kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

円高修正を追い風に出来るかどうか

2012-12-16 08:54:26 | 日記
先週の東京市場は円相場の下落とともに景気敏感株買いのディフェンシブ
株売りの傾向が鮮明になりました。あれだけ根強い人気があったカルビーや
ヤクルトなどの食品株それにローソンやニトリなどの小売株などは日経平均
が大幅高になったにも拘らず逆行安でした。日経平均が上昇しているからと
言ってすべての株が上昇している訳ではありません。

米国景気の本格回復が見込める状況にならなければ80円を大きく超える円
安にはならないという見方も一時言われていましたが財政の崖問題もあり
米国景気の本格回復はまだみえません。米国は雇用や住宅指標などには
明るいキザシも出てきましたが、FRBが予想しているように失業率の改善は
まだまだ時間がかかりそうです。なのにこのところの円安加速には違和感も
あります。円安トレンドが定着するのかそれとも政権交代での過剰な期待が
しぼんで短期的な動きに留まるのか現状では判断が難しいところです。

それとさておき円安はご存じの通り株式市場にとっては恵みの雨です。しか
しこの円安どこまでならトータルで日本経済にとってプラス面の方が大きい
のでしょうか。日本は資源も食料もほとんどを輸入に頼っています。当然円
安は原油価格の上昇や食料価格の上昇で身の回りの多くの品物の値上が
り要因となります。また電気、ガスなどのエネルギー価格の上昇は企業には
コストアップ要因となり値上げできなければ企業収益を圧迫します。

国民にとっては物価の上昇はその分以上の賃金の上昇があれば話は別で
すが賃金が上がらず物価高だけ続くと生活は苦しくなります。また今年の
日本企業によるM&Aの増加には強い円が味方したことは疑いようがあり
ません。

市場経済では競争を通じて強い企業がより強くそして競争に敗れた企業は
市場から撤退することにより新陳代謝が起こり企業自体の体質も強くなり
競争力が増します。家電業界などの不振の原因の一つは超円高ですがそれ
がすべてではありません。円高で同じように影響を受ける自動車に比べて
業績の落ち込みが大きいのは家電業界の競争力そのものが落ちているから
です。

アジア企業などが台頭する前までは日本の製造業に代わる存在はありませ
んでしたが今やアジア企業が力をつけてきた訳ですから多少円相場が円安
方向にシフトしても以前の競争力を取り戻せるか疑問が残ります。きっと過
去の成功体験の延長線上には家電業界の未来はないのかもしれません。

超円高は多くの輸出企業の業績悪化の要因でした。もっとも窮地に立った
からこそ多くの不採算部門を抱えてもなかなか構造転換できなかった企業
の背中を押して体質強化に取り組む体制ができた企業も出てきました。
超円高が終息したとしても体質改善の取り組みが滞るようでは業績不振か
ら抜け出せません。来年はこれら企業の正念場の年になりそうです。
コメント
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