kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

慢心が生んだ暴落

2020-03-11 06:12:11 | 日記
今月の世界的な株安での教訓は感染症の影響を軽んじてはいけない
ということです。既に一日の下げ幅だけを比較すれば9日のNY市場
の下げはリーマンショックを越えて過去最高の下落幅を記録しまし
た。

市場が予想していなかった原油急落という悪材料が重なったという
事情があったにせよ過去の事例を引き合いに出し感染症の流行で相
場が一時的に調整しても景気悪化に繋がり市場の本格調整を引き起
こしたことはないという市場筋の慢心です。

警戒していた春節明けの上海市場の下げが限定的ですぐに反発した
ことも強気派を勢いづけました。バブルという表現するまでとは言
わないまでも2月中旬に米国株が高値を付けた水準でのPERは19倍
を超えていました。過去株価がピークを付けて下げた水準です。

FRBの予防的利下げもあり米国経済の好調が続いていたことも19倍
を容認してきました。また米中通商摩擦の影響で中国や日本などの
景気懸念が続き好調な米国経済に世界の投資マネーが引き付けられ
ていたことも米国株を割高な水準に押し上げました。

1ケ月前はNYダウがいつ3万ドルに乗せるかが市場の関心事でした
が現在はどの水準で下げ止まるのかに関心が集まっています。こ
の1ケ月で市場は様変わりしてしまいました。今回の大幅下落で
SARSやMARSの時の数字は参考にならなくなりました。

やはり当時とは中国の経済規模や世界的な人の往来の多さを考えも
っと感染症の影響に注意すべきでした。2003年当時はなかった中国
を中心としたサプライチェーンは複雑でどこにボトルネックがある
のか把握に時間がかかり対策が後手に回ったことも経済への影響を
大きくしました。

中国での感染者の増加ペースが鈍化したことは良いニュースですが
イタリアでの急拡大がフランスやドイツの人口の多い国に広がりま
だその勢いは続いています。そしてこの1週間で米国での感染者も
急激に増加しています。武漢が閉鎖された時や日本でのクルーズ船
での大量感染が欧州や米国ではアジアでの出来事という対岸火事だ
という慢心が原因です。

クルーズ船での日本の対応が海外から批判されていた2月初旬には
このウィルスは水面下で静かに世界に広がっていたようです。事の
深刻度が認識していれば2例目のクルーズ船での集団感染は防げた
でしょう。

投資家は新型コロナウイルスの顛末を検証して今後に生かさなけれ
ばなりません。多数派に属すれば安心という投資家心理はあります。
多くと投資家が強気で株価が上昇している時に少数派の立場を取る
のは勇気のいることです。過去のケースが今回も当てはまる保証は
ありません。

まして今回はSARSとMARSの僅か2例です。しかもSARSは17年前
の出来事です。件数が少ないうえに世界を取り巻く環境が当時とは
随分違います。時には少数派の見方も参考にすべきです。

10日のNY株は大幅反発しましたが、一時マイナス圏になる場面もあ
りました。一日の値幅は1300ドルと激しい値動きでした。東京市場
も10日の値幅は1000円でした。ボラが高い状態は当面続きそうです。
給与減税観測で既に東京市場は好材料を10日に織り込んでいるだけ
に今日の東京市場は上昇しても小幅ではないでしょうか。
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