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●科学技術ニュース●理研など、天然物生合成において天然の酵素がルイス酸触媒を用いて[4+2]環化付加反応を行う最初の例を発見

2024-08-27 09:44:58 |    生物・医学
 理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター 天然物生合成研究ユニットの高橋 俊二 ユニットリーダー、テイ・ウ 基礎科学特別研究員、坂井 克行 特別研究員、静岡県立大学 薬学部の滝田 良 教授(東京大学 大学院薬学系研究科 准教授(研究開始当時)、理研 環境資源科学研究センター 天然物生合成研究ユニット 客員研究員)、大阪大学 蛋白質研究所の栗栖 源嗣 教授、宮ノ入 洋平 准教授らの共同研究グループは、天然物の生合成において、鉄硫黄タンパク質(Fe-Sタンパク質)がルイス酸(Lewis acid)触媒として機能し、[4+2]環化付加反応(ディールス・アルダー反応)を促進することを発見した。

 同共同研究グループは、放線菌の二次代謝産物である「ヴァーティシラクタム(verticilactam:VTL)の生合成において、水酸化反応を触媒するシトクロムP450(VtlG)と、[4+2]環化付加反応を触媒する酵素(VtlF)を同定した。

 さらに、生化学実験と理論計算を効果的に組み合わせることで、酵素分子内の鉄硫黄クラスターが[4+2]環化付加反応を効率的に促進することも明らかにした。

 同研究成果は、天然物生合成において、天然の酵素が、ルイス酸触媒を用いて[4+2]環化付加反応を行う最初の例になりる。

 鉄硫黄クラスターを有し、電子伝達体として知られるタンパク質が、多様な[4+2]環化付加反応の設計のための有望な出発点となることが期待できる。

 同研究成果は、複雑な構造を持つ天然物の生合成経路において、[4+2]環化付加反応をルイス酸触媒として触媒する天然由来の酵素の最初の例になる。

 発見以来、電子伝達体として知られているFdが、今後は、多様な有機ルイス酸触媒の設計のための有望な出発点となると期待できる。

 同研究成果は、国際連合が定めた17項目の「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち「3.すべての人に健康と福祉を」に大きく貢献するもの。<理化学研究所(理研)>
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