仙太の「雑杷ひとからげ」

「工房仙太」の新作紹介及び日々の雑想を連ねています。(ショップ http://k-senta.com/)

特大スプーン

2022年10月17日 20時55分56秒 | オーダーもの
今年5月の作品です。

HPを探し当ててくれたお客様からお電話をいただきました。
「今月末に結婚式を控えている。披露宴で長さ1mくらいの木製のスプーンを使いたいのだが作ってもらえないだろうか?」といった内容でした。

新婦がウェディングケーキを新郎に食べさせるファーストバイトに使われるとのこと。なるほど!と思わず笑ってしまいましたが、さて作るとなると…。



スプーンは時々頼まれることがあるのでその時はお引き受けしますが、自分から積極的にはやりません。理由は、先のくぼみ部分をきれいに磨くのが大変だから。機械が使えないので手作業でゴシゴシやるしかないのですが、それがどうしても面倒で…。元々研磨作業があまり好きではないのでこういう小さいものだと余計にうんざりしてしまいます。

しかし今回は長さ1m。考えてみればこれならグラインダーもランダムサンダーも使えるではないか!ということに思い至り、快くお引き受けすることにしました。ある意味普通サイズのスプーンよりやり易いかもしれない、と。



桧の端材を何枚か貼り合わせて大まかな形を作り、あとはひたすら削っていく。なかなか楽しい作業でした。口に入るものなので仕上げはオリーブオイルで。
「おかげさまで盛り上がりました!」というご報告もいただきましたが、盛り上がったのはこの企画のおかげであってスプーンはひとつのアイテムに過ぎません。

何はともあれお役に立てて何より。コロナの第6波が収まりを見せた頃で、ようやくいろんなことが元に戻る兆しを感じさせてくれるご注文でもありました。
ありがとうございました!

Y様丸テーブル#4 納品

2022年09月30日 21時35分43秒 | オーダーもの
約半年のブランクです。別に体調を崩していた訳でも家庭に大きなトラブルがあった訳でもありません。(小さなトラブルは数知れずですが)ただただズボラをかましていただけです。一度ズボラの沼にはまってしまったら抜け出すのは容易なことではない。何でもかんでも齢のせいにしてしまってはいけませんが、年々ひどくなっていくような気がします。

久しぶりにブログを開いてみたら背景が真っ白になっていて驚きました。設定画面を見てみると、60日以上ほったらかしにするとテンプレートが無効になる、との説明が。記事を投稿すれば元に戻るらしいのでそれを信じたい。その設定画面もパスワードを入力しないと開かないし、なんだか無断で外泊して帰ってきたときのようにいろいろ敷居が高くなっている。「ここはワシの家やっちゅうねん!」と威勢よく入りたいものですが、やましいところがあるもんだからそれもできず…。徐々に日常を積み重ねて元の生活に戻りたいと思います。

さて、丸テーブルのその後ですが、宅配業者さんからは断られました。「サイズがオーバーしているので普通の扱いはできない。車一台をそれ専属にして届けることもできなくはないが、10万くらいかかるかも…。」とのこと。それはあんまりなのでいろいろ調べてみると引っ越し業者さんに頼むのがよかろう、との記事がありました。なるほど、餅は餅屋ということか。

最近よくCMしている引っ越し侍のサイトで問い合わせると本当に数件の業者さんから見積もりが来ました。たいしたものです。看板に偽りなしです。手続きをしたら大きなトラックでガーッとやって来て粛々と積み込んで滞りなく届けてくれました。しつこいようですがやはり餅は餅屋です。

お客様にも喜んでいただけました。よかったよかった。お写真もありがとうございました!

Y様丸テーブル#3 完成

2022年05月02日 21時51分40秒 | オーダーもの
ようやくできました。直径160㎝、高さ70㎝。桧製。
大変だろうとは思っていましたが予想の2.5倍くらい手間取ってしまいました。ある意味仙太史上1・2を争うほどの大変さだったかもしれない。ということはつまり現時点での仙太の集大成ということも言えるかもしれません。



塗装はウレタンにしました。まだ小さいお子さんがいらっしゃるということだし、毎日ここで食事をされることを考えるとやはりその方が便利だろうと。 とはいえテカテカの艶出しにしてしまうのもイマイチなので艶消し仕上げにしています。
油性のウレタンを塗っては拭き取り塗っては拭き取り…、7~8回重ねました。 自分でいうのもアレですが、あまりしつこくなく、いい感じの艶が出ているのではないかと。



1本脚のテーブルはとかく不安定になりがちです。間違っても天板の縁によりかかるようなことは厳禁というのが普通ですが、これに限っては全く心配ありません。さすがにこれくらい重さがあると抜群の安定感。ひっくり返そうとする方が大変です。

ご依頼主様のご住所は私が自分で持っていけるようなところではないので発送することになります。ということは梱包しないといけません。これがまたなかなか…。


Y様丸テーブル#2 天板完成

2022年03月19日 22時03分55秒 | オーダーもの
天板できました!

直径1,600mmはやはり大きい。そして何より重いです!まずまずいい感じに仕上がったのではないかと。
ここへ至るまでの道のりをくどくどと述べたいと思います。



この天板は幅10cm前後の板16枚を貼り合わせてあります。それぞれの接着面同志を隙間のないように調整してダボで繋いで固定したところ。これまで持っていたポニークランプは1,400mmまでしか使えなかったので新たに1,800mmまで使えるパイプを買いました。



正方形になったものを丸く切りぬいているところ。丸く切るのは普通ジグソーの仕事ですが、5cmの厚みとなるともはや無理なので丸ノコで地道に角を落としていきます。
そしてそこそこ丸くなったものをベルトサンダーでこれまた地道に角を取って丸く仕上げます。

いよいよ脚に取り掛かります。パーツはできていますが工程を考えるとまだまだ先は長い。でも天板ができたらもう峠は越えたも同然。がんばります!


Y様丸テーブル#1 天板はぎ

2022年03月08日 20時42分15秒 | オーダーもの
小屋建てにうつつをぬかしていたら大仕事をいただきました。
「直径1,600mmの1本脚丸テーブル」

以前作ったことがある1,000mmの丸テーブルのデザインを気に入っていただいたお客様からのオーダーですが、1,600mmは何というか…未知の領域で、つまりその…要するに非常に大きいのです。

大きさだけなら1,800×800というのもやったことはありますが、あれは厚みが35mmだったのでまだやりやすかった。1本脚の丸テーブルとなると天板が薄いと恰好がつかないのでやはり50mmくらいは必要であろう。となると重さもかなりなものになります。

1本脚で最も重要なのは安定性です。安定させるためには太くすればいいわけですが、デザイン性の観点ではできる限り細くしたい。どこまで細くしても大丈夫なものか。机上で考えていても埒が明かないのでコンパネで実物大の模型を作ってみました。
まあ形的にはこれでいいとして、問題はこの重い天板を支えることができるかどうかです。それを試すには自分が乗ってみるのがいちばん手っ取り早いと思い、とにかく乗ってみました。体重65kgの私がこのビスで留めただけのヤワな模型に乗ってギシギシやってみても大丈夫だったのでこれはもう大丈夫なはずだ、と結論づけました。



天板。まずは1,600mm四方の正方形を作るところから。なんとかいけそうな気がしてきました。 

ヒノキ2枚重ねテーブル 完成

2021年04月28日 21時39分54秒 | オーダーもの
できました!といっても約2カ月前ですが…。

正直、接ぎ作業の最中には「これ、ちゃんとできるんかな…。」という不安もかなりありました。何しろ初めてやることなので。



幅90㎝となるとけっこうな迫力です。塗装はオイル。



脚をコーナーいっぱいに付けるデザインはお客様のご要望です。これも初めてやりました。脚を中の方に付けたら位置が少々ずれても気になりませんが。コーナーいっぱいに付けると接合部に段差ができてはいけないので誤魔化しがききません。



天板の2枚重ねの接合部もまっすぐに揃えないと恰好がつきません。そこそこ揃ってるかな?

終わってみればなかなか楽しい仕事でした。
ありがとうございました!


桧2枚重ねテーブル #1接ぎ(はぎ)

2021年02月27日 21時52分57秒 | オーダーもの
桧の1,500✖900の座卓の注文をいただきました!それもただの1,500✖900ではありません。分厚い天板がご希望なので、いつもの33mmの板を2枚重ねにすることにしました。



100mm~120mm幅の板を貼り合わせて(この作業を接ぎ(はぎ)といいます。)1枚の天板に仕上げる訳ですが、今回は2枚重ねなので一つ一つの部材が大きい。そして当然ながら重い。



接いでしまったら最後おいそれと動かせる代物ではないので、家の中の使っていない部屋で固定作業をします。



固定完了。ちゃんと平らな天板になりそうでひと安心です。

余談ですが、このように板を木目に平行に貼り合わせて幅を広くすることを「接ぐ」と言いますが、木目方向に結合して長くすることは「継ぐ」(つぐ)と言います。で、継いだり接いだりすることを「継ぎ接ぎ」(つぎはぎ)と言うようになったとのことです。

古代琴

2021年02月12日 21時02分30秒 | オーダーもの
古代琴できました!というか、先月末にできています!

写真上が欅(ケヤキ)、下が栃(トチ)です。全長60cm。膝の上に置いてちょうどいい具合に演奏できるサイズでしょう。右側の出っ張り部分に弦を固定して張る仕組みです。なので欅が5弦で栃が6弦ということです。





裏側は「槽(ふね)」と呼ばれる共鳴箱になっています。



試しにうちにあったタコ糸を張ってみました。ちなみに縄文、弥生時代には絹糸の弦を使っていたらしい。
鳴らしてみるとまあまあそれなりの音は出ました。音を出すには弦はかなりしっかりと張る必要がありますが、張った弦の固定方法が問題。



頼まれていたわけではないですがついでに琴柱も作りました。栃の板の木端で。けっこうそれっぽくできたような気がします。

縄文、弥生時代の遺跡から出土しているとのことですが、この時代から音楽があったというのはすごいことです。しかも打楽器ならともかく弦楽器!中には超絶技巧の凄腕ミュージシャンもいたことでしょう。ちょっと覗いてみたいものです。

ありがとうございました!

古代琴

2020年12月11日 22時33分43秒 | オーダーもの
変な…じゃない。ちょっと変わったご注文をいただきました。

古代琴。始めて聞きましたが、その名のとおり昔の琴らしい。埴輪が抱えているというから古墳時代?弥生時代?まあそのあたりの時代のものらしいです。これを復元してほしいと。



いただいた資料にはかなり詳細な図面も載っていますが、いろんな形や大きさのものが出土しているので決まったものではないとのこと。
「仙太さんがいいと思った感じでやってもらったらいいです♪」というありがたい丸投げをいただきました。

手探りですが、楽しみな仕事です。

囲い付きまな板

2020年11月03日 20時47分18秒 | オーダーもの
ちりとりではありません。まな板です。3方に囲いが付いていて、奥の角には水抜きのための穴が開いています。



私が子どもの頃、この地域でまな板といえばこの形が普通でした。主に野菜用で、切った野菜がこぼれないので便利なのです。魚には魚用のまな板というのがちゃんとあって、それは幅50cm、厚みが3cmくらいの板に下駄のような脚が付いたものでした。時代と共にただの一枚の板で何でもかんでも間に合わせるようになってきたのですが、まあ確かにそんな大きな物を2つも置いていると場所をとって不便であることは間違いなかったのです。

このたびこの昔懐かしいまな板を作ってもらえないかというお話をいただきました。だいたいのイメージは頭にあるものの、私のイメージとお客様のイメージが同じとは限らない。できれば現物を見たいものだと思うのですが我が家にはもう何十年も前から無いので近所の方に聞いてみました。物持ちの良い方はいらっしゃるもので、3番目に聞いた方がなんと新品を保管しておられました!私のイメージよりひとまわり小さいのですが、それは自分が子どもの時の記憶だったためのようです。



総桧で作らせていただきました。3丁のご注文だったのですが、お納めしたら気に入っていただけたようでまた追加で3丁のご注文をいただきました。
ありがとうございました!