“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「サステナビリティ・ガバナンス改革」(内ヶ崎茂、川本裕子、渋谷高弘著/日本経済新聞出版社)

2021-12-15 09:36:04 |    企業経営



<新刊情報>



書名:サステナビリティ・ガバナンス改革

書名:内ヶ崎茂、川本裕子、渋谷高弘

発行:日本経済新聞出版社

 業種や領域を問わず「サステナビリティへのまなざしあるビジネス」が求められる時代。コーポレートガバナンスも例外ではない。多様なステークホルダーとの協働のもと、持続的な企業価値向上に向けて社会的責任を重視したサステナビリティ経営や、それを独立取締役や取締役会が監督するサステナビリティ・ガバナンスの重要性が高まっている。一方で、取締役会として何を決定し、どう発信していけばいいのか、きちんとした知見をもつ企業は少なく、試行錯誤の状態が続いている。同書はこうしたニーズに応え、「サステナビリティ×ガバナンス」を構築する意味と実践手法を解説する。
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●科学技術ニュース●清水建設、大分県内に低コスト・グリーン水素製造実証プラントの建設に着手

2021-12-15 09:35:07 |    ★水素ニュース★
 清水建設はこのほど、大分県玖珠郡九重町において、地熱とバイオマス資源を活用した世界初の低コスト・グリーン水素製造技術を適用した実証プラントの建設に着手した。この製造技術は、市川事務所、エネサイクル、大日機械工業、ハイドロネクストと共同開発したもの。

 この技術の特長は、国内に豊富に存在する地熱とバイオマス資源を活用することで、製造時のCO2排出量を市販水素の1/10以下に、かつ製造コストを太陽光などの再生可能エネルギーを活用した水電解水素の1/3以下に相当する24~38円/m3(Nm3-H2)に低減できること。

 水素は、利用時にCO2を排出しないクリーンなエネルギー源であり、脱炭素社会に向け低コストで大規模なグリーン水素製造技術の開発が求められている。すでに水素が市販されているが、製造過程においてLNGなどの化石燃料を改質して相当量のCO2を排出するため、グリーンではなくグレー水素と呼ばれている。一方、再生可能エネルギーによる水分解で水素を製造する技術が開発されているが、依然、製造過程において相当量のCO2の排出を伴い、かつ製造コストが高止まりしている。

 こうした課題を一挙に解決するのが低コスト・グリーン水素製造技術。この技術を適用したプラントは、木質チップの炭化炉、炭化物をガス化する改質反応器、水素精製装置から構成される。

 水素の製造プロセスは、初めに炭化炉に投入した木材チップを蒸し焼き状態にして炭化物(C)を生成させる。次に炭化物を改質反応器に投入して水蒸気を加え、炉の中を800℃超の高温にすることで炭化物と水蒸気を化学反応させ、改質ガスと呼ぶH2、CO、CO2、水蒸気を含む混合ガスを生成させる。

 この改質ガスを再び高温で化学反応させてH2の含有量を高めた後、PSAガス精製装置と金属膜水素分離装置で燃料電池用グリーン水素(純度99.999%以上)を抽出・製造する。

 このプラントでは、水素製造の過程で生成する1,070℃の高温ガスを熱源とし電力使用量を抑制していること、余剰となる高温排熱(ガス)を地熱発電用水蒸気の追い炊き熱源として売熱できることから、水素製造コストを大幅に低減できる。高温ガスは、炭化炉で副生する燃料ガスやタールを空気燃焼させることで生成されるもの。

 同実証プラントは、「令和2年度環境省CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の対象になっており、清水建設が環境省から助成金を得て建設するもので、水素製造能力は50Nm3/h。実証プラントは2022年3月末に竣工し、3ヶ月の試験運転期間を経て7月からプラントの性能検証を実施する。具体的には多様な木質チップを利用できること、製造過程においてCO2を発生させないこと、水素製造コストを検証し、2023年3月に環境省に検証結果を報告する。<清水建設>
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●科学技術ニュース●神戸大学 と大阪大学、さまざまなデータから隠れた物理法則を見つける人工知能技術の開発に成功

2021-12-15 09:34:37 |    人工知能(AI)
 神戸大学 大学院システム情報学研究科の谷口 隆晴 准教授、博士後期課程学生の陳 鈺涵さんと、大阪大学 大学院基礎工学研究科の松原 崇 准教授らの研究グループは、一般の観測データから、データに隠された運動方程式を抽出することで、物理学に忠実なモデルを作成する人工知能技術の開発に成功した。

 今後、この技術により、これまで力学の理論で説明できないと考えられていた現象に対して、隠された運動方程式を発見できるかもしれず、例えば、生態系の持続可能性の検討に物理学の知見や物理シミュレーションが応用できる可能性がある。

 人工知能を用いて物理現象のモデル化(数式化)が可能となれば、シミュレーションの高精度化・高速化につながる。

 今までの人工知能を用いた方法では、運動方程式に従うようにデータを変形して与える必要があり、運動方程式が未知であるような実際の観測データに適用することが困難であった。

 同研究では、幾何学を応用することで、どのような形式で観測データが与えられても、そこに隠された運動方程式を見つけ、それに従ったモデル化ができる人工知能技術を開発した。

 生態系の変化など、従来、ニュートン力学の対象ではないと思われていた現象に対して、隠された物理法則を発見できる可能性がある。

 そのような現象に対して、物理学の理論を応用した考察やシミュレーションが行えるようになり、未知の性質が解明される可能性がある。<科学技術振興機構(JST)>




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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「コンピュータビジョン最前線 Winter 2021」(井尻 善久、牛久 祥孝、片岡 裕雄、藤吉 弘亘編/共立出版)

2021-12-15 09:34:08 |    情報工学



<新刊情報>



書名:コンピュータビジョン最前線 Winter 2021

編者:井尻 善久、牛久 祥孝、片岡 裕雄、藤吉 弘亘

発行:共立出版

 コンピュータビジョン研究の最先端をゆくトップランナーたちが織り成す季刊シリーズ創刊。cvpaper.challengeおよびCVIM研究会全面協力のもと、最新トレンドのサーベイ、いま注目の最重要論文深読み、肝となる技術や理論のチュートリアルの3本柱で、実用性・信頼性のある最先端情報を、毎号ディープに解説。創刊号のWinter 2021では、まず最新トレンドサーベイ記事「イマドキノCV」で近年のコンピュータビジョン分野において最重要と位置付けられる「データラベルの利活用」や「認識モデルの構築」を扱う。次に論文「フカヨミ」記事を3本掲載し、それぞれ、新規視点画像生成分野で2020年に登場したNeRF、画像処理分野の基本タスクである物体検出技術、いま最も伸びている3D認識アプローチのカテゴリレベル姿勢推定について取り上げる。最後に、チュートリアル記事「ニュウモンVision & Language」で、深層学習の発展とともに盛り上がりを増しているVision & Language(V&L)分野の概要と、現在どのような深層学習手法とその関連手法が使われているかを中心に詳しく紹介。
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