まずは2014年4月クールのドラマを総括したい。
今クールも初回だけは我慢に我慢を重ねて
全ドラマを視聴した(暇)。
大いに主観的な評価となるが
6月4日までの視聴率[関東地区・ビデオリサーチ社調べ]上位の
ドラマから順に勝手な寸評を記しておきたい。
(括弧内は平均視聴率、大河ドラマを除く)
『花咲舞が黙っていない』(15.63%)
色気を排除した杏のキップの良いセリフ回しが視る人を爽快にさせてくれたからか、予想通りの高視聴率を獲得した。池井戸作品も若干食傷気味。当分お休みでいいのではないだろうか?
『ルーズヴェルト・ゲーム』(14.00%)
『花咲…』のあっさりした演出に比べると、こちらは『半沢』に続くヒット狙いの作戦が見え見えでわざとらしい。思ったほどの視聴率は獲れず。もう少し淡々と描いた方が良かったのではないだろうか?
『続・最後から二番目の恋』(12.60%)
キョンキョンと中井貴一の軽妙なかけ合いも今回はしつこく感じた。特に大きなイベントもないため見ていて非常に退屈。ということで2回までの視聴でリタイア。
『BORDER』(11.96%)
今回の一押しはこの作品。小栗旬の演技が秀逸で彼の違った一面を見ることができた。死者と刑事が対話できるという荒唐無稽な設定も巧みな脚本・構成でしらけることなく楽しむことができた。

『アリスの棘』(11.09%)
上野樹里の抑えた演技はまずまずだったが、復讐劇があまりにも現実離れしていてついていけず初回でリタイア。大学病院が舞台なら、もう少しリアリティを優先した方が良かった。
『ビター・ブラッド~最強で最悪の、親子刑事』(10.89%)
コメディ要素も緊迫度も中途半端。前クールの『S~最後の警官』もそうだったが、警察ドラマではある程度の現実的描写は重要だと思う。親子でバディという設定に共感できず、また個人的に渡部篤郎が好きでないという要素も大きく初回でリタイア。
『MOZU Season1~百舌の叫ぶ夜』(10.79%)
映画のような作りで初回は興味津々で視たが、ゴールデンタイム放映ドラマとしての限界か、残虐なシーンも中途半端に終わり、さらに途中から謎の解明が安易に性急に展開され深みが損なわれた。西島秀俊演じる主人公にも共感できず、さらに見ているこちらが煙たくなるほどの喫煙シーンの連続で不快感が増した。おかげで WOWOW のシーズン2を見たい気持ちも萎えたので結果オーライである。
『弱くても勝てます』(10.35%)
頑張って2回まで視聴したが、野球部員たちのプレーのあまりの下手さ加減に愛想が尽きた。二宮演じる監督に人間的な深みは感じられず、嵐メンバー出演ドラマとしては屈辱的な低評価となってしまった。
『極悪がんぼ』(10.23%)
まず、広島弁がなってない(特に三浦友和)。架空の地方都市が舞台なら広島弁にこだわる必要はなかった。裏社会の描かれ方も中途半端。尾野真知子のがんばりは認めるがこちらも2回でリタイア。
『死神くん』(10.10%)
死神だけで何とかドラマにできなかったのか?悪魔をからませたことで死神の存在感が薄れてしまった。非常に退屈な回もあったりして、全体的には期待を裏切られた感じである。もう少し脚本を練ってほしかった。
『TEAM~警視庁特別犯罪捜査本部』(9.64%)
視聴率は低かったが個人的にはなかなか良いドラマと感じた。切れ者の管理官を好演した小澤征悦をちょっと見直した。雰囲気は『臨場』に近いものがあり、警察内部では喧嘩ばかりが行われているのではないかと誤解されそうなドラマ。
『SMOKING GUN~決定的証拠~』(7.53%)
相変わらずの香取慎吾のワンパターン演技で退屈、初回でリタイア。彼では視聴率は獲れないと思っていたが、ここまで低いとは哀しくなってしまう。裏が『花咲…』だったことは言い訳にはならないだろう。
『ブラック・プレジデント』(7.50%)
実に退屈なドラマで初回でリタイア。沢村一樹の実力の限界を垣間見ることができた。彼ももう一皮剥けないと主役としては辛い。
『ファースト・クラス』(7.30%)
沢尻エリカの演じる吉成ちなみ以外の業界女たちは皆、字幕で本音を連発するのだが、一見純朴そうな役柄ながらどうしてもしたたかな感じが拭えないちなみこそ裏がありそうに見えて仕方がなかった(実際にそういうストーリーなのかも)。沢尻には純な役はもう無理でしょう。思いっきり悪い女を演じる方がいいのではないかと感じた。
『なるようになるさ。2』(7.23%)
浅野温子の誇張した演技にただただあきれるばかり。初回2時間スペシャルを死にそうな思いで見届けたが、そこが限界。今クール視聴率最下位で、ついに橋田先生もここまで落ちたかという印象。完全に時代に取り残された橋田先生、もういいでしょう。
以上だが、
結局、2014年4月クールは池井戸潤 2作品の二人勝ち。
個人的にはテレ朝のドラマが良かったのだが…。
一方、目につくのは
気合いが入ってる割に中身の薄いTBS ドラマ、
このところこの傾向が続いている。頑張れ、TBS!
それでは7月からの新番組、
期待を込めて内容をチェックしてみたい。
フジ月9 7/14~ 『HERO』 木村拓哉(SMAP)、北川景子、杉本哲太、濱田岳、正名僕蔵、吉田羊、田中要次、勝矢、松重豊、八嶋智人、小日向文世、角野卓造
ここのところ低迷している月9のてこ入れ?で2001年1月クールに放映され平均視聴率 34.3%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)の驚異的数字を残した『HERO』を持ってきた。同作品は2006年の特別編を経て2007年には劇場版が公開されたがこれまた同年の邦画第1位となる興行収入を挙げた。木村拓哉演じる型破りな検事・久利生公平(くりゅうこうへい)を中心に東京地検城西支部面々の活躍が描かれる。本ドラマのホームページによると今回はさらに“パワーアップ”したメンバーが登場とのことだが、以下ご精読の上、この点ご評価いただきたい。
これまで松たか子が演じてきたヒロイン・担当事務官・雨宮舞子に代わって北川景子が事務官・麻木千佳を演じる。美貌の麻木は城西支部でも人気の的だが、粗野な一面が言葉遣いの端々にうかがわれ、それに気付いた久利生は彼女に隠された過去があるのではないかと疑う。さらに城西支部に勤める検事たちも一新。主任検事・芝山貢を演じた阿部寛、女性検事・中村美鈴を演じた大塚寧々らはお役ご免。重厚感のあった東京地検次席検事・鍋島利光を演じた児玉清も今は亡き人となった。代わって前シリーズで検事部長だった角野卓造演じる小島勇…、失礼、牛丸豊が次席検事の後任を務める(やや荷が重そう)。また検事・田村雅史役には杉本哲太。上昇志向が強く、出世のために牛丸豊の娘を妻に迎えている。城西支部最年少で、将来を期待される新人検事・宇野大介役を濱田岳。そして紅一点の検事・馬場礼子を吉田羊が演じる。彼女は42歳バツイチで同僚の田村とことごとく対立する。城西支部部長・川尻健三郎に松重豊。一見渋い強面だが、感情が昂ぶると暴言を発し、その後即座にそれを後悔するという感じで上司としては頼りない存在で久利生の想定外の行動に悩まされる羽目に。初回シリーズからの生き残りとしては、芝山検事(阿部)の事務官だった遠藤憲司役の八嶋智人、江上検事(勝村政信)の事務官だった末次隆之役の小日向文世らがいる。また城西支部の守衛を務めていた井戸秀二(正名僕蔵)が今回は馬場検事の担当事務官として登場する。さらに城西支部メンバーの行きつけのバー“St. George's Tavern”のマスター役の田中要次も引き続いての出演である。
というわけで主役の高齢化もさることながら、キャストも相当にパワーダウンしており、前作ほどの高視聴率は全く期待できそうにないが、逆に大コケになる可能性もあり得そうなのである(ワタクシの予想では初回高視聴率、その後急降下)。
フジ火9 7/15~ 『あすなろ三三七拍子』 柳葉敏郎、剛力彩芽、風間俊介、高畑充希、大内田悠平、飯豊まりえ、菊池桃子、西田敏行、森口瑤子、ほんこん、反町隆史
原作は重松清の同名タイトルの小説。50歳の平凡なサラリーマン・藤巻大介(柳葉敏郎)が、応援団出身でOB会幹事長を務めるワンマン社長・荒川の命により、翌檜(あすなろ)大学応援団の廃部を阻止するための刺客として送り込まれ応援団長として奮闘する。団員ゼロとなり廃部寸前のあすなろ大学応援団を救うため大介は特注の襟高学ランに袖を通すことになる。妻と娘は呆れるが、社長の涙とクビの脅しに藤巻は従わざるを得なかった。嫌々ながら応援団に入った藤巻だったが、尊大なOBたちから厳しい指導を受け、やる気のない大学生団員らと心を通わせることでやがて応援することの面白さを知り、応援団は復活を遂げる。大介と対立する存在となるのが、古い体質の男社会に嫌悪感を抱いているあすなろ大学3年生・松下沙耶(剛力彩芽)。応援団を廃部に追い込むため刺客として応援団員となる。そのほか大介を熱血指導することになる応援団OB・齊藤裕一を反町隆史が演じる。また、大介の娘の彼氏であり、大介に命じられて応援団に入部する金髪ピアス大学生・保阪翔役に風間俊介。チアリーダー部部長で大介の世話を焼く葉月玲奈を『ごちそうさん』でも活躍した高畑充希が演じる。これらエネルギッシュで個性豊かなキャラクターが真剣にぶつかり合いながらも信頼を築き、次第に応援の魅力にはまっていく過程が描かれるが、伏線として家族の再生、世代間の交流、ジェンダーなど、さまざまな要素が盛り込まれる。
フジ(関西テレビ)火10 7/8~ 『GTO』 AKIRA(EXILE)、比嘉愛未、山本裕典、小野武彦、風見しんご、丸山智己、馬淵英俚可、阿南敦子、藤沢あやの、田山涼成、城田優、黒木瞳、【生徒役】菊池風磨(Sexy Zone)、竜星涼、片寄涼太(GENERATIONS)、堀井新太、新里宏太、荒井敦史、佐野玲於、岡本カウアン、西川俊介、町山博彦、武井証、池田永吉、松岡茉優、三吉彩花、小芝風花、木崎ゆりあ、岡本夏美、松浦雅、宮武美桜、松井愛莉、伊藤沙莉、瑞季、久松郁実、高田夏帆
原作は藤沢とおるのコミック 『GTO』『GTO SHONAN 14DAYS』。2012年7月クールに放映されたシリーズの第2弾。ワタクシにとっては 1998年の反町隆史・松嶋菜々子共演ドラマの方が強く印象に残っている熱血教師ドラマ。元暴走族のリーダーで非常勤教師の鬼塚英吉が派遣された高校で破天荒な活躍を見せる。今回の舞台は、前回の吉祥寺・明修学苑から鬼塚(AKIRA)の地元・湘南へと舞台が移る。物語は、鬼塚の母校・辻堂高校が新たに明修学苑の傘下に加わるところから始まり、鬼塚はそこに臨時で派遣される。女子高生の妊娠…、命をないがしろにする不登校児…、ストーカー化する男子…、過激化するイジメなど、現代の学校が抱える様々な問題が鬼塚に降りかかる。鬼塚は数々の難題に“生命”をかけて熱い授業を繰り広げる。一方、今回は鬼塚の過去を知る人物たちが登場し、知られざる鬼塚の過去がついに明らかになるという。前回、田山涼成が演じた教頭・内山田ひろしも鬼塚とともに出向。黒木瞳演じた桜井良子校長は、今回は理事長として登場。時に変装し学校に潜入するという。その他、湘南で期間限定の海の家を始めることになった龍二に城田優が、不良刑事の冴島を山本裕典がそれぞれ演じる。また新たなヒロインとなる同僚教師・藤川ほなみ役に比嘉愛未に決まっている。鬼塚の存在感が今一つで、AKIRA では魅力的な人物を反町のように演じ切れないように思うのはワタクシだけ?
TBS火10 7/15~ 『東京スカーレット~警視庁NS係』 水川あさみ、生瀬勝久、菅原大吉、近藤公園、キムラ緑子、中村雅俊
一話完結の完全オリジナル刑事ドラマ。警視庁に新設されたNS係の活躍を描く。タイトルの“スカーレット”は情熱の赤。捜査一課の刑事だけが付けることを許されるバッジの色だそうである。またNSとは New Service の略である。主人公の鳴滝杏を水川あさみが演じる。杏は刑事としての使命感に燃えながらもアラサー女子としての現実に悩んでいる。彼女とコンビを組むのは生瀬勝久演じる刑事・阿藤宗介。ほの暗い過去を持ちグレイゾーンの捜査も辞さないやさぐれた刑事である。この寄せ集め集団であるNS係を率いて奮闘するのがキムラ緑子演じる係長・出町いずみである。その他 NS係の刑事として菅原大吉・近藤公園らがキャスティングされている。また捜査一課長・岩井十三(中村雅俊)が彼らを厳しくも温かいまなざしで見守る。物語は『警視庁、特に刑事部門に女性幹部がほとんどいないことを問題視』する英字紙の記事を読んだ東京都知事が海外からのネガティブなイメージを払拭するため、警視庁捜査一課にベテラン女性刑事を係長に置いた新セクション“NS係”を新設するところから始まる。2020年のオリンピック開催に向けて変貌していく東京を、遭遇する事件を通してコメディーな要素も盛り込みながら描いていく。全体に地味なキャストの面々を見るにつけ、あまり期待できそうにない刑事ドラマである。
テレ朝水9 7/9~ 『警視庁捜査一課9係(9)』 渡瀬恒彦、井ノ原快彦(V6)、羽田美智子、津田寛治、吹越満、田口浩正、原沙知絵、中越典子
警視庁捜査一課を構成する20近くの係の中で最も変わったチームが『9係』である。加納倫太郎(渡瀬恒彦)以下超個性的な7人の刑事たちの活躍を描く刑事ドラマの第9弾。で本作もいよいよ9年目に突入。一見バラバラに見えるメンバーたちがいつのまにか強力なチームワークを発揮して難事件を解決する。昨年の前シリーズの平均視聴率は 13.2%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)と堅実な人気を保っている。
日テレ水10 7/16~ 『ST 赤と白の捜査ファイル』 藤原竜也、岡田将生、志田未来、芦名星、窪田正孝、三宅弘城、柴本幸、田中哲司、林遣都、瀬戸朝香、渡部篤郎
原作は今野敏による警察小説シリーズ『ST警視庁科学特捜班』。ST とは Scientific Taskforce の略。警視庁科学捜査研究所に新設されたという架空の特殊機関。科捜研が研究や分析を主な仕事とするのに対し、ST は科学捜査を武器に現場で刑事と同じように事件捜査を行う組織である。警視庁キャリア組の百合根友久(ゆりねともひさ)(岡田将生)は、ある日、科捜研内に新設された捜査権を持つ科学者集団『ST』の統括を任ぜられる。メンバーの一人で STの法医学担当を務めるのは赤城左門(藤原竜也)。東京大学医学部を卒業しているが、対人恐怖症という医師としては致命的な欠点があったため、法医学の道に進む。現在は対人恐怖症を克服しているものの、女性恐怖症が残っている。科捜研の優秀な分析官だったが、とある事件で負ったトラウマから引きこもりとなっていた。本人は一匹狼を気取っており、事あるごとにそれを口にもするが、本人の主張と裏腹に人を惹きつける天性の才能を持っており、STの『リーダー』的存在となっている。STのメンバーにはこのほか、文書鑑定担当・青山翔(志田未来)、第一化学担当・黒崎勇治(窪田正孝)、第二化学担当・山吹才蔵(三宅弘城)、物理学担当・結城翠(芦名星)がいるがいずれも一癖も二癖もありそうな変人集団。一方、エリートでありながら理数系に疎くストレスに弱い百合根は、これらメンバーたちの変人ぶりに頭を抱えることになる。特異な能力を持ちながら、はみ出し者とされたメンバーたちを束ねるのに四苦八苦する百合根だが、捜査一課との連絡係となっている菊川吾郎警部補(田中哲司)には厭味を言われ、現場の刑事たちからはあからさまに疎まれ、百合根は窮地に立たされる。しかし、徐々に事件捜査における彼らの優秀さが露呈されるにつれ、周囲からのSTへの接し方、ひいては組織内での彼らの評価・立場にも変化が生まれる。裏ドラマが強そうなため苦戦を強いられそうだが、なかなか面白そうなドラマではある。
フジ水 10 7/9~『若者たち 2014』(フジテレビ開局55周年記念ドラマ) 妻夫木聡、瑛太、満島ひかり、柄本佑、野村周平、蒼井優、橋本愛、吉岡秀隆
開局55周年記念ドラマということでフジの気合いみなぎる作品。豪華キャストである。今から48年前にフジが制作した青春ドラマ『若者たち』のリメイク版。1966年に放送されたドラマでは両親を亡くした貧しい5人兄弟(田中邦衛、橋本功、佐藤オリエ、山本圭、松山省二)が、戦後の傷跡が残る社会の中で友情・恋愛・確執などに悩みながらも逞しく歩き続けていく姿が描かれた(全34回)。主題歌『若者たち』は誰もがご存知だろう。今回のドラマ『若者たち 2014』は当時の作品をベースとしながらも、あくまで“今の社会”を舞台とした現代版の青春群像劇として仕上げるのだという。29才の長男・佐藤旭を妻夫木聡、28才の次男・佐藤暁を瑛太、25才の長女・佐藤ひかりを満島ひかり、23才の三男・佐藤陽を柄本佑、18才の四男・佐藤亘を野村周平が演じる。共に暮らす兄弟たちは、世の中の矛盾や思想について毎日のように激しく議論し、時には大ゲンカを繰り広げる。若者たちを悩ませる、学歴、就職、リストラ、格差など様々な問題が取り上げられる。1966年当時とは人々の生活も取り巻く社会情勢も大きく変化しており、現代版とはいえ48年前と同じくらい視聴者の共感が得られるかどうかは不明である。
TBS木9 7/10~ 『同窓生~人は、三度、恋をする』 井浦新、稲森いずみ、板谷由夏、松岡昌宏(TOKIO)
原作は2011年から2012年にかけてビッグコミック・スペリオール(小学館)で連載された柴門ふみのコミック『同窓生~人は、三度、恋をする』。こういった大人たちのラブストーリーって今の若い人たちは見ないだろうな~。当然ながら主演はじめ出演者らは大人、そして地味、である。物語は、25年ぶりの同窓会で再会した柳健太(井浦新)と鎌倉あけひ(稲森いずみ)、そして桜井遼介(松岡昌宏)と広野薫子(板谷由夏)が失われた時間を取り戻そうとするかのように急激に惹かれ合うところから始まる。健太はあけひが自分にとって大切な存在だと気づき始め、あけひもまた、暴力的な夫に対し反旗を翻し始める。一方、遼介と薫子はお互いの激情に身を任せていたが、少しずつ気持ちにズレが生まれ始める。大人になって見つけた本当の恋に走り出したい思いと、それが許されない現実の狭間で40歳の4人がどう生きようとするのか。主人公の健太は長年勤めた大手化学メーカーを辞め実家のクリーニング屋を継いでいる。妻子とは別れ、独り身である。美容師のあけひは明るい性格で3人の子持ちだが、カリスマ美容師の夫の暴力に夫婦生活は破綻している。薫子はただ一度の失恋で男性不信となり、薬剤師として働き、外見も構わぬ独身生活を続けていた。遼介は健太とは正反対の性格で、学生時代はモテモテ、超一流大学の建築学部を主席で卒業、大手ゼネコンに就職し一級建築士の資格も持っている。会社ではエリート、家庭では良き夫・良き父親を演じているが、外では女を口説きまくっているプレイボーイである。イントロダクションを読む限りでは、本ドラマのコピー『2014夏、木曜の夜、街から女性が消える!!』には程遠い内容と思われる。
テレ朝木9 7/17~ 『ゼロの真実~監察医・松本真央』 武井咲、佐々木蔵之介、生瀬勝久、和田正人、でんでん、六角精児、尾美としのり、青柳翔、水沢エレナ、小松和重、宮崎香蓮、橋爪功、真矢みき
人気脚本家・大石静によるオリジナル・ドラマ。武井咲が演ずるのは、死因不明遺体が次々と運び込まれる監察医務院の医師・松本真央。美人で IQ 150 の明晰な頭脳の持ち主だが、天涯孤独で愛に疎く組織や人間関係には全く無頓着、異性にも食べ物にもオシャレにも全く興味を示さない(“お天気お姉さん”に似ている)。で、関心を持つのは死体の検案・解剖のみという変人。10才で渡米し3年飛び級で法医学を学び、常人離れの洞察力を持つ。こんな真央とタッグを組むのは、同じ中央監察医務院に勤めるベテラン女性監察医・印田恭子(いんでん・きょうこ)(真矢みき)。あらゆるコネを利用し、経験を駆使して真相に迫る。これら2人の女性監察医と対峙することになるのが、監察医を見下している警察組織やサラリーマン体質の同僚監察医ら。警視庁捜査一課の刑事・屋敷一郎を佐々木蔵之介、同課刑事・冨田肇を和田正人、中央監察医務院部長監察医・泉澤郁夫を生瀬勝久。日本では死因不明の遺体でも解剖に至るのは10人に1人と低い解剖率が問題視されている昨今、多くの犯罪死が見逃されている可能性があるという現実に鋭く切り込もうとする。真央の母親の事件を縦軸に、毎回意外な死の真相が、この『変人』監察医の活躍によって暴かれていく。法医・監察医ドラマはこれまでにも数多くあり、もやはネタ切れのように思うのだが、脇を固めるキャストは申し分ないだけに武井咲のわざとらしい演技でどれくらい盛り上げることができるかが鍵。
フジ木10 7/17~ 『昼顔~平日午後3時の恋人たち』 上戸彩、吉瀬美智子、斎藤工、北村一輝、伊藤歩、木南晴夏、木下ほうか、鈴木浩介、高畑淳子
“平日昼顔妻”とは夫を会社に送り出したあと家事をきちんとこなし平日昼間に別の男性と恋に落ちる人妻のことでカトリーヌ・ドヌーヴ主演の映画『昼顔』からフジテレビが造った言葉。パート主婦・笹本紗和(上戸彩)がある出来事をきっかけに越えてはいけない一線を越えて“昼顔妻”に身を落としてしまうと言う物語。主要人物のキャスティングは、紗和を不倫へ導いてしまう“昼顔妻”・滝川利佳子に吉瀬美智子、紗和の不倫相手となってしまう高校教師・北野裕一郎に齋藤工、利佳子を毛嫌いしていたはずがやがて彼女にのめり込んでしまう画家・加藤修に北村一輝となっている。ある日の午後、紗和はレジ打ちのパート帰りに勤務先のスーパーで買い物客として訪れていた利佳子に引きとめられる。紗和のある弱みにつけ込み、そのことを黙っていてやる代わりに自身の不倫のアリバイ作りに協力するよう持ちかける。“幸せ”を守るために利佳子の要求に従った紗和は、その成り行きから高校教師の北野と出会い、次第に北野のことが脳裏から離れなくなってしまう。そしてついに一線を越えてしまい、自らも“昼顔妻”に身を落とすこととなる。反社会的な行為に走る女性の心情、その先の顛末、報いまでが描かれ、現代の主婦の抱える問題に切り込んでいく。不倫を是認するドラマではないが、展望は暗く視聴率は期待できないのではないかと推察する。
TBS金10 7/4~ 『家族狩り』 松雪泰子、伊藤淳史、北山宏光(Kis-My-Ft2)、水野美紀、篠田麻里子、平岡祐太、山口紗弥加、井上真樹夫、秋山菜津子、浅田美代子、財直見、遠藤憲一
『悼む人』で直木賞を受賞した天童荒太のミステリー小説『家族狩り』の映像化。1995年に発表、1996年に山本周五郎賞を受賞した単行本『家族狩り』を全面的に改稿し2004年に文庫版『家族狩り』を発表。連続して起こる家族を狙った殺人事件をメインに、登場人物たちそれぞれの心の葛藤が描かれる。人間の醜さ、悲しさ、気高さを描き、家族とは何か、生きるとはどういうことか、という根源的な問いに真正面から取り組んだ作品。松雪泰子演じる主人公・氷崎游子は東京児童相談センターの職員。認知症の父親と介護疲れの母親を抱えながら何かに憑りつかれたように仕事に打ち込んでいた。游子は、親に虐待され怪我を負っていた8歳の娘・玲子を保護し、アルコール依存の父親・駒田を警察に逮捕させる。一方、高校教師・巣藤浚介(伊藤淳史)は、恋人と『家族』を作ることに強い嫌悪感を持っていた。浚介の教え子である女子高生による傷害事件をきっかけに浚介は游子と出会う。さらに、刑事の馬見原光毅警部補(遠藤憲一)は、虐待被害の過去がある冬島綾女(水野美紀)・研司親子と疑似家族的な絆で結ばれていたが、非行に走った実娘の真弓の担当だった游子との縁もあった。浚介が第一発見者となった、家族心中事件を発端に奔流の中でそれぞれが生に目覚め、3つの家族を通じて人間心理の奥深さや『家族とは何か』が描かれる。これまた脚本は大石静が担当。
テレ朝金11:15(金曜ナイトドラマ) 7/4~ 『匿名探偵』 高橋克典、片瀬那奈、田山涼成、原幹恵、山口大地、柴俊夫
2012年10月クールで放映された同タイトルドラマの第2弾。高橋克典が演じるのは、時代錯誤のクサいセリフを吐きバーボンとジャズをこよなく愛する滑稽な『探偵』(この主人公、タイトル通り匿名である)。一見クールでハードボイルドな男だが、女にはめっぽう優しく、ことに女の涙にすこぶる弱い。このためついつい女がらみの面倒に巻き込まれてしまう。中央線沿線のとある町の古い雑居ビルに構えた探偵事務所には、MFK 法律事務所に所属するセクシーな美人弁護士・冴島響子(片瀬那奈)を通じて美女からの依頼が次々に舞い込んでくる。これらの依頼に対して『探偵』は様々な手段を講じ、助っ人たちの手を借りながら事件解決に奔走する。今回もナイトドラマ枠ということで、前シリーズ同様お色気シーンもたっぷりと思われる。なお他の主要人物として、探偵に厳しく目を光らせ取り締まろうとするものの探偵とはくされ縁の様になっているベテラン刑事・阿南幸一を田山涼成。また一切言葉を発しないが探偵が唯一心を許せる存在である行きつけのバー・Smokey Rain のマスターを森次晃嗣が演じる。週末の夜、奥さんと一緒に見るのははばかられそうな内容だが、前シリーズではレイトドラマながら平均視聴率10%を越えており、意外と人気なアダルト・サスペンスコメディである。
日テレ土9 7/19~ 『金田一少年の事件簿N(neo)』 山田涼介(Hey! Say! JUMP)、川口春奈、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、浅利陽介、岡本あずさ、萩原利久、小島あやめ、山口智充
名探偵金田一耕助の孫、金田一一(きんだいち・はじめ)が、幼なじみの七瀬美雪、警視庁の剣持勇警部と様々な難事件を解決するテレビドラマ『金田一性根の事件簿』シリーズは、日本テレビによって 1995年、堂本剛(Kinki Kids)主演で連続ドラマ化(第1および第2シリーズ)。それ以後、第3シリーズ(2001年)では松本潤(嵐)が、2005年の単発ドラマでは亀梨和也(KAT-TUN)が主演を務めるなどジャニーズの独壇場。そして昨年 2013 年からこの“一”を演じているのが山田涼介(Hey!Say!JUMP)である(金田一少年は高校生のためオッサンは使えない)。今回、この山田涼介が引き続き主演し 13年ぶりに連続ドラマとして放映される。原作は、昨年11月から『週刊少年マガジン』で連載が始まっている『金田一少年の事件簿R』/さとうふみや(画)・天樹 征丸(作)。ヒロイン・美雪を川口春奈、警視庁警部の剣持勇を山口智充が演じる。また“一”の頼れる後輩・佐木竜二役には有岡大貴(Hey!Say!JUMP)が、一の所属するミステリー研究部の部長・真壁誠役には浅利陽介がそれぞれキャスティングされている。あの有名な決め台詞『ジッチャンの名にかけて!』はもちろん健在であろう。ミステリー好きなあなたには土曜の夜ゆったりと楽しめるかもしれない。
フジ土11 7/26~ 『水球ヤンキース』 中島裕翔(Hey! Say! JUMP)、山﨑賢人、高木雄也(Hey! Say! JUMP)
水球をモチーフにした青春群像ストーリー。中島裕翔(Hey!Say!JUMP)演じる『男気』を心に秘めたヤンキー主人公・稲葉尚弥が、上昇志向もなくダラダラとした生活を続ける、いわゆるマイルドヤンキーたちの通う霞野工業高校(通称・カス高)に転校。幼少期に憧れていたヤンキーがいたカス高の変わり果てた現状に絶望した尚弥だったが、ひょんなことから水球を始めることになる。尚弥とぶつかりながらも徐々に水球部の中心的存在となっていく水球経験者役を山﨑賢人が、また主人公のライバルとなる名門私立の水球強豪校のキャプテン・北島虎雄を高木雄也(Hey!Say!JUMP)が演じる。『水中の格闘技』と呼ばれる水球という熱い競技と出会い、同じ学校のマイルドヤンキーたちと衝突しながらも徐々に友情が芽生え、共に水球に打ち込んでいく若者たちの姿が描かれる。すでに死語となっているのではないかと思われる古語『ヤンキー』がイントロダクションでやたらと連発されているのも胡散臭いが、一昔前の熱血スポーツドラマのようなノリにもついていけそうにない。ま、興味のおありの方はどうぞご覧あれ。
NHK日8 継続中 大河ドラマ 『軍師官兵衛』 岡田准一(V6)、中谷美紀、桐谷美玲、松坂桃李、吉本実憂、濱田岳、田中哲司、速水もこみち、田中圭、吹越満、内田有紀、高橋一生、谷原章介、生田斗真、春風亭小朝、片岡鶴太郎、竹中直人、江口洋介、黒木瞳、柴田恭兵
依然として45分間が異常に長く感じられる。時折ホームドラマのような台詞のやりとりがあるせいか戦国時代の緊迫感に欠ける。せっかくあの苦難の時代が丁寧に描かれるべきドラマなのだから脚本をしっかりと立て直してほしい。また岡田くん、乗馬はお得意かもしれないが時代劇なりのセリフ回しをしっかりと勉強いただきたい(谷原章介や生田斗真の方がずっと主役に向いていると思うのはワタクシだけ?)。織田信長演じる江口洋介の頭の揺れも気になるところだが、何はともあれ戦国ドラマに集中できないことに苛立ちを感じてしまう今日このごろである。
TBS 日9 7/13~ 『おやじの背中』 大泉洋、田村正和、渡瀬恒彦、中村勘九郎、西田俊之、役所広司、満島ひかり、
『おやじの背中』のタイトルで10人の脚本家と10組の俳優で10のオリジナル・ストーリーが一話完結で週毎に繰り広げられる。毎回、父と子がテーマとなる。10人の脚本家は五十音順に、池端俊策(出演:大泉洋)、井上由美子、岡田惠和(出演:田村正和)、鎌田敏夫(出演:渡瀬恒彦・中村勘九郎)、木皿泉、倉本聰(出演:西田敏行)、坂元裕二(出演:役所広司・満島ひかり)、橋部敦子、三谷幸喜、山田太一。
坂本裕二脚本の作品は、元プロボクサーの父(役所広司)と彼の指導をうけてオリンピック出場を目指す娘(満島ひかり)の物語。勝負の世界で生きる父娘の葛藤が描かれる。また鎌田敏夫の作品では、かつて対立していた父親(渡瀬恒彦)と息子(中村勘九郎)の巡礼旅が描かれる。亡き妻・亡き母である1人の女性を思い秩父を巡る。なお東芝日曜劇場はもともと 1956年の放映開始から単発ドラマでスタートしているが、連続ドラマとなったのは 1993年4月からである。従ってこの枠 21年ぶりの単発ドラマ復活ということになる。しょうもない連続ドラマで中だるみに耐えながら見るよりも一話完結で好きな脚本家、好きな俳優のドラマだけ見る、というのも視聴者にとっていいのかもしれない(かなり制作には金はかかりそうだが…)。
妻夫木、瑛太の強力コンビのドラマが本命と見られるが、
これとて盤石とは言い難い。
相変わらず事件解決のドラマが多く、
法廷もの・警察もの・探偵ものを合わせると、
半分近くとなる。
といって、数少ない恋愛ドラマは不倫が描かれるようで
これらを心地良く見られるかどうか、はなはだ疑問なのである。