MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

外人さん、いらっしゃ~い

2009-01-26 16:37:01 | 社会・経済

まったくもう…

日本人は外国人に対して寛大なのか、それともプライドがないのか。

土俵上で、日本人力士はあのモンゴル人横綱から、空手チョップをくらわされたり、ダメ押しの張り手をかまされたり、で、もうやられたい放題。

かといって、それに対抗できる日本人は誰もいない。

仕方がないので、もう一人のモンゴル人横綱を善玉に仕立て上げ、にっくき悪玉の打倒を期待する。

そんなこんなで、モンゴル対決の大興奮の中、結局、悪玉横綱の復活優勝で幕を閉じた。

初場所はすばらしい盛り上がりだった、と大いに沸き立つ相撲協会、そしてマスコミ。

釈然としないのはMrKだけなのか…。

もはや外国人力士なしには大相撲は成り立たない。

しかし…これは角界に限ったことではない。

日本社会全体も大差ないのである。

1月23日付 Washington Post 電子版

Japan Works Hard to Help Immigrants Find Jobs 

移民の職探し支援に懸命な日本

Population-Loss Fears Prompt New Stance 

人口減少への懸念が新たなスタンスを後押し

Onuma_4日系ブラジル人の Paulino と Lidiane Onuma 夫妻、彼らの娘 Juliana(左)、Leticia。彼らは来月、仕方なくサンパウロに帰ってゆく。Lidiane は職を失い、Paulino も来週には失職する。

長野県上田市、日本:

高齢化の進む日本が今、最も失いたくないのは若い人たちである。

しかし、世界的な経済危機が日本の自動車や電化製品の需要を押し下げている時、多くの若い移民工場労働者が解雇され、彼らの子供たち学校をやめ、出身国へと帰ってゆく。

PaulinoLidiane Onuma 夫妻は自分たちの車を売り、ブラジルのサンパウロへの航空チケットを買った。

彼らは来月、この工場がある町で生まれた二人の幼い娘たちとともに帰る予定だ。

自動車工場の大型機械を作る彼の仕事は来週に終わる。

彼女はこの町のブラジル従業員のために黒豆と香料入りごはんの弁当を作る仕事を失った。

その従業員たちも解雇され、日本を去ることを決断しようとしている。

「私たちはふるさとへ帰ることを望んでいるわけではありません」と、Paulino Onuma さん (29) は言う。

彼は 20 年間この地に住んでおり、年間5万ドルの収入があった。これはブラジルで稼げるよりはるかに多いのだと言う。

「私たちはこういう状況だからやむなく戻るだけです」

移民家族が失職し急に日本を去らなければならないという非常に厳しい状況は、東京にある政府に懸念を与え、伝統的に外国人特に職を失った外国人に対して警戒感の強かったこの国において、無職の移民が地に留まりやすいようにする計画を策定させることとなった。

「私たちの目的は彼らを国内にとどまらせることです」と麻生内閣に今月設置された省間連絡部局の責任者である Masahiko Ozeki 氏は言う。

「政府としてはこれまでこのようなことは何も行ってきていませんでした」

日本語コース、職業訓練プログラム、就職相談などが企画されており、移民の人たちは日本の中で仕事を見つけることができるようになる、と Ozeki 氏は語る

ここ日本では、医療やその他高齢者向けのサービスの分野

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All This We Can Do

2009-01-21 09:43:28 | 健康・病気

"All this we can do.  All this we will do."

「これらすべてを私たちにはできます、すべてをやりましょう」

日本語に訳すといま一つになるが、オバマ氏の就任演説。

ずいぶん気合いが入っていますね。

ところで、前エントリーでは、カテーテルを用いて冠動脈を拡張させる

"interventional cardiology" が心筋梗塞や冠動脈死を予防する

万能の治療とはなり得ないという話題を挙げた。

やはり日常の健康管理が最も重要ということなのだろう。

従来から言われている危険因子に加え、炎症、脂質代謝、

ストレス、効率のよい運動などが新しいキーワードとして

取り上げられている。

もちろんこれらは脳卒中予防にも有効と考えられるのだが、

その新しい概念についての記事。

前エントリー引用記事の続編である。

1月12日付 New York Times 電子版

New Thinking on How to Protect the Heart 心臓をどのように守るかについての新しい概念

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侵襲的治療(手術、カテーテル治療)が心筋梗塞あるいは突然の心臓死を避けるための最善の方法ではないかもしれないという先週のコラムを信じた人は、次に心臓にそれと同等かあるいはより有効な手段を手に入れなければならない。

これまでよく耳にしてきたものに多くの手立てがある:禁煙、コレステロールや血圧の管理、日ごろの運動、健康的な体重の維持…。しかし、最近のいくつかの新たな提言には驚かされるかもしれない。

低脂肪の食物を摂取することや積極的に運動することが悪いというわけではない。それらは当時の最善の有効な証拠に基づいていたわけだが、今でも大変有用である。
しかし、ほとんどの心臓発作の生物化学的原因が研究者たちによって解明されつつある現在、それらの予防についての忠告も変わりつつある。

食事と運動についての新たな提言では、むしろ厳しさが緩められる傾向にあることは、皆さんにはうれしいことかもしれない。
勧められる食事はおいしく、用意しやすく、比較的廉価なものであり、運動の恩恵を受けるために毎日一時間も汗をかく必要もないのだ。

これまで確立されている心臓病の危険因子は変わるところはない。
高コレステロール、高血圧、喫煙、糖尿病、内臓脂肪型肥満、そして運動不足。
しかし、それらに続いて新たな因子が現れてきた。
それは、心臓発作の原因として、動脈に損傷を及ぼす血中コレステロールの高値などよりさらに重要である可能性がある。

その因子は炎症の血中マーカーの C-reactive protein (CRP) である。
これは血液凝固因子とともに、心臓への血流を阻害することになる血栓の隠された促進要因として急速に注目されるようになった。
しかし、たとえすでに心臓に問題を生じた患者であっても、実際に CRP が検査される例はまれである。

正常コレステロール値の人であっても、もし CRP が上昇していたら心筋梗塞のリスクは同様である、と、Cardiovascular Prevention Institute of South Florida の医長である Michael Ozner 氏は言う。
コレステロール測定と同時に高感度 CRP も測定すべきであると、彼は考えている。

Diet Revisited 再考される食事

食事についての新たな考えは、低脂肪食を摂るというもの以前の、むしろ古い考え方に基づいている。
1958 年に始まり、1970 年に最初に発表された Seven countries Study において、ミネソタ大学の Ancel Keys 医師らは、野菜、穀物、果物、豆、魚などが食事の中心となっている地中海やアジアでは心臓病が少ないことを指摘した。
しかし、フィンランドや米国など、食卓が赤身の肉、チーズ、その他、飽和脂肪酸の多い食事で占められることの多い国々では、心臓病や心臓死が多かった。

この知見は食餌中の脂肪、特に飽和脂肪酸(室温で硬くなる)を減らし、これらの有害な脂肪酸を植物油のような不飽和脂肪酸に置き換えるべしというよく知られている指導につながった。
当時は見過ごされていたが、今少しずつ明らかとされているのは、心臓に良い地中海の食事は実際には脂肪分が低いわけではなく、主たる脂肪源―ナッツ、種、あるいはある種の野菜に加え、オリーブ・オイル、脂の多い魚―がコレステロールの組成を改善し、炎症を緩和させることが心臓病の予防に役立っているということである。

Virtues Confirmed 確かめられた効力

伝統的な地中海料理の有効性が確認されたのは 1999 年になってからだった。
Lyon Diet Heart Study は、地中海スタイルの食事と、アメリカ心臓病協会が初回の心臓病から回復した患者向けに推奨した食事とで、その影響について比較した。

この研究では、地中海料理が、心臓協会の食事に比較して、心臓病の再発や心臓死の頻度の減少が 50 - 70 %上回っていたことがわかった。

その後のいくつかの研究でも地中海料理の有効性が確認されている。
たとえば、ギリシャにおける男女 3,000 人以上を対象とした、アテネ大学 Christina Chrysohoou 医師による 2004 年の報告では、地中海スタイルの食事を守った場合、CRP、白血球数、フィブリノーゲンを含む、炎症や凝固についての6つのマーカーを改善させたという。

同年、オランダの Wageningen University の栄養学者 Kim T B Knoops 氏らは、 70 才 から 90 才の男女のうち地中海料理と禁煙などの他の健康的習慣の両者に従った人では、心臓病や他の原因での死亡率が 50 %低かったという研究結果を報告した。

「地中海ダイエットは続けることは可能なものです。この料理はおいしく、食材はどの食料品店でも見つかるものですから」」と、『The Miami Mediterranean Diet』と『The Great American Heart Hoax』(BenBella、2008 年)の著者、Ozner 医師は言う。

「食事のほとんどはみなさん自分自身で作らなければなりません。食事から多くの加工食品を除くことができれば、炎症が徐々におさまってきます。私の患者では、順守率―この食事を採り入れ継続する人の割合―は 90 %以上です」と Ozner 医師は付け加えた。

炎症のマーカーである CRP を低下させる食物には、サケ、マグロ、サバなどの冷水魚、亜麻の種、クルミ、菜種油やそれを素に作られたマーガリンなどがある。
魚油カプセルも有効である。
Ozner 医師は菜種油での調理や、より高価で香りのよいオリーブ油をサラダに使うことを勧めている。

地中海料理の別の側面として、野菜、果実、赤ワイン(あるいはパープル・グレープフルーツジュース)も同じように有用である。
それらが持つ抗酸化作用は動脈の損傷を促進する LDL コレステロールの生成を阻止する役割がある。

Other Steps  その他の方法

歯周病と心臓病のリスクを関連づける研究が最近みられるが、おそらくそれは、歯ぐきの疾患が軽度の慢性炎症を惹起するためと考えられる。
そのため、規則正しい定期的な清浄などの良好な歯科衛生は、歯だけでなく心臓の保護にも役立つ。

慢性のストレスを減じることも重要な要因である。
27,000 人以上を対象にストレスの影響を調査した Interheart study では、ストレスが心臓発作のリスクを倍以上に高めたことがわかった。

"The No Bull Book on Heart Disease"(Sterling, 2009)の著者で、シカゴの心臓内科医 Joel Okner 氏と心臓心理学者の Jeremy Clorfene 氏は、十分な睡眠をとることがストレスに対処する能力の改善につながると指摘している。

静かな場所で、目を閉じ、筋肉をゆるめ、リズミカルな深呼吸をするという筋弛緩反応を毎日、1、2回実践することは温度の高まった血液を冷やすのに役立つ。
Ozner 医師が推奨する他の方法には、瞑想、祈祷、ヨガ、自己催眠、笑い、昼寝、犬猫を飼うこと、趣味を持つこと、習慣的に運動することなどが含まれる。

同氏は、1日 15 分間の運動を週5日行うと心臓死のリスクが 46 %減少したと 1996 年の研究で報告した。

きわめて短い時間の運動でも有用である可能性がある。
最新の American Journal of Clinical Nutrition に発表されたイギリスの研究で、短時間の―それがわずか3分間でも―きびきびとしたウォーキングが積み重なって一日 30 分となれば、連続した 30 分間の運動と同程度有効に心臓のリスクのいくつかの指標を改善したことがわかった。

それはそうだけど…(山田太一風)

毎日地中海料理というのはどうも…

別に地中海料理ではなくても、和食で十分ではないかと思うのだが、

和食の難点は塩分摂取量が高くなることだろう。

塩分を半減した和食では魅力も半減?

ならば、ワイン片手に青魚の刺身、クルミを混ぜた胡麻だれで

しゃぶしゃぶ…(思わず涎)

なにはともあれ、

十分な睡眠、リラクセイション、効率の良い運動!

“これならすべて私たちはできる、私たちは実行しよう!”

(って、仕事はどうすんの?)

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決めるのは誰だ?

2009-01-19 22:21:35 | 健康・病気

前エントリーでは増え続けるアメリカの医療費の問題を取り上げ、

オバマ新大統領が直面する、医療費抑制と

国民皆保険に向けての課題について触れた。

アメリカ人の死亡原因でとびぬけてトップとなっているのは

心臓病である(日本では第2位)。

米国における心臓病治療の現状と問題点を論じた記事を紹介する。

なお、記事中にある、カテーテルを用いた冠動脈の治療のことを

"interventional cardiology" と呼ぶ。

なかなか日本語に訳しにくい言葉である。

"Intervention" は“介入、介在”の意味であり、

直訳すれば介在的心臓治療ということになるが、

簡単に言えば、直接的な外科的治療に対する呼び方で、

CT、MRI、X線透視装置、超音波などの画像診断機器を“介して”

心臓治療を行うことである。

ここでは、カテーテル操作で血管を広げたり、ステントと呼ばれる

血管を広げる金網を留置する治療手技を指す。

1月5日付 New York Times 電子版

More Isn't Always Better in Coronary Care 冠動脈治療では、より多くが常にいいとは限らない

Coronary_care

Ira さんの話は行き過ぎた侵襲的心臓治療の典型例である。
ニューヨーク州 Hewlett 在住の Ira 氏が、保険契約の申し込みの一環として運動負荷試験を受けたのは 53 才の時だった。
胸痛を生ずることなく 12 分間のトレッドミル運動を終えたが、心電図上異常が認められたため冠動脈撮影が行われた。
その結果、動脈硬化によって狭窄した冠動脈に対し、血管拡張を維持するために用いられるステントと呼ばれる管状の金網を用いたバルン血管形成術を行うべきであると心臓医に勧められる破目となった。

その目的は血栓が動脈を閉塞し心筋梗塞や突然の心臓死を引き起こすことを防止することである、と告げられた。

侵襲的治療を避けたい希望から、Ira さんは食事療法、減量、コレステロール降下薬などの穏やかなコースを選択することにした。
しかし3年後、ステントの不安が再び持ち上がった。
術前の心電図の異常所見から再度冠動脈撮影が行われ、冠動脈起始部狭窄の悪化が指摘された。
結局、心臓医の態度に恐れをなした Ira さんは、1本どころか、3本の冠動脈に対して血管形成術と薬剤溶出ステントの治療を受けることに同意した。
こうして、彼は、昨年血管形成術を受けた(大部分はステントを留置された)約 100 万人のアメリカ人の一人となった。

Being Treated While Healthy 健康のうちに治療されること

確かに、狭心発作の激痛の患者やごく軽い運動でも強い胸痛が生ずる患者にとっては、血管形成術やステント留置術は救命のための措置となる、とマイアミの心臓医で "The Great American Heart Hoax"(Benbella Books, $24.95)の著者である Michael Ozner 医師は言う。
しかし、そのような“不安定な”患者は、費用がかかり時に危険を伴うこういった治療を受ける人々のごく少数を占めるに過ぎない、と同氏はインタビューで答えた。

ほとんどのステント治療を受ける患者は Ira さんのように胸痛やいかなる種類の心症状も経験していない健康な状態である。
(心電図異常や冠動脈狭窄がある以外は)健康な患者に対して本治療が心臓発作、長引く狭心発作、突然の心臓死などのリスクを減少させることを示した研究はないという事実があるにもかかわらず、Ira さんは医師の忠告に背くことを恐れなければならなかった。
「対象患者の大多数を占めている、動脈に狭窄はあるが安定している人たちに対する本治療の有効性を支持するデータがないままに、私たちは侵襲的な血管形成術やステント留置術の適応を拡大してきたのです」と、Ozner 医師は言う。

これまでの研究が示しているのは、心臓のための健康的な生活を送り、心臓のリスクを減らすための薬物、必要なら栄養補助食品をとることに比べ、このような患者にステントを留置することの方がすぐれた予防効果を示しているわけではないということである。
さらに研究では、ステントが、時に、危険な血栓が冠動脈内に形成される機会を増大させるため事態をさらに悪くする可能性が示されているが、この点は食品医薬品局(FDA)への諮問機関から 2006 年に指摘されている。

Cariovascular Prevention Institute of South Florida の医長である Ozner 医師は "interventional cardiology" の過剰適応について異論を唱えている、予防志向の考えを持つ多くの心臓医の一人である。
"Interventional cardiology" とは、それを行う病院や医師らにとってドル箱となる侵襲的な冠動脈の専門的治療のことである。

冠動脈治療を行う心臓医ですら、症状がない多くの患者が侵襲的な治療を受けていることに懸念を表明してきている。
「これらの手技を正当化する唯一の根拠は、生存期間を延長し、生活の質を改善しうるということですが、そのどちらにも当てはまらないのに治療が行われている多くの患者がいるのです」と Stony Brook University Medical Center の interventional cardiologist で 心臓内科の部長である David L Brown 医師は言う。

Mistaken Assumptions 誤った前提

冠動脈バイパス術、血管形成術、薬剤溶出ステント留置術などの治療は米国において年間 600 億ドル費用がかかっている。
その多くの患者でこれらの治療が狭心発作や冠動脈死を予防することは証明されていないが、費用は保険の適用を受けている。
食事、運動、ストレスへの対処などについて患者に指導すること、それらは比較的お金がかからず、しかも延命効果があることがわかっているのだが、その費用が保険により償還されることはほとんどない。
積極的な治療志向の現代の心臓医学は、言わば、高物買いの銭失い、といったところか。
そして、昨今の経済のご時世、この国の主要な死亡原因疾患の罹病率や死亡率を減じる取組みを見直すことには大きな意味がある。

ほとんどの人たちは冠動脈疾患を単に血管の問題であると誤ってとらえている。
性別、食事、糖尿病、高血圧、喫煙、および他の因子の影響を受け、心臓へ酸素に富む血液を運ぶ主要な動脈がコレステロールを含むプラークの増大によって狭窄し、ついには血流が途絶え、心臓発作(心筋梗塞)が起こる。

冠動脈パイパス術では、体の別の箇所から採取された血管を、狭窄部をバイパスするように閉塞しかけた冠動脈に吻合する。

しかし、Ozner 医師がその著書で指摘するように、1970 年代後半と 1980 年代前半に行われた3つの主要な研究では、大多数の患者でバイパス術は保存的な内科的治療に比べ有意な有効性がないことが明確に証明された。
ただし、左側の主要な冠動脈の高度病変を持つ患者と、強い胸痛のある狭心症、あるいは不安定狭心症の患者では、例外的に本治療によって健康と生命を救うことができた。

バイパス術は狭心発作の胸痛を改善するが、心臓周囲の痛みのレセプターが手術によって壊されるための結果ではないかと、最近の研究は示唆している。

「血管形成術についての研究は、さらに不利な結果を発表している」と Ozner 医師は書いている。
「患者が心臓発作を起こしている状態にない場合、血流障害のある動脈のバルン・カテーテルによる拡張は、薬物による治療に比べて悪い結果につながった。
事実、2003 年に Journal of the American College of Cardiology に発表された臨床試験では、プラークを動脈壁に押しつけるバルン血管形成術は心臓の虚血発作や死亡のリスクを高めたことがわかった。

ステントはプラークを扁平化して安定させるように考案されている。
しかし安定している患者を対象とした研究では、生活様式の改善や、コレステロールや血圧を下げる薬による治療に比べ、ステント治療で心臓発作の予防効果が優ってはいなかった。

A Small Culprit 小さな原因

ほとんどの心臓発作がどのようにして起こるのかということの新たな理解は、これらの治療が期待通りの結果に結びついていない理由を答えてくれる。
これまでの証拠によれば、ほとんどの心臓発作は、大きなプラークによって動脈が閉塞するために起こるのではない。
むしろ、比較的小さな、不安定なプラークが破綻し、それによって、炎症細胞と凝固因子が局所に集積し、動脈を閉塞する血栓になるのである。

多くのアメリカ人の中高年の冠動脈には小さなプラークは普通に認められ、それらすべてを治療する外科的方法はない。

「interventional cardiology とは冠動脈の美容形成手術をしているようなもので、見栄えをよくするだけで、これらの動脈が抱える基本的な生物学的問題を治療するものではないのです」と Ozner 医師は言う。
彼は 2008 年の American Heart Association Humanitarian Award を受賞した。
「もし intervention に費やされる何十憶ドルが予防に回されたら、より低いコストではるかに健康なアメリカを得ることができるでしょう」

Ozner 医師は、手術が必要であると言われた患者には、専門家によるセカンド・オピニオンを受けるよう助言するという。

症状はなくても、冠動脈がかなり細くなった患者を目前にすれば

カテーテルでの治療手段を持っている心臓治療医としては

何とかしてあげたいと思うだろう。

しかし、そういった患者はカテーテルで治療しても

食事療法や薬物療法を行っても、結果は変わらないと

いうのだ。

カテーテル治療といえども、

“侵襲的”治療であることは間違いなく、

それを行う根拠として、保存的な治療にまさる成績が

証拠として得られていることが必要である。

しかし、すべてのケースに治療のガイドラインが

当てはまるとは限らない。

そこには医療者の哲学(良心?)がかかわってくることも

あるだろう。

記事中にもあるが、

ある疾患に対して行われる高度な治療に

高い医療費が支払われるのは仕方がないが、

同じ疾患に対しそれを行わなくても済むような非侵襲的治療にも

ある程度の高い評価がなされるべきである。

心臓病の罹病率、死亡率を減少させ、

なおかつ医療費を抑制するには

徹底した予防対策を行うしかないだろう。

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We Can Change, Really?

2009-01-15 11:53:24 | 国際・政治

日米問わず、医療制度改革はきわめて深刻な問題である。

米国においては、医療制度の問題は経済対策、

イラク問題に次いで重要な論点となっている。

民間保険に頼るところの大きい米国では、医療コストの増大は、

保険料の高騰につながり、必然的に無保険者の増加を生じている。

また医療費の膨大は、連邦、州、企業、国民への負担を

顕著に増大させた。

1月20日の大統領就任式が間近に迫ってきたが、

新大統領はこの問題にいかに立ち向かってゆくべきか?

アメリカにおける公的医療保険は、貧困層に対するメディケイド、

貧困児童が対象の州貧困児童健康保険制度 SCHIP、

高齢者公的医療保険のメディケアがあるが、

国民の多くは民間の医療保険を利用している。

医療費を抑えるため、

民間保険では医療管理型プランが推し進められたが

逆に必要な治療さえ受けられなくなる事態が生じ問題となった。

一方、高い保険料を支払うことのできる人々は

最先端で高額な医療を上限なく受けることができる。

こういった医療保険制度を含む医療システムにいち早く市場原理を

導入したアメリカの医療制度は今、

深刻な行き詰まりに直面しているといえる。

Obama 氏の "change" に期待する意見をご紹介しよう。

1月12日付 Washington Post 電子版 Opinion より

by Rober J. Samuelson

先週、Barack Obama 氏は、現在の経済危機を切り抜けた後には、連邦予算の縮小を行うことについて真剣に語った。
そのためには、医療費の急増と向き合う必要がありそうだ。
2007 年、医療費分の支出は全連邦支出2兆7千億ドルの4分の1に達している。
もしこれについて Obama 氏が真剣に考えるつもりなら、著名なコンサルティング会社のリサーチ機関である McKinsey Global Institute からの興味深い調査報告を読む必要がある

アメリカの医療は混沌とした状態だ。すばらしい医療を提供してくれる一方で、際立った欠点もある。
たいへん割高な保険料のため全人口の約 15 %は健康保険に入っていない。
急騰を続ける支出は政府の他の事業を圧迫し、膨れ上がった保険料により労働者の手取り給与はしぼんでいる。

McKinsey が提供するのは医療費の3分の1に及ぶ過剰浪費部分についての説得力のある概算である。
2006 年、米国の総医療費は2兆1千億ドルで、他の富裕国の平均を 6,500 億ドル上回っていると見ている。
この余分の金のおかげで国民の健康が相応の大きな利益を被っているかといえば、そうでもない。
いくつかの保健対策(たとえば乳がん生存率)については、多くの国々より良い成績であるが、他(平均寿命等)については劣っている。
この不満足な状況を説明するために我々は常に悪の根源を探し続けている。
McKinsey 調査では、おなじみの要因がいくつか挙げられている。

ひとつは、私たちの民間-公的保険システムの混在が、管理にかかる高額の諸経費によってコストを押し上げていることである。
請求様式はやっかいな事務手続きを生み、これに営業費がさらに負担を増加させる。
事実、米国における諸経費は他の国々の2倍以上の高さである。
しかし、( Medicare などの政府による事業を含めた)すべての管理経費は全医療費の7%を占めるにすぎないため、その影響はさほど大きくない。

しばしばスケープゴートに上げられる対象も同様である。乱用が問題視されている緊急救命室での医療の問題である。
2006 年、緊急救命室での総医療費は 750 億ドルだが、全医療費の 3.5 %に過ぎない。
占める割合は小さく、これによって全体の傾向を説明することはできない。

医療費を実際に押し上げているのは、他の国の人々に比べてアメリカ国民がよりお金のかかる医療サービスを受けており、それに多くの費用を支払っていることである、と同調査は指摘する。
人口で修正した 2005 年のCTスキャンの数でみると、米国はドイツより 72 %高かった。
また、米国におけるCTに対する償還額は4倍高い。
膝関節置換術は、他の富裕国の平均より 90 %多く行われていた。
2005 年、膝関節や股関節の置換術は 750,000 件で、5年間で 70 %増加している、と Journal Health Affairs は報告している。

私たちは国民の価値観を反映した医療システムを持っている。
それは、きわめて個人主義的で、企業家精神に溢れており、中央集権的管理には懐疑的である。
実際、Medicare や民間保険は医師や患者の治療選択に対して有効な規制をほとんど強いることができていない。
それは、ほとんどの米国民が望んでいることであるのだが。
患者が最先端の手術、検査、あるいは薬剤を希望するのは理解できるし、医師たちは診療の自由を望んでいる。

上限のない保険の払い戻しが高度な医療にかかる費用を補ってくれることから、金のかかる医療を後押しすることになる。
MITの経済学者 Amy finkelstein 氏は、1950 年から 1990 年にかけての一人当たりの医療費の実質増の約半分は包括的な健康保険の拡大を反映していると見ている。
2006 年、消費者の現金支出費は全医療費の 13 %で、これは割合としては 1960 年の約半分となっている。
残念ながら、この半自動的なシステムは、他の支出分にしわ寄せを生じ、無効で不必要な治療を生み出してしまうことで、国家の他の目標を頓挫させることになりかねない。

机上では、医療費抑制のためには様々な方策がある。医療の価格や安易な受療に対して規制の強化と、より効率的で、慎ましい医療に消費者を向かわせる "market mechanisms"(市場原理)などだ。
しかし、すべては失敗に終わっている。それらが積極的に行われなかったためである。
その理由は政策にある。支出抑制に向けて主軸となる一貫性がないのだ。
ほとんどの患者が医療費を直接支払わないため、縮小した医療を受けることや、より低価格のサービスを探すことにほとんど関心を持ってこなかったのだ。
また、サービスの提供者(医師、病院、製薬会社)も医療を制限することに関心を示さない。
他者が医療費と呼ぶものが、彼らの収入、すなわち、賃金であり、給料であり、利益であるからだ。

この政策的なアンバランスを修正しない限り、医療費抑制の努力は失敗に終わるだろう。
支出抑制に前向きな大衆の支持基盤の確立が必要である。
しかしこれまで我が国の政策は、ひたすら医療費を、法人組織の非課税の付加給付や政府予算に負わせることによって、その重荷を隠蔽してきた。

私たちはこの状況を変えることができる。
高齢者に Medicare の負担を増やすことも可能だ。
雇用者提供健康保険料に大しても通常の収入として税を課する措置も考えられる。
あるいは、政府の医療費を補填するため連邦税の創設を検討してはどうか。
もし医療費が歳入以上に増大するならば、税も自動的に上がるようにするのである。
国民は自分たちの現行のシステムにおける出費過多を敏感に感じることになるだろう。
もちろん、それらは全くの不評判となることが予想される。
アメリカ国民に不愉快な問題への直面を強いることになるからである。
しかし、医療は他の優先事項と比較して一体どれほど重要だとお考えか?

果たして Obama 氏がそれほど大胆になれるだろうか?
大統領選中、彼は医療費の抑制ではなく、むしろ充実を提唱していた。
"change" の美辞を用いるのは簡単だが、実際に変えることはむずかしい。

アメリカ経済が順風満帆な時代にあっても、

国民や企業に負担増を求める医療制度改革には

根強い反対意見があった。

ましてや、昨年からのアメリカ経済のリセッションのさ中には

記事の最後に書かれているような提案が

容易に受け入れられるとは思えない。

ヒラリー・クリントン氏が強く訴えていた国民皆保険の達成を

最優先にするのか、それとも医療費の抑制をめざすのか、

オバマ氏はむずかしい舵取りを迫られている。

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タミフル耐フル(なんのこっちゃ?)

2009-01-11 10:54:34 | 健康・病気

インフルエンザ治療薬タミフルが効かない

タミフル耐性インフルエンザ・ウイルスは

昨冬、国内9県で見つかった。

その耐性ウイルス、

今冬早くも、宮城、滋賀の両県で検出されたそうだ。

1月11日付 中国新聞

タミフルについては、

インフルエンザが検出されなくても内服したり、

予防のために個人が備蓄?していたりするなど、

日本ではその頻用(濫用)が問題となっているのだが、

ウイルスのタミフル耐性獲得は、

必ずしもそういった薬剤濫用により誘導されるという

わけではないようだ…しかし…

1月9日付 TIME 電子版

What You Need to Know About Drug-Resistant Flu
『薬剤耐性インフルエンザについて知っておくべきこと』

Photo

今年のインフルエンザの流行はゆっくりと始まっているところだが、インフルエンザにかかった場合、治療が難しくなると懸念される状況にあることに保健当局は注目している。
The Centers for Disease Control and Prevention (CDC:米国疾病対策予防センター) は、目下米国で流行しているインフルエンザの最も代表的な株が oseltamivir(タミフル)に耐性であると昨年秋に発表した。
タミフルはインフルエンザ治療に最もよく処方される抗ウイルス薬である。
しかしそのことはパンデミックが起こりつつあるということをただちに意味するものではない。
以下にその理由を示す。

1.どのようにしてインフルエンザ・ウイルスがタミフル耐性となったのか?
インフルエンザ・ウイルスの 11 %がタミフル耐性であると報告した前回の流行期以来、保健当局は問題の株を追跡してきた。
CDC インフルエンザ部門の疫学予防課長 Joseph Bresee 医師によると、耐性株はインフルエンザ・ウイルスのゲノムにおける偶発的な突然変異の結果であり、感染治療に用いられるタミフルなど抗ウイルス薬の濫用の結果ではないと専門家たちは考えているという。
それは、前回のインフルエンザの流行期の間、ノルウェーなどのタミフル使用の少ない国々で耐性株が蔓延しており、タミフルへの依存度の高い日本などであまり見られないという事実に基づいている。

2.この耐性株に感染するリスクが最も高いのはどういう人か?
誰もがインフルエンザにかかりうるし、防御したい人はみなワクチンを受けるべきであると推奨している。
インフルエンザ・ワクチンの有効性が高いことは政府機関から報告されている。
現在のワクチンは、タミフル耐性株に対しても防御効果をもたらすように作られている。

3.ワクチンを受けた人々もこのインフルエンザ株を心配する必要があるか?
インフルエンザの株は多くが出回っており、 100 %有効なワクチンはないため、ワクチンを受けた後も罹患するかもしれない。
もし耐性株に感染したら、タミフルによる症状改善は期待できないだろう。

4.タミフルが無効な場合、インフルエンザに対してとり得る他の手立ては何か?
他のの抗ウイルス薬、zanamivir(リレンザ)は今出回っているタミフル耐性株には今のところ有効である。
しかし、吸入粉末であるこの薬剤は7才以下の子供には推奨されていない。
小児に対しては、タミフルと古くからある薬 rimantadine ( MrK 註:日本では未発売)の組み合わせが感染コントロールに用いられる。
すべてのインフルエンザ感染は3つの異なる型( MrK 註:Aソ連型、A香港型、B型)のインフルエンザ・ウイルスによるので、
リレンザ( MrK 註:タミフルの間違い?)と rimantadine の両者はタミフル耐性でない2つのタイプ( MrK 註:A香港型とB型)を和らげる効果がある。

5.このインフルエンザ・ウイルス株によって人間が鳥インフルエンザにかかりやすくなることはないか?
答えはノーである。両者はともにインフルエンザ・ウイルスのゲノムにおける突然変異の結果ではあるが、それ以外にこの二つのウイルスに関連はなさそうである。

タミフル濫用傾向が続く日本でむしろタミフル耐性株の検出が

少ないからといって、タミフル濫用が容認されるべきではない。

タミフルには、問題となっている異常行動、異常行動死の他にも、

肺炎、ショック、アナフィラキシー様症状など重大な副作用がある。

耐性株の蔓延、新型インフルエンザの流行が現実となる前に、

インフルエンザに関する詳細な情報が

国民には正しく伝えられ、啓蒙が徹底されるべきである。

コメント (2)
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