MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

『天使と悪魔』:宗教と映画

2009-05-06 10:58:59 | 映画

『ダ・ヴィンチ・コード』の続編となる映画、
『天使と悪魔』がいよいよ、来週、全世界同時公開となる。
前作のキー・パーソンがダ・ヴィンチだったのに対し、
今回はガリレオ・ガリレイ。
『宗教 対 科学』がキー・ワードとなる。
地動説の登場など、科学が宗教的根拠を脅かす存在と
なりつつあった17世紀、
教会はガリレオを逮捕するなど科学者たちへの弾圧を始めた。
科学者集団は秘密結社イルミナティを結成し、地下に潜る。
そして現代、ローマ教皇の選出の儀式、コンクラーベを舞台に、
400年の沈黙を破ってイルミナティの復讐が始まる。
新しい教皇の候補者となる4人の枢機卿が拉致され、
彼らの惨殺が予告される。
また、スイスのセルン研究所から盗み出された『反物質』による
ヴァチカン爆破の脅迫も…
今回、トム・ハンクス演ずるラングドン教授は、
ガリレオが残した暗号を頼りに、ヴァチカンを救うべく奔走する。
創造主である神、そしてイルミナティが武器とするのは
神に匹敵するほどの莫大なエネルギーを生み出す『反物質』。
息をのむ展開が予測されるが、やはりヴァチカンは
この映画に賛意を示していなかったようだ。

5月3日付 abcNEWS より

Ron Howard: Vatican Obstructed ‘Angels & Demons’(ロン・ハワード曰く『“天使と悪魔”をヴァチカンが妨害』)

Angelsdemons

 Ron Howard 監督は日曜日、彼の宗教的スリラー作品 “Angels & Demons” のとあるシーンの撮影許可を得ようとしたところをヴァチカンによって妨害されたと述べた。ヴァチカン側は、そのような非難は単に宣伝目的に過ぎないと反論した。
 Tom Hanks 主演で Dan Brown によるベストセラー小説に基づいて作られたこの映画は月曜日に世界的プレミアとしてローマでも公開される。
 “Angels & Demons” には、イルミナティ(illuminati)と呼ばれる古くからの秘密結社、教皇のコンクラーベ、バチカンを吹き飛ばすことのできるハイテク兵器が登場する。
 日曜日の記者会見で、Howard は、多くのカトリック指導者たちを怒らせた Brown の別の小説 “The Da Vinci Code” の撮影で遭遇した反対に備えてあらかじめヴァチカンへの協力要請はしなかったと述べた。
 しかし、彼の撮影許可に対してヴァチカンは影響力を行使したと彼は語った。そして、背景に教会が映っているローマのシーンを撮影することもまかりならぬと通告された。
 「一般にローマでの撮影に際しては、ヴァチカンは何ら影響力を持っていないというのが公式声明です」と彼は言う。「すべてはきわめて順調に進行していましたが、ロケ地のいくつかで撮影を始める予定の数日前、ヴァチカンが何らかの影響力を行使したと非正規ルートなどから非公式な説明を受けました」
 「驚いたかって?時々悔しい思いをしたかって?そりゃ、そうですよ」と彼は言った。
 それでも、映画のセットで風景を再現することで、多少の制限はあるものの全体として “Angels & Demons” の体験感覚を保持することができたように思うと彼は言った。ただシスチナ礼拝堂(Sistine Chapel)では、止めるように言われるまで、制作スタッフ20人ほどが旅行客を装って教皇が選出される小さな礼拝堂のすべてのフレスコ画、床のモザイクや絵画を撮影したと、映画のウェブサイトには書かれている。
 “Angels & Demons” は “The Da Vinci Code” で一躍有名となった Harvard 大学の宗教象徴学者 Robert Langdon を主人公に配しているが、映画ではこれを Hanks が演じている。同映画ではイルミナティが次期教皇の有力候補と考えられている4人の枢機卿を誘拐し、彼らを一時間毎に一人ずつ殺害し、その後ヴァチカンを爆破すると脅迫してきたことから、ヴァチカンは Langdon を頼ることになる。
 ヴァチカンのスポークスマン Federico Lombardi 師は、教会の介入に関する Howard の申し立てについてコメントを拒否したが、彼の申し立ては単に映画の評判を高めるべく意図されたものだと主張した。
 昨夏、その映画は教会の理念と一致していないとして、ローマ教区は制作者たちが2ヶ所の教会(MrK註:サンタ・マリア・デル・ポポロ教会とサンタ・マリア・デラ・ビットリア教会)の内部を撮影することを禁止していたことを認めた。
 この映画では Hanks 以外には、教皇の死に関わる諸事に対処し、新しい教皇が選出されるまでヴァチカンの運営を行う司教、カメルレンゴに Ewan McGregor を配している。また、枢機卿たちを救出するため Langdon が暗号を解読するのを手助けする科学者 Vittoria Vetra 博士をイスラエル生まれの女優 Ayelet Zurer が演じている。(MrK 註:そのほかにも『マンマ・ミーア』のステラン・スカルスガルド、『ナイトミュージアム』のピエルフランチェスコ・フィヴィーノらが出演)
 2006年の映画 “The Da Vince Code” は世界中で7億5,000万ドルの興行収益を上げたが、この映画は、イエスが結婚し、子供を成したという考えや、保守的なカトリック運動 Opus Dei を殺人的カルトと表現したことで、世界中の教会指導者たちからボイコットの要求を招くこととなった。
 今回 “Angels & Demons” に対する教会指導者たちの反応はその時よりは抑えられているがものの、イタリア人司祭 Antonio Rosario Mennonna は土曜日、この映画はカトリック教会に対して『きわめて侮辱的、中傷的かつ攻撃的である』と述べたと、ANSA news agency は報じた。
 記者会見で、撮影中最も大変だったことは何だったかと聞かれたとき Hanks の答えは笑いを誘った。それは、まさに走ることだったと。
「普通の敷石の道などないし、まっすぐの階段もありません。この永遠都市には横断しやすい道なんてないんです」と彼は言った。「ゆっくりの散歩ならと思って外に出れば、死の落とし穴や足首の捻挫が待ち受けていると言ってもいい。脛を傷めたりすることもなく、また足の周りにエースの包帯を巻かずに撮影できたことは不思議と言っていいでしょう」
 「きっと神のご加護があったに違いありません」と彼は言った。

あくまでフィクションと銘打った映画でも、
実在する宗教名や組織名が登場していたならば
問題なのだろうか?
MrK 自身はクリスチャンではないのでお気楽に
この映画がヴァチカンやキリスト教を冒涜しているようには
まったく思えないと言えるのだが…
こういった宗教的スリラー映画では、
全く架空の宗教でストーリーを繰りひろげても、
何の緊迫感も得られないことだろう。
実在の宗教、実在の施設、実在のイベントをモチーフにしてこそ、
映画としてのエンターテインメント性が
成り立つのではないかと思う。
それが許されないとなれば、
映画にタブーな領域を作ってしまうことになる。
至極淋しいことと思えるのである。

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