中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

経営のこと、政治のこと、社会のこと、趣味のこと、人生のこと

品質保証再考第8回

2010年02月22日 | Weblog
TQCの考え方(4) 

 TQCの考え方の6番目は、「PDCAサイクル」。『望ましい結果が得られるプロセスを確立するためには、まず計画(Plan)を立て、それに従って実施(Do)し、その結果を確認(Check)し、必要に応じて計画を是正・処置(Act)することが重要となる。・・・現状の技術レベルにもとづいて、目標を達成するうえで最も適切と考えられるプロセスを設定し、その実施結果を見ながら逐次的に修正していくことで、次第に完全なプロセスに近づけていこうとする改善型アプローチを取る』となっている。

 このように品質管理の面から言われ始めたPDCAだと思うけれど、現在では一般的な用語となっていろんなところで聞くようになったことは好ましいことだ。しかし、これを実行することはそんなに簡単ではない。ISOの監査などでも、「お宅の年度計画はプラン~プラン~してますね。」などと皮肉を言われたりする。

 またPDCAの進化型が見られるようになった。営業の世界では、PDCAの前に「R」を付けて、計画の前に調査(Research)をしっかり、ということでRPDCAを提案されていた方がいた。さらにイノベーションのためにはPDLSIと言われ始めた。計画(Plan)を立てて実行(Do)し、人材教育(Learning)を徹底し、そこから新たな戦略(Strategy)を生み出し、変革(Innovation)を実現していく。というのである。

 7番目は、「再発防止と未然防止」。『「再発防止」は、問題が発生したときに、プロセスや仕事の仕組みにおける原因を調査して取り除き、今後二度と同じ原因で問題が起きないとうに対策するという行動原則である。個別原因に対する個別対策としての再発防止、類似原因に対する水平展開としての再発防止(未然防止)および根本原因に対する再発防止として、仕組みに対する改善の3段階があり、これらを区別して取り組むことが大切である』。とある。

 8番目は「潜在トラブル・潜在ロスの顕在化」である。『一般に、品質クレーム、品質トラブルなどのデータがとられていても、それは氷山の一角にすぎないことが多い。報告されていないもの、必要な部門に伝達されていないものなどを掘り起こすことが大切である。また、売り損ないや時間・コストの無駄は、達成すべき目標が明確になっていないとあたりまえのものと見なされ、放置されやすい。目標・計画を明確にし、現状と目標・計画との差異を考えることで、潜在されているトラブルやロスの存在が明らかにされる』というのである。

 在庫管理のための研修で学んだことだけど、在庫を常に豊富に持っていることは、池の水を高い水位に維持して底に潜む岩礁を見えなくしているようなもので、仕事のやり方の不具合を池底の岩礁に譬えて、それを隠していることになるとのことであった。適正な在庫管理などはまさに「潜在ロスの顕在化」のための一方策であろう。

 9番目は「結果に基づく管理」となっている。この項のガイドブックの解説から少し外れるかもしれないけれど、私などは「事実に基づく管理」として習った。現場で経験を積んだ人たちは、ともすると自身の経験と勘による思い込みで現象に対処する。確かに「現場の仕事はKKD(経験と勘と度胸)」という一面もないわけではない。しかし、それだけでは潜在する不具合までを見通すことは難しいかもしれない。可能な限り事実データを収集して、それを科学的な手法で解析してみることが必要である。データには数値データばかりでなく、直接の担当者等からの言語データも含まれる。これを「科学(K)」と「管理(K)」と「データ(D)」のKKDということを何かのセミナーで学んだ。                            

本稿は (社)日本品質管理学会編2009年日科技連刊“新版品質保証ガイドブック”を参考にその一部を一部省略して引用(『 』内)しています。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。