マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ブラックダリア

2006-10-19 17:59:00 | 映画ー劇場鑑賞
2006年 アメリカ ブライアン・デ・パルマ監督 ジェームズ・エルロイ原作 ジョシュ・ハートネット 、アーロン・エッカート 、スカーレット・ヨハンソン 、ヒラリー・スワンク 、ミア・カーシュナー 、リチャード・ブレイク

【解説】
『L.A.コンフィデンシャル』の原作者としても知られるジェイムズ・エルロイの同名小説を『アンタッチャブル』の名匠ブライアン・デ・パルマが映画化。40年代のロサンゼルスを舞台に、女優志望の女性が惨殺された“ブラック・ダリア事件”を追う刑事ふたりの運命が描かれる。主演は『パール・ハーバー』のジョシュ・ハートネットと『アイランド』のスカーレット・ヨハンソン。残忍な事件の全ぼうが徐々に明らかになるサスペンスの醍醐味と、濃厚で艶めかしい人間ドラマが絶妙なバランスで絡み合う。

【あらすじ】
1947年、LA市内の空き地で、女性が腰部分を切断された惨殺死体で発見される事件が発生。その女性、エリザベス・ショート(ミア・カーシュナー)はハリウッドで女優になる夢を見ながら哀れな最期を遂げたのだと判明する。LA市警の刑事、バッキー(ジョシュ・ハートネット)とリー(アーロン・エッカート)はその捜査にあたるが……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
レビュー読むと、評判悪いですね。
私は、デ・パルマといってもピンと来ないせいか、ずいぶん楽しめました。
「L.A.コンフィデンシャル」はTVをチラ見した程度なので、改めて見たいと思います。

この作品に関しては、ボクシングシーンから話を持っていったところが良かったと思いました。
二人の刑事の関係、そこに謎の女が入ってきてからの三角関係などをスピーディに処理して、いろんな伏線を一気に見せておいて、本題へ。
その後は、エロさとグロさがないまぜになって、とても正視できないような残酷な事件や、陰謀や嘘、裏切りなど、いかにも大衆紙が喜びそうなスキャンダラスな内容だけど、怖いもの見たさに興味をそそられ、最後まで引っ張られて行くという感じです。

ジョッシュ・ハーネットは素敵でした。
裸体もさらしてくれましたが、うっとりするほどでした。
ボクシングの訓練を、撮影が遅れたために7ヶ月もしたそう。
なるほどです。

スカーレット・ヨハンセンは「マッチポイント」でセクシーさを知ってしまっていたので、新鮮さにと乏しく、謎の女としては惜しかったです。

ヒラリー・スワンクは、殺された女ブラック・ダリア=ベティ(ミア・カーシュナー)に似てる??
どこが?
と突っ込みたくなりますけどね。
まあ、まあ。
ベティは良かったんじゃないかなあ。
予告編にも使われていたオーディションフィルム。
なんだか、彼女のすべてが表れているようでしたね。
あのインタビューをしているのはデ・パルマ自身だそうです。

ペチュニアおばさんとして有名なフィオナ・ショウ。
最初登場した時は、固まった笑顔のまま動かないので、玄関の犬と同様、剥製かと思いました。
ああ、怖かった。
でも、一番怖かったのは、やはり彼女でしたね。
衝撃のクライマックス。
そして、真実は闇の中へ。

不思議なこともたくさんありました。
リー(アーロン・エッカート )の最後はあれでいいのでしょか?
あんなの、ありなの?
世間が通るの?

そして、ラスト、バッキーがブラックダリアに取り付かれて生きていくという怖い暗示がありましたが、結構簡単に彼女の元へと戻っていくのね、と思いました。

死体は、ちょっと手抜きだと思いました。
一目で作り物って分かったよ。
もう少しがんばってください。
「クリムゾンリバー」の死体が最高です。

でも、ちゃんとと犯人もわかるし、この作品の中では事件の謎も解けるので、観客にとってはありがたいことでした。

フラガール

2006-10-19 17:41:48 | 映画ー劇場鑑賞
2006年 日本 李相日監督 ジェイク・シマブクロ音楽 松雪泰子 、豊川悦司 、蒼井優 、山崎静代 、池津祥子 、徳永えり 、三宅弘城 、寺島進 、志賀勝 、高橋克実 、岸部一徳 、富司純子

【解説】
昭和40年代、福島県の炭鉱町に誕生した常磐ハワイアンセンターにまつわる実話を基に、フラダンスショーを成功させるために奮闘する人々の姿を描いた感動ドラマ。『69 sixty nine』の李相日監督がメガホンをとり、石炭から石油へと激動する時代を駆け抜けた人々の輝きをダンスを通じて活写する。主演の松雪泰子をはじめ、『花とアリス』の蒼井優や南海キャンディーズのしずちゃんこと山崎静代らが魅惑的なフラダンスを披露する。

【あらすじ】
時代の波で閉鎖に追い込まれた、とある炭坑の村では、危機的な状況の中、炭坑で働く人々はツルハシを捨て、北国の寒村を“常夏の楽園”に変えようと立ち上がった。村の少女たちは腰みのをつけ、肌もあらわにハワイアンムード満点のフラダンスを踊りはじめるのだが……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
私は常磐ハワイアンセンターの存在すら知りませんでした。
この映画、アカデミー賞の外国語映画部門にエントリーされたことは知っていましたが、根性もの、感動ものという先入観で、ちょっと腰が引けていました。
結局、中身はそうなんですが、見て良かったと思いました。

まず、昭和40年の東北の炭坑の町に、温泉熱を利用してということがあったとしても、ハワイアンをやろうと思った人の発想がすごいと思いました。
普通の頭では考えないでしょう。
映画は、その辺のことを描いていないし、言い出しっぺの側の人が、岸部一徳の部長くらいしか登場しなかったので、謎のままでした。
ちょっと残念だなあ。

とにかく、この計画が始まって、後戻りできないところまでいったところで、踊り子募集という段取りのようでした。
落ちぶれたダンサーの松雪泰子が、最初から渾身の演技で引きつけました。
トヨエツとの絡みもよかったし、彼女が踊るシーンは感動しました。

さなえちゃんのエピソードでは泣かされました。
着ているものもボロボロで、昭和40年でもこんなに貧しかったんですね。

先生がこの町を去るシーンでも泣いてしまいましたが、別れのシーンを2回使って泣かすのは、姑息じゃないかなあと言う気もしました。

南海キャンディーズのしーちゃんも、意外に(失礼)がんばっていました。

気になったのは、ヤシの木のエピソード。
あれは、このお話よりもっと以前の話ではないでしょうか。
明日オープンというなら、温泉熱のことは解決済みでは?
お客さんに来てもらえないでしょう。

娘のために主義を覆すお母さん、あれは富司純子さんだからあれだけの説得力が持てたのでしょうね。

圧巻は蒼井優のハワイアンダンスでしょう。
彼女は「花とアリス」ではバレエを披露していましたが、今回は重心の取り方も違うハワイアンに挑戦。
よかったです。拍手。

李相日監督、「69 sixty nine」もお気に入りですが、なかなか侮れなくなってきました。
ジェイク・シマブクロの演奏も、よかったです。



永遠(とわ)の語らい

2006-10-19 17:30:26 | 映画ーDVD
2003年 ポルトガル/フランス/イタリア マノエル・デ・オリヴェイラ監督 レオノール・シルヴェイラ 、フィリッパ・ド・アルメイダ 、ジョン・マルコヴィッチ 、カトリーヌ・ドヌーヴ 、ステファニア・サンドレッリ 、イレーネ・パパス 、ルイス・ミゲル・シントラ

【解説】
現役監督として最高齢、95歳のポルトガルの巨匠、マノエル・ド・オリヴェイラによる、地中海文明散策の旅。彼の人生観が、ギリシャやエジプトなどの歴史的観光地の美しい映像を通して語られる。優雅な航海のキャストには、フランスを代表する女優カトリーヌ・ドヌーヴや、『マルコヴィッチの穴』のジョン・マルコヴィッチら豪華スターが勢ぞろい。9.11の事件をオリヴェイラ風にアレンジした、思いがけぬラストに洋注目。

【あらすじ】
7歳のマリア=ジョアナ(フィリパ・ド・アルメイダ)は、母のローザ=マリア(レオノール・シルヴェイラ)と、ボンベイにいる父親に会うために地中海を巡る船旅に出る。2人旅の途中でいろいろな人と出会い……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
オキサトシさんからお薦めの1本。
なんの予備知識もいれずに見てください、と言うことなので何も考えずに見始めました。

のんびりとした始まり。
私も、主人公の母娘と一緒に、地中海クルーズを楽しんでいるようなゆったりとした気分で、映画を楽しんでいました。
さすがに、主人公がポルトガルの歴史専門の学者だけあって、幼い娘の無邪気な質問に、とても的確に答えていきます。
いい母親です。
うちの子にもこんな風に教えて上げたかったなあ。

ポルトガルを出発して、フランス・マルセイユ、イタリア・ナポリ、ギリシャ・アクロポリスの丘な他、トルコ・聖ソフィア大聖堂、エジプト・ピラミッド、そして紅海を経てイエメン・アデン。
私はまだ、このうちのどこへも行ったことがありませんが、有名な都市ばかり。
幼いマリア=ジョアナと一緒に、空間の移動だけでなく、時間の移動も経験するような素晴らしい旅です。

旅の途中で出会う人々は、みんな温かく親切。
私が一番興味を持ったのは、旧約聖書のお話。
エイブラハムには愛人がいて、その人が生んだ子供がアラブ人の祖先で、正妻の生んだ息子がヨーロッパ人の祖先だという。
もうひとつ、モーゼはユダヤ人の捨て子で、アラブ人に育てられたと言う話。
前々から、大天使ガブリエルがキリストにもマホメットにも預言をしたということを聞いて、イスラム教徒キリスト教は本当はとても近い関係なのではないかと思っていたけど、これほどとは。
それはそうですね、こんなに地理的にも近いのですから、仲良くなったり、戦争したりの繰り返しが続いているわけですね。
でも、この話は始めて聞きました。
アラブ人もヨーロッパ人も認めたくないお話なのかも知れませんね。
中東で起きていることは、骨肉という表現がぴったりじゃありませんか。
この旅は、ヨーロッパの戦争の歴史をたどる旅でもありました。

船の中では船長のゲストたちがそれぞれの国の言葉でおしゃべりを楽しみながらディナーを楽しんでいます。
メンバーは、アメリカ人の船長(ジョン・マルコヴィッチ)、実業家のフランス人デルフィーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)、元モデルのイタリア人フランチェスカ(ステファニア・サンドレッリ)、舞台を愛する女優であり歌手でもあるギリシャ人のヘレナ(イレーネ・パパス)。
異なる国籍を持つ3人の女性とひとりの男性が楽しく人生を語り合っていました。
このシーンは、いろんなことを教えられ、考えさせられるシーンでした。
文明について、言語について、政治について。
男と女ってどうなの。結婚って?
十分に経験を積んだ女たちが、ユーモアを交えながらも辛辣に社会を切っていきます。
とっても、爽快。
この中に、東洋人が入ったらどういう会話になるのかしら、などと思いながら私も楽しく聞いていました。
長い歴史を積み重ねた、人類の英知に満ちた会話でした。

次の日、デルフィーヌ親子はこの席に招かれ、マリア=ジョアナは船長からアラビア風の人形をプレゼントされ、大喜び。
歌手であるヘレナは船長からリクエストされて静かに歌い始めました。
うっとり聞き入る乗客たち。

それなのに、結末は、意外というにはあまりに不幸な結末でした。
これが、9.11へのオリベィラ風のメッセージなんですね。

いろんなことを考えなくては!!
ここからが、始まり。
いままでの人類の歴史を台無しにしないように、みんなで、しっかり、考えなくちゃ。