MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

ウイルス感染と子供たちの麻痺

2015-03-11 17:19:55 | 健康・病気

昨年米国でエンテロウイルスによる気道感染症が流行した。

それとほぼ時を同じくして、

ポリオに類似した急性の手足の麻痺を起こす小児が急増。

両者の関連が強く疑われているもののいまだその確証はつかめていない。

患児本人はもちろん、家族や医療者も、この謎の多い疾病に困惑している。

 

3月2日付 Washington Post 電子版

 

Mystery paralysis in children is perplexing parents — and researchers

親たち、そして研究者たちを困惑させる小児の原因不明の麻痺

By Brady Dennis,

Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health の研究者 Aaron Milstone と Priya Duggal の両氏はエンテロウイルス感染後に麻痺が出た子供たちを救う研究を主導している。

 昨年、エンテロウイルスの流行期間中に発病した子供たちの多くは、発熱、鼻汁、咳、くしゃみなど症状は比較的軽微だった。

 しかしここに謎が存在する:100人以上の子供たちが、急速に発症する原因不明のポリオ様の麻痺に襲われたが、現在にいたるまでこの疾患が研究者らを困らせ、全国で家族の生活を混乱させ続けているというのである。

 Johns Hopkins University の Priya Duggal 氏らにとって最大の謎は、同じようにこのウイルスに曝された兄弟がほとんど無症状で免れている一方でなぜこれらの子供たちに麻痺が出現したのかということである。

 「元気な子供たちと異なる何かがこれらの(麻痺の出た)子供たちにあるのでしょうか」遺伝疫学者の Duggal 氏は言う。「恐らくそれは宿主の問題であり、このウイルスは麻痺を引き起こす誘因となっています。たぶん彼らの遺伝子構造に何かがあるのでしょう」

 Duggal 氏と研究員の Aaron Milstone 氏、David Thomas 氏は今回の麻痺に襲われた家族のために原因を究明しようとしている専門家であり、国内の患者から DNA を集めている。

 医師たちは“acute flaccid myelitis(急性弛緩性脊髄炎)”という病態が昨年のエンテロウイルス D68(EV-D68)の全国的流行に関係があると考えている。これらのウイルスは夏や秋に流行する一群のウイルスの一部である。しかし因果関係を証明できていない。今回の流行では恐らく数百万人の子供たちが感染し、重症の呼吸器症状で数千人が診療所や緊急室を受診した。

 麻痺を発症した子供たちの多くもこのウイルスに感染しているが、感染当初、彼らは、その兄弟や同年代の子供たちと比べて重症ではなかった。しかし数日後、突然筋力低下が出現する。

 その平均年齢は8才よりやや低いが、その子供たちの一部は手や足が動かなくなる。中には最終的に車椅子での生活や人工呼吸器が必要となるものもいる。疾病対策予防センター(CDC)によると、一部の子供は改善するが完全に回復する子供はほとんどいないという。

Doctors flummoxed 混乱する医師たち

 最近、Hopkins の遺伝研究の一環として Duggal 氏は新たな現実と戦っている家族に DNA キットを送った。キットの一つがオレゴン州フッド山近くの村 Welches の Sheehan 家の自宅に届いた。

 当時7才だった Bailey Sheehan ちゃんは10月21日、頭痛と頸部から背部にかけての痛みで目を覚ましていた。彼女はまもなく呼吸器感染症を起こした。他の家族、両親、5 才の弟 Caleb、そして4ヶ月の妹 Andi にもインフルエンザ様の症状が見られた。

 しかし Bailey ちゃん以外は全員回復した。彼女の呼吸器症状は治ったが、神経の痛みは増悪した。ある朝、彼女は両手を持ち上げるのがむずかしくなった。その後ソファから立ち上がろうとして倒れ込んだ。「ママ、足が動かないの」と彼女は叫んだ。

 母親の Mikell Sheehan さんは娘を車で1時間の Portland にある Randall Children's Hospital に急いで連れて行った。Bailey の右手は肩から肘にかけて力が低下しており、右足は足首から膝にかけて麻痺していた。彼女は西ナイルウイルス、ギラン・バレー症候群などの検査を受けた。医師は Bailey がエンテロウイルス D68 に感染していたことを発見したが、それが麻痺の原因となっているのかどうかは断定できなかった。

 「その医師らは私たちに(原因は)わからないとだけ言いました」と Sheehan さんは言う。「『かなりの痛みがあって足が動かない小さな娘さんにこう言わなければならないのは非常につらいのだけど、それをどのように治療すべきか私にはわかりませんし、他の医師らも同じなのです』と言われました」

 答えを探し回った Sheehan さんは医学文献を徹底的に調べ、CDC の専門家に電話をかけ、発症した子供の親たちとオンラインで情報を交換した。彼女はオバマ大統領や他の議員に手紙を書き、リポーターに話をし、Johns Hopkins などの臨床研究に娘を登録した。

 今回の苦難が始まってほぼ4ヶ月、現在8才の Bailey ちゃんはいまだに週6日の集中的理学療法を受けている。彼女は再び自転車に乗れるよう練習している;しかし彼女の麻痺した足はペダルに固定する必要がある。彼女は最近2学年に戻ったがいまだに足の装具と歩行器を使っている。

 ほかの子供たちも同じように戦っている。

ミズーリ州 Joplin の13才の Billy Sticklen 君はこの夏、呼吸器系ウイルス EV -D68 の流行中にポリオ様の麻痺を発症した。Billy の家族は Joplin から Kansas City に転居し、Children's Mercy Hospital で理学療法を受けている。1月28日、治療用プールで Billy を担当する作業療法士の Kelly Grabendike さん。

 ミズーリ州 Joplin の13才の少年は9月に麻痺が出てから車椅子で数ヶ月を過ごした;いまだに歩くのには杖を使っている。テネシー州の1年生の少年は右手が使えない。オレゴン州の別の少女は首から下がほぼ完全に麻痺している。

 ニューハンプシャー州 Seabrook の Dan Dugan 君 13才は昨秋、左上下肢に麻痺が出て Boston 病院で約50日間を過ごした。友人や企業が資金集めの組織を作った。ある店は『Danny のために祈りましょう』と書かれた表示を掲げた。数ヶ月のリハビリテーションによって、6人兄弟の末っ子である Dan 君は車椅子から歩行器に移ることができるようになり、最近特殊な杖を使い始めたところである。

 「彼はかなり憤っていました」彼の父親であり Seabrook で Pat’s Towing 社を所有する機械工 Patrick Dugan 氏は言う。「今、彼は起こったことに落ち込んではいません。彼はすべてを受け入れた感じです」

No direct link to virus found 何も見つかっていないウイルスとの直接的な関連性

 ミズーリ州 Kansas City にある Children's Mercy Hospital の感染症のチーフ Mary Anne Jackson 氏はこの不可解な疾患を解明しようとしている研究者の一人である。

 昨年、4才から13才の子供たち数例が表面化したとき、彼女らはエンテロウイルスが問題の原因ではないかと考えた。

 「我々は、EV-D68 ウイルスを発見できると考え、血液、脳脊髄液、便を調べましたが、そこには存在していませんでした」と Jackson 氏は言う。

 国内の他の医師らが気付いていたことを彼女らも MRI で確認した:脊髄の特異な領域の特徴的な障害である。「それはポリオの典型的な所見です。画像上ポリオに類似してます」と Jackson 氏は言う。

 Kansas City や他の小児病院の医師らは、画像上の同じパターンが過去に見逃されていないかどうか四肢の麻痺を起こした子供たちの過去の多数の MRI を調べている。CDC の研究者らも同じように当惑している。

 数例の急性弛緩性麻痺が発生することがまれではない年もあると CDC の神経疫学者の Jim Sejvar 氏は言う。しかし当局が国内の医師に問い合わせたところ、「ほぼ全員が一致して、実際に今回のようなことは見たことがないという反応です」と彼は述べている。

 他の専門科と同様、Sejvar 氏は EV-D68 とこの突然の麻痺の発症との間に特筆すべき関連があると考えている。「疫学的カーブを重ねると、それらはほぼ一致するのです」と彼は言う。

 これまでのところ CDC の科学者らは、他の研究者を上回る直接的関連の発見に成功していない。彼らは最近、麻痺を起こした子供たちが、他の子供たちに比べて EV-D68 に感染していた可能性が高いかどうかを明らかにするよう考案された血中の抗体を調べる検査を開発した。

 しかし、当局が、昨秋以降、およびそれ以前の年以降に、重症の呼吸器疾患や他のインフルエンザ様症状を経験した子供たちの血液を検査したところ、彼らのほぼ全員がこのウイルスに対する抗体を保有しており、EV-D68 が麻痺症例の原因であるという新たな証拠は得られなかった。さらなる手詰まり状態に陥っている。

 「良い結果が出ることを我々は切実に望んでいます。誰もが解明を求めているのです」と Sejvar 氏は言う。

 CDC はこれまでにこの疾患であることが判明した112 人の子供たちを追跡する長期臨床研究を計画している。彼らの麻痺がどのように進行するか、時間とともに改善するかどうか、どのような治療が有効かを見ようとするものである。

 Aurora にある Children's Hospital Colorado の感染症の医師 Kevin Messacar 氏はそのような取り組みに参加する予定である。彼と数人の研究者らは、同病院で治療を受けた本疾患の12人の子供たちについて記述した研究を最近 Lancet に発表した。彼らの知見は EV-D68 と、続発した神経症状の間の“関連性の可能性”を示唆するもので、それによると新しく出現した株、あるいはウイルス変異を示す可能性があるという。「我々は答えを持ってはいませんが、さらなる試験が行われるような仮説や見解を生み出すことで科学は進歩するのだと思います」と Messacar 氏は言う。

 彼らは、麻痺した子供たちや家族が医療的ケアを受けられるだけでなく、解決策を待つ間の精神的サポートのために集まることができる多くの専門分野を網羅するクリニックを立ち上げる支援をしてきている。

 「親としては、わからないということできわめてイライラさせられることになります」と Messacar 氏は言う。「我々の責務は彼らに誠実であることです。現時点で、このような新しい疾患について知られていないことがあまりに多く存在します。我々の仕事は、彼らがこの疾患に対応するのを支えるために身体的、精神的サポートを与えることです。

Genetic fears 遺伝子上の懸念

 Hopkins の研究者らは麻痺を起こした子供たちの DNA と麻痺を起こさなかった彼らの兄弟の DNA を比較したいと考えている。「同じ家族内の子供たちが同じウイルスに感染した可能性は高いです。しかし、あるものはこのような重症の結果となり、あるものは単なるウイルス感染症で済んでいるのです」と Duggal 氏は言う。「そこには何か遺伝子的なものがある可能性が我々に示唆されます」

 Sheehan さんはその説は道理にかなっていると考える。2月17日、Bailey の受診と理学療法の合間に彼女は Hopkins から送られてきた2本のプラスチックチューブに Bailey と Caleb の唾液サンプルを採取した。彼女はそれらをあらかじめ宛名が書かれた封筒に入れ、郵便局で投函した。

 この研究が成果を生むまでに一年あるいはそれ以上を要する可能性があり、さらにそのときになっても答えがわからないままかもしれないということは彼女にもわかっている。しかし、研究者らがこの謎に取り組んでいるということを知ることが彼女の最大の懸念を和らげてくれる。「Bailey や他の子供たちが忘れ去られることを恐れているのです」と彼女は言う。

このウイルスに感染した子供たちの親が臨床研究に参加するために連絡してくれることを研究者らは望んでいる。参加者は唾液のサンプルキットの一部としてこのチュープが送られる。

 

エンテロウイルス D68(EV-D68)は、

ピコルナウイルス科エンテロウイルス属で

エンテロウイルスD種に属するRNAウイルスである。

生物学的には風邪の原因となるライノウイルスとエンテロウイルスの

両者の性質を併せ持つ。

米国では 2014年8月、この EV-D68 による呼吸器疾患が流行し全米に広がった。

同年の小児感染者は1,000例以上に及んだという。

一方、時を同じくして米コロラド小児病院に

急性弛緩性麻痺や脳神経障害を発症した小児患者が次々に入院し問題となった。

これらの神経障害が EV-D68 の感染に関係することが示唆されている。

しかしそれまで EV-D68 に関連した神経障害の報告は2例と少なかったことから、

今回の神経併発症はウイルス側になんらかの変化が生じた可能性が考えられている。

Lancet に報告された米コロラド小児病院の患児 12例の年齢の中央値は11.5才、

発症から神経症状発現までの期間は中央値で7日だった。

神経症状としては、弛緩性の四肢の脱力(罹患肢は必ずしも一定でない)、

脳神経障害(複視、顔面神経麻痺、構音障害、嚥下障害)が認められている。

MRI では脊髄灰白質に病変が認められたが、主に脊髄前角に多く見られた。

脳幹部に病変を認める症例もあった。

患児の鼻咽頭からはライノウイルスまたはエンテロウイルスが73%に

検出されたが EV-D68 陽性例は45%だった。

しかし脳脊髄液、血液、直腸からはエンテロウイルスは検出されなかった。

今のところ神経症状に対する有効な治療法はない。

中には神経症状の改善が認められたケースもあるが、

四肢の麻痺が出現した患児の多くでは下肢の脱力が持続している。

日本でも 2005 年以降 EV-D68 検出例の報告があるが、

2010年と2013年には120例以上で検出されている。

また 2013年に EV-D68 が検出されポリオ様の弛緩性麻痺を

発症した症例が報告されている。

日本ではまだ EV-D68 の大きな流行は起こっていないが

米国での動向から今後本邦でも EV-D68 が流行する可能性があり、

麻痺発症例に対する警戒も必要である。

このウイルスに対するワクチン製造や有効な治療薬の開発が急がれるが、

麻痺発症のメカニズムが一刻も早く解明されることを願うばかりである。

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2015年4月新ドラマ

2015-03-09 15:52:29 | テレビ番組

まずは2015年1月クールのドラマを総括します。

 毎度勝手な感想で恐縮ですが

3月8日までの視聴率[関東地区・ビデオリサーチ社調べ]上位の

ドラマから順に勝手な寸評を書いてみます。

(括弧内は平均視聴率、大河ドラマを除く)

 

『相棒(13)』(17.83%)

3年間相棒を務めてきた成宮寛貴が今シリーズをもって卒業とか。相変わらずの高視聴率ながらマンネリ化回避に先手を打つのも高人気維持に必要なのかも。次の相棒を誰にするかは今のところ不明だが、杉下右京を入れ替えるという考えはないのだろうか?

『DOCTORS3~最強の名医~』(14.34%)

このドラマ、全シリーズ一貫して沢村一樹演じる相良浩介が高島政伸演じる森山卓を手玉に取ろうとするパターンの連続でドラマに進展が見られない。さすがに見飽きた。相良が最終的に何をしたいのかも一向に見えてこず、今シリーズは視聴をあきらめた。ここまでの視聴率を維持できる理由が不明。

『〇〇(まるまる)妻』(14.24%)

完璧に家事をこなすが正体不明の怪しい妻に隠された暗い過去を、まるで視聴者をもてあそぶかのように小出しに明らかにしていく展開はまさに『家政婦のミタ』と同じ(脚本家、製作スタッフも)。さすがに二番煎じでは『ミタ』の時ほどの新鮮味はなく、誰もが楽しめないのは当然で、予想通り期待したほどの視聴率は獲れなかった。いかんなく大根ぶりを発揮した東山紀之と黒木瞳に指導!

『銭の戦争』(12.97%)

韓国ドラマの日本版リメイクということで期待したが、安直なドラマである。どん底の時も、うれしい時も、悲しいときも、怒りに震えるときも、とにかく最初から最後まで草剛演じる主人公・白石富生の表情が一緒だった(ある意味すごい)。オリジナルはとてつもない激変ドラマで緊張感ただよう作品だったのかもしれないが、草のおかげ!で毎回が淡々と進んだ感がある。それと大島優子、もう少し演技力があると思っていたのだが残念。ただ木村文乃の引き立て役としては大活躍だったといえそうである。とにかく眠いドラマだった。

『デート~恋とはどんなものかしら~』(12.13%)

荒唐無稽なストーリーとか、リアリティにほど遠いとか、もはやそんなことはどうでもよい。徹底的に無機質なリケジョと、映画や書物に耽溺するニート(高等遊民)が繰り広げる、共感域を大きく外れる恋愛コメディだが、とにかく単純に笑って楽しむことはできた。今のご時世、それはそれでいいのかも。長谷川博已の演技はなかなかで、もう少し視聴率が獲れるものと思ったが、年齢層の高いところの視聴者が獲得できなかった可能性はある。直前の杏の結婚も痛かった。

『ウロボロス』(10.40%)

生田斗真、小栗旬でこの数字とは…やはり緊張感が維持できなかったところが問題。そこは上野樹里の責任大。この人どうみてもキャリア警察官に見えなかった。しゃべりの端々に『のだめ』が出てきて、もはやこの人にはシリアスドラマは無理?結末を楽しみに思うことができず、あえなくリタイア。

『流星ワゴン』(10.10%)

西島秀俊のメリハリのない演技、それと対照的な香川照之の大げさな演技。さらにウザい『ニセ広島弁』。『カズ~、お前は何を考えとるんじゃ~』が出るたびに、あゝうんざり。一雄にタイムスリップさせ、なぜかそこに自分と同い年の父親“忠さん”を登場させるのだが、それによって何を訴えたいのか。色んなことがさっぱりわからないドラマ。右肩下がりの視聴率も十分うなづける内容である。

『問題のあるレストラン』(9.40%)

(“MOZU”では最悪だった)真木よう子の違った一面が見られ、地味ながらなかなかいいドラマだと個人的には思う。ただ男たちからのセクハラ・パワハラ・モラハラを逃れてきた女性陣が個性に乏しく、無理やりメリハリをつけるべく用意されたのがオネエのハイジさんだったのかもしれないが、女性オンリーの方が良かったのでは?とにかく今の時代、こういうドラマでは視聴率はなかなか獲れないことは確かである。

『学校のカイダン』(9.39%)

広瀬すずの演技はこの程度で仕方ないのかも。ただ言葉で人を動かそうとするのであれば発声練習だけはもう少ししておけば良かったかも。ピンクのメガホンを通しても、声が前に出ていない…(残念)。奇跡的に視聴継続できたのも神木隆之介のおかげと思う。藤原さくらの挿入歌も良かっただけに惜しい作品。

『ゴーストライター』(8.55%)

2回なんとか視聴するもリタイア。最近、熱愛報道などで人気が低下している中谷美紀(“軍師官兵衛”での演技に失望)と以前から華が感じられない水川あさみの組み合わせでは低視聴率は仕方ないだろう。次回への期待感が全く湧かず、また暗い結末しか予想されないこともあって、視聴意欲が削がれた。

『残念な夫。』(7.71%)

このドラマの内容では男性視聴者は離れるのは当然な“残念な”ドラマ。倉科カナ、玉木宏ともミスキャスト。企画段階からもう少し練ってほしいものである。

『セカンド・ラブ』(7.26%)

初回のみ視聴。亀梨のラブシーンが生々しすぎて嫌悪感のみ残った。深キョンは相変わらずの “キョトン” 演技でこれまでのドラマと全く変わるところなし。低視聴率男優と低視聴率女優のコンビで案の定の低人気。

『美しき罠~残花繚乱~』(6.60%)

初回のみ視聴。田中麗奈ってホントに演技上手なのだろうか?主役が完全に脇役の若村麻由美に食われてしまった。それと、最近よく使われているが青柳翔ってそんなにいいだろうか?キャスティングに問題がありそうだ。『昼顔』に続くヒットを TBS も狙ったのかもしれないがそう簡単にはいかないものである。

『まっしろ』(5.91%)

コメントつける価値もない最低のドラマ。初回40分でリタイア。そもそもセレブ病院が舞台という設定からダメ。この時点で視る気を失う。さらに主人公が“玉の輿”を狙うナース、で、ハイ、思考停止。そして、相変わらずの堀北真希の“お人形演技”でとどめを刺された(この人にコメディ無理)。とにかく、どういう感覚、どういう意図でドラマ作りをしているのか制作者らの見識を疑ってしまう駄作。

 

2015年1月クールはとんでもなく低レベル。

マンネリ感の強い『相棒(13)』が最上位とは…

実際どのドラマも内容がひどいものでした。

特に TBS は今クールも悲惨な状況。なんとかしていただきたい。

フジも今ひとつだが、個人的には

『デート』『問題のあるレストラン』は良かったように思います。

ここで一つ言わせていただきたいのですが、

初回の15分延長あるいは120分スペシャル、というのは

逆効果のように思われてなりません。

初回放映の時間が長いとダラダラと間延びした感じを受けるだけで

2回以降への期待感はしぼむばかり。

むしろ初回は定時にスパッと収めてあとは次回のお楽しみとした方が

はるかにいいように思うのですがどうでしょう。

延長した分、結局視聴率を下げてしまっているような気がしてなりません。

 

それでは4月からの新番組の内容をチェックしてみましょう。

今クールは新年度とあって

1月クールとは段違いに各局気合いの入った作品が目白押しです。

ただ、それがドラマの面白さに直結しているのならよいのですが…。

 

フジ月9 4/13~ 『ようこそ、わが家へ』 相葉雅紀(嵐)、有村架純、南果歩、寺尾聰 他

原作は池井戸潤の小説『ようこそ、わが家へ』。そして主演は、月9主役が嵐から松本潤、大野智に続いて3人目となる相葉雅紀(この人、嵐のメンバーでは一番月9と縁がなさそうに思えただけに意外!)。『ストーカー』と『会社の不正』に立ち向かう家族の絆が描かれる月9史上初めてとなるサスペンスタッチのホームドラマ。原作は中小企業に出向中の銀行マンの父親が主人公となっているが、本ドラマでは倉田家の長男・健太を主人公に置き換えストーリーが再構築される。主人公・倉田健太(相葉雅紀)は、父親の倉田太一(寺尾聰)、妹の倉田七菜(有村架純)、母親の倉田珪子(南果歩)との家族4人で郊外の一軒家に暮らしていた。健太は売れない商業デザイナー、人と争うのが苦手なため自己主張を貫くことができず、つい相手に合わせてしまう、そんな気弱な性格、真面目だけが取り柄だった。その性格は父の太一ゆずりだったが“意気地が無く頼りない父親のようにはなりたくない”と反発する健太と父親との関係は冷え切っていた。 ある日、健太は、ホームで女性を突き飛ばし、割り込み乗車をしようとした男を注意する。柄にもない行為に健太自身も驚いたが、それは仕事が上手くいかない鬱憤からの行動だった。ところが、その日を境に倉田家に対する執拗な嫌がらせが始まる。花壇が踏み荒らされ一本残らず花が引き抜かれたり、自転車のサドルが切り裂かれたり、郵便ポストに瀕死のネコが投げ込まれたり…。 健太と家族は穏やかな日常を取り戻すべくストーカーが誰なのかを突き止めようとするが、倉田家の周りには疑わしい人物が何人も存在した。平凡な家族を襲った身近に潜む恐怖が描かれる。月9にサスペンスドラマとは意外に新鮮でいいかも(相葉くんの演技力がちと心配ではあるが…)。

 

フジ火9 4月よりドラマ枠廃止

 

フジ(関西テレビ)火10 4/14~ 『戦う!書店ガール』 渡辺麻友(AKB48)、稲森いずみ、大東駿介、鈴木ちなみ、伊野尾慧(Hey!Say!JUMP)、木下ほうか、井上順、田辺誠一

原作は女性作家・碧野圭(あおのけい)の同名小説。渡辺麻友と稲盛いずみのW主演。20代と40代の女性書店員が、世代間ギャップや境遇の違いから互いにぶつかり合いながらも仕事や恋といった人生の難題に果敢に挑み乗り越えていくことで、自分自身に足りなかったものや忘れていたことに気付きお互いに成長していくというウーマン・ライフ・ドラマ。吉祥寺にある老舗書店『ペガサス書房』のアラフォー副店長・西岡理子(稲盛いずみ)は、はねっかえりの部下・北村亜紀(渡辺麻友)の扱いに手を焼いていた。亜紀は協調性がなく、恋愛も自由奔放。仕事でも好き勝手な提案ばかりしていた。そんな亜紀の方も、ダメ出しばかりする『頭の固い上司』の理子に猛反発。23才と40才の世代間ギャップ、そして『コネ入社のお嬢様』対『叩き上げの苦労人』。そんなある日、店にとんでもない危機が…。主人公の2人のほかに、亜紀に一目ぼれするコミック編集者に大東駿介、女子2人の奮闘を見つめる謎の男に田辺誠一、ペザサス書房の書店員に鈴木ちなみ、Hey!Say!JUMP の伊野尾慧、同店店長に木下ほうか、理子の父親に井上順。書店を舞台とした人間ドラマを軽妙に描くお仕事エンタテインメントで、本好きの人にはお薦め。

 

TBS 火10 4/14~ 『マザー・ゲーム~彼女たちの階級~』 木村文乃、長谷川京子、貫地谷しほり、安達祐実、檀れい 他

名門幼稚園を舞台に子育てに励む母親たち、現代を生きる女達の友情を描くオリジナル・ヒューマンドラマ。木村文乃が連続ドラマ初主演。華やかな名門幼稚園に足を踏み入れてしまったバツイチのシングルマザー・蒲原希子を演じる。バツイチ・シングルマザーの蒲原希子(木村文乃)は弁当屋を立ち上げるため祖父・徹治の家に移り住み多忙な毎日を送っていた。5才になる息子・陽斗を保育園に預けなければ仕事ができないため、区役所で保育園待機児童の担当職員に掛け合うがすぐに入園させることはできないと言われる。窮地に陥っていた希子の肩をポンと叩く人物が現われる。そしてとある幼稚園への入園が決まる。初登園日、希子は陽斗を幼稚園まで送り届けると、そこの園児達は高級乗用車で送り迎え、母親たちは揃って高級ブランドバッグを持ち歩く、そんな名門幼稚園だった。年収250万円の希子にとってあまりの場違いな恰好や雰囲気だったが、ママたちの中に中高時代の同級生で、ソフト部でバッテリーを組んでいた神谷由紀(貫地谷しほり)の姿を発見する。由紀に声を掛けたものの、ここは希子のような庶民が来るところではないとバッサリ切り捨てられてしまう。ママたちの中でも、他と一線を画していたのが、開業医の妻・矢野聡子(長谷川京子)、元キャリアウーマンの後藤みどり(安達祐実)、そして園ママの絶対的トップ・小田寺毬絵(檀れい)だった。一見華やかに見えるセレブママたちだったが、それぞれ人に言えない問題を抱えていた。『まっしろ』のセレブ病院に続いて今度はセレブ幼稚園とは…。木村文乃には気の毒だがとても視聴率は期待できそうにない。

 

テレ朝水9 4/22~ 『警視庁捜査一課9係(10)』 渡瀬恒彦、井ノ原快彦(V6)、羽田美智子、津田寛治、吹越満、田口浩正、原沙知絵、中越典子

特にコメントなし。根強い地味系刑事ドラマファンにはお楽しみの作品。

 

日テレ水10 4/15~ 『Dr. 倫太郎』 堺雅人、蒼井優、吉瀬美智子、内田有紀、高梨臨、高橋一生、真飛聖、中西美帆、余貴美子、遠藤憲一、酒井若菜、長塚圭史、松重豊、石橋蓮司、高畑淳子、小日向文世

ある精神科医が主人公となるヒューマン・エンターテインメント・ドラマ、中園ミホによるオリジナル脚本。堺雅人がスーパー精神科医・日野倫太郎を演じる。医療ドラマで中園ミホ、とくれば『ワタシ失敗しないので』精神科医版?その卓越した人間洞察能力で傷ついた人々の心に寄り添い、心の病を解きほぐしていく。主人公の日野倫太郎は慧南大学病院に勤務する独身の精神科医。内閣官房長官をも常連患者に持ち、コメンテーターとしてテレビ出演もこなすスーパー精神科医。しかしそんな彼だが、自分自身の恋愛は全く不得手だった。『恋愛とは一過性の精神疾患のような状態である』とまで言い切る。ある日、倫太郎は大学の理事長・円能寺一雄(小日向文世)との会食で一人の女性と出会う。彼女は新橋の売れっ子芸者・夢乃(蒼井優)。彼女は心に大きな傷を抱えていたが倫太郎の卓越した治療法をもってしてもどうしてもコントロールすることができない存在となり、彼の人生はそこから少しずつ狂い始めていくことになる。基本は毎回ゲストが登場する一話完結型のドラマだが縦軸となるものが何かあるようだ。その他、倫太郎の幼馴染で彼の一番の理解者である慧南大学病院の外科医・水島百合子を吉瀬美智子、倫太郎を信頼し尊敬する看護師でシングルマザーの桐生薫に内田有紀、倫太郎のファンで精神科医を目指して慧南大学病院に入った研修医・川上葉子に高梨臨、成績優秀だが人前で話したり初対面の人と話すのが苦手な研修医・福原大策に高橋一生、慧南大学医学部精神科主任教授で倫太郎のライバル的存在の宮川貴博に長塚圭史、いつもクールを装い自分の意見を口に出さない慧南大学病院の副病院長兼脳神経外科主任教授の蓮見栄介に松重豊、などなかなかのキャスティングである。堺雅人演ずる精神科医、しっかり見てみたい気がする。

 

フジ水 10 4/8~ 『心がポキッとね』 阿部サダヲ、水原希子、藤木直人、山口智子 他

それぞれが過去の失敗や心の傷のせいで不器用にしか生きられないようになり、他人にとっても、自身にとっても究極に面倒くさい存在となってしまった『病んでる大人』4人が織りなすラブコメディ。奇想天外に絡み合う人間関係を軸に、人と人とが心の奥深くでつながる関係を模索する姿が、軽やかに明るくブラックユーモアを交えて描かれる。岡田惠和によるオリジナル脚本。主人公の小島春太(阿部サダヲ)は勤めていた大手企業をオーバーワークと周囲からのプレッシャーから心を病んで退社、現在は東京のアンティーク家具店で家具の修理を担当している。仕事も家庭も失いホームレス生活をしていたところをこの家具店のオーナー・大竹心(藤木直人)に拾われたのである。自分の決めたルールを頑なに守り、自分一人の世界に閉じこもって、ストレスを感じることなく心の平静を保とうとしながら暮らしていた。そんな春太の閉ざされた世界に突然飛び込んできたのが葉山みやこ(水原希子)である。みやこは男に惚れるとまわりが全く見えなくなり、のめり込んでしまうストーカー気質のため、恋愛がらみで警察沙汰となって勤めていた会社を退社していた。あるとき街で窮地を救ってくれたどこの誰だかわからない男性に惚れ込んだが、その男が大竹だった。一方、大竹には美しく知的な彼女・鴨田静(山口智子)がいたのだが、実は静は春太の元妻だったのである。それぞれ悩みを抱えた4人が傷ついた心で恋ドラマを展開する。阿部サダヲの演技力に期待したい。

 

TBS木9 4/16~ 『ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~』 大島優子、北村一輝、勝地涼、本田翼、田中哲司、山口紗弥加、名取裕子、遠藤憲一

警視庁組織犯罪対策部(いわゆるマルボウ)内の『暴力団離脱者相談電話』通称、“足抜けコール”を舞台にした警察ドラマ。平成4年3月に施行された『暴力団による不当な行為の防止などに関する法律』通称、 “暴対法”の流れで、政治家や警察官僚からの上意下達により、この“足抜けコール”が誕生した。“足抜けコール”担当刑事の仕事は、暴力団の構成員(ヤクザ)を堅気に戻すことであり、構成員から“足抜けコール”があると、本人とコンタクトを取り、保護、所属していた暴力団組織に話をつけ、最終的には堅気の就職先も斡旋するという。大島優子が演じるのは“足抜けコール”で働く謎多き女警察官・永光麦秋(ながみつ・ばくしゅう)。大島は連続ドラマ初主演。麦秋は、保護対象者が脅しにかけられても、その脅しをかけてきた人間に身ひとつで立ち向かい、相手がどんな巨大な敵だろうが情け容赦なく叩きのめさなくてはならない。どうやらヤクザを目の敵にする理由が麦秋にはあるようで、麦秋の葛藤と成長、そして彼女の周囲の人間模様が描かれる。始まる前から申し訳ないが、とても視聴率が獲れそうなドラマに思えないのである。

 

テレ朝木9 4/16~ 『アイムホーム』 木村拓哉(SMAP)、上戸彩、水野美紀、田中圭、鈴木浩介、高橋來、山口まゆ、新井浩文、光石研、渡辺いっけい、及川光博、西田敏行

原作は『ビッグコミックオリジナル』に1997年から1998年にかけて連載された石坂啓の漫画『アイムホーム』。テレビ朝日連続ドラマ初主演となる木村拓哉と、彼とは初共演となる上戸彩が夫婦を演じ、記憶を失った男が自分探しミステリーに挑む新しいタイプのホームドラマ。『家族とは何か』『家とは何か』といった問題の答えを追い求めていく。証券会社のエリートサラリーマンだった家路久(いえじひさし)(木村拓哉)は単身赴任先で起きたある事故によって過去5年間の記憶を失ってしまう。事故後、暇な部署に異動させられた家路には5年前に結婚した妻・恵(上戸彩)や彼女との間にできた息子が仮面をかぶっているように見えてしまい表情も感情もうかがうことができなくなる。妻子に対して愛情があるのかさえもわからなくなった家路は苦悩するが、その一方で家路の記憶の中では5年前に離婚した前妻と娘への愛着が増していた。空白の5年間を探るため、家路は手元に残った謎の10本の鍵の束を手掛かりに、過去の自分を探す旅を始める。その中で、冷徹な仕事人間で上昇志向の強かった過去の自分、現在からは想像もつかない人物像が徐々に明らかになっていく。『10本の鍵の束に秘められた謎とは?』『過去の妻子と分かれた経緯とは?』『現在の妻子はなぜ仮面のように見えるのか?』などの疑問を解決すべく、鍵束を手に過去に関わった人たちの家を訪れようとする家路の姿が描かれる。

 

フジ木10 4/9~ 『医師たちの恋愛事情』 斎藤工、石田ゆり子、相武紗季、平山浩行、板谷由夏、伊原剛志、生瀬勝久

なぜか女性から絶大な人気のある斎藤工が、外科医の主人公・守田春樹を演じる。春樹は患者を救うことだけを考える心優しい性格を持つ熱血外科医。しかし仕事の忙しさから恋愛の仕方を忘れてしまっていた。春樹は外科医の腕を磨きたいと大学病院に赴任することになるが正義感の強い彼は利益と権威を最優先し様々な欲望が渦巻く大学病院の体制に反発する。そんな中、彼は、仕事一筋で婚期を逃してしまっていた先輩外科医・近藤千鶴(石田ゆり子)に出会い、徐々にひかれていく。このほか、シングルマザーで肉食女子の麻酔科医・河合奈々に相武紗季、女性には誰彼構わず手を出し春樹をライバル視する外科医・高橋宗太郎に平山浩行、不妊治療中の内科医・市川友子に板谷由夏、出世のために媚びを売り様々な女性にちょっかいを出す外科医・大根良太に三宅弘城、春樹の良き理解者となる外科医・仁志祐介に伊原剛志、売り上げ第一主義で費用効率を最優先するため春樹と対立することになる大学病院の経営本部長・渡辺幹夫に生瀬勝久というキャスティング。大学病院を舞台に、それぞれの医師が『秘密』を抱えながらも、出世争い・恋愛・不倫・三角関係など、様々な欲望が渦巻く中を生きていく『医療ドラマ』と『恋愛ドラマ』が融合した『医療ラブストーリー』とか。面白いのやら、つまらないのやら、さっぱり予想がつかない。

 

TBS金10 4/10~ 『アルジャーノンに花束を』 山下智久、栗山千明、窪田正孝、工藤阿須加、菊池風磨(Sexy Zone)、谷村美月、大政絢、河相我聞、いしだ壱成、草刈民代、中原丈雄、萩原聖人、石丸幹二

ダニエル・キイス著作の大ベストセラー『アルジャーノンに花束を』のドラマ化。その主役をなぜか山ピー。1959年に発表され、1966年に長編小説として改作された『アルジャーノンに…』は知的障害を持つ青年が超知能を手に入れた喜びと、それによって身につまされる孤独を通して人間の心の真実を問いかける物語でこれまで3度の映画化や舞台化がなされている。ドラマは野島伸司の脚本により日本が舞台となる。28歳だが知能は6歳児並みという知的障害者の白鳥咲人(山下智久)は、少年刑務所入所歴があるなど“訳アリ”な若者が集まる花の配送センター『ドリームフラワーサービス』で働いていた。ある日、咲人は同僚の柳川隆一(窪田正孝)と軽トラに乗り、望月遥香(栗山千明)の住むマンションにバラの花束を届けに行く。遥香は配達人の咲人が精神遅滞者であることを知らないため、咲人の対応に驚いた彼女は警察を呼ぼうとする。慌てて駆けつけた柳川が事情を説明し、その場は収まるかに思われたが、咲人は玄関の飾り棚にあるアクセサリースタンドのキラキラ光るイヤリングに惹きつけられ、つい手を伸ばしてしまったことでもうひと騒動を起こしてしまう。届け物もろくにできない咲人だったが、純粋で心の優しい彼の夢は、ママが好きになってくれる“お利口さん”になることだった。一方、遥香が勤める『脳生理科学研究センター』では、チームリーダーの蜂須賀(石丸幹二)が研究を進めていた知的能力を向上させる研究が進み、白ネズミのアルジャーノンへの動物実験が成功していた。蜂須賀による製薬会社へのプレゼンも上手くいき、社長の河口玲二(中原丈雄)から次の展開となる臨床試験を行うよう後押しされるが、プレゼンから戻ってきた研究員たちは、口々に時期尚早ではないかと心配する声が…。しかし、蜂須賀に科学者としてだけでなく男性としても惹かれていた遥香は、蜂須賀の判断を妄信的に信じていた。早速、遥香たちは障害者たちを支援している施設へ赴き、臨床試験の被験者を探すのだが、副作用のリスクなどを鑑み、了承をもらえる被験者がなかなか見つからないでいた。そんな中、アルジャーノンが檻から逃げ出し行方不明になってしまう。アルジャーノンに取り付けているGPSで居場所を確認するのだが、探し当てることが出来ないでいた。その頃、咲人は、会社の同僚たちと渋谷へナンパをしに行っていた。仲間の言いなりに一人で路上に立ち女性へ声をかけていた咲人だったが、ガラの悪い男にからまれ殴られてしまう。血だらけになって道端に転がる咲人。そんな咲人のもとへ、一匹の白いネズミが近寄ってきた。それに気がついた咲人は……。知能を手にいれたがゆえに新たな苦しみを抱くことになる咲人の運命は?窮地に立たされている山ピー、起死回生の大逆転なるか?それも山ピーの演技力次第。

 

テレ朝金 11:15(金曜ナイトドラマ) 4/10~ 『天使と悪魔~未解決事件匿名交渉課』 剛力彩芽、渡部篤郎、長谷川朝晴、内藤理沙、中村静香、荒川良々、宇崎竜童

“天使のような”女性警察官と“悪魔のような”弁護士が“司法取引”という禁断の交渉によって未解決事件の真相と追い求めるという未解決ミステリーとリーガルサスペンスを融合させた捜査ドラマ。人を信じることしかできない新人警察官・蒔田ヒカリを剛力彩芽、誰も信じない謎の天才弁護士・茶島龍之介を渡部篤郎が演じる。生き方も性格も正反対の2人は『司法取引』の有効性を実証するという裏目的のために設置された捜査ユニット『警視庁未解決事件匿名交渉課』に招集される。そこで与えられたミッションは『未解決事件を司法取引という禁断の交渉で解決せよ』。2人は未解決事件の裏に潜む究極の黒幕を明らかにすべく〈匿名交渉=司法取引〉という新たな手法で事件を解決する。『司法取引』とは主犯の罪を密告することで自分の罪を軽減するシステムで米国では広く取り入れられている。嘘によって未解決となっている事件の関係者から言質を取り究極の黒幕を追い詰めようとするものである。主人公のヒカリは警察官だった父と同じ道を選んだ正直で真面目な女性警察官。人を疑うことを知らない天使のような性格のために、肝心なところで容疑者にだまされるというミスを繰り返し自信を喪失。刑事に向いていないと悟り寿退社を決意したが、恋人に裏切られて破局をした挙げ句、『未解決事件資料室』という閑職に追いやられてしまう。そんなヒカリだったが、持ち合わせている捜査知識に関しては非凡なものがあり運動神経も良かった。そのヒカリの前に突如現れ『警視庁未解決事件匿名交渉課』の一員となってともに活動することになるのが、シニカルな思想を持った正体不明の悪徳天才弁護士・茶島。彼がなぜ司法取引を極秘裏に使い未解決事件を解決する仕事を請け負ったのかは誰も知らない。弁護士でありながあら人を信じることのできない一匹狼。『どんな人間にも必ず裏がある』という信念を持っている。他人の心の裏を見抜く天才的な心理分析能力、弁論術、そして論理的思考能力に長けている。その一方で、身体能力は並以下、暴力や運動は苦手、金好きなため庶民の生活水準を嫌がるやっかいな男。この天使と悪魔のような好対照の凸凹バディが未解決事件の解決に挑む。ここしばらく主役から遠ざかっていた剛力は久々だが、また渡部の顔を見るのかと思うとちょっとうんざりな気もする。

 

日テレ土9 4/11~ 『ドS刑事(どえすでか)』 多部未華子、大倉忠義(関ジャニ∞)、吉田羊、早乙女光(Hey!Say!JUMP)、中村靖日、勝村政信、石井正則、ミッツ・マングローブ、瀬戸さおり、菅裕輔、伊武雅刀、岸本加世子

原作は七尾与史の推理小説『ドS刑事シリーズ』。超ドSな女刑事が主人公の刑事ドラマ。多部未華子演じる主人公・黒井マヤは、組織への忠誠心も正義感もゼロ、規律も完全スルーでワガママ放題、とにかく人の困った顔を見るのが大好きというトンデモ女刑事。刑事になった動機も、悪人を好きなだけ“いたぶる”ことができると考えたからとか。しかし、マヤは殺人に関する色々な物をコレクションしているという殺人現場マニア。また鋭い洞察力で誰よりも早く犯人にたどり着く能力を持っており、サディスティックな言動で世の悪人たちを一掃する超個性的な美人刑事、またの名を“史上最強のドS刑事”といった。そんな彼女の目にとまり不運にもマヤとバディを組まされる羽目になるのが代官山脩介(大倉忠義)。真面目でお人よしだがオッチョコチョイなところのある脩介は交番勤務の巡査。家庭では気の強い母と妹に挟まれ、虐げられる毎日を送っていたのだが、ある事件現場でマヤと出会ったばっかりにバディを結成することになる。この最強バディが難事件の解決を繰り広げていくポリスコメディ。『古畑任三郎』の古畑と今泉の関係をさらに極端にした感じかも。『デカワンコ』の時も始まる前はとんでもない作品と思っていたが多部未華子の奮闘が光ったことから今回もひょっとしたら?なドラマになるかもしれない。

 

NHK日8 継続 大河ドラマ 『花燃ゆ』 井上真央、大沢たかお、伊勢谷友介、高良健吾、東出昌大、原田泰造、優香、石丸幹二、瀬戸康史、劇団ひとり、要潤、大野拓朗、長塚京三、檀ふみ、奥田瑛二、北大路欣也

主人公が幕末の思想家・吉田松陰の妹・文(ふみ)というほとんど無名の人物のためか、何年か前の『江』と同じように歴史的事実への主人公の関わりがほとんど創作となっている。これは仕方ないとしてもそこに時代を無視したイケメンとのロマンスや、あの吉田松陰が妹から影響を受けたことなど、とんでもない展開に時間の多くが割かれてしまうと、もはやこれまでの大河ドラマとは別物になってしまう。多くの大河ファンが離れていくのも理解できる。もう一つ指摘したいのはこれまでの同時代を描いた大河に登場した俳優はできるだけ避けてもらいたいということ。『篤姫』で父親役だった長塚京三、『龍馬伝』で佐久間象山役だった奥田瑛二、高杉晋作だった伊勢谷友介、『篤姫』で大久保正助役・『龍馬伝』で近藤勇役だった原田泰造、などである。これではまるで韓流時代劇と同じである(またあの人が…てな感じ)。今後は改善してもらいたいところである。NHK がどういう視聴者層をターゲットに制作しているのか全く不明で、今年もあまり視聴意欲が湧かないが、引き続き見守りたいと思う。

 

TBS 日9 4/26~ 『天皇の料理番』 佐藤健、黒木華、桐谷健太、柄本佑、高岡早紀、佐藤蛾次郎、芦名星、森岡龍、石橋杏奈、坪倉由幸(我が家)、西沢仁太、黒田大輔、大西武志、渡邊衛、大熊ひろたか、城戸裕次、鈴木亮平、武田鉄矢、伊藤英明、麻生祐未、加藤雅也、日野陽仁、大島さと子、美保純、杉本哲太、小林薫

今クールの日曜劇場はTBSテレビ60周年特別企画~究極の夢と愛の物語、でご覧の豪華キャスト。フランス・パリでのロケも敢行した金のかかった作品。原作は直木賞作家・杉森久英の小説『天皇の料理番』。料理人になりたいという夢をつかみとるため上京した片田舎の青年が妻を、家族を愛し、師を慕い、仲間を頼り、夢を信じ、そして料理を愛し抜き、ついには『天皇の料理番』にまで上り詰めていく明治から昭和にかけての激動の時代を生きた男の史実に基づく人間ドラマ。モデルとなるのは大正・昭和時代に宮内省大膳頭を務めた秋山徳蔵。ドラマでは主人公は秋山篤蔵となっておりこれを佐藤健が演じる。何をやっても長続きしなかった片田舎の厄介ものだった篤蔵は夢をつかみ取るため心機一転上京、ひょんなことから食べたカツレツがきっかけで西洋料理のシェフになるという途方もない夢を持つ。当時の日本人としては珍しかったフランス・パリへの修行に赴き、差別・偏見と闘いながらも世界最高峰のオテル・リッツのシェフとなり、ついには26歳という若さにして宮内省大膳頭・皇室の台所を預かる『天皇の料理番』となる。佐藤健以外のキャスティングは、篤蔵と16才で結婚し料理人になりたいという彼の夢を誰よりも強く支える妻・俊子に黒木華、篤蔵が“料理人としての父”と慕う華族会館の料理長・宇佐美鎌市に小林薫、その華族会館の下っ端コックとして共に苦労し篤蔵が慕い頼る生涯の友・松井新太郎に桐谷健太、篤蔵の優秀な兄で、東京の大学に進学し弁護士になる夢を持つ篤蔵のよき理解者・秋山周太郎には鈴木亮平。また、ひょんなことから篤蔵にカツレツを振る舞い、料理人への夢をかきたてた軍隊のコック・田辺祐吉軍曹役に伊藤英明。篤蔵と周太郎の父として子供たちの行く末を案じる秋山周蔵に杉本哲太。時代にマッチした雰囲気がどれくらい映像化されるかが課題だろう。佐藤健と料理が好きな人たちには楽しみな作品(そうでなければどうでもいい?)


日テレ 日10:30 4/19~(初回のみ放映開始は10:00) 『ワイルド・ヒーローズ』 TAKAHIRO(EXILE)、岩田剛典(三代目J Soul Brothers)、青柳翔(劇団EXILE)、野替悠平(劇団EXILE)、八木将康(劇団EXILE)、佐藤大樹(EXILE)、黒木啓司(EXILE)、桜田ひより、水沢エレナ、塚本高史、内藤剛志

日テレのドラマ新設枠は日曜日夜10:30 からという微妙な時間からスタート。その第1弾は望月三起也のコミック 『ワイルド7』 のドラマ化。EXILE による EXILE と EXILE のファンのために作られたようなドラマ。『主人公と高校時代の悪ガキ仲間による7人の友情』をテーマに、かつてヤンキーだった主人公が、6人の仲間とともに少女を救うというストーリーが描かれる。TAKAHIRO 演じる主人公のキー坊こと瀬川希一は若いころは無茶ばかりしていたが、そんな生活も卒業し今は社会人となっていた。そんな希一が、あるとき思いがけず一人の少女を救い行動をともにすることになる。しかし、その少女は裏社会に命を狙われていたようで、彼もまた追われる身となってしまう。そんな窮地を救ってくれることになるのが、かつての高校時代の悪ガキ仲間たちだった。突然巻き込まれた危機的状況を、ヘコタレない男たちが次々に乗り越え、かつての友情と絆を取り戻していく。10才の謎の少女・五嶋日花里役は、『明日、ママがいない』で好演を見せた12才の桜田ひよりが演じる。ストーリーとしては悪くはなさそうだが、日曜日の夜遅くにこんなドラマを見たいのはやはり EXILE ファンだけかも?

 

阿部サダヲと堺雅人の水10対決が見もの。

テレ朝とキムタクというどこか不適合な感じの『アイムホーム』が

果たしてどれくらいの視聴率を獲得できるでしょうか?

『ドクターX』『Doctors』から視聴率が急降下なんてことになれば

キムタクの今後に黄信号。

佐藤健の日曜劇場は気合いだけが空回りしそうなネタではあります。

今クール、やはり大本命は堺雅人『Dr.倫太郎』になるんでしょうか。

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私のこの声、痛みの原因は何?

2015-03-01 16:37:57 | 健康・病気

2月のメディカル・ミステリーです。

2月23日付 Washington Post 電子版

Medical Mysteries: What was wrong with the professor’s voice? 
メディカル・ミステリー:教授の声の原因は何か?


By Sandra G. Boodman,
 Catherine Cutter(キャサリン・カッター)さんの声は生きる糧だった。微生物学者で Penn State University(ペンシルベニア州立大学)の食品科学のこの教授は、獣鳥肉産業の食品安全について大きな授業で講義を行っていた。しかし2008年、Cutter さんの力強いアルトの声がかすれ気味のささやき声に悪化してから、自身の学術的キャリアが終わってしまうのではないかと心配した。もし学生たちが彼女の声をほとんど聴くことができなくなればどうやって教えることができるだろうか?
 その授業だけが失声症によって影響を受ける Cutter さんの生活の唯一の領域ではなかった。2人の10代の子供の母親でもあった Cutter さん(現在52才)は、自分の子供たちに「叫ぶことも、ましてや話すこともできず」、彼らの注意を引くには壁やカウンターを叩くしかなかったことを思い起こす。さらには社会的状況も徐々に難しくなり、レストランに行くことも面倒な作業となっていった。彼女の声を聞いてもうらうことができなかったため、銀行やドライクリーニング店でドライブスルーを利用することも不可能だった。
 「私はまさにひきこもりとなりました」と Cutter さんは言う。彼女は自分の不可解な疾患のために20数人に及ぶ専門医に助けを求めた。医師らが処方した治療法は、たまに効果があり改善が得られてもせいぜい一時的だった。
 それからの2年、Cutter さんは救いを探し求めてきたが徒労に終わっていた。しかしチャンスは、別の疾患を治すための危険性を伴う手術についてのセカンド・オピニオンのためのある脳神経外科医への受診という形で訪れた。
 それまでは「皆、見るべき場所を間違っていたのです」と Cutter さんは言う。

食品科学の教授 Catherine Cutter さんは自分の震える声が学術的キャリアを脅かすことになるのではないかと心配した。

 その症状は彼女の喉のしこりから始まった。2008年6月、サウスカロライナ州 Myrtle Beach で夫と子供たちと過ごしていた休暇中のある朝、Cutter さんは喉に何かが刺さったように感じて目を覚ました。その前夜は家族でメキシコ料理を食べていた。「私は間違って木片を飲みこんだのだろうと思いました」 そう Cutter さんは思い起こす。
 その休暇はそれまで平穏無事であり、彼女の家族はウォータースポーツを存分に楽しんでいた。一日前、ボディーサーフィンをしていた Cutter さんは波によって目から火の出るような力で海底に叩きつけられていた。頸を捻挫したと思った彼女は「起き上がり、海から出ると、その日の残りの時間は見ているだけにしようと思いました4」という。
 ペンシルベニア州の州立大学に戻っても、喉に何かが詰まっている感じが続いていた。Cutter さんがかかりつけの内科医を受診すると、胃酸の逆流を起こしたものと考えられ薬が処方された。
 数週間後、彼女の声が徐々にかすれ気味となったため Cutter さんは胃腸科専門医と耳鼻咽喉科専門医を受診した。喉や上部消化管を診る上部内視鏡では逆流の証拠は認められなかったが、この専門医両名はそれが疑われると言い、より強い制酸剤を処方した。胸やけは感じないと Cutter さんが主張すると、その医師らは逆流症では嗄声など様々な症状を引き起こす可能性があると彼女に説明した。
 2ヶ月後、症状が良くなることはなく Cutter さんは話すときにけいれんするような感覚を感じるようになった。さらに奇妙なことに気が付いていた:朝起きてから最初の1時間は彼女の声は正常だったし、座ったり、足を上げたりすると声は回復したのである。
 彼女は神経外科医を受診した。彼は脳と脊髄のCT、MRI検査を行ったが、それらには何も問題はなく、サーフィン事故による損傷は除外できるようだった;しかし彼女の声の症状についてはどう説明すればいいのか分からず彼は困惑していた。
 苛立った Cutter さんは受診範囲を広げることにした。彼女は自宅から車で2時間の Hershey にある胃腸科医を受診したり、4時間かかる Philadelphia の整形外科医を受診した。しかしどちらの医師も新たな考えを持たなかった。
 彼女の声が聞き取りにくくなり、症状の予測もできなくなったため教壇に立って教えることができなくなった Cutter さんはいくつかの方策を考え出した。彼女は、マイクの助けを借りて座ったまま教え、オンライン教材を頻繁に利用することにした。学術的キャリアを築くために何年も懸命に働いてきたが、教え続ける能力についての心配が徐々に高まっていった。
 11月、彼女は Philadelphia を再び訪れ3人目となる胃腸科医を受診した。今回は Hospital of the University of Pennsylvania の医師である。彼はさらに検査を行って胃酸の逆流をはっきりと否定し、彼の同僚で発声障害を専門としているペンシルベニアの耳鼻咽喉科医 Kevin Leahy 氏に彼女を紹介した。
 彼女の病歴と検査に基づいて Leahy 氏は彼女が痙攣性発声障害(abductor spasmodic dysphonia)ではないかと考えた。これは原因不明の神経疾患で、ぎくしゃくした嗄声が起こる。(WAMU トーク・ショー[ MrK 註:アンカーウーマンのダイアン・リーム女史が時事問題や文化について、アメリカのさまざまな専門家や文化人と一般のリスナーを交えて話し合う2時間番組] の司会者 Diane Rehm がこの病気で彼女のキャリアがほとんど終わるところだったと語っている)。Cutter さんの声、年齢、性、および他の要因からそれが示唆されると Leahy 氏は言った。
 診断は「完全に確定的なものではありませんでした」と Leahy 氏は近頃思い起こす。「奇妙なことに、彼女が胸の高さより高く足を上げると彼女の声は良くなったのですが、これは痙攣性発声障害に典型的ではありません」

Botox benefits ボトックス( Botox:ボツリヌス毒素)が有効

 Leahy 氏の勧めで Cutter さんは彼女の声帯を強化することを目指して自宅近くの言語聴覚士と訓練を始めた。彼女は一連のボトックス注射療法の第1回を行うために2009年2月にペンシルベニアを再び訪れた。シワ伸ばしの美容的治療で用いられるこの筋麻痺薬は痙攣性発声障害の治療にも承認されている。3ヶ月間隔で投与されるこの薬剤は声帯筋が痙攣しないようにすることで効果を発揮する。
 最初の注射は効果があり、Cutter さんの声が増強されたため5月にはポルトガルでスピーチすることもできた。
 しかし 10月には彼女の健康全般が悪化していた。ボトックスの効果は何ヶ月も続かず数週間で消失する上に Cutter さんには両肩から頸にかけて鈍い痛みが出現、その痛みは両前腕に放散した。また彼女は偏頭痛を起こすようになり、飲み込む時に間欠的ではあるが強い痛みを感じた(それは“アイスクリーム頭痛”よりひどかった)。
 「恐ろしかったです」と彼女は思い起こす。彼女の時間とエネルギーは医療機関への受診で費やされたが、それにはフィラデルフィアへの往復8時間のドライブも含まれた。医師らは甲状腺癌、脳腫瘍、神経疾患である重症筋無力症など多くの疾患を除外していたが、いまだに何が原因であるのかを説明できなかった。
 両前腕と頸の痛みは整形外科的なものと考えた彼女はさらに検査を受けた。整形外科医は脊椎に椎間板ヘルニアを発見した。それは彼女の頸部や肩の痛みを説明できるかもしれないが声の問題は説明できない。Cutter さんは鍼治療、続いてステロイド注射で上半身の痛みを和らげようとしたがいずれも効果はなかった。
 2010年4月、State College の神経外科医が Cutter さんの脳の MRI を新たに行った。今回はその検査で神経を圧迫しているように見える拡張した動脈が明らかになった。
 その神経外科医は、彼女が舌咽神経痛ではないかと考えた。これは喉から脳へと感覚を伝える第9脳神経の刺激によって引き起こされる病気である。彼は、頭部の痛みを緩和させるのを目的とする脳手術、すなわち神経血管減圧術(microvascular decompression)を勧め Cleveland Clinic に彼女を紹介した。
 Cleveland まで出かけたくなかった Cutter さんは Leahy 氏に神経外科医への紹介を依頼した。Leahy 氏はそのような手術の有効性に懸念を持っていた;彼によると、その手術はリスクが高く、患者につけが回る可能性があるという。セカンドオピニオンを求めて彼は Cutter さんをペンシルベニアの神経外科医 John Lee 氏に紹介した。
 2010年6月に受診すると Lee 氏は驚くべき示唆を行った。ボディサーフィンの事故後の頸部痛、喉のしこりなどの症状、横になると声が改善すること等に基づいて、彼女が Eagle syndrome(イーグル症候群)という稀な疾患ではないかと考えていることを Cutter さんに伝えたのである。

More than a second opinion セカンド・オピニオンを越えて

 Eagle 症候群は頭蓋骨から下方(舌骨方向)に伸びる茎状突起と呼ばれる骨片が舌咽神経などの隣接構造物を圧迫し刺激することで発症する。全人口のおよそ4%が過長茎状突起(約1インチ=2.54cm を超えるものと見なされる)を持っているが、そのうちそれによって問題を生ずるのは4%に過ぎない。外傷や扁桃腺摘出術後に疼痛が生ずることがあるが、それはこれらによって骨の増長が促進されるためである。Cutter さんの場合、サーフィンによる頸部外傷が引き金となっていたと思われる。
 「彼女の声の症状は想定外の展開でした」と Leahy 氏は言う。なぜなら、声の症状は通常 Eagle症候群では見られず、症状からは痙攣性発生障害が示唆されたからである。
 診断を確定するため Cutter さんはさらに新たな CT 検査を受けた。これはこれまでの検査とは異なる部位に行われた:彼女の頭蓋底に焦点を当てるものである。その検査で、1インチの長さを少し上回る茎状突起が明らかになった。他の検査で診断が確定され彼女が茎状突起手術の適応であることが示唆された。
 「私は大喜びでした」そう Cutter さんは思い起こす。ついに彼女は、自身の症状を説明できる診断だけでなく解決法をも得たのである。
 Cutter さんは 8 月にペンシルベニアで手術を受けた。手術は Leahy 氏と耳鼻咽喉科の准教授 Jason Newman 氏によって行われた。手術ロボットを用いた1時間程のこの手術で過長な骨を切除し Cutter さんの右側の扁桃が摘出された;これは2011年8月の Otolaryngology Head and Neck Surgery 誌で症例報告の対象となっている。
 「それは非常につらい手術です」と Leahy 氏は言う。それは Cutter さんも認めている。手術の間、口を開けたままにされていたため顎が固まってしまい、それによって彼女は20ポンド(約9kg)体重が減り、理学療法を数週間行った。
 しかしその苦痛もそれだけの価値があったと彼女は言う。彼女の声は正常に戻り彼女の他の症状も消失したのである。「私は非常に彼らに恩義を感じています」Lee 氏、Leahy 氏、そして Newman 氏について Cutter さんはそのように言う。
 回復後 Cutter さんは、彼女を治療してきた医師の多くに症例報告のコピーを送った。「それを鼻であしらった人たちに非常に腹を立てていました。そしてこれがその原因だということを彼ら全員に知ってもらいたかったのです」

 

茎状突起とは頭蓋骨の底から外に向かう奇妙な骨の突起である(下図参照、赤丸内)。

茎状突起の平均長は日本人で 20mm 前後である。
茎状突起の過長によりこの突起の近傍にある舌咽神経、頸動脈が圧迫されるなどして
種々の症状を呈する疾患を過長茎状突起症(Eagle 症候群)という。
Eagle 症候群という呼称は
米国Duke 大学の Eagle が1937年に初めて本症を報告したことによる。
過長茎状突起による舌咽神経の咽頭枝の圧迫や頸動脈周囲の交感神経の圧迫により
多彩な症状が出現する。
耳症状(耳鳴、耳閉感、放散性耳痛)、咽頭症状(咽頭痛、嚥下痛、異物感)、
頸部・顔面症状(顔面痛、肩凝り、頸部圧痛)、その他(頭痛、不安感)など
症状は不定で多彩なため、他の疾患や精神疾患と誤診されることも多い。
発声障害はまれなようである。
扁桃窩の触診にて索状物を触知し、耳、頸部への放散痛を伴う場合は本症を疑う。
3DCT(3次元CT)による診断が最も確実である。
保存的治療としては鎮痛薬、カルバマゼピンや舌咽神経ブロックなど
神経痛に対する治療が行われるが十分な効果が得られない場合には
外科的治療の適応となる。
口腔内からアプローチする口内法(本ケースではこちらが行われた模様)、
もしくは側頸部を切開する外切開法によって茎状突起を切除する。
原因不明の咽頭痛、耳痛を訴える患者には
本疾患の可能性も考えておく必要がありそうだ。
なお今回のケースで足を高くすると発声障害が改善したのはなぜだったのだろうか?
これについては不明だが、頸静脈の拡張が関係しているのかもしれない。

 

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