マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

大鹿村騒動記

2011-08-06 15:18:41 | 映画ー劇場鑑賞

 

ー大鹿村騒動記ー

2011年 日本

監督=阪本順治 キャスト=原田芳雄(風祭善)大楠道代(風祭貴子)岸部一徳(能村治)松たか子(織井美江)佐藤浩市(越田一平)冨浦智嗣(大地雷音)瑛太(柴山寛治)石橋蓮司(重田権三)小野武彦(山谷一夫)小倉一郎(柴山満)でんでん(浅川玄一郎)加藤虎ノ介(平岡健太)三國連太郎(津田義一)

 

【解説】長野県の山村に300年以上も伝わる「大鹿歌舞伎」をモチーフに、『亡国のイージス』『顔』の阪本順治監督と原田芳雄がタッグを組んだ群像喜劇。伝統の村歌舞伎が受け継がれてきた山村で食堂を営む男のもとに、18年前に駆け落ちした妻と友人が現れたことから始まる騒動を軽妙なタッチで描く。共演には大楠道代、岸部一徳、松たか子、佐藤浩市、三國連太郎ら実力派がそろい、悲喜こもごもの人間模様を彩る。大鹿歌舞伎の舞台を再現したクライマックスは圧巻。

 

 

【あらすじ】

南アルプスのふもとにある長野県大鹿村でシカ料理店を営む風祭善(原田芳雄)は、300年以上の歴史を持つ村歌舞伎の花形役者。公演を間近に控えたある日、18年前に駆け落ちした妻・貴子(大楠道代)と幼なじみの治(岸部一徳)が現れる。脳に疾患を抱え記憶を失いつつある貴子をいきなり返され戸惑う善だったが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この話は、実在する大鹿歌舞伎を題材に原田芳雄さんを主役に作られた作品です。

映画公開日の3日後の7月19日に、原田さんは他界されました。

お披露目試写会に車椅子で舞台挨拶をされている姿をテレビで見ました。

痩せておられて、お声も出ず、すごく痛々しかったです。

この撮影のときも、体調は悪かったようです。

でも、スクリーンの中の原田さんはお元気そのものでした。

 

 

大鹿歌舞伎は、長野県伊那郡大鹿村に300年に渡り上演されてきた芝居だそうです。

今回取り上げられている大鹿歌舞伎の外題「六千両後日之文章重忠館の段」は大鹿村歌舞伎のオリジナルだそうです。

 

すごいですね。

 

大鹿村歌舞伎の本番の日が近づき、役者たちは稽古に励んでいた。

しかし、この村をリニアモーター新幹線が通ると言う計画が持ち上がり、役者たちの間にも推進派と反対派があり、亀裂が生じていた。

 

この村で「ディアイーター」という鹿肉専門食堂を経営している風祭善(原田芳雄)は、歌舞伎の中心人物景清を演じる。

 

そこへ、18年前に駆け落ちした善の妻孝子と幼なじみの治がふいに現れる。

治は「貴子が認知症で面倒を見られないから、返す」という。

貴子は、何事もなかったかのように、家に上がり込み、布団を善の分まで敷いていた。

 

二人を家に泊めた善は、その後も貴子の面倒を見る。

料理の仕方も忘れてしまった貴子。

万引きまでしてしまう始末。

でも、二人のなれそめである、歌舞伎のセリフは覚えていた。

 

台風で貴子は昔の記憶を取り戻し、自殺しようと家を出る。

善は引き止める。

折しも、崖崩れにあい、一平(佐藤浩市)が負傷、その代役を貴子が勤めることになった。

 

そして、大歌舞伎が行われた。

 

妻が幼なじみと駆け落ちして失踪する、なんて、本当に悲劇的なことだけど、18年もたってしまったら、こういう喜劇になってしまうのだろうなあと思いました。

そして、自分の近くに戻って来たら、懐かしさに、恨みも忘れてしまうかもしれない。

人間の心理って、不思議なものです。

 

もちろん、何年経っても許せない人もいるでしょう。

でも、許しても許さなくても、人生の長さは変わらない。

としたら、罪悪感を抱えて生きながらえてきた人たちを前に、受け入れざるをえないんじゃないかな?

 

 

貴子の父である三国連太郎さんが、ジベリアで亡くなった戦友たちを木彫して悼む姿が対照的に感じられました。

生きてこそ、だものね。

 

伝統の村歌舞伎と、人生の夕暮れに訪れた喜劇にとてもよく似た悲劇、または、その逆かな?

「一度目は悲劇、二度目は喜劇」と言っていましたから。

とても面白い作品でした。

 

 


Ricky リッキー

2011-08-06 15:13:49 | 映画ーDVD

Ricky リッキーーRICKY

2009年 フランス/イタリア

フランソワ・オゾン監督 アレクサンドラ・ラミー(カティ)セルジ・ロペス(パコ)メリュジーヌ・マヤンス(リザ)アルチュール・ペイレ(リッキー)

 

【解説】

8人の女たち』『エンジェル』などで国際的に注目されるフランスの俊英、フランソワ・オゾン監督が手掛けた新しい形の家族の再生物語。ある平凡な一家に生まれた風変わりな赤ん坊を通じて、バラバラだった家族が一つになっていくさまをファンタジックに描き出す。母親にはテレビの寸劇シリーズで人気を博したアレクサンドラ・ラミー、父親を『ナイト・トーキョー・デイ』のセルジ・ロペスが好演。観る者の想像力を刺激するオゾン監督ならではの独特の世界観が異彩を放つ。

 

【あらすじ】

郊外の団地で娘のリザ(メリュジーヌ・マヤンス)と二人で暮らすシングルマザーのカティ(アレクサンドラ・ラミー)は、単調な日々を送っていた。そんなある日、カティは職場の新人パコ(セルジ・ロペス)と恋に落ち、パコは母子と共に暮らし始める。やがて、カティとパコの間に子どもが誕生しリッキーと名付けられるが、ある日リッキーに異変が起きる。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

予告編を見たときは、ファンタジー映画かと思いました。

でも、監督がフランソワ・オゾンだからね、一筋縄ではいかないですね。

 

シングルマザーのカティ(アレクサンドラ・ラミー)は、工場に勤めながら、娘のリザ(メリュジーヌ・マヤンス)と暮らしていた。

朝も娘に起こされるような怠惰な生活。

 

ある日、職場でパコ(セルジ・ロペス)と出会い、すぐにトイレでセックス。

それから、パコはカティの家に転がり込んできた。

 

☆ネタバレ

二人の間に子供ができた。

リッキー。

ある日、リッキーの背中にコブができ、カティはパコの仕業だと思い、責めた。

パコは言い訳もせずに出て行ってしまった。

 

リッキーの背中のコブから醜いものが生えてきた。

やがてそれに産毛が生えて、天使のような羽になった。

 

家の中でふわふわ飛んで、あちこちにおでこをぶつけたり、そのくらいはかわいいんだけど、スーバーマーケットで飛び回り、マスコミに知られるところとなった。

 

そうしたら、パコがけろっとして帰ってきて、この子を育てるのにお金がかかるから、マスコミに撮影させようと言う。

カティも「そうね」ってノリ?

記者に囲まれて「飛んでみせて」とせがまれて、リッキーを飛ばせてしまう。

うっとりみていたら、足に結わえてあったひもを放してしまって、リッキーは行方不明に。

 

カティは自殺しようと思うまでにノイローゼになってしまう。

カティが池に入水したところに、裸ん坊で立派な天使のようなリッキーが飛んできて、母親の周りをフワフワと飛んで、思いとどまらせる。

そして、再び飛んでいってしまう。

 

幸せな気分になったカティは、立ち直り、リザとパコとの日常生活に戻っていくのでした。

そして、カティのお腹にはまた赤ちゃんが宿り…

 

これは、おバカなカップルのお話でしょうか?

リザが、すごくしっかりして見えるのは、かわいそうやね。

ラストも、学校へ行くバイクに乗って、運転するパコをしっかり捕まえているリザのかわいい表情で終わりました。

 

こうして頼っている娘や、生まれて来る赤ちゃんがいるんだから、この両親にはしっかりして欲しいと思いました。

 


アフターライフ

2011-08-06 15:07:53 | 映画ーDVD

ーアフターライフーAFTER.LIFE

2009年 アメリカ

アグニェシュカ・ヴォイトヴィッチ=ヴォスルー監督 クリスティナ・リッチ(アンナ) ジャスティン・ロング(ポール) リーアム・ニーソン(ディーコン) ジョシュ・チャールズ チャンドラー・カンタベリー(ジャック) セリア・ウェストン(アンナの母)

 

【感想】

こんなに豪華出演陣なのに、日本未公開、ビデオスルーとなった作品。

まあ、わからなくもないけど。

 

アンナ(クリスティナ・リッチ)は小学校の教師で、弁護士のポール(ジャスティン・ロング)とは恋人同士だが、最近は気分が塞いでいる。

気難しい母(セリア・ウェストン)とうまくいかないせいだ。

 

ある日、ポールが「シカゴ転勤が決まった」と切り出した。

てっきり別れ話だと早合点したアンナは、動揺して、車を運転中に事故に遭う。

 

次に気がついたのは、葬儀屋ディーコン(リーアム・ニーソン)の地下の死体置き場。

ディーコンは、アンナに「君は死んでいるが、魂が残っている。死を受け入れなさい」と言われる。

 

☆ネタバレ

アンナが本当に死んでいるのか、ディーコンが嘘をついているかという虚実の駆け引きがホラーっぽく描かれて面白い作品です。

 

アンナは確かに、生き生きと生きていない。

それが生きる価値がないと言えるかどうかは疑問ですが、「生き生き生きていない人には、愛も生も価値がないか?」と言うのがテーマでしょうか?

 

クリスティーナ・リッチが惜しげなく裸体を見せてくれます。

スリムで美しい。

彼女のファンにはたまらない作品でしょう。

「アダムス・ファミリー」でデビューしただけあって、死体の役にはぴったりかな?

ちょっと汚い言葉を使い過ぎのような気もしました。

せっかく恋人が、愛してくれているのに、それに気がつかないのが不幸の始まりでした。

 

ディーコンは、生き返った人も筋肉弛緩剤を駆使して「死んだ」と言い含めて埋葬してしまうサイコ野郎です。

リーアムがどうしても人格者に見えてしまって、あんまり似合っていないなあ、と思いました。

 


シルビアのいる街で

2011-08-06 15:02:54 | 映画ーDVD

ーシルビアのいる街でーEN LA CIUDAD DE SYLVIA/DANS LA VILLE DE SYLVIA/IN THE CITY OF SYLVIA

 

2007年 スペイン/フランス

ホセ・ルイス・ゲリン監督  グザヴィエ・ラフィット ピラール・ロペス・デ・アジャラ

【感想】

数年前に出会った女性の面影を求めて思い出の地をさまよう青年の心模様を、独特な映像表現で紡いだ映像詩。情緒あふれる古都ストラスブールを舞台に、主人公の風変わりな恋物語を、緻密(ちみつ)に構成された音と絵画のような映像美で描く。監督は、ドキュメンタリーとフィクションの境界上で野心的な映画製作を続け、名匠ヴィクトル・エリセの後継者といわれるスペインの俊英ホセ・ルイス・ゲリン。人々のざわめきなど街のノイズを生かした音響や、独特の演出が余韻を残す。

 

【あらすじ】

とあるカフェ、客を観察してはスケッチをしている画家志望の青年(グザヴィエ・ラフィット)がいた。ガラス越しに一人の女性(ピラール・ロペス・デ・アジャラ)を見つけハッとした彼は、彼女が店を出るとその後を追う。彼女を追って市電に乗り込んだ彼は、あるバーで数年前に出会ったシルビアではないかと声を掛けるが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この映画は、忙しい人には苦痛でしょう。

最初、映像が止まっているかと思うほど、長いショットです。

ホテルの一室で青年(グザヴィエ・ラフィット)が考え事をしているようです。

 

眺めているのは自分のメモ帳。

文字がぎっしり書かれてあるページや、女性のスケッチなどです。

 

ホテルの前の路地の長いショット。

人が奥行きを使って、行き交います。

すごく緻密な演出じゃないかなと思うほど、自然です。

 

次は、カフェでビールを飲みながら、人を観察している青年。

スケッチをしたり、会話に耳を傾けたり。

女性たち、カップル…。

昔、私も暇に任せて喫茶店で時間つぶしをしていたなあ。

そういう経験のある人、人間ウォッチングの好きな人なら、この作品、大丈夫です。

 

店の中から一人の女性(ピラール・ロペス・デ・アジャラ)が出て行きました。

大慌てで後を追う青年。

女性は街を歩き回ります。

ストーカーのように追いかけていく青年。

近づいて「シルビア」と声をかけますが、女性は振り向かず、なお歩いて姿を消しました。

 

路面電車の駅で再び女性を見つけ、声をかける青年。

「6年前に会ったシルビアでしょう?」

女性は違うと答え、「気味が悪く、怖かった」と言って降りていきました。

 

結局、3日経っても、青年はシルビアには会えませんでした。

 

ーという作品でした。

ここまで引っ張るなら、なんとしてでも、シルビアに会いたかったなあ。

 

とにかく、芸術家風のきれいな青年と、とても清純な感じの女性。

だから、85分間もったという作品です。

 


レオニー

2011-08-06 14:55:11 | 映画ーDVD

ーレオニーーLEONIE

2010年 日本/アメリカ

監督=松井久子 キャスト=エミリー・モーティマー(レオニー・ギルモア)中村獅童(野口米次郎)原田美枝子(津田梅子)竹下景子(小泉セツ)クリスティナ・ヘンドリックス(キャサリン)メアリー・ケイ・プレイス(アルビアナ)柏原崇(川田道彦)山野海(ハル)大地康雄(大工の棟梁)勅使河原三郎(彫刻家)中村雅俊(仙田)吉行和子(キク)

 

【解説】

世界的彫刻家イサム・ノグチの母親であるアメリカ人女性、レオニー・ギルモアの波乱の生涯を描いた伝記ドラマ。ドウス昌代による「イサム・ノグチ~宿命の越境者」に感銘を受けた『ユキエ』『折り梅』の松井久子監督が、14稿に及ぶ脚本の推敲(すいこう)を重ね7年の歳月をかけて完成させた。主演は、『マッチポイント』のエミリー・モーティマー、レオニーが愛した野口米次郎には歌舞伎俳優の中村獅童。そのほか原田美枝子、竹下景子、吉行和子など実力派が脇を固める。

 

【あらすじ】

編集者になりたいという夢を持っていたレオニー・ギルモア(エミリー・モーティマー)は、ある日日本から来た青年詩人・野口米次郎(中村獅童)と出会う。やがて、二人は愛し合うようになり彼女は妊娠するが、米次郎は日本へ帰国してしまう。 一人残されたレオニーは、未婚のまま子どもを産む決意をする。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

有名な彫刻家イサム・ノグチの実母レオニー・ギルモアの生涯を描いた作品です。

 

レオニー(エミリー・モーティマー)は大学でも、少し浮いた存在だった。

平凡な人生はいらないと、自立した人生を望んでいた。

 

新聞広告で「編集者募集」の記事をみつけ、訪ねたのが日本人の詩人・野口米次郎(中村獅童)。

英文での表現に自信がなかった米次郎は、レオニーの助けを借りて本を出版し、評判になる。

二人は愛し合うが、日露戦争が勃発。

戦況を心配した米次郎は妊娠を告げるレオニーを残して日本へ帰ってしまった。

すがるレオニーを振り捨てて。

 

母の元で出産し、名前もつけられない子供を育てていたが、米次郎の誘いで日本へ渡る決心をする。

米次郎は、息子に勇と名付けて、家に案内した。

そこにはレオニーを世話する女中のキク(吉行和子)がいた。

 

米次郎が紹介してくれた英語の個人教師や、小泉八雲の未亡人(竹下景子)との交流などがあり、日本での生活にも慣れてきたのかと思われた。

しかし、そこは米次郎の別宅だった。

米次郎には日本人の妻がいたのだ。

 

それを知ったレオニーは、イサムを連れてこの家を出る。

そのとき、レオニーは妊娠していたが、米次郎の子供ではなかった。

そして娘アイリスが生まれるのだが、その父親が誰かは、生涯明かさなかったようです。

 

レオニーは、横浜で教師をしながら二人の子供を育てる。

10歳のイサムに家の設計を任せたり、アメリカに単身で留学させたり、なかなか大胆な子育てぶりです。

 

でも、アメリカの学校が倒産して、学校から人がいなくなり、イサムは心細い思いで学校で生活していたようでした。

その後世話をしてくれる家族に恵まれて、医学部に進みます。

そこへ、母と妹がアメリカにやってきて、「イサムは芸術家になるのだ」と医学部進学に反対するシーンがありました。

 

このあたりは、かなり独善的な母親像を感じてしまいました。

長年日本で生活しながら、日本語ができなかったり、生活習慣にもなじめなかったようです。

米次郎に裏切られて、日本を愛する気持ちも薄かったのかもしれません。

 

その辺の寂しさや葛藤を、もう少し描いて欲しかったという気がしました。

「私はあなたの犬じゃない!」と叫んでいましたが、それだけでは、レオニーに共感できませんでした。

 

イサム・ノグチの偉業は、映画の最後で示されて、素晴らしいと思いましたが、米次郎も父親として機能していないようだし、レオニーもよい母親と言うふうには見えませんでした。

イサム・ノグチはどんな人だったのでしょう。

彼の人となりが語られていないので、そこも残念でした。

かなり、愛情に飢えていたのではないでしょうか?

 

その苦悩を乗り越えたことが、きっといい作品作りにつながったのでしょうね。