清水建設はこのほど、大分県玖珠郡九重町において、地熱とバイオマス資源を活用した世界初の低コスト・グリーン水素製造技術を適用した実証プラントの建設に着手した。この製造技術は、市川事務所、エネサイクル、大日機械工業、ハイドロネクストと共同開発したもの。
この技術の特長は、国内に豊富に存在する地熱とバイオマス資源を活用することで、製造時のCO2排出量を市販水素の1/10以下に、かつ製造コストを太陽光などの再生可能エネルギーを活用した水電解水素の1/3以下に相当する24~38円/m3(Nm3-H2)に低減できること。
水素は、利用時にCO2を排出しないクリーンなエネルギー源であり、脱炭素社会に向け低コストで大規模なグリーン水素製造技術の開発が求められている。すでに水素が市販されているが、製造過程においてLNGなどの化石燃料を改質して相当量のCO2を排出するため、グリーンではなくグレー水素と呼ばれている。一方、再生可能エネルギーによる水分解で水素を製造する技術が開発されているが、依然、製造過程において相当量のCO2の排出を伴い、かつ製造コストが高止まりしている。
こうした課題を一挙に解決するのが低コスト・グリーン水素製造技術。この技術を適用したプラントは、木質チップの炭化炉、炭化物をガス化する改質反応器、水素精製装置から構成される。
水素の製造プロセスは、初めに炭化炉に投入した木材チップを蒸し焼き状態にして炭化物(C)を生成させる。次に炭化物を改質反応器に投入して水蒸気を加え、炉の中を800℃超の高温にすることで炭化物と水蒸気を化学反応させ、改質ガスと呼ぶH2、CO、CO2、水蒸気を含む混合ガスを生成させる。
この改質ガスを再び高温で化学反応させてH2の含有量を高めた後、PSAガス精製装置と金属膜水素分離装置で燃料電池用グリーン水素(純度99.999%以上)を抽出・製造する。
このプラントでは、水素製造の過程で生成する1,070℃の高温ガスを熱源とし電力使用量を抑制していること、余剰となる高温排熱(ガス)を地熱発電用水蒸気の追い炊き熱源として売熱できることから、水素製造コストを大幅に低減できる。高温ガスは、炭化炉で副生する燃料ガスやタールを空気燃焼させることで生成されるもの。
同実証プラントは、「令和2年度環境省CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の対象になっており、清水建設が環境省から助成金を得て建設するもので、水素製造能力は50Nm3/h。実証プラントは2022年3月末に竣工し、3ヶ月の試験運転期間を経て7月からプラントの性能検証を実施する。具体的には多様な木質チップを利用できること、製造過程においてCO2を発生させないこと、水素製造コストを検証し、2023年3月に環境省に検証結果を報告する。<清水建設>
水素は、利用時にCO2を排出しないクリーンなエネルギー源であり、脱炭素社会に向け低コストで大規模なグリーン水素製造技術の開発が求められている。すでに水素が市販されているが、製造過程においてLNGなどの化石燃料を改質して相当量のCO2を排出するため、グリーンではなくグレー水素と呼ばれている。一方、再生可能エネルギーによる水分解で水素を製造する技術が開発されているが、依然、製造過程において相当量のCO2の排出を伴い、かつ製造コストが高止まりしている。
こうした課題を一挙に解決するのが低コスト・グリーン水素製造技術。この技術を適用したプラントは、木質チップの炭化炉、炭化物をガス化する改質反応器、水素精製装置から構成される。
水素の製造プロセスは、初めに炭化炉に投入した木材チップを蒸し焼き状態にして炭化物(C)を生成させる。次に炭化物を改質反応器に投入して水蒸気を加え、炉の中を800℃超の高温にすることで炭化物と水蒸気を化学反応させ、改質ガスと呼ぶH2、CO、CO2、水蒸気を含む混合ガスを生成させる。
この改質ガスを再び高温で化学反応させてH2の含有量を高めた後、PSAガス精製装置と金属膜水素分離装置で燃料電池用グリーン水素(純度99.999%以上)を抽出・製造する。
このプラントでは、水素製造の過程で生成する1,070℃の高温ガスを熱源とし電力使用量を抑制していること、余剰となる高温排熱(ガス)を地熱発電用水蒸気の追い炊き熱源として売熱できることから、水素製造コストを大幅に低減できる。高温ガスは、炭化炉で副生する燃料ガスやタールを空気燃焼させることで生成されるもの。
同実証プラントは、「令和2年度環境省CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の対象になっており、清水建設が環境省から助成金を得て建設するもので、水素製造能力は50Nm3/h。実証プラントは2022年3月末に竣工し、3ヶ月の試験運転期間を経て7月からプラントの性能検証を実施する。具体的には多様な木質チップを利用できること、製造過程においてCO2を発生させないこと、水素製造コストを検証し、2023年3月に環境省に検証結果を報告する。<清水建設>