MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

know thyself (汝自身を知れ)

2008-03-31 23:21:00 | 健康・病気

『汝自身を知れ』

これはソクラテスが知についての真の意味を再考する

きっかけとなった言葉である。

自らを知ることなく、真理に到達することはできない…。

これが今や、遺伝子ビジネスのセールス・フレーズとなり、

自分自身をDNAレベルまで知り尽くす時代となった。

で、そこまで知って、どうするの?てなことに。

Washington Post 紙に米国の遺伝子ビジネスについての

記事を見つけた。

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/03/24/AR2008032402750.html

個人向けに遺伝子解析を行う会社 23andMe は

999ドルでDNA断片の解析を行ってくれる。

完全な遺伝情報の解析を望む人には Knome 社が

35万ドルで30億のDNA配列の情報を提供する。

同社によれば、『汝自身を知るために』、だそうだ。

予算厳しく、特殊な方面に興味を持つ独身者向けには、

ScientificMatch 社がある。

性的な臭いに萌え~、ステキなオルガズムに酔い~、

そんでもって健康な子供を授かることができる、

そんなDNA相性ピッタリな結婚相手を

995ドルで見つけ出してくれる。

現在、米国で、20社以上の企業が、

個人向け遺伝子情報サービスを提供する。

依頼者が罹りやすい病気がなにか?依頼者の性格はどうか?

薬物乱用者に陥るリスクはないか?など解析してくれる。

医師を介さず、個人と直接契約するサービスが

増加しているのだ。

ただし、問題も多い。

科学的根拠に乏しい誇大な宣伝がはびこりつつある。

この領域には、監視機関がなく規制も甘いためだ。

企業関係者や支持者たちは、クライアントの数が

増すごとに、データベースが充実し、

遺伝子変異と、健康状態・行動特性との間の関連が

次々と実証されてきていると主張する。

また、自己発見により、国とか人種とかいった既存の障壁を

越えた新しいタイプのコミュニティが生まれてくる可能性が

あるという。

これまで、個人の健康リスクの見極め、疾病予防戦略、

または最適な治療選択などの個別医療(テーラー・メイド医療)は

DNA解析にかかる費用の高さのために実現不可能だった。

しかし今日、唾液や血液などから採取したDNAの小さな傷を

検出するのに必要な遺伝子チップは、数百ドルしか

かからなくなった。

一方、個人の全遺伝子コードを解析するコストも

急激に下がっており、数年前であれば数百万ドルかかって

いたものが、昨年には百万ドルとなり、今年中には

20万ドルになると予想されている。

個人の遺伝子情報を既知のデータベースと比較することで、

平均より30%大腸がんに罹りやすいとか、

20%白内障に罹りにくいとか、

10%ほどキレやすい性格であるとかを計算することが可能である。

ただし、この確率的数字の解釈には問題があり、

また現在の予測結果が将来覆される可能性も否定できない。

そんな中、この数字を基に臓器切除などが決断されることに

なるかもしれないのである。

この業界を監視できず、

(Food and Drug Administration も規制できない)

品質保証システムのようなものも存在しないことが

問題を深刻化している。

DNAから必要な栄養素を見つけ出したと依頼者に回答し

膨大な利益を盛り込んだ補助食品を売りつけようとする

ものもある。

また根拠の希薄な例もある。

前述した、最適な結婚相手を紹介する

ScientificMatch の主張はこうだ。

『ヒトは自分の免疫システムと最も異なる相手に最も惹かれる』

その考えを支持する証拠を2,3の研究が見いだしている。

動物は進化のために異なる遺伝形質を求め、

遺伝的多様性を維持しようとするというのだ。

今月号の American Journal of Human Genetics の

ある研究は次のように結論づけている。

『ゲノム情報が、通常の疾患の遺伝的危険性を予測したり、

疾患予防のための個人的な食事内容や生活様式の

提言を生み出したりするのに有用であると結論する

十分な科学的根拠は現在のところ存在しない』

将来、遺伝子解析によって、十分な確信の下に、

予防的治療を断行できたり、潜在的な障害を持つ

人に障害者としての権利を認めることができるように

なるのは間違いないだろう。

そこに至るには、膨大な量の遺伝子情報や個人データを

集積することが必要だが、それには時間が必要である。

現在がその時間帯にあたるわけだが、そこに、

個人向けゲノム会社がもてはやされている理由がある。

これらの企業は、見返りに何ら情報を提供してくれない研究には

進んで参加してくれる人はいないだろうと考えている。

参加者が、彼らの遺伝子、健康、および人格についての

情報を分かちあうことで、たとえばYouTubeがメディアに

革命を起こしたと同じように医療に革命を起こすことに

なるのではないか、と予測されている。

しかし、懸念はある。

参加者が情報を意味のある方法で使いたい場合、

医師に伝えることになるだろう。

カルテに載ったデータは、詮索好きな目から

完全にのがれることはできないのである。

また、雇用者が、被雇用者の遺伝子情報から得られた

病気に罹るリスクを基に、その人の雇用、解雇、昇給などを

決定しようとする恐れもある。

将来、人々がDNA決定論的思考にはまり込むのではないかとの

懸念もある。それは20世紀初頭に、好ましからざる遺伝形質には

強制的な不妊化を行った優生学運動に通ずる危険性を孕む。

これのための遺伝子、あれのための遺伝子などと、

目先の形質にとらわれるのではなく、

『どのようなケースに何が重要なのか』的な

考え方が必要である。

遺伝子がすべてではなく、

遺伝子と環境(食事、化学物質、ストレス、および悪習など)との

相互作用によって今存在している『個』が生じたとの考え方が

重要だ。

遺伝子を解きほぐすことによって、

生来の本質を知ると同時に、後天的に獲得した形質にも

深い認識を得ることになるのだ。

以上が記事の要旨である。

あくまで確率論的情報に過ぎないのではあるが、

DNA決定論的考え方に陥ると

『汝自身を知る』ことが

『自分に見切りをつける』ことにもなりかねない。

またこの究極の個人情報の漏洩や公開により、

就職、結婚、または生命保険加入の際の判断材料

とされ、はたまた、医療保険料の差別化を生むなど、

深刻な差別社会(遺伝子の格差社会?)を招く恐れがある。

果たしてそこまで『汝自身を知る』必要があるのだろうか…

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2008年4月新ドラマ

2008-03-24 22:15:16 | テレビ番組

4月からの新ドラマをまとめてみた(超暇)。

さきほど、

NHKの『本田美奈子・最期のボイス・レター』を見ていて、

こんなことやってる自分が悲しかったが、

何事も前向きに生きなくてはっ!と

すぐに心を入れ替えた(えらいっ!)。

さて、筆頭は

『CHANGE』(フジ月9)

木村拓哉、深津絵里、加藤ローサほか。

どこぞの国の大統領候補の

ポリティカル・プロパガンダのようなタイトルだ。

これまでキムタクは『ピアニスト』『美容師』『アイスホッケー選手』

『パイロット』『検事』『カー・レーサー』など色々な職業を

演じてきた(といっても、同じ人間がただ転職を繰り返して

きただけのようにしか見えないのだが…)。

今回は、なんと、小学校教師が総理大臣にまで

上りつめるという、とんでもないストーリーのようだ。

しょーもなさそうだが、高視聴率は間違いなかろう。

『絶対彼氏』(フジ火9)

速水もこみち、水嶋ヒロ、相武紗季ほか。

「愛をささげぬく、完璧な理想の恋人型ロボット」を

速水もこみちが演じるらしい。

もはや人間を演じることには限界か…

『低視聴率男』のもこみちが、これまた低視聴率で名高い、

フジ・ドラマの鬼門、火9で火だるまとなるかが見所。

『無理な恋愛』(関テレ火10)

堺正章、夏川結衣、スザンヌほか。

熟年男の、年の差25才の恋愛ドラマ。

『明日の喜多善男』に続く、地味主役の

地味物語。連敗必至か?

それにしても関テレのセンスが疑われる。

『おせん』(日テレ火10)

蒼井優初主演ドラマ。

きくち正太作の和食グルメ漫画のドラマ化。

蒼井にとっては、ちょっと荷が重いかも。

『警視庁捜査一課9係 season 3』(テレ朝水9)

渡瀬恒彦、井ノ原快彦、羽田美智子ほか。

シリーズ3作目。

一度も見たことないけど人気があるのだろうか?

10%そこそこの視聴率か?

『ホカベン』(日テレ水10)

上戸彩、北村一輝、加藤成亮ほか。

現役弁護士原作の同題漫画のドラマ化。

上戸彩の弁護士ってのもどうかと思うが、

若干20才のNEWS加藤の弁護士はどうよ。

『渡る世間は鬼ばかり』第9シリーズ(TBS木9)

山岡久乃、藤岡琢也、赤木春恵らがすでに退場し、

ドラマ本来の風味は完全に失われているにもかかわらず、

しぶとく生き残るべく脚本を練り上げる執念はすごい。

ところで、電車男・伊藤淳史が、第1・2シリーズで

久子(沢田雅美)の長男役で出ていたってのにはびっくり。

『7人の女弁護士』第2シリーズ(テレ朝木9)

釈由美子、原沙知絵、中島知子、三浦理恵子、滝沢沙織、

東ちづる、野際陽子の7弁護士。

『渡鬼』の裏では厳しいか。

『ラスト・フレンズ』(フジ木10)

とにかく豪華キャスト。

長澤まさみ、上野樹里、瑛太、錦戸亮と、

いずれも主役級を贅沢にキャスティング。

さんまと共演した『ハタチの恋人』で完全にコケた長澤だが、

今回は、同棲、DVなどダークな役柄に果敢に挑戦、

新境地を開くか?

かなりの高視聴率が期待できそうだ。

『パズル』(テレ朝金9)

石原さとみ、山本裕典ほか。

公式HPを見ると、ロールプレイング・ゲーム風で

謎解き中心のドラマのようだ。

人気・視聴率とも今ひとつの石原に、今回の脇役陣も冴えず、

苦戦が予想される。

『アラウンド40』(TBS金10)

39才の優秀な独身精神科医を天海祐希が演ずる。

大塚寧々、松下由樹、筒井道隆といった

一昔前の若者達が結集した40才前後の中年たち?の物語で、

かつてのドラマ・ゴールデン、金曜夜における若年の視聴者層を

もはや見限ってしまったとも思える作品。

『ごくせん』第3シリーズ(日テレ土9)

ご存知、仲間由紀恵の看板ドラマであるが、

あのワンパターン演技が今回どこまで受けるだろうか?

『猟奇的な彼女』(TBS日9)

草彅剛、田中麗奈ほか。

一見派手げなドラマが続くものの、所詮は元『東芝日曜劇場』。

中居の『砂の器』、木村の『GOOD LUCK!』『華麗なる一族』、

稲垣の『Mの悲劇』『佐々木夫妻の仁義なき戦い』など

SMAPだのみも期待はずれで、月9に遠く及ばない。

今回は草彅の登場だが、あまり期待しないでおこう。

以上、まとめると、

一番人気はやはり、『CHANGE』、

対抗は『ラスト・フレンズ』か。

あまり見たくはないが、19年間の腐れ縁で

『渡鬼』は一応押さえておかねばならないか(悲哀)。

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TOT

2008-03-14 16:57:26 | 健康・病気

TOT… これって悲しい時の顔文字。

じゃなくって、

Tip of the Tongue Phenomenon の略。

『その人の顔はわかってて、

名前が喉まで出かかってるんだけど出てこない』

って現象のこと。

そんなイライラする経験は誰しもお持ちだろう。

それがごくたまにならいいけど、しょっちゅうだと

まさに (TOT) (涙)なんでしょう。

3月10日付 Washington Post 紙にTOT現象に

ついての記事があった。

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/03/10/AR2008031001612.html

内容はこうだ。

以前に比べて容易に言葉が思い出せないという自覚は

残念ながら単なる思い違いではなく老化現象の一つだ。

TOTs(ここでは Tip of the Tongue Experience、無理に

訳すなら『舌先経験』か…)は歳をとるほど増加し、

特に固有名詞の想起で顕著である。

ただし、TOTsがすべて認知症の前兆というわけではない

(ご安心を)。

英国 Cambridge 大学の研究員 Meredith Shafto によれば

『TOTsは健全な加齢現象の一部で病的なものではない』と。

カリフォルニア州 Claremont にある Pomona 大学

心理学教授 Deborah Burke 女史は語彙の繰り出しにおける

脳機能について次のように説明する。

我々は、(たとえば) Bradd Pitt について、彼がどんな容姿か、

どんな映画に出ているか、彼の名前は何か、その他もろもろの

ことを知っているが、それらを脳の中で同一単位で

記憶するのではなく、異なる部位に保存され、

それらの間に相互の情報ネットワークができる。

ある部位へのアクセスのみが失われると、

Bradd Pitt の顔を理解して「はい、それが彼の顔です」と

言うことはできるけれども、彼の名前を想起することが

できないということが起こりうる。

歳をとるごとに、情報ネットワークの接続は悪化し、

いわゆる transmission deficits を生ずる。

これは、ある期間、その接続が活性を受けなかった時、

顕著となる。

Bradd Pitt の顔と彼の名前の交通が、かつては2車線道路で

あったものが、今や、草が生い茂ったサイクリング・ロードと

変わり果てるのである。

The Journal of Cognitive Neuroscience という雑誌で

顔貌‐呼称の困難さと脳のある領域の萎縮との

関連が報告されている。

Shafto らは19才から88才の成人に有名人の顔写真を

呈示して名前を言わせるテストを行い、脳MRIと比較した。

Photo この結果、TOTsの増加と、

左大脳の『島』という部位の萎縮とが

相関していることを見いだした。

この知見は、なぜ我々が歳をとるにつれて、より多く

TOTsを経験するのかについての説明には有用であるが、

なぜTOTsが固有名詞に特徴的であるかについては

説明できない。

これを説明するためには transmission deficit theory に

目を向ける必要がある。

他の言葉と違って、固有名詞は意味を持たず、

その名前の個人についての情報を何も示さない。

Larry King (アメリカのブロード・キャスター、この名前も

覚えやすくなるよう改名したものらしい、MrK 註)という名前は、

Larry King の顔や Larry King という人間についての情報を

何一つ含まない。

従って、もし、我々が顔と名前の連結を失えば、

それらをつなぐ代わりのルートを何も持たないことになる。

彼の名前が "L" で始まること、

あるいは3音節(我々と違って英語では音節が重要らしいが)

であることを覚えているかも知れないが、

完全には思い出すことができない。

もし彼の顔と彼の仕事内容を連結させれることができれば、

トークショーのホスト、インタビュアー、司会者などの言葉から

多くの接続のヒントが得られることになる。

Journal of Gerontology という学術誌の

"Charlie Brown Versus Snow White" という

最近の論文によれば、

Colorado 大学、Psychological Sciences の研究者達は、

若年者と高齢者で、漫画のキャラクター名を

いかにうまく言い当てるかテストした。

高齢者は通常の語彙テストでは好成績を残すが、

呼称テストにおいては若年者にかなわなかった。

高齢者は全体的に、顔からその名前を答える作業に難渋。

二群に分けた漫画において、

高齢者は "Snow White" や "Pink Panther" に比べて

"Charlie Brown" や "Garfield" のキャラクター名の

呼称がはるかに成績不良であった。

一方、若年者では、それら二群間で

呼称能にほとんど差がなかった。

"Snow White" 群のキャラクターの名前には意味的要素が

付加されていることが、高齢者の結果の差につながったと

考えられる。

前出の Burke 女史によれば、

TOTs克服のための特別な訓練はないという。

もっとも確からしい方法としては、

新しい名前を覚える時に、

時刻や場所などと関連付けるテクニックを

応用するしかなさそうだ。

…と、以上が記事のあらましだ。

TOTsは、

日本語では『喉まで出かかっている』。

英語では『舌の先にある』であるが、

アラビア語でも同じ表現をするらしい。

特にアラブ圏では、言葉が出てこないのは

『悪魔が邪魔をしているから』、だそうだ。

それほど忌み嫌われる現象なのだろう。

私たちも、全く名前が出てきそうになかったら、

はなからあきらめるだろうが、

名前が頭の皮の裏側まで(と勝手に表現する)出てきてるのに

どうしても出てこない時には相当なストレスを感じてしまうものだ。

先日も『山川』という姓を思い出すのに、

『山』までは出てくるのに、その次が出ず、

『やまあ…』『やまい…』『やまう…』などと、

あ行から順番に思い浮かべながら、

『やまか…』を通りこして、『やまわ…』まで行って、

挙句の果て、出てこなかった(悲哀)。

記事中にもあるように、日頃から関連付けの記憶に努め、

想起の時には、周辺の関連事項を列挙し、

脳内ネットワークを活用化するしかないのだろう。

インターネットが普及した今日こそ、

関連項目をキーワードにして検索すれば、

容易に目的の人名に到達できるようになり、

ずいぶんストレスは減っているのかもしれない。

しかし、さんざん苦しんだ挙句、出てこなかった人名が、

ひょっこり浮かんできたという経験は、ちょっとした快感でもある。

(ってスラスラ出てくる方がずっと快感だよっ!)

いずれにしても、歳をとるごとに固有名詞の記憶力は

減退してゆくことは間違いなく、

もはや、時たま見る歌番組に出てくる

意味不明のアーチスト名や、

次々と出ては消えるグラビアアイドルたちの名前が、

全く脳にインプットされなくなってしまったのは

至極当然の成り行きと言えるのか(悲壮)。

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スタア誕生

2008-03-07 19:10:32 | テレビ番組

俳優の若林豪(68)が、慢性硬膜下血腫で緊急手術を受け、

舞台を休むこととなったらしい。

http://s04.megalodon.jp/2008-0306-2021-36/www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20080306-331842.html
(ウェブ魚拓、日刊スポーツ)

若林豪といえば、思い出されるのが

水曜夜8時のフジ系大映ドラマシリーズの『スタア誕生』。

『スタア誕生』は、心臓病を抱える少女が、

幾多の苦難を乗り越えながらスターを目指す姿を

描いたドラマである。

悲運の主人公、加賀順子を堀ちえみが演じた。

このドラマで、彼女の女優としての素質を見いだし、

育て上げたアクターズスタジオの社長、三上淳一を

演じたのが若林豪だった。

そもそも大映ドラマ特有の滑稽きわまりない台詞に加え、

あの若林豪のハードボイルドな顔から繰り出される

早口な言い回しは大いに笑えた。

そういえば、あのドラマで、

順子を、『木曽の山猿』と呼んで(←問題発言)

いじめ倒していたスタジオ仲間を比企理恵が演じていた。

先日、ドラマ『斉藤さん』で、彼女のふっくらしたお姿を

久々に拝見したが、

パニック障害はもうすっかりいいのだろうか…

さて、話を戻そう。

記事では若林豪の左慢性硬膜下血腫の手術に、

約3時間を要したとある。

後述するが、簡単ななずの手術に、どうしてそんなに

時間がかかったのだろうか?

慢性硬膜下血腫は中高年の男性に多い。

軽微な頭部打撲の後、3~4週間ほどして

脳と頭蓋骨の間にある、硬膜下腔というスペースに

水混じりの血液が徐々に貯留してくる病気だ。

↓ 慢性硬膜下血腫

Photo ゆっくりと脳を圧迫してくるため、

激しい頭痛や強い麻痺に襲われることは

まれであり、多くの場合、頭重感、ふらつき、

歩行障害、軽い片麻痺などを訴えて

発見されることが多い。

中には、頭を打った覚えがなく、

認知症に似た症状のみ見られることがあり、

その場合、認知症と誤診され薬のみで治療され、

血腫が見逃されたままになっていることもある。

慢性硬膜下血腫は増大を続けることが多く、

薬物のみで治癒は期待できないが、

簡単な手術で劇的に症状が改善する。

開頭手術の必要はなく、

頭皮に局所麻酔を行い、3cmくらい切開し、

一ヶ所、穿頭を行って血腫の膜を切開すると

容易に血腫を吸引でき、あっというまに

手術終了である。

手術時間はわずかに30分ほどである。

まれに再発を認めることもあるが、多くは

そのまま治癒する。

しかし、あなどってはいけない疾患である。

発見が遅れると、脳の圧が上がりすぎて

生命に危険が及ぶこともある。

『冬のソナタ』で

ヨン様が演じたチュンサンが慢性硬膜下血腫だったが

結局失明した。

頭の圧が上がりすぎると確かに失明の可能性はあるが、

慢性硬膜下血腫自体が視神経を圧迫することはない。

またチュンサンがかたくなに治療を拒否しなければ

ならないような手術ではない。

アメリカに行かなければ手術できないような

慢性硬膜下血腫などありえない。

おっと、韓流ドラマに性格な医学考証を求めては

いけなかった…

今回、若林氏は舞台で台詞が出にくかったり、

つかえたりしたそうだが、慢性硬膜下血腫による

症状だったのだろう。覚えるのも大変だったにちがいない。

共演者からは「若林さん、ボケた?」と思われていたかも

しれない(小林幸子のお叱りを…、お気の毒~)。

ま、なにはともわれ、原因がわかり、無事治療が終わって

よかった、よかった。

再び、『スタア誕生』の三上淳一のような

切れ味鋭い台詞回しが戻ってくることを期待する。

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おれは男だ!

2008-03-05 17:19:09 | テレビ番組

森田健作主演の青春ドラマ『おれは男だ!』が

大ヒットしたのは昭和46年。

日曜日夜8時から日本テレビ系で放映されていた。

日曜日の夜に憂鬱な気分になるのは今も昔も同じだろう。

MrK は日曜日午後の『家族そろって歌合戦』が始まると

すでに暗くなっていた(ならば見るなよっ!)。

さらに『笑点』『ヤングおー!おー!』『レッツゴーヤング』

『サザエさん』『ガッツジュン』『美しきチャレンジャー』と

進むにつれ沈鬱度は増していった(ずっと見とんかいっ!)。

しかし、『おれは男だ!』は、ちょっと違った。

沈む気持ちを吹き飛ばしてくれる何かがあった。

今あらためて見ると、ショーもない内容かとも思うのだが…

当時たいがいの家にはテレビは1台しかなく、

またビデオデッキなどもない時代だ。

多くの家庭では、同時間帯はNHKの大河ドラマ優先では

なかったか?

ちなみに昭和46年の大河ドラマは

加藤剛主演『風と雲と虹と』であった(平将門)。

そんな時代、我が家の親は理解があり?、

『おれは男だ!』を見ることができたのである。

(大河は土曜日の再放送を見ていたのかもしれないが)

同番組は、当時の流行語でもあった『ウーマンリブ』旋風と、

そんな時代の男性のあるべき姿を風刺的に描いた

青春ドラマだった。

昭和40年の『青春とはなんだ』から始まった日本テレビ系

青春シリーズはすでにマンネリを迎えていたが、

この番組を機に同シリーズは一気に息を吹き返したのである。

Photo 物語は森田健作演じる小林弘二が

女子生徒が多数を占める青葉高校に転校。

女性上位に圧倒されまくりだった男子生徒が

弘二の率いる剣道部を中心に盛り返し、

徐々にお互いの理解が深まってゆくという展開だ。

まあとにかく、試験前だろうがなんだろうが、

この番組、欠かさず見ていた。

森田健作の異様に高いテンションに載せられ

見終わった時には、不思議とやる気が湧いてきて

勉強せねば!と思ったものだ(単純)。

興奮のあまり、思わず甲高い声で

『よしかわくーん』と叫んだりもした(ヲヲヴァカ)。

『よしかわくん』とは弘二と敵対する女子高生だが

好意を寄せる吉川操のことで、早瀬久美演じるヒロイン。

さほど美人ではなかったが、人気は高かった。

弘二の叔母役には、あの『渡鬼』のタキさんこと

野村昭子も登場(当時すでにオバサン役、長生きだ)。

関係ないが、

この4月から『渡鬼』新シリーズが始まるとか(うんざり〔笑〕)。

ところで、この『おれは男だ!』の中でも、

前エントリーで紹介した茨木のり子氏の詩が

使われていた!

『六月』という詩だが、なかなか良い。

ここに紹介する。

六月

どこかに美しい村はないか

一日の仕事の終わりには一杯の黒麦酒

鍬を立てかけ 籠を置き

男も女も大きなジョッキをかたむける

ああ

どこかに美しい町はないか

食べられる実をつけた街路樹が

どこまでも続き すみれいろした夕暮れは

若者のやさしいさざめきで満ち満ちる

どこかに美しい人と人との力はないか

同じ時代をともに生きる

したしさとおかしさとそうして怒りが

鋭い力となって たちあらわれる

(引用終わり)

今も昔も若者に伝えたいメッセージは

変わることはないのだろう。

本ドラマ終了後、この時間帯には

001 『飛び出せ!青春』、『われら青春』

『俺たちの旅』などへと数年にわたり

青春シリーズが続いてゆくことになるのだが、

残念ながら本作を越える作品は出てこなかったように

思うのだ。(かくして沈鬱な日曜日の夜は続く…)

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