MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

生命とは?生命の始まりとは?

2008-11-29 10:08:49 | ニュース

人間の命はどの時点で始まるのでしょうか?

精子と卵子が結合し受精卵となった瞬間からでしょうか?

胎児と呼ばれる3ヶ月からでしょうか?

それとも、中絶が行えなくなる22週からでしょうか?…

中絶大国・日本ではこの問題をつきつめて考える人は

少ないと思われます。

失言だらけのあの "asshole" 総理に尋ねたとしても、

「何のこと?」で済まされそうですね。

しかし、米国では、プロ・ライフ(中絶反対派)と

プロ・チョイス(中絶賛成派)の議論は政治的にも重要です。

宗教の影響が大きいからでしょうか。

マケイン氏の副大統領候補だったペイリン氏が、

自身の高校生の娘の妊娠を容認する

プロ・ライフ支持者であることが話題となりました。

こういった生命倫理に対する政治家の考え方の違いは、

再生医療への貢献が期待される幹細胞研究の方向性を

大きく左右することなります。

オバマの『変革』は、同研究に対してどのような影響を

及ぼすことになるのでしょう?

胎児の初期細胞を用いることで問題となっている

胚性幹細胞(ES細胞、embryonic stem cell)研究の

米国における今後の行方についての記事を紹介します。

11月23日付 Washington Post 電子版

Foes of Stem Cell Research Now Face Tough Battle
厳しい闘いに直面することになる幹細胞研究の反対者たち

ブッシュの大領領の任期が終わると、胚性幹細胞研究を反対する人たちは、本研究の阻止に無力を感じさせられる新たな政治情勢に直面することになるだろう。

大統領に選出された Barack Obama 氏がそのような研究への連邦予算の制限を撤廃するのではないかと期待されている。
民主党カリフォルニア選出の Nancyh Pelosi 下院議長もまた、規制の枠組みを見直す必要があるならば新しい議会の最初の100日間(蜜月期間)での法制化を進めることに関心を表明している。

「我々は負けてしまうかもしれない、しかし、戦い続け、倫理的な代替案を提出するつもりです」と、民主党ペンシルベニア州選出の Joe Pitts 下院議員は言う。
「新しい議会での投票結果がどうなるかはわかりません。しかしこの件では敗れてしまう可能性が極めて高い」

幹細胞は異なる種類の組織に変換する基本材料である。胚性幹細胞は、より成熟した種類と異なり、全くの白紙状態である。
もし科学者たちがそれらを制御できるとしたら、たとえば、糖尿病患者の膵臓にインスリンを産生させ始めることができるようになるなど、再生治療を運用できるようになるだろう。

4日齢または5日齢の胚子から幹細胞を採取するということは胎児を殺すことを意味し、そのことがこの種の研究の反対者を憤慨させている。
一方、支持者たちは不妊クリニックに保管されている何十万という胚子はどのみち廃棄されるのであり、他者を救うことになる研究に胚子を提供することは人道的に許されるべきであると主張する。

「そのような明確な目的のために自由意志で提供されるのであれば、生命を救うことを可能にする研究目的でこれらの胎児を使うことは倫理にかなうと信じている」と、科学者、医師、および技師らからの14の質問に Obama 氏は選挙運動中に書面で回答した。

George W Bush 大統領の下では、ヒト胚性幹細胞の研究への連邦予算は 2001 年8月9日以前に作られた幹細胞株、あるいは常時分裂する細胞種に限定されていた。
それ以降、破棄された胎児からの細胞株を用いた研究には連邦予算は許可されていない。。
ただし連邦の規定では州や民間の資金を用いた胚性幹細胞の研究までは制限してはいない(たとえばカリフォルニア州のシュワちゃんなどはきわめて熱心:MrK 註)。

Obama 氏の政権移行作業チームのトップである John Podesta 氏は、次期大統領は1月20日の就任後すぐに幹細胞研究の問題に取り組むだろうと強力に示唆した。
「ご存知のように、Obama 氏は幹細胞研究に対してこれまで特別な言質を与えてきています。
そのため、選挙運動中に彼が語ったことは任期中に必ず実現されるものと期待してよいと思います」と Podesta 氏は言う。

Obama 氏は、Bush 氏の指示をくつがえす意向であることを選挙期間中に明言している。

「2001 年8月9日以降に作られた胚性幹細胞株研究への連邦予算に対する大統領命令による政府の禁止措置を、私が大統領になれば撤廃するつもりです。
また、幹細胞にかかわるすべての研究が倫理的に、また厳密な監視のもとに行われるよう努めます」と、彼は発言した。

一方、推進派の者たちは幾つかの点において自分たちの首を絞めることになるだろうと、研究への反対者は言う。

第一の意見として、生命は受精時に始まるという考えがある。すなわち、ひとたび実験室で受精が生じたなら、一人の人間が誕生したと見なされるという考え方である。

第二の意見として、すでに科学者らは胚性幹細胞を用いる以外の方法―特定の組織を作る成人の幹細胞、あるいは幹細胞と同様の特性を持つようプログラミングされた皮膚細胞など―を用いて成功を収めてきており、資金は最も重大な科学的進歩が見られるところに向けられるべきとの主張がある。
たとえば、つい先週も、ある女性が自身の幹細胞から作られた組織を用いた新しい気管を医師により移植され、それには免疫抑制剤を使う必要もない、という事例があった。

「私たちはさらに努力を続け、実際的に治療を提供しているのは成人幹細胞であるという事実について語るつもりです」と、Family Research Council の senior fellow である David Prentice 氏は言う。

Concerned Women for America(アメリカを気遣う女性の会)の会長である Wendy Wright 氏はさらに言う。
「いくつかの驚くべき科学的発見を含めて、この7年間に様々なことが起こっている。
そのことが、進展のない胚性幹細胞研究への連邦予算の問題を曖昧なままにしてしまっているに違いないのです」

しかし、American Society for Reproductive Medicine(米国生殖医学学会)の広報部長である Sean Tipton 氏はそこの議論に照準を絞る。

「これまで同研究への連邦予算を実質阻んできた反対者が研究の進展不足に言及するのは、若干公正さに欠けます」と、Tipton 氏は言う。
「人をスタート・ラインに留まらせておきながら、業務がはかどっていないと彼らを批判しているわけです」

Johns Hoopkins University School of Medicine の professor of medicine である Chi Dang 博士は、成人幹細胞に驚異的な進歩があったことは認めている。
しかし、それらは、胚性幹細胞と同じように十分な柔軟性を持った応用に耐えうるかどうかはいまだ明らかではないと彼は言う。

「科学的な立場から言うと、我々は本来の道筋ではないかもしれないことを普及させようとしているでしょう」と、Dang 氏は言う。

Dang 氏はさらに、これらの胎児は、さもなければ廃棄されることになる、と言う。

「こう質問したい。胎児に酸をかけて殺す方が倫理的に受け入れられますか?
それとも将来我々にとって有益となるであろう新たな細胞株を作るために細胞の塊をバラバラにする方を選びますか?」

Salk Institute for Biologic Studies の教授、Samuel Pfaff 氏もまた、すぐれた胚性幹細胞研究を支持すると言う。
それは、科学者たちが他の細胞に幹細胞類似の特性を寄与する場合にも見られるような、幹細胞を特異的にしているものが一体何なのかを知るためである。

「科学のこの領域においてめざすべき長期展望は、胚性幹細胞を十分探求することによって、もはやそれらを使わなくても済むようにすることだ、という主張こそ公正な意見であると思います」と、Pfaff 氏は言う。

一年前、京都大学の山中伸弥教授らのグループが、

ヒトの皮膚細胞を人工多能性幹細胞(iPS 細胞)に誘導することに

成功しました。

これは受精後早期の胚子から樹立される胚性幹細胞(ES 細胞)と

遜色のない分化多能性を有しており、胚性幹細胞研究における

倫理的問題をクリアできるとして注目されました。

ただし、iPS 細胞を作成するには、通常の成人細胞に増殖・分化能を

持たせるため必要な転写因子を導入しなければならず、

その安全性には懸念が残されています(癌化などの問題)。

また遜色ない多能性とはいうものの、

果たして胚性幹細胞と全く同様の安定性が保持されるかが

疑問視されており、また幹細胞分化のすべてのメカニズムが

解明されているわけではありません。

記事中にもあるように、究極の目標は、

患者自身から採取し作成した iPS 細胞が、最も万能性の高いとされる

胚性幹細胞の役割を完璧に果たすことが可能であるという確証を

得ることです。

そのような状況を考慮すると、

胚性幹細胞研究を停滞させたままでは、

幹細胞研究の飛躍的な前進はむずかしいのかもしれません。

胚性幹細胞研究の問題だけでなく、将来は

iPS 細胞からも独立した個体が生み出される可能性があるなど

どこまでも倫理問題がついて回る研究領域ですので

研究の先端に与する日本としては、

生命倫理に対する国民の観念が、

あいも変わらず希薄なままではいけないのでは、

と思ってしまうのです。

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知るべきか知らざるべきか…

2008-11-26 08:00:11 | 悩み

知るべきか、知らざるべきか、それが問題だ…

たとえ悪い結果であったとしても、何も知らされないよりましである、

という研究結果が報告された。

11月22日付 New York Times 電子版

Bad News Can Be Better Than Nothing
悪い知らせは何も知らないよりましかも

悪い知らせを好む人はいない。
しかし、ある人にとっては、知らせがないことはさらに悪い。
やや神経質な人たちでは、悪い知らせによるよりも不確かであることによってより多くストレスを受けることが新しい研究で明らかにされた。

心理学者たちは悪い知らせが人の気を引き、受け取る側の注意を集める一方で、良い知らせはしばしば脳の中で軽くあしらわれるということを以前より知っている。
この現象は科学者たちによって生き抜くための精神規制と説明されてきたが、これは危険や脅威の警告に適応するための脳内の配線回路の働きによる。

しかし University of Toronto の研究者たちは、不確かさ―情報の欠如、あるいは十分に理解されていない情報―に対して人がどのように反応するかについてより多くを知りたいと考えた。
41人の若い男女は、まず彼らがどの程度神経質かを評価する目的で用意された検査を受けた。
それから一定の課題を行う間、脳の活動を測定する電極を取り付けられた。
ストレスをモニターする方法として、検査者は前帯状皮質の神経活動を追跡した。
大脳のこの部分は、葛藤、先行き不安、監視ミスなどに関わっているとされている。

続いて被験者らは、コンピュータ・モニター上に標識記号が表示された後、一秒が過ぎたと考えた時、反応するよう要求された。
反応を行った後、課題をうまくこなしたことを示すプラス記号、改善が必要であることを示すマイナス記号、または、なんら説明のないクエスチョン・マークのいずれかで、それぞれモニター上で評価を受け取る。
神経症的傾向のより強かった被験者では、負の評価に対するよりも、不確定な評価に対する反応でより強い脳の活動性を示したことが、研究者たちによって示された。

現実の世界では、社員が昇進に向けて意気込んでいるものの、その結果が知らされないような時にその類の反応性の増強が起こるかもしれない、と University of Tronto の心理学の大学院生でこの論文の主著者である Jacob B Hirsh 氏は言う。
高度に神経質な人では、昇進の機会を失することに対してはそれほど強くは反応しないでしょう、と Hirsh 氏は言う。

また神経質ではない人にとっては、逆が当てはまります、と Hirsh 氏は付け加えて言う。
そういう人たちは、不確定さに悩まされることはないが、負の評価に対して大いに狼狽するのである。

不確定さについて研究している University of Western Ontario の心理学者 Richard Sorrentino 氏は、配偶者に対して不安定な感情を抱いていて信用できるかどうか確信が持てないでいる既婚の女性を調べた同様の研究を行っている。

「もし彼女らが確かさを好むタイプであったとしたら、夫を信用すべきかどうかについて確信がない場合よりも、はなから夫を信用しない場合の方が、ずっと居心地が良いはずです」と彼は言う。
確かさを好むが、夫に対して確信の持てない妻は、しばしば、うつ病を始めとする深刻な病状に見舞われます、とも彼は言う。

「要するに、高度に神経質な人のモットーはこうなります。『知らない悪魔より知っている悪魔の方がまし』」Hirsh 氏はそう述べた。

この研究は、与えられた課題に際して、

その報酬期待に対する充足度を見ているだけのような気もするが…

ともあれ、神経質な人には、たとえ悪い知らせでもはっきりと伝える方が

精神衛生上良いってことか。

ただ、伝える内容によっても変わりそうだ。

たとえば、がんの告知ではどうだろうか。

神経質であるなしにかかわらず、

きちんと真実を伝えたために一時的な衝撃を与えたとしても、

曖昧にごまかすよりはいいのかも知れない。

神経質でない楽天家には、

曖昧に伝えておけばいい方に解釈してくれるからいい、

ってわけでもないだろう。

原則として全例告知すべきと考える医師が大部分だろうが、

それにストップをかけるのは、

本人を一番よく知っていると思っている家族にちがいない。

そもそも、本人より先に家族に真実を伝えることが間違っていると

思われるのだが…。

しかも、その家族がどこまで本人の気持ちを

理解しているといえるだろか。

「あの人は気丈に見えるけれども、

実は気の小さいところがあるから…」は、家族の勝手な判断だ。

当人にのしかかる真のストレスは、いかに身近な家族でも

遠く理解の及ばないところにあるのかも知れない。

「知りたくないことは知らされないでいる権利」もあるようだが、

「実はあなたのことで大事なお話があるのですが、

お知らせした方がいいですか?」と訊かれて、

「いえ、結構です。知りたくありません」と答える人が

果たして存在するだろうか?(そんな訊き方が悪いんでしょうけど)

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"Taylor Swift" って?

2008-11-21 20:50:47 | 音楽

Taylorswift4

Taylor Swift (テイラー・スウィフト)をご存知だろうか?

米国で絶大な人気を得ているという、

若干 18 才の女性カントリー・シンガーだ。

一体どんな歌手で、どんな歌を歌うのだろうか?

(そりゃ、ただのカントリーだろっ!…いえ、ちがいます)

今月 11 日、セカンド・アルバム "Fearless" が

発売されたとのことなので、

さっそくこの Swift 嬢について調査した(偉そうに)。

Washington Post 、New York Times 両紙とも、

その内容はまさに、“褒めちぎり”、である。

両紙から記事の概要を紹介してみよう。

11月11日付 Washington Post 電子版

Taylor Swift, 'Fearless' and Full of Charm
テイラー・スウィフト、アルバム『Fearless』、魅力満点

Taylor Swift が Pが大文字の pop star (本物のポップ・スター)であるという証拠が必要だろうか?
MTVの Video Music Awards に登場する彼女の姿はひとまず忘れて、この Nashville の妖精がMの文字を声を包むように発するのがなんと落ち着いて聞こえることか、耳を澄ませてみるがよい。

「Mmmmm-mmm」と "Hey Stephen" のイントロで彼女はハミングする。
海馬に永久に留め置かれるのはもちろんだが、同時に非常に魅力的な微笑みを発散するポップ・カントリー界の宝石だ。
しかし、この"Stephen" を、彼女の若々しいアルバム "Fearless" からの最高の一作と呼ぶことは箱からイチゴを一とり出して、それが残りのどれよりも甘いと言うようなものだ。
Swift の世界では、すべての楽曲がラジオ向けの魅力的なものばかりであり、一貫して心地よい一連の楽曲を作り上げる 18 才の能力は確かである。
そして、"Hey Stephen" では、一つの子音を引き伸ばし、惹きつけられるような音のつながりを形成している。

Swift の名前を冠した 2006 年のデビュー・アルバムは、彼女にカントリー・ラジオとコミュニティ・サイト MySpace での莫大な成功をもたらした。
しかし、彼女の早熟度は今でも目を見張るものがある。
Swift は軽快なテンポで、音域を上げたり下げたりし、ほとんどすべての音節に新鮮な音符を割り当てている。

彼女の声にはテネシー特有の鼻声はごく痕跡的に残されているだけで、彼女の歌い回しは Radio Disney で流すに適した十分な甘さと Country Music Television での延々と続く繰り返しにも十分耐えうるバランスを持っている。

彼女はソングライターとしても才能に恵まれているが、彼女の一貫性はしばしば一様性に陥ってしまう可能性はある。
"Fearless" 収録のほとんどすべての歌にはパターンがある。
誘いの歌詞、急上昇するサビの部分、アップテンポの中間部分、終盤の簡潔な歌詞、そしてお別れに最後の uber-chorus、その繰り返し…。(注:このあたりの訳、自信なし)

そんな中、"You Belong With Me" は傑出している。
ニュー・ウェイヴな感じのギターと並行する、チャカ-チャカ-チャカと刻むバンジョーは "the Cars" に匹敵する。
曲調をカントリー風にアレンジするのは策略かもしれないが、Swift の手によって、この組み合わせは全く自然なサウンドに聞こえる。
「彼女はハイヒールを履いている、私はスニーカー/彼女はチア・リーダーのキャプテン、私は観覧席」と彼女は歌う。
ある男の子の目を覚まさせて、彼女の、どこにでもいるような女の子の魅力に屈服するよう口説こうとする。

"Fearless" の 13 曲のうち 12 曲は同じような調子で流れてゆく。
若い恋愛物語は、良かったり、悪かったり、時には醜悪だったり。
それは、売り上げにとりつかれたレコード会社の幹部たちが夢見る十代ドラマのブランドなのであろうが、Swift にかかれば自分の高校の廊下に向かって純粋に歌っているように聞こえてくる。
この顕著な例は "15" である。これは新入生の不安と上級生の後悔の両面を表現している。
「もし、15 才の時、誰かに愛してると言われたらすぐにそれを信じてしまうでしょう」とサビのコーラスは警告する。
それは、どこかの堕落したフォーカス・グループに見られるものではなく、当事者からの声として感じられる、切ない教訓なのである。

そういった点が、彼女の先例として昔の伝説的な少女グループを想起させるのである。
以前の Shangri-Las、Crystals、あるいは Ronettes のように Swift は深いところでファンを包み込む道を模索してきているのだ。

続いて

11月7日付 New York Times 電子版(要約)

My Music, MySpace, My life 
私の音楽、MySpace、私の生活

「私は自分自身に起こっていることについて詩を書こうと思っているんです」と、Ms.Swift は言う。
彼女は、この 10 年で最も傑出したカントリー・ミュージックのアーチストとしてあっという間にその地位を固めてしまった。
彼女が明るい元気な声を持った Nashville の最も刺激的なソング・ライターであることも要因の一つではあるが、実は彼女のファンとのつながりの姿勢が主因である。
ロックやヒップ・ホップのアーチストではよくみられることでもカントリー・ミュージック界では革新的なやり方となる、オンラインの社会的ネットワークを積極的に用いてきたのである。

Ms.Swift のセカンド・アルバム "Fearless" (Big Machine records)は火曜日(11日)にリリースされたが、彼女自身の名前をタイトルとした 2006 年のデビュー作と同様、10 代の愛と失恋を題材にした魅力的で清潔な歌が満載である。
Ms.Swift は彼女自身の経験に基づき、ありのままの名前を使って詩を書くことで、彼女の歌に強い親近感を与えている。

わずか4年前、Ms.Swift とその家族は、ペンシルベニア州 Wyomissing から Nashville 近郊の Hendersonville に引っ越してきた。
しかし Ms.Swift はそれまでの数年間自分のサウンドにじっくりと磨きをかけてきていた。
彼女は 11 才の時に Nashville に旅行に行ったあと、曲を作り始め、本気でギターの演奏を学び始めていた。

Nashville に来てからは作詞力に磨きをかけた。
恋愛関係やその破綻など、多くの十代のポップのお決まりの素材が彼女の基となるテクストである。
「なにが起こったのかわからない時、それが私を悩ませイライラしてくるので、それについて書く必要があるんです。もう何年もの間」

彼女の音楽はほどよく奔放だ。
明らかにカントリー調のアレンジがほどこしてあるが、軽快でわくわくさせるような、ほとんど鼻にかかっていない彼女のヴォーカルが主役となっている。

そうしてカントリーのスーパースターの名前をタイトルとした、練りに練られたファースト・シングル "Tim McGraw" がリリースされた。
(この歌詞では Mr. McGraw は、ある少年と彼女が共に好きだった特別な歌をうたう歌手ということになっている)

2006 年にリリースされた Ms.Swift のデビューアルバムは第一週で穏やかに 39,000 枚を売り上げた。
しかし、その後ぐんぐん売り上げを伸ばし、現在までに 300 万枚を越えている。
昨年 Ms.Swift は最優秀新人アーチストとして the Country Music Association's Horizon Award を授賞した。
そして今年は、年間の女性ヴォーカリストにノミネートされている。

彼女はまた、カントリー・ミュージックの世界を自分の意志で越えようとしてきた。
Billboard Hot Coiuntry Singles チャートで2位を獲得した後、彼女のファースト・アルバムからのサード・シングル "Teardrops on My Guitar" がクロスオーバー・ヒットとなり、Hot 100 で 13 位まで達した。

テネシー州 Chattanooga でのショーの直前、いつも演奏の前にしているように、Ms.Swift は両手首にブレスレットをたくさんつけた。
それを後でファンに投げ、彼女の一部を家に持って帰ってもらうようにするのだ。
彼女を裏切った男の子についてうたった歌 "Should've Said No" をうたい終わった後、彼女はひざまづき前かがみとなって、じっと頭を持ち上げた。
前列のファンが心配してその頭を撫でるのである。
それは驚くほど親密な瞬間だが、彼女と、歌と、購買者であるリスナーとの間には障壁はないのだという自己主張には欠かせないものだった。
その頑なな姿勢が、彼女の作品のあらゆる面を教えてくれる。

ただ、ありのままを詩に書くというこれまでの彼女の姿勢は自身のプライバシーの犠牲につながってきた。
しかしあえて頑なに、これまでのやり方を貫きたいという彼女の思いがある。
そんな状況は難しくなってきているが、少なくとも、彼女が強く主張する次のアルバムまでは前2作と同様に彼女の生活を詳しく語るだろう。

来年、彼女は、これまでほとんどのカントリー公演が成功を収めることができなかった世界的ブランドとして Taylor Swift の売り込むため、英国、日本、そしてオーストラリアで活動の予定である。

ファンと彼女との距離が開いてゆくことは、性格的に彼女が大いに気にする問題である。
「ただ私にできることは、ノーメイクだったり、周期表のついた elements T-shirt を着ている私の MySpace ビデオをアップロードすることです」

Chattanooga の前夜、Ms.Swift は Nashville の Sommet Center でのチャリティー・コンサートで言った。
「私はこの Tennessee の Nashville に住んでいることを誇りに思う。そして、皆さんに食料品店で偶然出くわすことができたらと願っています」と。

Taylorswift3

カントリー界のブリトニー・スピアーズと言われている、Swift 嬢で

あるが、性格は雲泥の差?

MrK はまだファースト・アルバムしか聴いていないのだが、

「ん?これってカントリー?」という印象だった。

バンジョーの音色が聞こえなければ、まるで普通のポップスだ。

ちょっと古い70年代~80年代のサウンドを思い出させる感じだ。

Swift 自身作詞作曲を手がけ、

そのヴォーカルは確かに安定しており、声もきれいなのではあるが、

歌声はそれほど魅力的というわけではない。

しかし、どことなくオジサンでも、ノレそうなサウンドではある。

米国では10代20代のポップス・ファンからの支持が大きいようだが、

彼女の美貌もあいまって、

存外、日本では、40代50代のおじ様たちが虜にされてしまいそうな

そんな予感がするのである。

ナウい(←古っ)オジさんを自負する MrK も、

今回の新作、さっそく拝聴してみるとするか…。

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最期は最後に誰が決める?

2008-11-15 21:34:11 | 健康・病気

どれほど医療者が手を尽くしても治らない病気がある。

医療者が患者に対してどんなに理解を深めようとしても、

治療を受ける側の苦痛を我が事のように感じることは不可能だ。

しかし、患者が冷静な判断力を失って、自暴自棄になったり、

治療を拒否したりすることは十分起こりうることである。

そんな時、医療者としては、

患者の言い分をそのまま聞き入れるわけにはいかないだろう。

知識があり、冷静な立場にある者は、

患者が最も利益を受けることになる道へと

患者を導く義務がある。

しかし、患者の苦痛や悩みを心から理解できていない医療者に

患者が真に望むこと、患者が本当に満足できることを

正しく選択することができるのであろうか。

ましてや、その患者が、一般に十分な判断能力があると認められない

小児であった場合、どうだろうか?

それまで親からも、また医療者からも全く受動的な立場にあった

13才の女児が自分の意思で延命治療を拒否したという。

患児が正当な判断能力を持っているとは、

なにをもって決定されるべきなのだろうか?

11月14日付 asahi.com: 最期は家族といたい―13歳少女、延命手術を断る 英国

11月11日付 BBC NEWS: Girl Wins Right to Refuse Heart

11月13日付 BBC NEWS: Hannah's Choice: Saying No to a New Heart

Hannah's Choice: Saying No to a New Heart

ハンナの選択:心臓移植を拒否

Hannahjones2_2 13才の Hannah Jones は自宅で家族のもとで死ぬために救命のための心臓移植を拒否した。

すでにもう十分に苦しみを味わったと言って心臓移植を拒否した13歳の英国の女の子の話を聞き、正しい答えを探し出そうとする時には、英知と同じくらい謙虚さが必要なのかも知れないと考え直させられた。

Hannah Jones は4才の時に白血病と診断された。その後彼女は心臓病を患い、化学療法と10回以上に及ぶ手術に耐えてきた。
この夏、心臓移植を受けなければ半年の命であることを医師に告げられた時、手術を受けることを拒否した。
「私は、あまりにずっと病院にいたし、すごく傷ついてきた」と Guardian 紙に語った。
彼女は死ぬ権利を主張しているのではない。
彼女は、自分のために生きる権利、利益か損失かを決める権利を彼女自身が持っていると言いたかったのである。

治ることを約束してくれる人は誰もいない。
移植を受けなければ彼女の心臓は確実に動かなくなってしまうのだが、手術や、それに伴う合併症で彼女が死亡する可能性もある。
免疫抑制薬が白血病の再発を引き起こすかもしれない。また、わずか2、3年で再移植が必要となるかもしれない。

Hannah の母親、Kirsty はかつて集中治療室の看護師であり、つらい状況を間近に見てきた。
そのため、彼女とその夫、Andrew は娘の希望を尊重するべきであると決意した。
「最悪の敵の克服への願いを捨てるような決断に至るにはたいへんつらい思いをしました。可能な限り説得を試みましたが、彼女の心を変えることができるとは思えませんでした。妻と私は Hannah が何を望もうとも、彼女を支えてゆくことを決意しました」とAndrew は記者に話した。
彼女は、家に戻り、可能な限り3人の年下の兄弟たちと一緒に遊びたいと思った。
「13才で死にゆく自分を知ることはつらいです。でも自分にとって何が一番いいことかということはわかっています」と、Hannah は言う。

彼女は自分の主張を主治医たちに訴えた。彼らもまた今後の見込みをよく知っていたし、彼女が分別のある十分に考えた末の決断をした旨の説得を受けた。
しかし、一人の医師は、Hannah が恐怖や混乱に扇動されているのではないかとの懸念から、この事案を小児の保護部局に連絡した。
どうしてJones 夫妻が彼らの子供の拘束し続けようとしているのかという内容であった。
「彼らは金曜日の夜に電話をかけてきて、もし私たちが彼女を連れていかなければ、向こうからやってきて、彼女を連れてゆくと言うんです」と、母親は回想した。
当局は Hannah の権益を守るという名目で、彼女の抵抗を押し切った措置手続きを執行すると警告した。

抽象的な原則とそれに必要とされる保護手段が、死を目前にした少女の悲しい強い意志と衝突した瞬間だった。
英国の法律では、Hannah の年の子供は、すべての選択肢が十分に説明され、両親の支持を受けているなら、延命治療を拒絶することが許されている。
ソーシャル・ワーカーが Jones 家を訪れた時、Hannah は彼女の決断理由を説明した。
「あまりに多くの危険があることを知っていたし、たとえそれに挑戦したとしても悪い結果となっていたでしょう」と、Hannah は言った。
「一方で、(手術を選ばなくても)私自身満足のいく結果となる見込みはあるけど、満足のいかない結果となる場合もある。それでも私は進んで満足が得られるような見込みを選びます」
彼女が十分に考え抜いての結論だった。
彼女は心臓の待機リストがあることを知っていたし、自分が移植を断ることで誰か別の人の命が救われることになることを思うとうれしかった。

ソーシャル・ワーカーは彼女の意思を理解し、今週、弁護士らも理解を示した。
裁判所は命令を解除し、Hannah は治療拒否を続けることになるだろう。

この話から得られる教訓とはなにか?
この子供のみならず彼女の両親の、正しいことを行おうとする苦悩を想像するとひどく心が痛む。
彼らはある夜、娘を保護する義務を果たしていないということで、救急車がやってきて彼女を連れ去ることを告げられる。
それでも、なぜ医師たちが治療の側に立って過ちを犯そうとするのか理解はできる。
そして、当局に通報した医師がなぜ他人の、特に13才の少女の、弱いけれども希望の光をもたらす手段を拒否する能力について懸念したのかについても理解は及ぶ。
しかし、最終的に裁判官たちは先入観に捉われることなく、Hannah に自分の主張を述べさせ、彼女の状況を鑑み正当な行為であると判断したことに、我々は感謝すべきであろう。
これはつまるところ、生命の尊重とは何かということだ。
彼女がどのように生きたいかを決定する個人の権利を尊重することを意味する。
たとえそのために自身が死ぬことになるという内容が含まれていても…。
Mercy(慈悲)は、Justice(正義)から切り離されると、無慈悲になってゆく、と C.S. Lewis(註:ナルニア国物語の著者)は言った。
しかし、慈悲から切り離された正義は、間違いなく不正義となるのである。

ずっと病気に苦しんできた子供たちの気持ちを推し量ることは

できるが、心から理解することはできそうにない。

治療の断念には、病気の状態、当人の判断能力、

病気の下での患者の心理状態、両親の理解・サポートのあり方、

などなど…様々な要因を考慮する必要がある。

人間、最期は誰が決めるのか?

これは小児に限った問題ではないと常々思うのである。

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長生きへの道

2008-11-12 20:57:31 | 健康・病気

コレステロール(最近では悪玉コレステロール)の値が

気になるあなた。

心筋梗塞や脳卒中に見舞われる危険は、

コレステロールが正常なら安心というわけではない。

一見、動脈硬化と関係なさそうな“炎症”のキーワードが

重要だったりする。

コレステロールを下げるスタチン(HMG-CoA 還元酵素阻害薬)は

画期的な薬剤で、

悪玉コレステロールと言われる LDL コレステロールを効果的に

低下させる。

この薬剤はそれ以外にも、心臓の冠動脈の閉塞(急性冠症候群)の

原因とされる血管壁にできる脂肪と炎症細胞の塊、プラークの破綻を

防ぐ効果があることが知られている。

このプラークの破綻には局所の炎症が強く関与していることが

示されており、スタチンによる炎症抑制作用がプラークの破綻を

抑えるものと考えられている。

スタチンの臨床効果を証明する大規模臨床試験の結果が

このたび報告された。

コレステロール値は正常だが、炎症の数値が高い

17,802 人の患者を二つに分け、スタチンと偽薬(プラセボ)を投与して

心血管イベント発生に差がみられるかを検討したものである。

11月9日付 Washington Post 電子版

Blood Test, Statin Afford Potent Shield, Study Says
血液検査とスタチンで得られる強力な予防効果、研究が示す

一見健康に見えても、心臓発作や脳卒中の高いリスクを持った人を簡単な血液検査で見つけることができ、こういった人たちに現在広く用いられている薬剤を投与することで国民の主要な死亡原因に対して効果的に予防できるという有力な証拠を、大きな期待を持って行われていた研究が明らかにした。

心血管疾患を予防する努力内容を変えるほどの知見として、コレステロールを下げる薬剤スタチンが、コレステロール値が正常であるにもかかわらずその検査に引っかかった人たちのリスクを約半分まで削減したことが、26ヶ国約180,000人で行われた研究によって示されたのである。

「見込まれる公衆衛生上のメリットは多大です」とボストンにある Brigham and Women's Hospital の Paul M Ridker 氏は言う。
彼はニュー・オーリンズで開催されているアメリカ心臓協会の学術集会(2008年11月8日~12日)でこの結果を発表した。
「心臓発作や脳卒中の予防についての考え方を現実に変えるものです」

これは炎症 (inflammation) として知られている身体的反応を測定する検査で、毎年 45 万人の命を奪っている心疾患の基本的病態について徐々に受け入れられつつあった説を裏付けるものである。

「これは画期的な研究です。大きなインパクトです。間違いなくパラダイムを変えるものです」」と、この研究には未参加の Cleveland Clinic の Steven E Nissen 氏も言う。

この発表により多くの医師たちは、中年の患者に対して 20 ドルの検査を行い、炎症を日常的にスクリーニングし始め、気がかりな結果が出た人にはこの研究で用いられたスタチン、あるいはより安価なジェネリック薬品を処方し始めるようになるだろうと何人かの第一人者たちは予測する。

「これは全く新しいレベルでの予防策となります。ついこの前まで、コレステロール値が正常の患者にはスタチンを用いようとはしなかったでしょうが、今からは用いることになるでしょう」と、American College of Cardiology(米国心臓病学会)の会長である W Douglas Weaver 氏は言う。

しかし、何百万人もの健康な人たちに強い薬剤を投与することに懸念を示す専門家もいる。

「これは薬物治療の範囲を非常に拡大させることになります。自分たちが診療行為を根本的に変える前には慎重であるべきだと思います。全く安全というようなことはなにもないわけですから」」
New England Journal of Medicine で今回の論文に付随して掲載される論説を書いた Stanford University の Mark A Hlatky 氏は言う。

従来の考え方によれば、心臓発作や脳卒中の発生は、高コレステロール血症が、心臓や脳へ血液を供給する動脈の壁の中に脂肪を蓄積させることによるというものだが、心臓発作や脳卒中の約半数はコレステロールが正常の患者で起こっている。
このため、どのような他の因子が関わっているのか、またどうすればこれ以上の死亡を予防できるかということについて疑問が上がっていた。

Ridker 氏は言う。「こういった(コレステロール値が正常なのに心臓発作や脳卒中を起こすような)人たちをどうやって見つけ出し、発病を予防したらよいかはこれまで謎でした」

本来、感染や損傷に対する防御機能の一部である炎症が、最終的に血流を途絶させる血栓形成の引き金となるきわめて不安定な動脈壁のプラークの破裂を生ぜしめることで、重要な役割を果たしているというエビデンスが確立されてきている。
血液検査では C-reactive protein(CRP、C反応性たんぱく質)と呼ばれる血液中の物質を測定することによって炎症を感知することができる。
スタチンはこのCRPを低下させるのである。
しかしこの情報がどの程度重要で有用であるのかについては全くわかっていなかった。

そこでRidker 氏らは、2003 年、コレステロール値は安全域と考えられるが血液中CRPが 2 mg/L 以上の高い数値を示す中高年の男女 17,802 人に 20 mg のスタチン製剤クレストール、あるいは偽薬であるプラセボ、のいずれかの処方を開始した。

研究者たちは当初、対象者を5年間追跡する計画を立てていたが、本研究を監視する独立した委員会は、有効性があまりに顕著であり、プラセボを内服している集団に実効薬を投与し続けないのは非倫理的であると結論したため、平均追跡期間が二年に満たない本年3月に治験を中止した。
しかし、その時点ではまだ詳細は公表されていなかった。

今回、研究者たちの報告によると、プラセボ内服群にくらべ、クレストール内服群では心臓発作(MrK 註:心筋梗塞や不安定狭心症)の発生を 54 %抑制、さらに脳卒中では 48 %、閉塞冠動脈に対する血管形成術やバイパス手術の必要例は 46 %、それらのいずれかの事象では 44 %、総死亡については 20 %、減少していた。

「我々はショックを受けるとともに、元気づけられました」と Ridker 氏は言う。

数字は比較的小さい―たとえば、心臓発作の症例は、スタチン群 31 例に対して、プラセボ群 68 例であり、年 100 人あたり(一年間生存する 100 人あたり)0.37 人から 0.17 人となる程度の減少率である。
しかし、この危険度の相対的減少率は、今最も広く使われているスタチンを解析してきたこれまでの研究で見られた数字の約2倍である。
これらは女性や少数集団においても、男性において見られたものと同様な有効性があることのエビデンスを示す初めてのデータでもある。

「これらは実に驚くべき結果です」と National Heart, Lung and Blood Institute(国立心肺血液研究所)所長の Elizabeth G Nabel 氏は言い、本集会で発表された二つの他の研究もCRP検査の重要性を支持していることを指摘した。

CRP検査とスタチン治療について連邦ガイドラインをどのように改訂するかを決定する前にこれらのデータを専門家たちが再検討することになるでしょうと、Nabel 氏は言う。
しかし、この結果は医師が心疾患の予防指針に重大な影響を与える可能性が高いと彼女らは話す。

「これによって、炎症が心疾患の始まりと進展において重要な要因であること、さらに、コレステロール値が正常の状態においても、炎症を治療することが一定の個体にとっては極めて重要であることが立証されました」と、Nabel 氏は言う。

研究対象者の中に、肥満や高血圧などの心疾患のリスク・ファクターを有するものが含まれる一方、CRP高値以外にリスクが知られていない人たちにおいても今回の結果が当てはまった。

さらに Nissen 氏は言う。「この結果は大きく医療行為を変化させるものです。人々はCRPを測定してもらいにかかりつけ医のところへ押し寄せるでしょう。そして、もしそれが高ければ医師たちはこう言うでしょう。『お飲みになることができるお薬がありますよ』と。我々は多くの命を救い、多くのお金を節約できることになるのです」

Ridker 氏によれば、彼の共同研究者の一人は、米国で今後5年間に約 250,000 人の心臓発作、脳卒中、血管形成術、あるいは心臓発作による死亡を予防できると予測しているとのことだ。

クレストールの安全性についての懸念はあるが、この研究者たちは顕著な有害徴候は認めていない。
この研究はクレストールを製造する Astra Zeneca 社から資金提供されているが、同社はこの解析に何の圧力もかけていないと Ridker 氏は言う。
また、彼と彼の病院は高感度CRP(high-sensitivity CRP [hsCRP])検査の特許権使用料を受けているが、他の研究者たちは今回の結果を疑う理由にはならないと言っている。

他のスタチンが同様の有効性を示すかどうかは証明されないままであるが、他のスタチンもCRPを下げる効果があり、有効性は小さいかもしれないが、おそらくそれらも効果を示すだろうと専門家たちは言う。

しかし、次のように主張する懐疑論者もいる。
中年層ではもともと相対的に危険度が低いことを考えると、個人レベルでの実際のリスクの低下はきわめて低い。従って何千人もの人が検査と薬剤を受け、医師の管理を受けるコストがその有益性を容易に上回ってしまう可能性がある。

「既に我々は、米国において健康保険を持っていない 4,600 万人に対して保健サービスを提供するよう奮闘しているところですが、今回の結果で、ほとんどないか、あってもわずかな有益性のために医療システムから多額の金が掃き出されようとしています。我々は有効な生活様式の改善法があることを知っているわけですから」と、ハーバード大学の clinical instructor である John abramson 氏は言う。

そうはいっても、Ridker 氏らは、その有効性は明らかだと主張する。

彼は言う。「我々は多くの人たちの心臓発作、脳卒中、バイパス手術、血管形成術を予防し、多くの生命を救うことができたのです。私にとってはそれはやって良かったことなのです」

クレストールというこのお薬、

日本では通常一日 10mg までしか投与しない。

20mg は重症例に限って用いられる量なので、

日本人にこの結果がそのまま当てはまるかどうかはわからない。

人種差や食生活の差の影響もあるだろう。

しかし、これだけ顕著な有効性が報告されたとなると、

『長生きするならスタチンよ!』てな標語でも登場してくるのでは、

と、まじめに思ってしまうのだ。

コメント
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