サッカー・ワールドカップ決勝トーナメント進出は
まさに日本の快挙!
(一次リーグE組は他の組に比べて、恵まれていた?)
ま、なにはともあれ、めでたし、めでたし。
ところで、この6月中旬、日本は宇宙的な快挙を
2つも成し遂げていたという。
その一つ、
宇宙探査機 “はやぶさ” の帰還は大きく取り上げられていたが、
先月5月に打ち上げられた“イカロス”のその後の成功も
実は大変な功績なのだそうである。
日本の技術も捨てたものではないというお話。
Japan: The New Pioneer of the Final Frontier?
“最後の開拓地” の新たな開拓者となるか、日本2010年6月14日、作業員らはオーストラリア内陸で日本のハヤブサの標本回収カプセルを確保した
By Christopher Shay
ウォークマンを発明した国が、技術的パイオニアとしてその名前に磨きをかけるべく再びその軌道に戻れることになるかもしれない。将来の星間旅行が期待される画期的な宇宙船が現時点で地球から470万マイル(約770万km)の地点にいる。日本の宇宙計画 JAXA(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)は世界で初となるソーラー・セイル(太陽帆)の展張に成功したと6月10日に発表した(この宇宙船は太陽光による加速度を利用して推進力を得る)。それからちょうど3日後、日本はさらに印象的な業績となりそうな事実を発表:7年前に地球を発った宇宙探査機が帰還したというのである。オーストラリア上空で明るく燃え尽きる前に、この探査機はサッカーボールほどの大きさの容器を切り離した。この小さな容器には初めて地球にもたらされる小惑星の破片が含まれている可能性があり、我々の惑星の起源についての手がかりが得られるかもしれない。予定より3年も遅れ、4つのエンジンのうち3つが失われた宇宙探査機だが、それを差し引いても良いニュースである。
今回のこれらの宇宙での功績は日本の宇宙機関にとってはもう少し良い時期であってほしかった。景気低迷や巨額の財政赤字に伴い、新しい菅直人総理大臣は日本にのさばる官僚支配にメスを入れることを公約しており、JAXA にもまた確実に厳しい視線が注がれることになる。前政権下の4月、行政刷新会議が同機構に対し民間企業からより多く資金を調達するよう勧告したことを Wall Street Journal が伝えた。それ以前も、JAXA は追加の小惑星計画を展開するために1900万ドル近くを要求したが、鳩山政権はわずか33万ドルを割り当てただけだった。こういった事実は同機構の未来にとっては勇気づけられる兆しとは程遠いものだが、宇宙人が自分の魂を三角形の宇宙船に乗せて金星に連れいったとかつて発言した女性の夫である総理大臣からの仕打しに他ならない。
ソーラー・セイルは真ん中に穴のあいた銀色の防水シートに似ていて一見、ローテク製品のように見えるかもしれないが、その任務の成功は、我々太陽系の外側の領域への将来の航行に役立つ可能性がある。JAXAのイカロス(IKAROS: Interplanetary Kite-Craft Accelerated by Radiation of the Sun)はロケット燃料なしに推力を得る初の宇宙船となる。太陽の近くを飛び過ぎて翼が溶けてしまったというギリシャ神話の囚人イカロスと同じその神話的な名前とは裏腹に、日本のIKAROS はその帆に対する太陽の光子の力を利用して太陽により近づくよう同機を推進する。IKAROS の最初の立ち寄り先は金星であり、その後うまくいけばこの無人宇宙船はこの惑星を越えて太陽の向こう側に進んでゆく。ソーラー・セイルによって動力を得る IKAROS のような探査機は最も速い宇宙船ではないかもしれないが、ロケット燃料を積んだものよりはるかに安価である。JAXA のスポークスマンである Makoto Miwada(三輪田真)氏は IKAROS の試験は一般の大規模な衛星の打ち上げの半分の価格で済むと言う。「この衛星はかなり安いです」と、彼は言う。
もしこれらすべてがサイエンス・フィクションのように聞こえるとしたら、恐らくそれはつい最近まで実際にそうだったからだろう。ソーラー・セイルは1960年代の初めまではサイエンス・フィクションに取り上げられており、James Cameron 監督の『アバター』にも登場した。IKAROS 計画の目的は宇宙船の操縦に太陽光を用いることの実現可能性をテストすることであり、いまだに多くのことがうまくいっていない可能性がある。このセイルの膜は新聞紙の厚さの6分の1以下に相当する 0.0075mmという薄さできわめて脆弱なため、この種のものはこれまでに用いられたことはない。それでもすでに日本人は宇宙でこのセイルを張ることに成功したが、Sydney Morning Herald によればアメリカのグループは過去2回の試みにおいて失敗しているという。今回のケースでは JAXA はセイルの隅っこに重点を置いた。宇宙船のゆっくりした回転によって生じた遠心力がこのセイルを完全に展開させるようにしたのである。
先週の日本の2つ目宇宙での快挙は未来ではなく、太陽系誕生というおよそ46億年前にさかのぼる過去に向けられたものだった。JAXA は2003年にはやぶさを打ち上げた。この宇宙探査機はその目標である小惑星イトカワに到達するのに2年以上を要した。この小惑星は“地球近傍”小惑星と考えられている。はやぶさが到達した時、わずか1億8,500万マイルほどの距離だった。しかしそれ以後、事は必ずしも順調に進まなかった。燃料漏れ、岩石サンプル採取のための器具の不具合、そして50日間の通信途絶があり、さらにミッションの終了までに船体の4つのイオンエンジンのうちの3つまでが故障した。はやぶさは当初の帰還時期を逸し、3年遅れで地球に帰ってくることを余儀なくされた。このような遅れがあったとしても、はやぶさは宇宙航行の最長記録を更新した。
これまでのいくつかの故障にもかかわらず、はやぶさ計画はすでに画期的なミッションとなっている。はやぶさの行程は月以外の天体への史上初の往復飛行であった。同機はイトカワの大きさ、形、密度、およびおおよその構造を確定した。さらに、真に重要なことは、小惑星のサンプルを初めて地球に持ち帰ることであり、地球でより詳細な解析が行われることになる。6月13日、はやぶさは地球の大気圏に再突入した時にオーストラリア中部の上空に明るい閃光(JAXA のMiwada 氏は『花火のように』と表現)を発しながら消滅した。しかし、燃え尽きる数時間前、同機は、地球に初めて持ち帰られる小惑星の断片を含有しているとみられる小さな容器の切り離しに成功した。このカプセルはオーストラリアの奥地に着地し6月17日に日本に戻されたが、外見上密閉状態は維持されていた。その中に存在するものが正確に判明するには数ヶ月を要すると Miwada 氏は言う。7年間も待たされたのであるからあえて汚染のリスクを冒したいと思うものはいないだろう。それは特殊な隔離システムで分解されることになるため大気に曝されることはない。Miwada 氏は言う、「多くの粒子を発見するかもしれない。我々は一つ一つを解析し、それが地球上の粒子なのか宇宙の粒子なのかを判別しなくてはなりません」
NASA とJAXA双方の科学者たちは、はやぶさがなんとか小惑星の物質を持ち帰っている可能性があると言うが、その正確な組成を決定するのに多くが必要とされるわけではない。小惑星は太陽系の中で最も変化のなかった物体の一つであり、それらが何からできているかを知ることは私たちの惑星の起源を知る手がかりを科学者に与えるものである。「私たちは、初期の太陽系形成過程からの遺残物を見ることになるのです」と、NASA のNear-Earth Object Program Office の管理者 Donald Yoemans 氏は言う。「小惑星は、惑星が誕生した当時の化学的構成物や温度環境を知る優れた手がかりを提供してくれます」
オーストラリアの奥地でカプセルを探し出すことは JAXA チームにとって“格別な時間”だったと Miwada 氏は言う。そして誇りに思っているのは科学者だけではない。日本では、国民は“はやぶさ”を “はやぶさ君” と呼び始めているが、これは通常少年や若い男性に向けて用いられる愛情のこもった接尾語をこの宇宙船に対してつけているというわけだ。讀賣新聞によると、東京のJAXA事務所では、ある訪問者が「私はとても幸せだ。自分の息子が帰ってきたかのように感じます」と書いていたそうである。瀕死の経済や新しい総理大臣の誕生といったニュースの中、この10日間のJAXAの偉業は、地上の問題から目をそらし、宇宙のことに満足する理由をこの国に与えた。JAXA 事務室を訪れた別の訪問者は「景気の低迷による暗い日々にうんざりしていたが、はやぶさの話は私を実に幸せにしてくれました。明日からは前より明るく働くことができそうです」と書いている。その後、菅総理大臣が先週、はやぶさⅡの予算の増額を検討していると語ったというが無理からぬことである。
はやぶさが持ち帰ったカプセル(毎日新聞より)
まもなくその解析結果が発表されるのであろうが、
“はやぶさ” が残してくれたカプセルには
結局何も入っていませんでした~、
なんてことはないでしょうね~。
しかし、この探査機、“はやぶさ”、
大日本帝国陸軍の一式戦闘機の愛称と同じ名前だが
なにか意味があったのだろうか?
実は、小惑星イトカワは、日本のロケット開発の父、
糸川英夫氏にちなんでつけられたのであるが、
この糸川氏、戦前にこの一式戦闘機“隼”の設計に
携わっていたそうなのである。
そういったことと関係があるのかも知れないし、
単に日本の威信をかけて命名されたのかも知れない。
記事中で仕分けにあったことが触れられていたが、
一番じゃなくてもいいんです、なんてことで
JAXAのいいところまで仕分けされてしまっては
経済刷新もいかがなものかと思ってしまうのである。