MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

冷たい手、温かい心

2008-10-28 13:48:00 | 健康・病気

MrK は冷え症ではないが、いつも手が冷たいと言われる。

ここのところ、かなり気温も下がってきて

我が手温(?)は下がる一方だ。

それでも「手の冷たい人は、心が温かい」という言い伝え?に、

言い訳を求めてきた。

しかし、もし MrK が初対面の人と握手をしたら、その人から、

潜在意識下に、「この人は心温かい人間ではない」と

思われてしまう可能性があるという。

そんな研究結果が報告された。

10月23日付 Washington Post 電子版より二つの記事

Warm Hands Lead To Warm Hearts, Sneaky Study Shows 

『温かい手は温かい心を誘導する―巧妙な研究が示す』

Warm Hands Warm Your Heart 

『温かい手は心を温めてくれる』

ここでは、前者の記事を引用する。

古くから言われている“冷たい手の人は心が温かい”という言い習わしは更新すべき時かも。
最近の研究では、何か暖かいものに触ることで、他人に対してより温かい気持ちになり、温かい行動がみられることが明らかにされた。
他人に、その人の人柄が温かいとみなされるか冷たいとみなされるかは、強力な第一印象となる。
人をより高く評価する下準備が意識下になされる、という過程を経ることにより、肉体的な温かさが精神的な温もりを促進しうるのではないか、との予測がエール大学の科学者たちの頭に浮かんだ。

この検証にはなんとも巧妙な研究手段が用いられた。
科学者たちは性格調査を行うという触れこみで41名の大学生を採用した。
研究員は参加者をエール大学の心理学の建物のエレベータに案内し、クリップボードに学生の名前を記録する間、コーヒー(ホットあるいはアイス)の入ったカップを代わりに持ってくれるようさりげなく頼んだ。

その後研究室に入ると、その学生たちは、勤勉で、慎重で、決意の固い人間として表現された架空の人物の記述を与えられ、それからその人物の推定される性格特性を評価してもらった。

熱いカップを持ってもらった学生たちは、冷たいカップを持ってもらった学生たちに比べ、より寛大で、社交的で、気立ての良い人物と評価した。
これらの性格の特性はいずれも心理学者が“温かい”性格と考えているものである。
この結果を研究者たちは雑誌 Science の金曜日版に発表した。
しかし、正直さ、魅力、あるいは強さといった類の、性格の温かさ・冷たさと関連のない特性の評価では、両グループの間で差はみられなかった。

続いて2番目の研究には53名の異なる学生を用いた。
彼らには、疼痛治療として薬局で売られている温かいパッド、冷たいパッドのどちらか一つを製品調査の一環ということにして短時間持ってもらった。

協力への感謝品として学生たちがどのように景品を選ぶかが、目的とするテストである。
アイスクリームのクーポン券あるいは、瓶詰め飲料のどちらかを、自分自身のために選ぶか、あるいは友人のために選ぶかというものだ。

温かいパッドを持ってもらった学生たちは、友人のために景品を選ぶ傾向が見られたが、冷たいパッドを持ってもらった学生たちは、自分自身のために景品を選ぶ傾向が強かった。

この話から得られる教訓として、自分の第一印象を良くさせたい時には温かい飲み物を渡すべしということになるのだろうか?

そういうことではない。
導かれる重要なメッセージは、環境からのごくわずかな信号からも、我々は行動や感情に多大な影響をこうむりうるということだ、と研究グループのリーダーである Lawrence Williams 博士は言う。
彼はこの研究を、エール大学院心理学の学位研究として行った。

肉体的、精神的な概念は「これまで思っていた以上にはるかに密接に関係している」と、現在はコロラド大学にいる Williams 氏は言う。

実際、肉体的な温度変化の情報を処理する“島”と呼ばれる脳の領域が、社会的温もりに関連する信頼や思いやりの感情をコントロールする役割を持っていることが他の研究で発見されている。

「肉体的な運動であれ痛みであれ、そういった肉体的属性を処理することが知られている脳の部分では、同じ回路がますます多くの精神的特性との連動性が認められるようになっています」と、この新しい研究に資金を提供している National Institute of Mental Mealth の Caroline Zink 医師は言う。
「このような相同性が存在することは神経科学者の観点から見てもきわめて興味深いことです」

社会的温もりの観念は小児期に学ばれるものである、と Williams 氏は言う。
同氏が挙げるのは、愛情や親愛の情が、赤ちゃんが食事を与えられることを単に保証されることよりも、肉体的な温かみを感受する抱擁や寄り添いに強く依存していることを指摘した古典的な心理学的研究である。

今回の知見の実用性については一例として、食料品店に置かれている無料の食品サンプルは、もしそれらが温かい方が、より多くの買い物客をおびき寄せることになるでしょう、と Williams 氏は助言するが、同氏は今、マーケティングを研究する助教授としてお勤めなのである。

昔から、人の性格の評価に「あの人は心の温かい人だ」

「あの人は冷たい」という風に、『温かい』『冷たい』といった

『知覚表現』を用いていること自体、

本来、人間の脳の中で肉体的知覚と精神的知覚の間に

密接な関係があることを示しているのではないかと、

Tampa にある University of South Florida Center of

Excellence for Aging and Brain Repair の

Paul Sanberg 所長は指摘する。

今回の研究結果から、周りの温度を変化させることによって、

自分自身に対する他人の評価を変えることが可能かもしれない。

しかし、あなたの知ってる人たちにも同じ結果が起こるか、

あるいは温暖な気候に住むことがあなたに対する認識に

よい影響を及ぼすかどうかは不明だという。

ところで、大脳の“島”という部位が、

肉体の温度変化の情報を処理するとともに、

社会的温もりに関連する感情にもかかわっているとは知らなかった。

脳の部位、“島”に関しては、言葉のど忘れに関連する部位と

いうことで以前話が出たことがある(拙ブログ、TOTを参照のこと)。

“島”は手術の時に、切っても構わない場所と教わってきたが、

実は様々な働きを持っているようだ。

さて、温かい感覚が人間の情に影響を及ぼす可能性はわかったが、

実際に人の心を温かくするのは、何も温覚だけではないだろう。

温かい笑顔、温かい言葉、温かいしぐさ、などなど…

そんなことを思いながら細部にいたるまで気を配り、

人に接するのが良いのだろう。

しかし、何にも増して大切なのは温かい心で接すること、

これに尽きるのではないだろうか。

手だけではなく、自分の内部が温かくなることで、

ひとの心をも温めることができると思うのだ。

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国都合戦、な場合かよ!

2008-10-24 21:02:15 | 健康・病気

脳出血の妊婦が7病院(その後8病院と判明)で受け入れ拒否、

その後妊婦は死亡―

周産期救急医療体制の不備は地方も都会も同じであり、

産科崩壊に全く明かりが見えない現況をまた露呈した。

まずは新聞報道から

10月23日付中国新聞より 『7病院拒否 妊婦死亡―東京 指定機関も断る』

体調不良を訴えた東京都内の妊婦(36)が都立墨東病院(墨田区)など七カ所の病院に診療を断られ、最終的に救急搬送された墨東病院で出産後、脳内出血の手術を受け、三日後に死亡していたことが二十二日、分かった。
赤ちゃんは無事だった。
墨東病院は、緊急対応を必要とする妊婦や新生児を受け入れる「総合周産期母子医療センター」として都が指定した医療機関。妊婦が搬送された今月4月の土曜日は研修医一人が当直していた。

都と病院は記者会見で「当直医は当初、脳内出血とは分からなかった。分かっていれば最初から受け入れていたはずで、一連の判断は妥当」と繰り返した。

一方墨東病院に受け入れを依頼した江東区のかかりつけの産婦人科医院長も会見し、当初の妊婦の容体について「自宅に救急車が到着する直前から頭が痛いと訴えた。
尋常ではなく頭部の疾患を疑った」とし、病院に「七転八倒している状況を伝えた。頭を抱えて『痛い、痛い』と言っていると伝えた」と説明、双方の認識に食い違いがあることが判明した。

都によると、妊婦は四日、吐き気などを訴え医院を訪れた。医院では対応できないと判断し墨東病院に連絡。しかし同病院は七月から週末の当直が一人態勢となり、基本的に搬送を受け入れておらず、いったん断った。

当直医は、受け入れ可能な周産期医療センターなどを検索する端末でほかの三病院を探し医院に伝えた。
医院は伝えられた分を含む計八病院に問い合わせたが、七病院が断っていた。一つは受け入れを承諾したが、医院の再度の依頼で、当初の要請から約一時間後に墨東病院への搬送が決まっていたという。

墨東病院は医師一人を呼び出して対応。妊婦は、帝王切開で赤ちゃんを出産後、脳外科で脳内出血の手術を受けた。
同病院の産科医の定数は常勤が九人だが、今月現在、常勤は四人。研修医ら非常勤十一人を含め当直に当たっていた。平日の当直は二人だった。
医院側が当初から脳内出血の診断を当直医に伝えていたのでははいかとの質問に、都側は「詳しいやりとりは調査中で分からない」とした。
また「週末に受け入れが困難になることは地元の医師会などにも周知していた」と述べた。

10月23日付毎日新聞より 『妊婦死亡:産科医「頭部疾患伝えた」』

妊娠中に脳内出血を起こした東京都内の女性(36)が都立墨東病院など7病院に受け入れを断られた後に死亡した問題で、最初に女性を診察した江東区の「五の橋産婦人科」の医師が22日夜、記者会見した。
「(受け入れを要請した)墨東病院の当直医に(女性は)頭が痛くて痛くて七転八倒しているニュアンスを伝えた」と証言し、「脳内出血が疑われる症状は伝わらなかった」とする墨東病院の説明に反論した。

10月23日付朝日新聞より『都立墨東病院、搬送先探す役割果たさず 妊婦死亡事故』

脳内出血を起こした東京都の妊婦(36)が都立墨東病院など7病院に受け入れを断られ、その後死亡した問題で、受け入れ要請を断った都立墨東病院が周産期医療センターとして搬送先を探す役割があったにもかかわらず、かかりつけ医に任せていたことが分かった。また、都の受け入れ病院を検索するシステムも機能していなかった。

墨東病院は都指定の総合周産期母子医療センター。
指定基準では「担当する地域の患者の搬送先確保に努める」とあり、同病院で患者を受け入れられない場合、他の周産期母子医療センターなどと連携して搬送先を探す役割が課されている。
しかし、都は「今回はかかりつけ医が搬送先を探すと言っていたので任せた」と説明。墨東病院側も「当直医が1人しかいないこちらの事情を知っているかかりつけ医が、気を使ってくれたのではないか」としている。

ただ、墨東病院はかかりつけ医に対し、都の周産期母子医療センターのネットワークシステム上で受け入れ可能となっていた東京慈恵会医科大付属病院、慶応義塾大学病院、日本赤十字社医療センターを紹介したという。
このネットワークシステムには、危険度が高い出産に対応できる医療機関として都が指定する周産期母子医療センター(都内22カ所)と同程度の機能を持つ2病院が参加。
各病院は「手術が可能か」「ベッドに空きはあるか」など変更があるたびに入力し、どこが患者を受け入れられるか端末で見ることができる。
しかし、かかりつけ医が3病院に受け入れを要請したところ、いずれの病院も満床などを理由に拒んだという。
都は、なぜ受け入れ可能となっていた病院が妊婦を受け入れられなかったのか、システムがうまく機能しなかった原因を調査する方針だ。

なんと朝日は、今回の事例を『事故』扱いである…

新聞報道より知りえたところでは妊婦は妊娠35週4日、

記事には脳内出血とあるが、かなり激しい頭痛があったことから

脳内血腫を伴ったくも膜下出血であった可能性も否定できない。

あるいは高血圧性、あるいは脳動静脈奇形からの脳内出血で

脳室への穿破という可能性もある。

いずれにしても、今回、収容先決定まで45分、最終的に

墨東病院に搬入されるまでの1時間20分という時間は、

通常の脳内出血、くも膜下出血で一次二次病院を経由して

三次救急病院に運ばれるケースと比べ、

特別に時間がかかっていたとはいえない。

確かに、最初は意識があり、

墨東病院到着時には昏睡状態であったとすれば、

早急に血圧を下げるなど積極的応急処置を行っていたなら

救命できていた可能性はある。

しかし一方で、早期に搬送されていても助からなかった

可能性も高い。

今回のケースは、患者が妊婦であったことが、

ここまで大きなニュースとなった一番の理由だろう。

周産期救急医療の問題は昨年8月にも取り上げた。

誰が悪いのか?

その後、ネットワークシステムの充実や近畿圏を中心に

産婦人科診療相互援助システムの立ち上げなどの対策が

講じられているものの、こういった事例は後を絶たない。

このような問題が起こるたびに、設備の整った病院なら

受け入れ後の治療が可能か否かに関係なく、

『とりあえず』でも患者を引き受け、診断、応急処置をほどこした後に

しかるべき病院に転送できないものか、

との意見も当然のようにわき上がってくる。

確かに今回の妊婦も、もし『とりあえず』受け入れてくれる

施設があり、早期に積極的な降圧ができていれば…、

との悔いは残る。

しかし、ひとたび患者を引き受けると、その施設には

治療とともに転送先探しの大仕事が待ち受ける。

MrK の経験では、他施設に患者引き受けを要請する電話を

かけるのに要する時間は、病状、経過説明などで一施設あたり

最低でも5分は要する。

8ヶ所断られれば、それだけで40分の時間を浪費したことに

なるだろう。

今回のケースも、搬送先の確保に最初のかかりつけ医一人で

当たったことに重大な問題点があると思う。

このようなケースに備えて大阪府で始まっている

「周産期緊急搬送コーディネーター」制度は、

容体が急変した妊婦の搬送先を調整するコーディネーターとして

ベテラン医師を配置するもので、このシステムにより

搬送先決定までの時間が大幅に短縮されたという。

ベテラン医師による搬送先との直接交渉が、

搬送効率を上げていると考えられている。

しかしこのシステムですら搬送まで平均15分~20分の時間を

要している(従来は平均約50分)。

このシステムでも、結局は電話での個別の調整という

原始的?な手段に頼らざるを得ないがための結果であろう。

よってもし都にこのシステムが整備されていたとしても

今回のようなケースで救命できていたかどうかは

はなはだ疑問である。

今回、一日2回アップデートされる都の周産期母子医療センターの

ネットワークシステムは全く役に立たなかったわけだが、

そういった問題点は以前から指摘されていることだ。

搬送先探しの負担が、

なぜ一ヶ所だけ(今回の場合、最初のかかりつけ医)に

押し付けられるのか?これについては以前にも問題提起した。

前述のように現況では、『とりあえず』引き受けると、

次の搬送先探しは誰もやってくれない。

どこかが引き受けたら、あとはその病院が孤軍奮闘し、

他の病院は胸をなでおろすだけなのだ。

そして、不幸にも悪い結果に終われば、

訴えられるのは善意で引き受けたその施設(医師)である。

これが根本の問題だ。

今日、あのハゲゾ…、いや舛添厚労相が指摘したように

今回のような事例発生の「一番の構造的問題は医師不足」

であることに間違いはないが、

短期間にこの問題を是正することは不可能である。

産科医不足の状況下にあって、定時的な情報しか得られないような

ネットワークシステムは救急対応時には全く用をなさない。

多施設間でリアルタイムにやりとりのできるホットラインのような

システムがあり、ある施設が『とりあえず』引き受けても、

そこでの治療継続が困難な場合、その初期治療の間に

別の第3者が次の搬送先を探し出し手配しておいてくれる、

そんな実働的なネットワークを最優先で構築するべきでは

ないだろうか。

これならさほど時間がかかることもないだろうし、それによって

少しでも救える患者さんが増えるのではないかと考えるのである。

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イノセント・真希

2008-10-21 20:49:09 | テレビ番組

いきなりですが…

堀北真希に罪はないのに~(涙)。彼女はイノセントだよ~!

堀北真希主演の月9ドラマ『イノセント・ラヴ』の

第1話を見た。

むむむ…

かなり重要な役どころと思われる長崎殉也を演ずる

“ゆず”北川悠仁のあまりの大根ぶりにあきれ果てた。

あのワザとらしい笑顔は何?チョーきもい…(嘔気)

なんでこいつを選んだのだろうか…(こみ上げる怒り)

折角の堀北好演のドラマがぶちこわし、である。

さて、物語は、両親を殺害した犯人として、堀北演ずる主人公、

秋山佳音(かのん)の兄がその冤罪を被ることになる。

そのため故郷での生活が困難となった佳音は

横浜に出て働き始めるのだった。

両親殺害事件を追いかける雑誌記者、池田次郎(豊原功輔)は、

佳音の職場を探し当て事件を聞き出そうとする。

ここでちょっと気になるシーンが…

二人は近くの喫茶店で二人が面談するのだが、

この時、池田は佳音の目の前で、タバコをスパスパと吸い始める。

このシーンを見てミョーに時代錯誤な違和感を覚えてしまった。

実際、記者にはヘビー・スモーカーが多く(偏見?)、

そういう場面で登場人物がタバコを吸うことは、

ドラマに現実味を持たせるために必要なのかも知れない。

しかし、今、私たちはドラマを、最初から非現実的な世界と

割り切って見ていると思う。

(実際、ありえない内容のショーもないドラマが多すぎる)

そんな時、多くの未成年者も見ているに違いない月9の中で

登場人物にタバコを吸わせる必要があるのだろうか?

これまでの月9ドラマの中でも、全くサマになってないキムタクの

喫煙シーンがあったが、それを見て不快感が募るばかりだった。

思春期の少年少女は、ドラマのシーンにあこがれるものである。

(別にカッコ良いとは思わないけど)好きなタレントがタバコを

吸っていたら自分も真似してみたいと思うだろう。

テレビ等でタバコ自体の宣伝が規制されるようになったが、

これからのドラマ作りにはそんな所にも配慮がほしいものである。

さて、アメリカではすでに37年前にタバコ広告を禁止している。

しかしこの国では、それ以前はタバコの広告にはすごいものが

多かったようだ。

Washington Post の記事をご一読あれ。

10月19日付 Washington Post 電子版

"The Smoke Screen of Vintage Ads" 

“煙に巻かれるビンテージ広告”

今月、New York Public Library で開催された展示会で、白衣の医師達はキャメルのタバコを推奨?―

1920 年代から 1950 年代にかけてのタバコの広告には映画スターや野球の名選手達が登場する。サンタ・クロースまで葉巻のポール・モールをスパスパふかしている。

『"Not a Cough in a Carload"(列車の中で咳をするな):喫煙の害を隠蔽するタバコ産業キャンペーンからの画像』 と題したこの展示会は火曜日から12月26日まで Madison Avenue にある前記 library の科学・産業・ビジネス部門で開催されている。

この展示会の主事を務めるのはスタンフォード大学医学生涯教育学部の副学部長である Robert Jackler 氏(54 才)である。

Jackler 氏によれば、長期喫煙者であった氏の母親が肺がんと診断された時から収集し始めた約 5,000 のタバコ広告から彼と Laurie 夫人とで画像を選択したという。

「我々にとってこれは彼女への追悼の気持ちだった」と、Jackler 氏は電話インタビューで述べた。

その展示会は "Life" や "Saturday Evening Post" といった雑誌からの数百の広告を、デジタル処理で褪色部分を修復し、特集している。

1946 年から 1952 年にかけてのキャメルのキャンペーンでは医師達は顕微鏡を覗き込んだり、往診をしたり、「生まれたのは男の子ですよ!」と告げたりしているところが描かれている。

これらの広告では、ある調査により「多くの医師達は他のタバコよりキャメルを吸っている」ことが明らかになったと宣言している。

Moredoctorssmokecamels

Jackler 氏によると、その調査では学会に出席した医師達が何カートンかのキャメルを手渡され、彼らの好きなタバコのブランド名を挙げるよう尋ねられたという。

タバコの包装に『健康への重大な危険』についての警告が書かれている現在では笑える主張を多くの広告がしていたことになる。

ビンテージ広告では、タバコはあなたの精神状態を改善し、消化を助けると宣伝する。
また『科学的検査』では Lucky Strikes や Chesterfields は他のタバコよりマイルドであることが示されている。

タバコ広告の意図は、人々を、特に若い人たちを喫煙に走らせようとする点において、半世紀前も今も同じであると Jackler 氏は言う。

「それらの広告が、当時は悪かったけれども、現在は良くなっていると言い切ってしまうと、それは大きな間違いを犯すことになります。メッセージはまさに同じなのですから」と彼は言う。

それらの宣伝活動に対する批判を浴びて、広告は子ども達に喫煙させようと意図したものではなく、成人喫煙者に銘柄を変更するよう促すことを意図していただけだとタバコ会社は反論してきた。

たばこ会社である R.J. Raynolds 社はウェブサイトで次の様に述べている。
「タバコ製品のマーケティング上の基準では、タバコ広告を未成年者の前に曝すことを最小限にすべきであるとともに、憲法遵守と合致しているべきであり、成人に informed choice ができるような情報を与えるべきである」

喫煙が異性に対して魅力的にしてくれることを暗示する目的で、タバコ広告は結婚適齢期にある若者達のイメージを長く用いてきた。

そのメッセージは 1920 年代という時代には半端なものではなかった。
この展示会に見られる Lucky Strike のキャンペーンでは、もしタバコを吸い始めなければ彼らを待ち受けているにちがいない丸々と太った影を持つ、スマートで容姿端麗な人物を呈示している。
そこでのコピーはこうだ。「甘い食べ物(スイーツ)の代わりに Lucky に手を伸ばせ」…
展示会の壁に書かれた文章によれば、これに対してキャンディ産業が訴訟も辞さずの姿勢を示したため、キャンペーンは頓挫したそうだ。

「展示場所を歩くだけで、吸いたい気持ちにさせられます。これらの広告は今日でも抵抗しがたいものです」と Jackler 氏は言う。

この展示会での広告は映画スターやアスリート、あるいはサンタ・クロースのような文化的象徴を際立たせて登場させている。
ジョン・クロフォード や ジャック・ウェッブ はいくつかのタバコの銘柄を呼び売りしていた。
セレブのタバコ支持者には、これらのほかにロナルド・レーガン、ルシル・ボール、マリーン・ディトリッチ、ベーブ・ルース、ルー・ゲーリックらがいる。

この展示会のある資料では、映画で使われるタバコのプロダクト・プレイスメント(註:映画などの小道具として目立つように商品を配置することで、商品を露出を高める広告手法)について明らかにしている。
それは 1983 年のシルベスタ・スタローンからの手紙で、彼が 50 万ドルの見返りで Brown & Williamson のタバコを少なくとも5本の映画に用いることを確認したものだ。

今回の資料は最初にスタンフォードで展示された。その後カリフォルニア大学サンフランシスコ校とハーバード大学を経てニューヨークに到着した。

カリフォルニア州 San Rafael の Richard Olive 氏(66 才)は、このビンテージ広告を一通りながめて含み笑いをした。
「実に懐かしい。これらの広告は、私が少年だったころ雑誌でよく目にしたものです。しかし、今それらを拝見すると、いずれもとんでもない内容ですね」

本年7月からの taspo 登場で

未成年者の喫煙防止の取り組みに前進が見える日本だが、

禁煙運動や受動喫煙防止対策では諸外国に大きく遅れをとっている。

細かすぎると言われるかもしれないが、

喫煙の若年者に与える影響に関しては

些細なことにも気配りが求められる、

そんな時代となっているのではないだろうか?

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富良野調査報告

2008-10-18 00:34:45 | 旅行記

今週、北海道のへそと言われる富良野まで行ってきました。

10月9日から始まった、フジテレビの木曜ドラマ『風のガーデン』の

舞台となっており、ちょっとタイムリーだったですかね。

ただ、ラベンダーの開花は7月から8月ですので、

観光のピークはとっくに過ぎていました。

そのため観光客は少なく、

逆に静かな雰囲気で良かった面もありました。

富良野には旭川から車で1時間程度で行くことができます。

富良野と一口に言っても、富良野盆地は大変広く、

富良野市、美瑛町、上富良野町、中富良野町、南富良野町、

そして占冠村の6市町村からなります。

幅広い幹線道路が延々と 10 km 以上も続く広大さには

驚かされます。

富良野からは山頂に雪を頂く大雪山系の十勝岳連峰を

はるかに望みます。

Photo

美瑛町より大雪山系を望む

美瑛町は眺望の良いなだらかな丘が有名で、

そこには特徴のある木が散在していました。

CMで使われた『ケンとメリーの木』のほかにも、

『クリスマスツリーの木』や『哲学の木』など趣のある木々があります。

01こちらは『哲学の木』

ああPhoto_3

こちらは『クリスマスツリーの木』

いくつか周回コースがありますが、結構距離があります。

貸し自転車などあるようですが、アップダウンがきついので、

やはり自動車で回ります。

富良野市はドラマ『北の国から』のロケ地ということで有名ですが、

このドラマ、一切見ていないので特に感慨はありませんでした。

しかし、雄大な景色を目の当たりにすると、

日頃の悩みなどとてもちっぽけなものに感じられてしまいます。

広いまっすぐな道を車で走っている時、

図らずも大嫌いな、あのツルハゲ歌手の『大空と大地の中で』を

口ずさんでしまっていました(不覚)。

確かここから足寄はずいぶん遠かったはずですが…

ラベンダー園は、上富良野町、中富良野町が有名のようです。

眼前に広がるラベンダーの香りに包まれた紫の絨毯を堪能するには、

7月下旬ころに訪れる必要がありそうです。

ドラマ『風のガーデン』の舞台となっているガーデンは

富良野市のゴルフ場跡地に二年がかりで造成されたそうです。

現在は残念ながら『風のガーデン』の場所は秘密とされており、

一般公開は来年からとのことです。

さて、『風のガーデン』、ドラマの方ですが、

スタート直前の緒形拳氏の逝去により

相当の視聴率が期待されたものの、

第1話 20.1%、第2話 18.0%と思ったほど伸びませんでした。

世界同時株安、景気後退、さらに食の不安などの

暗いニュースが続く中、

やはり全体に暗いドラマは敬遠されるのでしょうか…

物語は、

5年生存率3%というステージⅣb の膵臓がんと診断された

中井貴一扮する麻酔科医白鳥貞美が、

最期の大切な時間を、故郷富良野で過ごすことを決意する展開に

なりそうです。

先日の第2話では、愛犬の蛍が死んだ時、

悲嘆にくれる孫の白鳥岳(神木隆之介)に、

白鳥貞三(緒形拳)が『死』について語るシーンがありました。

しかし、このドラマでは、孫に語る貞三のセリフが、

不思議なことに、『ですます』調なのです。

一体なぜなのでしょう?

すでに死を目前にしていたであろう緒形の迫真の演技のはずが、

これでは気持ちがうまく伝わりませんね。

脚本に問題ありと思います。

それと、貞美の愛人、氷室茜役の平原綾香。

おさかな顔の、ちょうど昔の太田裕美を彷彿とさせる。

お世辞にも美人とは言いがたく、中井貴一とは、

どうみても愛人関係という雰囲気ではありません。

二人はプラトニックな関係に思えてしまうのです。

(ドラマの設定でも実際にそう?てことはないでしょう)

あきらかなミスキャストと思います。

嗚呼、平原は主題歌だけにしておいてほしかった(嘆息)。

しかしまあ、実際に見てきた富良野の風景のすばらしさを思うと

今後の展開に期待したいと思います(一刻も早く貞美がその愛人と

別れていただくことをひたすら願いながら…〔苦笑〕)。

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ノーベル賞はお祭り騒ぎ?

2008-10-10 22:54:11 | ニュース

立て続けの日本人のノーベル賞受賞…

実にすばらしい…(ガリレオ・湯川学風)。

しかし、一方で、日本国内における基礎研究環境の貧弱さ、

歯止めのきかない優秀な人材の海外流出(野球と一緒)、

国内教育のあり方などなど、

様々な問題点が浮かび上がってくる。

さらに、

ノーベル賞授賞者の選定基準ってどうなってんの?で

ここにも問題が見え隠れする。

Photo

まずは米国メディアが伝える今年のノーベル物理学賞決定の

記事をお読みください。

10月8日付 Washington Post 電子版

3 Physicists Win Nobel Prize

3人の物理学者がノーベル賞を受賞

なぜ宇宙が存在するのか、またそれを規定する法則は何かを説明する助けとなる、自然界の基本的粒子の対称性の中にある小さな破れの発見により、アメリカ人1人と日本人2人に 2008 年のノーベル物理学賞が授与されることとなった。

Chicago 大学 Enrico Fermi Institute の南部陽一郎氏は、ほぼ半世紀前に行った業績で賞金 1,400 万ドルの半分を受け取ることになる。

残りの半分はつくば市にある高エネルギー加速度研究機構の小林誠氏と、京都大学湯川理論物理学研究所の益川敏英氏の二人で分けられる。

授与するスウェーデン王立科学アカデミーは、この3人は、『物質の最も小さな基本構造のはるか内部に起こっていることに深い理解をもたらした』と発表した。

この3人の物理学者は、自然に存在する対称性が、微妙だがしかし重大な道筋で破られる事実を解明しようとしたパイオニアであった。

世界における最も重要な非対称の一つ、すなわち粒子と反粒子のバランスは、なぜ宇宙が今のように存在しているかを説明する。
粒子と反粒子は似ているが、正反対のものだ。
電子は陰性電荷を帯びているが、その反粒子である陽子は陽性電荷を持つ電子である。
両者が衝突すると、お互いを消滅させてしまう。

粒子と反粒子が全く同じ量の対称な世界では、仮にそんな世界でも何かが存在し得たとすると、その生命は扱いにくく粗暴で短いであろう。
しかし 137 億年前のビッグ・バンの時には 100 億個の反粒子に対して、一つ余分な粒子が存在した。
こうして残った物質が、今我々の生活している安定した物質中心の世界を構成したのだ。
ただしこれがなぜ起こるのかは謎のままである。

87 歳の南部氏はインタビューに答えて次のように語った。
1952 年に日本から米国にやってきて、プリンストン高等研究所に入り、そこで、原爆を製造したマンハッタン計画の科学部門のトップ J Robert Oppenheimer 博士や、いまだに物理学の基盤的理論となっている相対性理論の Albert Einstein 博士と出会ったのだという。

南部氏の『自発的対称性の破れ』についての数学的研究は 1960 年に始まった。
それは今の『標準理論』の基礎となっているのであるが、この理論は自然界の3つの基本的な力について説明している。3つの力とは、強核力、弱核力、および電磁力のことである。

フランスとスイスにある巨大な原子加速器大型ハドロン衝突型加速器を来年再稼動させるにあたり、物理学者たちはこれらの力の根源を説明したいと考えている。

「今回の知らせを聞いて、驚いています。何年もの間、私が候補に挙がっていたと聞いていますが、この特別な時期に、とは思っていませんでした」と、南部氏は言った。

Austin にある Texas 大学の物理学および天文学の教授、Steven Weinberg 氏は、「南部氏への授賞は遅すぎたと思います。この現象の重要性を認識していた最初の人物だったのですから」

1972 年、当時2世代のクォーク quark までは知られていたが、小林氏(64 歳)と益川氏(68 歳)は3世代のクォークの存在を予測した。(クォークとレプトン lepton はすべての物質の2つの基本的な構成要素と考えられており、原子核を形作る)
彼らの計算は、高エネルギー物理学の実験によって確認され、今日知られている6つのクォークのうちの、チャーム、ボトム、およびトップの3つのクォークの発見につながった。

実験的にすべての粒子をそれらの反粒子で置き換え、逆の実験を行い、同様の結果を得ることは可能であろうと物理学者達は考えていた。
しかし、そこには微妙な違いが存在することがわかった。
対称性の破れを説明することのできる3世代目のクォークの理論がイタリアの物理学者 Nicola Cabibbo の研究成果によって持ち上がり、小林氏と益川氏によって確固たるものとなされたのである。

イタリアの物理学者たちの中には Cabibbo 氏に対する冷遇に憤慨していると発言するものもいた。

「ノーベル賞が物理学のこの領域に授かったことは喜ばしいことです」と、Italian Institute for Nuclear Physics の所長、Roberto Petronzio 氏はイタリア紙 La Repubblica に語った。
「しかし、私はこの偏った授賞にひどく失望していると言わざるを得ません。小林氏と益川氏が行った貢献は、イタリア人物理学者 Nicola Cabibbo がその生みの親となった核心的理論を発展させたに過ぎないのですから」

一方、小林氏と益川氏はこの受賞に対して興奮を抑えながら応えた。

AP通信によると小林氏は「受賞は思っても見ませんでした。ただ、自分の興味を追求してきただけです」と述べた。

片や、益川氏は「ノーベル賞なんて世俗的なできごとです」と語った。

実におもしろい。でも、さっぱりわからない…(再び湯…、しつこいって)

さすがに米国紙、ノーベル物理学賞受賞者は

米国人1人、日本人2人とはっきり書いています。

今や、生まれや民族がどうのこうのより、

国籍がどこか?ですよね。

さて、賞金は3人で山分け?ではなくて、

南部氏が半分、

小林氏と益川氏が残りの半分

(それを二人で山分けかどうかはわからない)

とあります。

業績の大きさからそうなのでしょうね。

とすると、まずは南部氏の授賞は問題なさそうですね。

でも、記事中にありましたが、

イタリア人がたいそう怒っておられるとか。

ある意味、小林、益川両氏はラッキーだったのかもしれません。

こらこらっ!

あんたにケチをつける資格はないって!(ごもっとも)

ノーベル賞の候補に挙げられるだけでもすごいことなんですから。

コメント (2)
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