“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「深海世界」(スーザン・ケイシー著/亜紀書房)

2024-07-30 09:33:58 |    宇宙・地球



<新刊情報>



書名:深海世界~海底1万メートルの帝国~

著者:スーザン・ケイシー

訳者:棚橋志行

発行:亜紀書房

 足もとに秘められた宇宙、それが超深海の世界。大航海時代の宝物、沈没した豪華客船、熱水噴出孔、スネイルフィッシュ、ダイオウイカ、ジュウモンジダコ、ソコダラ、カットスロート・イール、有茎ウミユリ……。静かなる闇に息づくその圧倒的な時の流れと生命の輝き。地球を支えるマザーボードの営みに極限まで肉薄した比類なき科学ノンフィクション。【著者】スーザン・ケイシー(Susan Casey) 1962年カナダ生まれ。作家、編集者。オプラ・ウィンフリー率いる腕利きの編集者たちが発信する女性総合誌「オー! ジ・オプラ・マガジン」や「スポーツイラストレイテッド・ウーマン」で編集長を務める。優れた雑誌ジャーナリズムに与えられるNational Magazine Award受賞。水中世界ジャーナリストの第一人者として、米カリフォルニア州の国立海洋保護区に生息するサメに関する『The Devil’s Teeth(悪魔の歯)』や「ニューヨーク・タイムズ」ベストセラーの『Voices in The Ocean: The Journey into The Wild and Haunting World of Dolphins(海の声)』などの著書を持つ。「エスクァイア」「フォーチュン」「ナショナル ジオグラフィック」他多数メディアにて執筆。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「コンピュータでとく数学」(矢吹太朗著/オーム社)

2024-07-30 09:33:29 |    数学



<新刊情報>



書名:コンピュータでとく数学~データサイエンスのための統計・微分積分・線形代数~

著者:矢吹太朗

発行:オーム社

 Wolfram|Alpha、Python、R、Mathematicaをフル活用して、大学教養レベルの統計、微分積分、線形代数の全体像を把握する。学び直しにも最適な一冊。同書の具体的な目標は、線形回帰分析を理解すること。そのために必要な微分積分と線形代数も学ぶ。微分積分は多変数の微分積分まで、線形代数は特異値分解まで。これで、大学教養レベルの数学はほぼ網羅できる。すべてが線形回帰分析につながるので、何の役に立つのかと疑うことはない。面倒な計算はコンピュータにまかせるので、計算に迷い込んでしまうこともない。線形回帰分析はデータサイエンス(人工知能・機械学習)の出発点。同書を読んで、データサイエンスにおいて必要とされる数学力とプログラミング力を身に付けよう。大学教養レベルの数学の全体像の把握、学び直しにも最適な一冊。
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●科学技術ニュース●横浜国立大学と産総研、ハイドレートの最後の基本構造を発見

2024-07-30 09:32:38 |    宇宙・地球
 横浜国立大学大学院工学研究院の室町実大准教授(研究当時:産業技術総合研究所主任研究員)、産業技術総合研究所の竹谷敏上級主任研究員らの研究グループは、メタンハイドレートなどとして知られる包接水和物(ハイドレート)の最後の基本構造を発見した。

 ハイドレートの三つの基本構造のうちの一つであるHexagonal構造は、幾何学的に配置することは可能であるものの熱力学的には不安定であり、これまで実際に創り出すことができていなかった。

 今回、この構造の不安定化してしまう部分にフィットする物質を合成し、これを用いて構造を安定化させることに成功した。

 この新しい構造は、メタンと二酸化炭素ガスのガス包蔵量が従来のHexagonal派生構造と比べて高く、ハイドレートを利用したガスの貯蔵・輸送技術や二酸化炭素の分離・回収技術の実用化につながるものと期待される。

 また、ハイドレートだけでなく他の包接化合物についても、今回開発した手法を応用した新たな材料創成が期待される。

 今回得られたHS-I構造は従来の派生構造に比べてガス包蔵量が高く、ハイドレートを利用した天然ガスや合成燃料の貯蔵・輸送技術および二酸化炭素の分離・回収技術への応用が期待される。

 また、今回の発見によりハイドレートの三つの基本構造のすべてを創り出すことができたため、今後はこれらの混合相を創成する新たな材料開発を行っていく。

 また、今回の発見によりハイドレートのみならずその他の包接化合物における課題解決手法も示され、パワーデバイスや高強度材料などの新たな材料創成につながる基盤技術になると期待される。<産業技術総合研究所(産総研)>
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●科学技術ニュース●JAXA、小型技術刷新衛星研究開発プログラムにおいてQPS研究所を選定し共同研究契約を締結  

2024-07-30 09:32:01 |    宇宙・地球
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、宇宙基本計画工程表に示された「小型・超小型衛星によるアジャイル開発・実証を行う技術刷新衛星プログラム」として、「小型技術刷新衛星研究開発プログラム」を現在推進しているが、2023年12月に共同研究提案要請を行い、契約相手方として、株式会社QPS研究所を選定し、今回、共同研究契約を締結した。

 JAXAが研究開発を進めている高性能オンボードコンピューティング環境(従来の宇宙機用コンピューティング環境の約40倍の能力を持ち、地上用の汎用計算機で開発したソフトウェアを軌道上でそのままインストールして実行できる環境およびソフトウェアのバージョンアップや異なるソフトウェアの追加を容易に行うことが出来る環境)及びオンボード高精度単独測位(PPP:Precise Point Positioning)技術を事業者が保有する衛星に搭載し、軌道上での技術実証を行うとともに、事業者と協力して同技術を活用した新たなサービス構想を実証する。

 今回の共同研究では、軌道上(オンボード)で高分解能の衛星画像処理を行うための高性能な計算機と高精度に衛星軌道位置情報を得る高精度単独測位(PPP)技術を組み合わせ、オンボードPPPアルゴリズムの成熟度をアジャイルに向上するため、オンボードで実験した結果を分析し、より良いアルゴリズムになるよう積極的に書き換える技術実証を行う。

 軌道上での実証結果を踏まえてオンボードPPPアルゴリズムを書き換える実証サイクルにより、従来の地上で開発して宇宙で実証する研究・宇宙実証サイクルよりも圧倒的に早くアルゴリズムの技術成熟度向上を目指す。

 オンボードPPP技術の成果は、地球観測衛星ユーザへの画像データ提供時間の短縮や衛星画像の精度向上、宇宙天気予報の高度化や上層大気観測への貢献等が期待される。

 今後、軌道上での技術実証に向けた技術調整を進める。また、刷新プログラムでは引き続き、新たな衛星利用サービスの実現に向けた研究開発・実証を推進していく。

 オンボード高精度単独測位(PPP:Precise Point Positioning)技術とは、測位衛星から放送される2周波の測位信号と、準天頂衛星から放送されるMADOCA(Multi-GNSS ADvanced Orbit and Clock Augmentation:高精度測位補正技術)補正情報を使用して、軌道上でリアルタイムにセンチメートル級の衛星軌道位置推定を行うことができる技術。MADOCA補正情報を使用しない場合に軌道上で実現できるリアルタイム衛星軌道位置推定精度は、数メートル~十数メートル程度。<宇宙航空研究開発機構(JAXA)>
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