MrKのぼやき

煩悩を解脱した中年男のぼやき

あきらめないでっ!

2022-05-19 17:14:19 | 健康・病気

2022年5月のメディカル・ミステリーです。

 

5月14日付 Washington Post 電子版

 

This woman’s desperate persistence helped spark her lucky break

この女性の必死の粘り強さが彼女の幸運につながった

Her memory was failing, she couldn’t walk without a cane and felt increasingly helpless

記憶力が障害され、杖なしでは歩けず、彼女の無力感は増すばかりだった

 

(Cam Cottrill for The Washington Post)

By Sandra G. Boodman,

 彼女はオンライン検索を頻回に行ってきていたので、たとえ結果がいつもの様に行き詰まってしまうかもしれなくても、検索は強迫的な行動となっていた。しかし、2019年4月のある週末、Nancy M. Chiancone(ナンシー・M・キアンコーネ)さんはメリーランド郊外の自宅近くのスターバックスの椅子に座り、ラップトップを開き、絶望感を増した質問を検索エンジンに打ち込んだ。“どうして私は診断されないの?” と。すると驚いたことに、新たな有効なサイトが現れたのである。

 その予期せず見つけることのできたものが、その先数ヶ月後に、それまで3年以上も医師たちがわからなかった答えにつながることになるとはその時の Chianconeさんは知るべくもなかった。それは、かつては5キロのレースに参加していたこの Prince George’s County Public Schools(プリンスジョージズ郡公共教育学区) の教育の専門家に、左足を引きずる、杖なしでの歩行が困難になる、記憶力が低下する、といった憂慮すべき症状の悪化をもたらした原因についての説明を与えてくれることになる。一年以上も前に Chiancone さんは、amyotrophic lateral sclerosis(ALS, 筋委縮性側索硬化症)という衝撃的な診断名を告げられていたがその後撤回されるという経緯もあった。

 しかし、当時彼女の治療に当たっていて、後に疑問視されることになる強力な治療薬を処方していた専門医らは行き詰まっていた。

 Chiancone さんの頭の中にたまたま浮かんだ質問によって、彼女が National Institutes of Health(国立衛生研究所)の Undiagnosed Diseases Program(UDP, 未確定疾患プログラム)に導かれたことで、事態は一変した。UDPでは、洞察力のある神経内科医が、それまで見逃されていた種々の要因の合流点に正確に狙いをつけた。そして NIHでの精密検査から5週間後、Chiancone さんの病気は同定され、治療が始まり、彼女は概ね健康を取り戻したのである。

 「我々のプログラムでは、多忙な診療のプレッシャーなくこれらの困難な症例を診る余裕があるのです」と Camilo Toro(カミロ・トロ)氏は言う。彼は Chiancone さんを治療したチームのトップで、Adult Undiagnosed Disease Program(成人未確定疾患プログラム)の責任者である。「私は数百例の患者を診てきましたが、最初の一週間の診察で私は3名を診断することができました」その3人のうちの1人が Chiancone さんだったのである。

 

Cold numb hands 冷たくしびれた手

 

 Chiancone さんの症状は彼女が46歳の時に始まった。2013年、指がしびれて痛むようになり白くなる症状を周期的に経験した。彼女の家庭医はリウマチ専門医に紹介、Raynaud’s disease(レイノー病)と診断された。これは、皮膚に血液を供給する細い動脈がストレスや低温に過剰に反応する一般的に自己制御的な疾患である。

 Raynaud’s は特定の自己免疫疾患に伴ってみられることがあるため、そのリウマチ専門医は関節痛を引き起こす lupus(SLE)の血液検査を行った。検査が陽性とみられたため Chiancone さんは免疫抑制薬の plaquenil(プラケニル、一般名 hydroxychloroquine〈ヒドロキシクロロキン〉の名前で良く知られている)の内服を始めたが、2度目の lupus の検査が正常だったため中止した。

 その後 Chiancone さんの手の痛みが悪化したためそのリウマチ専門医は関節を侵す慢性の炎症性疾患である rheumatoid arthritis(RA, 関節リウマチ)の血液検査を行った。RA の検査は陰性だったが、彼女は erhthrocyte sedimentation rate(赤血球沈降速度)と他の炎症マーカーが亢進していた。炎症には、他のタイプの関節炎、一部の腸管疾患、および一部の癌など、多くの原因がある。肥満とも関連があるとされている。

Nancy M. Chiancone さんは National Institutes of Health の Undiagnosed Diseases Program による支援を見つけた (Family photo)。

 

 2014年、そのリウマチ専門医は関節リウマチの稀なタイプである seronegative rheumatoid arthritis(血清反応陰性関節リウマチ)の可能性があると診断した。彼女は RA の薬を処方し、Chiancone さんに、もし痛みが改善したら高い確率でその診断が正しいことが実証されることになると説明したことを Chiancone さんは覚えている。

 Chianconeさんは methotrexate(メトトレキセート)の内服を始めた。これは化学療法薬として、あるいは他の薬剤に反応しない RA の治療に用いられる強力な薬である。さらに彼女は中等症から重症の RA の治療に用いられる薬剤 Enbrel(エンブレル)の自己注射を始めた。Chiancone さんは folic acid supplements(葉酸補充薬)を内服するよう言われた;これは、その機能の一つとして血球の形成に必須となっているビタミンである folate(葉酸)の濃度を methotrexate が減少させることが知られているからである。

 彼女がこれらの治療を始めると最初のうち両手の痛みは改善したが、その後再発がみられた。

 2016年、生まれてこの方ずっと体重と闘ってきていた Chiancone さんは gastric sleeve surgery(胃スリーブ状切除術)を受けることを決意し、胃の約80%を切除した。手術は成功(以後115ポンド[約52kg]減量)したが6ヶ月後 Chiancone さんの両手の痛みが強くなり、その後痛みは股関節や下肢まで広がった。

 リウマチ専門医は、減量手術が methotrexate の吸収能を障害したと考え、注射タイプの薬に変更した。しかし Chiancone さんはあまり改善を感じられなかった。その後数ヶ月間で彼女は倦怠感、痛みを強く感じるようになり、全身的にも体調が悪化した。

 2017年12月、彼女はふくらはぎにひどいこむら返りが起こるようになったが、それは妹の Janet と一緒にたびたび行っていた長距離の散歩の後に増強した。Chiancone さんの家庭医は超音波検査を依頼したが、血栓症は除外された。

 リウマチ専門医は筋弛緩薬とステロイドを処方したがいずれも効果はなかった。その一週間後、Chianconeさんがオフィスの棚の上の物に手を伸ばそうとしたとき、もはやつま先で立つのがむずかしいことに気づいた。「それは本当に嫌な感じでした」と彼女は言う。

 

Dire diagnosis 恐ろしい診断

 

 彼女が神経内科医に紹介されると、すぐに血液検査、脳・脊髄のMRI検査に加え、筋電図と神経伝導速度検査が行われ、神経と筋の機能が評価された。筋電図と神経伝導速度検査のいずれにも異常がみられた。2018年2月1日、その神経内科医は Chiancone さんに、彼女は ALS であると告げた。これは脳と脊髄の運動ニューロンが変性する進行性の稀な致死的疾患である。

 「私には何か悪いところがあることはわかっていましたが、その病気は考えにありませんでした」と Chiancone さんは思い起こす。「『私がこの病気なわけはない』と思い続けました。しかし、この診断を受けた他の人達が思うこともおそらく同じなのだろうとそのとき考えてしまうのでした」

 その神経内科医は ALS を専門とするクリニックに彼女を紹介した。その ALS の専門医が、ALS ほど悲惨ではない病気が原因だと言ってくれるに違いないと思っていたと Chiancone さんは言う。しかし、彼はその診断に同意見であり、フォローアップの受診の予約を行った。

 Chiancone さんは、もし自分の人生が大幅に短いものとなってしまうのなら、残された時間を最大限に伸ばしたいと考えた。彼女は残った住宅ローンの支払いを行い、妹と一緒に美術を見るためにメキシコに旅行しようとして自身の年金口座から10万ドルを借りた。

 しかし6ヶ月後、ALS の専門医は疑念を呈した:Chiancone さんの病状が予想されていたより悪化しなかったのである。数ヶ月後クリニックは彼女を退院させたが、それは、彼女に非特異的な筋疾患がある可能性が示唆されたからである。しかし続けて行われた筋生検は基本的に正常だった。

 それから2年以上、答えに近づくことはなく、Chiancone さんの関節痛は、疲労感、動きにくさ、予測不能な転倒などの陰に隠れてしまっていた。彼女は自宅の階段から転落し足を骨折したり、ダレス国際空港の建物の中で大勢の人の前で転倒するなどした。

 さらに彼女には記憶力の低下がみられた。「前の週のことであっても、(生徒たちについての)長い会話に関してそれを話したことを覚えていないことがありました。自分自身の問題で、誰も私を助けてくれることはできないと強く感じていました」と彼女は言う。

 

Defying long odds 全くありそうもないことは否定する

 

 そんな Chiancon さんだったが、NIH のプログラムによって何ヶ月かぶりに希望が湧いてきた。人生の前半、重症の産後うつに襲われて一年の大半を過ごしたことがあったが、母親の支援によって有効な治療を見つけることができた。そのときの試練が「自分を助けることのできる誰かを見つけることへの自身の執念の強さに間違いなく影響を及ぼしています」と彼女は言う。

 2008年に立ち上げられたこの NIH のプログラムは、草分け的な Undiagnosed Diseases Network(未確定疾患ネットワーク)の基となった部門で、現在、国内12のメディカルセンターで稼動している。創設以来、約4500人が UDP に申し込み、1500人が受理されている。費用は無料で、患者は NIH Clinical Center で一週間を過ごし、複数の専門分野からのエキスパートによって行われる詳細な精査を受けることになる。約22パーセントで診断が下されるが時には診断が数年後となることもある。

 このプログラムによりこれまでに25の新たな疾患が同定されており、患者の疾患について遺伝的基盤となりうる情報を引き出したり、診断が得られていない人たちに有用な助言を与えたりする試みが成されている。

 彼女が申請書、診療録、および神経内科医からの紹介状を提出して2ヶ月後に、Chiancone さんは受理された。彼女は2020年1月の最後の週を NIH で過ごした。「それは驚きでした」と彼女は言う。

 Toro 氏は Chiancone さんの特異な病状に興味をひかれたという:彼によると神経伝導速度検査は“強く ALS を示唆するものだったこと;広範な脳の白質病変は ALS ではなく多発性硬化症のような神経変性疾患でよく見られるものであること;そして彼女の減量手術である。そのような手術を受けた患者は吸収不良によってもたらされる危険性や関連する問題について注意が喚起されており、生涯に渡ってビタミンやミネラルの補充サプリメントを摂取すべきであると言われる。

 Toro 氏によると、減量手術と、folate(葉酸)を枯渇させることが知られている methotrexate の組み合わせが、血液脳関門を越える必須ビタミンの輸送を阻害し、中枢神経系への到達を妨げていたのではないかと考えたという。

 その結果、神経障害、筋力低下、認知症様の記憶障害、および脳白質病変を引き起こす cerebral folate deficiency(脳葉酸欠乏症)となる可能性がある。(小児では、脳葉酸欠乏症は遺伝子変異で起こる)

 脳葉酸欠乏症は 5-methyltetrahydrofolate(5MTHF, 5-メチルテトラヒドロ葉酸) を測定する特殊な検査で検出されるが、これには腰椎穿刺が必要となる。Chiancone さんはその検査を受け、それによって Toro 氏の直感が立証された:血中の葉酸濃度は正常だったが、脊髄液中の葉酸はほとんど検出されなかったのである。

 他の神経疾患、稀な癌、様々な代謝障害、および遺伝子変異が除外されたため、Toro氏とそのチームは Chiancone さんが恐らく減量手術と methotrexate によって引き起こされた重症の成人発症の脳葉酸欠乏症であると結論づけた。

 「手術単独あるいは投薬単独ではそれを起こさないだろうというのが私の感覚です」と Toro 氏は言う。彼女は、手術と投薬の組み合わせは予期せぬ結果をもたらしうることを印象付けるケースだと彼は付け加えて言う。「Nancy さんのケースでは、それらが重なってお互いに副作用を悪化させていたのです」さらに未確認の遺伝的感受性が関与していた可能性もあると Toro 氏は言う。

 

A revelatory conclusion 啓示的結論

 

 2020年3月上旬、パンデミックに襲われるまで2週間もないころ、Chiancone さんと妹は Toro 氏と面談した。「彼らは私に、病名を解明したことを伝えただけでなくそれを治療できると言いました。私は衝撃を受けました」と Chiancone さんは言う。

 彼女は methotrexate の内服と Enbrel の注射を直ちに中止し、methotrexate の効果に拮抗する folinic acid(フォリン酸)を高用量で始めるよう指示を受けた。数週間かかったが、彼女の症状は少しずつ軽減した。Chiancone さんは杖なしで歩けるようになり、ふくらはぎや関節の痛みは減弱しその後消失、重度の疲労感もなくなり記憶力は回復した。

 6ヶ月後に NIH で行われた検査では、彼女の脊髄液中の folate の値が正常になっていることがわかった。筋電図検査は依然として異常だったが安定しており、脳の白質病変については概ね変化はなかった。「さらなる改善が期待されますが、ずっと改善し続けるかどうかはわかりません」と Toro 氏は言う。

 Toro 氏によると、成人発症葉酸欠乏症はカナダなど国外ではよく知られているが、米国では過小認識された状況にあるという。「この疾病は私たちが認知しているよりはるかに頻度が高いと考えています」と彼は付け加える。

 Chiancone さんの立場からみて皮肉に思えることは自分が実際には、ほぼ6年間 methotrexate を処方されてきた根拠となった関節リウマチではなかったのではないかと考えていることである。彼女は2年間以上 RA の薬を使用していないが、特に悪影響はみられていない。

 「それは最初からレイノー病と osteoarthritis(変形性関節症)に過ぎなかったのかもしれません」関節の “wear and tear(摩耗)” によって発症し、一般には市販の鎮痛薬で治療される最もありふれたタイプの関節炎の可能性をほのめかしながら Chiancone さんはそう推察する。

 Chiancone さんは、もし NIH のプログラムを見つけていなかったら自分がどうなっていただろうかと思っている。「彼らが解明することができ、それに対する解決法があった病気が原因だったことは大変幸運だったと思います。今回のことから、世の中にどれくらい多くの人たちがこの病気に苦しんでいるのだろうかと思わずにはいられません」と彼女は言う。

 

 

葉酸欠乏症の詳細については

MSDマニュアルプロフェッショナル版

参照いただきたい。

 

ここでは、葉酸欠乏症の中でもかなり特殊な

cerebral folate deficiency(CFD, 脳葉酸欠乏症)について

National Organization for Rare Disorders のサイトを参考に

要約する。

 

まず用語の用い方に混乱があるため最初に名称の説明を行っておく。

Folate(葉酸塩)は水溶性のビタミンB群の一つ(ビタミンB9)と

されるが、これは葉酸の総称的用語である。

Folate には二つのタイプが含まれる。

5-methyltetrafolate(5MTHF, 5-メチルテトラヒドロ葉酸)と

folic acid(葉酸)である。

果実や野菜など食事に含まれる folate は 5MTHF と呼ばれる

最も活性の高い folate に変換される。

消化管内で変換されると 5MTHF は血液中に入る。

これに対し folic acid は強化食品や栄養補助食品に

しばしば認められる葉酸塩の合成形態である。

Folic acid の大部分は体内の活性型に変換されず、

完全に代謝されることなく血中に入る。こちらはより効率が悪い。

人体は folate を用いて骨髄中で赤血球や白血球を産生したり、

DNA や RNA の合成、あるいは脳の機能や聴覚の維持を図る。

 

CFD は小児にみられる疾患とされていたが、

ごくまれに成人発症例も報告されているようである。

 

 

CFD は、通常生後1年目の発達は正常だが、およそ2歳になると

患児に精神機能や運動機能の喪失(精神運動発達退行)が始まる

神経学的症候群である。

早期の症状には知的障害、言語発達障害のほか、

繰り返すてんかん発作が患児の3分の1にみられる。

振戦、筋制御や自発的運動の協調性の欠損(失調)などの運動障害は

重篤になることがある。

CFD は、 folate receptor alpha(FRA, 葉酸受容体アルファ)機能の

障害により脳脊髄液中の 5MTHF が低値となることで脳内の

ビタミンB葉酸(ビタミンB9)が欠乏し発症する。

最も多い病因に、FRA に結合する2つの自己抗体の1つがあり、

これが受容体機能を阻害する。

また FRA はミトコンドリア機能への依存が高く、

ミトコンドリアや他の代謝障害があっても FRA 機能の破綻に

つながる。

さらに FOLR1 遺伝子の稀な変異も FRA 機能を阻害する

常染色体劣性遺伝タイプの本疾患の原因となる。

 

原因

 

CFD は前述のように FRA の機能の障害によって起こる。

FRA 受容体は細胞膜内に存在し folate と結合し、

folate はそこから細胞内に輸送される。

この受容体たんぱくは脳の脈絡叢に大量に存在する。

脈絡叢は脳と脊髄を保護する脳脊髄液を産生する器官である。

FRA は脈絡叢を介して脳に拡散する脳脊髄液中に folate を

移動させる。Folate は髄鞘や脳内で信号を伝達する

化学伝達物質(神経伝達物質)の生成に重要である。

脳内の folate の欠乏はこの病態に関連した神経学的合併症の

引き金となる。

 

FRA の機能障害は以下の3つの原因によって起こり得る。

最も一般的な原因は FRA に結合してその機能を阻害する

2つの自己抗体のうちの一つに由来する。

自己抗体とは、免疫系によって作られる個々の自身の

たんぱくの一つまたはそれ以上に向けられたたんぱくである。

自己抗体産生のメカニズムのうち一つ考えられているのは

ミルク(乳たんぱく)由来の可溶性葉酸受容体が

免疫反応を引き起こす可能性である。

 

ミトコンドリア疾患などの代謝障害が FRA 機能障害の

2番目に多い原因となる。

FRA が十分に機能するためにはエネルギーを要するが、

それは、folate の濃度が血液中よりも脳内で高いため

脳内へは能動的に輸送する必要があるからである。

ミトコンドリアはこのエネルギーの産生に重要であることから

ミトコンドリアの機能を障害するいかなる代謝障害も

脳内への葉酸の輸送を妨げる可能性がある。

 

最後に、異常もしくは欠損した FRA たんぱくの産生をもたらす

FOLR1 伝子変異がこの疾病のまれな原因となっている。

このタイプの  CFD は常染色体劣性遺伝様式で遺伝する。

 

罹患者数

 

20例に満たない CFD の患者が科学誌に報告されている。

この疾患の正確な頻度はわかっていない。

一般に乳幼児に多くみられるがいずれの年齢でも発症し得る。

 

兆候および症状

 

CFD の症状は生後4~6ヶ月のときに興奮、易刺激性や

睡眠障害(不眠)で始まる。

発達の遅延は、頭囲発育の遅れ、筋緊張の低下(hypotonia)、

失調、自発運動の喪失(ジスキネジア)、持続する筋収縮(痙性)、

言語障害、てんかんなどで気づかれることがある。

その他、視力障害、聴覚低下、および自閉症兆候がある。

典型的な folate の欠乏と異なり、血清中や赤血球中の

folate 濃度が正常であっても、脳脊髄液中の測定では

5MTHF の濃度の低下が認められる。

MRI 検査で脳は正常所見のこともあるが、一部の患児では

脳の白質容積の縮小(leukodystrophy, 大脳白質萎縮症)が

みられることがある。

前頭側頭葉の萎縮や脳・脊髄内の神経線維を覆う

髄鞘の障害(皮質下脱髄)が生後18ヶ月前後でみられる。

 

関連疾患

 

次に挙げる疾患の症候は CFD のそれと類似している

可能性がある。鑑別診断には比較が有用である。

 

Folinic acid-responsive seizures(FARS, フォリン酸依存性てんかん)は

ミオクローヌス性あるいは間代性けいれん、呼吸障害(無呼吸)、

生後5日以内の易刺激性を特徴とする疾患である。

脳の画像検査で脳萎縮と多数の白質異常が認められる。

FARS は ALDH7A1 遺伝子の変異で起こる。

 

5MTHF 濃度の減少した Kearns-Sayre syndrome の患者では

二次的に脳葉酸欠乏症を来すリスクがある。

Rett syndrome, Aicardi-Goutiere syndrome および

自閉症スペクトラム障害の患児の一部でも葉酸輸送能低下が

報告されている。

 

診断

 

神経学的検査により、緊張低下、失調、不安定歩行、小頭囲など

CFD の症状を確認する。

脳の MRI 検査は皮質下・白質に異常があるか否かを

確認するのに有用となる。

CFD は脳脊髄液中の 5MTHF 濃度を測定することで診断される。

これは腰椎穿刺で行われる。

脳脊髄液中の神経伝達物質の減少は CFD の診断の一助となる。

Folate は神経系がドパミンやセロトニンなどの神経伝達物質を

産生するのに必要であることから 5MTHF の低下と合わせて

これらの数値の低下がみられれば folate 輸送に問題がある証拠となる。

脳波は脳の電気的活動を記録するのに用いられる検査で、

高電位で不規則な波(hypsarrhythmia)などの異常な波形を

示すことがある。聴力検査や眼科的検査も行われる。

FOLR1 遺伝子の変異に対する分子遺伝子検査は診断の確定に

有用である。

自己抗体が CFD の原因かどうかを確定するために

2つの FRA 自己抗体(遮断抗体および結合自己抗体)に対する

検査が行われる。

 

治療

 

症状の改善と脳脊髄液中の 5MTHF 濃度の安定化を目的に

leucovorin calcium(ロイコボリン・カルシウム)あるいは

Deplin が用いられる。

前者は folinic acid(フォリン酸)とも呼ばれる。

Folinic acid は非メチル化タイプの代謝活性のある folate で

体内で変換を受ける必要がない。用量は患者の体重に依存する。

5MTHF を回復するまでにこの補充は少なくとも1年を要する。

 

 

総じて転帰は治療が開始された年齢に依存するようであり、

治療開始が早ければ早いほど転帰は良好である。

なお治療に folic acid の補充は推奨されていない。

それは folic acid の摂取によりてんかん発作、失調、易刺激性などの

症状がむしろ増悪するためである。

このため CFD における重大なポイントは folic acid が含まれる

栄養が強化された食物やビタミン類を避けることとされている。

ロイコボリン・カルシウム治療での重篤な副作用は報告されていない。

特に疾患の早い段階でロイコボリン・カルシウムの内服と乳製品制限を

組み合わせることで良好な改善がみられたとの報告がある。

 

CFDという疾患、まだまだ分からないことばかりのようである。

患者さんには、ただこう言ってあげるしかない。

『あきらめないでっ!』

 

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高血圧、このままでいいんですか?

2022-04-27 14:59:10 | 健康・病気

4月のメディカル・ミステリーです。

 

4月23日付 Washington Post 電子版

 

Despite a ‘bucketload’ of drugs, his blood pressure was perilously high

大量 (bucketload) の薬を飲んでいたにもかかわらず彼の血圧は危険レベルに高かった

(Cam Cottrill for The Washington Post)

 

By Sandra G. Boodman,

 Andrew J. Rosen(アンドルー・J・ローゼン)さんは39歳で高血圧と診断されたがその時には格別驚きはなかった。彼の両親は長年に渡って降圧薬を飲んでおり、それによって有効にコントールされていたからである。高血圧は全アメリカ成人のほぼ半数が罹患し、しばしば家族内でみられる疾病である。

 しかし、カリフォルニア州 Carlsbad(カールスバッド)に住む Rosen さんはそれほど幸運ではなかった。推奨される最大量で5剤が投与されていたにもかかわらず彼の血圧は治療抵抗性に高いままだった。

 Rosen さんによると、診断未確定の状況がいけないのではないかと医師に繰り返し尋ねたという。その都度、彼は同じ回答を受けた:彼は “essential hypertension(本態性高血圧症)” であると。これは明らかな原因のない高血圧のことである。

 医師は彼に、primary hypertension(原発性高血圧症)とも言われるこの疾病は時に管理が難しいことがあると説明した。管理が不良な高血圧は心疾患、脳卒中、不可逆的腎障害、および早期死亡のリスクを高める。

 的確な質問をしていたにも関わらず誤った答えを聞かされて続けていたという事実を Rosen さんが知り得るまでに10年以上が過ぎていった。彼の持続的な高血圧には治療可能な根本原因があったのである。

 「彼は大量の投薬を受けていましたが、そのことが第一の手がかりだったのです」と言うのは、Rosen さんが2019年に受診した Mayo Clinic(メイヨクリニック)の専門医 William F. Young Jr.(ウィリアム・F・ヤングJr.)氏である。Young 氏は、Rosen さんが、本来なら防げていた有害なできごとが診断の遅れによってもたらされてしまった患者のきわめて“典型的なケース”であるという。

 様々な理由により「医師はしばしば、3剤以上の薬剤でコントロールできない高血圧である resistant hypertension(治療抵抗性高血圧)を引き起こしている可能性がある原因について考えないようです」と Mayo の内科学の教授である Young 氏は言う。この事実こそ、彼が改善を目指している診療上の見落としを意味している。

 「正直に言って、これは診断上、最も単純な事柄の一つです」と Young 氏は付け加えて言う。

 

White-coat hypertension? 白衣高血圧?

 

 現在60歳になる Rosen さんはリハビリテーション病院を建設する会社で上級統括部長をしている。正確に知るすべはないが 20歳代後半に高血圧を発症したと考えている。彼は血圧を測ってもらうのが嫌だったので、測定は定期的な受診の際に限られていた。

 その時の測定値は決まって、当時高血圧とされていた基準値である140/90mmHg を越えていた(その後基準値は130/80 に下げられている)。Rosen さんは、自分が“white-coat hypertension(白衣高血圧)”とも言われる“white-coat syndrome(白衣症候群)”であると医師らに思わせることでその診断を免れたという。これは測定値が医療機関では高くなるが、それ以外では正常となるものである。彼が若年だったことから医師らは大概それに同意見だった。

 実際、それが本当かどうかは Rosen さんにはわからなかった;彼は自宅で血圧を測ることを極力避けていたからである。「それは不安のもとでした。いつも高かったからです」と彼は言う。彼はカフが腕を締め付ける感じを嫌っていたし、自分は高血圧ではないと考えたかったのである。

 しかしすべての医師が納得していたわけではなかった。当時 Rosen さんが住んでいたアトランタのアレルギー医は白衣が原因とする説明に疑いの念を示した。「彼はこう言いました。『分かりませんが、高い血圧を示すにはあなたは若すぎます』」そう Rosen さんは思い起こす。

 2001年、内科医が高血圧と診断したため Rosen さんはアドレナリンを遮断する薬剤であるβブロッカーを飲み始めた。しかし血圧に変化がみられなかったため、その内科医は2種類の別の薬を追加した:カルシウムチャネルブロッカーと ACE 阻害薬である。それら3種類の薬が無効であることがわかるとその医師は用量を増やした。

 40歳半ばのとき Rosen さんはコレステロールの高値と2型糖尿病があると告げられた。2型糖尿病は糖の代謝が障害されている慢性疾患である。コレステロールを下げる薬と糖尿病薬でそれらの問題は管理された。

 2011年、Rosen さんがサンジエゴ地区に転居すると、新しい家庭医は血圧の薬を変更した。しかしそれがごくわずかな血圧の低下しか得られなかったため、その医師はさらに2剤を追加した。

 

Searching for a zebra ゼブラ(珍しい病気)を探す

 

 しかし依然として高い数値が続いた。「看護師が機械で数回測定すると148/90が出ていました」と Rosen さんは言う。しかし受診の終わりに、Rosen さんの主治医が手早く手動の測定を行うと血圧は118/69 に下がっていると(気を利かせて?)教えてくれるのだった。

 医師である妹を持つ Rosen さんは安心していた。「彼は良い医者だと私は思っていました。そして彼の対応を気に入っていました」と彼は言う。

 しかしそれからの数年間、彼は徐々に心配になっていった。薬を忠実に内服しているにも関わらず、多くの測定値は高く血圧が制御されているとは思えなかったからである。

 2017年、彼の両親が冠動脈の狭窄で心臓のバイパス手術を受けたことから Rosen さんは心臓内科医を受診した。

 その心臓の専門医は stress echocardiogram(ストレス心エコー検査)を行った。これは心臓がどの程度機能しているかを調べる検査である。その検査で Rosen さんの心臓は正常とみられたが、その心臓内科医は時折 179/85 まで高くなっている彼の血圧に危機感を抱き、Rosen さんが飲んでいる薬のうち最大用量まで達していなかった一つの薬を増量した。Rosen さんの高血圧は腎障害が原因かもしれないと彼は考えたが、腎臓の検査では異常は見つからなかった。

 この時点で、Rosen さんは、“zebra(シマウマ)”を探したいと家庭医に話した。これは稀な診断名に対して医師が使う用語である(MrK註:ひづめの音が聞こえたら大概は馬が来たと考えシマウマだと思う人はまずいないことから)。医師は pheochromocytoma(褐色細胞腫)の検査を依頼した。これは、両側の腎臓の上に位置する副腎の一側あるいは両側に発生する一般には良性の稀な腫瘍である。

 検査ではこの“pheo” を発見できなかったため、Rosern さんはホルモン関連疾患の治療を専門とする医師である内分泌専門医に紹介された。

 

‘You don’t have it’ ‘あなたにはそれはない’

 

 Rosen さんは2018年11月に最初の内分泌専門医を受診した。その女医は治療抵抗性高血圧に最も高頻度に関連する疾患である primary aldosteronism(PA, 原発性アルドステロン症)かもしれないと考えた。この疾患は 1954 年にこれを発見した University of Michigan(ミシガン大学)の内分泌学者 Jerome W. Conn(ジェローム・W・コーン)にちなんで Conn syndrome あるいは Conn’s syndrome(コーン症候群)とも呼ばれている。

 PA は副腎で産生されるホルモン aldosterone(アルドステロン)の過剰によって引き起こされる。過剰な aldosterone は腎臓でナトリウムの貯留とカリウムの喪失を引き起こすが、これが血圧の上昇をもたらす。

 この疾患は血液検査で aldosteroneと renin(レニン)の濃度を測定し、両者の比率を算出することで検出できる。Renin は腎臓で産生される酵素で血圧の制御に関与している。この診断を確定し副腎の一側あるいは両側のいずれが関与しているかを決定するためにはさらなる検査が必要である。後者の場合、PA は薬剤で治療される。しかし30%の患者では一側副腎の良性腫瘍が PA の原因となっている。この場合、一側副腎の外科的切除により血圧を正常化できる。

 血液検査の結果を待っている間、Rosen さんは、内分泌専門医の国際的学会である Endocrine Society(米国内分泌学会)によって 2016 年に発行された膨大な PA の診断と治療の臨床ガイドラインを熟読した。

 彼は、自身にみられていた睡眠時無呼吸と低カリウム血症がこの疾患に関連していることを発見した。そして、自身の血液検査がそれを示唆しているようだったことが彼を後押しした。

 「私にとって、これは実に好ましいことのように思われたのです。なぜならそれが治療できるものだったからです」と Rosen さんは言う。

 しかし、先の内分泌専門医と同じ部署の若手の医師はその可能性を除外した。「あなたにはそれはありません。あなたの aldosterone は低すぎます」そう言われたことを Rosen さんは覚えている。Rosen さんは、血液検査の比率の計算結果に加え、50ページに及ぶ Endocrine Society のガイドラインの理解からは、彼の言ってることとは違うことが示唆されるのではないかと異議を唱えたという。

 しかし、その医師は意見を異にした。そのため Rosen さんは電話を切り、即座に新しい専門医を探し始めた。

 その後まもなく Rosen さんは2人目の内分泌専門医を受診、その医師は PA の可能性があることに同意見だった。その女医は追加検査を行うとともにCT検査を行い、診断が確定した。最終段階となるのは adrenal venous sampling(副腎静脈サンプリング)という技術を要する検査だった。この検査は、罹患副腎が一側なのか、両側なのかを決定するために副腎静脈にカテーテルを誘導するものである。その検査結果が治療の指針を決めることになる。

 前述のYoung氏に助言を求めたこの2人目の内分泌専門医は Rosen さんに Mayo で静脈サンプリング手技を受けるよう助言した。2019年4月、Rosen さんは妹とともにミネソタに飛び、同クリニックの内分泌部門の元部長で、過去に Endocrine Society の理事長も務めていた Young 氏を受診した。

 静脈サンプリングを専門にしているインターベンショナル放射線科医により一側の副腎だけが関与していることが判明した。このことは Rosen さんに手術適応があることを意味していた。(Young 氏によると「治療には一側の副腎の半分だけは完全に正常であることが求められる」とのことである)

 2019年6月、Rosen さんは UCLA Medical Center(UCLAメディカルセンター)で腹腔鏡手術を受けた。それから一年で彼は35ポンド(約16kg)体重が減り健康状態は劇的に改善した。現在彼は血圧 124/80 の測定値を達成するのに低用量の降圧薬1剤のみを要している。

 「以前に比べて今ははるかに体調がいいです。かなり活動的になっています」と彼は言う。

 しかし診断の遅れは不可逆的な障害を彼にもたらした。年余に及ぶ制御されない高血圧は Stage 3b の腎臓病を引き起こした。これに対して Rosen さんは薬を内服しており定期的に腎臓専門医を受診している。もし病気が悪化すれば、腎移植が必要になるかもしれないと Rosen さんは言われている。

 

Alerting doctors 医師たち(の認識)を変えること

 

 Young 氏によると、Rosen さんのような患者をあまりに多く見ているという。それこそが、彼が PA のスクリーニングの必要性を説く伝道者となった主な理由である。

 医師らはこの疾患が稀であると長く教えられてきたが、最近の研究ではそうではないことが示されていると Young 氏は言う。研究者らは、高血圧の 5~10%、治療抵抗性高血圧の20%が PA であると推定している。その大部分の人は一度も検査を受けていないことから、それに気づいていないのである。

 2020年の Stanford(スタンフォード)の研究では、治療抵抗性高血圧の患者のわずか 2.1%しか PA のスクリーニングを受けていなかった;また University of Minnesota(ミネソタ大学)では、その割合は 4.2%だった。さらに2003年のオーストラリアからの研究では、高血圧の患者の集団中、予想外に多くの PA 症例が発見されている。

 「それは広く過小診断されていますが、このことは米国に限ったことではないのです」と Young 氏は言う。彼は高血圧のすべての人に少なくとも一度はスクリーニングを行うよう提唱している。「私の見方では、臨床医の認識にかかっていると思います。内分泌専門医や腎臓専門医はこれを考えています。しかしプライマリケア医はそれほどではありません」

 PA の患者は心疾患や腎疾患が引き起こされてクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)が低下する可能性が高いと 2018年の論文で Young 氏は述べている。時宜にかなった治療はそのような結果に至るのを防ぐことができる。

 Rosen さんは自らもかかってきた医師の教育に努めてきたという。「もし3種類以上の降圧薬を出している患者がいて、彼らがうまく制御されていなかったら Endocrine Society のガイドラインに沿って PA の検査をする必要があることを、受診したすべての医師に話すようにしてきました」と彼は言う。

 手術後、Rosen さんは「自分を診たかつての医師らに『あなたはこれを見逃していましたよ』と書いた親切な手紙を送りました」と言う。返事があった唯一の医師は一人目の内分泌専門医だったが、その医師は電話で謝罪し、同僚の医師が Rosen さんの検査結果を間違って解釈していたと説明した。

 Rosen さんは自身の経験が他の人たちの助けになることを望んでいるという。「もっと自分で調べておけば良かったと毎日思っています。20年前にそうしておけば私の腎臓は障害されていなかったことでしょう」と彼は言う。

 

 

原発性アルドステロン症(PA)についての詳細は、

日本内分泌学会監修の

原発性アルドステロン症診療ガイドライン2021』を

参照いただきたい。

なお日本内分泌学会HPに一般向けのわかりやすい PAの概説 が

載せられているのでご一読を。

 

 

PA は副腎で産生されるホルモンの一つ、アルドステロンが自律的に

過剰分泌される疾患である。

腎臓が体液量の低下を感知すると

腎臓の傍糸球体細胞からタンパク質分解酵素であるレニンが分泌される。

レニンは肝臓由来のアンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンⅠに

変換、アンギオテンシンⅠはアンギオテンシン変換酵素(ACE)により

アンギオテンシンⅡに変換される。

このアンギオテンシンⅡが副腎からのアルドステロンの分泌を促し

アルドステロンはナトリウムの保持に働き血液量が増加、

結果として血圧を維持する働きをする。

血液量が増加するとレニン分泌が抑制される。

またレニンは塩分の過剰状態により分泌抑制を受けるため

健常人においてはアルドステロンは低値を示す。

PA では塩分過剰状態となり低レニンになっているにもかかわらず

副腎からアルドステロンが過剰分泌されている状態となっている。

このことから PA のスクリーニング検査として

血中のアルドステロンとレニンを測定、

アルドステロン/レニン比が高値となった場合、PA を疑う。

 

かつては高血圧患者に占める PA の割合は1%程度と考えられていたが、

近年では、高血圧患者全体を対象にスクリーニング検査を行うことが

推奨されるようになったため、高血圧患者に占める割合は増加し、

5%程度と考えられている。

重症の治療抵抗性高血圧患者に限るとその割合はさらに高くなる。

 

PA には副腎腫瘍が原因となっているタイプと、副腎の過形成により

左右両側の副腎全体からアルドステロンが過剰分泌されている

タイプがある。

これらの鑑別にはカテーテルを用いた副腎静脈サンプリング検査が

必須である。

副腎腫瘍の多くは腺腫だが、ごく稀に副腎癌が原因となることもある。

 

アルドステロンは、Na を体内に貯留する作用があるため

アルドステロン過剰状態では血圧上昇が必発となる。

ほとんどの症例は健診などで高血圧を指摘され PA の診断につながる。

またアルドステロンの作用により腎臓において Na 再吸収が亢進すると

代わりに K 排泄が亢進するため、重症例では低 K 血症を呈する。

低カリウム性アルカローシスが生じる可能性があり、

発作性の筋力低下、テタニーなどを引き起こすことがある。

低K血症の出現頻度は PA の5割未満と言われているが、

塩分負荷や利尿薬使用に誘発されて低 K 血症を呈することもあり、

注意が必要である。

 

タイプによって、治療法は異なってくる。

副腎腫瘍が原因となるタイプは、手術により根治が期待できる。

腫瘍切除により PA が治癒し降圧薬による治療を要しなくなる

血圧正常化症例が50~70%でみられる。

一方、左右両側副腎の過形成が原因となるタイプは手術の適応はなく、

アルドステロン拮抗薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)による

治療を行う。

スピロノラクトン、エプレレノン、エサキセレノンなどが用いられる。

 

PA の発見・治療が遅れると、脳卒中、虚血性心疾患、腎障害など、

高血圧関連の合併症のリスクが増大する。

アルドステロン過剰を認識せず一般的な高血圧治療を続けた場合でも、

これらの合併症のリスクが高くなるという点を一般の臨床医は

特に留意しておく必要がある。

そのため、高血圧患者の中からこの病気を早期に診断し治療を

開始することがきわめて重要である。

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家庭内クラスター?そうでない?どっち?

2022-03-25 16:51:09 | 健康・病気

3月のメディカル・ミステリーです。

 

3月19日付 Washington Post 電子版

 

A family suffered weeks of dizziness and nausea. A doctor’s hunch uncovered the cause.  They would start to improve but within hours their symptoms returned.

家族は数週間めまいと吐き気に襲われたがある医師の直感により原因が明らかになった~彼らは一旦良くなりかけるも、数時間以内に症状がぶり返していた~

 

By Sandra G. Boodman,

 

(Cam Cottrill for The Washington Post)

 

 Brooke Stroud(ブルック・ストラウド)さんは当惑し動揺していた。2020年の年末、ワシントンの臨床心理学者である Stroud さんの家族を襲っていた原因不明の疾患に、泊りに来ていた10代の子がどうしてあれほど急速に罹患したのか不思議に思った。

 Stroud さん、彼女の夫である Stephane Carnot(ステファン・カルノー)さん、そして当時17歳の娘 Olivia(オリビア)さんは、彼らの頭痛、めまい、嘔吐、そして疲労感の原因を明らかにしようとして家庭医を受診していたが徒労に終わっていた。彼らの感冒様の病気のパターンは得体の知れないものだった:彼らのうち一人あるいは二人は症状が良くなり始めるのだが、彼らの症状は決まって数時間以内にぶり返していたのである。

 最終的に正解の判明と診断、回復につながったのは、1,000マイル以上離れた感染症の専門家からの提言だった。

 「私たちは3週間ひどい状況にありました」と Stroud さんは言う。彼女は、今回の病気によるだけでなく、過酷なパンデミックとなってから9ヶ月でどこでも感染し得るとみなされるようになった covid-19への誤った着目によって自身の判断が曲げられたと考えている。「私は、自分の子供たちを今回のことに巻き込んでしまったことに罪悪感を感じています」

 

“Totally drugged”  “ひどくボーっとなって”

 

 Stroud さんが最初に発病した。2020年12月18日、Georgetown(ジョージタウン;ワシントンDC北西部)の自宅から朝のミーティングにログインし、自身の体調がすぐれないと他の参加者たちに伝えた。彼女はここ数日気分が悪かったが、明らかに悪化しているようだった。

 「私はひどくボーっとしていました」と彼女は言う。そしてその日のうちに、彼女には華氏100度(37.8 ℃)の発熱がみられた。その日の晩までに夫のCarnot さんと、休暇で最近帰省していた子供たち2人に激しい頭痛がみられ、嘔吐し、身体の痛みが出現した。子供たちは、ノースカロライナ州の大学に通っている19歳の Alex(アレックス)君と、バージニア州の寄宿制学校の senior(4年生;日本の高校3年生に当たる)の Olivia さんである。Stroud さんは彼らがコロナウイルスに感染したのではないかと考えた。夫はなんとか PCR 検査の予約を取ることができたが結果は陰性だった。

 Stroud さんの内科医はコロナウイルスと、インフルエンザの原因となるウイルスの検査を彼女に行った。結果は陰性だった。彼女は子供たちのかかりつけだった小児科医に連絡したところ、心配はしてくれたものの休養と水分摂取を勧めてくれただけだった。もし、両親がコロナウイルス陰性と出たのであれば、子供たちに検査を行ったり診療所への受診を予定したりする理由はほとんどないようであるとその医師は現在52歳になる Stroud さんに説明した。

 Stroud さんによると、12月23日には全員が消耗し、ほとんど横になっている状態となっていた。この夫婦の年長の子供である 21 歳の Sebastien(セバスチャン)さんは、所属する大学があるバーモント州から戻ってきた。しかし彼もまた数時間以内に体調が悪くなった。

 Stroud さんはセカンドオピニオンが賢明な策であると考えた。クリスマスイブに彼女は夫がかかっている内科医を受診、血液検査が行われた;しかし彼女の症状を説明するものは何も見つからなかった。「私たちはクリスマスの計画をキャンセルし布団の中で身を潜めていました」と彼女は言う。

 Stroud さんにはどこか奇妙に感じることがあったが、それが意味しているものは何なのか、あるいはそもそもそのことに何か意味があるのかもわからなかった。Oliviaさんは散歩をしているときは気分が良かったのである。そして、自宅で仕事をしていた Stroud さんも、敷地内にある車置き場で仕事をしているときは同様に良かったのである。

ワシントンの臨床心理学者である Brooke Stroud さんと家族は数週間体調が悪かった。彼らの体調不良の原因は衝撃的なものだった。

 

Weighing the risk リスクを評価する

 

 大晦日の2、3日前、Oliviaさんは、コロナウイルス、一般的に軽度な呼吸器症状を引き起こす parvovirus(パルボウイルス)、および十代の人たちによく見られる疾患である infectious mononucleosis(伝染性単核球症)の検査を受けた。すべて陰性だった。彼女は、クラスメートの Caroline Schieffelin(キャロライン・シェフェリン)さんの自宅へ行って数日を過ごすため New Orleans(ニューオーリンズ)まで飛ぶ予定にしていた。そしてその後に 2人はワシントンに戻り、1月中旬に大学に戻る前に学校側から求められている待機期間の2週間を Olivia さんの家で過ごすことになっていた。

 しかし移動するには体調が悪すぎた Olivia さんはこの旅行をキャンセルした。Stroud さんは Schieffelin さんの両親に電話をかけ、家族の原因不明の疾病を考慮してCaroline さんがワシントンに来るべきか否か相談した。

 「私はリスクと便益の比率を考えました」Caroline さんの父親で Tulane University School of Medicine(チューレーン医科大学)の感染症の専門家である John Schieffelin(ジョン・シェフェリン)さんは思い起こす。エボラ、および致死的ともなりうる出血を引き起こすウイルス疾患であるラッサ熱の生存者を研究している Schieffelin さんは、Olivia さんの家族を苦しめている疾患が何であれ(彼らが数週間体調不良が続いていたことから感染力は恐らく低いとみられた)、彼の娘がそれに罹患するリスクと、別の選択肢、すなわち Caroline さんが自身の寮の部屋で1人で2週間を過ごすこと、とのバランスを比較検討した。

 結局彼は旅行を許可し、Caroline さんはワシントンに飛び友人である Olivia さんの家に滞在した。

 しかし彼女が到着して間もなく、Olivia さんは Caroline さんが嘔吐し激しい頭痛に襲われていると母親に伝えた。

 「Olivia はほとんどヒステリー状態でした。私たちの病気が何であれ彼女もそれに罹ってしまったのだと残念に思いました」そう Stroud さんは言う。

 Caroline さんが 2021年1月5日の夜に父親とテレビ電話をしていたとき、Stroud さんは何か必要なものはないか尋ねるために彼女の部屋のドアをノックした。そして親たちは話し合いを始めた。

 Schieffelin さんは、大きな家の中の特定の場所で気分が良くなり、別の場所では増悪するという Caroline さんの見解に興味をひかれていた。「私はこう言いました、『それは奇妙なことであり普通じゃない』と」娘にそう話したことを Shieffelin さんは思い起こす。

 彼はそのことを Stroud さんに語り、「考えすぎな親になるわけではありませんが、このことは実際、一酸化炭素中毒の可能性がある印象です。皆さんはあまりに急速に体調を崩しています。環境が関連しているように思います」

 Schieffelin さんによると、これらの症状からは New Orleans で毎年発生している相次ぐ一酸化炭素中毒死が思い起こされたという。その多くはハリケーンの季節における可搬型発電機の室内使用が原因となっている。

 

Unintentional poisoning 不慮の中毒

 

 不慮の一酸化炭素(CO)中毒のために毎年アメリカ国民400人が死亡し4,000人が入院していると衛生当局は推計している。この化学物質は炭素を含有する天然ガスや他の生成物の不完全燃焼によって産生される。発電機に加えて、その発生源には車の排気ガス、ストーブ、および暖房炉やガス湯沸かし器などの温熱装置が含まれる。

 軽度から中等度の中毒は、しばしば“感冒様”と表現される症状を引き起こす。めまい、錯乱、頭痛、および脱力が、嘔気や嘔吐とともによく見られる。しかし、外気への曝露で改善することのない感冒と違って、CO中毒の症状はしばしば改善する。

 より高濃度のCOでは、意識消失や永続的な脳の障害、および死に至る可能性があり、睡眠中や酩酊している人では特別リスクが高く症状が出現する前に死亡することがある。衛生当局はCO中毒が疑われる場合にはかならず、直ちに新鮮な空気の屋外に避難し、911をコールすることが重要であると強調している。

 Stroudさんは Schieffelin さんに、彼らが受診した医師は誰一人、一酸化炭素中毒の可能性を示唆しなかったと話した。彼女もまたそれが問題の原因と考えていなかった。というのも、数年前に彼らの築162年の家に、CO用も含めた様々な種類の検知器を備えた警報システムを設置していたからである。しかし、今回実態を確認するため、U.S. Consumer Product Safety Commission(米国消費者製品安全委員会)が以前より推奨している携帯用CO検知器を購入することにしたと彼女は付け加えて言う。

 翌 1月6日の早朝、Carnot さんはホームセンターでそれを購入し自宅に持ち帰りコンセントにつないだ。即座に警報が鳴り Schieffelin さんの仮説が裏付けられた。

 Stroud さんは911に電話をかけた;ワシントン D.C. の消防局の職員が数分以内に到着した。消防士らは漏出源を特定するまで全員屋外に出るように命じたが、漏出源はすぐに発見された。暖房炉の留め金が緩んでおり、無色無臭のガスが4階建ての家中に噴出していたのである。特にいくつかの寝室がある一帯のエリアでの濃度が最も高かった。現場での検査でもその家に居た全員の血中の CO 濃度の高値が示された。

 

Tunnel vision? 視野狭窄?

 

 「すべてがきわめて迅速に行われました」と Stroud さんは言う。幸いにも医学的な治療を要する人はいなかった(一般に一部のケースでは高濃度の CO に曝された人には高気圧酸素療法が必要となる。これにより血液から有害な成分が急速に排出され酸素に置き換えられる。)

 Schieffelin さんによると、消防局が到着したときと、同日、全員が屋内に戻ったときに娘から電話があったという。その際、彼は Stroud さんとも話をした。「全員が問題なくて何よりだった」と彼は言う。

 Stroud さんは、警報システムが曝露を警告できなかったことに当惑した。しかしシステムに CO 検出器が含まれていなかったことがすぐに判明した;D.C. が住民にそれらを義務づけた前年に設置されていたからである。「私たちは守られていると思っていました。しかし実際はそうではなかったのです」と彼女は言う。

 この家庭は以後、彼らの自宅のそれぞれのレベルに応じた4台のプラグイン検出器を購入し設置した。彼女は、地下の収納室に行くたびに、かつて欠陥がみられた温暖炉の接続をチェックしている。

 今回の事故で Stroud さんは、とりわけ、起こっていたかもしれないことに思いを巡らしたとき心が震えた。彼女によると、見逃され、あるいは潜んでいる原因によってもたらされるその他の危険への注意を喚起するために彼女の経験を話すよう、彼女がかかった医師の1人から勧めたという。

 「もし、covid の始まる前の時期に診察を受けていれば、誰かがもっと早くCO中毒を思いついてくれていたのだろうかと考えています」と Stroud さんは言う。

 

 

 

一酸化炭素中毒については下記サイトをご参照いただきたい。

MSDマニュアル プロフェッショナル版

 

炭素を含む物質が酸素不足の状態で燃焼すると

無色無臭の気体である一酸化炭素(CO)が発生する。

一酸化炭素は、酸素に比べて200倍以上も赤血球中のヘモグロビンと

結合しやすいため空気中の一酸化炭素濃度が高い状況では

ヘモグロビンによる酸素運搬能力が低下し酸素不足に陥る。

中毒における一般的なCO源には、住宅火災、通気が不適切な自動車、

ガス暖房器具、炉、湯沸かし機,木または炭を燃やすストーブ、

灯油ストーブなどがある。

天然ガス(メタンまたはプロパン)が燃焼するとCOが発生する。

タバコの煙でも吸入により血中のCOが上昇するが

中毒を引き起こすまでには至らない。

COの体内からの消失半減期は、室内気の吸入では約4.5時間、

100%酸素で1.5時間、3気圧の酸素(高気圧酸素療法)では

20分である。

 

CO中毒では,頭痛,悪心,筋力低下,狭心症,呼吸困難,意識消失,

痙攣発作,昏睡などの急性症状がみられる。

血中COヘモグロビン濃度(正常は2%未満)が

10~20%になると頭痛や悪心が現れることがある。

20%を超えると、めまい、全身の筋力低下、集中困難、および判断力の

低下がみられる。

30%を超えてくると、労作時呼吸困難、胸痛(冠動脈疾患患者の場合)、

および錯乱がみられる。

さらに高濃度になると、失神、痙攣発作、および意識障害を来す。

60%を超えると、低血圧、昏睡、呼吸不全を来し、死に至る。

中毒が重度の場合は,精神神経症候(認知症、精神病、パーキンソニズム、

舞踏運動、健忘症候群)が曝露から数日~数週間後に発生し、

恒久的に後遺症を残す可能性がある。

 

CO中毒の症状は非特異的であり様々であるため、

その診断は見逃されやすい。

非特異的な症状を伴う軽度の中毒例の多くは、

本記事の家族の様にウイルス疾患と間違われる。

(特に新型コロナパンデミック下ではなおさらと思われる)。

同一の住居、特に暖房を入れている同一の住居にいた人々に

非特異的なインフルエンザ様症状が認められる場合はCO曝露を

考慮すべきである。

このため常にCO中毒の可能性を念頭に置いておく必要がある。

CO中毒が疑われる場合は、COオキシメーターで血液中の

一酸化炭素ヘモグロビン濃度を測定する。

(なおCOオキシメーターは結構お値段が高い)

通常のパルスオキシメーターでは正常ヘモグロビンと

COヘモグロビンを区別できないため、CO中毒の診断には不適である。

なお、COヘモグロビン濃度高値は中毒の明確な証拠となるが、

CO曝露が終了するとCOヘモグロビン濃度は急速に低下するため、

偽性の低濃度を示す場合があり、救急車内で酸素補給の治療を受けた

患者等では注意が必要である。

他の原因が不明な代謝性アシドーシスがCO中毒診断の手がかりと

なることがある。

 

治療

まずは患者をCO源から遠ざけることが重要である。

100%酸素を投与し患者の状態の安定化を図る。

中等度から重症の患者では高気圧酸素療法(100%酸素2~3気圧)を

考慮する:

高気圧酸素療法は遅発性の精神神経症状の発生率を低減する可能性が

示唆されているがその有効性についてはいまだ議論がある。

 

予防

室内の燃焼源を点検し、正しい設置および室外への通気を確認して

予防に努める。

COの漏れ出しを早期に警告するCO探知機は予防に有用である。

 

アメリカの古い大きな家の暖房がどうなっているのか知らないが、

日本とはまた暖房事情が大きく違っているのであろう。

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2022年4月新ドラマ

2022-03-16 16:56:00 | テレビ番組

年明けからの SARS-Cov-2 オミクロンによる第6波、

重症化率が低い割に死亡者数が多かったのはやはり

高齢者の感染が多かったためだろう。

ただ、3月に入り新規感染者数は徐々に少なくなっており、

少し明るい兆しも見え始めてはいる。

一方、ロシアによるウクライナ侵攻は世界中に暗い影を落としている。

この先2022年はどうなっていくのか?不安が募るばかりである。

フジテレビ『ミステリと言う勿れ』より

 

さて、2022年1月クールドラマの視聴率であるが、

二桁の数字を獲ったのは、月9『ミステリと言う勿れ』と

日曜劇場『DCU』の2本のみ。

『ミステリと…』はこれまでにないドラマ構成で、

斬新な感じで、唯一次週が楽しみに思えた作品だった。

一方、浜辺美波、清原果耶、高畑充希、黒木華といった、

期待の女優陣の主役ドラマはいずれも10%に届かず…。

これらドラマの不振は女優の演技に問題があるというよりも、

企画と脚本が悪すぎたように思われる。

また松潤主演の『となりのチカラ』も初回・第2話こそ二桁だったが、

以後は9%にも届かない有様(冬期オリンピックによる中断が災い?)。

もはや嵐の人気も過去の遺物となった感がある。

(次クールの二宮ドラマがどうなるかが注目される)。

1月クールも全体的にパッとしなかった印象だが、

春4月からの2022年4月クールドラマの内容をチェックしてみたい。

 

 

フジ月9 4/11 ~ 『元彼の遺言状』 綾瀬はるか、大泉洋、関水渚、他

原作は新川帆立による小説『元カレの遺言状』。敏腕女性弁護士が、殺害された元カレが残した、自分を殺した犯人に全財産を譲るという遺言状を見た敏腕女性弁護士が犯人を仕立て上げ巨額の遺産を手に入れようとするリーガルミステリー。綾瀬はるか演じる主人公・剣持麗子は容姿端麗、スタイル抜群、派手な高級スーツを身にまといヒールを鳴らしながら風を切って我が道を突き進む、大手法律事務所で働く敏腕弁護士。どんな相手に対しても物おじせず、圧倒的な法律知識とハッタリを効かせた話術を武器に、数々の難局からクライアントを救ってきた。クライアントのために、どんなあくどい手を使ってでも“勝ち”にこだわり誰もが認める超優秀な弁護士ではあるが、内外に敵も多い。麗子はそんな外野には目もくれず「お金が欲しい」という誰もが持つ感情が人一倍強いだけだと豪語する。そんな彼女が、ひょんなことからある大事件に巻き込まれていく。ある日、あるクライアントからクレームがあり麗子はボーナスカットを言い渡される。これに憤慨した彼女はしばらく事務所を休むことに。暇を持て余した麗子は手当たり次第に知り合いにメールを送るが返信があったのは元カレの森川栄治ただ一人だった。ただそのメールに書かれていたのは、彼の訃報だった。メールの差出人は篠田(大泉洋)という謎の人物、彼女とは全く面識がないはずだったが、『久しぶりだね』との電話がある。栄治には1080億円という巨額の遺産があり、『僕の全財産は僕を殺した犯人に譲る』という奇妙な遺言状が残されていた。元カレが死んだ事実より巨額な遺産の方に心が動いた麗子は、栄治が暮らしていた軽井沢の別荘の管理人を務めていたという篠田を『完璧な殺人計画』による殺人犯に仕立て上げ共謀して遺産を山分けする計画を立てる。遺産に狙いを定めた彼女は篠田とバディを組み行動を共にし、巨額の遺産と栄治の死の真相に迫ろうとする。そうして栄治の過去が紐解かれるにつれ、次第に栄治の遺言に隠された本当のメッセージが明らかになっていく。栄治は本当に病死なのかそれとも…。パンドラの箱を開けてしまった麗子と篠田をさらなる悲劇が待ち受ける。また、さらに毎度殺人事件に遭遇、そのたびに篠田とタッグを組み、法的視点でしぶしぶ事件を解決する羽目に陥る。主人公が善玉なのか悪玉なのか今のところよくわかっていないドラマ。

 

 

フジ(関西テレビ)月10 4/18 ~ 『恋なんて、本気でやってどうするの?』 広瀬アリス、松村北斗(SixTONES)、西野七瀬、藤木直人、飯豊まりえ、岡山天音、古川雄大、戸塚純貴、香椎由宇、他

27歳恋愛不要女子 VS. 刹那恋愛主義男子、安定志向早婚レス妻 VS. 訳ありミステリアスシェフ、愛され中毒パパ活女子 VS. 不思議系陰キャ男子の6人の“恋に本気になれない”男女が織りなす群像ラブストーリー。広瀬アリス演じる主人公は『恋なんて人生のムダ!』と宣言する27歳こじらせ女子・桜沢純。彼女と出会い“本気の恋”に落ちていく“来る者拒まず去る者追わず”の危険なイケメン男性・長峰柊磨を松村北斗が演じる。純は、洋食器メーカー『相良製陶』で若くしてチーフを務める優秀なデザイナー。ファッションや食べ歩きなど趣味も充実し、親友との女子会ではぶっちゃけトークでいつも盛り上がる。そんな充実した東京ライフで自分のペースを乱したくない彼女の信条は『恋なんて人生のムダ!』。27歳にして恋愛経験、男性経験ゼロでこじらせているように見えるが、『恋なんて不確かなもので、心も時間も無駄にしたくない』というのが彼女の確固たるスタイル。頑ななまでのその思いの裏には、実はある理由が隠されていた。そんな純が出会ったのは、フレンチビストロ『サリュー』のギャルソン兼見習い料理人の柊磨。目を見張るほどのイケメンな上に、女性の心をつかむ言葉や表情、言葉遣いは天才的。恋愛は刹那主義で、店の客とも適度に関係を持つ危険な男。しかしそれはどこか空っぽな自分の内面を押し隠しているようだった。そんな2人の出会いが、お互いに変化をもたらし本気の恋に陥っていく。その他、安定志向な“早婚レス妻”の清宮響子を西野七瀬、謎だらけの“ワケありミステリアスシェフ”岩橋要を藤木直人、恋はコスパが命の“パパ活女子”真山アリサを飯豊まりえ、不思議系陰キャ男子・内村克巳を岡山天音が演じる。また純の高校のラクロス部時代からの先輩で人生でたった一人の“推し”・坂入拓人に古川雄大、ラクロス部の同期ながら恋愛に発展する可能性ゼロの“安心安全の大津”こと大津浩志に戸塚純貴がキャスティングされている。純(広瀬アリス)が働く『相良製陶』の元先輩で、現在はネイルサロン『Ambarvalia(アンバルワリア)』を経営する中川岬希に香椎由宇。純、響子、アリサが集まる女子会の場となるネイルサロンでアネゴ的存在となる。若者たちに交じって藤木直人もよく頑張るな。

 

 

TBS 火10 4/19 ~ 『持続可能な恋ですか?』 上野樹里、田中圭、磯村勇斗、井川遥、松重豊、他

ヨガインストラクターの女性が父娘二人で婚活にチャレンジする物語。吉澤智子・脚本によるオリジナルドラマ。上野樹里演じる主人公・沢田杏花(さわだきょうか)はヨガインストラクター。母が他界した2年前に実家へ戻り、現在は父・林太郎(松重豊)と2人暮らし。生徒の前では『心身ともに穏やかな暮らし』を送っているように取り繕っているが、実際の生活は穏やかさとは程遠く、いつもバタバタと何かに追われていた。大雑把な性格のため身の回りのことや家事もとにかく雑で、同居中の父とはケンカが絶えない。自分の時間を自分のために使いたいのに、お荷物な父の面倒も見なくてはならず、おかげで結婚願望も薄い。そんな杏花が、父に巻き込まれる形で婚活を始める。一方、2年前に妻に先立たれてしまった杏花の父・林太郎は、フリーで辞書の編さんをしている日本語学者で、24時間365日『言葉』のことを考えている“日本語オタク”。家のことは完全に妻に任せきりだったため日常生活能力が低く、同居中の娘・杏花をいつもイライラさせてしまう。妻を亡くしてからというもの、人生の活力を失いかけていたが、遺品整理で見つけた“亡き妻からの離婚届”をきっかけに一念発起。第二の人生のパートナーを探すため、杏花を巻き込んだ“ダブル婚活”を思い立つ。この二人の他、杏花と出会うことになる東村晴太(ひがしむらせいた)を田中圭、杏花と18年ぶりに再会する幼なじみの不破颯(ふわはやて)を磯村勇人、杏花の父・林太郎と婚活パーティーで運命的に出会う女性・日向明里(ひなたあかり9を井川遥が演じる。突如始まった“ダブル婚活”をきっかけに『誰かと共に生きること』を一生懸命に考える娘と、『第二の人生』へと向かう父の奮闘、そして二人の父娘バトルが描かれる。

 

 

テレ朝水9 4/6 ~ 『特捜9 season5』 井ノ原快彦、羽田美智子、山田裕貴、津田寛治、田口浩正、中越典子、中村梅雀、向井康二(Snow Man)、他

個性派刑事たちの奮闘を描く本ドラマも既に5シーズン目となる。特捜班メンバーたちが衝突しながらも、事件解決という同じ意識を共有し全力で捜査に当たっていく。今回は新藤亮刑事(山田裕貴)の秘めたるエピソードが徐々に明かされていくほか、前シーズンでめでたく結婚した小宮山志保刑事(羽田美智子)と村瀬健吾刑事(津田寛治)の1年後の生活も描かれる。またその村瀬が副所長となる警視庁内の新部署『捜査支援分析センター(SSBC)』に所属し特捜班の捜査をサポートする三ツ矢翔平に向井康二がキャスティングされメンバーの若返りが図られる。向井は明るく少し天然、思ったことをつい口に出してしまい、周りの空気を一変させることもあるが、何故か憎めないキャラクターの持ち主。これまでの国木田誠二班長(中村梅雀)、浅輪直樹(井ノ原快彦)、青柳靖(吹越満)、矢沢英明(田口浩正)らが引き続き特捜班メンバーとして登場する。高齢者も気安く見られる安定の刑事ドラマ。

 

 

日テレ水10 4/13 ~ 『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いって誰が言った?』 今田美桜、江口のりこ、鈴木伸之、他

原作は深見じゅんのコミック『悪女(わる)』。1992年に石田ひかり・主演で一度ドラマ化されている(読売テレビ制作・日本テレビ系列で放映)。男女雇用機会均等法以前の旧態依然とした商社・近江物産を舞台に、男女差別が当たり前の労働環境のなか、現状を打破し成長していく落ちこぼれ新入社員の主人公の活躍が描かれる。今田美桜演じる主人公は三流大学を四流の成績で卒業したが、運よく大手IT企業に入社できた田中麻理鈴(今田美桜)。大食い&酒豪でお調子者な上に他人の悪意に対して異常に鈍感で、気づけば彼女のために一役買おうとする気にさせる特技の持ち主。しかしこの落ちこぼれ新入社員は超窓際部署に配属されてしまう。そこには謎多き先輩社員の峰岸雪(江口のりこ)がいた。その過去は謎だが、奮闘する麻理鈴の可能性に気づき、峰岸の中で眠っていた野望が呼び起こされる。そして麻理鈴に対し時に優しく、時に冷たく出世の手助けをし始める。麻理鈴は峰岸の助言を武器に職場の問題を解決しながら会社の最下層からのステップアップを目指していく。その他、エリート社員の小野忠を鈴木伸之が演じる。彼は将来を期待されるエリート社員で男尊女卑感覚の持ち主。能力の低い人間を毛嫌いし麻理鈴のことを大いにバカにしていたが、彼女と接することで徐々に自分の審美眼を疑い始め価値観が変わっていく。麻理鈴が務める会社で、掃除のアルバイトとして働く山瀬修(やませ・しゅう)役に高橋文哉が出演。自分の名前を覚えてくれた新入社員の麻理鈴に好感を持ち、会社の情報に詳しいことから麻理鈴がピンチの時に助けてくれるようになるのだが、実は彼には麻理鈴には言えない秘密があった…。しかし毎度ながら、この水10ドラマのタイトルのダサさ、何とかならないか。

 

 

フジ水10 4/13 ~ 『ナンバMG5(エム・ジー・ファイブ)』 間宮祥太郎、神尾楓珠、森川葵、森本慎太郎(SixTONES)、原菜乃華、鈴木紗里奈、宇梶剛士、他

原作:小沢としおによる漫画、『ナンバMG5』&『ナンバデッドエンド』(秋田書店)。フジの新しいドラマ枠となる水10の第一弾は、筋金入りのヤンキー一家の次男が『ヤンキーを辞めたい』『普通の高校生になりたい』と、家族に内緒で健全な高校に入学するという『高校逆デビュー』物語。 間宮祥太郎演じる主人公は、筋金入りのヤンキー一家“難破(なんば)家”の次男・剛。家族の前では特攻服を着たバリバリのヤンキーだが、学校では制服を着た真面目な高校生という二重生活をスタート。学校では優等生として美術部に入るが、いじめられている友人を放っておけず、つい特攻服に着替えて助けたことをきっかけに、正体不明の最強ヤンキーとしてどんどんのし上がってしまうというストーリー。剛の“相棒”的存在でクールなイケメンヤンキー・伍代直樹を神尾楓珠が演じる。また、剛の父・勝(まさる)を宇梶剛士、母・ナオミを鈴木紗里奈、そして妹の吟子(ぎんこ)を原菜乃華がそれぞれ演じる。剛は誰にも言えない秘密を抱えながら、果たして憧れだった普通の高校生活を送ることは出来るのか?二重生活から生じる人間関係の亀裂、そして苦悩…しかしそこから生まれる友情・家族愛までが描かれる“青春ヤンキードラマ”…とか。“ヤンキー”のキーワードが入るとそれだけで視聴意欲を失ってしまうのは自分だけだろうか。

 

 

テレ朝木9 4/14 ~ 『未来への10カウント』 木村拓哉、満島ひかり、安田顕、内田有紀、八嶋智人、生瀬勝久、柄本明、市毛良枝、馬場徹、オラキオ、富田靖子、他

生きる希望を失った高校ボクシング部のコーチが高校生たちとともに人生のリベンジマッチに立ち向かう。福田靖脚本によるオリジナルドラマ。主演の木村拓哉が演じるのは、高校時代にボクシングで4冠を達成した後、30年近くの時を経て高校ボクシング部のコーチに就任する主人公・桐沢祥吾。ところが、彼の人生が輝いていたのはごく一時期。実は、大学時代にはある理由でボクシングを断念。その後も最愛の妻を亡くした上、さらなる不運に見舞われ、今では『生きる希望を完全喪失している男』となっていた。そんな絶望の人生が、図らずもボクシング部のコーチになったことで徐々に熱を取り戻し、大きく動き出すことになる。復活する桐沢を中心に、世代を超えた青春群像劇が描かれる。当初は母校・松葉台高校のボクシング部にコーチとして戻ることにはまるで乗り気でなかったが、心配する親友や恩師から強引に背中を押され、コーチを引き受けることとなった桐沢は、『強くなりたい』『勝ちたい』と汗まみれになってサンドバッグを打つ高校生たちを目の当たりにするうち、自分自身の中にも少しずつ熱いものがよみがえってくる。青臭くもがむしゃらな熱を秘めた高校生たちと真剣に向き合い、ぶつかり、共に悩み、鼓舞し合いながら、桐沢は迷える若者たちを変えていくと同時に、自分自身も変化を遂げ新たな未来に向けて走り出していく。ヒロインの折原葵役に満島ひかり。不本意ながらもボクシング部の顧問を押しつけられたシングルマザーの高校教諭。まじめで真っ直ぐな性格の葵は、覇気がまったく感じられない桐沢を鼓舞し、前向きに引っ張っていく役柄。次第に桐沢に好意を抱き始める。その他、桐沢を再生させるべく動く高校時代の親友・甲斐誠一郎に安田顕、ボクシング部の元監督・芦屋賢三に柄本明、松葉台高校の校長・大場麻琴に内田有紀が配役、さらに松葉台高校の教諭役を八嶋智人、馬場徹、オラキオ、富田靖子、生瀬勝久らが務めるという豪華なキャスティングとなっている。

 

 

フジ木10 4/14 ~ 『やんごとなき一族』 土屋太鳳、松下洸平、尾上松也、松本若菜、渡邊圭祐、松本妃代、馬場ふみか、倍賞美津子、木村多江、石橋凌、他

庶民の家庭から上流社会の一族に嫁いだ女性のハッピーエンドの先にある戦いを描く“アフター・シンデレラ・ストーリー”。 原作は講談社『Kiss』連載中のこやまゆかりによる連載コミック。土屋太鳳演じる主人公・篠原佐都は母と二人で大衆食堂・まんぷく屋を営む下町育ちの女性。芯が強く明るい性格で食堂の看板娘として常連客からかわいがられていた。佐都は交際中の深山健太(松下洸平)からプロポーズされる。彼の家は江戸時代から400年以上続く名家で、不動産事業を手がけ莫大な資産を有する一族だった。一等地に建つ豪邸に住み、一流の品々に囲まれ、華やかな宴に興じる日々。健太はそんな深山家の次男坊。明るく気さくな性格で教養もある紳士である一方、独裁的な父・圭一(石橋凌)や深山家の慣習に対して幼い頃から嫌悪感を抱いていたため、学生時代に家を出て一人暮らしを始め、深山家とは無関係の会社に就職していた。身分の違いを理由に深山家の親族からは結婚を猛反対されるが、佐都は純朴で庶民的な健太を信じ駆け落ち同然に入籍する。しかし圭一の策略により深山家に入って生活を始めることになる。はじめのうちは深山家の旧態依然な上流社会ならではのしきたりに納得できずにいた佐都だったが、“深山家を普通の家族にしたい”という健太の思いを知り、深山家に入って戦うことを決意する。華やかな一族の栄華に潜む“嫁VS姑”、“本妻VS愛人”の戦いや後継者争い、いまだに残っている“男尊女卑”など、壮絶な試練の数々に立ち向かううちに、ワケあり一族の本当の姿が次々と暴かれていく。

 

 

TBS金10 4/15 ~ 『インビジブル』 高橋一生、柴咲コウ、有岡大貴(Hey!Say!JUMP)、堀田茜、原田泰造、桐谷健太、他

刑事と犯罪コーディネーターの2人が、警察すら存在を知らない凶悪犯(通称・クリミナルズ)を捕まえるために、異色のバディを組む犯罪エンターテインメント。いずみ吉紘・脚本によるオリジナルドラマ。高橋一生演じる主人公・志村貴文は、未解決事件の継続捜査を行う警視庁の特命捜査対策班に所属する刑事で、かつては捜査一課の最前線で事件捜査を行っていたが、犯人逮捕への熱意や正義感は人一倍強く、逮捕するためならば“グレー”な手段を使うこともあったため、特命捜査対策班へ左遷されたという役どころ。一方、柴咲コウ演じるキリコは、この世のあらゆる凶悪犯罪の裏で凶悪犯の紹介、斡旋をするなど裏社会を牛耳る犯罪コーディネーターで、警察内でも一部の人間しか知らず、実像を誰も見たことがないことから『インビジブル』と呼ばれていた。そんな彼女が『キリコ』と名乗って突如姿を現し、犯人逮捕に協力すると警察に申し出る。そして捜査に協力する条件として志村を担当に指名したため 2人は異色のバディを組むことになる。キリコは警察も存在を掴んでいない凶悪犯・クリミナルズの情報に精通し、志村たちが追っている数多くの未解決事件を解決するカギを握っているとみられたが、キリコが志村に近づいた目的は謎だった。『正義』代表の刑事と『悪』代表の犯罪コーディネーターという本来相容れないはずの2人の化学反応で世に知られていない凶悪犯があぶり出される…。志村の天敵とも言えるキャリア監察官・猿渡紳一郎(さるわたり・しんいちろう)役に桐谷健太、捜査一課を束ねる課長・犬飼彰吾(いぬかい・しょうご)役に原田泰造らがキャスティングされている。

 

 

テレ朝 金23:15 4/22 ~ 『家政夫のミタゾノ(第5シリーズ)』 松岡昌宏、伊野尾慧(Hey!Say!JUMP)、山本舞香、しゅはまはるみ、平田敦子、余貴美子、他

2016年10月クールから始まった本ドラマも6年目に入って第5シリーズとなる。家事のスキルは完璧、でも無表情で何を考えているのかわからない上、なぜか女装しているという謎多き“最強の家政夫”ミタゾノが活躍する物語。今回は山本舞香演じる『ヤンキー家政婦』本仮屋素子(もとかりやもとこ)が『むすび家政婦紹介所』に新加入。ミタゾノに惚れ込み仁義を重んじる素子は、何があってもミタゾノに“地獄の果てまで”ついていくという熱い正義感と情熱を持つ一方で、自分のことは『あたい』、服装も個性的で、言葉や行動の端々にヤンキーが隠せない。そのほか家政夫の村田光役の伊野尾慧、所長の結頼子役の余貴美子、家政婦の阿部真理亜役の平田敦子、同じく式根志摩役のしゅはまはるみ等は前作から続投。ミタゾノが毎回披露する家事スキルも前作ではネタ切れの感があったが、今作でも引き続き発揮されるとみられる。

 

 

日テレ土10 4/23 ~ 『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル』 ディーン・フジオカ、岸井ゆきの、ユースケ・サンタマリア、佐藤隆太、石野真子、他

最愛の妻を亡くした警察官僚と科学界を離れた女性天才科学者がタッグを組んで難事件を解決する。原作は中村啓の小説『SCIS 科学犯罪捜査班~天才科学者・最上友紀子の挑戦』。科学犯罪対策室を創設した警察官僚の小比類巻祐一(ディーン・フジオカ)はアドバイザーとして天才科学者・最上友紀子(岸井ゆきの)を迎え最先端科学にまつわる事件の捜査を担当する。科学犯罪対策室に託されたのは法整備や警察機構の対応が追いついていない犯罪の解明だった。二人は、これまでの考え方ではただの“不思議で不可解な事件”とされていた難事件を、事件の裏に隠された科学そのものを捜査によって解き明かしていく。一方、小比類巻は病気で亡くなった最愛の妻に関してある大きな秘密を抱えていた。この二人の他、科学犯罪対策室に迎えられた警部・長谷部勉にユースケ・サンタマリア。科学には弱いが元警視庁捜査一課に所属し現場経験が長い叩き上げの優秀な刑事。小比類巻の大学時代の後輩で現在は厚生労働省のキャリア官僚で課長職にある三枝益夫に佐藤隆太。小比類巻とは家族ぐるみの付き合いをしており、様々な貴重な情報を提供してくれる。その他、亡くなった小比類巻の妻・亜美に本仮屋ユイカ。娘を出産後に意識不明となり死亡した。亜美の母親・四宮聡子に石野真子、小比類巻の上司で警察庁刑事局長・警視監の島崎博也に板尾創路。科学技術の発展による新たな犯罪に対応すべく『科学犯罪対策室』の発足を支援。警視庁捜査一課・課長で警視正の葛木信介に西村和彦。叩き上げのノンキャリアだが刑事としてのプライドを持っている。最先端科学が引き起こす怪事件をいかに解決するのかがみどころ。

 

 

NHK日8(大河ドラマ) 継続中 『鎌倉殿の13人』 小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、中川大志、山本耕史、大泉洋、佐藤浩市、松平健、西田敏行、江口のりこ、迫田孝也、青木崇高、市川染五郎、八嶋智人、南沙良、秋元才加、山崎一、岡本信人、市川猿之助、竹財輝之助、坪倉由幸(我が家)、山口馬木也、國村隼、坂東彌十郎、宮沢りえ、片岡愛之助、小池栄子、小林隆、中村獅童、佐藤二朗、堀内敬子、草笛光子、他

終始現代言葉でやりとりし、ときおりギャグのようなセリフもあるため、平安末期~鎌倉時代の緊張感が削がれてしまうのは三谷幸喜脚本のため仕方がないのだろうか?せめて、命を失うかもしれない戦のシーンでは、ちゃらけたセリフは封印してほしい。頼朝にあのひょうきんな顔の俳優を配したのが最大のミスキャストかもしれない。

 

 

TBS日9 4/10 ~ 『マイファミリー』 二宮和也、多部未華子、賀来賢人、濱田岳、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、高橋メアリージュン、富澤たけし(サンドウィッチマン)、玉木宏、松本幸四郎、他

娘を誘拐された夫婦が誘拐犯に立ち向かう。黒岩勉の脚本によるオリジナルドラマ。二宮和也演じる主人公の鳴沢温人は世間で注目を集めるゲーム会社の社長。鎌倉に家を構え、SNS で1万人のフォロワー数を誇る妻・未知留(多部未華子)、小学生の娘と穏やかで幸せな日々を送っていた。しかしそんなある日、娘が何者かに誘拐されたことで彼らの日常は一変する。警察の助けを借りることができない2人は憎き誘拐犯に立ち向かうことを決意する。2人が娘を救おうと奮闘するうち、親友、警察、会社など周りの人間も巻き込んでいく。温人と未知留の学生時代の友人・三輪碧に賀来賢人。学生時代から何でもでき女性によくモテる弁護士。同じく2人の学生時代の友人東堂樹生に濱田岳。明るく友達思いの元刑事、現在は警察を辞め警備会社で働いている。人生最悪の事態に家族の絆が試されるファミリー・エンターテインメント。

 

 

日テレ(読売テレビ)日22:30 4/24 ~  『金田一少年の事件簿』 道枝駿佑(なにわ男子)、上白石萌歌、沢村一樹、岩﨑大昇(美 少年/ジャニーズJr.)、他

天才高校生探偵が難事件を解決するミステリー&ホラー。原作:天樹征丸、金成陽三郎、さとうふみや、脚本:大石哲也、川邊裕子。『金田一少年の事件簿』は1995年の初放送から繰り返し映像化されている人気の謎解きミステリードラマである。原作も30年前から週刊少年マガジン(講談社)で連載され現在まで続いている。この新シリーズは、数多のエピソードの中から選りすぐりのエピソードを現代の視点で再構築される。これまでに、堂本剛(1995年/1996年)、松本潤(2001年)、亀梨和也(2005年)、山田涼介(2013年/2014年)とジャニーズの面々で繋がれてきた金田一一役の5代目を演じるのが道枝駿佑。一は名探偵・金田一耕助を祖父に持つIQ 180 超えの頭脳の持ち主。普段は不動高校のトホホな高校生だが、事件が起こると幼馴染の七瀬美雪(上白石萌歌)や警視庁捜査一課・警部の剣持勇(沢村一樹)と共に、大胆で緻密なトリックを暴き出し難解な事件を解決する。その他、不動高校の1年生・佐木竜太を岩﨑大昇が演じる。ミステリー研究会に所属、動画撮影が趣味で、一や美幸のそばで事件の行方を見守る頼れる後輩。ジャニーズによるジャニーズファンのためのドラマという感じだがミステリー好きには楽しみなドラマかも。

 

 

今クールは特に事件ものやミステリーが多い印象だ。

婚活や恋愛のドラマもあるが恐らく数字は獲れないだろう。

キムタクのスポーツ根性ドラマ?は少し時代遅れな感あり、

二宮クンの日曜劇場とともにコケないことを祈りたい。

このクールも、月9が面白そうだが、果たして…。

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“鍵のかかった部屋”へ

2022-02-16 14:51:34 | 健康・病気

2月のメディカル・ミステリーです。

 

2月12日付 Washington Post 電子版

 

She was headed to a locked psych ward. Then an ER doctor made a startling discovery.

A physician’s gut instinct about a young woman led to a diagnosis that had been overlooked for years

彼女は鍵のかかる精神科病棟に入れられようとしていた。その時、ERの医師が驚くべき発見をした。

~若い女性に対して一人の医師の本能的直感が何年も見逃されていた診断につながった~

 

By Sandra G. Boodman,

 救急医の Elizabeth Mitchell(エリザベス・ミッチェル)医師が3月17日の早朝にロサンゼルスの病院でその23才の女性患者を診察したのは、両手両足が車輪付き担架につながれた4点拘束された状態で彼女が警察車の後部に乗せられて到着したときのことだった。

 Chloe R. Kral(クロエ・R・クラール)さんは、自身や他者に危害を及ぼす危険があるとみなされた人を強制的に72時間収容できるというカリフォルニア州における精神医学的緊急措置のコード(暗号)である 5150(註:fifty-one-fiftyと発音)に基づいて拘束されていた。

 彼女はそれまでの6ヶ月間、民間の治療センターで双極性障害とうつ病の治療を受けていた。その後Chloe さんは改善し、暫定的在宅生活へ移行するところだったが、突然攻撃的となり、スタッフや彼女自身に危害を加える恐れがみられた。警察は彼女をまずは Cedars-Sinai Marina del Rey Hospital(シダーズ・シナイ・マリーナ・デル・レイ病院)に彼女を連れて行き、その後精神病院に搬送する予定となっていた。

 顔を合わせた時、Chloe さんは「Rosa Parks(ローザ・パークス)(註:アメリカ合衆国の公民権運動活動家)についてつぶやいていました」とMitchell 医師は思い起こす。彼女はドラッグやアルコールを摂取していないことを医師に何とか伝えることができたが、その他については支離滅裂だった。「私たちは多くの精神病患者を受け入れますが、一般に彼らは収容を待つだけなのです」と Mitchell 医師は言う。

 しかし、言葉で説明できない何か~Mitchell 医師はそれを、ほぼ20年近い実務により磨かれた“本能的直感のようなもの”と表現する~が、Chloeさんの精神状態をより的確に評価するために頭部CTを行う方向に彼女を突き動かした。

 Mitchell 医師は画像を目にすると思わず息をのんだ。「そのような画像を見たことがありませんでした」と彼女は言う。彼女は同僚たちを呼び集め、「全ERのすべてのスタッフにも見に来てもらいました」。

 「私は言葉を失っていました」と彼女は言う。「『どうして誰もこれを見つけられなかったの?』ということ以外考えられませんでした」

 その疑問は彼女が Chloe さんの母親と話した後、より深く心に響くこととなった。それは、Chloeさんとその家族に何年にも及ぶ無用の苦悩をもたらした驚くべき見落としのことを Mitchell 医師が知ったその時のことである。

 

Rocky college start 困難な大学生活の始まり

 

 ライフ・コーチをしている母親の Alison Houghton Kral(アリソン・ホートン・クラル)さんにとって、閉鎖病棟に娘を送り込むという計画は、これまでの6年間を経た上での絶望的な最終手段だった。

 Chloe さんは2015年8月に、カリフォルニア州 Palos Verdes(パロス・ベルデス)近くにある両親の家を出てニューヨーク州にある Fashion Institute of Technology(ファッション工科大学)での大学生活を始めた。彼女の一学期は困難だったが、それは大学新入生にはよくみられることだった。「私は四苦八苦していましたし、ひどいホームシックにかかっていました」Chloe さんはそう思い起こす。感謝祭の休みに彼女はセラピストを受診し抗うつ薬が処方されたが効果はないようだった。

 「彼女は復帰を2年生時まで待つことができませんでした」と母親は思い起こす。しかし2016年10月下旬、Alisonさんが故国のオーストラリアを訪れていたとき、Chloeさんが電話をかけてきた。「彼女はこう話したのです、『ママ、うまくいかないわ。家に帰りたい』と」

 Alison さんがニューヨークに飛ぶと、6週間ベッドから離れられない状態にあり、授業に行こうとすることもなく、奇妙なほど表情に乏しくなっていた Chloe さんを発見した。

 「彼女は『あの箱に荷物を詰められる?』というようなことが理解できなかったので、私はこう言わなければなりませんでした。『本を棚からおろす、そして箱にそれらを詰める、そして箱に封をする』と。彼女は完全に異常な精神状態でした」と Alison さんは言う。彼女はそのような挙動を重症のうつのせいであると考えていた。

 自宅に戻るとすぐに Chloe さんはセラピストを再受診した。「ひどく憂鬱に感じていましたが何について落ち込んでいたのかは覚えていません」と彼女は言う。診断につながるまでのこの数年間の彼女の記憶はまだらとなっている。

 彼女は地域短期大学に入学したが課題の提出を忘れて退学した。これは、集中力があり勤勉だった高校時代の彼女とは著しく対照的だった。そして、彼女は映画館や地方市場での仕事も指示を覚えることができなかったことから解雇された。

 「それには非常に動揺しました」と Chloe さんは言う。

 母親は、自身がヨガをやっていたことから、ヨガで娘の気分が高まるのではないかと考えた。しかし、両手、両膝で床上に四つん這いになる基本姿勢においても Chloe さんが不安定でふらつくようであることに彼女は気づいた。彼女の不安定性は、思春期早期に始まっていた新たな身体的変化だった。彼女は歩行時にどちらかの方向にそれてしまう傾向があり、そばにいる人に誰彼構わずぶつかった。階段を上るときに踏み外すこともあった。Chloe さんはスキーが上手だったが、13才のころ頻回に転倒するようになり最終的にスポーツをあきらめた。

 「高校時代を通して私は真っすぐに歩くことができないという問題がありました。しかしそれは冗談みたいな話になっていたのです」と Chloe さんは思い起こす。

 さらに彼女は周期的に気を失っていた。2018年の初め、彼女は失神を起こし救急車で ER に運ばれていた;原因はわからなかった。心配するAlison さんに小児科医が追い打ちをかけたのは、その医師の返答が「何度も気を失う人もいますよ」だったことだと彼女は言う。

 

The unraveling ほころび

 

 2018年の暮、Alison さんのセラピストの友人から Chloe さんが attention-deficit/hyperactivity disorder(ADHD:注意欠如・多動症)なのではないかと言われた。検査によって重度の不安を伴った軽症例であることがわかった。

 しかし心理療法や様々な組み合わせの薬物治療にもかかわらず Chloe さんは悪化するようだった。2019年、双極性障害を思わせる症状を彼女は経験した。睡眠をとらず、速くしゃべり、柄にもなく攻撃的だった。一度、二日間行方不明になったことがあった。

 またある時には、母親にしがみつき、幼い子供のように家中を何時間も母親について回った。双極性うつの治療薬を処方していた彼女の精神科医は Alison さんに、娘さんには derealization(現実感喪失)の徴候もみられると説明した。これはしばしば外傷に関連する病状で、患者が周囲のことが現実ではないと捉える状態である。Chloe さんは、作曲家をしている父親や母親が自分の親ではないのではないかという疑いをあらわにした。

 「有効な手立てはなにもないようでした」と Alison さんは言う。

 2020年の夏の初め、Alisonさんは二人で散歩するときに時々 Chloe さんが右足を引きずっていることに気づいた。

 「あまりに多くのことが起こっていたので、もし私が医師のところに行ったところで彼女が足を引きずらなけば意味があるのだろうか?と考え続けていました」と Alison さんは言う。結局それは精神疾患悪化の新たな徴候であろうと彼女は考えた。

 秋までに Chloe さんは、活動することなく居間のソファーの上で何日も過ごすようになっていた。彼女は入浴することや歯を磨くことも忘れた。一度、母親の車に乗っているときに尿を失禁したことがあった。両親が2人目の精神科医に相談するとその医師は彼女には入院が必要であると彼らに告げた。9月、彼女は集中的心理療法を行う施設に入院した。

 「私は、足を引きずること、尿失禁したことなどすべて彼らに説明し、すべての情報を提供しました」Alison さんは長時間に及ぶインテイク・インタビューについてそう思い起こす。「彼らは彼女の奇妙な歩行に気づいていると私に話しました」入院して数週間後、母親との一時間の面談中に Chloe さんがパンツを濡らしたので、Alison さんはそのことをスタッフに伝えた。

 「彼らはこう言いました。『まあ、たぶん彼女は UTI(urinary tract infection:尿路感染症)かも』」そう言われたと Alison は言う。しかし検査で Chloe さんが尿路感染症ではなく、その問題は終わりとなったようだった。

 彼女の6ヶ月間の入院で両親には18万ドル(約2,070万円)の費用がかかった。「それは私たちの貯蓄と彼女の大学資金の一部を当てました」と Alison さんは言う。「私たちは剝ぎ取られただけに終わりましたが、どんな選択が私たちにあったでしょう?もしこれで効果がなかったら、これから何をすればいいのかわからないと考えていたことを覚えています」

 

Stunning omission 驚くべき見落とし

 

 Mitchell 医師によるERから Alison さんへの最初の電話は簡潔だった。その医師の話では、彼女の娘さんは1時間離れた精神病院に移送される前に診察を受けているところだということだった。

 それから2時間以内に、彼女は驚くべき知らせを伝えるために再び電話をかけた。Chloeさんは生命の危険がある状態であり、Mitchell 医師はそれを「これまで見てきたなかで最も重篤な hydrocephalus(水頭症)」と表現した。彼女は予定できる限り早急に脳の手術が必要であり、Cedars-Sinai の neuro-ICU(神経集中治療室)へ転送されていた。

 一般に“脳の水”として知られる水頭症は脳室と呼ばれる脳内の空洞に脳脊髄液が貯留することで生じる。脳の衝撃を和らげる脳脊髄液は多種多様な脳の機能にきわめて重要である。再吸収ができなくなっていた過剰な髄液は、記憶、意思決定、および情動に関与する脳の前頭葉を Chloe さんの頭蓋骨の内面に押しつけていた。水頭症は、生下時から存在することも人生の晩期に起こることもあるが、治療されなければ脳の損傷、昏睡、あるいは死をもたらす可能性がある。

 Alison さんは水頭症について聞いたことがなかった。そして Chloe さんが脳の画像診断を受けたことも全くなかったと彼女は Mitchell 医師に伝えた。

 Mitchell 医師は、医学部で学んでいた水頭症診断の記憶法について語る;それは『wet, wobbly and wacky(尿を漏らす、歩行が不安定、頭がおかしい)』である。Alison さんが、その多くが数年間遡ってみられてきた水頭症の紛れもない症状を的確に述べていたので信じられない気持ちだった。それらの症状とは、平衡障害、歩行障害、人格変化、精神錯乱、意識消失、記憶力の低下、そして尿失禁である。

 「誰もCT検査を行わなかったことは信じられません。それが大変奇妙に思われることです」と Mitchell 医師は言う。

 「私たちが気づいたことはいくつかありましたが、それらを考え合わせることをしなかったし、医療者もそうしなかったのは確かです」と Alison さんは言う。

 MRI検査で Chloe さんの水頭症が、脳室間の通路の狭窄が通過障害をもたらす aqueductal stenosis(中脳水道狭窄症)によって引き起こされていることが確定した。生下時に存在した通過障害が完全ではなかったため、もはや不能となるまでは脳が代償していたと、Cedars-Sinai で彼女を治療した神経外科医 Ray M. Chu(レイ・M・チュー) 氏は言う。

 もし Chloe さんに、水頭症の症状で起こりうる頭痛、複視、嘔気がみられ、あるいは数ヶ月に渡って持続的に彼女に症状がみられていたならば、彼女はもっと早期に診断されていた可能性があると Chu 氏は考えている。

 「もし何か特異なことが続いて存在していれば脳の画像検査を受けない理由はなく水頭症が明らかになっていたでしょう」と Chu 氏は言う。彼は、年余に及ぶ診断の遅れを“非常に稀なこと”と表現する。

 「これは訓戒的なケースです」と Chu 氏は指摘する。「もし精神科的診断を受けていたら精神病であるという固定観念を持たれてしまいます」

 Chu 氏は endoscopic third ventriculostomy(内視鏡的第3脳室開放術)を行った。これは頭蓋内圧を下げ、脳脊髄液が適正に排出されるように永続的な経路を造設する侵襲の少ない手技である。

 手術翌日、Alison さんは、24時間前には支離滅裂だった Chloe さんからの電話を受けた。「彼女はこう言いました。『ねえ、ハーイ、ママ。何冊か雑誌など持ってきてくれる?本当にここは退屈なんだから』それは奇跡の様でした」ただし一部の患者ではそれほど幸運ではない;水頭症は不可逆的な脳の損傷を起こしうるからだ。

 Chloe さんは5日間の入院後、自宅に戻った。6月に彼女を診察した Chu 氏は彼女を“完全に別人”と評した。彼女は運転を再開しており Nordstrom(ノードストローム:有名な高級デパート)で働き、サンフランシスコの大学を目指していた。

 Chloe さんは今も精神疾患の内服を続けている。医師らは、彼女の精神症状の全てが水頭症に関係しているかどうかは判断できないと話している。「私は気が狂ってはいません。『どうしてこんなことが私に起こったの?』って感じです。今はそれを乗り越えています」と彼女は言う。彼女は最近、大学の一学期を終了し、現在は休みで自宅で過ごしている。

 Mitchell 医師には特別に感謝しているという Alison さんは、今回の苦しい試練で精神的に衝撃を受けたと感じている。違うことをするのであれば、何をすべきだったのだろうかと彼女は繰り返し考えてきた。そして、「大きく流れを変えることになっていたかもしれないのに」、Chloe さんが足を引きずり始めた時に医師のもとに連れて行かなかったことを後悔している。

 「私はひどく打ちのめされました」と Alison さんは言う。「私は彼女の生活が消えてしまうのを目の当たりにしましたし、彼女を救うために何をすべきかを知ることに関して全く無力であると感じていました。私はそのことや、彼女が経験しなければならないことを巡って多くの悲しみを感じています。そしてもちろん、今回のことで経済的にどれほど多くの費用がかかったかということに対しても」

 Mitchell 医師は、あのCT 検査が行われなければ Chloe さんの未来がどんな風になっていたのかについて思いをめぐらしてきた。「痙攣が起こるまで彼女は鍵がかけられた精神科施設に入れられることになっていたと思います。そして誰かがそれを明らかにしてくれていただろうと願うばかりです」と彼女は言う。「でもその確信はありません」

 

 

水頭症についての詳細はビー・ブラウンエースクラップのサイト

参照いただきたい。

ビー・エースクラップのHPより

 

水頭症とは脳脊髄液(髄液)の循環障害によって脳室に髄液が貯留し

頭蓋内圧が上昇したり、拡大した脳室によって大脳が頭蓋骨内面に

圧迫されることで、数々の脳の障害を引き起こす一連の病態を指す。

髄液には、外部の衝撃に対する脳保護、頭蓋内圧のコントロール、

脳の老廃物の排泄、栄養因子やホルモンの運搬などの様々な役割があると

考えられている。髄液は、脳室の中にある脈絡叢(みゃくらくそう)から

産生され、側脳室→第3脳室→第4脳室と移行、

その後脳及び脊髄の表面を循環し、頭頂部にあるくも膜顆粒や

脳や脊髄実質の毛細血管から吸収されると考えられている。

髄液は1日に約450mLが産生されほぼ同じ量が吸収される。

普通の髄液の総量は成人で約150mLであることから

髄液は1日にほぼ約3回入れ替わっていることになる。

 

何らかの原因で髄液の流れが悪くなると、脳室内に髄液が貯留し

脳室の拡大が生じ脳を圧迫することで様々な症状が引き起こされる。

水頭症の原因としては、髄液の生産過剰、髄液循環路の閉塞、

髄液の吸収障害などが挙げられる。

 

水頭症は『非交通性水頭症』と『交通性水頭症』に分類される。

髄液の通路の狭窄や閉塞が原因となる場合は『非交通性水頭症』といい、

小児に発症することが多く、頭蓋内圧が上昇する。

症状としては、乳幼児では頭囲拡大が見られる他、

頭痛・嘔吐・意識障害などが見られる。

髄液の通路が先天的に狭窄している場合や腫瘍等の病変による圧迫で

髄液の流れを妨げられた場合に起こる。

 

一方、脳表のくも膜下腔での髄液の停滞や、髄液の生産・吸収に

問題がある場合は『交通性水頭症』という。

成人・高齢者では、頭蓋内圧は正常範囲であることが多い。

足が上がらない、小刻みで不安定な歩行、動作緩慢、物忘れ及び無気力、

尿失禁などが典型的な症状となる。

頭蓋内圧が正常範囲の水頭症を正常圧水頭症と呼ぶが、

このうち、くも膜下出血や腫瘍、頭部外傷などの後に続いて

発症する場合を続発性正常圧水頭症といい、

原因が特定できない場合を特発性正常圧水頭症という。

 

本記事のケースでは髄液路の完全な閉塞はないものの、

第3脳室と第4脳室をつなぐ経路である中脳水道に狭窄が

あったことから非交通性水頭症に分類されると考えられる。

この場合、頭蓋内圧の上昇を伴い、集中力欠如・人格変化・

嗜眠状態のほか、頭痛・嘔吐・意識障害など急速な症状の増悪が

みられることがある。

 

水頭症の治療は手術が主体となる。

拡大した脳室にカテーテルを挿入し髄液を他の体腔(心房・腹腔)に

流すシャント手術や内視鏡的第三脳室底開窓術が行われる。

後者は脳室内に内視鏡を入れそれを覗きながら第三脳室の底に穴をあけ、

脳室内と脳表くも膜下腔との間を交通させる手術である。

脳室内の髄液は作成した交通路を通過し正規の循環路に入り

吸収されるためカテーテルの留置の必要がない。

中脳水道の通過障害など吸収障害のない非交通性水頭症が適応となる。

 

水頭症そのものの予後は、髄液が適正に排除され、あるいは、

正常な髄液循環が得られた症例では多くの場合脳機能が回復し

症状も改善する。

 

それにしてもこの記事の患者は気の毒過ぎる。

精神病院送り一歩手前まで一度も脳の検査をしていないなんて、

アメリカではそんなことが結構起こりうるのだろうか?

(日本ではまずあり得ないだろう)

コメント
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