り上げられ……。(シネマトゥデイ)
【感想】
混沌とした中で繰り広げられるサスペンスで、巻き込まれたゴーストライターが、いつのまにか核心にたどり着くけど、たちまち命を狙われて、事態は急展開していきます。
どちらかと言えば、ぼぉっとしているゴーストライターが翻弄される所に、引き込まれてみてしまいました。
ロマン・ポランスキー流やね。
うまいと思いました。
ジョニー・デップが主演したポランスキー作品「ナインスゲート」に雰囲気が似ていて、内容のありそうでないところも、結末の付け方も、似ていました。
主人公が、サスペンスの主人公にも関わらず、切れ者ではないところも似ています。
こういうサスペンス、嫌いじゃないです。
元イギリス首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝執筆を、破格の報酬で引き受けたゴーストライター(ユアン・マクレガー)。
前任者が事故死していたり、引き受けてすぐに襲われたり、不気味だけど、気にしない振りをして、ラングのいる離れ小島に渡ります。
☆ネタバレ
そこには、ラングの妻のルース(オリヴィア・ウィリアムズ)や秘書のアメリア(キム・キャトラル)、ボディーガードやスタッフなどがいた。
仕事を初めて間もなく、ラングが首相時代に、イラク戦争のテロ犯をアメリカに引き渡したことが戦犯として取りざたされ、大きな問題となった。
ラングを始め、スタッフの多くはロンドンへ向かった。
小島に残されたゴーストライターは、前任者の原稿に死の謎が隠されていることを知り、電話番号や、来客用の車のナビなどによって、その核心に引き込まれていく。
そしてたどり着いた人物、ポール・エメット(トム・ウィルキンソン)。
表は大学教授だが、裏の顔はCIAのスパイで、ラングとは、ケンブリッジ大学の演劇部で一緒に映っている写真もあった。
ラングはCIAに操られていたのか?
ところが、ラングは、イラク戦争で息子を失ったという過激な男に狙撃されてあっけなく死んだ。
これで、謎は永遠の闇に葬られたかに見えた。
しかしゴーストライターは、前任者のゴーストライターが自叙伝の原稿に隠した謎解きに成功した。
真犯人は意外な人物だった。
(その人しかないでしょ、という声が聞こえてきそう)
なぞを解いたことを、本人に知らせて、原稿を持って会場を後にしたところで、ゴーストライターは車にはねられた。
あとには、散り散りになった原稿が散乱していた。
ラストは思わず「おおっ」と声が出てしまいました。
これで終わりと言うことは、謎も真犯人も、大学教授も安泰というわけなのねー。
なんのこっちゃ!とつっこみそうになりましたが、ここまで来る過程が、サスペンスタッチなところも、小島の殺伐とした風景も、しれっとした人間関係も、なかなかよかったので、まあ、いいか、と思いました。
サスペンスの気分が好きな人は、見る価値があると思います。
変な魅力のある作品でした。