MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

タバコをとるか?映画をとるか?

2010-09-01 00:16:06 | 映画

映画の中に喫煙シーンは必要か?
おそらくその答えは、
喫煙シーンがストーリーの展開上
欠くことのできない要素であるならば、
という条件が付きそうだ。
ファッションとしての喫煙シーンは
この先一切排除されてしまうのだろうか?

8月20日付 Newsweek 電子版

Fighting Against Smoking in the Movies 映画における喫煙シーンとの戦い
Activist pushes campaign to stop Hollywood showcasing of deadly habit. 有害な習慣の描写をハリウッドにやめさせるキャンペーンを活動家が推進

Darkpassage

映画作品の中での喫煙シーンは Bogey(ハンフリー・ボガード)や Bacall(ローレン・バコ―ル) の時代の流行(作品 “Dark Passage [邦題:潜行者、1947年公開] ” に見られる)とは程遠いが、2003年に公開された PG-13映画(13才未満の鑑賞には親の厳重な注意が必要な作品)の54%はいまだに喫煙シーンを取り入れている

 今年初め、University of California, San Francisco の医学部教授 Stanton A. Glantz 氏と サイエンス・フィクション・スリラー作品 Avatar の監督 James Cameron 氏がハリウッド映画とタバコをめぐって公開論戦を行った。2001年、Smoke Free Movies project を立ち上げて以来、PG-13 映画での喫煙シーンに激しい反対運動を行ってきた Glantz 氏は、New York Times に対して1月、 タバコをプカプカふかしている環境科学者を描いている Avatar のシーンは、誰かによって『水道水の中に大量のプルトニウム』が加えられているようなものだと語っている。これに対してTimes へのEメールによるコメントの中で Cameron 氏は、Sigourney Weaver(シガニー・ウィーバー)演ずる Grace Augustine は決してティーンエイジャーのお手本となるような人物を想定していたわけではないと反論している。彼によれば、喫煙は好ましくない習慣ではあるが、「映画の中の誰もが吸うべきではないという独善的な考え方が正しいとは思わない」という。
 あれからほぼ8ヶ月が過ぎた今、Glantz 氏は喫煙シーンを盛り込んでいる Avatar をはじめとするハリウッド映画に対し攻撃を再開している。さらに今回はアメリカ政府の支持を得ているのである。木曜日(8月26日)、アメリカ疾病対策予防センター(CDC)は、Glantz 氏によって探し出し収集された1991年から2009年までに最高の興行収益を上げている映画における喫煙シーンのデータを発表した。CDCの疾病率・死亡率週報(MMWR)に示されたこの研究によると、タバコ事例(画面上での『俳優によるタバコ製品の使用、あるいは暗示的な使用』と定義)の場面数は近年顕著に低下の傾向にあった。2005年の約4,000回をピークに、2009年には場面数は2,000回を切っていた。しかし、2009年に公開された PG-13 作品の54%では喫煙シーンを取り入れていた。「この件についてはきっぱりと解決する必要があります」と、Glantz 氏は言う。
 Glantz 氏と新たな研究への資金援助を行っている禁煙推進団体 American Legacy Foundation との通信会議の中で、公衆衛生の議論の最前線にこの話題を取り上げ続けてもらっていることに対して CDC のUrsula Bauer 氏は彼に感謝した。CDC の慢性疾患予防・健康増進センター長である Bauer 氏によると、毎日12~17才のアメリカ人4,000人が初めてタバコを吸い始めているという。「映画を含めたメディアでの喫煙の映像が若者に対して強いタバコ支持への影響力を持っていることが分かっています」MMWRの論文でCDC は「有害と考えられる喫煙シーンの影響力を減ずる有効な対策がとられるべきである」と述べている。Galntz 氏にとって、それらの言葉、特に“べきである”という言い方は、ハリウッド‐ニコチン対決において彼の陣営に相当の重みを与えるものとなっている。CDC が政策レベルで支援を行ったのはこれが初めてのことです。私にとってはこの時点で実に大きなニュースです」と、彼は言う。
 National Cancer Institute による2008年報告を含め数多くの研究が、映画における喫煙シーンへの曝露は若いアメリカ人に喫煙を奨励してしまうことを示している。議会はこの問題について公聴会を開催しており、2007年以降、いくつかの主要な撮影スタジオは、若者向けの映画では誰にもタバコを吸わせないようにするという内規を導入している。そういった努力が最近の映画での喫煙シーンの減少につながっているのではないかと Glantz 氏は言う。
 しかし、彼や、世界保健機関(WHO)を始めとする公衆衛生当局が真に望んでいることは子供向け映画における喫煙ゼロであり、タバコが映像に登場した場合にはR指定(17才未満の保護者同伴)とすることである。「それは前面ヌードあるいは汚い言葉使いと同じ」で映画での喫煙に対する全面的禁止ではないと Glanz 氏は言う。「喫煙を登場させてもいいのです。しかし子供向け映画では許されません」「もしそのような基準が適用されれば、Eat Pray Love(ジュリア・ロバーツ主演)とか Salt(アンジェリーナ・ジョリー主演)とか Dinner for Schmucks(スティーブ・カレル、ポール・ラッド主演)などの映画は PG-13 指定からR 指定に移行させられることになる。しかし、この指針は2005年の映画 Good Night, and Good Luck でタバコを吹かしていた Edward R Murrow のような歴史的な喫煙家の描写は例外としている。規制システムの改革によってすべての若者が映像の喫煙シーンに晒されるのを約半分まで削減できるだろうと Glantz 氏は言う。一方そうなると業界にとっては、タバコを映像に入れないようにすることの方に経済的な動機も生ずることになる。というのも、映画の収益性に関する2005年の研究では、R指定作品の投資収益率が29%であるのに対し、PG-13 作品では44%、PG作品(PG-13よりさらに緩やか)では73%だったからである。
 この規制システムを監督しているMotion Picture Association of America(MPAA: アメリカ映画協会)は、『喫煙については、ニコチンの強い常習性から独自の公衆衛生上の懸案事項とする幅広い認識があり、自分たちの子供にこの習慣を始めてほしいと思う親はいない』とする新しいCDCの報告に応えて声明を発表した。同協会は自身の統計の提供を続けてきたが、2007年5月以来、『喫煙シーンがごくわずかでも』入っている映画の73%をR指定、21%をPG-13 指定、6%をPG指定としていると述べている。MPAA の見解では、つまるところ親たちは何が妥当なものであるかを業界や政府に決定してほしいと思ってはいないという。彼らは自分たちで決めたいのである。
 結局最も問題となるのはリアリティ(現実性)である。映画は現実を映しだすべきものであると Cameron 氏は言う。しかし Glantz 氏がすぐに指摘するのは、喫煙のリアリティは、映画のスクリーン上の性的魅力や力、あるいはセックス・アピールなどの芸術家気取りの描写とは違うということだ。現実は、依存症であり、欲求不満であり、病気であり、死である。タバコの危険性について明らかな公衆衛生的メッセージがあるにもかかわらず、この国では喫煙はまだ蔓延した状態にある。医学誌 New England Journal of Medicineに7月に掲載された “Don’t Forget Tobacco(タバコのことを忘れるな)”というぴったりのタイトルの論説は持続的かつ差し迫った注意を喚起している。そしてそこには最新の数字が載せられている:米国における喫煙者の割合は20%が続いている。800万人以上がタバコの有害な影響を被っている。そして、喫煙によって毎年45万人のアメリカ人が死んでいる。それが現実である。そしてその数字は変わらなければならないのである。

先日、NHK BS2 で山本薩夫監督の
『白い巨塔』(1966年公開作品)を見た。
田宮二郎の迫真の演技もさることながら、
特に驚いたのは、登場する医師役の俳優たちが
ことごとく、もうもうとタバコを吸っていたことだ。
白黒の画面が煙で霞んでいたほどだ。
喫煙の演技といえば、
最近では、4月クールで完全にこけた
月9ドラマの『月の恋人~ムーンラバーズ~』で、
新進気鋭の若手社長 葉月蓮介を
演じたキムタク。
このドラマでは、キムタクの喫煙シーンには
さして必要性を感じなかったのだが…
これはキムタクの演技の間の悪さを補うためなのか、
はたまた
社長らしくないキムタクをそれらしく見せるための
小道具だったのか(時代遅れも甚だしい)。
未成年者の喫煙開始のきっかけの
44%は映画のシーンから、との推定もあり、
たいして意味のない喫煙シーンを
スクリーンから排除することは
喫煙人口の抑制をめざす上で重要なことかもしれない。
一方で、映画の中の世界には一切タバコを吸う人が
登場しないという状況となれば
Cameron 氏の言うように、
映画から現実性という骨を抜き取ってしまう
ことになる可能性もある。
しかし、米国のこうした国を挙げての減煙運動には
大いに感心させられるところである。
世の中からタバコが消滅すれば、
いかほどか多くの医療費が削減できるのに…と
常日頃から感じている MrK であるが、
日本では、業界からの圧力や、税収の問題などから
減煙への国からの積極的な介入は望めそうにない。
しかし、だからこそ本邦では、映画界・放送業界からの
自主的な対応がなされるべきだろう。
たとえば、怪しく漂う雰囲気を作りたければ、
別にタバコを使わずとも、
『龍馬伝』の映像に見られるようなスモークだけでも
十分なのではないかと思うのだが…。

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