ーシャンハイーSHANGHAI
2010年 アメリカ/中国
ミカエル・ハフストローム監督 ジョン・キューザック(ポール)コン・リー(アンナ)チョウ・ユンファ(アンソニー)菊地凛子(スミコ)渡辺謙(タナカ大佐)
【解説】
『ザ・ライト -エクソシストの真実-』のミカエル・ハフストロームが監督し、1941年の上海を舞台に描くアメリカ・中国合作のサスペンス大作。太平洋戦争勃発(ぼっぱつ)前の日本軍占領下の上海で、あるアメリカ諜報(ちょうほう)部員の死の裏に隠された男女の悲しい運命の物語を紡ぐ。『ハイ・フィデリティ』『2012』のジョン・キューザック、『SAYURI』コン・リー、香港の名優チョウ・ユンファ、渡辺謙や菊地凛子らが豪華共演。激動の時代を生きた人々の愛と宿命のドラマが感動を呼ぶ。
【あらすじ】
1941年、アメリカ諜報(ちょうほう)部員のポール(ジョン・キューザック)は、太平洋戦争勃発(ぼっぱつ)前の不穏な空気が漂う上海の地を踏む。彼は親友の死の真相究明のためやって来たが、やがて中国とアメリカ、そして日本を取り巻く巨大な陰謀の真相に迫っていく。ポールの周りには、常に彼を執拗(しつよう)に追い回す日本人将校タナカ(渡辺謙)らの存在があり……。(シネマトゥデイ)
【感想】
試写会に誘ってもらいました。
話題作なので楽しみでした。
最初から、激しい拷問のシーンから始まりました。
上海は、アヘン戦争の終結により1842年に結ばれた南京条約により開港した。
それ以来、イギリスやフランスの外国人居留地(租界)が形成された。
その後、アメリカや日本も租界を開いた。
1920年代から30年代にかけて中国最大の都市として発展し、「魔都」あるいは「東洋のパリ」とも呼ばれた。
この映画の舞台は1941年の上海。
1937年の日中戦争以来、上海市内で日本軍が台頭していた。
日本、ドイツ、アメリカ、中国がにらみ合い、情報戦争を展開していた。
アメリカ諜報部員のポール(ジョン・キューザック)は、親友のコナーを手伝うために上海にやってきた。
表向きは、アメリカの新聞社からドイツ新聞社に入社した新聞記者という肩書きだった。
ドイツ新聞の編集長の妻レニ(フランカ・ポテンテ)と友人だった。
コナーとあう手はずのカジノで、美しい中国女性の謎の行動に引かれて跡を付け、殺されそうになる。
しかも、コナーは現れなかった。
何者かに殺害されたのだ。
アメリカ情報局のリチャード(デヴッド・モース)から、コナーの情報屋キタを紹介され、コナー殺害の謎を調べ始めた。
そして、カジノで出会った謎の女性がアンナ(コン・リー)という名で、上海の闇社会ボスアンソニー・ランティン(チョウ・ユンファ)の妻だということを知る。
そして、アンソニーはタナカ大佐(渡辺謙)という日本情報部のボスと通じていた。
しかも、アンナは父を日本軍に殺されて、夫にも隠れてレジスタンス活動を手助けしていることを突き止めた。
☆ネタバレ
公開前なのであまり詳しく述べてもしらけちゃうと思うので、この辺にしておきますが、雰囲気はハードボイルドです。
ちょっととぼけた感じのジョン・キューザックがスパイらしくなくて、とってもいいです。
結局は、アンナに引かれて危険な運命に引きずり込まれていきます。
アンナ役のコン・リーは、ほんと美しい。
彼女のために、夫は嫉妬心もあったでしょうが、それを胸に押し込んでポールに妻をたくします。
二人の男性を魅了する女性にぴったりでした。
一方のスミコ役の菊池凛子。
彼女も、コナーとタナカを魅了する役なんだけど、最初からアヘン中毒の娼婦という感じで、どんな魅力があったのかが語られていないので、実感がわきませんでした。
見せ場が死ぬシーンというのも気の毒な感じがしました。
中国人レジスタンスの組織が、なんで日本人のスミコに執着したのかも、わかりにくかったです。
ポールとアンナは命がけの逃避行でクライマックスとなるのですが、結局はアンナはポールと別れ、上海に戻りレジスタンス運動を続けたとナレーションで語られました。
ポールも他国で生き延びたとナレーションがありましたから、ラストは現在の上海で再会した二人の映像が見たかったなあと思いました。
大好きな街、上海の租界のいわれがよくわかって、私には嬉しい映画となりました。
名優ぞろいで見せ場もたくさんありましたが、ハードボイルドのわりにはロマンスの比重が大きくて、ちょっと納得がいかなかったです。
男は愛に生きて、女は革命に生きるという結末で、そんなに男って純情なのか?と皮肉な気持ちになりました。