MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

メジャー・リーガーと脳腫瘍

2011-06-08 17:17:04 | スポーツ

ボストン・レッドソックスの松坂大輔投手が
右肘靭帯損傷で、来週にも靭帯修復手術を受けることに。
復帰は来季後半以降ということで、
松坂の野球人生にとって最大の危機。
しかし、こういったアスリートの大変なケガも
手術が成功すれば立派に復活してしまうのには
つくづく感心させられる。
一部のパーツが壊れても
そこさえきちんと治せば見事に復活できるのは
他のパーツもやはり一級品だからであろう。
松坂投手もめげずに無事復帰を果たし
もう一花咲かせてもらいたいものである。

さて、米大リーガーも色々な病気で亡なくなっているようだが
脳腫瘍の中でも最も悪性のグリオブラストーマ(神経膠芽腫)で
この世を去った有名選手や監督が多いらしい。
何かいわくがあるのか、それとも偶然か、
それは読んでみてのお楽しみ…

6月3日付 Time.com

Is Brain Cancer Stalking Major League Baseball? 米大リーグに忍びよる脳腫瘍?

By Jeffrey Kluger

Garycarter_2

メッツのキャッチャー Gary Carter  1986年

 メジャーリーグ・ベースボール(米大リーグ)通の人なら、肘の損傷、回旋筋の肉離れ、膝の故障などの身体的問題に苦しむ多くの選手を耳にすることだろう。しかしまず聞くことがないと思われるのが脳腫瘍である。
 しかし、悲しいかな、腫瘍もまた問題の一つだった。今週、主にモントリオール・エクスポズやワールドシリーズを制したニューヨーク・メッツでプレーし野球殿堂入りしているキャッチャー Gary Carter(ゲーリー・カーター)氏が手術不能のグリオブラストーマに冒されていると多くの報道機関が伝えている。この腫瘍はまれではあるがきわめて悪性の脳腫瘍の一つで、平均生存期間は14ヶ月ほどである。
 この報道にはちょっとした悲惨なデジャヴ以上のものがある、というのも、監督では Dick Howser(ディック・ハウザー)、Johnny Oates(ジョニー・オーツ)の両氏、投手では Dan Quisenberry(ダン・クイゼンベリー)、Tug McGraw(タグ・マグロー)の両氏、そして外野手の Bobby Murcer(ボビー・マーサー)氏、彼らは皆、同じこの稀な疾患にかかり、短期間で死亡している。しかしそれでも、Duke University 付属の Preston Robert Tisch Brain Tumor Center の共同部長代理で Carter 氏の主治医を務める Henry Friedman、Allen Friedman 両氏の話しぶりは、著名人である受け持ち患者の見通しを語るにしては思った以上に明るく聞こえるのである。
 「状況としては、この病気になればすなわち末期状態にあるということです」と、Harry Friedman 氏は言う。「しかし、私たちは前向きであろうとしています。新しい治療計画や治療法によって15年以上生存する患者がいます。9年、10年、11年と生きている人もいます。確かにそれはごく一部の人ですが、治癒する患者の一団もいるということを信じることが大切です」
 ここで2つの疑問が持ち上がる:ほんのわずかであるが通常のグリオブラストーマの予後とそれほどかけ離れた症例を実現化するために Tisch Center は一体何をすることができるのだろうか?そして、それほど多くの著名人をきわめて稀な腫瘍の犠牲者にしてしまう米大リーグには一体何が起こっているというのだろうか?
 ベースボールの方の疑問に答えるのは簡単である。なぜなら次のような答えがあるからだ:つまり、恐らく起こっているものは何もない、ということだ。ただ、何年間もスポーツ界でもてはやされたステロイドが世間では長く脳腫瘍と関連付けられてきた。少なくとも、アナボリック・ステロイドを常用し1992年に同疾患で死亡した NFL の守備のラインマン Lyle Alzado(ライル・アルゼイド)氏の死後からはそうだった。彼は自身の病気のことで薬物使用を悔やみながら亡くなった。しかし、Alzado 氏はステロイドの命にかかわる多くの影響についての悲劇の大家とはなったが、医師ではなかった。
 「Alzado 氏は脳のリンパ腫であって、グリオブラストーマではありません」、米大リーグの医療部長 Gary Green 医師は言う。さらにまた、グリオブラストーマになった Carter 氏や他の野球選手たちは、ステロイド以前の時代に正々堂々とプレーしており、彼らはすべてプレーから引退してかなり後に病気になっている。米大リーグの脳外傷の顧問医師で脳神経外科医の Alex Valadka 氏は、ケースによってステロイドは実際に脳腫瘍の治療にも用いられていると指摘する。「脳が損傷を受けると腫れるのです。そしてステロイドはそれを軽減してくれるのです」と、彼は言う。
 脳震盪も考えられる原因として取り上げられてきたが、それは、脳震盪によって、脳組織にこれまで気づかれることのなかったあらゆる種類の損傷が生ずることが徐々に明らかにされてきたからである。さらに Carter 氏や Oates 氏はキャッチャーだった。キャッチャーは試合中、最も危険で、衝撃を受けやすいポジションであることは明らかである。しかし、ここもまた、医師たちは却下する。
 「いかなる形であれ脳震盪を脳腫瘍に関連付けるデータはありません」と Friedman 氏は言い、これにGreen 氏も同意見である。「無関係です」と、彼はきっぱりと言う。強い発癌性があり米大リーグで広く人気があるという事実はあるものの、脳腫瘍と噛みタバコの間にもこれまた確かな関連はない。「そうです、たしかにそれは口腔や顎の癌を引き起こします」と Friedman 氏は言う。「しかし、いくらか胃に取り込まれ、そこから血中に入ったとしても、脳組織に影響を及ぼすのに十分な量とはならないでしょう」
 結局、メジャーリーグにおいて目立つところのグリオブラストーマ症例の集団において実際に働いているのは恐らく単に統計的な錯覚である。年間18,000人におよぶ米国民が本疾患と診断されており、この数字は非常に多いように見えるが、米国人口3億人の0.00006に過ぎない。
 明らかに野球は小規模な社会である。しかし、約1,600人の男たちが1シーズンにメジャーリーグのユニフォームを身に着け、数シーズンのみでこのスポーツを引退するプレーヤーやずっと長く続けているプレーヤーを合わせると25年間で延べ約5,200人になる。それに対して、6人のプレーヤーというのは全人口におけるグリオブラストーマの頻度とかなり近い値で一致している(MrK註:6÷5,200=0.00115、一方0.00006×25=0.0015)。さらに、Valadka 氏は、「おまけに野球選手はすべて男性であり、男性は女性より高いグリオブラストーマの頻度が高くなっています。診断されたとき、彼ら全員の年齢が高かったのは、この病気の起こる時期がそうだからなのでしょう」
 しかしプレーヤーの一人が発病すると、そういった事が気を楽にしてくれることはないし、診断されていた6人のうち5人がたちまちのうちに亡くなっているのは事実である。そのため2つ目の疑問が持ち上がる:Tisch の医師たちに、Carter 氏に良い結果がもたらされるかも知れないと思わせるものは何なのか?その一つが、グリオブラストーマに対して彼らがとろうとする2面からのアプローチである。治療は従来の方法で始まる。つまり、手術とそれに続く放射線・化学療法である。しかし可能な限り多くの患者が、より新しく、より有効な可能性のある薬剤の臨床試験に登録される。それを選ばなければ予後があまりにも不良であることから、ほとんどの患者は進んで登録に同意する。「皆、この領域を推し進めるために臨床試験を行おうとしているのです。私たちは自分たちの患者がそれらに参加するよう手伝おうとしています」と、Friedman 氏は言う。
 一方、実験的薬剤が心配であるとか、保険がそれらを補填してくれないとかの理由で参加しない患者に対しては現存する薬剤が用いられるが、新しい投与法で行われる。新規のグリオブラストーマのケースの治療に用いられる最も一般的な化学療法薬はテモゾロマイドであり、その他の薬剤は再発時や、治療の最初のコースが有効でなかった場合に用いるため使用が差し控えられる。ところがTisch の治療戦略では、初回の戦いの場に一気に複数の銃を用意するのである。
 「有効であることを示す無作為化試験が得られるまでは、新規に診断された患者に対して再発時用の薬剤は追加しないと考える人が多いのです」と、Friedman 氏は言う。「私たちはそれが有効であろうという信念に懸けているのです」
 それは国内の他の数ヶ所の脳腫瘍センターでも同じように試みられている挑戦であり、Tisch 同様、驚くほど良い結果がいくつか得られてきている。すべての成績は施設間で共有されている。この新しい治療で成功した少数の患者と、効果のない圧倒的多数の患者とを区別するものが何であるかは今のところわかっていない。腫瘍の遺伝子、あるいは患者自身の遺伝子、さらには患者の免疫系の強さに何か違いがあるのかも知れない。確かなことは、数年の猶予を獲得しながら、数ヶ月しか猶予を与えない病気から患者を取り戻していることである。
 科学者たちの目標は、少数の幸運な患者の集団について可能な限り多くのことを学び、幸運でないその他の人たちを救うために学んだことを応用することである。野球ファン、特にメッツのファンは、Carter がこの先何年も開幕日を迎えることのできる少数の一人になることをただ望んでいるのである。

脳腫瘍で亡くなったプロ野球選手といえば
広島東洋カープの津田恒美投手を思い出す。
しかし、どうやら野球選手にとりわけ
グリオブラストーマが多いわけではなさそうで、
日本のプロ野球選手のみなさんも
安心されたのでは?
一方、先ごろ、WHOの国際がん研究機関が、
携帯電話の電磁波による
脳腫瘍(神経膠腫・聴神経腫瘍)のリスクに
『限定的な証拠が認められる』と発表。
『で、一体どうすればいいの?』と言いたくなる。
気持ちのいい話ではないのである。

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