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MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

その原因、明確にお答えします

2017-02-13 23:41:08 | 健康・病気

2月のメディカルミステリーです。

 

2月6日付 Washington Post 電子版

 

At 12, he had stopped growing. Doctors were stumped. The answer was in his gut.

12 才で彼の成長は止まった。医師らは困惑した。果たしてその答えは彼の腸にあった。

 

By Sandra G. Boodman,

 なぜ彼はあんなに疲れやすいのだろう、Jackie Mann さんは疑問に思ったが、それは初めてのことではなかった。彼女の3人の子供たちの真ん中の子である Evan 君は放課後の昼寝をするために自分の寝室にフラフラと向かうのだった。

 歳の割に小さいこの 12 才の少年はどこにいてもすぐに寝込んでしまうようだった:サッカーや体操に行く途中の車の中、学校から真っすぐに家に帰った午後、宿題をしている途中、さらに、小児科医に診てもらうために待っているときのこともあった。

 しかし、家族が生活しているカリフォルニア州オークランド郊外のやや鄙びた地域での週末には、Evan 君が明らかに活動的に見えると両親は感じていた。そして彼はほぼ問題なく魚釣りや、狩りや、ハイキングに出かけた。

 「彼が疲れたふりをしているのではないかと考えたりしていました」 Mann さんは、整形外科医である夫と 2010 年から始めるようになった Evan 君についての話し合いを思い出して言う。「彼は友だちに遅れないように付いていこうとしていました」

 

Evan Mann 君は 2014年に手術を受け、薬の定期的な点滴が始まってからはずいぶん成長した。現在17才になる彼は、身長 5フィート6インチ(168cm)、体重 122ポンド(55kg)になっている。

 

 しかし、Mann さんの心配は Tahoe 湖(タホ湖、カリフォルニア州とネバダ州の境にある)への旅行のあと増大した。この家族はそこでキャビンを借りていた。熱心なスキーヤーである Evan 君はスキーのコースを一周か二周、完走しようとしたが、疲れたと訴えてキャビンに戻り数時間眠ったのである。

 それからの18ヶ月間、Evan 君の疲れやすさは増悪し、成長は止まり、原因不明の微熱と関節痛に苦しむようになり、何人かの医師が彼の病気の原因を見つけ出そうとした。

 そして、2012 年1月に見つかった答えは驚くべきものだった。振り返ってみれば多くの手掛かりがあったと母親は言うが、そこには Evan 君の家族を含め、医師たちの判断を誤らせた煙幕もまた存在していたのである。

 「Evan には典型的な症状が見られなかったのです。事態が本当に悪化するまで断片のそれぞれがうまくつながらないということはあるものです」と母親は言う。

 

Genetics, or something else? 遺伝的なもの?それとも何か別な問題?

 

 Mann さんの最初の心配は、息子の疲れやすさではなかった。

 Evan 君が5年生のときに初めて、息子が異常に小さいことについて彼女は小児科医に尋ねた。しかし、その医師は、自分は小児科診療で基盤となる成長曲線の正当性を信じていないと Mann さんに告げて安心させていた。彼女の子供たちが全員小さいことから、遺伝形質の現れであると彼は指摘した。長距離ランナーで、かつては大学で体操選手だった父親は 5フィート6インチ(168cm)で、Mann さんは5フィート3インチ(160cm)である。

 小児科医のその安心の言葉にもかかわらず Mann さんは不安を感じていた。そして、Evan 君に疲れやすさが見られるようになったことに彼女は当惑した。その倦怠感はいくつかの放課後の活動をやめても続いた。2011年の春、Evan 君は、小児科医の診察を待つ長い時間に診察室のテーブルの上で眠り込んでしまった。

 そのとき Mann さんは医者をかえようと決意した。その医師は彼女の懸念をまともに受け止めてくれないと考えたからである。そのころ、Evan 君は体重 63ポンド(28.6kg)、身長 4フィート4インチ(132cm)で、同年の少年の平均値より、7インチ(18cm)低く、25ポンド(11.3kg)軽かった。

 「これは尋常ではないと感じました」と彼女は思い起こす。彼女はさらに Evan 君の繰り返す副鼻腔炎がアレルギーの結果であり、それが彼の成長を遅らせ、疲れやすさを引き起こしている可能性を確定するためにアレルギー専門医を見つけた。子供のころ彼は耳の感染症のために頻回に抗生物質を内服しており、やや大きくなってからは副鼻腔炎に対ししばしば薬剤が処方された。しかし精密検査ではアレルギーは見つからなかった。

 数ヶ月後、Evan 君は別の小児科医を受診した。Mann さんは、息子に性徴が見られず、2才年下の妹の Eliana ちゃんと同じように見えるということを話した。その医師は、とりわけ成長曲線を書いたあと、懸念を増大させた。Evan 君が少なくとも2年間成長していないことがその成長曲線によって示されたからである。

 その受診からまもなく、Evan 君は重症の蕁麻疹を発症し、炎症を抑えるために用いられる副腎皮質ホルモンである prednisone が数週間処方された。その変化は劇的だった:彼の活力や食欲が上昇したのである。グリルしたチーズを一度に半分しか食べられなかった少年がサンドイッチを二つ、食べられるようになっていた。「ここ数年で、彼は最高に元気でした」と Mann さんは思い起こす。

 しかし、学校が始まり Evan 君がステロイドの内服をやめると、疲れやすさが再び始まった。

 調子の良さそうに見える日もあったが、学校から帰ると昼寝をし、夕食を食べると再びベッドに戻り一晩中眠るといったような日もあった。

 親戚とのハイキングのとき、親戚の一人に内科医がいたため、Mann さんは Evan 君が発熱を繰り返しているのではないか、あるいはライム病ではないのかといった不安を打ち明けた。その親戚は懐疑的だった。「息子さんは勢い良く丘を駆け上がっている。私には彼はきわめて元気に見えるよ。彼の体温はどうなんだい」彼がそう言ったことを彼女は覚えている。

 Mann さんによると、体温計は使っていなかったが Evan 君の身体は熱っぽいと思っていたという。

 「おいおい、君は『mom-o-meter(ママ温計)』を使っているのかい」内科医はそうジョークを言った。彼は、Evan 君の症状日記とともに体温の記録を続けるよう彼女に助言した。

 Mann さんは実行した。そしてあるパターンに気づいた。Evan 君は3日かそこらおきに疲れに襲われているように思われた。そのような日の午後、彼はおよそ華氏101度(38.3度)となる発熱があり、しばしば、頭痛や関節痛を訴えた。時には軽度の下痢を認めることもあった。

 「かなりの発熱があると言うことが皆の関心を引いたのです」と Mann さんは言う。彼女が新たな小児科医に体温と症状の表を見せたところ、彼はすぐに小児感染症の専門医に Evan 君を紹介した。

 

Absolute certainty 絶対確実

 

 Evan 君の蕁麻疹、発熱、倦怠感は、環境的な原因を示唆しているように思われた。この家族は40エーカー(約16ヘクタール)の農場で生活をしており、そこには馬や鶏のほかいつくかの動物を飼っていた。また Mann 家はしばしばヨセミテなどの国立公園にハイキングに行った。そこは、2012年に流行し 3人が死亡したネズミが媒介する疾患、hantavirus(ハンタウイルス)感染症の発生地となっていた。Evan 君はリスを狩りして皮を剥ぐことを楽しんでいた。そして彼は繰り返しダニに咬まれていた。

 しかし、広範囲な検査で、ライム病やハンタウイルスだけでなく他の感染症も含めた多くの人獣共通感染症(動物から人へと感染しうる疾患)は除外された。

 この感染症の専門医は Evan 君を小児消化器科医に紹介した。

 2012年1月10日の初診時、その消化器専門医は Evan 君の指を見て、彼の口角に前からあったとみられる cold sores(ヘルペス)を確認し、少年の腹部を触った。10分も経たないうちに彼は Evan 君の両親の方に向き直った。

 「息子さんは Crohn’s disease(クローン病です)」そう彼が告げたのを Mann さんは覚えている。「間違いないと思います」

 Mann さんとその夫はショックを受けたが半信半疑だった。ひどい腹部の痛みや下痢が特徴的な深刻で治癒不能な慢性の自己免疫疾患であるクローン病はありえそうにはないと彼らには思えたからである。Evan 君にはごくたまに軽度の下痢があっただけだったからである。

 「どうしてそう確かに言えるのですか」そう尋ねたことを Mann さんは思い出す。その医師は明確な徴候を列挙した:まず、Evan 君の成長が妨げられていたこと。そして彼には、クローン病でよく見られる症状である両側の口角の慢性の cold sores が認められたこと。さらに彼の指先が棍棒状になっていたこと。さらに彼が Evan 君の右下腹部を押さえると、少年は痛みを感じたこと。いくつかの検査で異常に高い炎症の数値が示されたこと。また Evan 君はクローン病の治療の中心となっているステロイド剤を内服している間、顕著に改善していたこと、などである。

 さらに家族歴もあった:Evan 君の祖母と別の親戚の一人がクローン病と診断されており、他の近い親戚には類似疾患である潰瘍性大腸炎があった。Evan 君が幼いころ多くの抗生物質を内服していたこともクローン病のリスクを高めた可能性がある。そして最後に、Mann 家は Ashkenazi Jews(アシュケナジム系ユダヤ人)だった。この民族の子孫は中央ヨーロッパや東ヨーロッパに由来している;クローン病は、他の民族におけるより、アシュケナジム系ユダヤ人で頻度が高い。研究者らは最近、クローン病の発症リスクを高めるいくつかの遺伝子変異をアシュケナジム系ユダヤ人において発見している。

 2013年以降 Evan 君を治療してきた小児消化器科医の Sabina Ali 氏によると、本疾患は遺伝と環境の相互作用に起因すると信じられているが、小児と思春期で異なる様相を呈する可能性があるという。小児例ではしばしば、成人のクローン病で見られる古典的症状(主として、激しい腹部の痛みや頻回の下痢)を欠くため医師の診断を誤らせる可能性がある。

 「Evan 君には腸管以外の症状(extra-intestinal symptoms)が見られました」と Ali 氏は言い、さらに、極端な疲れやすさはめずらしく、いまだ原因不明の症状として二の次に考えるべきかもしれないと述べた。「こういった子供たちに消化管の問題があることが誰にもわからないまま他の領域の専門医のところへとそれていってしまう可能性があります」加えて、「この子供たちの中には、頻回に調子が悪くなったり熱を出すものもいます」発熱は感染症の徴候とみなされるが、実際にはそれは炎症の警告症状なのである。

 上部消化管内視鏡と大腸内視鏡検査で診断が確定した。Evan 君の病状の重篤さから、医師らは、炎症を起こしている腸の部分切除をするよう外科医に勧告した。

 2014年の手術以降、Evan 君はクローン病治療に一般的に用いられる薬剤 Remicade(レミケード)の定期的点滴を受けている。また栄養不足に対応するためにビタミンを摂取している。

 現在17才になる彼はかなり成長しており、母親によると、「この何年かでは最も健康な状態」だという。身長は 5フィート6インチ(168 cm)で兄より1インチ低く、体重は122ポンド(約55kg)となっている。彼は高校3年生となっていて、流域管理を勉強するために California university に進学したいと考えている。

 Evan 君がクローン病と診断されたのち、彼の妹も同疾患の検査を受けた。健康ではあるが、両親は彼女の小柄な体格は潜在する消化管の問題を反映しているのではないかと心配したからである。

 「彼女は現時点ではこの病気ではありません。身長は 4フィート9インチ(144.8cm)、彼女はただ単に背が低いだけです」現在15才の娘について Mann さんはそう語った。

 

クローン病の詳細については難病情報センターのHP

小児慢性特定疾患情報センターのHP を参照いただきたい。

 

クローン病は主として若年者に発症し、原因不明に

消化管に潰瘍や線維化を伴う肉芽腫性炎症性病変を生じる。

病変は口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位に

発生し寛解と増悪を繰り返しながら進行する。

消化管の症状以外にも、発熱、栄養障害、貧血などの

全身症状や、関節炎、虹彩炎、肝障害などの全身性合併症が

起こりうる。

 

病因は単一ではなく、遺伝的因子のほか、

ウイルスや細菌などの感染、腸内細菌叢の変化、

食事の抗原などの環境因子が複雑に関与して、

免疫系の過剰反応が引き起こされ発症すると考えられているが

詳細な発症機序はいまだ明らかになっていない。

腸管の粘膜固有層に TNFαを産生する細胞が増加しており、

炎症性サイトカインの過剰分泌により炎症が惹起される。

成人発症例では CARD15(NOD2) 遺伝子の異常が

発見されているがこれは全症例の一部にしか確認されていない。

 

10才代後半から20才代での発症が多く、

男女比は 2:1。本邦でも患者は増加傾向にあるが、

人口10万人あたりの有病率は約27人で

欧米の約10分の1となっている。

20才未満での発症が約30%である。

成人発症に比べ、小児期発症はより重篤なケースが多く、

特に10才未満発症例はさらに重篤な傾向がある。

 

小腸、大腸、あるいはその両方に、縦走潰瘍、

不整形潰瘍やアフタ、特徴的な敷石像が形成される。

なおこれらの所見を欠く特殊型もある。

小児例の約6割は回腸病変である。

一般的な症状は腹痛、下痢、血便、体重減少、発熱で、

時に虫垂炎様の症状、腸閉塞、腸穿孔、大出血を呈し

発症することもある。

小児では摂食障害と食欲不振のため

診断時に 85%に体重減少が認められ、

15 ~40%に成長障害が存在する。

また思春期発来の遅延も認められる。

腸管外徴候として、

貧血、末梢関節炎、強直性脊椎炎、口腔内アフタ、

皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症など)、肝炎、

硬化性胆管炎、膵炎、腎結石、虹彩炎、ぶどう膜炎、

上強膜炎など多彩な症候が認められ、

肛門部膿瘍や瘻孔も15%程度に発生する。

また経過の長い症例では悪性腫瘍(大腸癌、小腸癌)の発生に

注意が必要である。

 

診断は、臨床症状や、炎症を示すCRP上昇や貧血などの

血液検査所見から本症を疑う。

内視鏡検査(上部消化管内視鏡、カプセル内視鏡、

大腸内視鏡)で縦走潰瘍、敷石像を確認する。

また生検標本にて病理学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を

同定する。

鑑別すべき疾患には、腸結核、腸型ベーチェット病、

非ステロイド性抗炎症薬による潰瘍、感性性腸炎などがある。

詳細は診断基準・重症度基準を参考にされたい。

病変の存在部位により、小腸型、小腸大腸型、大腸型に分類し

小腸大腸以外に所見が認められる場合、特殊型とする。

特殊型には、多発アフタ型、盲腸虫垂限局型、直腸型、

胃・十二指腸型などがある。

 

本症を完治させる根本的な治療法は現時点では確立されていない。

従って治療の目的は、病気の活動性(炎症)をコントロールして

寛解状態をできるだけ維持し、栄養障害を予防しながら

患者のQOLを高めることとなる。

治療には、炎症を抑え込む治療(寛解導入療法)と

再発を防ぐ治療(寛解維持療法)とがある。

炎症の抑制には

 5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤(ペンタサ)や

副腎皮質ステロイド薬が用いられる。

腸管に高度の狭窄がある場合や、広範囲に病変がある症例では

腸管の安静と食事抗原による刺激を回避する目的で

完全静脈栄養や経腸栄養が行われることがある。

小児例では経腸栄養剤による栄養療法の有用性が

確認されている。

難治例に対しては、抗TNFα受容体拮抗薬である

レミケード(infliximab)やヒュミラ(adalimumab)が

用いられるが投与に際し感染症の合併に注意が必要である。

寛解が得られたら寛解維持療法に移行する。

抗TNFα受容体抗体薬で寛解導入を行った場合には

そのまま投与を継続する。ただし同薬投与中の患者では

約30%の症例で治療効果が減弱する2次無効が起こると

されている。

免疫調整薬のアザチオプリン(イムラン)の併用で

治療効果が高まることが期待されるが、

悪性リンパ腫の発症リスクが高まることに注意が必要である。

なお、腸閉塞や高度の狭窄、穿孔、大量出血、中毒性巨大結腸症、

癌合併例などでは

外科的治療(大腸・小腸切除、人工肛門造設術)の適応となる。

クローン病患者の手術率は10年で70.8%、

一生涯ではほとんどすべての患者で一度は手術が必要になり、

再手術率も5年で28%と報告されている。

しかし、近年の薬物治療の進歩により、

将来的には手術率や再手術率が低下していくことが期待される。

現在の内科劇治療では、たとえ臨床的寛解が得られたとしても、

多くの患者で病気は緩徐に進行していると考えられているため

厳重な経過観察が重要と考えられている。

何はともあれ本疾患は若年時に発症し長期戦となることから

患者さんにとっては生涯にわたって大変な負担となる。

根治的治療法の早期の確立が強く望まれるところである。

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