MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

あきらめちゃ、ダメよ~、ダメダメ!

2014-12-31 21:54:58 | 健康・病気

2014年も今日で終わり。

ぎりぎりになりましたが、

本年最後のメディカル・ミステリーをお届けします。

 

12月22日付 Washington Post 電子版

 

Medical Mysteries: Cancer patient was given no hope, but fought anyway

メディカル・ミステリー:がん患者は希望を与えられなかったが、とことん戦った

Dana Deighton さんはステージⅣの癌を生き延びた

By Sandra G. Boodman,

 上品な金の飾りピンをつけた黒いウールのケープをまとってワシントンのコーヒーショップに座っているDana Deighton さんは健康に見えた。3人の子供を学校に送って行ったあと、彼女は National Geographic Expeditions のマーケティング部長としての仕事でダウンタウンに向かう前に元気よく3マイルの散歩を行っていた。彼女を見る限り、彼女の健康そうな状況と、昨年医師からあなたの余命は数ヶ月と見られるので身辺整理をしておきなさいと告げられた心臓が止まるかと思うような勧告とが一致しないのである。

 2012年7月、現在44才になる Deighton さんに発疹が現れ、その後ひどい関節痛と腹痛が起こった。その年の後半、彼女は臓器に障害を来す自己免疫疾患のループスであると告げられた。

 2013年4月に下された最終的な診断ははるかに残酷だった。北バージニアの専門医の診察室に夫と並んで座り、彼女の先行きを説明されたときのことを Deighton さんはありありと思い出す。「誠に残念です」彼がそう言ったのを Deighton さんは覚えている。治療は困難であり、運が良ければあと16ヶ月生きられるということだった。

 その面談は過去2年半の間にワシントン地区やバルチモアやニューヨークの病院で10人以上の医師との出合った中でも、最悪の時間だったと Deighton さんは指摘する。「もしこの先2分以内にここを脱出できたらあちこちに電話をかけまくりたい」と考えたことを覚えていると彼女は言う。彼女の健康への取り組みは簡単なルールで行われてきた:十分な検索を行うこと、たくさん質問をすること、そして正しいと思えないことはそのままで済まさないことである。

 「私は問題を解決する人間です。そして自分は他とは違う人間だと感じていました」と Deighton さんは言う。「これは実に変わっていることであり、普通ではなかったのです」

 18ヶ月間彼女の治療を見守ってきて Deighton さんをよく知ることになったバルチモアの専門医 Mohan Suntharalingam 氏にとっても、彼女の強い意志、自身の疾患に対する明敏な理解、そして自分自身を主張する能力がそうであるのと同じように、彼女の治療に対する反応は類い稀なものとなっている。

 「Dana の場合については説明できない何か尋常でないものが存在するのを誰もが認めているようです」Suntha とも呼ばれている Suntharalingam 氏は言う。「生物学的に何か特別なものがあるのでしょうか?我々にはわかりません」

 

A mother’s legacy 母親の教訓

 

 Deighton さんはこれまでずっとすこぶる健康で、食事には気をつけ、スポーツをすることを愛し毎週25マイル走るスポーツ愛好家だった。2012年7月、前腕に一ドル硬貨大の発疹ができたとき、Deighton さんは、虫刺されだと考え無視していた。モンタナ州の Glacier National Park への旅行の間、関節痛に気付いたがハイキングをし過ぎたせいかもしれないと彼女は考えた。

 一ヶ月後、彼女は耐えがたいほどの痛みと、肘、手、指の関節の腫れで目が覚めた。彼女の首の後ろに深紅色の発疹が広がっており、その後顔面にまで拡大した。かかりつけの内科医は血液検査を行ってライム病を除外、ループスが疑われると Deighton さんに告げた。Deighton さんはただちに地域の3ヶ所の病院のリウマチ医の受診予約をした。「私は最善を望んでいましたし、ただちにこれを解明してもらいたかったのです」と彼女は言う。

 諸検査でループスの診断が確定し、Deighton さんは内服を開始した。関節の疼痛・腫脹を起こすループスの特徴となっている楽に動くことができなかったり時には全く動けなくなったりする症状に彼女は落ち込んだ。悪化する倦怠感について気にしないように努め、彼女はその症状を仕事や子供たちや、90才代後半になっていた彼女の祖父の世話のせいにしていた。

 2013年2月のある朝、Deighton さんはひどい腹痛で目を覚ました。当初それは前夜のレストランの食事の影響だと考えた。しかし一週間後、その絞られるような痛みは背中に広がっていた。そこで以前大腸内視鏡検査をしてもらった胃腸科医に受診予約した。

 10年前、61才の看護師だった Deighton さんの母親は診断後わずか6週間で大腸癌により死去した。Deighton さんは母親のことを、主治医に決して質問せず、セカンドオピニオンを求めることもせず、癌手術の失敗による敗血症で最悪の死を迎えることになった気の弱い人間と表現した。「私はそんな陥穽に絶対に陥りたくなかったのです」と Deighton さんは言う。彼女は質問のリストを携えて医師との面談に向かい、慎重な対応を行った。

 その胃腸科医は、その痛みは、腹痛や他の消化管の症状の包括的診断名である過敏性腸症候群によるものではないかと考えた。疑いを持っていた Deighton さんだったが、もっと深刻な異常があるのではないかという考えを封じ込もうとした。

 彼女によると、その数日後、彼女は両手を首に当てたまま動けなくなり 「仕事をさぼりたい気分になって、その日をやり過ごすのが困難となっていた」という。彼女の首の右側に、芽キャベツ大の無痛性で可動性のない腫瘤ができていたのである。「それが良いものでないと感じていました」と彼女は思い起こす。

 CTスキャンで癌の可能性が示唆された。その後 Deighton さんは細針生検を受け、診断のために組織標本を採取された。その結果は病理医を困らせた:組織は悪性の癌だったが、その原発部位が特定し難かったのである。全身の検査で大きな卵巣嚢腫と腹部の異常なリンパ節が見つかった。

 婦人科腫瘍医は Deighton さんに卵巣癌治療の化学療法を計画したが、彼女の癌がどの種類のものか不明であるとする医師もいた。「卵巣癌は確実であると彼は言い」治療の開始を遅らせないよう彼女を説得したと Deighton さんは言う。彼女は彼を信用せず、自分のカルテを受け取るとそこを出た。

 

‘It made no sense’ 「意味がない」

 

 彼女は2人目の婦人科腫瘍医を受診し、追加の検査を受けることで卵巣癌は除外された;件の嚢腫はいずれ消失するものだった。Deighton さんは数人の癌の専門医を受診、彼女に2つのタイプの癌が存在している可能性が考えられた。その一つが頸部リンパ節の腫大を起こし得るリンパ腫である。しかし医師らが Deighton さんの頸部のしこりを切除したところ、検査により胃腸原発であることが示唆された。

 4月、セカンドオピニオンのために腫瘍専門医によって彼女の組織標本が送られた Johns Hopkins の病理医は衝撃的な診断を行った:ステージ4に分類される浸潤性の食道癌で最も進行性で致死率の高い悪性腫瘍だった。彼女の食道にあるブドウ大の腫瘍は彼女の頸部に転移しており、腹部には多数のリンパ節転移があった。一方、そのころあらかた消失していた関節痛や発疹の原因については誰にも分からなかった。

 数日後、Deighton さんと彼女の夫は、かかっていた Northern Virginia の腫瘍専門医から悲惨な予後が告げられることになる。不親切というわけではなかったが、その医師から、残された時間を12才を頭にする子供たちと楽しく過ごすよう Deighton に告げられたときには、彼女と夫は声も出なかった。

 その診断はこの上なく衝撃的だったが、「小さな声でこう言った」と Deighton さんは言う。『あなたは間違っている』と。何も当てはまることがなかったからである:食道の腺癌はまれな癌であり一般に60才以上の男性に多い。彼らの多くは太りすぎの喫煙者やアルコール多飲者であるか、胃酸逆流症の既往のある人たちである。さらに症状も異なっていた:典型的には嚥下障害があり、かなりの体重減少がある。

 「私はそれとは違っていたのでチャンスはあると思っていました」と彼女は言う。しかし医師たちにそのような見方を受け入れさせることは「困難だったのです」。彼女が受診した腫瘍専門医たちは即時に化学療法を行うことを勧めた;Deighton さんの癌の患者の平均余命はおよそ 6~12ヶ月である。他の選択肢は緩和ケアであり、これは病気を治すのではなく、疼痛や苦痛を和らげることを目指すものだ。

 5月、Deighton さんはバルチモア市で食道癌の専門家を探した。その一人が親しい友人が勧めてくれた University of Maryland Medical Center の放射線腫瘍医学の教授で、そこの Greenebaum Cancer Center の副所長でもある Suntha 氏だった。彼は彼女に化学療法を始めるよう助言し、必要に応じてさらなる相談に応じると彼女に告げた。

 Deighton さんは別のバルチモアの病院で治療を開始し、8サイクルの化学療法を受けたが、これは勧められたより2回多かった。というのも彼女が非常に良好にそれに耐容したからである。毛髪は抜け落ち、体力も低下したが、Deighton さんに嘔気は見られなかった。彼女の反応は良好と考えられた。転移巣は顕著に縮小し、新たな腫瘍の出現もなかった。Deighton さんは自分の癌を消失させる可能性のある治療法として放射線という考えを切り出した。

 「Dana、うちの放射線腫瘍医はあなたに話しかけることさえしないでしょう」腫瘍専門医にそう言われたと彼女は言う。彼女の病状はとにかくあまりに進行しすぎていた。彼女の最善の策は新たな化学療法のレジメンだった。

 納得できなかった Deighton さんは2013年9月にニューヨークに向かい著名な食道癌の専門家を受診した。しかし他の腫瘍専門医と同じように、放射線治療は問題外であると彼女に告げた。

 

Other options? 他の選択肢は?

 

 彼女は連絡を取り続けていた Suntha 氏の元に戻った。他の医師たちと違って、彼や彼の同僚は他の選択肢を考慮するのを厭わないように思われた。「私にずいぶんエネルギーがあり多くの活力があるようだと彼らは見てくれました。Suntha 氏はこう言いました。『どうも標準的な患者と同じようにあなたを治療することはできないようです』」そう Deighton さんは思い起こす。「私は多くのデータのどれにも当てはまらない、と彼は言いました。そして彼は進んでこれまでとは全く違った観点で考えてくれました」

 化学療法に対する彼女の反応と全般的に良好な状態に基づいて、腫瘍を根絶させ、難治な転移巣をすべて消滅させるために放射線治療を試みる価値があると Suntha 氏は考えた。2013年12月に開始されたこの治療により腫瘍は縮小し転移巣は消失した。

 診断から10ヶ月後の2014年2月、Deighton さんは10マイルレースを走る準備をしていた。「私は以前の私のように元気でした」と彼女は言う。そこで彼女は経胸的食道切除術という大きな手術を受けたいと考えた。これは通常、早いステージの癌の患者に行われる。この手術は医学の分野でも最も複雑で難しい手術の一つである。この手技には(腫瘍の部分とともに)食道の大部分の切除と新たな食道を再建するために胃の一部を引き上げる操作が必要である。深刻な消化器系や他の合併症の頻度が高く、この手技の全死亡率は約9%である。

 

A gamble and the payoff 危険な賭けとその結末

 

 それまで Deighton さんは順調にきていたので、「会話は次のようなものになりました。『手術をすることにもそう思う?』」Suntha 氏は思い出す。「これは私たちが考える治療法の範囲の一番端にあるものです。しかし、そこにいたのは、進行した病気はなく、わずか一ヶ所だけ活動性病変を持つ患者なのです。それがなければ彼女は健康で肉体的にも精神的にも頑強だったのです」危険性をよく理解していた Deighton さんはそれでも手術を強く求めた。Sunta 氏と治療チームの胸部外科医はやってみる価値があると考えた。

 しかし彼女の腫瘍内科医は強く反対した。彼女は Deighton さんに、手術は彼女の生活の質を損うか、あるいはさらに悪いことも起こることが懸念されると告げた。多くの省察の末、Deighton さんは手術こそが自分の癌を根絶する唯一の頼みの綱であると決断した。「子供たちのために生き続けたかったのです」と彼女は言う。医師らもまた、その腫瘍を取り除かなければ他に選択肢はないということがわかっていた

 6月9日、Deighton さんは15時間の手術を受けた。手術は成功したとみられた。彼女は7月に復職し標準的化学療法がもう一度始められた。その治療を彼女は苛酷だったと表現しているが、すべての残存する癌細胞を殺すためのものだった。一年間彼女は免疫治療薬ハーセプチン(Herceptin)を投与されることになる。癌研究やがん治療において活動的な領域となっている免疫療法は患者の免疫系を利用して癌細胞を攻撃するものである。

 彼女の病状の最初の評価が先月行われ、Deighton さんは一連の画像診断を受けた。結果はこの上ないものだった。彼女の身体のどこにも癌の徴候は認められなかったのである。

 「調子はばっちりです」と最近彼女は言う。手術によって彼女は「より健康かつ強気でいられるようになりました。それによって私は元気を取り戻したのです」たとえ次の検査で癌の再発が分かったとしても、あの手術は“間違いなく”それだけの価値があったと Deighton さんは言う。

 幸運や、特に Suntha 氏やその他のメリーランドのチームのメンバーら優秀な医師らに加え、質問をいとわずに行って自分の考えを主張することが、彼女の回復に主要な役割を果たしたと考えていると Deighton さんは言う。

 「私はどんなことも、くだらないことも質問し、多くの人たちに笑われました」と彼女はいう。「自分はむずかしい人間だと思いますがラッキーだと思います」

 Suntha 氏にとって Deighton さんのケースは謎のままであるが初めて遭遇したケースというわけではない。「生物学的にきわめて稀な何かを持ち『逆境に打ち勝った』と言う患者を経験しています。しかしやはり彼らは普通ではない例外です」

 再発なく3年間を過ごせるものはわずかだと Suntha 氏は言う。そうなるように彼も Deighton さんも望んでいる。

 

強い人間である。

しかし、日本であればこんな患者は一歩間違えると

モンスターペイシェントのレッテルが貼られてしまいそうである。

とはいえ、この Deighton さん、

自分で実によく勉強していたことは間違いない。

そしてさらに驚異的な治癒力をも持ち合わせていたということである。

大方の癌患者には標準的治療が選択されるべきなのであろうが、

必ずしもそれが正解でない患者も存在するというか。

そういった人たちが皆、

彼女のように自己主張するわけではないことから

それをきちんと見極めるデータを蓄積する必要がありそうだ。

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3大認知症の一角を知る

2014-12-19 13:41:38 | 健康・病気

3大認知症といえば、

アルツハイマー病、レビー小体型認知症、脳血管性認知症が挙げられる。

そのうちの一つ、レビー小体型認知症も、

最近テレビCM などでよく耳にするようになっている。

アルツハイマー病ほど一般に知られていないが、

こちらも同じくらい深刻な病気である。

エッセイスト Candy Schulman 氏による自身の母親の闘病記が

紹介されている。

 

12月15日付 Washington Post 電子版

 

Lewy body dementia has symptoms even worse than those of Alzheimer’s

レビー小体型認知症の症状はアルツハイマー病のそれより悪いことも…

Jennifer Merrill さんはニュージャージー州 Edgewater Park に住む母親 Marie A. Busch さん(72)の手を握る。Busch さんは2年前にレヴィ小体型認知症と診断され、娘と夫の Robert さんの世話を受けている。

By Candy Schulman,

 私の母親の最大の心配はアルツハイマー病だった。しかし、彼女はレビー小体型認知症(Lewy body dementia, LBD)に罹った。このあまり知られていない奇妙な名称の衰弱性疾患は米国民の約130万人を襲い、恐らくあの俳優でコメディアンだった Robin Williams 氏もその一人である。幻覚や身体の固縮などの症状が認知症のそれらしくないためしばしば誤診されるが、最終的には患者はこの疾患により彼ら自身をより残酷に奪いとられることになる。

 私が最初に母の認知障害に気付いたのは彼女が88才の時だった。それまで彼女は非常に活動的な生活を送っていた。競技ゴルファーだった彼女の整理ダンスはトロフィーで一杯だったが、画家でもあり彫刻家でもあった。毎年ハヌカー(Hanukkah)というユダヤ教の清めの祭には8人の孫と9人のひ孫のために大盛況の饗宴を主催した。しかし、あの時は、計画や買い物や料理に私の援助を必要とした。招待者の名簿に手こずり、すべての家族のメンバーの名前を紙に書き、latke(ラートカ:ジャガイモを使ったユダヤのパンケーキ)を造るためにジャガイモをどの程度買うべきか調べるために数を集計しようとしていた。彼女は集中力を保てなくなってそれを引き裂き、泣きそうになりながらやり直していた。

 その数ヶ月前、彼女は私に母の日のカードを送ってくれたが、それには子供のような文章とカラフルなイラスト、そしてきらめく心情がこめられていた。表紙にはちゃめっけのある紫の書体で詩が印刷されていた。『ママへ、私のケガにキスをしてくれたことに、私の顔を拭いてくれたことに、そして、愛情のこもった抱擁で不安を和らげてくれたことに』、そして母はたどたどしい手書きの文字で『母の日と一年の残りに、ありがとう』と付け加えていた。

 私たちの役割が逆転しつつあることに彼女が気付いたことがそのカードに示されているように思われた。自分を老人ホームに入れないことを私に約束させる前の年に彼女は準備していたのである。1900年初期に米国にやってきた貧しいロシア人移民の娘だった私の母は2才から15才までの世界大恐慌の間、児童養護施設で生活した。「私は州の被保護者として成長したので最後にそんな風になりたくはないの」彼女はしばしばそう言っていた。

 

Diagnosis can be difficult 診断がむずかしいこともある

 

 彼女が96才で死亡するまで、私は遠距離ながら彼女をなんとか世話したが、それは私がニューヨークに,彼女がフロリダに住んでいたからである。私のところへの引っ越しの検討を拒否した彼女は自分のアパートに居続けていた。24時間体制で彼女の話し相手になってくれる看護助手を雇い、彼女の安全を守るために頑張ってもらった。彼女の物忘れは徐々に強くなり、気分の変動がみられるようになっていたが、彼女の病気が何なのか私にはわからなかった。主治医は認知症として一般的な治療を行い、抗精神薬が開始された。

 

この写真に彫刻作品と共に写っている母親が88才のとき著者は彼女の認知障害に初めて気付いた。

 LBD はアルツハイマー病に次ぐ2番目に多い認知症であるが、しばしば誤診される。これはレビー小体(1912年にそれらを発見した Frederic H. Lewy にちなんで命名された)と呼ばれる異常なたんぱくの封入体が脳に蓄積するときに起こる。レヴィ小体のたんぱく沈着物は脳の正常の機能を阻害する。

National Institute of Neurological Disorders and Stroke によると LBD には最終的には出現する3つの際立った特徴がある。

●せん妄に似た変動する覚醒状態および注意力

●幻視

●平衡障害、固縮、振戦、情動の平坦化などのパーキンソン病様症状(レビー小体はパーキンソン病の患者にも出現するが、それらは脳の異なる領域を侵す)

 「レビー小体型認知症は症状の混ざり合いが特徴でそのことが診断を難しくしています」と Johns Hopkins Hospital の神経内科医・研究者で本疾患を専門とする Sonja W. Scholz 氏は言う。LBD の患者は、典型例では、反応性に乏しく時間や場所に対して混乱が見られるような悪い日が見られるものの、その翌日には再びいつものその人に戻りお楽しみのテレビショーの内容や子供のころの思い出を話し合うことができます」と Scholz 氏は言う。

 「ほとんどの患者はパーキンソン病に似た症状、すなわち平衡障害、情動の平坦化、筋の固縮、振戦、転倒などが出現します」と彼女は言う。アルツハイマー病でも幻覚は起こりうるが、LBD ではより頻度が高く「患者にとって非常に支障となり、家族や介護者はひどく動揺します」。

 

Hallucinations 幻覚

 

 母の記憶障害が顕著となって1年もたたないうちに、彼女は睡眠障害と筋の硬直に悩まされ、パラノイアの症状を見るようになった。人が自分を殺そうとしていると言って 911 に電話することがあった。

 母が制作した彫刻作品が生き返ったと思い込んでいた。あるとき彼女はそわそわした様子で居間に目立つように陳列してあったアラバスター(雪花石膏)の2つの抽象的な断片を私に見せてこう尋ねた。「彼らがセックスをしているように見えない?」私にはそう見えなかった。彼女の突飛で奇妙な行動に危機感を募らせた私は無力感に襲われた。

 「どうやって私はここに来たの?」ある訪問のとき母はそう尋ねた。そのころ私は仕事の合間できるだけ多く時間を割くようにし、自分の家族を留守にしていた。「自分のアパートに戻りたいの」

 「自分のアパートにいるのよ、ママ」

 「ここは私の家じゃないわ。これ以上あなたに話すことはないの」適当な言葉を探しながら彼女はぐちぐち言った。「誰も私を必要としていない。私を家に連れて行って」と彼女は懇願した。「ブルックリンに戻るわ」そこは彼女が結婚して子供たちを育て、フロリダに移るまで30年間生活していた場所だった。

 できることなら私は彼女を揺すって現実に引き戻したかった。

 結局私は彼女を精神科医に連れて行ったが、その医師は彼女を Pick 病であると誤診した。これはきわめてめずらしい別のタイプの認知症である。そして興奮を和らげることを期待して彼女に抗うつ薬のゾロフト(塩酸セルトラリン)を処方した。

 しかし彼女は以前に増してさらに興奮するようになった。幻覚とパラノイアが増悪したのである。

 LDB の患者はアルツハイマー病の患者に処方される多くの薬剤に対してはるかに感受性が高いということを私はあとになって知った。「それらの薬剤は時に命にかかわることがあります」と Scholz 氏は言う。

 最終的に私は、答えを見つけ出し彼女の病名を言い当ててくれることになった医師を見つけた。

 「レビー、誰?」この恐ろしい病気を耳にした人はたいていそう尋ねる。私たちも全く同じだった。しかし、おそらくレビーの幻覚によってもたらされたとみられる 8 月の Robin Williams 氏の自殺と、LBD に苦しんでいたラジオ・パーソナリティ Casey Kasem さんの6月の死がそれを変えることになりそうだ。

 

Still ready with a joke まだジョークは健在

 

 同じように困難な状態が続いたが、私は約束を守り母親を老人ホームに入れなかった。私は彼女の手をミトンで覆い、記憶障害が表面化してから数ヶ月後に出現した不随意的なけいれん様の動きにより自分自身を傷つけないようにした。母が95才になったとき、49年間私の父と共用していた寝室で病院用ベッドに横になっていた母に、私と14才になる娘が “Happy Birthday”を歌ってあげた。彼女は20年間未亡人として生きてきたが、父の思い出からは抜け出して世界を旅行したり、さらには何度か恋愛関係も楽しんでいた。しかしもはや私たちが誰であるかもわからなくなっていた。

 「ママ、ママ!」 私はあわてて叫び、ほとんどの時間閉じられていた彼女の目を開けさせようとした。「ママ、あなたの娘よ。私が誰かわかる?」

 彼女は首を振った。

 私は自分の名前を言った。「ママ、私の名前、わかる?」

 「いいえ」彼女は言った。

 「あなたの名前は何?」

 返答はなかった。

 「あなたは今何才?」

 「149才」

 「私はいくつ?」

 「930才」

 それには笑ってしまった。

 「私の歳をからかってるの?」 彼女は尋ねた。

 私は再び笑った。彼女も微笑んでいた。私たちがともに交わしあった最後のジョークだった。

 私は住み込みの介護人である Nellie さんが薬を押しつぶしてアップルソースに混ぜ込むのを見た。「さあ、お口を開けて」とそう言って Nellie さんは母に食べたり、飲んだり、薬を飲んだりするよう促していた。

 「さようなら、ママ」 私は自宅に戻る飛行機に間に合うよう急いで家を出る前に、前屈みになって彼女のおでこにキスをした。自分がそこにずっといることができないことの罪悪感とこれが最後の訪問なるかもしれないとの不安にかられるのはいつものことだった。この状況では彼女は私の涙を見ることはできなかっただろう。「愛してる」反応はなかった。「愛してる」

 「うん、私も愛してる」 突然彼女は言った。

 Nellie さんが喜びのあまり拍手した。「これであなたも帰ることができるわね」と彼女は言った。

 私はゆっくりとドアの方に向かいながら、母が口に出した愛の言葉を心に留めておこうとした。おそらくそれは私に向かってではなく他の誰かに対するものだったのかもしれない。数ヶ月後、母は自分のベッドで亡くなった。

 

A savored memory 楽しみの記憶

 

 何年もの間、私には母がいつも手をゴソゴソと動かし続けていた原因が分からなかった。彼女の指が交互に編むような動作を続けているように見えたことから Nellie さんは私に彼女が編み物をよくしていたかどうか尋ねた。「ええ、していたわ」と私は答えた。

 ゴソゴソとしたり発作的な動きは LBD でよく見られる。しかし、彼女は心の中で私のために何かを編んでいたのだと思いたい。とうのも彼女は私たちがずっと若いころそんな動作をしていたからである。私が高校生のとき私のためにかぎ針で編んでくれたカラフルな箱模様のベストを今も持っている。今着るには型が古すぎるが、ときどき私はクローゼットからそれを取り出し、母がかつて念入りに編み込んだ幾何学模様に指を走らせながら彼女の手仕事に関心しているのである。

 

レビー小体型認知症(Dementia with Lewy Body:ここでは以下 DLB と略す)は

1976年、日本人の小阪憲司氏(横浜市立大学名誉教授)によって

初めて発見された疾患だが、

一つの疾患単位として世界的に認知されるようになったのは

1990年代に入ってからである。

老年期に認知症を来たす原因としては

アルツハイマー病に次いで多い変性性認知症疾患であり、

高齢者認知症の約20%を占めている。

本邦には現在、約50万人の患者がいると推計されている。

DLB では、主として大脳皮質の多数の神経細胞内に

α‐シヌクレインたんぱくを主要構成成分に持つ『レビー小体』が認められる。

パーキンソン病の場合、レビー小体が脳幹に限局的に認められるのに対し、

レビー小体型認知症の場合は大脳皮質全体に出現する。

本疾患では、初期には、もの忘れとともに、具体性のある幻視が見られる。

妄想や異常な行動を伴うこともある。

日や時間帯によって、頭がはっきりしている状態とボーッとしている状態が

入れ替わり見られるのが特徴となっている。

また、手足や筋肉のこわばり、動きの鈍さ、小刻み歩行、無表情などの

パーキンソン症状を認める。

診断には第3回 DLB 国際ワークショップの診断基準が用いられる。

進行性の認知機能低下により生活に支障をきたしていることが

必須要件となっているが、

さらに中核的特徴として

①認知機能(注意・集中)の変動

②繰り返し出現する具体的な幻視

③誘因のないパーキンソン症状

示唆的特徴として

①レム期睡眠行動異常症

②顕著な抗精神病薬への過敏性

③大脳基底核でのドパミントランスポーター取り込み低下

が挙げられており、

中核的特徴の2項目、あるいは

中核的特徴の1項目および示唆的特徴1項目を満たす場合

DLB がほぼ確実と診断される。

ただし認知機能低下は DLB の病初期には必ずしも前景に立たず、

うつ症状等の精神症状が目立つことがしばしばある。

参考となる補助的検査所見には

脳血流SPECT による後頭葉の血流低下、

FDG-PET による後頭葉代謝低下、

MIBG 心筋シンチグラフィによる MIBG 取り込み低下などがある。

DLB に対する根本的治療法はまだ見つかっていないが、

アルツハイマー病にも用いられているドネペジルが、

本症でも認知障害や異常行動に有効とされている。

また、パーキンソン症状に対しては、

レボドパなどの抗パーキンソン病薬を用いられる。

以上のように DLB は認知機能の低下だけでなく、

パーキンソン症状や変動する精神症状などが複雑に出現するなど

臨床像は多彩であり、治療や介護に難渋するケースも少なくない。

本疾患に対する医療者・介護者の十分な理解が求められる。

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2015年1月新ドラマ

2014-12-05 15:00:51 | テレビ番組

まずは2014年10月クールのドラマを総括しましょう。

 

毎度勝手な感想で恐縮ですが

12月8日までの視聴率[関東地区・ビデオリサーチ社調べ]上位の

ドラマから順に勝手な寸評を書いてみます。

(括弧内は平均視聴率、大河ドラマを除く)

 

『ドクターX~外科医・大門未知子(3)』(22.14%)

高視聴率は期待されていたが全回20%越えとは予想以上。医学考証も比較的しっかりされていたので見ごたえはあった。この調子だとまだまだシリーズが続きそうである。

『相棒 (13)』(16.97%)

今シーズンも好調を維持。ワタクシなどは完全に飽きてしまっているのだが、根強い人気である。

『きょうは会社休みます。』(16.19%)

巷では綾瀬はるかの『こじらせ女子』っぷりが高評価のようだが個人的には玉木宏の演技と随所に出てくる名言が良かった(あの鼻から抜けるような声は無理だが、つい物まねをしてしまうのである)。たとえば、『傷つくことを恐れるよりも変われない自分を恐れるべきだね』『女は男で変わるっていうけど、ほんとだ』とか。福士蒼汰の笑ってない目が気持ち悪かった。

『信長協奏曲』(12.78%)

戦国時代でもお構いなしの小栗旬の現代風の台詞が面白かった。欲を言えばもう少し史実に忠実なつじつま合わせをしてほしかった。

『ディア・シスター』(11.33%)

ドラマのテイストは『ラストシンデレラ』そのもの。石原さとみのはっちゃけぶりは良かったがもう少し抑え気味の方が良かったかも。W主演の松下奈緒が引き立て役にしか見えなかった。

『素敵な選TAXI 』(10.51%)

一話ごとにゲストが入れ替わる構成となっていたが回ごとに良作・駄作があり安定感がなかった。竹野内豊の棒読み台詞がやはり気になった。3話あたりから面白くなってきており、放映順をもう少し考えていればもっと視聴率は上がっていたのではないだろうか。

『地獄先生ぬ~べ~』(10.05%)

原作は知らないが、原作とのあまりの乖離にネットで批判が集中。確かに出演者のファンなら視続けることはできるかもしれないが、2回以降に期待が全く持てず初回でリタイア。原作の面白さを生かすならもっと原作に忠実な実写化をめざすべき。『怪物くん』や『悪夢ちゃん』などのお子ちゃま向け CG 活用路線もいい加減飽きてきた。

『すべてがFになる』(9.54%)

このドラマも真賀田四季博士が登場する5話からが盛り上がった。それまでの4話はあまりにも退屈だった。やはり連ドラは初回の掴みが重要である。

『Nのために』(9.07%)

前半は15年前の火事、10年前の殺人事件、現代の3つの時相が入り乱れて訳がわからないままドラマが展開されたので視聴者には苦痛だったのでは?榮倉奈々も窪田正孝も違和感なく高校生を好演していただけに残念。原作を生かすためのドラマ構成なのかも知れないが視聴者は置いていかれてしまう。もう少し工夫が欲しかった。

『黒服物語』(7.88%)

主演の Sexy Zone の中島健人、ルックスも申し分なく格好いいのだが、ドラマの中では喜怒哀楽すべてのシーンで同じ表情なのが残念。ドラマは本職の黒服やキャバ嬢から見たら怒りを買うに違いないほどチャチな内容。結局2話で断念した。AKB の柏木由紀は予想外に頑張っていたが、入山杏奈は全くムリ。出直してきてほしい。

『ごめんね青春!』(7.66%)

1話で断念。学園ドラマらしい“さわやかさ”は微塵も感じられなかった。案の定、視聴率全く獲れず。だから~日曜夜は森田健作の『おれは男だ!』を再放送した方がずっと視聴率獲れるって言ったのに~。

『ファーストクラス 2』(6.86%)

この続編は沢尻エリカの存在感がチョー薄っ!主役が沢尻っての忘れてしまいそう。強烈な個性を持った様々な悪女が出てくるのはいいのだが、いずれも見かけ倒し。これでは視聴率は獲れない。

『MOZU Season2 ~幻の翼~』(6.24%)

大げさなセットやおどろおどろしい雰囲気を漂わせていながら内容がない。こんなドラマ、早々に地上波で流されたら WOWOWで金払って視た人たちは金返せって気持ちではなかっただろうか?もはや西島秀俊の台詞聞いただけで失笑してしまった。それと真木よう子、あの声としゃべりではハードボイルドは難しい(キャストを間違えた)。それに彼女が演じた明星美希の不死身ぶりにも仰天。さらに映画化が決定ってのが信じられない。

『ママとパパが生きる理由』(6.20%)

ママもパパも進行癌に侵されてしまうという最高に暗いドラマ。元々のブログやノンフィクション書籍はそれなりに読み応えがあったのだろうが、年末の忙しい時期に、かつ『MOZU』の穴埋めで全5話に凝集されてドラマ化とは気の毒である。

『女はそれを許さない』(6.04%)

深キョンのとぼけた弁護士の演技だが、ちょっと前にNHKでやっていた『サイレント・プア』というドラマでのコミュニティ・ソーシャルワーカーの里見涼、もっと言えば、『専業主婦探偵~私はシャドウ』の浅葱芹菜と何ら変わることがなかった。TBS も本当に視聴率獲れると思ってドラマ作っているのか疑いたくなるような駄作。

 

2014年10月クールは予想どおり

『ドクターX~外科医・大門未知子(3)』がダントツ。

そして水10戦争は圧倒的大差で

『きょうは会社やすみます。』の綾瀬はるかに軍配。

とにかく目を覆うばかりなのが TBS。

月8を含めた6本のドラマがすべて視聴率一桁という体たらく。

前回も嘆いたが、この TBS の惨状はいつまで続くことや。

 

それではいよいよ2015年、

1月からの新番組の内容をチェックしてみましょう。

 

フジ月9 1/19~ 『デート~恋とはどんなものかしら~』 杏、長谷川博己、国仲涼子、中島裕翔(Hey!Sey!JUMP)、松尾諭、和久井映見、風吹ジュン、松重豊

2014年1月クールの『失恋ショコラティエ』以来1年ぶりに恋愛ドラマが復活。日テレの『きょうは会社休みます。』が当たったことから、フジのこの枠はやはりこの路線が向いている?ドラマは『腎性に恋愛は不要』と考えるようになった“恋愛力ゼロで恋愛不適合者”の女と男が、それぞれの抱える事情から結婚を目指すことになり、一切の恋愛感情を持たないまま味気ないデートを始めるようになるというロマンチック・ラブコメディ。『きょうは会社…』に追随するかのように横浜が舞台となっている。杏演じる主人公の女性は、東京大学大学院数理科学研究科で数理モデルのマクロ経済への応用を研究した後、内閣府経済総合研究所に入所し、現在は横浜研究所に出向中、マクロ経済の動向予想のエキスパートである藪下依子(やぶした・よりこ)29才。依子は、国家・社会に奉仕できる職業に情熱を持って当たっているが、効率的かつ規則正しい生活を好み、乗る電車、座る席、歩く道、着るものと食べるメニューは曜日ごとに決めているマイペースで融通が利かない超合理主義者。そんな性格から、人と接するのが苦手で周囲と上手くいかないことも多々あった。しかし自身の貯金は数千万を突破し、彼女の人生は思惑通りに進んでいた。次なる目標は30才までに結婚することだったが彼女の結婚観は『14項目の条件』を満たす理想の相手との契約に過ぎないと考えていた。一方、長谷川博已が演じるのは“恋愛力ゼロ”な男・谷口巧(たにぐち・たくみ)。巧は、自分を『高等遊民』(明治時代から昭和初期にかけ実在した、大学などは卒業し、高い教養を持ち合わせているものの、経済的に恵まれているため、労働に従事せず読書などに没頭し、日々を過ごしていた人々)と称し、働かず、親に寄生し、文学・芸術・音楽・娯楽の世界に溺れ、日々を過ごしている35歳。まさしく『ニート』だったが巧みはそれを認めず、暗くもなければ卑屈でもなく、性格は明るく穏やか、理知的でスマート、さらに服装も清潔感にあふれていた。巧の両親は既に離婚していて、現在は母親と実家で二人暮らし。『高等遊民』などと気取ってはいたが、経済力ゼロの自分には結婚はおろか女性と真剣に付き合う資格などないと考えていた。ところが、病気がちで高齢となりつつ母親が亡くなってしまったら現状の生活を維持できないという現実に直面した彼は母親に代わって養ってもらえる女性との結婚を思い立つ。そんな結婚という明確な目標を持った2人が恋愛感情ゼロの状態からデートを重ねていくストーリーがコミカルに描かれるそうである。

 

フジ火9 1/13~ 『ゴーストライター』 中谷美紀、水川あさみ、三浦翔平、菜々緒、キムラ緑子、江波杏子、石橋凌、田中哲司

むむっ、このタイトル、誰の頭にも浮かぶのはやはり今年前半の話題をさらったあの長髪、サングラスのオジさん?さてこのドラマ、主人公は天才小説家と謳われる三波リサで中谷美紀が演じる。実は超売れっ子のこの女流作家、世間で絶大な賞賛を受ける陰で誰にも言えない苦悩を抱えていた。作家としての才能が枯渇し行き詰まりを感じていたのである。一方、小説家を夢見る20代の女性・遠藤由樹(水川あさみ)は田舎で待つ婚約者には1年限りという約束で上京し、作家としてのデビューを目指していた。しかし、いくつもの新人賞に応募を続けたものの結果を出すこともなく早1年が過ぎてしまっていた。ある日、応募せず手元に残していた原稿を持って大手出版社・駿峰社を訪れる。そこでリサのアシスタントの仕事を紹介された由樹は彼女のゴーストライターとしての道を歩むこととなる。田中哲司演じる駿峰社の敏腕編集長・神崎雄司は自分の出世のためリサの賞味期限と由樹の才能の値踏みを周到に行い彼女らを巧みに利用して業績を伸ばそうと画策する。一方、由樹の唯一の理解者である三浦翔平演じる新人編集マン・小田颯人は彼女の才能を認め、ゴーストライターをやめさせ作家としてデビューさせようと奮闘する。共演者としてこのほか、駿峰社の常務取締役・鳥飼正義役に石橋凌、女性編集者・塚田真奈美役に菜々緒、リサの有能な秘書・田浦美鈴役にキムラ緑子、リサの母親・元子役に江波杏子らが起用されている。才能の限界におびえる売れっ子作家と才能がありながらもゴーストライターとして生きる女性の二人の対決と友情、人としての成長が描かれる佐村河内守とは何ら関係のないヒューマンサスペンス・ドラマ。

 

フジ(関西テレビ)火10 1/6~ 『銭の戦争』 草剛(SMAP)、大島優子、木村文乃、高田翔(ジャニーズJr.)、新川優愛、志賀廣太郎、木野花、津川雅彦、ジュディーオング、大杉漣、渡辺篤郎

原作はパク・イングォンによるコミック『銭の戦争』。金に翻弄された男の人生を描いた作品で2007年に韓国でドラマ化され高視聴率を記録した。今回、草剛が、エリートからどん底まで転落しそこから這い上がる男を演じる。主人公・白石富生は東大卒、外資系証券会社に勤め、美人の婚約者がいて順風満帆の日々を送っていた。ところがある日、父親が多額の借金を残して自殺。連帯保証人となっていた富生は貯金を全て借金の返済に充てるも、さらに貸金業者に追われる身となり職も婚約者も全て失ってしまう。ホームレスまで転落した富生は、あろうことか自分をどん底まで追い込んだ金貸し業の道を選び、高金利で金貸しをしている『赤松金融』の経営者・赤松大介(渡部篤郎)の元で働くことになる。赤松は父親の死の真相を握っている人物だった。金のためならどんな苦労も厭わないと決意した富生は手段を選ばずどんなことでもするようになる。そんな富生に、金の魔力に取り憑かれていることを気付かせ、特別な感情を抱き合う関係となるのが高校時代の恩師の娘・紺野未央(大島優子)。また元婚約者・青池梢(木村文乃)もこの2人に絡んできて複雑な恋愛関係が展開されていくことになる。父親の死の真相を知った富生は復讐を果たそうと企てるもいつしか金に呑み込まれていってしまう。そんな男の人生が、金の魔力、家族愛、複雑な恋愛模様などを交えながらユーモラスに、時にはシリアスに描かれる。どん底まで落ちて這い上がっていくというストーリーは『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~』と同じじゃん!。

 

TBS火10 1/13~ 『まっしろ』 堀北真希、柳楽優弥、志田未来、高梨臨、菜々緒、MEGUMI、竹内都子、西尾まり、信川清順、渡辺舞、周本絵梨香、伊藤麻実子、水上剣星、津田英佑、眞島秀和、石黒賢、水野美紀、木村多江 

病院を舞台にナース版“白い大奥”が描かれる。ドラマの舞台となるのは、高額な医療費がかかるにもかかわらず、政財界、芸能界、文化人らが受診する最高級セレブ病院『東王(とうおう)病院』。この病院の看護師の世界は複雑な人間関係が渦巻く閉ざされた女の世界。『白い大奥』と呼ばれ、そこでは看護師の職分に従って格付けされナースキャップの真珠で区別されていた。玉の輿を夢見てこの病院にやってきた有村朱里(堀北真希)は当然『無印(むじるし)』。同じ『無印ナース』に理論派の毒舌女子・松岡菜々(志田未来)とサバサバ系肉食女子・和田木綿子(高梨臨)がいた。看護部の頂点に君臨し『白い大奥』を取り仕切るのが看護師長・田野島心(たのしましずか)(木村多江)だった。『白い大奥』には厳しい掟があり、これを破ったものは容赦なく『お暇をとっていただきます』と告げられ病院を去っていかねばならない。そんな中、田野島と同期で彼女と常に対立し『白い大奥』を冷めた目で見ていたのが一匹狼のオペナース・岩渕恵(水野美紀)。一方、看護師たちに対抗する医師には、アメリカ帰りの若きスーパードクター・仲野孝太(柳楽優弥)や看護師との恋の噂の絶えない色男、東王病院の副院長・佐藤正隆(石黒賢)らがいる。主人公の朱里は千葉県船橋市出身の25歳。地元の看護学校を出て付属病院の老人病棟に勤務していた。看護師になるときは、『人の役に立ちたい』『困った人を助けて感謝されたい』という純粋な気持ちもあったが、4年間、安月給でこき使われているうちに、早く結婚して辞めたいと思うようになる。そこでお嬢様風に変身してセレブ患者の集まる東王病院に潜り込んだのだった。ところが、そこはへなちょこドクター、不倫ナース、わがまま患者など曲者ぞろいの病院だった。さらに師長からは連日厳しく指導され前途多難。そんな環境で働く朱里ら若い3人の看護師の奮闘ぶりが描かれる。一見コメディドラマかと思いきや、実は、命を救う現場で真剣に仕事に打ち込む愛と涙のヒューマンドラマなんだとか。よくわからん。

 

テレ朝水9 継続 『相棒 (13)』 水谷豊、成宮寛貴、鈴木杏樹、六角精児 他

特にコメントなし。

 

日テレ水10 1/14~ 『○○(まるまる)妻』 柴咲コウ、黒木瞳、城田優、蓮佛美沙子、奥貫薫、渡辺真起子、岩本多代、平泉成、東山紀之(少年隊)

『家政婦のミタ』続編か、との噂もあったこのクール。内情の詳細は不明だが、蓋を開けてみれば、同じ脚本家・遊川和彦による『〇〇妻』に決定。松嶋菜々子のダダこねか?それはさておき、このドラマ、キャッチコピーは“新しい夫婦のカタチ”を描く究極のラブストーリー。柴咲コウが主人公・久保田ひかりを演じる。ひかりは夫のために家事を完璧にこなし自分の人生をすべて夫のためだけに捧げ、何事にも3歩下がって夫に付き従う女性だった。東山紀之演じる夫の久保田正純は熱い志を持ったニュースキャスター。歯に衣着せぬ物言いで人気があり、その言動には世論にも大きな影響を持っていた。彼がニュース番組のメインキャスターに抜擢されたのも妻・ひかりの『内助の功』あってのことだった。しかし彼女が夫にそこまで尽くすのには真の理由があった。『〇〇妻』というタイトルの鍵は、ひかりの過去をめぐる秘密なのか?2人以外のキャストは、ひかりの過去を知る女性・井納千春に黒木瞳、ニュース番組のプロデューサー・板垣雅己に城田優、ニュース番組の新人アナウンサー・風谷愛に蓮佛美沙子、正純の2人の姉に奥貫薫、渡辺真起子、正純の母に岩本多代、正純の父に平泉成となっている。不評だった朝ドラ『純と愛』ですこぶる評判を落としてしまった遊川和彦だが本作で名誉挽回なるか?

 

フジ水 10 1/14~ 『残念な夫。』 玉木宏、倉科カナ、黒木啓司(EXILE)、林遣都、高橋メアリージュン、浅田美代子、大塚寧々、岸谷五朗 他

幸せな結婚をしながら出産をきっかけに夫に対する妻の家庭内評価が下がり危機に陥った夫婦の姿が描かれる社会派ライトコメディ。子供が生まれたのに父親らしい進歩が見えないことで妻からの愛情が冷え込み、家庭内カースト最下層に落ちた主人公が、“理想の夫”“最高のパパ”をめざして奮闘するオリジナルドラマである。“産後危機”問題は出産後のデリケートな時期に配慮のない発言をするなど、妻のストレスを限界まで増殖させてしまう“残念な夫”の存在が大きな要因。その“残念な夫”である主人公・榛野陽一(35)を演じるのが玉木宏、住宅会社に勤める会社員である。子供が生まれてから妻・知里(倉科カナ)(28)の態度が冷たくなったように感じる陽一だったが、自分は『家事・育児に協力する良い夫』と思い込んでいるためその原因も解決方法も分からない。陽一の上司ですでに“残念すぎる夫”となってしまっている細井茂(50)を岸谷五朗が、その妻で、夫への愛が冷え込んでいる細井美和子(46)を大塚寧々が演じる。“残念な夫”たちは職場や飲み会で『被害者パパの会』を作って愚痴をこぼし、妻たちは『ママ友の会』で育児の過酷さを共有して夫の残念さを嘆き合うという。主人公夫婦はお互いの思いをぶつけ合い、子供のへの接し方を話し合い、対立を乗り越え絆を深めることができるのか。あまり共感できそうにないドラマである。

 

TBS木9 1/8~ 『美しき罠~残花繚乱~』 田中麗奈、若村麻由美、青柳翔、三浦理恵子、高橋かおり、吉田里琴、平泉成、池畑慎之介、村上弘明

原作は岡部えつの小説『残花繚乱』。自分が蒔いた種とは言え、美しき愛憎の罠にはまっていき、さまざまな思惑と闘いながら真の幸せを勝ち取ろうとする大人の女の物語。主人公は田中麗奈演じる34才のOL・西田りか。ファザコンだったりかは村上弘明演じる大手企業の常務で上司の柏木荘太と3年間不倫関係にある。彼には会社経営者の娘である美しい妻・美津子(若村麻由美)がいた。浮気の事実を掴んだ美津子は、りかの見合い相手として、荘太の親友の弟で幼いころから柏木家に出入りしていた33才の青年実業家・落合圭一(青柳翔)とくっつけようと画策する。しかし実は圭一は美津子に密かな想いを寄せており、美津子も圭一を心の頼りにしていた。結果的に荘太に裏切られ捨てられたりかは心に激しい復讐の炎を燃え上がらせる。圭一に対する美津子の思いを知ったりかは圭一の心を奪い取ろうと決意し結婚を前提に付き合い始める。これら4人の男女に、りかと同じ書道教室に通う桐谷麻紀(三浦理恵子)と滝本泉(高橋かおり)らも複雑に絡んでくる。麻紀はインテリアコーディネーターとして活躍、美容整形による美貌で常に恋愛相手を欠かさない42才独身。泉は外資系証券会社に勤務、夫婦で都心のマンションに暮らし、さらにはコンプライアンスオフィサー会社を起業しようとしている36才。りか、麻紀、泉の3人は互いにちょうどよい距離感を保った関係だったが、りかが結婚式の準備を2人に手伝ってもらったことからその関係に綻びが生じてくる。麻紀は、りかの婚約者だと知りながら圭一に接近する。そして、ただ一人心を開いて付き合えると思っていた泉も…。さらに彼女らが通う書道教室の師範で独身主義の江崎龍子(池端慎之介)や、両親が偽りの円満夫婦であることを見通し母親に激しい嫌悪感を抱いている16才の高校生・柏木美羽(吉田里琴)らの思いも交錯する。周囲から攻撃され翻弄されるりかはどう対処し応戦するのか?男女の愛、嫉妬、苦悩が細やかに描かれる大人の女性群像劇である。というわけで、またまた不倫ドラマのようだが、果たして不倫にはまった主人公に視聴者からの共感が得られるだろうか。キャストにはかなり力が入っており、低迷の続く TBS のこの枠が息を吹き返せるか見もの。

 

テレ朝木9 1/8~ 『DOCTORS3~最強の名医~』 沢村一樹、高嶋政伸、比嘉愛未、黒川智花、宮地雅子、正名僕蔵、滝沢沙織、敦士、斉藤陽一郎、尾崎右宗、阿南敦子、小日向文世、篠井英介、小野武彦、伊藤蘭、野際陽子

2011年10月クールのパート1で14.8%、2013年7月クールのパート2で18.3%の高平均視聴率を獲った医療ドラマの第3弾。堂上総合病院の医師たちと対立を繰り返しながらも『医師である前に真っ当な人間でありたい』という信念を貫く主人公の医師・相良浩介(沢村一樹)が病院の再生に尽力する。堂上総合病院の消化器外科と西都大学病院の心臓血管外科による合同オペ成功から1年半。相良は堂上総合病院に勤務するかたわら、西都大学の医学部長・松田義雄(小日向文世)に呼ばれ、講師として若手医師の育成に励んでいた。相良と松田は良好な関係を築きつつあったが、西都大学病院にはそんな相良の存在を快く思わない医師たちもいた。一方、森山卓(高嶋政伸)はタレントドクターとして一躍有名人となっていた。一日も早く甥の森山に立派な後継者になってほしいと願う堂上総合病院院長・堂上たまき(野際陽子)の願いもむなしく、森山はタレント医師活動で多忙を極め、本業はないがしろにされていた。そんな様子を見た相良は、森山を西都大学の臨時講師にさせるべく、ある策略を練り森山を西都大学に送り込む…。というわけで、今シリーズも“相良 vs 森山”の対立構図が中心となっているようである。2年と空けずシリーズを繰り返しているようであるが、新鮮味に欠ける内容になるのではないかと予測される。

 

フジ木10 1/15~ 『問題のあるレストラン』 真木よう子、東出昌大、二階堂ふみ、高畑充希、菅田将暉、松岡茉優、臼田あさ美、YOU、安田顕、田山涼成、吹越満、杉本哲太

坂元裕二脚本のオリジナルドラマ。『最高の離婚』制作陣による、スカッと笑えてホロッと泣ける女性応援コメディー。真木よう子演じる主人公・田中たま子は普通のOLだったが、理不尽な男社会の会社を辞め、東京表参道から少し入った裏通りに女性たちのレストランを立ち上げる。ポンコツ女のレッテルを貼られた女性たちが人生のどん底から這い上がるため力を合わせてレストランを立ち上げ、苦難と戦い、働く喜びを感じながら人生を変えるレシピを探していく。まるで気の合わない女性たちが始めたレストランは問題のあるレストランとなってしまうが、これまで彼女たちを苦しめてきた男たちという共通の敵を持つことで彼女たちは一致団結する。彼女たちは彼らに宣戦布告し、自分たちなりの勝利の道を模索していく。そんな女性達のリーダーとなるたま子の恋人であり敵対する相手にもなるシェフの門司誠人(もんじまこと)を東出昌大が演じる。また、たま子と一緒にレストランをやっていく女性たちには、たま子のOL時代の同僚で東大出身でプライドの高い新田結実(にったゆみ)に二階堂ふみ、男たちを利用しているようで実は利用されている恋愛依存症の川奈藍里(かわなあいり)に高畑充希、たま子がOLをやっていた会社の社長の娘で領事上手な雨木千佳(あめきちか)に松岡茉優、天然ボケの家出主婦・森村鏡子(もりむらきょうこ)に臼田あさ美、謎の過去を持つ辛口な女・烏森奈々美(からすもりななみ)にYOUといったキャスティング。さらに心優しいゲイのパティシエ・几ハイジ(おしまずきはいじ)に安田顕。一方、たま子たちと敵対するライバル店の調理場担当見習いで、誰にでも優しいが人間関係に対して執着がなくいつもチャラチャラしている若者・星野大智を菅田将暉、たま子の元上司で、セクハラ、差別、いじめなどの言動を繰り返す男たちを吹越満、田山涼成が演じる。さらに、たま子が勤めていた飲食業会社の社長で、彼女らの最大の敵となる雨木太郎(あめきたろう)役が杉本哲太となっている。坂元裕二による軽妙なセリフが期待されるが、この内容で男性が視ようとするだろうか?

 

TBS金10 1/16~ 『ウロボロス~この愛こそ正義。』 生田斗真、小栗旬、上野樹里、吉田鋼太郎、吉田羊、清野菜名、滝藤賢一、光石研

原作は神崎裕也の人気コミック『ウロボロス 警察ヲ裁ハ我ニアリ』。普段は冴えない刑事だが、圧倒的身体能力を持ち、一旦スイッチが入ると常人離れした格闘能力で悪を粉砕する主人公・龍崎イクオ(生田斗真)と、イクオの裏の顔の相棒で明晰な頭脳とクールな立ち居振る舞いで裏社会をのし上がっていくヤクザ・段野竜哉(小栗旬)がコンビを組む。刑事としてのイクオの相棒となる日比野美月(上野樹里)は東大卒のキャリアでさらに父親が警察庁の上層部という超エリートだが、今はイクオと同じ所轄の新宿第二警察署に勤務する。イクオは、幼い頃に大切に思っていた恩人・柏葉結子を殺され、その事件を目撃したが、金時計を身につけた警察関係者に事件そのものをもみ消されたことから、その“金時計の男”を幼馴染の竜哉とともに密かに探し出そうとする。イクオと竜哉の関係は知られてはならないものだったが、美月はイクオの“もうひとつの顔”に気づく。その他のキャストとして、イクオと美月の上司である新宿第二警察署刑事課課長・三島薫を吉田鋼太郎、イクオや美月の能力をいち早く認める警視庁捜査一課の美人管理官・橘都美子を吉田羊、ヤクザである竜哉を執拗に追う新宿第一警察署の刑事・蝶野真一を滝藤賢一、美月の父で警視庁警務部監察課・日比野圀彦を光石研、警視庁随一の情報通である警視庁人事課警部補・田村小夏を清野菜名(『素敵な選 TAXI 』で関カンナ役)が演じる。『ウロボロス』とは古代の象徴の一つで己の尾を噛んで環となった蛇や龍を図案化したものだが、イクオは結子の遺品である2頭の龍のウロボロスをかたどったペンダントを持っていた。このペンダントにはある重大な秘密が隠されており、これを手に入れた美月は命を狙われることになる。3人の男女が警察組織に守られた“金時計の男”の正体に迫るポリス・エンターテインメント。原作は面白そうだが、生田・小栗・上野の演技でどれほどの緊張感を楽しませてくれるかが見どころ。

 

テレ朝金 11:15(金曜ナイトドラマ) 1/16~ 『セカンド・ラブ』 亀梨和也(KAT-TUN)、深田恭子 他

“大人の危険な恋”に溺れる男女を亀梨和也と深田恭子が演じる、大人がはまるラブストーリー、いわゆる“夜メロ”、なんだそうである。脚本は大石静。コンテンポラリーダンサーとしての夢を追いかける平慶(たいら・けい)(亀梨和也)が年上女性との一途な恋に突き進む。年上のその30代独身女性、高校教師の西原結唯(にしはら・ゆい)(深田恭子)。結唯は同僚教師との不倫関係を続けながらも、ずっと寂しかった心と身体に飛び込んできた若い男の情熱に呑み込まれていく。主人公の慶は若くしてコンテンポラリーダンスの才能に恵まれ、10代でドイツのカンパニーに留学、将来が嘱望されていたが志半ばで挫折し帰国。東京でバイト生活を送っていた。帰国してからは食べるのに精一杯で苛立ちの日々を送っていたが、ある日名門女子校の渡り廊下を通る結唯に恋をする。結唯はその女子校の化学の教師だった。そこそこ美人だが教え子たちの若さに日々接していることで歳を重ねた自分の顔を苦々しく感じており、生徒からは『西ブー』とあだ名されていた。母親から結婚をせかされていたが同僚教師と不倫を続けており先の見えない閉塞感に空虚な生活を送っていた。そんなとき慶と出会ったことで結唯の価値観は大きく揺らぎ始める。ジャニーズの亀梨に深キョンとの濡れ場がどこまで許されるのか。期待したい。

 

日テレ土9 1/17~ 『学校のカイダン』 広瀬すず、神木隆之介、石橋杏奈、杉咲花、須賀健太、間宮祥太朗、白洲迅、清水くるみ、吉倉あおい、飯豊まりえ、金子ノブアキ、野波麻帆、金山一彦、泉谷しげる、生瀬勝久、浅野温子

ヒロインとなる広瀬すずは連続ドラマ初主演。主人公の女子高生・春菜ツバメを演じる。タイトルの『カイダン』は『怪談』ではなく『階段』。『コトバ』=『スピーチ』の力で目立たない一女子高生が生徒会長となり学校の革命という階段を上っていく話。底辺にいた女子高生・ツバメが伝説の天才“スピーチライター”・雫井彗と出会うことから物語が始まる。名スピーチを生み出し『コトバの力』で人々の心を動かすのが“スピーチライター”の仕事である。誰もやりたがらない生徒会長を押し付けられたツバメは彗にいざなわれるように『名スピーチ』を武器に“腐った学校”を変えていく。悪い奴らを『コトバの力』で矯正させるという展開には多少のカタルシスが得られそうではあるが、どちらかと言えば若年層対象のドラマのようであり中高年層が視続けるのはつらそうだ。

 

NHK日8 1/4~ 大河ドラマ 『花燃ゆ』 井上真央、大沢たかお、伊勢谷友介、高良健吾、東出昌大、原田泰造、優香、石丸幹二、瀬戸康史、劇団ひとり、要潤、大野拓朗、長塚京三、檀ふみ、奥田瑛二、北大路欣也

2015年の大河ドラマは幕末の思想家・吉田松陰の妹・文(ふみ)が主人公でこれを井上真央が演じる。天保14年(1834年)、文は吉田松陰の実家である杉家の四女として生まれた。杉家の次男の寅次郎(のちの松陰)は、叔父・吉田家の養子となっていたが、叔父が死去したため、杉家に戻っていた。文は、兵学師範として藩内でも一目おかれる兄を誇らしく思っていた。文が8歳のとき、江戸に遊学していた松陰が脱藩の罪を犯してしまう。のちに次姉・寿の夫となる小田村伊之助(楫取素彦・かとりもとひこ)は、松陰の身を案じ江戸に戻るように説得。結局、松陰は士籍を剥奪され、杉家「育(はぐくみ)」となる。藩主毛利敬親のはからいで松陰は再び江戸に向かうが、ペリーの来航に際し密航を企て、失敗。自首した松陰は、萩の野山獄に投獄されてしまう。獄中の松陰は囚人たちを立ち直らせていく。野山獄から出された松陰は、杉家で幽囚の身となり、孟子の講義などを始める。松陰が語る最新の世界情勢や社会状況を織り込んだ講義は評判を呼び、次々と入門希望者が集まる。そして自信たっぷりの若者で城下でも評判の美男子、久坂玄瑞が入門。ここで文と久坂が運命の出会いをする。高杉晋作、伊藤博文、品川弥二郎、山県有朋ら、その後の日本を動かすことになる若者たちから文は妹のように可愛がられ、久坂玄瑞と結婚する。しかし、二人の夫婦生活は長くは続かなかった。時代は幕末の動乱に向かって動き始めていた。松陰が安政の大獄で処刑され、長州藩内では幕府への恭順を主張する一派と、幕府を批判する一派の抗争が始まる。久坂は、文のことを気遣いながらも、戦いの渦中に飛びこんでいく。そして禁門の変で久坂は自決、夫を失った文は毛利家に仕え嗣子元昭の守役に抜擢される。幕末の動乱の中、文は久坂家を残そうと奮闘。その後、文は美和子と名を変え、亡き姉の夫であった群馬県令・楫取素彦の妻となる。群馬の産業・教育の近代化に寄与した楫取(官営富岡製糸場の存続に尽力)は男爵となり美和子は華族の妻として生きていく。このドラマは、杉家の四女の文(ふみ)を中心に、幕末から維新にかけての動乱の中、困難を乗り越えていった杉家の強い絆と、松陰の志を持って力強く生き抜いた若者たちの青春群像が描かれる。吉田松陰を伊勢谷友介、久坂玄瑞を東出昌大、高杉晋作を高良健吾が演じる。

 

TBS 日9 1/18~ 『流星ワゴン』 西島秀俊、香川照之、井川遥、市川実和子、高橋洋、入江甚儀、町田啓太、高木星来、横山幸汰、倍賞美津子、吉岡秀隆

原作は直木賞作家・重松清の小説『流星ワゴン』。西島秀俊演じる主人公の会社員・永田一雄(ながたかずお)は真面目でしっかりした性格で妻と息子を大切にし日々を正直に生きていたが、妻子の心の闇を見過ごしてしまったことで家庭が破綻してしまう。この半年間のうちにリストラを宣告された上、ふとしたきっかけから心のバランスをくずし若い男と会うようになった妻の美代子(井川遥)からは離婚を切り出された。また息子の広樹(横山幸汰)は家庭内暴力が止まらなかった。さらに末期癌の父親・忠雄(香川照之)との間には確執があった。破天荒で決起盛んで強く生きてきた父親に対して憎しみを覚え最後まで向き合えないままでいた。打ちひしがれた思いで駅前のベンチに座っていた一雄の前に、突如ワインカラーのワゴンが現れる。その車を運転するのは、5年前に亡くなったはずの橋本義明(吉岡秀隆)だった。同乗している息子・橋本健太(高木星来)も、同じく亡くなっているはずだった。この2人と一緒に時を越えることのできる不思議なワゴンに乗り、過去の大切な場所を巡るうちに、一雄は妻や息子とうまくいかなくなったきっかけを知る。そして旅の続く中、一年前の上野駅前に戻った一雄の目に、鮮明に記憶に残る光景が再び映った。若い男と歩く妻の美代子の姿だった。狼狽する一雄の前に、今度は自分と同じ歳の忠雄が現れ、促されるままに行動を共にすることになる。忌み嫌っていたはずの父親が、現実の親子でも、友人でもなく、『朋輩』として隣にいる。それをきっかけに、これまで気付くことのできなかったことの多くが見え始めてくる。果たして一雄は、妻との再出発、息子との絆の回復が出来るのか?決して分かちあえないと思っていた父親とともに後悔の人生をやり直すためのドライブが繰り広げられる。車で人生の分岐点まで戻るという設定は『素敵な選TAXI』とまるきり同じなのだが、よりによってあの『MOZU』コンビが親子とは…。違うコンビだったらさぞかしいいドラマになっただろう、って言い過ぎ?

 

久々に恋愛ドラマに回帰した月9に期待がかかりますが

ヒロインが杏では恋愛の盛り上がりに欠けそう(顔が恋愛に不向き?)。

医療ドラマもやや食傷気味なため

堀北真希『まっしろ』、沢村一樹『DOCTORS3』も今ひとつの感。

草剛『銭の戦争』も新鮮味は感じられませんね。

夫婦ドラマとなる玉木宏『残念な夫』、柴咲コウ『〇〇妻』も

やはり高視聴率はむずかしそうです。

“復讐”ドラマとなりそうな、田中麗奈『美しき罠~残花繚乱』、

生田斗真『ウロボロス』にもさほど興味がそそられません。

真木よう子『問題のあるレストラン』は視聴者が女性に偏りそう。

原作の面白さから言えば『流星ワゴン』かもしれませんが、

“あの2人”ではちょっと心配です。

総じて全体に低調となりそうな感じです。

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