kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

EVの期待と現実

2012-12-12 08:43:30 | 日記
エコカーの本命と言われたEVの販売が低迷しています。補助金制度の充実
で世界でもっともEVが普及していると言われている日本でも日産と三菱自動
車2社合わせても累計3万台ほどの販売に留まっています。最もEV普及に
力を入れている日産の世界販売も10月までに4万3000台程度です。

普及の障害はやはり価格の高さと1回の充電での走行距離の短さとそれに
急速充電スタンドのインフラ整備の遅れです。なかでも価格の高さは多額の
補助金を利用してもエコカーのライバルであるHVに比べて際立っています。
現状ではVEの購入層は公共部門や環境意識の高い人達に限定されていま
す。

充電インフラは今後整備が進むでしょうが、車両価格の低下が進まないと本
格普及は望み薄です。その車両価格の半分近くを占めると言われているリチ
ウム電池の価格低下がこれから先どのくらい進むかどうかがカギを握ってい
ます。価格は徐々に下がっているようですが現状のペースではEVの普及は
当初の見しよりも緩やかなものになりそうです。

またEVの販売鈍化は車載電池の市場拡大を期待した電池メーカーの先行き
にも影を落としています。米国では車載電池ベンチャーの破たんも起きていま
す。日本でも車載電池大手メーカーのGSユアサは工場の稼働率が上がらず
リチウム電池部門の赤字が続いています。

また電池部材メーカーの増産凍結など戦略の見直しが進んでいます。関連部
材は日本企業の世界シェアが高く素材メーカーは業績拡大の柱に据えていま
したが当面は厳しい展開も予想されます。しかしVEが環境車での中心的存在
になるという可能性は依然高く、その場合車載用電池の市場も急速な拡大が
予想されます。

投資競争に負ければ日本企業は半導体や液晶の二の舞になります。今は
日本企業のシェアが高い部材分野でもひとたび投資判断を誤るとあっという
間にアジア企業にシェアを奪われます。当該企業はこれからも難しい舵取り
が今後も続きそうです。

EVの普及遅れは環境意識の高まりだけでは市場の拡大は期待出来ないと
いうことを示しています。選挙の争点ともなった反原発もそうです。確かに
地震の多い日本では原発立地のハードルは他国よりも高いのでしょうが電
力の安定供給と価格は産業競争力に直結します。

自然エネルギーのコストはまだまだ高いのが現状です。割高な電気料金は
産業競争力に大きな影響を与えます。これ以上の産業空洞化は避けなけ
ればなりません。経済合理性も考えて答えを出す必要があります。
コメント
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