ーJ・エドガーーJ. EDGAR
2011年 アメリカ
クリント・イーストウッド監督 レオナルド・ディカプリオ(J・エドガー・フーバー)ナオミ・ワッツ(ヘレン・ギャンディ)アーミー・ハマー(クライド・トルソン)ジョシュ・ルーカス(チャールズ・リンドバーグ)ジュディ・デンチ(アニー・フーバー)
【解説】
FBI初代長官ジョン・エドガー・フーバーの半生を、クリント・イーストウッド監督、レオナルド・ディカプリオ主演で映画化した伝記ドラマ。母親からのでき愛、側近との関係など、フーバーの輝かしい功績の裏に隠された禁断の私生活を赤裸々に描いていく。フーバーの秘書役にナオミ・ワッツ、公私を共にした側近に『ソーシャル・ネットワーク』のアーミー・ハマー、母親役にはジュディ・デンチと、豪華な俳優陣が共演。半世紀もアメリカを裏で支配した謎多き男の真実にディカプリオがどうはまるのか注目だ。
【あらすじ】
1924年にFBI初代長官に任命されたジョン・エドガー・フーバー(レオナルド・ディカプリオ)は、歴代の大統領に仕え、数々の戦争をくぐり抜け、半世紀にわたって法の番人としてアメリカをコントロールしてきた。しかし、フーバーには絶対に人に知られてはならない秘密があった……。(シネマトゥデイ)
【感想】
予想していた内容とは、かなり違っていました。
さすが、イーストウッド監督というべきか…。
アメリカ人にとって、この作品は、どういう気持ちになるのかなあ?
FBIアメリカ連邦捜査局の初代長官であり、1924年の任命から1972年に亡くなるまで長官職に留まり、第30代アメリカ大統領カルビン・クーリッジから第37代リチャード・ニクソンまで、8代の大統領に仕えたジョン・エドガー・フーバー。
FBIと言えば、ギャングや凶悪犯をどんどん逮捕していくコミックや映画では、正義の味方のイメージが強かったので、この作品はかなり意外でした。
ヒーロー物語なのかな、と思っていましたから。
この作品は、ジョン・エドガー・フーバー(レオナルド・ディカプリオ)が晩年に自伝を書かせるという形式で語られます。
FBIという画期的な組織を育て上げ、科学捜査にも功績のある自分。
凶悪犯を逮捕し、迷宮入りかと思われたリンドバーグ(ジョシュ・ルーカス)の愛息誘拐事件の犯人も検挙した。
栄光の人生、賞賛されるべき人物。
筆記する人に、自分の栄光を語り聞かせるのですが、その間にも、彼の秘密のファイルは収拾され、蓄えられていきます。
それを保管しているのが、初期の段階から私設秘書を務めているヘレン・ギャンディ(ナオミ・ワッツ)。
その中には、歴代大統領の秘密のファイルも多数ありました。
捜査の過程で知り得た秘密を武器に、大統領をも黙らせ、捜査当局のトップに君臨した男。
過去と、現在を行きつ戻りつしながら、ジョン・エドガー・フーバーという男の生き様を浮き彫りにしていくという手法でした。
☆ネタバレ
母(ジュディ・デンチ)から、「おまえはアメリカで一番強い男になる」と言われながら育った。
裕福な生まれと言うわけではなく、大学図書館で働きながら大学を卒業し、司法試験に受かった努力の人。
生涯独身で、母が亡くなるまで母と暮した。
マザコン?
強い母に、ジュディ・デンチがぴったりでした。
司法省時代、ヘレンにプロポーズするが、断られ、それで私設秘書として雇った。
彼女は、実に忠実にフーバーの秘密を守った。
ほとんど老けメイクで、ちょっと気の毒でした。
左から、ヘレン、クライドとフーバー
もう一人重要な人物、側近のクライド・トルソン(アーミー・ハマー)。
女装癖、同性愛者とウワサされるフーバーの、プラトニックなパートナーとして描かれていました。
彼が信頼したのは、この3人だけです。
極度な人間不信、特に晩年の猜疑心は、ひどいものでした。
醜悪と言っていいでしょう。
そのなかでトルソンは、自分が病気になっても、フーバーをさとし、愛を捧げていました。
ちょっとうるっときました。
全体には、ディカプリオの苦悩に満ちた演技が少し重たい感じでした。
どこか、息が抜けるシーンがあれば良かったのになあ、と思いました。
老けメイクがわざとらしく感じられたのですが、これもイーストウッドの演出のうちなのでしょうか?