MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

その症状、癌じゃない?

2017-09-11 17:20:41 | 健康・病気

9月のメディカル・ミステリーです。

 

9月2日付 Washington Post 電子版

 

Her weight loss and pain looked like cancer. The real reason was hidden for years.

彼女の体重減少と痛みはまるで癌を思わせた。しかし実際の原因は何年も潜んでいたものだった。

 

By Sandra G. Boodman, 

 恐ろしいほど完璧に筋が通っていた、神経内科医の Thy Nguyen(ザイ・グエン)氏が隠れている癌を調べるために検査を行うことを淡々と説明したとき、そう考えたことを Gail T. Wells(ゲイル・T・ウェルズ)さんは思い出す。

 腹痛、増悪する症状、絶え間ない咳、体重減少、激しい倦怠感など、Wells さんを苦しめ、医師らを困惑させてきた悪化していく諸症状については、癌であったとすればそれらを説明できた。

 「私は死ぬのだと思いました」nurse practitioner(上級看護師)の Wells さんは2006年2月のNguyen 氏との最初の出会いのことについてそう話す。Nguyen 氏はヒューストンにある University of Texas Health Science Center 神経内科の准教授である。「実のところ私は驚きませんでした。むしろ無抵抗にあきらめる感じでした」

 しかし、そのあきらめは淡々とした恐怖の企てによって中断された。ただちに Wells さんは悪性腫瘍が潜んでいる箇所を特定するためにマンモグラムや他の画像検査を受けることとなったのである。彼女は夫と4人の成長した子供たちにこのことを伝え、自身の葬儀の手配を再検討し、将来について覚悟を決めようとしたのだが…。

 その4日後、神経内科医が電話をかけてきた。Wells さんの血液検査では癌の徴候は見られなかった。実際ほとんどの検査が正常だった。しかし、ある検査で、Wells さんは全く知らなかった、長年抱えていたある病気が明らかになったのである。

 

医学的問題が診断、治療された今、Gail Wells さんは目が覚めるごとに命の有り難みを感じているという。

 

 「そう言われるくらいなら私が妊娠してるとでも言ってくれたら良かったのにと思います。それほど私には驚きでした」当時62才だった Wells さんはそう思い起こす。

 その検査結果は、彼女の診断、およびその後の治療の成功の鍵となった。その可能性は繰り返し見逃されてきていたが、それは、Wells さんがその疾病を持つ患者によく見られる症候を示していなかったからである。

 長らく病院で働いていたが、2005年、Wells さんは保険に未加入の人や、十分な保険に入っていない人を治療するプライマリー・ケア診療所をヒューストンに開設した。

 彼女は、他の人なら非常に大変と考えるようなペースで長い間活躍してきた:一日12時間働き、その間は忙しくてしばしば食事も摂れないほどだった。健康を保つために彼女は定期的に走ったり運動したりした。彼女の唯一の目立った問題は時々起こる片頭痛だけだった。

 約15年前、片頭痛の治療に用いられる強力な抗てんかん薬を内服したあと、末梢神経障害が起こり両足趾のしびれが出現した。その薬を中止したところその症状は軽減したが、完全には消失しなかった。

 2010年、Wells さんに胸やけと、続いて慢性の咳が見られたが、それらは酸の逆流によるものと彼女は考えた。

 2013年、夫の引退を機に、Wells さんも引退した。彼女はクリニックを売却し、夫婦は多くの時間を旅行に割くことにした。それからの2年間、彼女らはポルトガル、スペイン、イタリア、カリブ海を訪れたが、Wells さんには徐々に旅行が楽しくなくなり、困難なものとなっていった。運動のために行う近所の散歩のような活動すら身体的にひどく疲れるようになっていることに気付いた。

 彼女も夫も、うつ状態になったのではないかと考えた。Wells さんは何年もの間忙しかったので、引退してしまうと、彼女の日々を満たしてくれるものが比較的少なかった。自身の不調を克服するために、彼女はいくつかの大学院医学コースを専攻し、臨時の看護の仕事の斡旋所に登録した。

 しかしいずれも効果はなかった。彼女の倦怠感は増悪し、徐々に人との交流に疲れやすくなっていった。パジャマを脱ぐ気力すらない日々もあった。

 さらに Wells さんには新たに奇妙な症状が出現した。彼女が熟睡状態から強いけいれん性の腹痛で目覚めてしまうことが月に1、2度見られるようになった。嘔吐により痛みが和らぐこともあったが、一般にはおよそ8時間前後で消失することが多く、これにより精神的に憔悴した。

 2013年から2015年の間に Wells さんは体重もおよそ10ポンド(約4.5kg)減ったが、彼女はそれを食習慣の改善と、仕事の後に習慣的に飲んでいたグラス2杯の赤ワインをやめたことによるものと考えた。意図的でない体重減少は癌などの隠された病気の徴候である可能性があったことから、彼女のかかりつけ医は肝臓、腎臓、および膵臓を調べる検査をオーダーした。

 すべては正常のようだった。その医師は彼女に胃腸科医を受診するよう勧めた。Wells さんは、通常のリスクの人でも50才時に行うことが推奨されている大腸内視鏡検査も受けたことがなかった。

 「私はすごい臆病者なのです」と彼女は言う。

 

‘Blocks of ice’ ‘氷の塊’

 

 しかし2015年8月、胃腸科の受診をする前に Wells さんは驚かされるエピソードを経験した。彼女の左足と下唇が突然しびれ、舌がビリビリし始めたのである。Wells さんによると、意識がしっかりしていたので脳卒中を起こしているとは思わなかったという。その症状は数時間以内に軽快した。彼女が神経内科医を受診したところ、その医師は多発性硬化症、あるいはビタミンB12欠乏症を疑ったが、いずれもすぐに除外された。しかし、神経の障害を評価するために皮膚に張り付けた電極を用いて行われる神経伝導検査で、彼女の左下腿と両足の神経伝導速度が低下していることがわかった。

 原因疾患が発見できなかったため Wells さんは idiopathic degenerative neuropathy(特発性変性性ニューロパチー=明確な原因のない神経の障害)と診断され、筋肉の機能を保持するために身体をよく動かすよう助言された。

 しかし、それも徐々に難しくなっていった。

 ヒューストンの暖かい冬の間でも、彼女の足は常にしびれて冷たく、まるで“氷の塊”のようだった。彼女は一日中ウールの靴下を履き、電気毛布と2枚の掛布団を掛けて眠った。咳は増悪し、Wells さんは周期的に息切れを感じたが胸部CTと結核の検査は正常だった。

 「私は超特急で年を取っている感じでした。」と彼女は言う。「『70代や80代の人たちはどう対応しているのだろう?』と思いました」

 2016年2月、彼女はセカンド・オピニオンを求めて Nguyen 氏に相談した。

 「彼女が涙ぐんでいたことを覚えています。彼女はこう言いました。『引退を楽しみにしていましたが、今私は何もできません』と」そのように Nguyen 氏は述べ、彼女の神経学的検査は彼女が説明する筋力低下と一致していたと Nguyen 氏は付け加えて言う。

 Nguyen 氏は神経伝導検査を再度行うことにしたが、それにより著明な悪化が示された。「事態はかなり早く進んでいました。きわめて異常でした。あの時点では、従来の常識にとらわれずに考える必要がありました」と Nguyen 氏は言う。

 神経内科医の Nguyen 氏は複雑な血液検査を依頼した。彼女の考えによると、最も可能性の高い原因として、paraneoplastic syndrome(腫瘍随伴症候群;この症候群の症状は癌に反応して血液中を循環する物質によって引き起こされる)、ビタミンB6値の上昇、あるいは粘膜や関節を攻撃する自己免疫疾患である Sjogren’s syndrome(シェーグレン症候群)があった。

 4日後、Nguyen 氏は Wells さんの血液検査の結果を受け取った。

 「私は実に驚きました。そして私は緊張しながら電話をかけその知らせを伝えました」と、その時のことをこの神経内科医は思い起こす。

 潜在的な癌がある徴候はなかった。しかし、Wells さんは明らかにC型肝炎に感染していたのだ。これは肝臓癌を引き起こすこともあるため致命的ともなりうる疾患である。

 

‘Gobsmacked’ by a blood test ‘非常に驚きの’ 血液検査

 

 原因不明にC型肝炎は Wells さんの世代の人たち、すなわち1946年から1964年までに生まれたベビーブーム世代に最も多くみられる:これは医療関係者にとって偶発的な針刺し事故やそれ以外にも患者の感染血液との接触の結果としてみられる職業上の危険の一因となっている。1989年に発見されたC型肝炎の治療に特化して承認された経口薬は 2014 年まで存在しなかった。

 「私は Nguyen 医師の知らせに非常に驚きました」と Wells さんは思い起こす。彼女が何年も前、中でも最も疑わしいのは1983年に緊急室で、サトウキビの伐採などに用いられる山刀・マチェーテで襲われ大出血していた麻薬の売人の治療に当たっている時に、C型肝炎とは異なる感染症であるB型肝炎に接触していたことを、彼女は覚えており、そのことを彼女がかかったすべての医師に話してきた。その出来事から数日後、彼女は検査でB型肝炎陽性と出た。成人の95%がそうであるように、Wells さんは身体からウイルスが排除され、その後、B型肝炎に対して免疫ができた。

 しかし、ほとんどの成人は身体からC型肝炎を排除することができず、知らないうちに深刻で慢性の感染に移行し続け、長年にわたって悪化し、肝臓に障害を及ぼす可能性がある。

 あの同じ出来事の間にC型肝炎にも感染したと Wells さんは考えている。というのも当時二重感染はよく見られていたからである。

 しかし彼女の肝機能検査はいつも正常だった。

 それでは彼女の諸症状の原因は一体なんだったのか?

 Wells さんには C型肝炎によって引き起こされる Type 2 mixed cryoglobulinemia (タイプ2 混合型クリオグロブリン血症=寒冷グロブリン血症)と呼ばれるまれな異常があることが判明した。

 これは、血液中の異常たんぱくであるクリオグロブリンが濃度を増し凝集すると、臓器周辺への血流が障害され、同時に血管に損傷を引き起こされることで生ずる。クリオグロブリンはしばしば C型肝炎や自己免疫疾患に応答して生じ、慢性C型肝炎感染を持つ人のおおよそ半数が血中にクリオグロブリンを有すると考えられているが、それらの30%未満の人が症状を発現する。それらの症状として、倦怠感、腹痛、筋力低下、末梢神経障害、さらには、血管の狭窄を引き起こす低温やストレスに対する反応としてみられる Raynaud's disease(レイノー病)などがある。クリオグロブリン血症は女性が男性の約3倍多くみられる。報告されている症例の大部分は40才から60才の人となっている。

 「これは肝臓以外で見られるC型肝炎の症状で最も多いものです。ヨーロッパでは一般的に認識されています」

 Nguyen 氏の推測では、この異常が見逃されていたのは、腹痛、しびれ、倦怠感という Wells さんの症状が他の多くの疾患と共通するものだったからだという。そして、Nguyen より前の医師たちは誰も Wells さんにC型肝炎の検査を考えていなかった。

 Wells さんは肝臓専門医を受診し、2016年の夏、およそ 92,000ドル(約1,010万円)かかるものの、C型肝炎を効率的に治癒できると考えられている薬剤 Harvoni(ハーボニー)を用いた12週間のコースが始まった。彼女の血中クリオグロブリン値は順調に低下し、今年の4月までに検出されなくなった。(当時は Harvoni がB型肝炎を再活性化する可能性があることが医師らにはわかっていなかったが、Wells さんはそのような合併症には見舞われなかった)。

 下肢のしびれ以外の彼女の症状のほぼすべてが消失した。

 「原因がわかってとにかくホッとしましたし、実際に治癒が得られて本当に感動しました」と彼女は言う。とりわけ、彼女の家族の検査が陰性であったことに彼女は安堵している:C型肝炎はしばしば出産時や、同じ家に住む人に感染することがあるからである。

 Wells さんによると、彼女は「目が覚めるごとに命の有り難み」を感じているという。彼女の活力のレベルは回復しており、今は一週間の町外の仕事の任務を行えるほど体調は良い。

 彼女以外にどれほど多くの人たちが、そのことを知らないままくすぶっているC型肝炎の感染やクリオグロブリン血症を持っているのだろうかと彼女は思っている。

 「もし私にB型肝炎に罹っていなかったら誰かがこれを見つけてくれていたでしょうか?」と彼女は言う。

 


クリオグロブリン血症については

下記サイトをご参照いただきたい。


日本内科学会雑誌

慶応大学病院のサイト

 

クリオグロブリン(寒冷グロブリン)は

血清を低温で保存しておく間に沈殿し、37℃に再加熱すると

再溶解する異常なたんぱくで構成成分は免疫グロブリンである。

健康人の血清中にはほとんど認められない。

血液中にクリオグロブリンが出現するクリオグロブリン血症は、

C型肝炎ウイルス(HCV)感染、多発性骨髄腫、

マクログロブリン血症、シェーグレン症候群、

全身性エリテマトーデス、悪性リンパ腫など

何らかの基礎疾患が原因となって起こる場合と

原因不明に見られる場合がある。

本症はその免疫グロブリンの組成から

Ⅰ型からⅢ型までの3つのタイプに分類されている。

 

Ⅰ型は単クローン性免疫グロブリン、

Ⅱ型は多クローン性 IgG と単クローン性 IgM、

Ⅲ型は多クローン性 IgG と多クローン性 IgM

 

Ⅰ型は多発性骨髄腫やマクログロブリン血症でみられる。

クリオグロブリンの組成が多クローナル IgG と

単クローナル IgM(90%の症例においてIgMκ型)の

混合型であるⅡ型は、

その大多数がC型肝炎ウイルス感染を合併していることが

わかっている。

またHCV感染者の約50%にクリオグロブリンが

認められるといわれている。

血液中のHCVは肝細胞表面のHCVに対する受容体と結合し

肝細胞内に入り増殖する。

HCV の構成成分であるたんぱくに対してリンパ球のT細胞が

細胞障害性免疫反応を起こし感染した肝細胞を攻撃する。

一方 HCV はリンパ球のB細胞を刺激して

HCV 抗体(IgG)を産生させる。

HCV 抗体は血中の HCV のコアたんぱくと結合し、

さらに補体が付着して免疫複合体が形成される。

一方、HCV に長期間刺激された B リンパ球の一部は

IgM 型のリウマチ因子を産生するようになる。

このBリンパ球が増殖し、血液中に放出された

IgM 型リウマチ因子が増加して

IgG 型免疫グロブリンと結合すると、低温で沈殿する結合物、

すなわちクリオグロブリンが生成される。

クリオグロブリン血症ではこの沈降物が血管内皮細胞に結合し、

主として細動脈レベルに生じる全身性血管炎を

生じる(クリオグロブリン血管炎)。

 

皮膚、関節、神経系、腎臓等が血管炎の主たる標的となるが

その臨床像は複雑、多彩である。

紫色の皮膚の斑点(紫斑)、関節痛、および筋力低下が

Meltzer の3大症状として知られている。

腎炎(膜性増殖性糸球体腎炎)は

先の IgM型リウマチ因子が糸球体の

メサンギウムに沈着することにより発症すると考えられており、

様々な程度の血尿とたんぱく尿を見る。

皮膚症状は下腿に最も好発するが、そのほかにも

四肢末梢や耳介などの寒冷刺激部位に

網状の皮疹、紫斑、潰瘍、Raynaud 現象、寒冷蕁麻疹など

多彩な病変がみられる。

慢性C型肝炎患者においてこのような皮膚病変を認めた場合には

クリオグロブリン血症の存在を疑う必要がある。

また関節痛や多発単神経炎による四肢のしびれが認められる。

 

検査では赤沈の亢進、CRP の上昇、リウマチ因子陽性が見られる。

補体(C4、C1q、CH50)の低下も認められる。

C型肝炎、B型肝炎あるいはEBウイルスなどのウイルス感染の

検索も重要である。

またクリオグロブリン存在を証明することが重要だが

検査は必ずしも容易ではない。

この検査には検体の特異な扱いを要するため、

まずは本症を疑い、クリオグロブリンに狙いを定めて

検査を行う必要がある。

またクリオグロブリンは、沈降速度や量に個体差があり、

微量検出例も存在するため、一回の検査では不十分で

複数回の検査が必要となることもある。

また腎機能障害例では腎生検が、

皮膚病変には皮膚生検が行われる。

鑑別すべき他の疾患には

ANCA(抗好中球細胞質抗体) 関連血管炎や IgA 血管炎などの

全身性血管炎、抗リン脂質抗体症候群などの血栓症、

膠原病に伴う血管炎などがある。

 

治療についてはC型肝炎など原疾患が明確な例では

原疾患の治療を行う。

全体の約半数は治療により良好な経過をたどる。

全身性血管炎や活動性の高い腎炎がみられる場合には、

ステロイドや免疫抑制薬が用いられる。

血漿交換療法がおこなわれる場合もある。

 

以上、症状からはなかなか診断困難な疾患であり、

特にC型肝炎の患者では、

必ず頭の片隅に置いておくべきだろう。

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2017年10月新ドラマ

2017-09-05 15:39:56 | テレビ番組

まずは 2017年7月クールのドラマを総括する。

 

山崎育三郎主演『あいの結婚相談所』より


西日本は猛暑、疲労困憊の夏だったが、

連日の熱帯夜、怪談を見てるかのような、

なんとお寒いドラマが多かったことか…

企画に疑問符のつく作品、

明らかなキャスティングのミス、さらには

季節のせいなのか、コスト削減のためなのかわからないが、

ロケシーンがかなり減っている印象だ。

キャスト集めに費用がかかりすぎて

肝心の制作に金をかけられないのだろうか?

視聴率も二桁とれれば御の字?

この先テレビドラマは一体どうなってしまうのか?

情けない限りである。

 

まずは、とりあえず9月3日放送分までの

平均視聴率[関東地区・ビデオリサーチ社調べ]順に

7月クールドラマについてコメントする。( )内数字は平均視聴率

 

 

① フジ月9 『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命科~シーズン3』(14.53%) 

今シーズン、ヘリコプター救急はさほど強調されることなく、主として救急の現場と救命病棟でのストーリーが中心となった。それにしても、今回の新人フェローの面々はひどい。これって、シーズン1のころの山ピーたちと同年代ってことなんだろうが、藍沢先生なんて最初から仕事ができていた。それと、この救急医療チーム、あまりに危険が多く常に死と隣り合わせ。今回、比嘉愛未演じる冴島ナースやフェローの灰谷医師らが死にかけたが、これまでのシーズンでも戸田恵梨香演じる緋山先生が命を落としかけたこともあった。柳葉敏郎演じた黒田先生も腕を切断したし…。ドラマを盛り上げようとするのはわかるが、ここまでするのはやり過ぎでは?救急医の志望者がますます減ってしまいそうである。海外ドラマ“ER”と同じように複数の患者のエピソードを同時進行させて緊迫感を出そうとしていたが、逆にこれが視聴者にとって見づらくなったのではないか。そんな中、終始仏頂面を貫いた山ピーのブレない演技には拍手を送りたい。

 

 

② 日テレ水10 『過保護のカホコ』(11.36%)

人生すべて親任せで世間知らずの過保護女子大生が社会に出て自分と正反対の環境で育った青年と出会い、成長していく姿が描かれた社会派ホームドラマ。主人公の加穂子(高畑充希)を変えていくことになる男性が竹内涼真演じる麦野初。加穂子の“過保護”ぶりを強調する高畑の演技があまりに極端(ただの成長遅れにしか見えない)、さらにそれに対応する麦野を演じる竹内の演技もオーバー(『いやいやいやいや、そうじゃないだろっ!』ってなセリフ何回あった?)。その辺りをもう少し抑えた設定にして純粋なラブストーリーにした方が良かったのでは?

 

 

③ テレ朝水9 『刑事7人(3)』(11.29%)

初回は視聴したが、これまでと変わり映えせず、他のテレ朝の刑事ドラマシリーズと比べると不出来が目立つ。舞台を東京臨海エリアにすればいいというものではない。シリーズ化するほどのレベルに達していない。東山は必殺シリーズ専でいいのでは?

 

 

④ テレ朝木9 『黒革の手帖』(11.10%)

松本清張の名作『黒革の手帖』のドラマ化。でも松本清張先生もさぞかしお怒りなのでは?銀座の夜の世界のおどろおどろしい攻防の緊張感は全くなく、フィクサーを演じる伊東四朗はじめ奥田瑛二、高嶋政伸、江口洋介らの演技がコメディにしか見えないのである。銀座や手帖などのキーワードや、それぞれの役名は昭和の古さを感じさせるものばかりであり、いっそのこと昭和の設定でいった方が良かったのではないだろうか?今どき一女子行員が銀行から何億も引き出すなんてできそうにもないし…。武井咲は奮闘していたが、さすがにキャリアの足りなさを感じた。

 

 

⑤ TBS 火10 『カンナさーん!』(10.50%)

不倫“ダメ夫”やめんどくさい姑らに振り回されながらも、仕事に子育てに超ポジティブに生きるカンナ。渡辺直美の演技に特に問題はなかったが、時折ギャグ風なしぐさやあの(すねたブタのような)独特な表情が織り込まれ、もはやドラマというよりコントの連続といった感じ。渡辺直美が主人公を演じているのではなく、渡辺本人が登場してドタバタ劇を繰り広げているという印象しか残らなかった。渡辺直美から元気をもらいたい~って人にはありがたかったかもしれない。

 

 

⑥ TBS 日9 『ごめん、愛してる』(9.37%)

2004年に大ヒットした韓国ドラマのリメイク。致命的なケガや病気はとりあえず不幸の一要素、現実にあり得るかあり得ないかは二の次、悲劇のストーリーが最優先でそこに不幸の要素を適当にはめ込むという韓流ぶりを遺憾なく発揮。日本版なのだからそのあたり現実的にアレンジして日本流にすればいいのに変に原作にこだわるため無理が出る(韓国を絡める必要があったか?)。さらに出演者がてんでバラバラな演技をするものだから視聴者にとっては引き込まれるところなくドラマは空中分解、で、はい終了。

 

 

⑦ 日テレ土10 『ウチの夫は仕事ができない』(8.95%)

職場で足を引っ張りまくりのお荷物社員だった夫(錦戸亮)が、妻(松岡茉優)の妊娠を機に、妻と子供のために仕事ができるようになりたいと妻と二人三脚で社会サバイバルを目指していくホームコメディ。オンエア前から脚本が心配だったが、夫の仕事のできない内容のいい加減さに加え、業務(イベント会社)にリアリティが全くなく、まるで子供向けドラマ。ミョーなミュージカルシーンも違和感あり、早々にリタイア。

 

 

⑧ 日テレ 日10:30 『愛してたって、秘密はある。』(8.41%)

秋元康が企画・原案を手がけたということで期待したが、ミステリーがぐるぐる同じところを回っている感じでスピード感に欠けた。父親を殺した過去を隠し続ける主人公が、その秘密を知る何者かからの脅迫めいたメッセージに追い詰められていくという展開なのだが、肝心の主演の福士蒼汰には緊迫感や焦燥感は全くうかがえない。恋人役の川口春奈も信じられないほど鈍感。追い込まれて苦悩する姿がもう少しきちんと描かれていればまだ視聴率は上がったのでは?

 

 

⑨ TBS金10 『ハロー張りネズミ』(7.49%) 

30年後のコミック実写化はさすがに遅すぎた?さすがの瑛太でも、そのギャップは大きかった。誰も引き受けたがらない面倒な案件ほどやりたがる一風変わった探偵とその仲間たちが、人情味あふれる哀しい事件や想像を超えた難事件を解決するというのだが、毎回の事件がショボ過ぎたし、事件解決に至るまでの過程も安直。で、なにより探偵事務所のメンバー、瑛太、深キョン、森田剛、山口智子らのキャラに全く魅力が感じられず、オシャレなBGMも浮いていた。『探偵物語』のようなスマートな探偵ドラマを期待していたが、全くの期待はずれ。惜しむらくは、回を重ねるごとに内容が良くなっていたので、各話の構成がもう少し練られていたらもう少し数字は伸びたかも。

 

 

⑩ フジ 日9 『警視庁いきもの係』(6.41%)

警視庁総務部総務課・動植物管理係の鬼警部補と新米巡査のコンビが動物の生態をもとに事件解決に奔走する異色コメディーミステリー。橋本環奈を抜擢した上に、裏の日曜劇場が勝手にこけたため、視聴者の受け皿となるのでは、と期待したが、どこぞの野党政党と一緒だった…。犯罪現場に残された“いきもの”の状況から難事件を解決に導くというのだが、その推理がショボい。橋本の演技もまだまだで、折角の逸材というのならもっと勉強してから出てきてほしかった。『獣医』というタイムリーなキーワードだったが、興味を示した人はほとんどいなかったようである。

 

 

⑪ フジ木10 『セシルのもくろみ』(4.52%)

体育会系でオシャレとは縁のなかった主婦が、運命のいたずらで読者モデルとなり一流のモデルとして成功の階段を駆け上っていく姿が描かれた。初回から5.1%と驚きの低視聴率。まずは、真木よう子の貧相な姿に愕然とし、“オシャレに無縁な体育会系”を、“がさつで下品”とはき違えたような演技に嫌悪感。まるでおサルさんのような動きでオーバーアクションを見せる真木よう子の姿が、昔の水前寺清子とダブってしまった…(久本雅美との意見もあるがどっちがひどい?)。今ファッション誌が流行にどれほど貢献しているのか知らないが、この題材がタイムリーだったとはとても思えない(よくこの企画が通ったものだ)。

 

 

⑫ テレ朝金 11:15 『あいの結婚相談所』(3.98%)

動物行動学の准教授の経歴を持つ結婚相談所の所長が“ワケあり男女たち”の出会いを、あの手この手で100%結婚へと導くエンターテインメントコメディ。何といっても、このドラマ、ミュージカル・スター・山崎育三郎の独壇場である。彼の、歌、ピアノ、ダンス、(と華麗な指演技!)だけ楽しみましょう。ストーリーや演技はこの際どうでもよし。まあ、ここまで突き抜ければそれなりにドラマとして価値はあるのかもしれない。視聴率は最下位だったが個人的には今クール一推しの作品。

 

 

それでは、ここから

10月からの新ドラマをチェックする。

7月ドラマと比べると予告公開がずいぶん早い。

各局、かなり気合いが入っているようだが、

果たしてその内容は?

なお、フジ日曜9時枠ドラマは

前クールをもって廃止となっている。

 

 

フジ月9 10/16~ 『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』 篠原涼子、石田ゆり子、古田新太、田中圭、千葉雄大、前田敦子、斎藤司(トレンディエンジェル)、若旦那、細田善彦、余貴美子、大澄賢也、他

相変わらず月9らしいショボいタイトルである。仕事を失った母親が高額報酬求めて市議会議員に立候補、声なき市民と向き合いながら市政にはびこる悪や社会問題を素人目線・女性目線でぶった斬る。黒沢久子によるオリジナル脚本。篠原涼子演じる佐藤智子は夫・公平(田中圭)と保育園に通う子ども1人の家族3人でアパート暮らしのごく平凡な生活を送っていた。智子は両親が次々と失踪し自暴自棄になり高校を中退していたが、その後、職を転々としながら、決して両親のようにはなるまいと真面目に生きてきた。バイト先で知り合った夫と結婚したがフリーターの夫は転職を繰り返し、智子がパートで家計を支えていた。しかし、そんな智子も会社のルールに納得がいかず、上司に逆らい職場をクビになる。意気消沈する智子だったが、ある時ワイドショーで取り上げていた市議会議員の汚職事件が気になり調べてみることに。そこで知ったのは市議会議員の高額報酬。さらに調べを進めたところ、あるデータが彼女の心を捉える。市区町村議員の当選確率は80%超という数字だった(2010年NPO法人ドットジェイピー調べ)。この現実が智子を後押し、猪突猛進する性格の智子は市議会議員への立候補を決意する。ママさん議員めざし、ポスター製作や演説原稿作成などに悪戦苦闘しながらも、夫やママ友の協力のもと市民目線で選挙戦を戦うことに…。さらに晴れて市会議員になってからも、持ち前の曲げられない意志の強さで社会全体の幸せのために突き進み、政界のエリートや権力者に立ち向かっていく。周りを固める主なキャストには、まず、智子と選挙戦で議席を争うライバルで、政治家一家の次男と恵まれた環境にある藤堂誠に高橋一生。長らく葛藤を抱え、次第に歪んだ心を持つようになり誰も知らない裏の顔を持つ。続いて、智子とは保育園のママ友で彼女を応援することになる平田和美に石田ゆり子。かつては新聞社の政治部記者という『できる女』だったが出産後は事務職に配属されていた。また、智子のライバル候補・園田龍太郎にトレンディエンジェル・斎藤司(ハゲのままで出演)。代々農家の家系の長男で、大学を卒業して家業を継いでいたが、農家の利権を守るために立候補させられることになる。一時ほどの輝きはない篠原涼子だが、このドラマで再びパワー炸裂、となるかどうかが鍵。

 

 

フジ(関西テレビ)火9 10/17~ 『明日の約束』 井上真央、工藤阿須加、新川優愛、及川光博、仲間由紀恵、他

 誰よりも人の心に寄り添うスクールカウンセラーが、突如発生した生徒の謎の死の原因を究明するヒューマン・ミステリー。福田ますみ氏のノンフィクション作品『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』(新潮社)をベースにしたオリジナルドラマ。『モンスター…』では2005年12月に長野県の丸子実業高校(現・長野県丸子修学館高校)で実際に起きたバレーボール部所属の不登校男子生徒の自殺を巡って狂気に満ちた母親が学校側を刑事告訴した事件の真相が綴られている。本ドラマでは、井上真央が高校のスクールカウンセラー・藍沢日向(あいざわひなた)を演じる。彼女は学校や家庭の問題に悩む生徒の心のケアに取り組んでいた。しかし実は日向には誰にも相談できない苦悩があった。“毒親”とも言える過干渉な母親とのいびつな関係に悩んできた経験があったのだ。日々、業務に熱心にまい進する日向はある日、気にかけていた不登校の男子生徒から『ヒナタ先生のことが好きです…』と告白される。しかし、その翌日、彼は不可解な死を遂げてしまう。果たして、誰が彼を死なせたのか…?彼がいなくなった世界では犯人探しが始まる。すると、彼が抱えていた“闇”が次から次へと明らかになり、原因究明に動く日向の前に立ちはだかる。学校での陰湿ないじめ、日向の母親と同じ“毒親”による息子への過干渉、彼自身の非行歴と不穏な交友関係…。日向自身もまた、男子生徒の母親からの責任追及の言いがかり、自らの“毒親”からの抑圧、心が引き裂かれそうな恋人とのトラブル、心から離れない男子生徒からの『告白』の記憶、などなど、様々な難題に追い込まれていく。しかし前向きな性格の日向は、生徒の死の原因を究明したい一心であらゆる問題に向き合っていく。対立する母親役に仲間由紀恵、校長役に及川光博、そのほか同僚教師役に工藤阿須加、新川優愛らがキャスティングされている。大河ドラマ『花燃ゆ』以来久々に見る井上真央が取り組むスクール・ミステリー。面白いドラマとなりそうな予感がするのだが…。

 

 

TBS 火10 10/17~ 『監獄のお姫さま』 小泉今日子、満島ひかり、菅野美穂、夏帆、坂井真紀、森下愛子、伊勢谷友介、塚本高史、他

 宮藤官九郎のオリジナル脚本作品。女子刑務所を舞台にした“おばちゃん犯罪エンターテインメント”。罪を犯した5人の女たちと、罪を憎む1人の女刑務官…決して相容れないはずの両者の心が通じた時、ある男への復讐が始まる…。過酷な状況でリベンジ計画を進める女たちの、絆、友情、生きる意味などが描かれる。物語は、5人の女がある大企業のイケメン社長・板橋吾郎(伊勢谷友介)を誘拐するところから始まる。しかしこの時点ではその目的や5人の関係は謎に包まれたまま。その後次第に明らかになる社長の過去。彼は愛人を殺した殺人犯だった。そして社長誘拐計画は、その殺人の真相を暴き、まだ刑務所にいる前社長の娘の冤罪を晴らすためだった。しかし、復讐は彼女たちが計画した通りには進まず、さまざまなハプニングに遭遇、5人はそのたびにパニックに陥る。それでも、それぞれの得意分野を活かして、なんとか軌道修正を試みる…。さて、時は6年前に遡る。不貞を働いた夫を刺した殺人未遂の罪で馬場カヨ(小泉今日子)という女性が新しくできた女子刑務所に入所。その場所で彼女の運命を変えることになる女たちと出会う。足立明美(森下愛子)は違法薬物不法所持。囚人のリーダー的存在である勝田千夏(菅野美穂)は巨額の脱税。大門洋子(坂井真紀)は詐欺と横領。そして殺人の罪状で服役する江戸川しのぶ(夏帆)。片や、罪を憎んで生きてきた厳格な刑務官にして教官である若井ふたば(満島ひかり)はこのイタイ女たちを立ち直らせるべくさまざまな教育を厳しく施す。しかし5人と接しているうちに、冷たく閉ざされていたふたばの心がだんだんと開かれ、魅力的な彼女たちに気持ちを奪われていく…。当初は、周りに馴染めずにいたカヨだったが、リーダー的存在の千夏との関わりから、徐々に仲間意識が芽生えていく。そしてしのぶが冤罪で服役しているという実情を知る。カヨは、出所後4人で集まって彼女の冤罪を晴らすべく復讐計画を立てる。そして、刑務官のふたばまでがその計画に加わることに…。“くどかん”の脚本に(往年の)豪華な女性キャストたち。お膳立ては申し分ないが、はたしてその中味はどうか?

 

 

テレ朝水9 10/18~ 『相棒 シーズン16』 水谷豊、反町隆史、仲間由紀恵、浅利陽介、鈴木杏樹、川原和久、山中崇史、石坂浩二、大杉漣、榎木孝明、他

 長続きしないだろうといわれていた水谷・反町コンビも3年目。前シーズンでは二人の摩擦も描かれたが、シーズン16ではどのような局面を迎えるのか?杉下右京と冠城亘の関係を揺さぶる存在となる警視庁広報課長の社美彌子(仲間由紀恵)やサイバーセキュリティ対策本部の青木年男(浅利陽介)らも引き続き登場する。テレ朝としてはこの『相棒』と木9の『ドクターⅩ』で視聴率ワンツーを目論んでいることだろう。

 

 

日テレ水10 10/4~ 『奥様は、取り扱い注意』 綾瀬はるか、広末涼子、西島秀俊、本田翼、他

 金城一紀のオリジナル脚本。正義感が超強いセレブな専業主婦がトラブルを解決するエンタメ・コメディ。綾瀬はるか演じる主人公の伊佐山菜美は天涯孤独に生まれ育ったが、合コンで一目惚れした男性と結婚し、閑静な高級住宅街に暮らすちょっとセレブで誰もがうらやむ専業主婦。料理や掃除は下手だが、『曲がったことが大嫌い、悪い奴らは放ってはおけない!』と正義感がチョー強く、怒らせたら超キケンな主婦。誰もがうらやむ生活を送っているかに見える菜美だったが、彼女の心は悩みだらけだった。料理が超下手でそのため夫は外食で済ませがち。そして最大の悩みは毎日の生活が“平凡すぎる”ことだった。そんなある日、菜美は隣人の主婦に誘われて料理教室に通うことになる。そこで様々な“主婦の知恵”についてアドバイスを受け友人たちとの友情を育んでいく。そんな中、同じ料理教室に通うある主婦が夫からDVを受けていることを直感した菜美は彼女を救うことを決意する。これまで愛情も知らずにタフに生きてきた“普通”を知らない主人公が、主婦たちとの友情や、そばに寄りそう夫の存在によって本当の優しさと温かさを知り、自身の“やり直し”人生が始まる。前作『過保護のカホコ』と同じく、本作も“普通”じゃない“取り扱い注意”な主人公のようである。

 

 

テレ朝木9 10/12~ 『ドクターX~外科医・大門未知子~(5)』 米倉涼子、内田有紀、岸部一徳、鈴木浩介、西田敏行、遠藤憲一、田中圭、段田安則、大地真央、他

 人気シリーズも早、第5シリーズである。もはや解説の必要もないが…。舞台は第4シリーズと同じ東帝大学病院。これまで汚い院内政治を操ってきた蛭間重勝(西田敏行)の失脚から1年、今回は東帝大学病院に患者ファーストを掲げる初の女性院長が誕生、同病院も大転換期を迎えた。クリーンな医局を取り戻すべく大改革が進められてきたが、病院に巣食う権力者たちは自らの“旨み”を奪還すべく、絶対的権力と縦社会で統制された“真っ黒な巨塔”を復活させようと暗躍を始める。一度は都落ちした蛭間も怪しい動きを見せる中、大門未知子(米倉涼子)は薄汚れた組織と真っ向から渡り合っていくことになる。『神原名医紹介所』の神原晶(岸部一徳)、城之内博美(内田有紀)、縦社会の医局“御意軍団”の外科医、海老名敬(遠藤憲一)、原守(鈴木浩介)らおなじみのメンバーも再集結する。今回、復帰組として、女性院長の計らいにより東帝大学病院で働くことになった森本光を田中圭が演じる。森本は新米医師だった『帝都医科大学付属第三病院』時代に未知子と出会っている。本来は地方の総合病院院長の息子として、エリートコースを歩むはずだったが、未知子に憧れ、外科修業をすべく海外へ留学。だが、帰国後は地方に飛ばされ、最低限の医療の提供もままならない地方医療の現状を目の当たりに…。そのため、どこか鬱屈としたものを抱えているという役どころである。また、第1シリーズで外科部長を務め、飛ばされた外科医・鳥井高(段田安則)も復活するようである。なお、“患者ファースト”を掲げる女性院長・志村まどか役は大地真央に決まったようである。とりあえず泉ピン子でなくて安堵。これで今シリーズも高視聴率は間違いなさそうである。

 

 

フジ木10 10/12~ 『刑事ゆがみ』 浅野忠信、神木隆之介、他

 原作は井浦秀夫のビッグコミックオリジナル掲載中の同題コミック。浅野忠信と神木隆之介がバディを組む刑事ドラマ。浅野忠信演じるテキトー中年刑事と神木隆之介演じるマジメ後輩刑事の凸凹コンビが様々な事件を解決していく。弓神適当(ゆがみゆきまさ)(浅野忠信)は、たとえすべての人が信じていようとも信じない、先入観ゼロで人の心の奥底に潜む闇を鋭く観察し、真実解明のためには違法捜査も厭わず事件を解決していく。弓神にとっては、相手が誰であろうが全て同じ人間である以上、全員容疑者。軽いフラットな雰囲気、巧みな話術で人々の話を引き出し、そこに潜むわずかな“ゆがみ”を見逃さない。彼が求めるのは真実。そのためにはルールを守ったり空気を読んだりすることに意味はなく違法捜査も日常茶飯事。一方、弓神の相棒で後輩の刑事・羽生虎夫(はにゅうとらお)(神木隆之介)は成績優秀で真面目、強い正義感にあふれているが腹黒ムッツリな新米刑事。バンバン犯人を捕まえて点数を上げたい羽生にとって、違法捜査だらけの弓神はとんでもなく邪魔な存在なはずだが、いつも振り回されてしまいがち。しかし時には弓神を叱り鋭いツッコミを入れる。そんな二人が、身の回りに起こりうる身近な犯罪を一話完結で解決していく。このところ低調だったフジ木10だが、刑事ドラマを持ってくるという奇策が果たして成功につながるか?

 

 

TBS金10 10/13~ 『コウノドリ2』 綾野剛、松岡茉優、吉田羊、坂口健太郎、星野源、大森南朋、浅野和之、江口のりこ、他

 2015年10月クールドラマの続編。患者に寄り添う産婦人科医と天才ピアニスト BABY の2つの顔を持つ鴻鳥サクラ(こうのとりさくら)が赤ちゃんを救うドラマ。原作は鈴ノ木ユウのコミックで『モーニング』(講談社)で連載中。初回作では今ほどの人気はなかった松岡茉優、坂口健太郎、星野源らが出世して強力キャストとなっての第2弾。『出産』に関する医療従事者と患者の温かい人間ドラマをベースに、子供と人との結びつき、夫婦・親子のあり方など、周産期の“奇跡”が中心として描かれ、命の大切さがテーマとなっている。今回も舞台はペルソナ総合医療センターで、あれから2年後の設定となっている。2年間という時間と経験が彼らをどう変えたのか、さらに彼らの成長、心の揺れや葛藤などが新たな物語の縦軸となり、ストーリーが展開されていく。前作では天才ピアニストであることの意味がいま一つわからなかったのだが、今回はそのあたりの理解に努めてみたいところである。

 

 

テレ朝金 11:15(金曜ナイトドラマ) 10/20~ 『重要参考人探偵』 玉森裕太(Kis-My-Ft2)、小山慶一郎(NEWS)、古川雄輝、新木優子、他

 原作は絹田村子の少女漫画『重要参考人探偵』。なぜか毎回のように殺人現場に居合わせ容疑者と疑われてしまう不幸体質の主人公が仲間2人とともに事件を解決、自らの冤罪を晴らしていく。いつも殺人事件の現場に居合わせ、死体の“第一発見者”になってしまう、という不幸体質の男・弥木圭(まねきけい)。これを玉森裕太が演じる。圭が冤罪の危機に巻き込まれた殺人事件を、モデル仲間である周防斎(すおういつき)(小山慶一郎)、シモン・藤馬(しもんとうま)(古川雄輝)とともに解決していく。主人公の圭には特殊能力はないが、逮捕寸前になると驚異的な集中力を発揮、仲間が集めてきた証言や事件関係者の心情を汲み取り、真犯人の動機や心情をズバリ言い当てる。世界的に有名な門閥・周防グループの御曹司でもある斎は推理オタク、ミステリー小説で得た知識をもとに推理を披露する。隙あらば手当たり次第女の子をナンパする女好きのシモンは、聞き込み上手。現場に居合わせた女性たちから思わぬ情報をゲットする。原作が少女漫画で、中心人物がイケメントリオということで、視聴者層はかなり限定されてしまいそうである。

 

 

日テレ土10 10/14~ 『先に生まれただけの僕』 櫻井翔(嵐)、蒼井優、多部未華子、瀬戸康史、高嶋政伸、松本まりか、平山浩行、風間杜夫、井川遥、森川葵、木南晴夏、木下ほうか、池田鉄洋、荒川良々、秋山菜津子、他

 福田靖によるオリジナル脚本ドラマ。30代にして校長に就任したエリート商社マンが学校を立て直すため改革に乗り出すという底辺私立高校を舞台にした社会派エンターテインメント。ある日、鳴海涼介(櫻井翔)は定員割れギリギリの私立京命館高校の経営を立て直すため、総合商社樫松物産から校長としての出向を命じられる。ビジネスの世界に生きてきた鳴海は学校という教育現場での仕事に戸惑う。学校の黒字化のためコスト削減などを進めようとするビジネスライクな鳴海に対して、京命館高校の教師たちは反発する。鳴海は学校教育を尊重しながら経営を安定させるための道を模索していく。主なキャスティングは、まず鳴海の恋人で樫松物産社員の松原聡子に多部未華子、樫松物産専務・加賀屋圭介に高嶋政伸、鳴海と同期の樫松物産社員・後藤田圭に平山浩行、私立京明館高校・特進クラスの担任・真柴ちひろに蒼井優、同高校副校長の柏木文夫に風間杜夫、同高校養護教諭・綾野沙織に井川遥など、豪華メンバーとなっている。テーマはベタだが櫻井君がどれだけ活躍するかが見どころ。

 

NHK日8 継続 大河ドラマ『おんな城主 直虎』 柴咲コウ、杉本哲太、財前直見、前田吟、春風亭昇太、宇梶剛士、吹越満、三浦春馬、貫地谷しほり、菅田将暉、高橋一生、でんでん、筧利夫、柳楽優弥、市原隼人、小松和重、浅丘ルリ子、阿部サダヲ、菜々緒、ムロツヨシ、和田正人、苅谷俊介、小林薫、山口紗弥加、光浦靖子、田中美央、矢本悠馬、寺田心、他

 ムロツヨシは今でもミスキャストだったと思っているのだが…。大河視聴は来年までお預け。

 

TBS 日9 10/15~ 『陸王』 役所広司、山﨑賢人、竹内涼真、風間俊介、音尾琢真、馬場徹、桂雀々、志賀廣太郎、光石研、キムラ緑子、寺尾聰、

 原作は池井戸潤の小説『陸王』。半沢直樹チームが再結集した経済ドラマ。従業員20人あまりの経営危機に陥った老舗足袋業者が知恵と努力で業界名だたるランニングシューズを生み出す逆転物語。主人公は創業から100年以上続く老舗足袋業者『こはぜ屋』四代目社長・宮沢紘一で役所広司が演じる。紘一は埼玉県行田市にある老舗足袋業者として奮闘していたが、年々先細る足袋の需要から資金繰りに悩む日々を過ごしていた。そんな折、銀行担当者とのやり取りを通じて新規事業への参入を考え始める。その事業とは、足袋製造でこれまで培った技術を活かして『裸足感覚』を追求したランニングシューズ“陸王”の開発だった。しかし従業員20名あまりの地方零細企業にとって新製品の開発は厳しいものだった。何度もくじけそうになる宮沢だったが、その度に、家族、従業員、取引先、銀行の担当者、さらには知り合いを通じた新たな人脈に救われる。なお紘一の長男・宮沢大地役に山﨑賢人が決まっている。大学卒業後就職活動に失敗し就職活動の傍ら『こはぜ屋』の手伝いをする彼は“陸王”のソール部分に使われる特許“シルクレイ”の生産を任されるが、多くの困難に直面する。またドラマ中に駅伝シーンも組み込まれるという。池井戸潤お得意の企業再生ストーリーで『ルーズヴェルト・ゲーム』『下町ロケット』と似た様な展開か。とりあえず『下町ロケット』ならぬ『地方シューズ』?阿部寛が役所広司に代わっただけ?もういいよ。

 

 

日テレ 日10:30 10/15~ 『今からあなたを脅迫します』 ディーン・フジオカ、武井咲、他

 原作は藤石波矢の小説『今からあなたを脅迫します』。ディーン・フジオカがダークヒーローを演じる犯罪ミステリー。表社会では扱えない依頼案件を専門とする“脅迫屋”こと千川完二の活躍が描かれる。すなわち、警察が解決できないような事件を、脅し文句を使って解決していくという。ディーン・フジオカ演じる主人公・千川完二は脅迫屋、キケンな男だが、調査能力と行動力はピカ一。一見爽やかなイケメンだが、ファッションセンスはイマイチ、お調子者でグータラ、くだらないギャグを飛ばすが誰も相手にしてくれない“残念な男”。一方、武井咲演じる金坂澪はお人好しのお嬢様。教育学部に通う女子大生だが、これまで彼氏がいたことはなく、バイトをしながら質素な暮らしをしている。しかしいざとなれば数千万単位でお金を動かせる筋金入りの“超”お嬢様。しかし変人的“お人好し”のため、少しの悪でも見過ごせず、赤の他人のピンチに首を突っ込み事件に巻き込まれてしまう。ある日、千川が間違って澪を脅迫してしまったことをきっかけに“変人”二人は振り込め詐欺や誘拐事件などに関わっていくことになる。想像するに、コメディ要素たっぷりにダークな活躍を見せる探偵ドラマといったところか。このたび武井咲はご懐妊とのことだが、上戸彩、榮倉奈々に続いて、またまたそちらの方を心配しながらのドラマ視聴になるとは…疲れそう…。

 

 

取り上げた12ドラマの内訳(ジャンルが適正でないかもしれないが)は

刑事・探偵ドラマ4、医療ドラマ2、

学校ドラマ2、選挙・政治家ドラマ1、

経済ドラマ1、問題解決コメディ1、

リベンジドラマ1、という内容で、

純粋な恋愛ドラマはゼロ…。

10月クールとしては、ちと寂しい。

ともあれ、7月クールの諸作品に比べると

各局とも多少気合が入っている印象で、

なんとか秋の夜長を楽しませてもらいたいものである。

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