MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

動物緊急地震速報

2011-08-30 22:39:07 | 科学

8月23日、米東部を67年ぶりに
マグニチュード5.8の地震が襲った。
ワシントン市では、
日本の震度3~4程度の揺れが起こったと
みられている。
めったに地震の起こらない当地では
一時パニック状態となり、
震源地近くの原子力発電所では
原子炉が運転を停止したと伝えられている。
そんな中、ワシントン市内にある
国立動物園の動物たちはこの地震の襲来を
いち早く察知していたという。
この話題は日本のメディアでも
取り上げられていた
8月28日付 Asahi.com ウェブ魚拓)。
一体動物たちは何を感知していたのだろうか?

8月25日付 Washington Post 電子版

Zoo mystery: How did apes and birds know quake was coming? 動物園のミステリー:猿や鳥たちはどのようにして地震が起こるのを知ったのか?

Zoomystery

8月24日、National Zoo のO-line(Orangutan line)の塔にぶら下がっているオランウータンの Iris。前日の地震が実際に起こる直前、うなるような遭難声を発していた。

By Joel Achenbach
 彼女の名前は Iris。まっすぐでエレガントな赤橙色の毛の持ち主で、National Zoo において最も可憐なオランウータンであることに議論の余地はない。彼女は穏やかで、静かで、うろたえることはない。「彼女は女王のような生活を送っています」と、類人猿の飼育係である Amanda Bania さんは言う。8月23日の午後、この女王様はその冷静さを失った。
 動物園の動物たちはどのようにして東海岸の地震を予知したのだろうか?
 それは午後2時ちょっと前に起こった。霊長類飼育係の K.C.Braesch さんがほんの数フィート離れて立っていたとき Iris が大きな耳障りな叫び声を発した。それは科学者により belch-vocalizing と呼ばれているものだ。そして Iris は檻のてっぺんまで慌てて登った。
 Braesch さんは後ずさりしてこの猿を興奮させたものを確認するために檻を見渡した。オスの Kiko だったのか?普段はのんびりな Kiko だが、怒りっぽくなって物を投げることがある。しかし違っていた。Kiko はのんびりとしていた。これらはすべて約5秒以内に起こったことだが、それから Braesch さんは地震を感じたのである。
 「動物たちはわかっていたようです」と、24日に彼女は語った。「話にはいつも聞いていますが実際に目にしたのは今回が初めてです」
 歴史的なマグニチュード5.8の地震を人間が感じる前に、オランウータン、ゴリラ、フラミンゴ、アカエリマキキツネザルらが奇妙な行動を示した。今この動物園で持ちきりとなっている疑問は、動物は何を感知したのか、そしていつ彼らはそれを知ったのかということである。
 そこには科学的ミステリーが存在する。その一つに、厳然たる事実やきちんとした観察がこれまでの言い伝えや伝説とごっちゃになっているという事実がある。断裂した断層によって発生したよくわかっていない電磁場について何年も議論されてきた。また、人間には聞こえない音、造岩における微妙な傾斜、あるいは人間には嗅ぐことのできない気体の放出などについての推察もある。
 しかし、このミステリーは見ため以下のものかもしれない。23日の動物園における異常は、人間が行っていることが何であれ、それと関係なく多くの野生動物たちは自然に対して細心の注意を払っているということを思い起こさせる手がかりとなっているだけかもしれない。
 同動物園は、バージニア中部を震源とし米国東部の多くで揺れが生じたこの地震の前、最中、さらに地震後に、幅広く動物の行動を記録している。たとえば、ゴリラの Mandara は、地面が強く揺れ始める数秒前に、甲高い声を上げ、自分の子 Kibibi を抱いて構造物のてっぺんに急行した。二匹の他の猿、オランウータンの Kyle とゴリラの Kojo は餌を投げ捨てて、高い所に駆け上がった。64 羽のフラミンゴも同様に数秒前に揺れを感じていたようで、地震が起こる前に興奮気味に密集した。同動物園の像の一頭は、まるで他の2頭の像に知らせるかのように低音の声を発した。
 同動物園によるとアカエリマキキツネザルは今回の地震の15分も前に警戒声を発していたという。
 この地震の最中、この動物園内はうなり声や叫び声であふれかえった。昼間は普段不活動性の蛇も身をくねらせずるずると動き回った。ビーバーは後ろ足で立ち上がり、池に飛び込んだ。コモドオオトカゲの Murphy は逃げ場所を求めて走った。屋外で休んでいたライオンは突然立ち上がり、壁が揺れている自分たちの建物を凝視していた。
 スマトラタイガーの Damai は驚いたように跳び上がったがすぐに落ち着いた。動物の中には、その日ずっと興奮したままだったり、食事を取ろうとしなかったり、いつもどおりに寝ようとしないものがいた。
 「彼らは我々以上に環境に対してより敏感なのです」と哺乳類の上級管理者である Brandie Smith 氏は言う。「こういったことが発生することを彼らが直感できるとしても驚きはありません。そうやって彼らは生き延びてきたのです」
 動物飼育副部長の Don Moore 氏は、「象が超低周音波の感知能力を持っていることを、私たちは実験的研究から知っています。私たちが聞くことのできるレベルより低い音を聞くことができるのです」
 そのような奇妙な動物の行動が地震に対する前触れであるという考えは大昔にさかのぼる。最近の科学的研究では、イタリア・ラクイラの2009年の地震の数日前にヒキガエルがより高い場所へ逃走したことが示されている。近代で最も有名なケースでは、1975年、中国・海城のマグニチュード7.3の地震の数週間前、真冬に蛇や蛙が穴から姿を現した(この奇妙な動物の行動は地震の直前に市外に避難することを役所に踏み切らせることになっている)。
 しかし、科学者たちは事例的証拠を、論文審査のある学術誌での発表に耐え得る検証可能な仮説と強固な結論に変換するよう努力してきた。しかし海城の例でさえ脆弱なものである。なぜなら、実際には蛇を混乱させ役人に措置を講じらせる前震が多く存在していたからである。
 地震予知を研究している米国地質調査所地震学者 Susan Hough 氏は、火曜日に同動物園で起こったことの最も簡潔な説明として科学者に P 波と呼ばれているものが挙げられると言う。
 地震では2つのタイプの地震波が生ずる。最初のものは速く伝わる比較的弱い波である P 波(primary wave)である。続いて強力な S 波(secondary wave)が来るが、これはゆっくりとした速度で荒々しく伝わり地面を上下にうねらせる波である。
 Hough 氏の簡単な計算によると、第一波の P 波は S 波の約15秒前にワシントンに到達していたことが示唆されている。ということはこれで多くのことが説明できるかもしれない。人間が地面の揺れに気づく前に Iris や他の動物たちが P 波に反応していた可能性がある。
 しかしそれではアカエリマキキツネザルの謎が残る。彼らは地震の15秒ではなく約15分前に大声を上げ始めたのである。しかしそれは偶然の一致であり、地震に無関係の叫び声だった可能性もある。後からの評価は誤解を招く恐れがある。選択的記憶は原因と結果の間に錯覚を生ずるからである。
 これらすべてには未解決の問題が残っており、動物たちが人間には把握できない地球上の現象に敏感であるという可能性も排除できない。
 Hough 氏はこう言う。「地球上には私たちの理解を越えたことが起こっているのです」

地震に対する危機管理能力も
人間より動物たちの方が
格段すぐれているということかもしれない。

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アーリントン墓地の怪(2)

2011-08-25 10:21:01 | ニュース

さすが大新聞である。
前エントリーの少女の正体は
あっという間に突き止められた。
その後の経過をお伝えする。

8月20日付 Washington Post 電子版

Young skater’s photo ID moves Arlington Cemetery’s reburial of urn a step closer 

Arlingtonscemetery01

若いスケーターの写真の身元判明でアーリントン墓地における骨壷の再埋葬に前進を見るGwyn Stecher(グウィン・ステッチャー)さんの遺骸はアーリントン国立墓地の夫の墓に埋葬された骨壷のなかにあるはずだった。

By Christian Davenport
 金曜日(8月19日)の午前7時30分、Rachel Stecher さんの父親は Ashburn の自宅で新聞を見て妻に向かって叫んだ。「すごい!Rachel の写真が一面に載っている!」
 それはたぶん空軍士官学校についての記事だろうと Kate Stecher さんは思った。Rachel さんはそこに入学して2年目だった。そして彼にその写真を見せられると、彼女は唖然とした。

Arlingtonsskater

この写真は約10年前にペンシルベニア州 Aston で撮られたものだった。問題の骨壷は集団墓地にあった。

Arlingtonscemetery02

ずさんな管理、間違って置かれた遺骸、契約上の問題などがアーリントン墓地に対する調査で明らかになった。

 家族によると、Rachel Stecher さんが問題の謎めいた写真の中の若い少女であり、数ヶ月間陸軍特殊捜査官らが解決しようとしてきた問題の答えだった。
 若いフィギュア・スケーターとして写っている彼女の写真は、アーリントン国立墓地で掘り出され、後に集団墓地で発見された骨壷の中から発見された。本件を担当した特殊捜査官らはその骨壷に入れられた遺骸が誰のものであるのかを割り出そうとしてきた。
 彼らの唯一の手がかりはそのスケーターの写真であり、金曜日の Washington Post の一面に、情報を持つ人からの連絡を待つ陸軍の電話番号とともに掲載された。
 金曜日のインタビューで、骨壷の中には Rachel さんの祖母の遺灰が入っていると Kate Stecher さんは語った。現在19才になる Rachel さんは祖母と親密だったので、家族がその写真を骨壷の中に入れたのだと彼女は言う。
 金曜日、陸軍犯罪捜査部の広報官 Christopher Grey 氏は、捜査官たちは写真の少女の身元を突き止めたものと確信しており、確実にその遺骸の身元を明らかにするために墓地の職員と協力中であると述べた。プライバシーを配慮して、その遺骸の主と考えられる人物の名前やその写真の人物の名前を公表しなかった。
 しかしこの家族によると、骨壷の中の遺灰は 2001 年8月に死亡し、アーリントンに埋葬された Gwyn Stecher さんのものであるという。元陸軍主席准尉で彼女の夫である Adolph Stecher 氏は2003年に死亡している。
 アーリントンでは、夫婦は同じ墓に埋葬される。通常、骨壷は3フィートの深さに、棺は7フィートの深さに安置される。一般に、もしすでに骨壷がその場所にあれば、作業員は注意深くそれを取り除いて棺用にさらに深く穴を掘る。骨壷は棺の上の3フィートの深さに再び安置される。アーリントンにおいて新しい幹部に代わって以降、骨壷はコンクリート製の仕切りに納められており、それによってうっかり掘り出されるようなことは回避されることになっている。
 しかし2005年、この写真入りの骨壷がそこで作業していた請負業者によってアーリントンの余剰の土砂の山から発見された。そしてその年の10月、調査員たちがアーリントンの埋葬関連の問題を調べていたとき、一人だけ埋葬されていると思われていた墓地に、写真の入った骨壷を含めた8体の火葬遺骸が置かれていることを発見したのである。
 陸軍特殊捜査官たちはこの遺骸のうち3体の身元を確実に突き止めることができた。しかし、彼らは他の4遺骸を同定することができず、それらは『身元不明者』として再埋葬された。そしてこの金曜日まで、彼らはその謎のフィギュア・スケーターが誰であるのかを明らかにしようとしていたのである。それが残る一遺骸の身元確認につながることを期待したのである。
 アーリントンの犯罪捜査は続く。捜査官たちは、契約の不正行為の可能性に加えて、発掘された骨壷のいくつかの事例を含め、広まっている埋葬関連の問題に関連する犯罪活動が存在するかどうかについて調査を行っている。さらに連邦議会は同墓地に対して32万の墓をすべて完全に把握するよう求める法案を通過させている。
 Kate Stecher さんによると、家族は墓地の作業員に対して何ら恨みは抱いておらず、今回の件は『単なる人為的なミス』であったと考えているという。
 Rachel Stecher さんは、30年以上陸軍で勤務し、第二次世界大戦と朝鮮戦争に参戦した祖父から軍に入るよう勧められた。そして、高校時代の夏に彼女が Colorado Springs 近郊の空軍士官学校を訪れたとき、その場所に魅了されたのである。
 母親は彼女が次のように言ったことを思い出す。『引き返したくはない。ただそこで頑張りたいの』
 Kate Stecher さんによると、Loudoun 郡の Briar Woods High School の卒業生である彼女の娘は、Virginia Beach で訓練している Navy SEAL(米海軍特殊部隊)を見たとき本気で軍隊に興味を持ったという。
 Rachel が幼い子供のときはちょっとしたフィギュアスケートの天才で、コーチである Andrey Kryukov 氏と毎日練習をしながらあらゆる競技会で優勝していた。。
 彼女は大変熱心で、Kryukov 氏が Woodbridge から Ashburn に移ったとき、彼女への指導を続けてもらえるよう彼女の家族まで転居したと、彼は言う。
 「彼女は大変飲み込みが早く、きわめて負けず嫌いでした」と、彼は言う。「目標があれば、それに達するために常に努力しました。彼女は学校で優等生(A-student)だったし、B では満足しなかったのです」
 娘は極度に引っ込み思案のため、今回の世間の注目に当惑しており人前で話すのを嫌がっていると Kate Stecher さんは言う。
 しかし Kate Stecher さんはその写真が撮影された日のことを覚えている。それはフィラデルフィア近郊であった South Atlantic Regional Competiton(南大西洋岸地区競技会)のときのことだと彼女は言う。娘は10才だった。彼女のプログラムは2分間の長さで、ジョージ・ガーシュウィン作曲の『Rhapsody in Blue』に合わせたものだった。
 「彼女はその大会で優勝しました。それで私はその写真を骨壷に入れたのです」と、Kate Stecher さんは言う。
 今回、Gwyn Stecher さんの遺骸が正規の場所に再埋葬されたことに家族は感謝している。
 「本来いるべき場所に彼女が戻ることができて私たちはうれしく思っています。ただ今回のようなことが起こったのは残念に思います」、そう Kate Stecher さんは述べている。

要するに、墓地のずさんな作業により、
Gwyn Stecher さんの骨壷が誤って掘り出されてしまい、
それがそのまま別の集団墓地に放置されていた、
というのが真相らしい。
ミステリーでも何でもない、あっけない幕切れだった。
ま、何はともあれ、迷子だった骨壷が
夫の遺骸のそばに無事戻れたという結末には、
めでたしめでたし…

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アーリントン墓地の怪(1)

2011-08-24 08:22:48 | ニュース

バージニア州にあるアーリントン国立墓地は
1864年に設立された米国最大の国立墓地
ならびに戦没者慰霊施設である。

無名戦士の墓を除けば
基本的にはここのすべての埋葬者の身元は明確で
各墓石には厳密な識別番号が刻印され
管理されている、はずだった…。
この墓地で身元不明の遺骸が数体発見され、
この墓地の威信をかけて(?)
米陸軍によって必死の捜査が行われている、
というお話。

8月19日付 Washington Post 電子版

Identity of Arlington Cemetery remains might rest on Army search for girl in photo アーリントン墓地の遺骸の身元確認は、陸軍による写真の少女の捜索が頼り?
By Christian Davenport 
 この写真の少女は短い青い衣装を着た若くてしなやかなフィギュアのスケーターであり、氷の上でポーズをとっている。背中を反らしながらも頭部を高く保ち、右腕はピンと伸ばしており、Degas(ドガ)の絵に見るバレエの踊り子のようである。
 ところで、彼女は一体誰なのか?

Arlingtonsskater

この写真は、灰が詰められていた骨壷の中のビニール袋の中から発見された。

 もし陸軍特殊捜査官が彼女の身元を突き止めることができたなら、ほぼ一年前に集団墓地が発見されて以来アーリントン国立墓地で未解決となっているミステリーを解き明かすことができるだろう。
 この写真は灰の詰まった骨壷の中のビニール袋に入っていたのを発見された。その真鍮色の骨壷は、一人だけが埋葬されていると思われていた墓で見つかった8体の火葬遺骸の中の一つである。
 それらの骨壷につけられたプレートに刻まれたマーキングを頼りに、アメリカ陸軍の捜査官たちは、それらの遺骸のうち3体の身元を突き止めた。そして、その他の4体の身元は解明不能であると結論した。
 8体目は例の写真とともに骨壷に入れられていた。もし彼らがその少女の身元を明らかにすれば骨壷に入っている人物を同定できるだろうと捜査官たちは考えている。
 しかし彼らが手にしているのは、 雨風にさらされたぼやけた一枚の写真だけであり、答えられない多くの疑問がある。彼女は死亡した退役軍人の親戚―おそらく娘、孫娘なのか?時々行われるように、彼女に亡くなった身内のそばに永遠にいてほしいと願って彼女の家族がその写真をその骨壷に入れたのだろうか?その遺骸が彼女そのものであるという可能性は?それとも恐らく彼女はまだ生きているのか?
 「我々にはどうにもわかりません」と、陸軍犯罪捜査部(CID)の広報官 Christopher Grey 氏は言う。
 10月のこの集団墓地の発見は、恐らくこの国立の第一級の軍の墓地におけるスキャンダルとして最もひどい問題となっている。標記を誤った、あるいは標記のない墓と、間違った場所に埋葬された人たちが調査員たちに発見されたからである。
 新たな墓を掘るように指定された場所に人が埋められていることを知らないまま、いくつかの骨壷が墓地の職員によって誤って掘り出されていたことも明らかにされた。FBI とともに、米陸軍の犯罪捜査部(CID)は出土された骨壷が隠蔽工作としてこの集団墓地に隠されたものかどうか捜査している。こういったアーリントンの失態によって議会は、そこの32万の墓を完全に明らかにするよう同墓地に求める法律を通すことになった。
 今回の骨壷のうち3つには、風雨にさらされた数字やイニシャルや部分的な単語が書かれた金属プレートがついていた。
 捜査官らは国内の火葬場の名称のチェックを開始し、プレートの名前と類似した文字のある場所を見つけ出そうとした。数週間を要したが、捜査官らはその骨壷をそれらの火葬場と照合することができた。それから、彼らは再埋葬された遺骸の身元を明らかにするためにその数字を用いた。
 時に人は骨壷に記念の品を残すが、身の回りの品を棺に残すのがより一般的であると、葬儀業者は言う。若いアイス・スケーターの写真があったことから、この8番目の遺体を確認するための確かな手がかりが得られたと捜査員らは考えた。その写真の撮影当時11才から13才と推定される少女の顔だけでなくその背景までが手に入っていたのである。彼女はアイス・スケートのエキシビションあるいは競技会に出ているように見えるのだ。
彼女が誰であるかを知っている人間は確かにいるだろう。
しかしどのようにして彼女を見つけるべきか?
 彼らはまずその写真をきれいにすることから始め、その後それを引き伸ばした。それによってその少女の背後のスケートリンクの壁の広告が明らかになった。一つはヒルトン・ホテルのものだった。そしてもう一つは安全運転キャンペーンを推進するものだった。
 それで、彼らはヒルトンに電話をかけるとともに、さらにアイスリンクに安全運転キャンペーンの広告を出している組織を探すべく国内を調査したと、Grey 氏は言う。そしてついに、2ヶ月ほど前、ヒルトンと同時期にスケートリンクに広告を出していた運転協会を突き止めた。
 それによって、時間枠が絞られた。その広告は1999年3月から2000年3月まで掲示されていた。つまり、その少女は現在20才代前半となっていることを意味すると、Grey 氏は言う。そして最も重要なことに、それから場所が割り出された。それらの広告はフィラデルフィア郊外のペンシルベニア州 Aston にある Ice Works と呼ばれるスケートリンクに掲示されていたのである。
 これは彼らの突破口だった。Fort Myer を拠点とする特殊捜査官たちは北に向かい、唯一の手がかりを追った。彼らはそのスケートリンクの色んな人たちにその写真を見せた。そこのスタッフ、ホッケー選手、フィギュア選手、あるいはコーチたちである。しかしその少女を知っているものは誰もいなかった。
 彼らは再び戻り、さらに多くのチラシを配布した。彼らは国中のスケート団体に問い合わせた。数週間が過ぎた。10年以上前にそこでスケートをしていたと思われるこの少女を知っているものはいなかった。恐らく彼女は市外からやってきて、そのリンクが長年行っている多くの競技会の一つでスケートをしていたのだろうと彼らは考えた。
 このスケートの複合施設は4つのリンクを持っており、フィラデルフィア地区だけでなく国中から人々が集まってくる。年間2つから3つのフィギュアスケートのイベントが開催され、7月には一週間以上にわたって行われるイベントがあり、あらゆる年代のスケーター 1,000人が集まってくると、Ice Works の総支配人である Stephane Charbonneau 氏は言う。同氏によると年間約300万人がこの施設を利用しているという。
 「あらゆる種類のトーナメントが行われます」と彼は言う。「フロリダ、ミシガン、カナダなどあらゆるところから人々はやってくるのです」
 そのため、この若いスケーターの身元を明らかにすることは困難となっている。
 他の手がかりもなく行き詰まりの状態と目されることから、誰かが申し出てくることを期待して、陸軍は Washington Post 紙にその写真を公開することに同意した。
 これが誰であるかを見つけ出すために我々ができることすべてをすることが間違いなく必要なのです」と、Grey 氏は言う。
 それらの遺骸の身元確認の努力を捜査員たちは続けてはいるが、その骨壷は『身元不明者』として同墓地に再埋葬されていると、彼は言う。しかし、その墓石があくまでも一時的なものとなり、ほどなく名前のある墓石と置き換えることができることを墓地関係者らは期待している。
 情報をお持ちの方は電話番号 703-696-3501 Army CID までお電話を。

どことなく隠蔽の臭いがする怪しい遺骸の壺の中に
スケートをする美少女の写真…。
一体誰が由緒あるこの墓地に非正規に遺骸を置き、
何の目的でそこに少女の写真を置いていたのか?

…と、どうやらこの記事が出た後すぐに、
事態に進展が見られたようである。
この続きは、次エントリーにて。
乞うご期待!

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地球の生命は宇宙由来?

2011-08-18 22:43:51 | 科学

今回もまたまた宇宙の話題から。
DNAの主要な構成成分である核酸が
宇宙から落ちてきた隕石中に存在するのが
どうやら確実のようなお話。

8月9日付 Washington Post 電子版

DNA building blocks found in meteorites 隕石中に発見されたDNA成分

Dnainmeteorites

Smithsonian Natural History Museum collections manager の Linda Welzenbach 氏が手にしているのは隕石の小片。

By Brian Vastag
 この50年間、地球上のすべての生命体に重要な分子であるDNAの成分が宇宙で自然に生じ得たのか否かという問題が科学者らによって議論されてきた。このたび南極やその他の地で発見された多くの隕石の新たな解析によって、その答えがイエスとなるまさに最強の証拠が示されている。
 隕石は地上に落ちてきた宇宙の岩であり、この新しい報告は、早期の地球への重い隕石の落下がこの惑星に生命体の素を蒔いた可能性があるという考えを支持するものである。
 「隕石は、地球やひょっとするとその他の星にも、生命体の起源として必須の要素をもたらす分子キットとしての役割を果たしてきた可能性がある」この報告の著者らは、Proceedings of the National Academy of Sciences 誌にこのように記載している。
 生命体は地球以外で発見されていないが、すべての地球の動植物は遺伝的情報を保存するのにDNAに依存している。梯子状のDNA分子の中核には核酸と呼ばれる環状の構造が存在する。
 NASAとWashington にある Carnegie Institution for Science の科学者たちが精査した12個の隕石中11個で発見したのはこれらの小さな環状構造物である。
 これらのうち特に Murchison と Lonewolf Nunataks 94102 と呼ばれる二つの隕石には、DNA 中にも認められるものを含めた核酸が豊富に含まれていた。しかし、これらの隕石はさらに地球外の神秘も持ち合わせていたのである。それは同族ではあるがこれまで見られたことのない外来性の核酸である。宇宙の岩を解析してきた NASA の科学者 Michael Callahan 氏はそのように述べている。
 一方、隕石の近くで見つかった土や氷を解析したところ、このような外来性の核酸の痕跡は得られなかった。
 1960年代以降、他の科学者たちも隕石中の核酸を報告してきたが、そういった発見には常に混入の懸念が残されていた。そう指摘するのは、隕石中の有機分子を研究してきた NASA の科学者 Max Bernstein 氏だ。彼は今回の研究には関与していない。
 外来性の核酸を検出したこと、さらに周囲の物質にそれらを認めなかったことから、本研究においては混入を除外することができると、Callahan 氏は言う。
 本研究の完全性から、その結論には確信を持てると Bernstein 氏は言う。「それは混入ではないと思います」と、彼は言う。
 研究室での実験で、Callahan 氏らは、どのようにしてそれらの核酸が隕石中に形成され得たのかを示している。アンモニアや水やシアン化水素など(これらすべては隕石中に認められる含有物である)の単純な化学的反応によって、今回の科学者らが隕石中に認めた様々な核酸が産生された。
 「もし私たちの実験室での化学物質が、今回の隕石中で見たものと同じ物質を産生するとしたらそれはきわめて高度な偶然ということになります」と、Callahan 氏はいう。
 隕石中に、科学者たちはすでに生命体の他の成分も発見している。代表的なものとして、たんぱくを構成する要素であるアミノ酸がある。
 地球上の最初の生命体が空から落ちてきた化学物質で形成されたのかどうかを見極めることは不可能であると Bernstein 氏は言うものの、目下その可能性は強まっている。「これらの分子成分は生命体の設計図の中心にあるものです」Bernstein 氏は核酸についてそう述べている。「隕石中のこれらの分子の存在が現在ある私たちを作った可能性があるのです」

地球上の生命体は
地球で発生したものとばかり思っていたが、
本記事にあるように、最近では
宇宙から飛来した物質が元になって誕生したという
説が有力となっているらしい。
もしそうだとしたら、夜空にまたたく無数の星の中に、
隕石によって地球と同じように生命体が誕生し、
中にはまさに地球上の人間と同じ様に
進化した生命体が存在する可能性は
かなり高いのではないだろうか?
今夏も残り少なくなってきたが、
そんなことを思いながら、
目にする星の数がホントに多い今の季節の夜空を
じっと見つめるのもまた一興である。

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ジュノー、ジュピターを暴く旅

2011-08-13 23:19:21 | 科学

前エントリーの火星に続いて、
今度は木星のお話である。

8月5日付 TIME.com

Jupiter Bound! Juno Heads for Deep Space 木星めざして!Juno は深宇宙に向かってゆく。
By JEFFREY KLUGER

Jupiter2

Jupiter

2011年8月に地球から打ち上げられた Juno 宇宙船は2016年に木星(Jupiter )に到着し、楕円状の極軌道からこの巨大な惑星を調査する予定である。

 5日、人類初のレゴ・フィギュリンを宇宙に送り出すという歴史的偉業を NASA は成し遂げた。それはウェブを駆けめぐっているうわさであるが、100%正しいので、まずそのことについて片づけておくことにしよう。8月5日の東部標準時午後12時25分に、Juno 宇宙探査機は Cape Canaveral(フロリダ)から打ち上げられ、2016年の木星への到達をめざした。同機にはレゴの関係者によって作られたローマの神 Jupiter、その妻 Juno、さらに1610年に木星の4つの大きな衛星を発見した Galileo-Galilei(ガリレオ・ガリレイ) の3体のフィギュリンが搭乗しているのである。
 さらにいくらか優雅なことに、イタリア宇宙局から提供された小さな飾り版がこの宇宙船の推進室にとりつけられていた。その飾り板にはこの偉大な天文学者 Galileo 自筆の日記が記入されているだけでなく彼の手による自画像が描かれている。その日記には彼によって衛星の発見が記載されている。『木星の周りにはこれまで誰にも見ることのできなかった3つの動く星が存在しているのは確かである』(その後彼は4つ目を発見している)。
 そういった装飾品は、無人宇宙船の打ち上げが多くの注目を得るためにしばしば用いられるものである。しかし Juno が着手しているミッションは、その宇宙船そのものだけでなく、多くの理由によりそれらよりはるかに報道価値があるのである。
 他のすべての惑星を合わせた2倍の質量がある木星は単に太陽系で最も大きな惑星というだけではない。それは一種の原始の世界と言えるものであり、最古の日々からほとんど変化していない。このようにして、それは太陽系初期を生で見ることを可能にし、岩でできた、より小さな惑星である水星、金星、火星、そして注目される地球がどのようにして形成されたかについての重要な手がかりを与えてくれる。木星について学べば学ぶほど、私たちは自分たち自身を学ぶことになるのである。
 Juno が木星に向かって飛行する最初の宇宙船になるというわけでは決してない。パイオニア10号、11号、さらにボイジャー1号、2号が1970年代に同惑星をスウィング・バイ(惑星の重力に吸収されることによって加速しながら進むこと)している。Galileo探査機は1995年から2003年まで同惑星の軌道に8年間載り、プローブを渦巻く雲の中に突入させるなどして、木星について詳細な調査を行った。それらのミッションは木星の科学や構造について多くの疑問に答えたが、答えが得られなかった多くの事柄も残された。例えば、この惑星が完全にガス状なのかそれとも固い核を有しているのかは誰にもわかっていない。木星の美的特徴となっている色鮮やかな帯や巨大な赤い斑点の向こう側には何があるのか、そして、それらがどれほど深くまで下層の大気まで伸展しているのかは、同じくまさに謎のままである。
 さらに興味深いことは木星の強力な磁場の作用である。木星の大気中の強い圧力によってその水素の一部に、少なくともその分子構造において金属特性(液体金属水素として存在)が獲得され、このことによって同惑星の極地帯に爆発的に明るいオーロラを生みだす磁力の供給が促進される。Juno は極軌道と呼ばれる軌道に入る予定である。これは、ほとんどの宇宙船が惑星の胴周りを飛行するおなじみの経路とは90度交叉する軌道であり、木星の最も高緯度と低緯度の初めての画像を我々地球人に提供してくれることになっている。
 そういった写真は少なくとも世間では今回のミッションの最大の目玉となるだろう。しかし、科学者たちはむしろこの宇宙船の他の装置によって集められるデータに関心を持っている。それには大気深部の状況を測定するための、プラズマおよび粒子の検出器、紫外分光計、赤外分光計あるいはマイクロ波放射計などがある。
 地球から最大6億マイル(9億7千万キロ)の距離でそれら多くのハードウェアを作動し続けることは探査機を目的地まで到達させるまでの5年の間も、木星を33回の周回を行う1年間も容易ではないだろう。現在土星を周回中の Cassini 探査機は船内に原子動力を搭載しているが、それは、そこまで遠く離れていると太陽エネルギーは実用的ではないからである。地球で得られる太陽光の25分の1しか得られない木星が土星よりかなり明るいということはない。しかしソーラー技術の開発によって、旧モデルに比べて50%以上効率の良い集光パネルが作られている。それは Juno が必要とする動力源のほとんどすべてを供給できるに違いない。というのも、特にその主たる観測とそれにかかる最大のエネルギー需要は11日間周回毎に約6時間を占めるに過ぎないからである。
 もし Galileo 探査機のミッションが何かの方向性を示すものとなれば、Juno は恐らくその予定された軌道寿命年数以上に多くのことを得ることになるだろう。NASAは伝統的にその宇宙船の能力を低く見積もってきたが、それは国民の期待を牽制することと、任務の計画者に対して調整しやすい遂行リストを与えることの両方の目的がある。そのようなチェックリストが完全に成されれば、正しく機能している宇宙船には通常さらなる使命が与えられるのである。
 Juno が最終的にその業務を何とか遂行した場合、恐らく Galileo がたどった劇的な最期を迎えることになる。木星の衛星の一つ、特に水が存在する Europa との衝突を阻止するために Galileo は木星そのものへの死の突入を余儀なくされた。同衛星が地球からの微生物によって、存在が考えられる木星の生命体が汚染を被る可能性があったからである。巨大な世界を調査するためにやってきた宇宙船はこのようにしてその一部となったのだが、今日地球を飛び立った宇宙船も同じ運命をたどることになるだろう。

よくわかっていたようでいて
実はよくわかっていなかった木星。
太陽系の惑星中、
最大の大きさと質量を持つ木星は、
表面を覆う厚いガスがこの惑星のどこまでを
占めているのもわかっていない。

木星の衛星にもし生命体がいるとすれば、
宇宙船 Juno はそれらにとって
UFO ということになる。
向こうの環境を汚染させてはいけないという
配慮は宇宙マナー?
Juno の木星到達まで5年を要するが、
新たな発見が待ち遠しいところである。

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