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MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

VOF はありま~すっ!

2014-11-21 19:00:17 | 科学

100年以上も前に発見されていた脳の構造物が

科学者たちの意見の不一致でうやむやにされ、

今ようやく、MRIを用いた生体内の検索により

それが再確認されたという。

 

11月18日付 Washington Post 電子版

 

A vital brain structure was forgotten for 100 years because scientists couldn’t agree

重要な脳の構造物が100年間忘れ去られていた。科学者たちの意見が一致しなかったために。

By Rachel Feltman,

VOF を示した1880年代の脳のアトラスからの図(Yeatmanら、PNAS より)

 長く忘れられていた神経経路の複雑な歴史が研究者グループによって追跡され、私たちの読む能力に重要な脳の構造物が論争や混乱のために1世紀の間神経学者から忘れ去られていたことが明らかになった。

 University of Washington の研究者 Jason Yeatman(ジェイソン・イェトマン)氏が数年前に Stanford で PhD(博士号)をとったとき、彼はそれまで耳にしたことがなかった脳の神経線維束を発見した。言語処理と読字に寄与する脳の構造物を研究していた Yeatman 氏は、この知られていない連結構造物が重要なものであると考えた。

37例の脳検査から平均化された VOF を青色で示した脳画像(Yeatman ら、PNAS より)

  彼と共同研究者らは医学文献の中にこの構造物に関する言及を見つけることができなかったため、これは新しい発見の可能性があると考えた。しかし、この分野の他の人たちと接触したところ、古い医学教科書に記載されていたこの神経束をおぼろげに覚えていた1人の科学者から連絡を得た。

 実に古い医学教科書だった。脳の初期の発見の論文を見つけ出すために、Yeatman 氏らは20世紀の始めから文書を調べる必要があった。

 それは vertical occipital fasciculus(VOF, 垂直後頭束)と命名されていて Carl Wernicke(カール・ウェルニッケ)というドイツの神経学者によって発見されたもので彼の 1881 年の脳のアトラスに収められていた。Yeatman 氏の研究論文に功績があったと認められる正当な人物が発見できたことで、そこで終わらせることもできた。しかし彼は学術文献からこの構造物が100年もの間消えていたことに興味をそそられた。「そこから、どうしてこの脳の解剖学的構造が忘れられてしまったのかを見い出すというこの興味深い発見の私たちのミッションが始まったのです」と彼は言う。

 Stanford の蔵書を調査するのに一年を要したが、この謎を彼は解明した。Wernicke がこの VOF を発見したとき、彼の指導者である神経解剖学者 Theodor Meynert(テオドール・マイネルト)を怒らせていた可能性がある。

 Meynert はすべての神経経路は脳を前方から後方へと、すなわち水平に向かっているという理論を立てていた。しかし VOF は垂直方向に走行していたため、その存在は当時の科学者たちに一般に受け入れられていた Meynert の考えに反することになったのである。

 

Meynert は1892年のこの図表に VOF を書き加えていなかった。(Yeatman ら、PNAS より)

 理由がなんであるかはともかく、Meynert は、Wernicke が発見した他の構造物と同じように VOF を話題に取り上げなかった。彼が教え子を意図的に邪険にしたのではなく、この構造物が単に彼の興味を引かなかったという可能性もある。

 Meynert からのメッセージの後押しがなかったためこの構造物は表に出ることはなかった。他の人たちもそれを発見したが、彼らは解剖手法が異なったことから同じ名称でそれを呼ばなかったり異なる表現をした。

 「当時学生であること、そしてこれを解釈しようとしていると想像してみてください」と Yeatman 氏は言う。「そんな構造物は存在しないと言う人や、それに異論を唱えている人がいて、さらにはそれに異なる名称を付け者もいるのです」そういった混乱から、近代の教科書において VOF を認めないような事態になったと彼は考えている。

 まだ不明確ではあるが VOFがきわめて重要であることが今後明らかとなる可能性がある。

 「それは、友人の顔を認識したり単語を読み取ったりするなど、形を認識するのに重要な脳の領域と、目を動かしたり空間中の特殊な場所に焦点を合わせる役割を持つ領域とを連絡しています」と Yeatman 氏は言う。そのためこの経路は脳が2つの異なる種類の知覚をつなぐ役割を果たしていて、読者が文章の書かれているページ全体をざっと読みとり個々の単語を認識することができるのである。

 

Wernicke さんも Meynert さんも非常に有名な神経科学者である。

1800年代後半に次々と脳の機能的解剖学の新発見を行っている。

当時に存在したであろう論争や確執などについては今の我々には知る由もない。

 

垂直後頭束(VOF)は背側および腹側の視覚皮質を連絡する

主要な白質の神経束である。

当時の複雑な事情によって、この経路の存在がうやむやにされた。

このため神経解剖学の教科書には100年以上にわたって

この経路の記載がなかったようである。

最近のMRIを用いた生体での観察から

このVOFは、単語、顔、身体などの視覚的形態認識に関与する

視覚野腹側の領域と、眼球運動や注意や動きの認識に関与する

視覚野背側の領域との間の情報伝達に関わっていると見られている。

視覚的、言語的領域を連絡することで“読み”という能力において

重要な役割を果たしているに違いない。

その昔、発見された重大な情報が科学者たちの都合により

今に至るまで日の目を見ていないといったようなことが

まだまだあるのかもしれない

(ひょっとして実は 『STAP 細胞もありま~す』 なのかも?)。

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顔は命の窓

2014-07-12 23:12:57 | 科学

顔の老化具合でその人の余命がわかるという。
どの程度信憑性があるのだろうか?

7月2日付 Washinton Post 電子版

Can your face reveal how long you’ll live? New technology may provide the answer.
どれくらい長く生きられるか顔でわかる?新しい技術がその答を教えてくれるかも?

BY TARA BAHRAMPOUR,
 保険業者が皆さんの家にやってきて、体重や血圧を記録するだけでなく皆さんの顔写真を撮ると想像していただきたい。そして、そのシワ、シミ、垂れ下がった箇所が、コンピューターにインプットされ、あなたがどれくらい長く生きられるかを推測できるとしたら。
 顔認識技術は、これまで犯罪者の捜査や、行方不明となっている子供が成人となったときどのようになるかを推測することなどのために久しく用いられてきたが、やがては個人的なものとなるかもしれない。それぞれの顔がどの程度老けているかに基づいて個人個人の将来の見通しを解析するシステムの研究に科学者グループが取り組んでいる。
 「老化研究の領域において、他の人たちに比べ急速に老ける、すなわち老化が速い傾向にある人たちがいることがわかっています」今回のアイデアを思いついた University of Illinois の生物人口統計学者の Jay Olshansky 氏は言う。「また、ゆっくりと老化する人の子供はそうでない人たちより長く生きる傾向があることもわかっています」
 この研究はまだ初期段階にあるが、顔認識技術を用いるこのアイデアは、保険料の決定にこれを応用する可能性を探る保険会社の幹部たちから関心を集めている。また、この技術は手遅れになる前にその人たちに健康上の習慣を変えるよう促すことにつながるかもしれない。
 この技術には、老化の徴候を見るために顔写真の精査にコンピューターが用いられる。被験者の民族、性、教育レベルおよび喫煙歴(これらすべては寿命の見込みに影響を及ぼすことが知られている)が計算に入れられ、頬、目、額、口、顎の各セクションを解析し、同じ年齢で同じ背景を持つ他の人たちと比較してその人がどの程度寿命を全うしているかを示しているとみられるシワ、シミ、皮膚の垂れ下がり、およびその他年齢に関係する変化を示すわずかな違いを検出する。
 米国は徐々に高齢化が進んでいることから、寿命を延ばすこと、特に、健康でいる年数を増やすことの研究が公共団体や民間団体の関心を集める話題となっている。
 Google は昨秋、老化とそれに関連する疾患に焦点を合わせた新しい企業 Calico を発表した。このために同社は一流の科学者たちを採用してきた。しかしその計画の詳細や、どれくらいの金額を投資しているかについては明らかにされていない。有名な遺伝研究者 Craig Venter 氏が率いる別の組織 Human Longevity Inc. は加齢に伴う病気に取り組むためヒト DNA 配列のデータベースを構築する計画を持って今春立ち上げられた。同社は初回の投資に7,000万ドルを調達した。
 そして National Institutes of Health(NIH、国立衛生研究所)は最近、老化と寿命に取り組むため、その27の専門機関のうち20機関にまたがる前例のない協力的新規構想を立ち上げた。National Institute on Aging(国立老化研究所)の Richard Hodes 所長によると、NIH はさらにいくつかの新しい機関とともにこの主題に取り組みたいと考えているという。

Howlongyoulllive01

新しいシステムは複雑なアルゴリズムと膨大な顔のデータベースを用いて人の顔の各所がどの程度老いて見えるかを評価する。このサイトを運営する研究者は将来、老化の様相と寿命とを関連付けたいと考えている。ポスト紙の記者2人についてコンピューターがはじき出した結果をここに示す。

 経済的、および社会的意味合いは驚くほど大きくなる可能性がある。いつの日か100才まで生きることが当たり前となるだけでなく、晩期の20~30 年間の生活の質が大幅に改善し、老年人口により背負わされる負担が軽減される可能性がある。
 University of Chicago's Center on Aging の研究員でもある Olshansky が共同で執筆した Health Affairs の論文によると、老化を遅らせることで得られる 2.2 年の寿命の延長は、障害および給付プログラムにおいて50年間で 7.1兆ドルを節減できるという。
 長寿の科学者たちは、健康寿命の延長の鍵は、加齢に関連する疾患よりむしろ、加齢そのものに焦点を当てることにあると指摘する。たとえ小さなものであっても老化のプロセスを遅らせることの進歩は、一つの疾患に取り組む大きな進歩以上に画期的なものとなると彼らは言う。
 事実、いくつかの加齢に関連する疾患に既に用いられている薬は、全般的に見ればそれらが老化を遅らせていることによって効果を発揮しているという事実が明らかにされる可能性がある。
 「糖尿病や黄斑変性症に対して承認された薬剤が実際には老化の発現を遅らせているために効果を発揮しているというそんな時代の始まりの地点にいるのかもしれません」ワシントンを拠点とする支持団体
 人類がいつの日か150年生きることができるようになるかどうかはいまだ明らかではないが、一部の人たちが予測しているように、人間が健康な生活を送ることのできる年数、すなわち“健康期間(health span)”が著しく延長し、加齢に関連した慢性病が減少することについて科学者たちは楽観視する。
 「老化は変えることのできないほど私たちの生物学の深い部分ではありません」Birmingham にあるUniversity of Alabama の生物学部門の Steven Austad 教授は言う。「これらすべては数年前にはサイエンス・フィクションのように思われていましたが今では実現しています。少なくともマウスにおいては」

A personal approach 個人的アプローチ

 今回の顔認識プロジェクトのアイデアは2、3年前、保険業者とのディナーの最中に Olshansky 氏の頭に浮かんだ。「人の生存見込みを評価する時間がほとんどないと彼はぼやいていました」そして、それを行うために用いられる手段があまりにもおおざっぱだと、そう Olshansky 氏は言う。
 人の寿命の限界を調べること、老化を遅らせること、個々および集団の老化の健康的公益的影響の研究を行っていた Olshansky 氏は、一般に長く生きる人は、同じ年の他の人より若く見えるということに気付いていた。その知識をもっと科学的なものに転化できないかと彼は考えた。
 彼は Wilmington にある University of North Carolina のコンピューター科学教授の Karl Ricanek 氏に連絡を取った。彼は National Security Agency(国家安全保障局)、CIA、あるいは FBI の顔認識技術に携わってきた人物である。そして統計学者や他のコンピューター科学者と共同で、彼らは顔写真を解析するプログラムを開発した。
 彼らは、世界中の人たちに写真の提供を呼びかけるウェブサイトを立ち上げた。Face My Age という彼らが開発中のデータベースは、より多くの人が参加すればするほど正確な評価と推測が行えるようになっている。研究者らは少なくとも1万人から2万人、できればさらに多くの大勢の人々に、彼らがどれくらいの速さで老化しているか、それが彼らの寿命の見込みにどのような意味をもたらすかについてのフィードバックを行うことと引き替えに、写真と基本的な経歴情報を提出してもらうよう要請した。写真の人物は笑うことやメーキャップをすることは許されず、もし彼らが形成手術を受けていた場合は申告しなければならない。

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スタッフ記者の Tara Bahrampour は彼女の現在の年齢47才時点の実際の写真で示されている。今後の年齢の画像が Wilmington にある University of North Carolina の Face Aging Group の研究者によって開発されたコンピューター技術を用いて作成されている。

 この技術は顔の老化への現在のアプローチよりさらに個別化されているものである。
 「現在ある技術は集団の標準を用い、それによって人工的に皆さんを老化させることができます」と Ricanek 氏は言う。「しかし、皆さんの顔に描くシワは私の顔の上に彼らが描くシワと実際には同じです。それに対し、私たちが使っているシワは個別のものとなります」
 最初、このサイトは外見的年齢の数字だけが利用者に提供されることになっていたが、改良が進むとともに感知した年齢を顔の異なる部分にも割り当てることができるようになっていると Olshansky 氏は言う。
 「皆さんのiPhoneを取って自分を撮影し我々のウェブサイトに送っていただくと、目は50才のそれ、唇は70才のそれ、頬は50才のそれといったことがわかるという感じです」と彼は言う。
 異なる性や民族集団の人では別個にアルゴリズムが機能すると Ricanek 氏は言う。たとえば、メラニンの少ない色白の人たちの皮膚は、色黒の人の皮膚より、日光露出の結果として老化する傾向にある。また女性の顔は脂肪や血管の分布が異なることにより男性より速く老化する傾向にある。

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スタッフ記者の Robert Samuels は現在の年齢29才で撮られた実際の写真としてここに示されている。後年のイメージが Wilmington にある University of North Carolina の Face Aging Group の研究者によって開発されたコンピューター技術を用いて作成されている。

Wait and see 様子見

 十分な数の被験者が死亡して初めて自分たちの評価がどれほど適正だったかを研究者が知ることができるわけだが、それまではこの技術がどれほど有効であるかは定かではない。しかし、何年も前に撮影されその後死去した人たちの数千枚の写真を入手できるようになってからこのプロジェクトに最近弾みがついている。それほど多くの人たちの死亡日時がわかることによって、この先12から18ヶ月の間に、より信頼できる寿命をこのウェブサイトから利用者に提供し始めることができるだろうと Olshansky 氏は言う。
 もし成功すれば、それは保険会社だけでなく、保健権利擁護者、金融機関、あるいはその他の科学者からも利用されるようになる。
 もしうまくいくとなればこのコンセプトは興味深いと、ニューヨークにある Albert Einstein College of Medicine の Institute for Aging Research の Nir Barzilai 所長は言う。しかし、皮膚の様相だけで老化のより深遠な徴候を明らかにできるかどうかは確かでないと彼は言う。
 「皮膚の生体指標が他の疾患に関連しているかどうかがまさに知りたいところです」と彼は言う。
 100才以上の人たちを研究している Barzilai 氏は、60才から116才までの彼の一部の被験者の写真をこのデータベースに提出する予定だという。
 ミネソタ州 Rochster にある Mayo clinic のKogod Center on Aging の James Kirkland 所長は、人の寿命を評価することより重要なことは、その人の機能的状態を予測することだと指摘する。Ricanek 氏と Olshansky 氏のデータベースではそれを行うことはない。しかし、意外な手段によって科学への貢献につながるようなこれまでの多くの発見と同じように「最終的に何らかの結果につながるパイプラインの一部となる可能性があります」と彼は言う。

Potential for bias 偏見を生む可能性

 一方で、倫理的、実用的懸念も持ち上がってくる可能性があると指摘するのは Michigan State University の哲学および医学倫理学教授の Leonard Fleck 氏である。
 たとえそれで寿命が予測できたとしても、この解析では、人の長期ケアの必要性を予測することはできない可能性があると彼は言う。また、これが差別へのドアを開くことにもなり得る。
 「もし40才の人だったとして60過ぎまで生きられそうにないということが顔に存在したとしたら、雇用主はこう言うだろう『ああ、あなたを重要なポジションには昇格したくない。なぜなら優良な投資になりそうにないからだ』」そう Fleck 氏は指摘する。
 また年齢より若く見える人たちも必ずしも長くは続かない、そう言うのはカリフォルニアに拠点を置き老化研究に資金提供を行っている Glenn Foundation のMark Collins 会長である。きわめて健康に見える人でも時には道半ばにして死亡する場合もあれば、しわだらけに見える人が80才でまだ走り続けていたりします」と彼は言う。
 Olshansky 氏は、顔の老化に長寿との関連が見出されるとしても、全般的なパターンに適合しない外れ値が存在することを認めている。
 「世界で最年長の人は100年間たばこを吸っていました」と彼は言い、米国の大統領たちも外れ値に入る傾向があると付け加える。彼らは、在任期間中、目に見えて速く年を取るが、一般に平均より長生きしているのである。
 しかしながら大方の場合、顔はその人の健康全般の窓となっていると彼は言う。
 「顔には、健康に関する多くのリスクファクターが表れる。たとえば喫煙(口周囲のシワ);アルコール過剰摂取(大きな鼻);太陽への過度の露出(早期の褐色のシミやシワ)そしてストレス」e-mail で彼はそう述べている。
 少なくとも、人の顔‐年齢解析の結果は、被験者に対して良い生活習慣を身につけることでその人たちの健康的な寿命を延ばす努力をするよう促すことにつながり得る。
 「もし誰かがやってきて、たとえば、あなたの余命は今から5年であると言ったら、あなたの生活で営まれていることについてじっくりと考えることになるでしょう」と Ricanek 氏は言う。「それは私たちの目を覚まさせ、今していることのいくつかを変えることにもなり得ます。多分私たちは仕事についてあまりにストレスを感じ過ぎているかもしれない;異なる生活スタイルの決断をする必要があるかもしれない、などです。私は人々に活を入れたいと思っているのです」

非常に興味深い記事であるが、
もし余命があとわずかと判定されてしまったら
その人は生活習慣を改めるどころか
逆に自暴自棄に陥りそうな気もする。
人の余命など、
やはり知らないでいる方がいいのではないかと
思うのである。

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パティスリー“マーズ”へようこそ

2014-01-25 20:29:00 | 科学

このたび火星上で奇妙な石が発見されたそうである。
形だけでなく成分もずいぶん特異なのだという。
この石には果たしてどのような意味があるのだろうか?

1月24日付 Washington Post 電子版

Mars rover Opportunity finds mysterious ‘jelly doughnut rock’ on the Red Planet  
火星探査車 Opportunity(オポチュニティ)が赤い惑星(火星)上で謎の“ゼリー・ドーナツ石”を発見

Marsroveropportunity

By Meeri Kim,
 ほぼ10年前、NASA が“blueberries(ブルーベリー)”と名付けたものを探査車 Opportunity(オポチュニティ)が火星上で発見した。これは小さな鉄分の多い球体で、火星の表面に散乱しており、太古の水の存在を示唆していた。今回、この古い探査車は、謎の“ゼリー・ドーナツ石”の発見によって、十年の探査活動に花を添えた。
 洋菓子サイズのこの石は、これまで科学者たちが火星上で見てきたものすべてと異なっており、それ以前にはなかったところに奇妙にも現れたのである。
 「外側周辺は白く、中央には暗赤色のへこみがあります。ちょうどゼリー・ドーナツに似ています」と Mars Exploration Rover Mission の主任調査官で Cornell University の天文学者 Steven Squyres(スティーヴン・スクワイアズ)氏は言う。彼は Pasadena にある California Institute of Technology で先週行われたこの探査車の10周年を称える祝賀イベントでこの発見を発表した。
 この石は Endeavour Crater(エンデバー・クレーター)の辺縁で Murray Ridge と呼ばれる場所に数週間前に現われた。Murray Ridge は Opportunity がそこで 6回目の火星の冬を迎えていた場所である。前後の写真(冒頭の写真参照)では同じ地面の一画が示されており、そこには小石やゴツゴツした石がころがっている。しかし12日後に撮られた後の方の写真には白色とえび茶色の奇妙な物体の出現が明確に捉えられていたのである。
 「それは出現したのです、明らかにあの場所に現われたのです」と Squyres 氏は言う。NASA はそれを“Pinnacle Island(直訳すると尖塔島、尖閣島?)”と呼んでいる。
 この石がその場所にどのようにしてやってきたのかについて彼は2つの説を考えているが、いずれも皆が期待するような多分に刺激的なものではない。一つの可能性は、Opportunity の走路に付近の隕石の衝撃が岩屑の破片を飛ばしたというものである。もう一つは、より可能性の高い説明であると Squyre 氏が考えていることだが、探査車の6つの車輪の一つが地面から拾い上げたというものだ。
 Pinnacle Island が逆さまの状態にあったため、何十億年もの間大気にさらされていなかった火星の石の下側を偶然発見することができたのだろうと科学者たちは考えている。NASA のチームはその組成を綿密に調査しているが、これまでのところこの石はこれまで見てきた他のものとは全く異なっている。
 「私たちはドーナツ部分とゼリー部分の両方の写真を撮っています」そのイベントで彼は言う。「我々は昨日、ゼリー部分の組成に関して初めてのデータを得ました」
 その暗赤色部分には多くの硫黄とマグネシウムが認められ、さらに、これまでに火星で測定された物質の2倍のマンガンが含まれている。Squyres 氏によると、この結果は NASA の科学者をひどく混乱させており、これが意味することについて激しい議論を呼び起こしているという。
 同チームは、Endeavour Crater における粘土形成した表面下の水性環境についての新たな Opportunity による結果も発表しており、これは1月23日に Science 誌に掲載されている。露出した岩の一部は、これまで Opportunity によって調査された中でも最古の物質で、火星が棲息可能であった時代からのものである。
 隕石衝突以前に存在した水はほぼ中性からわずかに酸性であった可能性があり、生物に有利であった条件を提供するものである。この研究は、かつて“飲むことのできる”水をたたえていた早期の湖の存在を示唆する新型探査車 Curiosity(キュリオシティ)の最近の発見を補完するものである。
 両探査車は火星の歴史像の解明に貢献している:すなわち数十億年前の中性の水を有する温暖で湿潤な環境から、より酸性となり水分活性の減少に至るまでの歴史である。そして、この30億年で火星はきわめて乾燥した生物の棲めない場所となってしまったのである。
 もともとわずか90日間の任務が予定されていた Opportunity は、1月25日に火星到着10周年が祝賀される予定となっている。この10年間に同探査車は火星の地表をほぼ25マイル走行した。しかし、この信頼できるロボットにも老朽化が見られるようになっている。
 「前側の操縦装置が故障しており、ロボットのアームには関節炎が見られます」1月23日の記者会見で Mars Exploration Rovers のプロジェクト・マネージャー John Callas 氏はそう述べた。彼はさらに Opportunity について、そのフラッシュメモリーの障害により“物忘れがある”と表現した。しかし全体として見ると、その長寿命と、火星理解への多大な貢献に対して同チームはうれしい驚きを抱いている。
 最初の年、Opportunity は着陸地点の近くで NASA の科学者たちが、その大きさと球形の形から“ブルーベリー”と名付けたものを発見した。それらは地表一面に散乱しており、さらにブルーベリー・マフィンのように岩に埋め込まれていた。同チームは、この球体が液体水の可能性を示す徴候であると考えた。なぜなら、解析により、それらが、通常水性の環境で形成される酸化鉄である赤鉄鉱(ヘマタイト)でできていることが明らかになったからである。
 「私の言いたいことの一つは、火星は私たちに新しいことを投げかけ続けている、ということです」と Squyres 氏は言う。「それが探査の本質なのです」

この探査車、10年経った今でも、
遠く離れた火星で存分な活躍を見せているとは驚きだ。
今回、この探査車は、天候の回復を待つために
1ヶ月以上同じ場所から動いていなかったところ、
奇妙な石の突然の出現に気付いたようである。
これがただの石ころでないとすると、
そこから新たな発見につながることも期待される。
そんな石ころをゼリードーナツ風と形容するところは
いかにもアメリカらしい。
ところで、NASA がこの不思議な石を
『Pinnacle Island(尖閣島)』と名付けたのはなぜなのか?
まさか日本に配慮して、
なんてことは、ないだろうな~。

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最悪の放射線障害

2013-11-14 10:19:38 | 科学

2004年に死去した
パレスチナ自治政府アラファト議長(当時)の死因について
スイスの研究機関が彼の所持品や身体組織を調査した結果
放射性物質のポロニウム210が相当量検出され、
毒殺だった可能性があることが日本時間の11月8日に発表された。
これについてパレスチナ自治政府の幹部はイスラエルの仕業と
主張しているようだが、イスラエル政府は否定している。
放射性物質を用いた毒殺とは穏やかではないが、
歴史的には類似した手口も見られている。
放射線障害は知れば知るほどその恐ろしさが増してくる。
有名な過去の放射線障害の事例がまとめられた記事を紹介する。

11月7日付 ABC News.com より

10 Worst Cases of Radiation Poisoning 放射線障害、最悪の10大事件
By SUSAN DONALDSON JAMES

 今週、元パレスチナ指導者 Yassar Arafat(ヤーシル・アラファト)の死(2004年に死去)が、放射線被曝によるというニュースが流れた。スイスの科学者たちは、Yasser Arafat の肋骨、骨盤、および彼の腐敗した臓器が染み込んだ土中から正常の18倍の濃度のポロニウムが検出されたことから、彼が毒殺されたものと結論づけられると発表した。
 放射線は19世紀になって初めて発見されたが、その危険性はすぐにはわからなかった。1896年、セルビア系アメリカ人の発明家 Nikola Tesla(ニコラ・テスラ)は意図的に自らの指をX線に被曝させ、やけどが生じたという知見を発表した。
 1927年、アメリカの遺伝学者 Hermann Joseph Muller(ハーマン・J・ミラー)は放射線の遺伝的影響を明らかにした研究を発表し、1946年に彼はノーベル賞を受賞した。
 放射線障害はまれではあるが、致死的となる。ポロニウム‐210(P-210)は138日の放射線半減期を持つ高エネルギーα線放射性物質である。これは体内に摂取された場合のみ有害であるが、それは生物組織においてα粒子の到達距離が低いためである。Journal of Radiologic Protection の2007年のレポートによると、結果的に外部汚染では放射線障害を起こさないという。しかし体内に摂取された場合、この有害物質は一ヶ月以内に致死的となり得る。
 ポロニウムの影響により、“急性放射線症候群”として知られているように、まず嘔気、嘔吐、食欲不振、あるいは下痢が起こる。一定の期間の後、患者には脱毛と骨髄障害が見られ、回復がなければ、数週から数ヶ月以内に死亡する。
 無知や産業災害、あるいは犯意によって引き起こされた放射線障害の恐るべきさらなるケースが歴史により明らかとなっている。

1. Physicist Marie Curie 物理学者 マリー・キュリー

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 ポーランド生まれでフランスに帰化した Marie Curie(マリー・キュリー)はポロニウムとラジウムの発見で2度のノーベル賞を受賞した。20世紀への変わり目、医師や産業界は、ラジウム浣腸や飲料水などを市場に出した。
 Marie Curie は、放射線の人体への影響が十分に理解されていないと警告し、そういった治療に反対した。New York Times の彼女の死亡記事によると、1934年、彼女は放射線被曝によって引き起こされた再生不良性貧血で死亡したという。
 彼女はしばしば、ポケットに放射線同位元素の入った試験管を入れて持ち歩き、机の引き出しにそれらを保管していた。暗闇で放射線が発する青緑色の光を彼女が好んでいたことが伝えらえている。

2. Midori Naka at Hiroshima 広島における Midori Naka(仲みどり)

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 第2次世界大戦中、広島と長崎に落とされた核爆弾でおよそ20万人が死亡した。当時“原爆症 atomic bomb disease”と呼ばれた状態に対して詳細に研究された最初の人物は1945年に広島にいた日本人女優 Midori Naka(仲みどり)だった。

3.Eben Byers イーベン・バイヤーズ

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 ペンシルベニア州ピッツバーグカーネギー図書館によると、鉄鋼業者でゴルフのチャンピオンでもあった 51 才の Eben Byers(イーベン・バイヤーズ)は、当時の治療薬“ラジウム水”を大量に摂取後 1932 年に死亡し、放射線の危険性が注目されることになる。
 彼の理学療法士が、腕の痛みと疲れに対して Radithor(ラジトール)という製剤を勧めた。
 ボトル一本中には、毎食後に飲むよう、ラジウム1マイクログラムとエソトリウム1マイクログラムが3回蒸留した水に含有されていた。
 しかし Byers は体重が減少し、頭痛がみられ、彼の顎の骨は壊死し、数本の歯が抜けた。彼は体重が激減し、激しい頭痛に悩まされた。
 Radithor を製造した会社は、人を惑わす虚偽の広告として取り調べをうけたが、Byers の担当医は彼が痛風で死亡したと主張した。

4. Cecil Kelley セシル・ケリー

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 1958年、ニューメキシコ州 Los Alamos のプルトニウム処理プラントでの労働災害はベテランの化学技師 Cecil Kelley(セシル・ケリー)の命を奪った。
 彼は混合タンクからの致死量の中性子とガンマ線に被曝しひどく苦しんで死亡した。彼が攪拌機のスイッチを入れたとき、液体が渦を巻き、プルトニウムの層が衝撃波として放出されたが、それはわずかに200マイクロ秒間のできごとだった。
 米国科学者連盟によると、Kelly は床に倒れ、「身体が燃えている」と叫んだという。
 当初、彼は心神喪失状態だったが、地元の医療センターに到着したときには意識を取り戻し、嘔吐と過呼吸が始まった。皮膚は赤紫色となり、血液にほとんど酸素が取り込まれていないことを示していた。
 一時的に持ち直したが、その後激しい腹痛、過度の発汗を来たし、不整脈を起こして事故後35時間で Kelly は死亡した。

5. Hisashi Ouchi 大内久

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 日本の最悪の放射線事故は1999年、東海村のウラン再処理施設で起こった。硝酸ウラニル溶液が臨界質量を超え3人の作業員が放射線に被曝した。2008年の著書“Slow Death: 83 Days of Radiation Sickness(被曝治療83日間の記録~東海村臨界事故)”によると、3人の作業員が高線量の放射線に被曝したという。
 そのうちの一人 Hisashi Ouchi(大内久)は東京大学病院救急室に運ばれ2ヶ月半後に死亡した。当初、彼は話すことができたが、放射線活性による細胞内の染色体の崩壊が進むにつれ彼の容態は徐々に悪化していった。

6. Alexander Litvinenko アレキサンドル・リトビネンコ

Radiationpoisoning06

 2006年、元KGB職員の Alexander Litvinenko(アレキサンドル・リトビネンコ)が政治的亡命者としてイギリスで生活していたとき、原因不明に体調を崩し、3週間後病院で死亡した。剖検により彼の飲んだ紅茶から致死量のポロニウム‐210が検出された。死の直前彼はその毒殺を首謀しているとしてロシア政府を告発した。
 ニューヨークタイムズ紙によると、彼の死は“冷戦後で最も衝撃的なドラマの一つ”を作り出したという。ロシアとイギリスの関係は悪化し、両国の外交官が追放された。
 イギリス当局はこの殺人を、現在ロシア下院議員となっている元KGB随行員 Andrei K. Lugovoi(アンドレイ・ルゴボイ)の仕業であるとした。
 一方、Lugovoi はイギリスの秘密情報機関 MI6 と亡命中のロシアの大物 Boris A. Berezovski(ボリス・ベレゾフスキー)が今回の殺人を計画したと告発している。

7. Harry K. Daghlian, Jr ハリー・ダリアン
 1945年、ニューメキシコ州 Los Alamos で起こった事故は、最高機密のマンハッタン計画に参加していたアルメニア系アメリカ人物理学者 Harry K. Daghlian, Jr.(ハリー・ダリアン)の命を奪った。彼はプルトニウムの芯の周りにいくつかの炭化タングステンのブロックを手で積み上げることで中性子反射体を作成しようとしていた。最後のブロックを所定の位置に動かしていたとき、中性子カウンターがこのシステムが臨界超過すると警告した。彼は誤ってブロックを落としてしまい核反応を誘発、その過程で彼は致死量の中性子放射を受けた。彼は25日後に死亡した。
 Atomic Heritage Foundationによると、この最高機密のマンハッタン計画では数人の科学者たちの命が奪われたという。
 1944年、技師らのグループが Philadelphia Navy Yard(フィラデルフィア海軍工廠)の実験施設で作業中、何の前触れもなく爆発があり、施設一帯に放射性活性の高い6フッ化ウランの煙が発生した。
 死亡したのは技師の Peter Newport Bragg Jr. で、ウラン濃縮のための熱拡散工程を遂行するための業務の一環としてチューブを詰まりを取り除いていた。彼の協働者 Douglas Meigs も死亡した。彼らの業務は最初の原子爆弾の開発に不可欠だった。

8. Louis P. Slotin ルイス・スローティン

Radiationpoisoning08

 1946年、カナダ人科学者 Louis P. Slotin(ルイス・スローティン)はニューメキシコ州 Los Alamos における別のマンハッタン計画の実験で死亡した。彼は青い炎に光った致死的なガンマ線と中性子線に被曝した。Slotin はほぼ1,000ラドの放射線を被曝したが、これは生存できた他の6人の同僚よりはるかに多い量だった。
 彼は重傷の下痢、尿量減少、両手の腫脹、体部の発赤、両上肢の広範な水ぶくれ、腸管の運動麻痺、壊疽、さらには“全身体機能の廃絶”を引き起こし、一週間あまりで病院で死去した。

9. Chernobyl Disaster チェルノブイリ大事故

Radiationpoisoning09

 1986年、旧ソビエト連邦のチェルノブイリ原子力発電所で爆発があり、何万人もの死亡を引き起こしたが、その正確な数は完全にはわかっていない。
 公式の死亡者数は急性放射線症候群による31人だが、続発した癌、心疾患、先天奇形などがこの事故と関連づけられている。
 作業員は、電源喪失の事態に陥った際に緊急のディーゼル発電機が作動するまで冷却ポンプの稼働を維持するために十分なエネルギーをタービンが作り出せるかどうかをテストする予定だった。
 安全装置が意図的に止められ、原子炉の出力を下げる必要があった。しかし、Green Peace によると、出力レベルが1%以下に下がったためそれを増大させる必要があったとき、予想外の出力上昇が起こったという。緊急停止は作動せず、激しい爆発が引き起こされた。
 この事故では広島原爆より多くの放射線が放出された。

10. K-19 Submarine K-19 原子力潜水艦

Radiationpoisoning10

 1961年、核弾道ミサイルを搭載する2隻のうちの第一号にあたるソビエトの潜水艦はその原子炉が“狂ってしまう”事態に陥った。その原子炉の冷却システムに漏れが生じ、温度が危険なほど高くなる原因となった。
 船長の Nikolai Vladimirovich Zateyey は艦を救うために英雄的苦闘する中、7人の乗員が死に至った。
 Los Angeles Times の1994年の記事によると、原子炉は爆発しなかったがこれらの男たちは“殺してほしいと乗員仲間に懇願しながら”放射線障害の苦しみの中、死亡したという。
 この潜水艦全体が汚染され、2、3年以内に20人以上が死亡した。
 ソビエト連邦が崩壊し放射線により乗員の多くが死亡したことをプラウダ紙が明らかにするまでこの潜水艦と乗組員たちの悲劇は公表されなかった。
 この事故は2002年の映画“K-19:The Widowmaker”の題材となっている(邦題K-19、The Widowmaker は『未亡人製造艦』の意)。

本稿では強調されていないが、
最悪の放射線障害が広島・長崎原爆であることは
言うまでもない。
ただ現代の原子力利用がこういった多くの犠牲の上に
発展を遂げてきたことは確かである。
この歴史を今後どのように生かすべきか
人類は今一度慎重に考える必要がある。

なお10件中2件に日本人が関わっている。
日本人は放射線の怖さを十分知っているはずである。
Fukushima がこれに入らなくて良かったとは思うが
その被害の甚大さにおいては
これらに十分匹敵する事態といえるだろう。

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目を開けたまま、くしゃみをしてみよう

2013-04-17 23:05:15 | 科学

  くしゃみをするときに自然に目をつぶってしまうのは
なぜ?
これまでそんなことを特に疑問に思ったことなどなかったが、
考えてみれば不思議である。
既に花粉症の季節は訪れているが、
くしゃみという現象は一種の防御反応だという。
その瞬間に目をつぶる意義とは一体何なのだろうか?

4月12日付 NBCnews.com

The eye-popping truth about why we close our eyes when we sneeze なぜくしゃみをするときに目を閉じるのかについて目玉が飛び出るような真実

Sneezeandeyepopping
By Meghan Holohan
 蕾の出かかった花のほのかな香りが漂うと胸の圧力が高まり始める。鼻がむずむずし、眼がパチンと閉じて、a-a-a-a-c-hooo(ハ、ハ、ハックション)、くしゃみが時速75~100マイルで噴射。この先、長い悲惨なアレルギーの季節が訪れると、それが何度も繰り返されることになる。
 私たちは皆どのようにしてくしゃみが起こるのかは知っている。わからないのは、くしゃみをするときにどうして自動的に両目をつむるのかということである。子供たちは目が飛びだすのをそれによって防ぐためだと言うかもしれないが、少なくともほとんどは都市伝説である。とはいえそれが実際に起こったという報告が少なくとも一つある。
 “Don’t Swallow Your Gum! Myths, Half ?Truths, and Outright Lies About Your Body and Health(ガムを飲みこんじゃダメ!―身体と健康に関する神話、半面の真実、真っ赤なウソ)”の共著者である Rachel Vreeman 博士によると、くしゃみのあと(眼球脱臼と呼ばれる)眼球が飛び出した女性についての記事を 1882 年の New York Timesに見つけているという。
 1882年4月30日に掲載されたその記事によると、ある女性が“2日前にとんでもない目に遭った。路面電車に乗っているとき、突然のくしゃみの発作に襲われ、片方の目が飛び出し、それ以来ひどい激痛に見舞われた”のだという。
 Vreeman 氏によれば、くしゃみによる眼球脱臼についての現代医学におけるエビデンスはないそうだが、激しく嘔吐する人には起こっていることを彼女は認めている。しかし、通常、これは、目の筋肉に異常がある人にのみ起こるものである。
 興味深いことに、目の筋肉は、眼球が飛び出るという都市伝説を否定するためのちょっとした攻撃材料を提供してくれる。
 「瞼を閉じておけば眼球が飛び出すのを防げるなんて話ではないのです」と University of Chicago Medicine の外科教授で、耳鼻咽喉科の科長である Robert Naclerio 氏は言う。「筋肉が十分強いから大丈夫というようなものではありません」
 もちろん、眼瞼の筋肉には眼球を保持する強度がないという理由だけで激しいくしゃみで眼球が飛び出してしまうかもしれないということにはならない。
 ウイスコンシン州 Eau Claire にある Mayo Clinic Health System の検眼士 Bert Moritz 氏は、6つの外眼筋が眼球を眼窩内にしっかりと固定しているため、眼球が逸脱することはほとんどありえないと説明する(それを聞いて安心!)。
 また、くしゃみの直前に顔全体の圧が上昇するかのように感じられるかもしれないが、眼窩内の圧が増大することはない。
 「空気の通り道である鼻腔は骨や膜によって目とは隔絶されているのです」と Neclerio 氏は言う。
 それでは、なぜ私たちはくしゃみをするときに眼を強く閉じるのだろうか?
 「これは無意識の反射です」と Moritz 氏は説明する。「私たちの脳がくしゃみの筋肉に信号を送るとき、その信号の一部は眼を閉じるものとなっているのです。それは深部腱反射に似ています」
 深部腱反射は医師が小さなハンマーで膝を叩くと膝がピクッと動くときに見られるものである。分かりやすく言えばそれは制御できない身体の反応である。指で目をこじ開けない限り、目を開けたままくしゃみをすることは不可能に思われる。
 それは、Mythbusters(伝説バスターズという番組)の一人の男性その他大勢が実際にやってみせてくれている。
 「もしくしゃみをしているときにそれをやってみれば、目をあけておくことは確かに可能です。しかし、それには反射に抗する行為をする必要があります」 Indiana University School of Medicine の小児科准教授で共著者の Vreeman 氏は言う。「それはきわめて強い反応です。身体は、自身の気道内を一掃するために集められるだけの力を加えようとするのです」
 Moritz 氏によると、くしゃみをするときに自分が放出したものから目を防護するために目を閉じるのだと理論立てる人もいるという。くしゃみによって私たちはアレルゲンから自身を守るわけだが、目を閉じるという反射をさらに進んだ防御行動として身につけた可能性がある。
 「私たちが粘液などを放出するとき目を閉じるのは、そんな物質を目の中に入れたくないからではないかと考える生物学者もいるのです」と彼は言う。

日本人にくしゃみの擬音の定番は
ハックション!だが、
英語圏では“ achoo !”らしい。
『アチューッ!』??
国によってずいぶん違うようだ。
しかし、共通しているのは
目を開けたままくしゃみはできないということだ。
くしゃみをするときに顔の筋肉が対称的に動き、
それに連動して目を閉じる筋肉も強く収縮するためである。
くしゃみというのは相当瞬発性の強い動作であり、
顔面の表情筋全体が収縮する。
この時、目を閉じる筋である眼輪筋にも不随意に
共同運動を行うが、この運動は意識的に止めることは
できないのである。
これは気道内の異物排除の効率を最大限にするために
顔中の筋肉を総動員することを身に着けた結果なのだという。
記事中にあった動画では
指で目をこじ開けながら抵抗していたようであるが、
そんな強い反射でも訓練次第では
目を開けたままくしゃみができるようになるとか…
ま、そんな技を身に着けたところで
眼球が飛び出すことはないにしても
何の役にも立ちそうにないと思うのである。

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