●科学技術ニュース●丸紅と富山地鉄、顔認証決済の実現に向けた実証実験を開始

　丸紅と富山地方鉄道（富山地鉄）は、富山地鉄が運行する黒部市内路線バスの生地循環線において、顔認証技術とアプリ型プリペイドカードを連携させた顔認証決済の実証実験を2023年6月1日より開始した。

　丸紅は、昨今の非接触型・キャッシュレス社会への移行をきっかけに、著しい精度向上が見られる顔認証技術と決済機能を繋げることで、様々な社会課題の解決を目指している。また、利用者の利便性の向上に寄与すべく、顔認証決済の技術開発を進めており、2023年5月10日には、長野県においても実証実験を開始した。

　富山地鉄は、「公共交通の利用促進に寄与するサービスレベルの向上」という目標を掲げており、その実現に向けて丸紅と連携し、同実証を実施することとなった。同実証では、顔認証による運賃決済システムの実用性の検証や、ICカード乗車券・クレジット非接触決済等の他の決済手段と比較を行い、どのような利点・欠点があるのかを見極め、今後の利便性向上に繋げる。

　これまで丸紅では、顔認証技術によるスタジアムへの入場管理や大学での出席管理等の実証実験を実施し、高い精度が保持できていることを確認してきた。

　同実証では、富山地鉄が運行する路線バスの定額運賃区間にて、事前に顔登録をした利用者の顔を判別・認証し、その後、自動で個人のアプリ型プリペイドカードから引き落としを行う形で、決済との連携が正常に動作することを確認する。

　今回の実証実験を踏まえて、公共交通機関や利用者の手ぶらニーズが高い分野において、顔認証決済の早期事業化を目指しす。

　また、丸紅は、信州大学、富山大学、金沢大学が3大学協働で取り組むプログラムである「ENGINE」と連携し、「地域における交通課題」をテーマに、顔認証技術の実体験や、デジタル技術を活用した課題解決と新しい価値の創造についてワークショップを開催するなど、産学連携の取り組みも実施する。＜丸紅＞