今日、公表された厚生労働省による
新型インフルエンザ流行の想定シナリオ…
年内で感染者2,500万人(5人に1人)
約38万人が入院、約4万人が重症化。
重症化とは脳症や人工呼吸器装着。恐ろしい…
いよいよ流行が本格化してきた。
先に、米国では新型インフルエンザによる推定死亡者数が
9万人に及ぶとのシナリオが描かれている。
こうなると、やはり期待されるのは
ワクチン接種となるのだろうか。
Behind the Unproven H1N1 Flu Vaccine 効果の実証されていないH1N1 インフルエンザ・ワクチンの裏側
Baltimore にある University of Maryland で H1N1 ブタ・インフルエンザの感染を予防するよう作られた実験的ワクチンを受ける Maryland 州 Columbia の Bridget Roberts さん
保健当局はかねてより、今回のインフルエンザについては予測できないことばかりであることを通告しきた。しかし予測できることもある。すでに広範囲パンデミックの不安をかき立ててきた H1N1 のようなインフルエンザの新しい株については、幾ばくか過剰反応になることは間違いない。それは、恐ろしいニュースのダブル・プレーで国民が打撃を受けた今週生じている。来る流行シーズンで90,000人に及ぶ米国民が死亡する可能性があるという新しい予測が示されるとともに、政府はそれに間に合うようにワクチンを準備するため前例のない策を講じていると発表したのだ。しかし、死亡者数は実際には見かけより一層複雑であり、憂慮すべきことではない。そして今回のワクチンについての発表は、優れた疫学的計画の標示に比べて警戒の根拠となるものではない。
新しいワクチンの試験が不十分なことについての報告の口火を切ったのは米国疾病対策センター所長の Thomas Frieden 博士による声明であり、この中でワクチンの安全性や有効性について現在行われている試験の最終成績が完全に出そろう前であっても、ワクチン業者に対して、まだ実験段階のワクチンを瓶詰めし出荷準備を始めることを政府が許可したことを発表した。
これは異例の措置であるが、同日に発表された報告で科学技術に関する大統領諮問委員会 (PCAST) からの勧告もある。ワクチン製造の最終工程、いわゆる “fill and finish” 段階を開始しておけば、ワクチンの安全性かつ H1N1 に対する免疫誘導の有効性が確認され次第、製造業者は10月半ばできるだけ迅速にバイアルを出荷できる準備ができる。「この勧告は投与量の情報が得られる前であっても filling and finishing を進めなさいということでした」と、Frieden 氏は言う。「そのステップはすでに進められています」
しかしながら、このことは誰かが効果の実証されていないワクチンを受けることになる可能性があることを意味しない。試験が完了するまで、これらのバイアルは今ある場所に留め置かれる。そして今さしあたりその治験は順調に進んでいる。保健福祉長官の Kathleen Sebelius 氏はワークショップでも語っているが、「これまでのところ危険信号は見られません。このワクチンが生産ラインに乗る時期の目標を10月中旬と考えています」と述べている。
そこまで待機しなければならない理由は生物学的な問題である。新しいワクチンを試す最初のボランティアは8月に接種を受けており、ほとんどの人は H1N1 に対して既存の免疫を持っていないことから、免疫系にH1N1 を認識させるためには 3週間の間隔をあけて2回の接種が必要となる。さらにウイルスに対して真の免疫を持つためにはその後6週間から8週間が必要だ。その時点ではじめて、科学者たちは、瓶入りの予防注射液の出荷を容認するに十分な防御効果がこのワクチンによって与えられるかどうかを知ることができる。インフルエンザ・ワクチンを作成し始めて数十年経ち、科学者たちは自分たちが行っていることを確実に把握していると考えている。実際、パンデミックが4月でなく、WHOが通常の季節性インフルエンザ・ワクチンにどのウイルス株を含めるかについての決定を行う時期である12月、1月といった頃のより早期に始まっていたなら、2009年用の接種分の一部として H1N1 が単純に加えられていただろう。
それでも、今回の “fill and finish” ステップを容認する決定は、H1N1 がどれほど普通でないかを強調しており、近づきつつあるインフルエンザの流行季節に驚異をもたらすかもしれないという事実を浮き彫りにしている。今回の報告で PCAST はこのパンデミックがどれほど重大になりうるかの見込みを発表した。1億2,000万もの人たちが咳、くしゃみ、発熱、その他インフルエンザの症状を出し、90,000人がインフルエンザで死亡し、大きな打撃を受ける地域では病院の集中治療室のベッドの半数から100%がインフルエンザの患者で占められることになるという。
しかし、こういった驚くべき数字にもいくらかバランスのとれた見方が必要だ。これらの数字は、この春の H1N1 の世界的流行からの最新のデータに加えて、1918年、1957年、および1968年の過去のインフルエンザ・パンデミックからのデータを用いて算出されている、と、ニュー・ヨークの Memorial Sloan Kettering Cancer Center の所長で、National Institutes of Health の前所長の Harold Varmus 博士は言う。またそれらの統計には、アジアで発声した H5N1 鳥インフルエンザの患者発生をきっかけに始まった2005年の政府のパンデミックに対する備えの取り組みの中で用いられたモデルが利用された。
それには多くの変動する統計的因数があり、現在の H1N1 によるパンデミックのように進行中のパンデミックについては、どのくらい多くの人々が感染し、どの程度容易にウイルスが人から人へ伝播し、どの程度重篤化しうるかなどについての信用できるデータを得ることは特にむずかしい。特に H1N1 による死亡率の算出は困難である。というのも、信用できる予測を立てるには、臨床検査によって確認される H1N1 に感染した全人数と、本疾患で死亡した人数を比較する必要があるからだ。現在のところ、どのくらいの人々が実際にこのウイルスに感染しているのかを当局はつかんでいない。医師の診察を受けたり病院を訪れなくてはならないほど調子の悪くなった人たちだけしかカウントできていない。一方、病院を訪れるすべての人たち以外に、それほど症状が強くないため医療の専門家に見てもらわない H1N1 に感染した人たちがおそらく数百あるいは数千以上存在する。推計には経験に基づく推測が介在していることを意味している。
しかし、今回の新しい数字は決して我々を安心させてくれるものではなかった。そして実はそれが狙いだった。本国の科学、医学および工業技術からの最も優秀な人物を含む今回の報告書の著者たちは今回の見通しがこの先数ヶ月に実際に起こりうることを予測しているのではないことを強調しているが、実際にはインフルエンザのパンデミックがどの程度衝撃的となりうるかを衆知させることが意図されていた。
「今回の数字を文字通りに受け取る人たちがいます」と、Varmus 氏は言う。「しかしこれは注意喚起なのです。国民には、これらの数字が実際に予測されるものではないとしても、確実に可能性の範囲内にあることをわかっていただきたいと思っています」
そのような予測はまた、H1N1 のような新しいインフルエンザがどの程度感染性が強いのか、どのように拡大するのか、そしてどのくらい速いかについて公衆衛生当局が理解する手段ともなる。また、これによって、どのくらいのワクチンが必要か、それをどのように分配するか、そしてタミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬を含めたインフルエンザ治療の需要の急上昇をいつと予測すべきかを彼らが知ることができる。さらに病院はいつインフルエンザの患者にのみこまれることになるのかを予測し、また各病院にすでに不足がちな医療資源を補給する助けにもなる。
「私たちはまだ、全人口のどのくらいの割合が感染するかを予測することができません」と Varmus 氏は言う。「しかし50%以上が感染することは十分起こりえます。我々一人一人には、ウイルスの拡大を抑えることで流行を鈍らせる責任があります。手を洗うこと、感染すれば自宅にとどまることで流行を抑制することができるのだということを人々が理解するならば、流行のピークを遅らせることができ、そのころにはワクチンがより有用となるでしょう」。それは、H1N1 の医療システムへの影響、家族への影響、そして罹病期間の短縮という形で経済への影響などを最小限にとどめることにもつながるのである。
ふむふむ…色々と批判はあるようだが、
必要以上に怖がらせておくのも一つの手か…
てか、国としては悪い方に予測を立てておかないと
後でとんでもなく非難されそうだし。
しかし、ピーク時には全国で一日76万人も発症すると
予想されるとか…
その時、日本社会はきちんと機能しているのだろうか?
ま、総選挙は大きな影響なく行われそうで、
ひとまず良かった?(某政党の方々は残念かも)