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●科学技術ニュース●理研、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)メインプロテアーゼの分子動力学シミュレーションデータを公開

2020-03-27 09:26:18 |    生物・医学

 理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター計算分子設計研究チームの小松輝久研究員、小山洋平研究員、沖本憲明上級研究員、森本元太郎技師、大野洋介上級技師、泰地真弘人チームリーダーの研究チームは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスである「SARS-CoV-2」のメインプロテアーゼの10マイクロ秒間(1マイクロ秒は100万分の1秒)にわたる構造動態を、分子動力学(MD)シミュレーション専用計算機「MDGRAPE-4A」を用いてシミュレートした。

 そして、その生データを世界の創薬研究者に自由に利用してもらうため、リポジトリMendeley Dataにて3月17日に公開した。

 同データは、ウイルス増殖に必須であるプロテアーゼ活性を効率よく阻害する阻害薬の開発、候補分子のスクリーニングなどに役立つと期待できる。

 今回、同研究チームは、最近報告されたSARS-CoV-2メインプロテアーゼのX線結晶解析データをもとに、水溶液中でのプロテアーゼ2量体の構造動態をMDGRAPE-4Aでシミュレートした。

 現在、SARS-CoV-2メインプロテアーゼに結合する分子のいくつかが抗ウイルス薬の候補として挙げられており、その複合体のX線結晶解析も行われている。実際に創薬が実現するまでには、まだ距離があり、多くの研究プロセスが必要だが、今回公開したMDシミュレーションデータを用いて候補分子とメインプロテアーゼとの結合の強さを予測するなど、国内外の創薬研究の速やかな進展に寄与すると期待できる。

 今後、同研究チームは、SARS-CoV-2 メインプロテアーゼのシミュレーションを続け、薬候補分子結合状態でのシミュレーションや、類似プロテアーゼ、SARS-CoV-2中にコードされる他の潜在的創薬ターゲットタンパクのシミュレーションなどを幅広く検討していく予定。(「理化学研究所」ウェブサイトより)


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