MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

"シマウマ” の中の ”シマウマ”

2019-09-27 21:25:17 | 健康・病気

9月のメディカル・ミステリーです。

 

9月21日付 Washington Post 電子版

 

 

Nearly 100 doctors have tried to diagnose this man’s devastating illness — without success

この男性の辛い病気をほぼ100人の医師が診断しようとしたが――失敗に終わった

 

 

By Sandra G. Boodman 

 Bob Schwartz(ボブ・シュワルツ)さんにとって、診断のついていない自身の病気で最も辛いことの一つは途切れ途切れにしか眠れないことである。

 不眠と戦う Schwartz さんは何とか眠りに落ちるものの、おびただしい排尿のために90分ごとに目を覚ます。彼はほぼ毎晩、合わせて4時間しか眠れない。

 Schwartzさんが 2016 年以来受診した国内の約100人の医師らを驚かせ困惑させてきた消耗性、衰弱性の一連の症状のうち、慢性的な睡眠不足はその一つに過ぎない。

 非常に骨の折れる努力をしてきたにもかかわらず、医療過誤専門弁護士を引退しその後慈善家に転じたこの59歳の男性の診断はいまだについていない。

 Schwartz さんには、夜間頻尿の症状に加えて、立ち上がったり横になったりするときの体液の大きな分布変化、血圧の異常高値、慢性の消化系障害、重篤なホルモン不均衡、左半身の筋肉の消耗、および極度の疲労などがみられている。

 彼は Mayo Clinic(メイヨクリニック)を2度受診し、さらに Cleveland Clinic(クリーブランドクリニック)も受診した。Schwartzさんはデトロイト近郊に住んでいるが、昨年の秋には National Institutes of Health(NIH:国立衛生研究所)の Undiagnosed Diseases Program(未疾患診断プログラム)で一週間を過ごした。国内で最も卓越したこの研究病院による11年に及ぶ高度選択的な取り組みは、最も難解な疾病を診断することを目的としている。

 しかし、かつてマラソンランナーだったこの男性については、いまだに Mayo の専門医が彼のことを、“zebra中の zebra”と呼ぶ状況に変わりはない。この“zebra”とはきわめて稀な症例のことを指す医学的隠語である。

Bob Schwartz さんは自身の消耗性疾患の診断を求めて国中の約100人の医師を受診してきた。今も自身の疾患の答えを求める努力を続けている。

 

 NIH の医師らは、彼の症状の表面的な原因については特定できている ― 彼の静脈が著しく拡張しており過度に伸縮性がみられることである ― しかし彼らにはその原因、あるいはその治療法がわかっていない。そして彼らは似た症例をみたことがない。

 「私たちにはまだ答えがありません」昨年 Bethesda(ベセスダ)で彼を検査した専門医の集学的チームを統括した NIHの Clinical Center の内科指導医である Donna Novacic(ドナ・ノヴァチッチ)氏は言う。非常に複雑な症状があるにもかかわらず Schwartz さんは「実に我慢強い精神をお持ちです」と彼女は言う。

 Schwartzさんには、彼のケースの特異性や診断名の欠落によって実存的に絶望した時期があった。しかし、彼の人生のあらゆる側面をひっくり返してしまったこの疾患について、知ることのできる全てを学ぼうと決意したと彼は言う。

 Schwartz さんは、この記事が自身にいくらか安堵を与えてくれるような示唆を導いてくれることを望んでいるという。博愛事業が彼の人生の礎となるものであることから、彼は「他の人たちが自分たちの戦いと向き合う支えとなり、彼らが何かを探り出し、あるいは私に助言を求めてくれることができたら」と思っている。

 

The ultimate 'zebra'  究極の “ zebra(シマウマ)”

 

 Schwartz さんによると、2016年までは彼は“健康そのもの”だったという。高校時代から菜食主義者だった彼はタバコも吸わないしアルコールも飲まなかった。生まれついての熱心なアスリートだった彼は毎日10マイルを走りバスケットボールをプレイした。

 2007年、当時47歳だった Schwartz さんは法律の業務を引退した。グラフィック・アーチストをしている妻の Robin さんとともに、Here to Help 財団を設立した。彼はその最高責任者である。この民間の非営利財団は、ミシガン州南東部の7,500 人以上の住民に少額ながら一時助成金を現金で供与している。供与対象には、最近釈放された囚人もいれば、立ち退きを逃れようとする人のほか、仕事に就くために信頼できる中古車を買うためにお金が必要な人もいる。

 2016年のあるときから、Schwartz さんは疲労を感じるようになったという。屋外を走っている間、手足が寒さにたいして異常に敏感になった。

 「私はただこう考えました。『ああ、俺も年を取ったな』と」そう Schwartz さんは言う。

 排尿の問題は2017年に始まった。日中、Schwartz さんがどんなに水分を摂取しても、ほとんど尿が作られなかった。しかし、彼の記憶によれば「夜に私がベッドに横になっていると」正反対のことが起こったという。彼の夜間尿量は総計約51オンス(1.5 クオート=約1.5 リットルに相当)に達した。泌尿器科医はその現象を説明できるものを何も見つけられなかった。

 2017年9月、Schwartz さんは自宅から近い Royal Oak(ロイヤル・オーク)にある Beaumont Hospital(ボーモント病院)を受診した。血圧が非常に高かった。彼の通常血圧である 110/65 をはるかに上回る 180/100 だった。彼は活力を失っており、四肢、特に両足がだるく、腫れがみられた。

 医師らはすぐに Schwartz さんが、水中毒と呼ばれることもある、低ナトリウム血症状態であると診断した。彼の血中のナトリウム濃度は危険なほど低く重大な合併症の危険にさらされていた。合併症の一つに脳浮腫があり昏睡や死に至る可能性がある。

 その原因を見つけることができなかったため、医師らは Schwartz さんを University of Michigan(ミシガン大学)に紹介した。彼はそこで一週間を過ごしたが低ナトリウム血症については管理することができた。彼らに究明できたのは、その低ナトリウム血症が原因不明の血漿量の増加によって起こったということだった。Michigan の専門医たちは彼を Mayo Clinic に紹介した。Michigan のインターベンション放射線科医によると「彼の病状は医師らを驚かせ困惑させ続けるものでした」という。

 断層撮影では、非酸素化血液(静脈血)を心臓に送る体内の最大の静脈である下大静脈に注ぐ腸骨静脈が Schwartz さんの場合、非常に増大しており、大静脈および大動脈にも拡張が認められた。しかしいくつかの検査結果には本質的な矛盾がみられた。Schwartz さんには慢性の低ナトリウム血症はあるものの、起きている日中には脱水の明確な徴候はみられなかった。しかし、夜間横になっているときには、体液が腎臓に勢いよく集まり過剰な排尿を引き起こしていたのである。

 Mayo の専門医たちは血管の炎症によって引き起こされるまれな疾患群である血管炎をはじめとするいくつかの可能性のある診断を除外した。

 「彼らは病状の展開をみるために一年後に再診するよう私に言いました」そう Schwartz さんは言う。彼は再診したが、医師から新たな進言は何も得られなかった。

 

'A very dark place'  ‘非常に暗い場所’

 

 医学用語に精通している Swartz さんは2018年の多くの時間を国内の専門医への受診に費やした。その多くはテレビ会議を通して行われた。彼は、心臓、血管疾患、および内分泌学の専門医だけでなく、間違っている可能性があることを指摘し彼を助けてくれる方策についての仮説を持っている信用できる人物を探し求めた。

 Michigan のインターベンション放射線科医は Schwartz さんを NIH の Undiagnosed Diseases Program に紹介した。その放射線科医は紹介状に次のように記載した。『Schwartz さんは自身の疾患の原因探しに不屈に取り組んでおられます。そして、NIH の専門医であれば、非常に暗い場所に隠れていたものについて新たな手がかりを得られるのではないかと希望を持っておられます』

 同プログラムは、これまで約1,200人の患者を診療してきた一方、診療を希望する患者の約80%を断ってきたが、彼を受け入れてくれた。「それは何とかしなければならないケースでした」と Novacic 氏は言う。

 NIH および Undiagnosed Diseases Network を構成する国内の他の11施設から提供される医療は無料となっている。その取り組みにはいくつかの目標がある:過去に診断されていない疾患を同定すること、可能性のある遺伝的基盤を確定すること、そして、診断のつかない状態であっても、苦しんでいる患者に有用な助言を提供することである。

 活動開始以来、本ネットワークは、症例の約35%で診断を明らかにし、31の新しい症候群を見い出してきた。診断の中には、DNA sequencing(DNA 塩基配列決定法)と呼ばれる最先端の時間のかかる遺伝子解析を用いて行われるケースもある。

 「何年か経ってから解決したケースもあります」と Novacic 氏は言う。「今、わからない場合でも、将来答えが見つかるかもしれません」患者には、彼らの情報が広範囲にわたるデーターベースに保管され、もし答えが見つかれば通知されると伝えられている。

 

The role of running ランニングの関与

 

 2018年10月下旬、Schwartz さんは、“精神力と希望の柱”となっている存在と彼が言う妻とともに NIH で一週間を過ごした。彼の担当チームは、心臓専門医、リウマチ専門医、血管病専門医、遺伝学者、さらに、呼吸や心拍を調整する自律神経系の異常である dysautonomia(自律神経障害)の専門医で構成されていた。

 同チームを“驚異的存在”と呼ぶ Schwartz さんは数多くの追加検査を受けた。それには、研究病院以外では行われることのない極めて特殊な PET スキャンも含まれていた。

 しかしそこでも再び、専門医たちは当惑した。

 Novacic 氏によると、Schwartz さんに最も似た例は、静脈が異常に拡張し繰り返す血栓形成に見舞われたマラソンランナーのケースである。彼もまた数年前に NIH の診療を受けているが、今までのところ診断は得られていない。

 Schwartz さんのケースでは、彼の拡張した過度に伸縮性のある静脈系が、彼の結合組織中のコラーゲンの軽微な異常を反映しているのではないかというのが有力な仮説となっている。一種の足場として機能し、組織をつなぎ止めるたんぱくであるコラーゲンに十分な強度がなく、静脈壁を補強できていない可能性がある。さらに彼には dysautonomia の徴候がみられている。

 「何年も走っていることがこの障害に悪影響を及ぼしたかもしれません」と Novacic 氏は言う。それは走ることに伴って繰り返される衝撃によると考えられる。しかし、一方でランニングはむしろ保護的に作用し、走っていなければもっと早くに始まっていたかもしれない症状の発現を遅らせた可能性もあると彼女は指摘する。根本的な原因が遺伝的なものであることも考えられる。

 「我々が遺伝的疾患を考えるときは通常、それを持って生まれてきた子供を考えるでしょう」と Novacic 氏は言う。「しかし、特定の障害を起こす素因を持っていても何年も発現しない場合が多くあります」

 Novacic 氏によると、手がかかりを求めて Schwartz さんの DNA は Baylor College of Medicine(ベイラー医科大学)で塩基配列の解析が行われている。今のところ結果はまだ確定していない。

 日中の腫脹をコントロールするために NIH の専門医らは Schwartz さんに特殊な圧迫帯を着用するよう勧めた。

 「強い血管壁がない場合、できる唯一のことは外側から圧迫することです」と Novacic 氏は言う。残念ながら、このチームには、彼の夜間の排尿を減らす方法については助言できていない。

 Novacic 氏によると、Schwartz さんのような診断が得られていない患者の非常に苦しい心境を強く感じているという。

 「それは大変厳しい状況です。多くの不安やためらいをお持ちです」と彼女は言う。

 Schwartz さんは、答えを見つけるために人間として可能な全てのことをしてきたという自覚から、自己満足を得ているのだという。

 彼は病気以外の事に取り組む努力をしている。一定の健康レベルを保つために特殊なローイングマシンで毎日トレーニングしている。彼の状況を良く知ってくれている親しい友人と時を過ごし、3人の成人した子供たちと楽しんでいる。財団の仕事は常勤だが、それから強い目的意識が与えられるだけでなく、病気による身体的・心理的悪影響からの貴重な気晴らしとなっている。

 同財団の依頼人には刑務所暮らしをした人間が多くいるが、Schwartz さんは、無実の罪で何十年も誤って投獄されていたある依頼人と親しくなっている。

 「彼は、私が経験してきたことをあらゆる意味でわかってくれます」と Schwartz さんは言う。その男性は最近、二人の人生に当てはまると考えて、ある引用文(作者不明)を送ってきたが、それはSchwartz さんの心に特に響くものだった。

“Anyone can give up, it’s the easiest thing in the world to do. But to hold it together when everyone would understand if you fell apart, that’s true strength.”

 “誰もがあきらめるかもしれない、それはこの世界で最も容易なことである。しかし、もしあなたの心がボロボロになったのではないかと誰もが思うようなときでも、それをしっかりと保持すること、それこそが真の強さなのである”

 

 

 “Zebra”とはシマウマのことだが、

症状から通常思いつかないような想定外の病気のことを指す

医学的隠語である。

これは蹄の音を聞いたとき、

ほとんどの人はその動物がまず馬であると想起するが、

それがシマウマ[zebra]であると思うことは

ほとんどないということからきている。

 

 

“Zebra”については

拙ブログの “蹄(ひづめ)の音は馬?それともシマウマ?” を

ご参照いただきたい。

 

医療教育上は、

"When you hear hoof beats, think of horses, not zebras."

(蹄の音を聞いたなら、シマウマではなく、まず馬を考えろ)

というのが診断の定石となっている。

つまり『ありきたり』の症状(たとえば鼻水)を見たら、

いきなり珍しい病気(髄液漏)を疑うのではなく、

まずはありふれた病気(カゼ)を疑え、と教えられるのである。

 

しかしこの考え方では、きわめてめずらしい病気の患者は

不利な状況に追いやられてしまう。

そこで、めずらしい難病を持つ患者たちの中には

『シマウマを考えて。シマウマは実在するのだから』

と主張し、啓蒙・支援活動を行っている人たちもいる。

 

それにしても、これほど医学の進歩した現代においても、

診断がつかない疾患がまだ多く存在しているとは…

驚きである。

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2019年10月新ドラマ

2019-09-09 19:58:43 | テレビ番組

今年も暑い夏だった…。

2019年7月ドラマもいよいよクライマックス。

 

取り立てて秀逸なドラマはなかったように思うのだが、

今回は久々に2桁、あるいは2桁に近い視聴率を

ゲットしたドラマの数が多かった。

一応各ドラマをざっと振り返ってみよう。


 『そんなん、お茶の子さいさいや~』(フジテレビ・『ルパンの娘』より)

 

9月8日放送分までの

平均視聴率[関東地区・ビデオリサーチ社調べ]上位から

7月クールドラマについてコメントする

【( )内数字は平均視聴率】。

 

 

①フジ月9 『監察医 朝顔』(12.44%) 

上野樹里演じる新米法医学者の朝顔が父親のベテラン刑事とタッグを組み、遺体の死因を究明してゆく法医学ドラマ、かと思ったが、実際は毎回、遺体の死因はあっというま(約40分くらい)に解決され、残り時間は主人公を取り巻く人間ドラマに早変わり?東日本大震災で行方不明になっている母親に対する父娘の心の葛藤が主として描かれた。ただ、どちらも中途半端に扱われているため、結局何が言いたいのかよくわからないドラマになった。しかも主人公は突然できちゃった結婚、で子供が誕生、何じゃこりゃ?単なるホームドラマとして楽しめばいいのかもしれない。堂々の視聴率トップは個人的には意外。

 

 

②TBS 日9 『ノーサイド・ゲーム』(11.70%)

社会人ラグビーチームのゼネラルマネジャーになった中年サラリーマンとラガーたちの奮闘劇。これまでの池井戸作品と寸分違わぬ展開で、努力はかならず実を結ぶという結果に。圧倒的資金力で有能な選手をかき集めた強豪に対して、気持ちと努力だけで勝てるほどラグビー界は甘いものではないと思うのだが…。ちょっととぼけたルックスの大泉洋演じるゼネラルマネージャー・君嶋隼人が経営のエキスパートだったといわれてもピンとこない。演技は頑張っていたようだが、彼が適役だとは全く思えなかった。全体にわざとらしい感動の押しつけがあり、心から感動することはできなかった。さすがにこのパターン、完全に飽きてきた感じである。

 

 

③テレ朝水9 『刑事7人(5)』(11.60%)

東山紀之演じる天樹悠を中心とした個性的な刑事たち7人が難事件に挑む姿が描かれた。相変わらず主人公の天樹悠のキャラがつかめないままドラマは進んだが、個人的にはテレ朝の警察ドラマ(『相棒』『科捜研の女』『刑事ゼロ』『特捜9』など)の中では一番まし、と思っている。ただ、気になるのは倉科カナ演じる水田環の態度のデカさ。可愛らしい顔とのギャップが大きく違和感あり。このキャラはもう修正不能だろうが、次シリーズを期待したい。

 

 

④日テレ 日10:30  『あなたの番です』(11.49%)後半のみ

マンション『キンクエ蔵前』、およびその周辺に相次ぐ謎の連続殺人の真相を追う本格ミステリー。主人公の一人、原田知世演じる菜奈ちゃんが死んでから反撃篇に突入。最初からずっと視ていても、どの住人が何号室なのかすら全く把握できない状況なのだが、視聴率の方はうなぎ上り。恐らく後から視始めた人たちはネットでしっかり学習し、我々以上にしっかり情報を把握されたに違いない。しっかり秋元康の戦略にハメられてしまった。とはいえ、最終話視聴率 19.4% にはびっくり。経過はどうあれ、皆さん、とりあえず真相だけは気になった?

 

 

⑤テレ朝木9 『サイン~法医学者 柚木貴志の事件~』(10.93%)

遺体の声なき声に耳を傾け続ける法医学者たちが不都合な事実を隠ぺいする権力社会に立ち向かう。韓流ドラマのリメイクだが、主人公の法医学者・柚木貴志(ゆずきたかし)のキャラがなかなかつかめない。天才法医学者というふれこみだったが、天才らしさは微塵も感じられなかった。『日本法医学研究院』から田舎に飛ばされたかと思えばまた舞い戻り、すかさず辞表を提出するなど、主人公があっちいったりこっちいったりで視ている側は落ち着かない。結局何がいいたいドラマなのかよくわからなかった。

 

 

⑥日テレ土10 『ボイス 110緊急指令室』(10.76%)

韓国ドラマ『ボイス〜112の奇跡〜』の日本版リメイク。敏腕刑事&声紋分析官がタッグを組み難事件に挑むサスペンス。冒頭から残虐なシーンが多く、引いた人も多かったのではないか。それにしても致命的なのは、重要な指令を発信する緊急指令室の室長である真木よう子の滑舌の悪さには驚いた。テレビを見ていても聞き取りにくいのに、ましてや現場の警察官たちには全く伝わらないのではないかと思うほど。重大な事件であっても出動する警察官はきわめて少なく違和感大。一見重々しい雰囲気を演出しているのだが、恐ろしくペラッペラなショボいドラマだった。唐沢寿明ももう少し役を選ぶべきだろう。

 

 

⑦日テレ水10 『偽装不倫』(10.08%)

見栄から既婚と嘘をついてしまった杏演じる独身アラサー女子・濱鐘子が、偽装“不倫”の深みにハマっていく。ただ、重要なその偽装不倫の相手・伴野丈役に宮沢氷魚を抜擢したのは失敗。もう少し表情豊かで存在感のある男優はいなかったのだろうか?一方、視聴者のドラマへの興味は主人公の偽装不倫にではなく、仲間由紀恵演じる鐘子の姉・葉子の非・偽装の不倫の方に集中。妻の不倫を疑う夫・賢治(谷原章介)と葉子のやりとりの方が、ハラハラドキドキで、結局このドラマの主題は一体何だったのだろうか?鐘子の同僚で婚活仲間の山田まさ子役の田中道子もミスキャスト。台詞は棒読みだし、そもそもとても婚活に苦労するようなルックスに見えず説得力ゼロ。作品の素材は悪くないと思うのだが、的確なキャスティングをしていればもう少しましなドラマになったのではないだろうか。

 

 

⑧TBS金10 『凪のお暇』(9.80%)

仕事も恋も全て捨てた28歳OLが、会社も人間関係も全て断ち、郊外の六畳一間で人生を見つめ直していく日常ドラマ。ドラマの中では(武田真治以外は)地味な人間同士の何気ないやりとりが主体で、特に大きな出来事があるわけでもないのだが、それでもちゃんとドラマになっていることに感動した。やはり、脚本、出演者の演技によるところが大きいということなのだろう。

 

 

⑨TBS 火10 『Heaven?~ご苦楽レストラン~』(8.68%)

石原さとみ演じる変わり者オーナーと個性的なレストラン・スタッフらが巻き起こすドタバタ・コメディ。相変わらず石原がオーバーで早口に演じるオーナー・黒須仮名子の傍若無人なふるまいにレストラン・スタッフらが翻弄されるのだが、黒須に対する反応はそれぞれの頭の上に現れる生首にしゃべらせ、挙句の果ては空中に大きな“諦観”の文字が…。特に気の毒だったのは仕事のできないコミドラン・川合太一を演じた志尊淳。その話し方といい、ルックスといい、えっ?瀬川瑛子のものまね?これほど次週を楽しみにできなかったドラマもめずらしい。

 

 

⑩フジ木10 『ルパンの娘』(6.76%)

 

泥棒一家の娘と警察一家の息子との恋愛描いたラブコメディ。深キョン主演ということで全く期待していなかったが、個人的には今クール一番のドラマだった。コメディもあそこまで突き抜けると痛快である。『ロメオとジュリエット』をパロった BGM、泥棒一族の活動シーンでかかるテーマ曲、突如現れるミュージカルシーンなど、随所にみられるおふざけが心地よかった。が、なぜか視聴率は低調。こんなドラマを好む人は少数派なのだろうか?実に残念である。

 

 

⑪フジ(関西テレビ)火9 『TWO WEEKS』(6.39%)

殺人犯として追われる男が、白血病の娘のドナーとなるべく逃亡を続けるヒューマンサスペンス。主人公・結城大地を演じた三浦春馬は演技にアクションに頑張っていたが、一方の悪役が黒木瞳、高嶋政伸というだけで、緊張感が激減。本当に悪い奴を演じ切れる俳優が絶滅した昨今では仕方がないのだろうか。子役は健闘していたのだが…。いかにも韓流ドラマという内容だった。

 

 

⑫テレ朝金 11:15(金曜ナイトドラマ) 『セミオトコ』(3.48%)

アラサー女性に命を救ってもらったセミが人間になり、恩返しとして7日間一緒にいることになるという信じられない内容のドラマ。7日間というタイムリミットのために男をセミという設定にしたのだろうか?女性の方は地味なアラサーということだが、木南晴香ではさすがに役不足。一方の山田涼介も、どう僕の顔、いかしてるでしょ感ありありで見るに堪えず。というわけで2話でリタイア。阿川佐和子や檀ふみの演技も痛かった。

 

 

日テレが3本とも2桁ゲット。

フジは月9で1位を奪うが、それ以外の2本が惨敗。

 

日韓関係がギクシャクしている最中に、

韓流ドラマのリメイク3本とは…タイミングが悪すぎる。

 

つまらないドラマでもそこそこ視聴率が獲れていたり、

いいドラマと思っても意外に視聴率が伸びなかったり、で

視聴率を左右する要因がよくわからないクールだった。

 

それでは、ここからは次クール秋ドラマに話を移す。

2019年10月からの新ドラマをチェックしてみたい。

 

 

 

フジ月9 10/7 ~ 『シャーロック』 ディーン・フジオカ、岩田剛典(EXILE/三代目 J SOUL BROTHERS)、佐々木蔵之介、他

アーサー・コナン・ドイルの小説『シャーロック・ホームズ』を原案に、令和の東京を舞台にフリーランスの犯罪捜査屋と精神科医がバディを組み難事件に挑むストーリー。脚本は『昼顔』などの井上由美子。ディーン・フジオカが主人公のフリーランスの犯罪捜査専門コンサルタント“シャーロック”を演じる。 “シャーロック”は、幼い頃から、人間が犯罪者へと変貌する心理や、人間の原罪というものに強く魅せられ、学生時代からさまざまな不可解な事件や事象の謎を解いてきた“天才”である一方、一歩間違えば自身も犯罪者になりかねないという“犯罪衝動”を抱えた危険な男でもある。事務所は持たず、警察や個々のクライアントから舞い込んでくる調査依頼の中から興味のあるものだけを請け負う自由気ままなタイプ。一方、“シャーロック”の相棒、“ワトソン”を岩田剛典が演じる。都内の病院に勤務する精神科医で、冷静かつスマートな常識人。端から見ると善良な人物に映るが、実際は傷つきやすいハートの持ち主で、幼い頃から“良い子”の仮面をかぶり、自信の無さの裏返しから、常に虚栄心や煩悩と葛藤するナイーブな性格の男。後にバディを組むことになる“シャーロック”とはある事件を通じて知り合い、初めこそ「横柄で失礼なヤツだ」とネガティブな印象を持つが、心の壁をお構いなしに越えてくる“シャーロック”の人たらしの態度に次第に心地よさを感じるようになる。ついには同居生活を送るようになり、令和の東京で複雑な難事件の解決に奔走する。この二人の他に、シャーロックに事件の捜査依頼をする警視庁刑事部捜査一課の警部・江藤礼二を佐々木蔵之介が演じる。江藤はノンキャリながら自身を有能だと思い込んでいるが、実はサボり癖があり捜査能力は高くない。イケメンの二人を揃えた推理ドラマで、ある程度視聴率は期待できそうだ。

 

 

フジ(関西テレビ)火9 10/8 ~ 『まだ結婚できない男』 阿部寛、吉田羊、深川麻衣、塚本高史、平祐奈、咲妃みゆ、阿南敦子、奈緒、荒井敦史、小野寺ずる、美音、不破万作、三浦理恵子、尾身としのり、稲森いずみ、草笛光子、他

『結婚できない男』13年ぶりの続編作。独身貫き53歳になった主人公・桑野通じて、晩婚化が進んだ令和日本を描き出す。脚本は、前作と同じ尾崎将也。2006年7月クールで放映された『結婚できない男』は偏屈で独善的で皮肉屋、だが、どこか憎めない独身の建築家・桑野信介がある女性との出会いをきっかけに恋愛を意識し、結婚を真摯に考えるまでの日常を描いた作品だった。今回は、前作から13年後、53歳になり偏屈さにさらに磨きがかかり、独身生活を継続中の桑野のリアルな日常が描かれる。阿部寛演じる桑野信介は、腕のいい建築家。ルックスもさることながら、収入も人並み以上。仕事はできるが、プライドが高くこだわりが強い。周囲の親切心を度々あだで返したり、頼んでもいないのにうんちくをひけらかしたり、自分と同じレベルの高い知識を持たない人たちにきつく当たってしまったりするため、周囲をいらつかせ、衝突することもしばしば。恋愛においては、自身の担当医だった早坂夏美(前作で夏川結衣が演じた)と交際まで発展したものの、愛想をつかされてしまい、その後破局。恋愛モードに傾いていた桑野の気持ちは、再び固く閉ざされ、独り身を謳歌する生活に逆戻り。『結婚なんてメリットがない』と考えていた桑野だったが、53歳となり、将来のことを考えると、やや不安を感じ始めていた。そんな中、偶然出会った女性たちとの間で、運命の歯車が突然、動き始める。弁護士のまどか(吉田羊)、隣人の早紀(深川麻衣)、カフェ店長の有希江(稲森いずみ)らとの出会いが彼を、そして彼の運命を変えていくことになる。前作では平均視聴率16.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と人気ドラマだったが、主人公が年を重ね、平成の半ばから令和へと時代も変わった今、その面白さが維持できるだろうか。

 

 

TBS 火10 10/15 ~ 『G線上のあなたと私』 波瑠、中川大志、松下由樹、鈴木伸之、桜井ユキ、滝沢カレン、他

『あなたのことはそれほど』で知られる漫画家・いくえみ綾の人気作『G線上のあなたと私』をドラマ化。脚本は安達奈緒子。波瑠演じる主人公・小暮也映子(こぐれやえこ)は寿退社直前に婚約破棄され、仕事も結婚も失う。そんな日にたまたま聞いた『G線上のアリア』の生演奏をきっかけに、大人のバイオリン教室に通い始める。そこには一筋縄ではいかない恋愛、仕事、家族などで様々な問題を抱える人たちが集まっていた。そんな悩める大人が通うバイオリン教室を舞台に恋と友情の物語が繰り広げられる。バイオリン教室で出会うイケメン大学生・加瀬理人(かせりひと)を中川大志、主婦・北河幸恵(きたがわゆきえ)を松下由樹が演じる。また、バイオリン教室の講師・久住眞於(くずみまお)に桜井ユキが配役、眞於は、也映子と同じように過去に婚約を破棄された苦い経験を持つ謎めいた雰囲気を持つ美女。理人はその元婚約者・加瀬侑人(かせゆうと)(鈴木伸之)の弟で、初めて出会った時から彼女のことが気になっており、偶然の再会から想いを募らせている。兄の侑人は、眞於と婚約中に別の女性と子どもをもうけたため、眞於との婚約を破棄し、その女性と結婚した経緯がある。理人の眞於への恋心に気付き、恋に不器用な理人の心をかき乱していく。確か、波瑠は『サバイバル・ウェディング』でも寿退社したその夜に婚約破棄されるという主人公を演じており、そんなひどい目に遭う女性が適役なのかもしれない。バイオリン教室を舞台に展開される地味~なドラマと推察される。

 

 

テレ朝水9 10/9 ~ 『相棒(18)』 水谷豊、反町隆史、浅利陽介、川原和久、山中崇史、山西惇、神保悟志、仲間由紀恵、石坂浩二、杉本哲太、柄本明、他

ついに18シーズンで放送20周年に突入。短命が懸念されていた反町とのコンビも5シーズン目となった。ちなみに初代・寺脇康文は7シーズン、2代目・及川光博は3シーズン、3代目・成宮寛貴は3シーズンだった。前シーズンで、突如、不自然に姿を消した小料理屋・『花の里』の2代目女将・月本幸子(鈴木杏樹)の後任が誰になるかが話題となっているらしい(どうでもいいと思うが)。なお初代は杉下右京の元妻・宮部たまき(益戸育江)だった。ドラマに新鮮味は全くないが、特に残虐なシーンもなく安心して見られるという点では安定した視聴率が期待できそうだ。

 

 

日テレ水10 10/9 ~ 『同期のサクラ』 高畑充希、橋本愛、新田真剣佑、椎名桔平、他

『過保護のカホコ』の脚本家・遊川和彦が手がけるオリジナルドラマ。忖度できない主人公の10年にわたる社会人生活を描いた成長劇。北の小さな離島から1人上京した主人公・サクラ(高畑充希)。都会に出て周囲が自分と違うことに戸惑う。大手ゼネコン・花村建設の入社式で、「私の夢は故郷と本土を結ぶ橋を架けること」と社長に宣言。夢に向かって脇目も振らず突き進むサクラに、最初は冷めていた同期たちも次第に巻き込まれていく。しかし、配属に影響する大事な新人研修で、社長の理不尽な言動に、サクラの『忖度できない』性格が思わぬ事態を引き起こす。その他の登場人物には、まず、サクラが入社してから配属までの研究期間で同じグループになった5人のうちの1人、クールで場の空気を読み、常に『自分の居場所』を探している月村百合に橋本愛、サクラと同期で、国交省官僚の父と東大卒のエリート官僚である兄に強いコンプレックスを持つが社長を目指すと明言する野心家・木島葵に新田真剣佑、花村建設の人事部長でサクラの上司として深く関わる人物・黒川森雄に椎名桔平がキャスティングされている。どんな逆境にも自分を貫くサクラと、その同期たちの10年間の物語が、一話ごとに1年が描かれていく。遊川作品ということで、単純な職場ドラマではないのかもしれない。

 

 

テレ朝木9 10/17 ~ 『ドクターX~外科医・大門未知子~第6シリーズ』 米倉涼子、内田有紀、岸部一徳、遠藤憲一、勝村政信、鈴木浩介、市村正親、ユースケ・サンタマリア、武田真治、清水ミチコ、藤森慎吾、戸塚純貴、西田敏行、他

『いたしません』『私、失敗しないので』の大門未知子が2年ぶり、第6シリーズに突入。前シリーズで後腹膜肉腫の襲われたフリーランスの天才外科医・大門未知子(米倉涼子)が奇跡の復活を遂げ再び東帝大学病院へと舞い戻る。2019年、権威世代と次世代のバランス、コンピューターやAIとの共存など多くの問題に大混乱に陥っていた医療界にあって、東帝大学病院もかつてないほどの大赤字に見舞われていた。そんな倒産寸前の“白い巨塔”にやってきたのは、『ハゲタカ』の異名を持つ投資家のニコラス・丹下(市村正親)。世界でも指折りの企業再生のプロである丹下が打ち出す再生プランとともに東帝大学病院は経営再建の道を歩み始めることになる。しかしそれは一方で“医療の合理化”を迫られるということでもあり、病院はリストラやコストカットという現実にも直面。命のやりとりをする医療現場は、ビジネス最優先となり、ますます政治と権力争いの場へと変貌を遂げていった。そんな中、丹下に呼ばれて東帝大学病院にやってきた未知子は新たな権力争いが激化する“白い巨塔”で、再び孤高の戦いに挑むことになる。市村以外の新しい出演者には、丹下の使用人で東帝大学病院の新事務長に就任した鮫島有に武田真治、丹下がボストンから呼び寄せたインテリジェンス手術担当外科部長・潮一摩にユースケ・サンタマリア、内科医・浜地真理に清水ミチコなど。健康面が心配されている院長・蛭間重勝役の西田敏行は大丈夫だろうか?

 

 

フジ木10 10/17 ~ 『モトカレマニア』 新木優子、高良健吾、浜野謙太、山口紗弥加、田中みな実、小出伸也、他

『Kiss』(講談社)で連載中の難波ユカリの同名漫画をドラマ化。元カレが好きすぎるモトカレマニア(MKM)女子の生態を描いたラブコメディ。新木優子と高良健吾のW主演。見た目が悪いわけではなく、コミュニケーションが下手ということもないのにうまく恋愛ができない27歳独身の難波ユリカ(新木優子)。その理由は、初めて付き合った彼氏・マコチこと斉藤真(高良健吾)との恋愛にあった。初めての恋愛はあまりにも順調で、恋愛スキルを磨くこともなく、好きな人といい雰囲気になり自然と付き合うことの尊さも知らずにいた。しかし、自分の就職をきっかけに生まれたすれ違いから、ユリカはマコチを振ってしまう。すぐに次の彼氏と素敵な恋愛ができると思っていたユリカだったが、その後付き合った2人の男はクズだった。もはや3人目と付き合う勇気はなく、ユリカが出した答えは、『幸せだった過去の恋の時間に浸っていよう』。で、最初に付き合った彼氏・マコチとの幸せな思い出を日々の楽しみとして妄想する日々を送るモトカレマニアとなってしまっていた。元カレのマコチを好きすぎるあまり毎朝 SNS で名前を検索したり、心の中でマコチと妄想の会話をしたり、初対面の男性に対して“元カレスカウター”なるものを起動させ、マコチとのかすかな共通点を未知受けると恍惚の表情を浮かべるユリカ…。ところが、ユリカの美しい思い出に浸る時間を破壊する出来事が起きる。ユリカが就職した不動産会社の同僚として元カレ・マコチと再会したのである。マコチは30歳独身のイケメン。真っ直ぐ過ぎる性格のあまり、知らず知らずのうちに自らの言動でユリカの心を大きく揺さぶってしまう。元カレの存在を引きずる“イタカワ女子(イタいけどカワイイ女子)”のぶっ飛びOLの混乱と暴走と試行錯誤の物語が展開される。表情に乏しい新木優子がこの大役をこなし切れるだろうか?ちょっと不安。

 

 

TBS金10 10/11 ~ 『4分間のマリーゴールド』 福士蒼汰、菜々緒、桐谷健太、横浜流星、他

キリエの同名少女マンガを実写化。人間の余命が視える特殊体質の主人公と余命1年の義姉との禁断のラブストーリー。福士蒼汰演じる主人公の花巻みことは25歳、3年目の救急救命士。手を重ねた人の最期の姿が視えるという特殊な能力を持つ。どれだけ手を尽くしてもそのビジョンは必ず現実になるため、救急救命士としてやりきれない思いを抱えている。実母は幼い頃に病死しており、9歳の時に父が再婚。義母とその連れ子である3人の兄弟と家族になったが、10歳の時に父も他界した。義母はフリーカメラマンで不在がちのため、兄弟3人と共に暮らしている。みことは 幼い頃から義姉の沙羅(菜々緒)に想いを寄せているが、ある時、沙羅の寿命が1年後の28歳の誕生日までという運命を知ってしまう。もちろん本人もそのことは知らないため、みことは誰にも言えない秘密を抱えることになる。その他の登場人物としては、花巻家の長男・廉(れん)を桐谷健太が演じる。元ヤンキーで強面だが、誰よりも家族思いで困ったときはいつも寄り添ってくれる。また、花巻家の末っ子・藍(あい)に横浜流星。兄弟の中で一番クールに見えるが、時折子供っぽい一面を見せることもあり、特に沙羅から可愛がられている。年齢も性格もバラバラな4人が、互いに助け合い、ときには衝突しながらも和やかに暮らす日常と、沙羅が1年後の誕生日に死ぬという悲しい運命が切なく描かれる。“一つ屋根の下”のSF悲劇版、のようなドラマ?ちなみにタイトルにある “4分間” とは、救命において呼吸停止から蘇生までの生死を分かつタイムリミットを示すらしい。

 

 

テレ朝金 11:15(金曜ナイトドラマ) 10/11 ~ 『時効警察はじめました』 オダギリジョー、麻生久美子、吉岡里帆、磯村勇斗、内藤理沙、田中真琴、他

 『金曜ナイトドラマ』枠 2006年1月クールで放映された『時効警察』(平均視聴率 10.1%)、同 2007年4月クールで放映された『帰ってきた時効警察』(平均視聴率 12.0%)から12年ぶりに第3シリーズとして復活。時効成立事件を趣味で捜査する変人警官・霧山が、時効廃止された現代日本を舞台に再始動する。三木聡によるオリジナル脚本。2010年4月に殺人事件の時効は廃止されているが、それ以前に時効が成立した事件は多く残っており、刑事責任を問われることなく逃げ切った“元犯人”も多く存在する。今シリーズでは、そんな“逃げ切った犯人”と時効事件を趣味で捜査する男・霧山修一朗の対決が描かれる。オダギリジョー演じる霧山は出向していたアメリカの FBI から12年ぶりに帰国。再び総武署の“時効管理課”に戻ってきた。“時効管理課”の主な仕事は、時効になった事件の資料を検察へと送ることと、その捜査資料の管理だが、殺人など重大事件の時効が廃止され、以前よりもさらに窓際な部署になっていた。そんな古巣に戻ってきた霧山は、時効を迎えた事件を私的に捜査するという“趣味”を再開する。霧山にとって、捜査はあくまで趣味なため、たとえ犯人を突き止めたとしても成敗などするわけではなく、自分の推理が正しいことを確かめるだけで満足。真相を暴かれた犯人を安心させるため“誰にも言いませんよカード”を手渡す。今回も時効捜査の助手・三日月しずかを麻生久美子が演ずるほか、吉岡里帆、磯村勇斗、内藤理沙、田中真琴らが出演。なぜ今12年ぶりの復活なのかよくわからないが、軽いタッチのコメディーミステリーとして気楽に視られそうである。

 

 

日テレ土10 10/12 ~ 『俺の話は長い』 生田斗真、安田顕、小池栄子、清原果耶、原田美枝子、他

脚本家・金子茂樹が手がけるオリジナルドラマ。30代無職、口だけ達者な屁理屈ニートと家族とのやりとり描いたホームコメディ。生田斗真演じる主人公・岸部滿は無職のニートで実家に寄生中の31歳。現実逃避のための言い訳とヘリクツの天才。大学卒業後コーヒーにはまり起業したものの失敗。自分でも何とかしたい気持ちはあるが、7年間ニートを続けている。口だけは達者で、口げんかだけは誰にも負けない。屁理屈を駆使し自分のダメさをごまかし続けて生きてきた。夫が残した喫茶店を営む母親・岸部房枝(原田美枝子)と同居していた彼だったが、マイホーム建て替えのため一時避難で転がり込んできた姉家族によって、その人生が大きく動き出す。姉は弟の屁理屈を『単なる現実逃避』と断じ、弟がこうなったのは母さんにも責任があると母に詰め寄る。『変わるのが怖い、しんどい』がゆえに屁理屈をこきまくるダメ男が苦悩や挫折と奮闘する中で、家族と絆を深めていく様が描かれる。滿の姉・秋葉綾子に小池栄子。バツ1で今の夫・光司(安田顕)と再婚。綾子の前の夫との間に出来た娘で不登校の中学3年生・春海を清原果耶が演じる。

 

 

NHK日8 継続 大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』 中村勘九郎、阿部サダヲ、ビートたけし、森山未來、神木隆之介、役所広司、綾瀬はるか、他

ついに視聴率5.0%まで低下。落ちるところまで落ちた歴史的大河ドラマ。死去した萩原健一が出演してもさして話題にもならなかった。既に大半の大河ドラマファンにも見捨てられた状況だ。昔の日本は競泳が強かったんだ~と意外な事実に驚かされる程度で、依然として大きな感動がないのが致命的。恐らくこの低迷した状態のまま終わりを迎えることになるのだろう。やはり大河ドラマは戦国時代か明治維新しかネタにならないのだろうか。

 

 

TBS 日9 10/20 ~ 『グランメゾン東京』 木村拓哉、鈴木京香、玉森裕太(Kis-My-Ft2)、尾上菊之助、及川光博、沢村一樹、他

キムタク1年半ぶりドラマ主演。ドン底に落ちたフランス料理シェフが人生の再起を図る“大人の青春”ドラマ。脚本家・黒岩勉によるオリジナルドラマ。豪華メンバーの集結もさることながら、本場パリの三つ星レストラン『ランブロワジー』でドラマ撮影、と相当の熱の入りようである。木村拓哉が演ずるのは主人公の型破りなフランス料理のシェフ・尾花夏樹(おばななつき)。料理に人生をかけ、パリに自分の店を持ち、二つ星を獲得する。しかし己の慢心から招いた重大事件によってその座を追われ、店も仲間もすべて失ってしまう。どん底まで転落した尾花が鈴木京香演じる女性シェフ・早見倫子(はやみりんこ)と出会い、もう一度シェフとして生き直し、周囲と衝突しながらも世界最高の三つ星レストラン『グランメゾン東京』を作り上げようとする。最高のスタッフを集めようとするが、かつての仲間に拒絶されたい、新しい才能の持ち主を見つけてもうまくいかなかったり難題続き。しかし奮闘を続ける尾花の姿を見て周囲の人々の態度も少しずつ変わっていく。尾花と二人三脚でパリの店を二つ星レストランにした支配人・京野陸太郎に沢村一樹、現在は一つ星硬球フレンチレストラン『gaku』のギャルソン。同レストランのシェフ・丹後学に尾上菊之助、尾花の宿敵となる。人気WEB料理研究家・相沢瓶人に及川光博、レシピサイトに動画を投稿している。尾花の理解者。そして一流ホテルのブッフェレストランの最年少料理長・平古祥平に玉森裕太、フランスにいた頃、尾花の弟子として働いていた。キムタクがどん底から這い上がるといえば『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!』が思い浮かぶが、これはそのシェフ版のような作品か。

 

 

日テレ 日10:30 10/13 ~ 『ニッポンノワール~刑事Yの反乱』 賀来賢人、広末涼子、井浦新、北村一輝、他

脚本家・武藤将吾が手がけるオリジナル刑事ドラマ。殺害された刑事の真相をめぐって登場人物たちの交錯と裏切りを描いたミステリー。タイトルの『ニッポンノワール』の意味は不明だが、直訳すれば『日本の闇』となるようである(『日本の悪』ではないようだ)。警視庁の刑事・遊佐清春(賀来賢人)は冷徹で目的のためには手段を選ばない刑事だった。あるとき、遊佐が森の中で目が覚ますと、その横には上司だった女性刑事の遺体があった。遊佐の右手には拳銃が握られていた。そしてなぜか遊佐の記憶は数ヶ月消し飛んでいた。女性刑事を殺したのか、それとも何者かにハメられたのか?事件の証拠は潰されていき捜査は偽装されていく。遊佐を疑い追いかける同僚刑事。かつての仲間は一夜にして敵に。相棒は亡き女性刑事の一人息子である幼き少年ただ一人。やがて事件は未解決の『十億円強奪事件』の真相へと繋がっていく。女性刑事を殺したのは?十億円を奪ったのは?疑いが加速し裏切りが止まらない。一人の刑事が巨悪に反乱を起こし予想を覆し続ける展開が待ち受ける。ドラマ冒頭遺体で発見される女性刑事・碓氷薫(うすいかおる)に広末涼子。シングルマザーとして息子を育てていたが類い希なる容姿と優秀な捜査能力から捜査一課のマドンナと呼ばれていた。また、碓氷の事件の捜査に緊急招集される公安部の超有能刑事・才門要に井浦新。新人時代の遊佐に刑事にイロハを叩き込んだ人物だが、何を考えているのかまるでわからない雲のような存在。また物語の要となる人物、捜査一課長・南武修介を北村一輝が演じる。賀来賢人主演と聞いてコメディかと思われるかもしれないが、シリアスなミステリードラマのようである。

 

 

というわけで、次クールもつまらなそうなドラマが目白押し。

視聴率レースは、米倉涼子とキムタクの一騎打ちか?

 “往年の”スター対決に視聴意欲は全く湧いてこないのだが…。

ま、大きな期待を抱かず、秋ドラマ、

しっかり見守っていくことにしたい。

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