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●科学技術ニュース●京都大学など、微小管への引張応力がダイニンの物質輸送に与える影響を解明

2024-10-01 09:34:35 |    生物・医学
 京都大学大学院理学研究科の日本学術振興会特別研究員であるナスリン サエダ・ルバイヤ博士、同大学院理学研究科の角五彰教授らの研究グループは、星薬科大学薬学部、東京大学先端科学技術研究センターの山下雄史准教授、横浜市立大学大学院生命医科学研究科の池口満徳教授、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT:エヌアイシーティー)の鳥澤嵩征研究員(現 国立遺伝学研究所)と大岩和弘主管研究員と共同で、微小管に引張応力を与えた際のモータータンパク質による物質輸送速度の変化について研究を行った。

 同研究は、独自開発した伸展機構を介し、微小管に定量的な引張応力を加え、ダイニンモーターによる物質輸送を観察した。

 高度な蛍光顕微鏡イメージング技術と定量的に引張応力を与える技術を使用し、シリコーンゴム基板上で引張応力を微小管に加えた。

 一定以下の引張応力下では、ダイニンの物質輸送速度の向上を示すが、一定以上の引張応力では、輸送速度が減少することが示された。

 このことは微小管の変形やダイニンと微小管の相互作用の変化が輸送速度の変化を引き起こすことを示唆している。

 これらの発見は、細胞内の力と分子モーターの相互作用に関する新たな知見をもたらし、細胞内物質輸送を維持する上での微小管の力学特性の重要性を浮き彫りにしている。

 同研究は、細胞内輸送メカニズムの重要な側面、具体的には、微小管への引張応力がダイニンの物質輸送に与える影響を解明した。

 微小管に与えられる引張応力が細胞内物質輸送へ与える影響を理解することで、微小管への力学的ストレスを要因とする外傷性脳損傷や微小管の変形が関連するハンチントン病やパーキンソン病などの神経疾患研究への波及が期待されている。

 例えば、同研究が細胞内物質輸送の欠陥に由来する神経疾患の治療法開発のフレームワークとなることも期待される。

 今後、同研究グループは、反復的に応力を加えることで微小管におよぼす影響と、その結果として微小管の機能がどのように変化するかの調査を予定している。<情報通信研究機構(NICT)>
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