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●科学技術ニュース●宇宙における固体材料の燃焼性試験方法に関するJAXAなどの日本発国際標準が正式に発行

2021-04-28 09:36:32 |    宇宙・地球

 国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」で行われる宇宙実験FLAREテーマにおけるこれまでの地上研究成果を基に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、日本プラスチック工業連盟、北海道大学、岐阜大学等と協力して開発を進めてきた固体材料の燃焼性試験方法に関する国際規格が、国際標準化機構(ISO)の国際標準規格ISO4589-4として正式に発行された。

 ISO4589-4は、プラスチックなどの固体材料の燃焼特性を示す定量的指標の一つとして国内外で広く利用されている酸素指数(OI)を、高流速の酸素/窒素混合ガス中での値(HOI)として得るための試験方法として、世界で初めて国際標準化したもの。

 HOIを得るための試験方法のISO標準化は、FLAREテーマで開発を進めている、「微小重力環境における固体材料の燃焼性評価手法」において、今後、国際的に活用するために必要な基盤整備を実現したという点で、大きな意義を持つ。

 現在、ISSプログラムにおける有人宇宙船では、船内火災に対する安全性確保のため、使用する材料について、米国航空宇宙局(NASA)の材料燃焼試験基準(NASA-STD-6001)が適用されている。しかし、これは1998年に制定された基準であり、今後の月面等への有人宇宙探査や、民間ベースでの有人宇宙船開発の拡大を見据えると、宇宙船内環境の多様化、新規材料の採用、低コスト化、開発効率化などへの対応が課題となっている。

 FLAREテーマでは、これらの課題への対処を図り、新たな評価手法確立に向けて、これまで地上研究、地上試験及び航空機の放物線飛行による低重力実験を通じて、予備的な検証を進めてきた。今後は、ISS長期滞在中の野口聡一宇宙飛行士により「きぼう」に設置された、固体燃焼実験装置(SCEM)による宇宙実験において、妥当性等の最終検証を進めていく。併せて、NASAを含む国際間の調整を通じ、今後の有人宇宙探査を含む活動への適用を目指す。(宇宙航空研究開発機構<JAXA>)


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