ロンドン、桜通りにあるバンクス家の
ジェーンとマイケル。
今もお元気でお過ごしでしょうか?
ジェーンは薬物依存症、
マイケルは女ったらしになってしまった、
てなことはないんでしょうけど。
男の子をベビーシッターに任せると、その子は将来
タイガー・ウッズみたいな女たらしに
なってしまうかも、
て、これ、本当の話?
Do Nannies Really Turn Boys into Future Adulterers? ベビーシッターが男の子を将来浮気症にしてしまうというのは本当か?
By Belinda Luscombe
自分の息子の世話を他人の女性に委ねる母親は図らずも浮気症の男性を育て上げていることになるかもしれない。というのも、イギリスで一騒動起こしている著書の中でDennis Friedman 博士はそう断言しているのだ。Royal College of Psychiatrists の特別研究員であるこの博士は、母親が男の子をベビーシッターに預けたことでその子が浮気者になると論じている。
Friedman 氏によると、男の赤ちゃんが二人の女性の手によって世話を受けると、その子の欲求を満たしてくれる複数の女性が存在するという観念が小さな脳の中に植えつけられる可能性があるという。「それによってその子は別の女性という観念に誘われてゆくのです」と、彼は London’s Daily Telegraph に語った。彼の著書 The Unsolicited Gift: Why We Do The Things We Do の中でそういった関係を詳説し、自分の子供に対する母親の愛情が、将来その子が成人となったとき、行動の仕方をどのように決めてしまうかについて探っている。
女の子もまたベビーシッタ―により影響を受ける。母親がそばにいない状態は、女児においては “vacuum of need”(欲求の真空状態)を引き起こし、後の人生において薬物乱用やフリーセックス―恐らく、彼女の属する社会的集団の中で同じようにベビーシッターによって育てられた既婚男性との関係―などによってその穴を埋め合わせようとする可能性がある、と Friedman 氏は言う。
しかし、より物議を醸しているのは男の子に関する主張である。Friedman 氏によれば、二人の母親的対象を持つことは、その少年の心の中で、実の母親と思っている女性と、実際に身体で触れ合う関係を持っている女性(お風呂に入れてもらったり公園に連れて行ってもらったりで、その人と完全に一体となっているように感じることができる)の間に区別を生ずるという。一方は家族として、もう一方は欲求を満たしてくれる人としてという、この二元的な女性との生活は、心の中で既定のパターンになってしまう可能性がある。そのため、成長して後に、欲求が満たされていないと感じる時、家庭から逸脱してしまうのである。
母親は仕事をすべきでない、しかし、もし働かなければならないのであれば、子供が少なくとも1才になるまでは仕事に戻るべきではない、と Friedman 氏は提唱する。これに対し、たちまち批評家やきわめて多くの働く母親たちは彼がその説を支持する統計データを示していないこと(たとえば、タイガー・ウッズがお世話になったベビーシッターは何人のはずであるとか)や、彼の提言が特に現実的とは思えない点を指摘した。というのも、多くの女性たちには、子供を産んだ後復職するか、当の子供を養わないかのいずれか以外にはほとんど選択肢がないからである。さらに Friedman 氏が男性の貞節を女性の責任としていることが多くの女性の心を逆撫でしている。男性を他の女性のもとに走らせるのが怠慢な妻でないとしたら、そうさせたのは彼の怠慢な母親であるというのだから。
さらに、それは発達学的に道理にかなっていないとの批判が、New Jersey 州 Richard Stockton College の心理学名誉教授で小児の発達の研究が専門の Jean Mercer 博士から上がっている。「赤ちゃんは自分の母親に対してだけ愛情を抱くものではありません。彼らは、父親、祖父母、ベビーシッター、保育者、兄や姉、あるいは社会的に交流を持ち、ご飯を与えてもらったり、入浴させてもらったりなど日常的な世話に頻繁に関わる他人に対しても愛情を持つようになるのです」こういった関係は本来健康的なものであり、正常の発達の一部である。そしてベビーシッターに愛情を持つようになることが即、母親から切り離されることになるというわけではなく、両者は相互に入れ替え可能である。「ベビーシッターや他の人間は、ほとんどの赤ちゃんが持っている既存の関係に加わるだけです」
Friedman 氏が今回の結論を出すのにどれだけの広さを持つ社会的断面を用いたのかは明らかではないが、それらは若干歪められている可能性はある。これまでに書かれた彼の3冊の著書は、権力のある女家長と非常に多くのベビーシッターを持つ少数だが傑出した集団、すなわち英国王室の心理学を探求したものだからである。
どうやら科学的根拠には乏しい説かも。
とはいえ、
女性の社会進出が進んでいる今日だが、
いまだに育児休暇の習得には遠慮がちな風潮が残る
職場が日本には多いだけに
育休取得を推進したい人たちにとっては
ありがたい仮説と言えるのかもしれない。