MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

最先端も事業仕分け?

2010-06-28 20:15:18 | 科学

サッカー・ワールドカップ決勝トーナメント進出は
まさに日本の快挙!
(一次リーグE組は他の組に比べて、恵まれていた?)
ま、なにはともあれ、めでたし、めでたし。
ところで、この6月中旬、日本は宇宙的な快挙を
2つも成し遂げていたという。
その一つ、
宇宙探査機 “はやぶさ” の帰還は大きく取り上げられていたが、
先月5月に打ち上げられた“イカロス”のその後の成功も
実は大変な功績なのだそうである。
日本の技術も捨てたものではないというお話。

6月21日付 TIME.com

Japan: The New Pioneer of the Final Frontier? 
“最後の開拓地” の新たな開拓者となるか、日本

Hayabusa_3

2010年6月14日、作業員らはオーストラリア内陸で日本のハヤブサの標本回収カプセルを確保した 

By Christopher Shay
 ウォークマンを発明した国が、技術的パイオニアとしてその名前に磨きをかけるべく再びその軌道に戻れることになるかもしれない。将来の星間旅行が期待される画期的な宇宙船が現時点で地球から470万マイル(約770万km)の地点にいる。日本の宇宙計画 JAXA(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)は世界で初となるソーラー・セイル(太陽帆)の展張に成功したと6月10日に発表した(この宇宙船は太陽光による加速度を利用して推進力を得る)。それからちょうど3日後、日本はさらに印象的な業績となりそうな事実を発表:7年前に地球を発った宇宙探査機が帰還したというのである。オーストラリア上空で明るく燃え尽きる前に、この探査機はサッカーボールほどの大きさの容器を切り離した。この小さな容器には初めて地球にもたらされる小惑星の破片が含まれている可能性があり、我々の惑星の起源についての手がかりが得られるかもしれない。予定より3年も遅れ、4つのエンジンのうち3つが失われた宇宙探査機だが、それを差し引いても良いニュースである。
 今回のこれらの宇宙での功績は日本の宇宙機関にとってはもう少し良い時期であってほしかった。景気低迷や巨額の財政赤字に伴い、新しい菅直人総理大臣は日本にのさばる官僚支配にメスを入れることを公約しており、JAXA にもまた確実に厳しい視線が注がれることになる。前政権下の4月、行政刷新会議が同機構に対し民間企業からより多く資金を調達するよう勧告したことを Wall Street Journal が伝えた。それ以前も、JAXA は追加の小惑星計画を展開するために1900万ドル近くを要求したが、鳩山政権はわずか33万ドルを割り当てただけだった。こういった事実は同機構の未来にとっては勇気づけられる兆しとは程遠いものだが、宇宙人が自分の魂を三角形の宇宙船に乗せて金星に連れいったとかつて発言した女性の夫である総理大臣からの仕打しに他ならない。
 ソーラー・セイルは真ん中に穴のあいた銀色の防水シートに似ていて一見、ローテク製品のように見えるかもしれないが、その任務の成功は、我々太陽系の外側の領域への将来の航行に役立つ可能性がある。JAXAのイカロス(IKAROS: Interplanetary Kite-Craft Accelerated by Radiation of the Sun)はロケット燃料なしに推力を得る初の宇宙船となる。太陽の近くを飛び過ぎて翼が溶けてしまったというギリシャ神話の囚人イカロスと同じその神話的な名前とは裏腹に、日本のIKAROS はその帆に対する太陽の光子の力を利用して太陽により近づくよう同機を推進する。IKAROS の最初の立ち寄り先は金星であり、その後うまくいけばこの無人宇宙船はこの惑星を越えて太陽の向こう側に進んでゆく。ソーラー・セイルによって動力を得る IKAROS のような探査機は最も速い宇宙船ではないかもしれないが、ロケット燃料を積んだものよりはるかに安価である。JAXA のスポークスマンである Makoto Miwada(三輪田真)氏は IKAROS の試験は一般の大規模な衛星の打ち上げの半分の価格で済むと言う。「この衛星はかなり安いです」と、彼は言う。
 もしこれらすべてがサイエンス・フィクションのように聞こえるとしたら、恐らくそれはつい最近まで実際にそうだったからだろう。ソーラー・セイルは1960年代の初めまではサイエンス・フィクションに取り上げられており、James Cameron 監督の『アバター』にも登場した。IKAROS 計画の目的は宇宙船の操縦に太陽光を用いることの実現可能性をテストすることであり、いまだに多くのことがうまくいっていない可能性がある。このセイルの膜は新聞紙の厚さの6分の1以下に相当する 0.0075mmという薄さできわめて脆弱なため、この種のものはこれまでに用いられたことはない。それでもすでに日本人は宇宙でこのセイルを張ることに成功したが、Sydney Morning Herald によればアメリカのグループは過去2回の試みにおいて失敗しているという。今回のケースでは JAXA はセイルの隅っこに重点を置いた。宇宙船のゆっくりした回転によって生じた遠心力がこのセイルを完全に展開させるようにしたのである。
 先週の日本の2つ目宇宙での快挙は未来ではなく、太陽系誕生というおよそ46億年前にさかのぼる過去に向けられたものだった。JAXA は2003年にはやぶさを打ち上げた。この宇宙探査機はその目標である小惑星イトカワに到達するのに2年以上を要した。この小惑星は“地球近傍”小惑星と考えられている。はやぶさが到達した時、わずか1億8,500万マイルほどの距離だった。しかしそれ以後、事は必ずしも順調に進まなかった。燃料漏れ、岩石サンプル採取のための器具の不具合、そして50日間の通信途絶があり、さらにミッションの終了までに船体の4つのイオンエンジンのうちの3つまでが故障した。はやぶさは当初の帰還時期を逸し、3年遅れで地球に帰ってくることを余儀なくされた。このような遅れがあったとしても、はやぶさは宇宙航行の最長記録を更新した。
 これまでのいくつかの故障にもかかわらず、はやぶさ計画はすでに画期的なミッションとなっている。はやぶさの行程は月以外の天体への史上初の往復飛行であった。同機はイトカワの大きさ、形、密度、およびおおよその構造を確定した。さらに、真に重要なことは、小惑星のサンプルを初めて地球に持ち帰ることであり、地球でより詳細な解析が行われることになる。6月13日、はやぶさは地球の大気圏に再突入した時にオーストラリア中部の上空に明るい閃光(JAXA のMiwada 氏は『花火のように』と表現)を発しながら消滅した。しかし、燃え尽きる数時間前、同機は、地球に初めて持ち帰られる小惑星の断片を含有しているとみられる小さな容器の切り離しに成功した。このカプセルはオーストラリアの奥地に着地し6月17日に日本に戻されたが、外見上密閉状態は維持されていた。その中に存在するものが正確に判明するには数ヶ月を要すると Miwada 氏は言う。7年間も待たされたのであるからあえて汚染のリスクを冒したいと思うものはいないだろう。それは特殊な隔離システムで分解されることになるため大気に曝されることはない。Miwada 氏は言う、「多くの粒子を発見するかもしれない。我々は一つ一つを解析し、それが地球上の粒子なのか宇宙の粒子なのかを判別しなくてはなりません」
 NASA とJAXA双方の科学者たちは、はやぶさがなんとか小惑星の物質を持ち帰っている可能性があると言うが、その正確な組成を決定するのに多くが必要とされるわけではない。小惑星は太陽系の中で最も変化のなかった物体の一つであり、それらが何からできているかを知ることは私たちの惑星の起源を知る手がかりを科学者に与えるものである。「私たちは、初期の太陽系形成過程からの遺残物を見ることになるのです」と、NASA のNear-Earth Object Program Office の管理者 Donald Yoemans 氏は言う。「小惑星は、惑星が誕生した当時の化学的構成物や温度環境を知る優れた手がかりを提供してくれます」
 オーストラリアの奥地でカプセルを探し出すことは JAXA チームにとって“格別な時間”だったと Miwada 氏は言う。そして誇りに思っているのは科学者だけではない。日本では、国民は“はやぶさ”を “はやぶさ君” と呼び始めているが、これは通常少年や若い男性に向けて用いられる愛情のこもった接尾語をこの宇宙船に対してつけているというわけだ。讀賣新聞によると、東京のJAXA事務所では、ある訪問者が「私はとても幸せだ。自分の息子が帰ってきたかのように感じます」と書いていたそうである。瀕死の経済や新しい総理大臣の誕生といったニュースの中、この10日間のJAXAの偉業は、地上の問題から目をそらし、宇宙のことに満足する理由をこの国に与えた。JAXA 事務室を訪れた別の訪問者は「景気の低迷による暗い日々にうんざりしていたが、はやぶさの話は私を実に幸せにしてくれました。明日からは前より明るく働くことができそうです」と書いている。その後、菅総理大臣が先週、はやぶさⅡの予算の増額を検討していると語ったというが無理からぬことである。

Hayabusacapsule

はやぶさが持ち帰ったカプセル(毎日新聞より)

まもなくその解析結果が発表されるのであろうが、
“はやぶさ” が残してくれたカプセルには
結局何も入っていませんでした~、
なんてことはないでしょうね~。
しかし、この探査機、“はやぶさ”、
大日本帝国陸軍の一式戦闘機の愛称と同じ名前だが
なにか意味があったのだろうか?
実は、小惑星イトカワは、日本のロケット開発の父、
糸川英夫氏にちなんでつけられたのであるが、
この糸川氏、戦前にこの一式戦闘機“隼”の設計に
携わっていたそうなのである。
そういったことと関係があるのかも知れないし、
単に日本の威信をかけて命名されたのかも知れない。
記事中で仕分けにあったことが触れられていたが、
一番じゃなくてもいいんです、なんてことで
JAXAのいいところまで仕分けされてしまっては
経済刷新もいかがなものかと思ってしまうのである。

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否定したはずの病気

2010-06-22 20:59:34 | 健康・病気

本エントリーは、またまた
恒例のメディカル・ミステリーでございます。

6月15日付 Washington Post 電子版

Medical Mysteries: Patient was at grave risk after tests ruled out fatal disease 

メディカル・ミステリー:幾度かの検査で致死的疾患が除外された後も危険な状態にあった患者

Dennisholden_2

Waldorf の自宅にて妻の Eileen と過ごす Dennis Holden 氏は、治療しなければ間違いなく死に至る疾患にかかっていた。医師たちは、彼がどのようにしてこの疾患にかかったのかを明らかにすることができずにいた

By Sandra G. Boodman
 昨年9月のある日、朝早く、長い白衣をまとった優秀な上級医師たちが Johns Hopkins Medical Institutions のカンファランス・ルームのクッションのきいた黄土色の椅子に腰を下ろすと、一人の若手の専門医が、何週間も医師仲間を悩ませてきた患者についてプレゼンテーションを始めた。
 「これは気の滅入るような症例でした」、感染症フェローの Justin Bailey 医師は冒頭でこう紹介した。「しかし、ハッピーエンドとなりました」
 Bailey 医師は55才の会計士であるこの患者が2009年に Hopkins 病院に4回入院することになった症状を以下に要約した:寝汗、強い倦怠感、頭痛、小刻み歩行、そして進行性の意識混濁。そして Bailey 医師はこれまでに行ってきた検査を列挙した。彼は、まれな感染症ながら一般に認められるケース、たとえば旅行中に感染した海外の微生物、新しいペット、海外からの帰国者との密接な接触、など、それらすべてがどのように除外されていったかについて説明した。
 それでは一体なぜこの患者は数ヶ月の経過でそれほど顕著に増悪していたのだろうか?そして、繰り返し行われた検査で彼の病状を説明するものが何も示されなかったとしたら、彼はどこが悪かったというのだろうか?
 数ヶ月後、Bailey 医師は、あの日あの部屋で優れた専門医たちでさえそのような症例を見たことがなかったということを満足げに思い出した。Bailey 医師が正しい答えを発表する前に彼らが示した診断のほとんどは、実際にこの患者を治療した医師たちが考えつき、その後破棄することになったのと同じだった。
* * *
 2008年の初夏、Eileen Holden さんは夫 Dennis 氏の具合がどこか悪いのではないかと思った。彼は特に努力したわけでもないのに約25ポンド(約11kg)体重が減り、ストレスがあるように見え、徐々に忘れっぽくなり、そのことで彼女もイライラさせられるようになった。彼は時々、自分たちの4人の子供の一人がどこにいるか彼女に尋ね、その都度彼女が教えても、『まるでそのことを聞いていなかったかのように』5分後には同じ質問を繰り返していたのを、彼女は思い起こす。
 Dennis Holden氏は Indian Head Naval Surface Warfare Center の会計管理者としてより厳しい役職に昇格していたところだった。教師をしている Eileen さんは、Charles 郡の自宅に彼が電話をかけてきたある日曜日のことを思い出す。その時、驚くほどの速さで増えてゆく仕事をこなすために彼が事務所に出かけてから10時間近く経っていた。
 「何も仕事ができない、と彼は言ってきたのですが、その時すでに午後4時になっていました」と、柄にもなく今にも泣きだしそうになっていた夫のことを彼女は思い起こす。「書類に書き込もうとするのですが、どこに書き込んだかということすら覚えていないのです」
 さらに Dennis さんはよく眠るようになった。リビングルームに座ると、彼は老人のようにすぐに眠りこんだ。医師に診てもらうよう彼女は繰り返し夫を説得したが、彼は受診しなかった。しかし、Holden 氏は自分でもどこかがおかしいことに徐々に気付きはじめ、常時疲れを感じるようになった。「仕事に出かけ、家に帰ることがなんとか自分にできるすべてでした」と、彼は思い出す。
A troubling incident 困ったできごと
 2009年2月、彼は、かかりつけの内科医を受診した。その医師はさらなる検査のために心臓内科医に紹介したが、特に異常は認められなかった。
 一ヶ月後、金曜日夜に行われた息子の高校のラクロスの試合に参加していた時、Dennis さんが異様な歩き方をしており、観客席を移動するのが難しかったことに Eileen さんは気付いた。彼は背中が痛く気分が悪いので、先に家に帰っている、と彼女に伝えた。
 数分後、彼女の携帯が鳴った。自分の車が見つからないと、Dennis さんが駐車場から電話をかけてきたのだった。「『そこにいて。あなたを見つけに行くから』と、私は答えました」と彼女は思い起こす。ちんぷんかんぷんなことを言いながら、自分の車であることに気づかないまま自分の車の前に立っていた夫を彼女は発見した。
 あわてた彼女は彼を連れて近隣の地域病院の緊急室へ車で直行した。脳CTでは脳脊髄液の過剰状態が認められ、これが彼の意識混濁と歩行障害の原因と考えられた。Holden 氏は救急車で Hopkins 病院に転送された。
 そこの医師たちは、脳内に脳脊髄液が過剰に貯留する正常圧水頭症ではないかと考えた。しかし数日後、それは除外され、様々な検査が行われた:腰椎穿刺、採血、さらにはあらゆる画像検査などである。リンパ腫やその他のいくつかの癌、HIV、狼瘡(ループス)、ライム病、西ナイルウイルス、結核、トキソプラズマ症、寄生虫による感染などが除外された。
 Holden 氏の腰椎穿刺で髄液中の白血球数の増加が認められたことから感染の可能性が示唆され、胸部CTではリンパ節の増大が認められた。しかし、納得のいく答えは得られなかった。
 彼は幾分よい状態となり4月上旬に退院した。原因が何であるか確定していないことを、医師たちは Eileen Holden さんに告げた。髄膜炎が考えられたが、その原因は誰にもわからなかった。髄膜炎を起こしうる真菌 クリプトコッカスの2つの検査も陰性だった。いずれにしろクリプトコッカスは考えにくかったのだが。これは、鳩の糞から引き起こされる日和見感染症であり、そのほとんどが免疫系に障害をきたしているAIDSの患者に見られるからである。Holden 氏の免疫系は障害されておらず、HIV検査は陰性であった。
 Holden 氏は事務所に戻ったが、働くのがやっとの状態だった。5月中旬までに、彼は Hopkins 病院に再入院した。医師たちによって肺の腫大したリンパ節の生検が行われた。それによって彼の多くの症状の原因が明らかにされると期待された。神経サルコイドーシスは、原因不明のまれな、慢性炎症性疾患であり、脳、脊髄あるいはその他の部位に異常な細胞集積を来たす。本疾患は頭痛、意識混濁あるいは髄膜炎の原因ともなり得るからである。
 医師たちは、炎症を抑えるステロイドであるプレドニゾンを大量に投与した。「大勢の人たちに電話をかけ、彼らに『イェイ、やっと原因がわかったぞ』と言って回った」ことを覚えていると Holden 氏は言う。
 しかし一週間後、夫はむしろさらに悪くなったように感じたと、Eileen Holden さんは回想する。ある朝、自分は神経衰弱になってしまったように感じると、彼は彼女に話した。彼は歩行障害のため杖を使っていたし、娘の高校の卒業式には車椅子で出席しなくてはならなかった。精神的にも彼はうつろに見えた。彼は皿洗い機の中にバナナの皮を入れることもあった。後になってこの夫婦が知ったことだが、彼の職場の人たちも強く気にかけていたのだが、彼が上司であったため、何かを言おうとする者はいなかったという。
 6月下旬までに彼は病院に戻っていた。医師たちはプレドニゾンに加えて抗うつ薬を処方し、再度腰椎穿刺を行った後、一旦退院させた。
 その二日後の夜、Eileen Holden さんは Hopkins 病院の医師から緊急の電話を受けた。それまでの何度かの検査で陰性だったため除外されていた致死的ともなりうる真菌感染症 クリプトコッカスの明らかな所見が直前の腰椎穿刺で認められたというのである。真菌は脊髄や脳を侵す可能性があり、認知症様の症状をきたす。しかし健康な患者での発症はほとんど知られていない。
 オンライン医学教科書 eMedicine に昨年掲載された記事によると、治療が施されなければクリプトコッカス髄膜炎は『間違いなく致死的』であるという。症状発現から数年以内に死に至るとされる。
 ただちに Hopkins 病院に戻る必要があると Holden 氏は告げられ、医師たちはステロイドを中止した後、腎機能障害を来たす恐れがあることから厳密な管理が必要とされる強力な抗真菌薬による治療が開始された。
Why the mystery? 不可解な経過はなぜ?
 それでは、それまでのクリプトコッカスのために行われた検査はなぜ陰性だったのだろうか?Bailey 医師らが後に知ることになったのだが、その答えは Holden 氏の健康な免疫系にあった。プレドニゾンが彼の免疫系を抑制したため、それによってずっと潜んでいながら抑えられていたクリプトコッカスの感染が増長し腰椎穿刺の所見で認められることになったのである。
 「何らかの理由によりAIDSではない人ではこれらの検査は鋭敏ではないのです」と、Bailey 氏は言う。治療を開始して数日以内に(最終的には数ヶ月間この治療を受けた)、Holden 氏は劇的な改善を見せ始めた。意識障害は軽快し、頭痛は弱まり、歩行機能も改善した。
 重篤な症状の悪化に陥っていたことから、平衡機能を取り戻し経営管理能力を学習し直すのに2ヶ月間に及ぶ特殊な作業療法、理学療法、ならびに認知療法が必要となった。そして昨年9月、Holden 氏は復職した。ほぼ完全に正常に戻ったように感じていると彼は言う。
 「人生を変えるような経験でした」と Holden 氏は言うが、病気についての彼の記憶はとぎれとぎれである。「もし Eileen がいなかったら今私がこうしていられたかどうかわかりません」
 昨夏、正しい診断がついてから Holden 氏の治療を開始した Bailey 氏は、健康成人でクリプトコッカス髄膜炎を発症した症例について医学文献を調べてみたところ、この真菌が土中の至るところに存在し、鳩の糞中にも認められるにもかかわらず、そのような症例はほんの一握りしか見つけられなかったという。Holden 氏は園芸家でもなければ鳥を扱うこともないのである。
 「彼がどのようにして感染したのかはわかりませんし、おそらくこの先もわからないと思います」と Bailey 医師は言い、この感染が約1年の間に増悪してきた可能性を考えていると付け加えた。「あれほど精神状態に重篤な症状が出た人でこれほど良くなった例を見たことがありません。彼の回復には驚くばかりです」

クリプトコッカス髄膜炎は、
免疫不全状態の患者に選択的に生じる
日和見(ひよりみ)感染症の一つである。
記事中にあるように、鳩などの糞が感染源となりやすく、
免疫能の低下に乗じて、まず肺に初感染巣が生じ、
そこから脳脊髄腔に感染が移行して

髄膜炎が生ずると考えられている。
本例のように慢性の経過で病状が進行する例が

多いようである。
真菌性髄膜炎を起こす病原真菌には、クリプトコッカスの他、
カンジダ、ムコール、アスペルギールスなどが挙げられるが
クリプトコッカス髄膜炎の頻度が最も高いといわれている。
症状が緩徐進行性で非典型的な場合、診断がつきにくく、
本疾患を鑑別診断の一つとして念頭に置いておくことが

必要である。

本例のようにAIDSなどの免疫不全状態にない患者の場合、
一層診断がむずかしくなる可能性がある。
確定診断は、髄液中のクリプトコッカス莢膜を
墨汁染色で確認するという古典的な方法がいまだに
有効とされる。
治療は、古典的抗真菌薬 アムホテリシンBの注射が
最も有効であるが、本薬剤には腎毒性があるため、
投与には注意が必要である。
ストレス社会においては健康人の発症が

今後見られるようになるのかもしれない。
さて、いきなり消費税増税をぶち上げた菅内閣。
鳩の糞からできた内閣(おいおいっ!)と言われないためにも
いたるところに不具合を蔓延させ
日本を機能不全に陥らせるようなことがないよう
ただただ祈るばかりの今日このごろである。

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“インシデンタローマ”への覚悟

2010-06-15 20:31:03 | 健康・病気

サッカー・ワールドカップ2010、日本初戦から勝ち点3!
とはいえ、試合は終盤押されっぱなしで、
ほとんど好機のなかった日本は前半の
まさに“インシデンタル(偶発的)”ゴールの1点のみ。
カメルーンの雑なプレーに救われた格好だ。
さて、今回は同じ“インシデンタル”でも
“偶然”だったのは腫瘍の発見、という話。
英語ではこういった腫瘍を
“incidentaloma”(インシデンタローマ)と呼んでいる。
まずは、
コラムニスト Nicholas D Kristof 氏の体験談の要約を
New York Times  “Opinion” から紹介する。

6月6日付 New York Times 電子版

“A Scare, a Scar, a Silver Lining” 『恐怖、傷跡、そして希望の光』
アメリカ国民の41%が癌にかかる時代だが、そんなことは自分とは縁遠い話と考えていた 私だが、全く別の理由で行われた腹部CT検査で右の腎臓に腫瘍が発見された。医師たちの一致した見解によると、その腫瘍が良性である確率は10%、悪性である確率は90%ということだった。腎臓癌の5年生存率が50%以下であることを知ったとき、さすがに楽天家の私も動揺した。こうして私には手術を受ける以外選択の余地は残されていなかった。私は3時間の手術を受け、腫瘍とともに1インチ強の大きさで摘出、右の腎臓の10%を失った。そして、右脇腹には6インチの傷跡と痛みが残った。今回のことで、私は死を身近なものと捉え、空がどんなに青いか、足元の草がどれほど気持ちよいか、子供たちの声がどれほど心地よいかを知ることができた。死ぬ運命を垣間見ることで自分たちが今持っているものに対して満足するという、健康な時には最も気付きにくい財産に気付けたのである。そんな時、病理医からの報告書が帰ってきた。私の腫瘍はoncocytoma(オンコサイトーマ、好酸性顆粒細胞腫)という良性のタイプだった。あらゆる予測や不安に反して、私は癌ではなかったのである。画像診断技術の進歩とともに見つからなくてもよい異常が発見され、自分のように思い悩む人も増えることだろう。日頃から癌予防の心構えも必要だが、自分の周囲の事柄に対して肯定的に考えておくことも大切であるのは間違いない。

で、このコラムに対して
専門的立場から医師 Peter Libby 氏の評論である。

6月8日付 New York Times 電子版

The ‘Incidentaloma’ Problem With Medical Scans スキャン検査に伴う『偶発腫瘍』問題

Incidentaloma_2

CTキャンはしばしば、未治療のままが望ましい偶発的な病変を発見する

By PETER LIBBY

 New York Times のコラムニスト Nicholas Kristof 氏が最近 『A Scare, a Scar , a Silver Lining(恐怖と傷跡と希望の兆し)』 に書いているように、別の理由により行われたCTスキャンによって偶然発見された彼の腎臓腫瘍が癌ではなく良性であることが判明したことは喜ばしいニュースである。癌というのは暴走気味の診断だった。この結果、相当な不安と、6インチほどの傷を残してしまった痛みを伴う手術が強いられてしまったのだ。Kristof 氏は自身の個人的な医学的状況の詳細を数百万人の人たちに伝えることで皆に貢献してくれたので、私たちは彼の思慮深い感動的なコラムから重要な教訓をありがたく知ることができる~私たちは最愛の人たちとの一分一秒を楽しむべきであるということを。
 彼の話はまた、危険性・費用と有益性との間でバランスをとりながら高額な画像技術を用いる必要性が求められる中、医学が直面する解決が急がれる問題を前面に押し出している。これは画像診断によるスクリーニング検査に伴う 『 incidentaloma(偶発腫瘍)』 問題とも呼ばれ、見つかっていなければ健康なままであったはずの人が、治療の合併症により病気になりかねない良性病変が医学的検査によって偶然に見つかってしまうことをいう。
 Kristof 氏に対するCTスキャンは、どうやら詳細不明の正当な医学的理由により行われたようだった。しかし、医師の中には、隠された病気について効率よくふるいにかけるためにハイテク画像診断を推奨するものもおり、一方で、それを求める患者もいる。
 治療可能な癌、あるいは診断されていなかった心血管病変などの疾患が発見されたことによって命が救われたとされる逸話は多い。『一枚の絵は千の言葉に値する(百聞は一見にしかず)』ということわざは医師にとっても一般人にとっても同じように魅力的である。
 それでも、注目を浴びる個々のケースや印象とかいったものに左右されるのではなく、医療的処置の有益性対危険性・費用について厳密に考えることが重要である。経過観察の方針と医学的に判断されるような偶発的な所見は心血管画像検査中8%以上にのぼること医学的文献では示されている。幸いにも Kristof 氏の場合、偶然に発見された腎臓腫瘍(これが彼の 『incidentaloma』 である)に対して行われた3時間に及ぶ手術に起因する大きな合併症は回避された。
 しかし、すべての侵襲的手技にはある程度のリスクを伴う。もし、偶発的所見のために行われることになった処置のごくわずかだけに合併症が生ずるとしても、検査が行われたことで不意にもたらされた病気の総体的な負担は甚大なものとなる可能性がある。多くの例で 『incidentaloma』 は良性であり、治療しない方がベターである。このように画像検査を用いたスクリーニングによる予期せぬ結果が健康な人を病気にしてしまう可能性がある。
 実際、大規模研究において、スクリーニング検査で得られる有益性について盛んに議論されている。New York Times では胸部CTによる喫煙者のスクリーニングやPSA検査による成人男性の(前立腺癌の)スクリーニングの有益性についての議論を詳細に報告してきた。CTスキャンの繰り返しはまた相当量の放射線被曝が問題となっており、発がんのリスクファクターともなるため、スクリーニングにおけるCTの乱用に対する警告もある。
 最新の画像診断技術は、適正に用いられれば診断および治療において強力で必要な手段を提供する一方、無分別に用いられるとリスクを伴う可能性があることを心に刻んでおくべきである。多くの場合、病歴、理学的検査、簡単な血液検査などの非画像的指標を用いて疾患の可能性をあらかじめ検討しておくことが、私たちにとって、リスクと有益性のバランスをよりうまくとれるよう画像診断を選別し、発見されないままでいることが最善である今回の『incidentaloma』にとりわけ遭遇しないようにしてくれるのに役立つと思われる。
 なお、Peter Libby 医師はボストンの Brigham and Women’s Hospital の心臓血管内科の部長である。

このケース、
内視鏡下手術で低侵襲に摘出できなかったのだろうか?
という疑問はある。
アメリカの医学をもってしても、
悪性の可能性9割という誤った見立て(誤診)をされるのか?
しかし、今回のケースとは逆に、
見つかった腫瘍が良性だと思って様子を見ていたら
実は悪性だった、という方がもっと問題となるのかも知れない。
いずれにしろ、画像診断技術には
単に解像度だけでなく、一層の診断能の向上が
求められる。
一方、患者の立場としては、いつ発見されてもいいように
日ごろから精神力を鍛えておくことが重要と言えそうだ。

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2010年7月新ドラマ

2010-06-07 22:36:23 | テレビ番組

4-6月期ドラマ、初回は一通り見たのだが
結局生き残ったのは
『臨場(2)』『Mother』『怪物君』『新参者』。
で、『月の恋人』はあえなく轟沈。
ちなみに、この一年間の各クールの一押しを独断で挙げてみると
2009年4-6月 『白い春』(フジ・関西テレビ)
2009年7-9月 『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー』(フジ)
2009年10-12月  『JIN~仁~』(TBS)
2010年1-3月 『泣かないと決めた日』(フジ)
2010年4-6月 『Mother』(日テレ)
やっぱりドラマはフジが一番か?テレ朝、何やってる?

それではちょっと早いが、7月からの新ドラマ、
例によってひと通りチェックしてみることにしよう。

フジ月9 7/19~ 『夏の恋は虹色に輝く』 松本潤(嵐) 、竹内結子
なにやらベタなタイトルのこのドラマは、大物俳優の息子ながらうだつの上がらない俳優業を続けている松潤演ずる主人公が年上の訳あり美女との恋に落ちてしまうというラブ・ストーリー。あまりに庶民感覚とかけ離れた設定に、盛り上がってるのは業界関係者の間だけではなかろうか?もはや最強のラブ・ドラマ枠としての地位を失った感のある月9では、いくら今勢いのある嵐を使ってもこの内容での視聴率確保は難しいと思われる。総理大臣とか会社社長とかプロバスケットの選手とかもういいので、もう少し身近なラブ・ドラマを期待したいものである。

フジ火9 7/13~ 『ジョーカー~許されざる捜査官』 堺雅人、錦戸亮(NEWS)、杏、りょう、鹿賀丈史、大杉漣
堺雅人がゴールデン帯の連ドラ初主演。とはいえ、また警察物かい…。でもちょっと毛色は違っている。堺が演ずる神奈川県警捜査一課の警部は、笑顔とボケの昼間の顔と、凶悪犯に鉄槌を下す『仕置き人』の夜の顔という正反対な顔を持ち合わせた『許されざる捜査官』。心配なのは、以前から気になっているのだが、どんな場面でも目が笑っている堺の演技(『新選組!』の山南敬助役では、切腹の直前まで目が笑っていた)。昼間の顔はいいとして、果たして夜は…。共演は、今はやりの?鑑識官、久遠武志役に錦戸亮、新人女性刑事ながら警部補宮城あすか役に杏。ストレス発散にはお勧めのドラマかも?
 
フジ(関西テレビ)火10 7/6~ 『逃亡弁護士~成田誠』 上地雄輔、石原さとみ、村川絵梨、北村一輝、矢田亜希子
原作は剛英城・高田優・岡本創によるコミック 『逃亡弁護士 成田誠』『新・逃亡弁護士 成田誠』。弁護士の孤独な戦いを描くヒューマンサスペンス。主人公は弁護士だが、彼自身が突然殺人の罪をきせられてしまう。取り調べ中に逃亡し、自らの力で真実・真犯人をつきとめようとする。全国指名手配となり追われながらも、逃げる先々で法の知識を生かして困っている人たちの力になってゆく、というストーリー。ドラマの展開は期待できそうだが、主役が上地雄輔というのはいかがなものか…(もっといい人いないの?)

TBS水9 4/21~  『アイリス』 イ・ビョンホン、キム・テヒ、チョン・ジュノ、キム・スンウ、キム・ソヨン、美山加恋 
放映前から若干の懸念はあったが、ゴールデン帯の韓流放映にもかかわらず視聴率は6~7%台と低迷。アクションシーンもいまいちでスパイドラマを韓流で見る必然性が感じられない。イ・ビョンホンの吹き替えが藤原竜也というのも失敗だったかも。異様に声が甲高い(嘆息)。視聴率アップの特番も組まれたようだが、一向に効果はなさそうである。

テレ朝水9 7/7~  『新・警視庁捜査一課9係(5)』 渡瀬恒彦、井ノ原快彦(V6)、津田寛治、羽田美智子、吹越満、田口浩正、原沙知絵、中越典子
警視庁9係に所属する個性的な6人の刑事を渡瀬、井ノ原、津田、羽田、吹石、田口が演ずる。2006年からシリーズを重ね今回は第5シーズン。テレ朝は、今年2月に亡くなった藤田まことの○○刑事○○』シリーズの後釜として定着を狙っているようだが、内容的には今ひとつ。それでもこれまでの視聴率は10~13%程度でテレ朝としては健闘している方かもしれない。刑事ドラマの主題歌がいまどきV6というのもどうかと思ってしまうのだ。

日テレ水10 7/7~ 『ホタルノヒカリ2』 綾瀬はるか、木村多江、臼田あさ美、向井理、安田顕、板谷由夏、藤木直人
原作はひうらさとるのコミック『ホタルノヒカリ』。恋愛に無関心でぐうたらに過ごす20代の女性主人公(『干物女』と呼ばれる)の恋愛ドラマ。2007年7月のパート1から3年ぶりの第2弾。ちなみにパート1の平均視聴率は13.59%とそこそこの数字はとっていたようだ。パート1も見てないし、原作も読んでいないので何とも言えないが、視聴者層が限定されてしまいそうな予感がする。

テレ朝木9 7/22~ 『警視庁継続捜査班(仮題)』 木村佳乃
フジの上戸彩主演『絶対零度~未解決事件特命捜査~』 の二番煎じのような内容。重大事件の時効が廃止となったことを受けて未解決事件の解明を目指す警察ドラマ。本ドラマでは、主人公、木村佳乃演ずる継続捜査班の警部補、貴志真奈美は元警察キャリアで、頭脳明晰で知識も豊富なプロファイリングの専門家という設定。バリバリの女性捜査官だが、KYなところがあり、現場の刑事たちとの衝突も…。テレ朝お得意の警察ドラマでそこそこの視聴率は取れるかも。

フジ木10 7/8~ 『GOLD』 天海祐希、反町隆史
脚本は野島伸二。天海が演じる早乙女悠里という女性は、都内に巨大なスポーツジムやエステを経営するバリバリのセレブ。厳しくわが子たちを育てあげオリンピックで金メダルをとることを至上命題としている。この目的のためオリンピックの金メダリストと結婚し、最高の遺伝子を持つ4人の子どもをもうけるやいなやシングルマザーとなり、彼らをロンドン五輪の候補選手にまで育て上げる。このドラマで野島は『ひとつ屋根の下』に続く『究極の家族愛』を描きたいという。さすがの野島も過去の人となりつつある今、あまりに現実離れしたストーリーに視聴者の共感が得られるか疑問。

テレ朝(朝日放送)金9 7/9 ~『崖っぷちのエリー~この世でいちばん大事な「カネ」の話』 山田優、塚地武雄、小泉孝太郎、田中要次、渡辺えり、陣内孝則、大杉漣
山田優が連ドラ初主演となる。原作は西原理恵子の『この世でいちばん大事な「カネ」の話』。山田演ずる主人公相原絵理子は『ド貧乏で不幸な崖っぷち女』。彼女が様々な壁を乗り越え、のしあがってゆく姿を描く。『崖っぷち』という言葉、安易に使いすぎていないだろうか?わざとらしい演出が想像されるし、共演の顔ぶれを見るとあまり期待できそうにないのだが…。

TBS金10 7/9~ 『うぬぼれ刑事(でか)』 長瀬智也(TOKIO)、生田斗真(ジャニーズJr.)、中島美嘉、要潤、荒川良々、矢作兼(おぎやはぎ)、坂東三津五郎、西田敏行
工藤官九郎初のオリジナル刑事ドラマ。ジャニーズ二人のほか、豪華な共演陣でTBSとしてはかなり気合が入っている。長瀬演ずるうぬぼれの強い刑事に、生田・要・矢作・坂東が演ずる、やはりうぬぼれの強い4人と合わせて『うぬぼれ・ファイブ』を構成?『うぬぼれ』が何だっつーの?長瀬の元恋人役に中島美嘉。サスペンス&コメディー&ラブロマンスのクドカン・ワールドが展開されるという。何が言いたいのかわからなくなりそうなドラマである。

TBS土8 7/10~ 『ハンマーセッション!』 速水もこみち、志田未来、、比嘉愛未、濱田マリ、杉田かおる、六平直政、小日向文世
原作は棚橋なもしろのコミック『「ハンマーセッション!』。『ハンマーセッション』とはメキシコ系ギャングが使っている俗語で、新入りがやってきた時に「しきたりや掟を脳天に叩き込んで教える」という意味らしい。速水演ずる天才詐欺師が逃げ込んだ学校で教師になりすまし、詐欺師のテクニックを駆使した『ハンマーセッション』で生徒たちの性根を叩き直してゆくという、『ごくせん』風ストーリー。彼が受け持つクラスの生徒役に志田未来。

日テレ土9 7/17~  『美丘(みおか)』 吉高由里子、林遣都、真矢みき、勝地涼、水沢エレナ
難病を抱えた主人公美丘と彼女を精一杯愛し抜いた青年の恋を描いた切ないドラマ。原作は石田衣良の小説『美丘』。平凡な大学生活を送っていた林遣都演ずる橋本太一が不治の病に冒されている吉高由里子演ずる奔放な女性美丘に出会う。いつしか二人は恋に落ち、太一は短い時間でも美丘を精一杯愛し、彼女がこの世に生きていた証人になることを決意する。ドラマでは病名は脳の変性疾患とされているが、原作では美丘の病は交通事故で手術を受けた際に移植された汚染硬膜によるクロイツフェルド・ヤコブ病…。確かに不治の病だわ。急激に進行する認知症、頻発するけいれん…恐ろしい病気である。見続けることがつらくなりそうな、重いドラマである。

TBS日9 7/19~  『G.M.』 東山紀之(ジャニーズ事務所)、多部未華子、大倉忠義(関ジャニ∞)、椎名桔平、生瀬勝久、小池栄子、吉沢悠、八嶋智人、大和田伸也 
G.M. とは米国の自動車会社ではなく、General Medicine(総合診療科)の略。医師不足の昨今、注目されているのが総合医である。東山紀之と個性豊かなメンバー8人が、揺れる『ソウシン』こと総合診療科を舞台に、患者が抱える『病』という名の『事件』を解明してゆく。東山演ずる主人公・後藤英雄はアメリカ帰りのG.M.のスーパードクター。この後藤の名医ぶりと、彼に影響を受け成長する同科の他のメンバーたちを描く、すべてが幸せな?東山だけのためにあるような医療ドラマ。

ふざけた感じのドラマが多い中、
日テレ土9の『美丘』だけはシリアスな印象。
日テレのこの時間帯、連綿と続いていた
ジャニタレ・ドラマからの脱却は大きい。
相変わらずテレ朝を中心に警察ドラマが多い。
全体に低調なラインアップだが、
一つくらいはいいドラマがあると期待したい。

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痛いといったら痛いのよっ!

2010-06-03 23:17:23 | 健康・病気

お待ちかね?
メディカル・ミステリーのコーナーです

5月25日付 Washington Post 電子版

Medical Mysteries
Pain in woman's ribs was all too real 女性の肋骨の痛みは本物だった

Jan_weymouth

Jan Weymouth さんは、病気が診断されるまで何年も症状に苦しんだ

By Sandra G. Boodman
 一年以上前から、Jan Weymouth さんは医師の言うことを信じられなくなっていた。医師たちの主張は彼女の胸郭のひどい痛みがゴルフの練習で筋肉の肉離れを起こしたためだとの一点張りだったからだ。
 そもそも、National Institutes of Health (NIH) Clinical Center のこのベテランの管理者はもう何ヶ月間もクラブを手に取っていなかった。それなのになぜ筋肉は治らないのだろうか?おそらくこの痛みは徐々に頻回となっている気管支炎の悪化による咳の発作に関係しているのだろうと彼女は考えた。たぶん、もう何日間も仕事に打ち込んできたことや、最近60ポンドも体重が増えたこと、さらには NIH の患者と家族のための住居計画という1,300万ドルのプロジェクトの陣頭指揮をとっていることからくるストレスなどがこの症状に関係しているのだろう。
 肋骨の痛みが悪化したため受診した整形外科医もリウマチ専門医も気に留めてくれている風はなかった。そのリウマチ専門医には Weymouth さんは絵まで描いて見せ、痛みの場所がどこであるかを正確に伝え、CTかMRIを行うよう強く求めたにもかかわらず…。
 「そもそもどこを検査すべきかさえわかりませんよ」と、彼は彼女に伝え、鎮痛薬の処方箋を殴り書きした。「我々は奇跡を起こす人ではないですから」
 2005年7月、その診察から4ヶ月後、別の手術の術前検査によって Weymouth さんの痛みのショッキングな原因が明らかになった。それは彼女が図で具体的に示していた部位に位置していたのだ。
 「最初私は憤慨しました。しかしその一方でありがたいとも思いました」と、彼女は思い起こす。「自分が病気だったことがわかるまでに何年もかかったのですから」
 Weymouth さんの症状が始まった時、どの医師からも確かな診断を得られなかった。病気は何年もくすぶっていた可能性がある。2000年を皮切りに、彼女は気管支炎を繰返し始めていたのだ。
 「私は一ヶ月ごとに病気になっている感じでした」と、Weymouth さん(61)は言う。彼女は35年間NIHに勤めた後退職し、現在は夫とともにデラウェア州 Rehoboth Beach に住んでいる。
 彼女が覚えている限り、肺は彼女のウィーク・スポットだった。1978 年、重篤な感染症が治らず、右肺の下葉を切除した。20年後には喘息を発症していると告げられた。
 Weymouth さんの呼吸器専門医は、この繰返す気管支炎は喘息が原因であるとし、ステロイドで治療を行った。ステロイドはしばらくの間有効だった。「それでも6週間から8週間のうちに再発するのです」と、彼女は言う。
 2003年12月、彼女は胸郭の左側に鋭い痛みを感じるようになった。Weymouth さんはゴルフのレッスンを受けており、夫とプレーすることもあったため、肉離れを起こしたのかもしれないと思った。しかし、数ヶ月後、痛みが増悪したため、最初の整形外科医を受診した。その医師はレントゲン写真を撮影し正常だと話した。肉離れを起こしている可能性を示唆し、彼女を理学療法へ回した。
 理学療法はその痛みを悪化させた。痛みに対処するため、Weymouth さんは市販の鎮痛剤を内服し、我慢するよう努めた。その後、最初の整形外科医に数度通ったり、別の整形外科医を受診したりしたが、二人とも理学療法の継続を勧めるため、2004年の秋までに、Weymouth さんはリウマチ専門医を受診することに決めた。おそらく、この症状は整形外科的なものではなく、関節炎や他の関節の病気によるものだと考えたからである。
 しかしそのリウマチ専門医もお手上げのようだった。彼は何も発見できず、やはり理学療法を勧めたが Weymouth さんはその忠告に従うつもりはなかった。
 2005年3月の予約診療中に、Weymouth さんはその医師に絵を描いてみせた。しかし彼は画像検査のオーダーを拒否した。彼の軽蔑的な口調から、この患者が心気症ではないかと思っていることがありありと伝わった。
 「私はそこを出ながら、『もう結構』と言いました」と、彼女は思い起こす。「私は医者を好きなわけでもないし、様々な症状を訴える常習者でもありません。本当に腹が立ちました」
 一方で、彼女は、2005年6月に開設されることになっていた成人患者とその家族のための一時的な住居 Edmond J. Safra Family Lodge の事務局長としての責任に追われていた。「仕事は私にとって大変重要でした」と彼女は言う。そのため、彼女は歯をくいしばりながら、鎮痛剤を飲んで仕事に打ち込んだ。
 その施設がオープンして1ヶ月後、Weymouth さんは厄介な問題に直面することになった。その前の年に60ポンド(約27 kg)も体重が増加していたのである。これは大量の持ち帰り用の食事やストレスからくる過食による結果だろうと思われた。
 減量手術のための術前検査(これには胸部レントゲン撮影が含まれていた)を受けた翌日、彼女は George Washington University Medical Center から緊急連絡を受けた。医師はCTスキャンが必要と考えた。彼女の肺に何かが認められたのである。
 このとき Weymouth さんは気にかけなかった。「1978年の肺手術による影を見つけたのだと思っていました」と、彼女は言う。
 Ctスキャンの数時間後、再度連絡を受けた。その検査で、例のリウマチ専門医に対して彼女が図を描いた部位の他、肋骨と肺にいくつかの疑わしい病変が認められたのだ。「彼らは手術を中止し、私に『ただちに腫瘍専門医か肺の手術医を見つける必要がある』と言ったのです」そう、彼女は振り返る。
 Weymouth さんは困惑し、うろたえた。National Cancer Institute (NCI)の友人に電話をかけ、悪い箇所が何であるかを突き止めるため検査が開始された。医師たちは肺がんを、続いてリンパ腫を除外した。肺、および肋骨の生検が行われたが、このとき肋骨はすでに壊れかけていた。
A rare diagnosis めずらしい診断名
 医師によって診断がつけられるまで3週間を要した。Weymouth さんはゆっくり増殖する肺カルチノイドと呼ばれる悪性腫瘍の最も病気の進行した状態と診断された。この腫瘍はきわめて稀なため orphan cancer (希少癌:注目も研究もほとんどされない癌)として分類されている。
 カルチノイド腫瘍は通常消化管に発生するほか、頻度は低いものの肺にも発生する。小さい腫瘍から始まるが、肺がんの他のタイプに比較してはるかにゆっくりと増大するため、咳、喘鳴、そして、それほど頻繁ではないが体重増加といった症状は、腫瘍が進行するまで認められないことがある。アメリカ癌協会によると、米国では年間3,000例の肺カルチノイドの症例が診断され、診断時の平均年齢は60才であるという。カルチノイドの原因や予後についてはほとんど知られておらず、比較的小規模な研究の対象となっているに過ぎない。治療は手術、化学療法、放射線治療、および実験的プロトコールが組み合わされて行われる。
 Weymouth さんにはそれらのすべてが施行され、NIHで行われるいくつかの臨床研究に登録された。治療中しばしば彼女は例の Safra Lodge に滞在した。それは彼女にとって思いもかけなかったことであったが、同時に満足のゆく体験ともなった。
 NCI の開発治療部門の元主任研究者の Martin E Gutierrez 氏は2005年8月に彼女が診断を受けた日からフロリダに異動となった 2008年まで Weymouth さんを治療した。
 「彼女の病気を何とかコントロールすることができ、彼女はまずまず元気になりました」と彼は言う。Gutierrez 氏によれば平均して年間1例程度のカルチノイドの患者をみているという。
 「なかなか治療は困難です」と、現在 Fort Lauderdale のHoly Cross Cancer Center の内科部長であるこの腫瘍専門医は言う。「悪性腫瘍ではありますが、そのふるまいは異なっています。6ヶ月以内に患者が死亡するようなものではありませんが、精神的には同じくらいの重荷となります:『私には癌ができていていずれ死ぬだろう』と思い込んでしまいます」
 それこそが Weymouth さんが痛切に感じている重荷である。「私を見ても、誰も私が病気だとは思わないでしょう」と彼女は言うのだが…。「カルチノイドは『見た目にはよい癌』と呼ばれる所以です」この数ヶ月で新たな腫瘍が彼女の肺に出現しており、肝臓にも一ヶ所腫瘍の増大が認められている。
 「それによって落ち込むことがないよう懸命に努力しています」と彼女は言い、20年間この病気と共存しているカルチノイドの患者がいるが、彼女もそれをめざしたいと思っていると付け加えた。
 家族、友人、ボランティアの人たちから力をもらっていると Weymouth さんは言う。それでも、彼女が Bethesda に住んでいたころ参加していた支援グループ Capital Area Carcinoid Survivors がないのを残念に思っていると彼女は言う。
 2000年に始まった肺の感染症が実は気管支炎や喘息ではなくカルチノイドの症状であり、この病気が何年も存在していて、CTスキャン、あるいはレントゲン写真さえ行っていれば写っていただろうことを、今彼女は知っている。
 「多くの人たちがもっと早くそれを見つけてくれていてもよかったようには思います」と言い Weymouth さんは長い間怒りと闘ってきたと話す。「とはいうものの一方で、見つかっていればそれに対して多くのことができていたかどうかはわからないので、ありがたいとも思っています。私がそれについてもっと早く気付いていたなら、今誇りに思っている成し遂げたことが成し遂げられていなかったかも知れないわけですから」

カルチノイド腫瘍患者の一部では、
腫瘍から分泌されるセロトニン、ブラジキニン、
ヒスタミン、プロスタグランジンなどの
ホルモン様物質により様々な症状が引き起こされる。
このケース、こういった物質が
喘息や体重増加に関係していた可能性がある。
しかし、この方、呼吸器科にもかかっていたらしいのに
原因がわからなかったのは運が悪かったとしか
言いようがない?
CTを行わなかった整形外科医やリウマチ専門医の失策を
そこまで強調する?(まあ、それが一番言いたかったのだろうが)
それにしても、医師がそこまで検査を忌避するのは、
やはりアメリカの医療保険制度の問題?
わが国も医療費削減の方向に再び舵を切れば
こういった事例が増えるに違いないと思うのである。

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