MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

“医者いらず” になれない私たち

2018-12-22 14:58:53 | 健康・病気

2018年最後のメディカル・ミステリーです。


12月15日付 Washington Post 電子版

 

A fitness fanatic runs into an alarming ailment that was caught in the nick of time

フィットネスの熱狂的愛好家はただならぬ病気になるが、ぎりぎりのところで診断された


 


By Sandra G. Boodman,

 Barry Goldsmith(バリー・ゴールドスミス)さんは、医師にかからないようにするためにはどんなことでもした。

 自身の体調を万全に保つため、運動、特にランニングの効果に対する思いは長く彼の信条となっていた。もし身体の具合が悪ければ、Goldsmith さんは靴紐を結び“走って解決した”。このメリーランド州の特許専門弁護士の走行距離は通常毎週約30マイルに及び、マラソンあるいはトライアスロンに向けてトレーニングしている場合には、さらにそれより長く走り、加えて水泳、自転車、さらにはウェートトレーニングを組み入れた。

 実際、30年以上の間、彼の目論見は功を奏していた。

 「Barry はものすごく元気で、ずっと、医師にかからずにきた一流のアスリートでした」彼の妻で元教師の Paula(ポーラ)さんは言う。彼の病院嫌いは妹が家庭医になってからも続いた。

 しかし数年前、現在 56 歳になる Goldsmith さんは、回避できない一連のただならぬ症状を経験した。

 それらはあるパターンをたどった:最初 Goldsmith さんの両足にピリピリした感じが出現、それから10分ほどで、ドキドキする心臓の動悸が起こり、それが治まると吐き気に襲われた。

 

息子の Jacob くん、娘の Jordan さん、妻の Paula さんと写真に収まる Barry Goldsmith さん。自分の症状が、何年も前から発症していた致死的ともなり得る病気によって引き起こされていたことを知って彼はショックを受けた。

 

 最初、その症状は散発的なものだった。しかし、そのうちその頻度と持続時間が増え、Goldsmith さんがランニングを始めた途端に近くの芝生の上に倒れ込んでしまうこともあった。

 人並み外れた壮健さによって部分的にカモフラージュされていた彼の症状が、実は何年も前から発症していた致死的ともなり得る病気によって引き起こされていたことを知って夫婦はショックを受けた。

 「健康状態が良好であることはありがたいことでもある一方、不幸でもありました」つい先日、Goldsmith さんはそのように言う。「遅れた分だけ、自分自身を危険にさらしていたのです」

 

Off the charts とんでもない数値

 

 Goldsmith さんが最初に異常に気付いたのは、2014年にアメリカを横断する空の旅を終えたときだった。カリフォルニアに降りたって、立ち上がったとき、ピリピリ感、動悸、吐き気に一斉に襲われたが、それらはかなり急速に消退した。

 たぶん機内で長く座りすぎていたためだろう、そう考えたことを Goldsmith さんは覚えている。その後その症状がほぼ毎月繰り返しみられるようになったことから、彼はそれが“気がかり”にはなっていたが、彼の妻や、年に一回程度受診していたかかりつけの内科医にはその症状のことを何ヶ月もの間、話すことはなかった。2015年には朝方の頭痛が時々見られるようになった。

 Goldsmith さんは、激しい運動で引き起こされる可能性がある徐脈のことで用心のため以前受診したことのある心臓内科医を受診したが、やはりこの症状について話さなかった。Goldsmith さんは健康そうにみえるとその医師は言った。

 「夫は私に『私は今元気だ、乗り越えたよ』と言って、頑張り続けました」Paula さんはそう思い起こす。

 2016年には朝方の頭痛がより頻回に起こるようになっていた。時々、Goldsmith さんは疲れを感じていたが、年のせいか、もしくは十分に眠れていないためだと考えた。

 「私たちは二人ともそれを気にしないようにしていました。ひどくなることはなかったし、大抵彼は元気でしたから」と Paula さんは言う。

 しかし、2017年7月の 5km レースのとき、Goldsmith さんはひどい脱力に襲われ、途中で立ち止まりゴールラインまで歩かなければならなかった。動悸や吐き気はさらに頻回となっていた。

 Goldsmith さんが妹に電話をかけたところ、彼女は内分泌医を受診するよう勧めた。彼らの親戚の何人かに甲状腺疾患があったためだ;彼にもその可能性があった。

 9月に彼が受診した内分泌医が血液検査を行ったところ、軽度の甲状腺機能低下があることがわかった。その受診時に、Goldsmith さんは、あれ以来再発はなかったもののランニング時の症状と、朝方の頭痛のことをぽろりと話した。内分泌医は甲状腺治療薬を試してみたい気持ちがあると言い、3ヶ月後に再診するよう伝えた。

 その年の秋の終わりには、Goldsmith さんは完走が一層困難となっていた;頭痛はほぼ毎日みられるようになっていた。

 眼科医をしている友人は、診察室での血圧は正常であっても、彼に blood pressure spikes(血圧の急上昇)が起こっているのではないかと言った。それはうなずける話しだった:彼の両親はともに60歳代で軽度の高血圧症になっていたからである。

 この友人の勧めにより、Goldsmith さんは血圧測定用のカフを購入した。しかし、彼はすぐにその機器が正常に機能していないのではないかと疑った:時々、測定値がとんでもない数字になっていたからである。高すぎて、恐らく正確ではない可能性があると彼は考えた。あるときには204/118の数字が出たが、これは緊急治療を必要とする高血圧性クリーゼに合致する数値である。しかし普段は、測定値は正常で 125/85 前後だった。

 そこで Goldsmith さんは友人の血圧計を使ってみた;しかし同じことが起こった。

 かかりつけ医に電話するよう Paula さんは何度も進言したが、Goldsmith さんは一ヶ月様子をみた。数値が安定するかどうか見たかったのだと彼は言う。

 「私はプッシュしまくりましたが、そのすべてに彼は抵抗しました」と彼女は思い起こす。「彼はすべてを軽くみていました。それが彼のスタイルであり、“ Goldsmith が認めるところの特性”でした」

 12月、Goldsmith さんはついに妻の希望に応じて、かかりつけ内科医のパートナーの一人を受診した。診察室での彼の血圧値は 170/87 と懸念すべき数字だった。Goldsmith さんは、血圧を下げる薬を処方したその医師に、自分は転職し、多大なストレス下にあると説明した。Goldsmith さんは薬を忠実に内服したが、急激な血圧上昇は続いた。

 

Things fall apart 事態は総崩れに

 

 2018年1月、Goldsmith さんは Paula さんに付き添われて先の内分泌医を再診した。彼は血圧の急上昇と頭痛のことを話した。その専門医は Goldsmith さんのホルモン値を測定するために血液検査を行い、甲状腺機能低下症に対し低用量の薬を飲み始めるよう彼を説得した。

 彼らが診察室を出ようとしていたとき、その内分泌医によってオーダーされた検査を受けるため階下にある臨床検査室に立ち寄るよう Paula さんは促した。しかし Goldsmith さんは難色を示した:彼が針を嫌いだったこともある。また彼のかかりつけの内科医が血圧の薬の量を増やしたばかりだったし、その医師が、血液検査の前にその新しい処方が有効かどうかをみたいと言っていたことも一つの理由だった。

 しかし後に2つめの薬が追加されたこともあって、薬の増量により彼の具合はさらに悪化した。そして Goldsmith さんには新たな症状が出現した:大量の発汗である。

 血圧の綿密な記録をつけてみて彼はあるパターンに気付いた。目が覚めた直後、頭痛があるときには彼の血圧は通常とてつもなく高かった。しかし一時間後には血圧は正常に復した。その時点で彼は降圧薬を内服し、走りに行き、もう一度測定した。すると血圧は 83/48 と驚くほど低く、そんなときには大抵 Goldsmith さんは脱力感、疲労感を感じ、意識を失うのではないかと心配になった。しかし2、3時間で測定値は再び正常に戻っていた。

 医師らは彼に、降圧薬の適正な用量を調節することは困難であると話し、飲むタイミングを変えてみるよう勧めた。

 しかし 5月、事態は総崩れとなった。

 友人達と走っていたとき、1マイルにも達しないところで立ち止まった。そして嘔吐し、脱力が強く立っていられなくなり近くの芝地の上に倒れ込んだ。

 Paula さんは何分か遅れて到着した。そのときには彼はいくらか回復しているように見えた。

 彼女は恐ろしさと怒りを感じたのを覚えている。「『これは効いてないってことでしょ!心臓が障害されているのよ。血圧の専門医を見つけなくてはならないわ』と私は言いました」そう彼女は思い起こす。

 Goldsmith さんはインターネットを調べ、血圧の急上昇の原因について学べることを調べてみた。褐色細胞腫(pheochromocytoma、フェオクロモサイトーマ)と呼ばれる多くは良性の稀な副腎腫瘍が繰り返し出てきた。その症状は覚えのあるものだった:突然の高血圧、あるいは血圧の急上昇、大量の発汗、頻脈、脱力、そして頭痛だった。これらは、この腫瘍が、特に身体活動やストレスに反応して、アドレナリンを含むホルモンを制御されることなく放出してしまうことに起因する。副腎のホルモンは、心拍数、代謝、血圧、ホルモン反応など多くの機能の調節に関与している。

 Goldsmith さんはかかりつけの内科医に eメールを送り、医学用語で “pheo(フェオ)” と呼ばれるそんな腫瘍が自分にありうるかどうか尋ねた。

 その内科医はあり得ると答え、内分泌医に電話するよう彼に伝えた。

 一週間後、彼は、内分泌医の診察室を再受診した。彼が結局受けていなかった 6ヶ月前に彼女がオーダーした血液検査の一つが行われていればこの問題に答えることができていたはず、とその医師は彼に告げた。それはカテコールアミン(catecholamines)の血中濃度を測るものだった。これは両側の腎臓の上に対をなして存在する臓器である副腎から分泌されるホルモン群である。これらのホルモンの数値が上昇していることは内分泌腫瘍の存在を示唆する。

 Goldsmith さんの血中濃度は正常をはるかに上回っていることがわかった。

 その内分泌医が彼に腹部CTを行ったところ巨大な腫瘍が見つかった。およそエイコーン・スクワッシュ(どんぐりカボチャ)の大きさで、右の副腎を巻き込んでいた。おそらく pheo とみられた。その約10%は悪性である。

 この腫瘍は米国では年間100万人におよそ2人の割合で診断されるが、高血圧患者の0.2%を占め高血圧のまれな原因となっている。

 Pheo はしばしば原因不明に発生するが、少なくとも25%の症例では遺伝的要因が関与している。医師らはこの腫瘍を“時限爆弾”と考えている;これが脳卒中、腎不全、心筋梗塞、あるいは原因不明の突然死を引き起こす可能性があるためである。一般的に治療は、患側の副腎とともに腫瘍を摘出する手術が行われる。

 Goldsmith さんを診察した内分泌医はただちにワシントンの内分泌外科医 Erin Felger(エリン・フェルガー)氏に電話をかけた。

 

An anxious wait 気を揉んだ待機期間

 

 MedStar Washington Hospital Center(メッドスター・ワシントン・ホスピタル・センター)の一般外科の副プログラム・ディレクターを務める Felger 氏は2日後にこの夫婦と面談した。

 Goldsmith さんのゆっくりと増大する腫瘍のサイズは 10 センチほどで、腹腔鏡での摘出は二人の外科医を要する難易度の高い手術になると彼女は Goldsmith 夫妻に説明した。

 「彼が何年間もそれを持っていたことは明らかです」と Felger 氏は言う。

 手術の見通しと、このような腫瘍によってもたらされる突然死の危険に怖い思いをしたものの、Felger 氏の経験、率直な態度、そして、彼女もまた同じランナーだったという事実に安堵したと Goldsmith 氏は言う。

 この手術を250件以上行ってきた Felger 氏は起こりうる合併症を列挙した。それには術後の心臓障害や輸血を要するほどの失血などがあった。

 Goldstein さんにはまず、血圧を安定させる薬剤を投与する必要があった。術中に著しく血圧が急上昇する可能性があるからである。

 Paula さんにとって、術前の2週間は夫の突然死の不安でいっぱいとなり非常に長い時間となった。彼女によると、毎朝、彼がまだ生きているだろうかと思って目を覚ましたという。

 「私は彼のそばを離れたくありませんでした」と彼女は思い起こす。

 6月29日の手術は“完璧に行われた”と Felger 氏は言う。彼は2日間を集中治療室で過ごし全入院期間は5日間の予定だった。しかし Goldsmith さんの経過が良好だったため術翌日に退院することができた。

 6週間後、Goldsmith さんは Felger 氏の許可を得て、最初は、ゆっくりのペースで短い距離ではあったもののランニングを再開した。彼の血圧は若干高いままだったが、これは術後にはよく見られることである。まれに見られる腫瘍の再発がないことを確認するため、彼には生涯にわたる観察が必要となる。

 Goldsmith さんによると、診断される前の数ヶ月間、恐怖感が障壁になっていたという:医師らが発見するものに対する恐怖が増大していたのである。

 振り返ってみると、彼はもっと迅速に行動していれば良かったと思っている。「2~3年は節約できていたでしょう」と彼は言う。

 

 

褐色細胞腫の詳細については

今年、日本内分泌学会の監修により

『褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018』が

本年刊行されている(診断と治療社刊、2,800円+税)。

お金に余裕のある方は購入いただきたい(いらねぇよ)。

お金も興味もないワタクシは読んでいないので、とりあえず、

ここでは MSDマニュアル をまとめてみた。

 

褐色細胞腫は腎臓の上にある副腎という小さな臓器の

髄質から発生する腫瘍である。

また褐色細胞腫と親戚のような腫瘍に

パラガングリオーマ(傍神経節腫)があり、

これは頸部・胸部・膀胱近傍などの傍神経節から発生する。

いずれもカテコールアミンを過剰に産生し高血圧ほか多様な

症状を呈する。

カテコールアミンとは、アドレナリン・ノルアドレナリン・

ドーパミンなどの神経伝達物質やホルモンとしてはたらく

化学物質で、本来、心臓の収縮力を増加させたり、

全身の血管を収縮させたりして重要な臓器への血流調節に

重要な役割を果たしている。

褐色細胞腫は男女差なく、両側性が10%、悪性は10%未満。

小児から高齢者まで発症するが、20歳代から40歳代に多い。

また褐色細胞腫は、遺伝子の変異が関連している例が

約10%に認められ、現在までに10種類以上の遺伝子の異常が

明らかにされている。

家族性に発症する

多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasma, MEN)の

一病変として褐色細胞腫が認められることもある。

 

症状としては、頭痛・動悸・発汗が古典的三徴とされているが

実際にこれらが揃う症例は少ない。

著明な高血圧をみるが、45%で発作性に上昇する。

その他の症状には、頻脈、発汗、起立性低血圧、頻呼吸、

冷たく湿った皮膚、頭痛、狭心症、動悸、悪心、嘔吐、

心窩部痛、視覚障害、呼吸困難、錯感覚、便秘、

死の切迫感などがある。

高齢患者では持続性高血圧を伴う顕著な体重減少によって

本疾患が示唆されることがある。

また血圧異常が長期化すると心不全、動脈硬化、心筋梗塞、

脳血管障害などの合併症を来たす。

 

診断は、突発性で説明不能な高血圧をみた場合に

本疾患を疑い、血漿遊離メタネフリンまたは

尿中メタネフリンの測定結果が陽性の場合、

CT または MRI 検査を行って腫瘍の存在を確認する。

アドレナリンやノルアドレナリンは間欠的に

分泌されるのに対して、血漿メタネフリンは持続的に

上昇しているため感度が高い。

尿中メタネフリン、ノルメタネフリン、

バニリルマンデル酸(VMA)、および

ホモバニリン酸(HVA)の増加も参考になる。

小さな副腎腫瘍ではカテーテルを挿入し、

副腎静脈内のカテコールアミン濃度の上昇を確認する。

放射線医薬品である123I-MIBGを静注し、

褐色細胞腫への取り込みを確認することもある。

褐色細胞腫の85%で取り込みがみられる。

 

治療はまずα遮断薬とβ遮断薬を用いて血圧を管理する。

腫瘍が確認されれば外科手術による切除が行われるが

術中の血圧変動は大きなリスクとなるため厳格な血圧管理が

必要である。

多くの場合は腹腔鏡下に摘出術が行われる。

転移性の悪性褐色細胞腫に対しては、化学療法が行われる。

 

突発的に異常高血圧を認める例では

常に本疾患の可能性を考えておく必要があるだろう。

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2019年1月新ドラマ

2018-12-10 23:49:17 | テレビ番組

2018年もいよいよ終わろうとしている。

狂暴化した自然(地震・豪雨・猛暑・台風)の前に

私たちはなすすべもなかった一年だった。

そんなとき、私たちを元気づけてくれるのがドラマ…、

と言いたいところだが…結果は裏切られっぱなし。

2018年10月クールも感動を覚えたドラマは皆無だったが

とりあえずそれらを振り返ってみたい。

 

テレビ朝日『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』より

 

 12月9日放送分までの

平均視聴率[関東地区・ビデオリサーチ社調べ]上位から

10月クールドラマについてコメントする

【( )内数字は平均視聴率】。

 

 

①テレ朝木9 『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(15.44%)

米倉涼子演じる弁護士資格を剥奪され大手弁護士事務所をクビになった訳あり元弁護士が、個人事務所を立ち上げ、ワケありの弁護士・パラリーガルたち弱小メンバーで法廷に挑むドラマ。米倉のイメチェンを図るべく今回は『ドクターX』を見送ったはずが、派手な衣装、高飛車な態度は大門未知子そのもの。意味不明に『現場百回』鎧塚平八と鉄道オタクが毎回申し訳程度に出てくるが大して面白くもなく…。『ドクターX』の視聴率には及ばず、今後を練り直す必要がありそうだ。

 

 

②テレ朝水9 『相棒(17)』(15.36%)

開始から18年となる長寿マンネリドラマ。とはいえ、誰もが“見やすい”ドラマであることは確か。昔の、『水戸黄門』『遠山の金さん』『銭形平次』などに代わる番組といえそう。今シリーズは、これまで仲間だった角田六郎課長と一時険悪な雰囲気になるなど意表を突く回もあるにはあったが、基本的には路線は安泰。杉下右京の半端ない“博識さ”には若干違和感を感じたが、水谷豊の年齢が遙かに“定年”を上回っていようとも、このドラマ、延々と続いていくに違いない。

 

 

③TBS 日9 『下町ロケット(2期)』(12.9%) 

2015年10月クールで放映された『下町ロケット』の3年ぶりとなる続編。今回はロケットエンジンから、トラクターのエンジン、トランスミッションへと目標変更し、大幅にスケールダウン。相変わらずお人好しの佃製作所社長・佃航平(阿部寛)が“人を信じては裏切られ”、の繰り返しで、視聴者も思わず『またかよ~』。最後は成功するとわかっていても、このワンパターンの繰り返しではさすがに疲れる。肝心の主要キャストも、常人に見えない歌舞伎役者、セリフ棒読みの歌手、堅苦しい顔芸の落語家、実況中継してるかのようなアナウンサー、笑えないお笑い芸人らが集結。さながら芸能界の学芸会のよう。もう少し真剣にドラマ作りに取り組んでもらうことはできないものだろうか?

 

 

④フジ月9 『SUITS/スーツ』(10.67%)

ハーバード卒の“敏腕ながら傲慢なエリート弁護士”と、驚異的記憶力を持ちながら“その日暮らしの天才フリーター青年”という凸凹な二人がタッグを組み、数々の困難な訴訟をあらゆる手段で解決していく物語。原作の米国ドラマは見ていないが、本ドラマを見て、オリジナルはこんなちっちゃいスケールではないに違いない。これをリメイク作品と言ってしまうと、さぞかし本家はお怒りなのでは?こんなドラマなら、盗作にならない程度に同じような設定にしてオリジナルと銘打った方がまだまし。“織田裕二&鈴木保奈美の再共演”だけではインパクトが弱いので、“アメリカヒットドラマのリメイク”という箔をつけたかったのだろうか。この内容では今後のシリーズ化はむずかしそう。

 

 

⑤TBS金10 『大恋愛~僕を忘れる君と』(9.67%) 

若年性アルツハイマーに侵されつつある女医と、売れない元小説家の男性との10年にわたる純愛ストーリー。徐々に記憶や人格が失われていく聡明で気の強い女性に振り回されながらも強い愛情で献身的に彼女を守っていこうとする無愛想だが純朴な男性の物語…、かと思いきや、コメディ、さらにサスペンスの要素が中途半端にはまり込み、結局何がいいたいのかわからないドラマとなった。うれしいときも、悲しいときも、辛いときも、怒ったときも、常に全く表情に変化がないムロツヨシは、NHK の『LIFE~人生に捧げるコント』のコントシーンとまるっきり一緒、残念!

 


⑥日テレ 日10:30 『今日から俺は!!』(9.57%)

 “ツッパリ”という言葉が全盛期の1980年代初頭、千葉を舞台に、不良高校である私立軟葉高校とその周辺地域を舞台に、三橋貴志(賀来賢人)と伊藤真司(伊藤健太郎)が様々な敵と戦ったり珍事に巻き込まれたりするバトル&ギャグコメディ。一言でいうなら、“ナンセンス&喧嘩”オンパレードなドラマ。全くナンセンスなギャグの繰り返しと、血なまぐさい暴力シーンの連続。よくもまあこの内容で BPO からクレームがつかないものである。10:30ドラマなので許される?若い人たちには逆に新鮮に映ったかもしれない。

 

 

⑦日テレ水10 『獣になれない私たち』(8.74%)

仕事も恋も世渡り上手を演じ続けてきた男女2人が本音でぶつかり合い、傷つきながらも自分らしく踏み出そうとするラブコメディ。恋に仕事にいっぱいいっぱいという新垣結衣演じる主人公・深海晶だが、ドラマではほぼ毎晩クラフトビールバーに通い、悩んでる風も追い詰められた感じも全く見られず余裕綽々。仕事を押しつけられパワハラを受けるも悲壮感ゼロでリアリティもゼロ。毎回毎回どうでもいいエピソードを盛り込んで展開も超スロー。さすがにこの展開では視聴率も落ちる。この男女、はなから本能のまま“野獣”のように生きているように見えてしまうのだが、ドラマのコンセプトを理解できないまま終わってしまいそうである。

 

 

⑧日テレ土10 『ドロ刑~警視庁捜査三課~』(8.72%)

新米刑事が熟年大泥棒とバディを組み、大泥棒ならではの知識を活用して難事件を解決していくドラマ。中島健人演じる主人公の新米刑事・斑目勉が、その性格の悪さで遠藤憲一演じる煙鴉をひっかき回すという設定かもしれないが、主人公の態度が悪すぎるため感情移入できないのは辛い。もう少し性格の良いキャラクターにしても良かったのでは?遠憲も遠憲らしさが発揮されず不完全燃焼。捜査対象が窃盗事件のみというのも興味がそそられず、終盤は飽きがきた。

 

 

⑨フジ木10 『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』(6.71%)

人生の黄昏期にさしかかったアラフィフ男女が織りなすヒューマン・ラブストーリー。人間ドラマとはいいながらそこに不倫が絡むと拒絶反応が避けられないのでは?さらに、女性陣が中山美穂、黒木瞳では、そこに生活臭が全く感じられない。エリート銀行員夫人とはあんなもの?食堂のパートのおばちゃんってあんな感じ?リアリティもなく、共感も湧かないドラマの視聴を継続するには相当なエネルギーが要りそうだ。

 

 

⑩フジ(関西テレビ)火9 『僕らは奇跡でできている』(6.64%)

髙橋一生演じる変人大学講師・相河一輝が世の常識、価値観に疑問を投げかけていくヒューマンドラマ。物語がのんびりと展開するため人によっては退屈に感じるかも。偏見や先入観、固定観念にとらわれない純粋な人物といっても、時間やルールを守ることができないただの自分勝手な男にも見える。そんな人物が普通に生きていくことのできる環境があるのが奇跡?前クールの『グッドドクター』にある意味通じるところがある。

 

 

⑪TBS 火10 『中学聖日記』(6.58%)

有村架純演じる新米女性教師・末永聖が、婚約者がいる身でありながら年下の教え子である10歳年下の男子中学生に心奪われるという禁断の恋ドラマ。しかし、相手の黒岩晶(岡田健史)の中学生時代が中学生にはほど遠く(完全な大人)、一方の聖も教師らしさが全く感じられないため、中学教師と中学生というイメージが最初から構築できなかった。本来なら視聴者は、周囲の猛反対や白い目にさらされるドラマの主人公らを応援したくなるものだが、この二人に対しては、うまくいかないでほしいという気持ちしか湧かない(これって嫉妬?)。この点において、もはやこのドラマは終わっている。

 

 

⑫テレ朝金 11:15(金曜ナイトドラマ) 『僕とシッポと神楽坂』(5.25%)

動物病院を舞台に若き獣医師のもとに集う動物と人とが織りなす物語。相葉雅紀演じる主人公・高円寺達也が動物好きには見えるものの、腕の立つ獣医師に全く見えない点が残念。広末涼子演じる動物看護師ももう少し若い女性にできなかったものか。動物が出てくるドラマはどうしても、人間側の作為を感じてしまうので苦手。残念ながら最後まで見届けることはできなかった。

 

 

 

プライムタイムではさすがのテレ朝がワン・ツー・フィニッシュ。

そして、再びフジが低迷。

全体を通して、物足りないドラマばかりだった。

 

それでは気を取り直して

新年、2019年1月からの新ドラマをチェックしてみたい。

 

 

 

フジ月9 1/7 ~ 『トレース~科捜研の男~』 錦戸亮(関ジャニ∞)、新木優子、船越英一郎、小雪、矢本悠馬、山崎樹範、山谷花純、加藤虎ノ介、遠山俊也、篠井英介、他

原作は元科捜研研究員・古賀慶の漫画『トレース~科捜研法医研究員の追想』、科捜研を舞台にした科学サスペンス。原作通りのタイトルにすればいいものを、ドラマのサブタイトルは“科捜研の男”。なお、“トレース”とは現場に残された痕跡のこと。主人公の真野礼二(錦戸亮)は幼いころに陰惨な事件に遭遇した過去を持つ科捜研法医研究員。常に冷静沈着だが、協調性に欠ける。主観や憶測に捕らわれず鑑定結果から得られる客観的な真実のみを信じて、被害者の思いや無念を明らかにしていく。膨大な知識と高い鑑定技術を備え、人とは違う独自の着眼点を有している。一方、科捜研の新人法医研究員・沢口ノンナを新木優子が演じる。大学院での遺伝子の研究に行き詰まりを感じ、何の目的もなく科捜研の世界へと足を踏み入れた。当初は殺人事件に関わることに戸惑いを感じていたが、被害者や残された遺族に感情移入するようになる。最初は真野の言動に巻き込まれ振り回されるが、事件の真相を見つけ出したいという気持ちが芽生え法医研究員として成長していく。さらにベテラン刑事・虎丸亮平を船越英一郎が演じる。長年の刑事の勘を頼りに事件を捜査し犯人逮捕に情熱を注ぐ。所轄から警視庁捜査一課へ異動した叩き上げの刑事で、上司や周りの意見を聞き入れず、自分の考えに従って捜査を行う。仕事に没頭するあまり妻と息子に逃げられ、現在は独り身。当初は自身が培ってきた“勘”にこだわり、客観的事実と証拠を重視する真野と対立するが、真野の強い信念と確かな腕を目の当たりにし次第に信頼を寄せるようになっていく。事件現場の小さな欠片から3人が協力しあって事件を解決する姿と、真野自らの過去の真相解明が並行して描かれる。新人法医研究員の役名“沢口”が気になるところだが原作でも同名なので、これについては『事件だわっ!』を意識したものではないようである。

 

 

フジ(関西テレビ)火9 1/22 ~ 『後妻業』 木村佳乃、高橋克典、木村多江、伊原剛志、他

原作は黒川博行の小説『後妻業』。女結婚詐欺師が資産家の老人男性を狙うラブ・サスペンス。大阪を舞台に、後妻として遺産相続を狙う詐欺師と、その相手家族との間で愛憎が交錯するドロドロ劇。本原作は、2016年に映画化され、大竹しのぶ主演、『後妻業の女』のタイトルで公開されている。後妻業とは、資産家の老人を狙って遺産相続目当ての結婚詐欺を行うこと。男をたぶらかすのが天才的な“後妻業”のエース・武内小夜子を木村佳乃が演じる。一方、高橋克典が演じる柏木亨は、表の顔は結婚相談所『微祥』の経営者だが、実は小夜子たちが行う“後妻業”の黒幕。金と女が好きで、後妻業をなりわいとする女を何人か抱えている。また小夜子のターゲットとなった男の娘・中瀬朋美を木村多江が演じる。小夜子に父親の遺産を奪われるのを阻止するため、小夜子とは壮絶な舌戦やビンタ合戦を繰り広げる。伊原剛志演じる本多芳則は元大阪府警のマル暴刑事。警察の情報をヤクザに流したことがばれて退職、私立探偵をしている。朋美が大学のゼミの後輩であった関係から、“後妻業”の調査依頼を受け、小夜子と柏木の秘密に迫り、2人を追い詰めていく。ひとクセもふたクセもある登場人物たちの欲や思惑がうごめくサスペンスであるとともに、4人の大人の男女の恋模様が複雑に絡み合う大人のラブストーリーも展開される…とのことだが、オバサン、オジサンたちのドタバタ劇に終わらないことを祈るばかりである。東京出身の木村佳乃の関西弁が心配の種。

 

 

TBS 火10 1/15 ~ 『初めて恋をした日に読む話』 深田恭子、横浜流星、永山絢斗、中村倫也、若林拓也、堀家一希、櫻井圭佑、永田崇人、高橋洋、石丸謙二郎、鶴見辰吾、安達祐実、皆川猿時、生瀬勝久、壇ふみ、他

原作は持田あきの漫画『初めて恋をした日に読む話』(集英社『クッキー』連載)。アラサー塾講師が主人公のラブコメディ。塾の教え子の東大受験を通じて4人の男女が交錯する。深田恭子が演じる主人公・春見順子は人生何もかもがうまくいっていない、しくじり鈍感アラサー女子。優等生として成長したが、東大受験も就職試験も失敗、さらに婚活サイトに登録するもさらに失敗。で、今は三流予備校の講師として働いている。そんな順子の前に、タイプの違う3人の男性が現れることから、人生のリベンジともいえる闘いが始まる。その3人とは、まず、クールなルックスとエリートで『できる男』の品格がある順子の従兄弟・八雲雅志(永山絢斗)、続いて、髪をピンクに染め超おバカな高校に通うイケメン不良高校生・由利匡平(横浜流星)、そして、順子・雅志と同級生で、匡平の担任をしている高校教師・山下一真(中村倫也)である。教え子となる匡平が東大合格を目指すことになり、順子も一緒に東大合格を目指すことになるのだが、そんな順子をめぐって、3人の男たちが恋のバトルを繰り広げる。匡平の友人役に、永田崇人、堀家一希、櫻井圭佑、若林拓也らが出演するほか、順子の親友でキャバクラのオーナー・松岡美和役に安達祐実、順子の父・春見正役に石丸謙二郎、匡平の父・由利菖次郎役に鶴見辰吾、順子が働く塾『山王ゼミナール』の塾長・梅岡道真役に生瀬勝久、順子が東大受験に失敗してから険悪な仲となっている母親・春見しのぶ役に檀ふみ、など豪華なキャスティング。いまだにこんなドラマで主役に使われるとは、さすがは深キョンである。

 

 

テレ朝水9 継続 『相棒(17)』 水谷豊、反町隆史、浅利陽介、鈴木杏樹、川原和久、山中崇史、杉本哲太、石坂浩二、他

コメントは前述。3月まで続く見込み。

 

 

日テレ水10 1/9 ~ 『家売るオンナの逆襲』 北川景子、松田翔太、仲村トオル、工藤阿須加、千葉雄大、イモトアヤコ、鈴木裕樹、本多力、臼田あさ美、梶原善、草川拓弥、長井短、他

2016年7月クールドラマ、2017年のSPドラマの続編。不動産営業マン・三軒家万智があらゆる手段で家を売りまくる不動産コメディ。大石静のオリジナル脚本ドラマ。家を売って売って売りまくる伝説の不動産屋・三軒家万智(北川景子)はテーコー不動産本社が密かに進めていた再開発計画に反対する行動をとったために会社を首になった。そして新宿営業所時代の課長だった屋代大(仲村トオル)と結婚し二人でサンチー不動産という会社を立ち上げた。新会社では万智が社長を務めているため、かつての上司だった屋代は万智の部下となっていた。そんな万智が姿を消して2年、ついに逆襲が始まる。今回は新たな登場人物として松田翔太演じるフリーランスの“家売るオトコ”留守堂謙治が登場。万智の最大のライバルとなる。留守堂は人間味あふれる方法で仕事を完璧にこなすがドジな一面もある。そのほか、テイコ―不動産新宿営業所所長・布施誠役の梶原善、同営業マン・庭野聖司役の工藤阿須加、同営業マン・足立聡役の千葉雄大、同営業マン・宅間剛太役の本多力、宅間と結婚した旧姓・白洲美加役のイモトアヤコ、バー『ちちんぷいぷい』のママ・珠城ココロ役の臼田あさ美らは前作から引き続き登場する。さほど面白いドラマとは思えなかったのだが、日テレもネタ切れか。

 

 

テレ朝木9 1/17 ~ 『ハケン占い師アタル』 杉咲花、及川光博、志尊淳、志田未来、間宮祥太朗、板谷由夏、若村麻由美、他

遊川和彦によるオリジナル脚本ドラマ。派遣社員・的場中(まとばあたる)が特殊能力を駆使して職場の問題を解決していくお仕事コメディ。平成最後の新“働き方改革”をニュータイプの救世主が遂行する。派遣社員の的場中(杉咲花)はいつもニコニコしながら楽しそうに働く派遣社員。通勤時はいつもニット帽にサングラス・コートを着用する怪しい女子。しかし彼女には特殊能力があった。それは、目を合わせた相手の悩みや内面、原風景など、他人のあらゆることが見えてしまうのだった。そんな一種の占い能力を駆使して、周りの正社員たちが抱える悩みを根本から解決していき、彼らを救っていく。しかし自分の過去については決して語らずベールに包まれている。中を取り巻く人物には、まず、中が派遣された『シンシアイベンツ』の制作Dチームの正社員で、かつては将来を有望視されたエリートだったが結果が出せずに主査に降格となった上野誠治役に小澤征悦、中の教育係となるが自分の選択に自信がなく決断力に欠ける同チーム正社員・神田和実役に志田未来、父親のコネで入社、仕事ができないくせに上から目線の同チーム正社員・目黒円役に間宮祥太朗、入社1年目で上野からパワハラまがいの扱いを受け転職を望んでいる同チーム正社員・品川一真役に志尊淳、職場でも家庭でもストレスを抱え頭を悩ませている同チーム正社員で課長の大崎結役に板谷由夏、同チームの部長で親会社からの出向のため早く本体に戻りたいと考えている出世欲の強い代々木匠役に及川光博、さらに毎回様々な相談者と面会し問題解決に導いているようだがその素性が謎に包まれた占い師・キズナ役に若村麻由美がキャスティングされている。『家政婦のミタ』同様、秘密めいた展開が軸になると予測されるが、遊川ドラマがテレ朝でも再び大ヒットするかは疑問。

 

 

フジ木10 1/10 ~ 『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』 竹内結子、水川あさみ、中川大志、バカリズム、他

倉光泰子によるオリジナル脚本ドラマ。スキャンダル対応を専門とする女性弁護士の奮闘劇。情報操作術を駆使して世論のパッシングを受ける女性を救い出す。主演の竹内結子が、情報を操作し裏で社会を動かす“スピン・ドクター”を演じる。スピン・ドクターとは、情報を自分の有利な方向へ仕向ける特別な技術を持ち、その技術を駆使して綿密な戦略のもと、印象を変え正当化し人々の心を動かす、いわば世論の誘導者。弁護士で危機管理の専門家である氷見江(竹内結子)の主戦場は法廷ではなくスキャンダルの裏側。これまで社会的窮地に陥ったクライアントを 99.9%の確率で救ってきた。必要とあらば嘘であっても正義に変えてしまう凄腕のスピン・ドクター。その信念は『危機にある女性の最後の砦』となることであり、女性を救うためなら手段を選ばず、どれほどの逆境であろうと覆すことを絶対に諦めることはない。本ドラマでは、そんな氷見が様々なスキャンダルと対峙し、崖っぷちに立たされている女性の心に寄り添い、危機から救うべく奔走する姿が描かれる。日々話題となっている多くのスキャンダルへの対応の実際の裏側を垣間見ることができる?

 

 

TBS金10 1/11 ~ 『メゾン・ド・ポリス』 高畑充希、西島秀俊、小日向文世、野口五郎、近藤正臣、西田尚美、竜星涼、木村了、戸田昌宏、他

新米女性刑事が、シェアハウスで暮らす退職刑事でワケありな“おじさま”たちに振り回されながらも、彼らの力を借りて事件を解決していく一話完結の刑事ドラマ。原作は加藤実秋の小説『メゾン・ド・ポリス』シリーズ(角川文庫刊)。新人警察官の牧野ひより(高畑充希)は念願かなって柳町北署の刑事課に配属される。そんなある日、所轄内で人が焼かれる動画が投稿サイトにアップされるという事件が発生。捜査本部は5年前に起きた焼殺事件の模倣犯と見て捜査を開始。ひよりは事件の手がかりを探るべく、『デスダンス事件』と呼ばれたその5年前の事件を担当していた元警視庁捜査一課の敏腕刑事・夏目惣一郎(西島秀俊)から話を聞くため、高級住宅街にある古びた洋館を訪れる。この洋館には、館のオーナーであり元警察庁のキャリア・伊達有嗣(近藤正臣)、ジャージ姿で新聞を読んでいる現場主義の元所轄の熱血刑事・迫田保(角野卓造)、キザな口調でひよりに近寄ってくる元科学捜査のプロ・藤堂雅人(野口五郎)、管理人として家事全般を担当する元警務課勤務・高平厚彦(小日向文世)らが住んでいた。夏目はその洋館で雑用係をしていたのである。つまりそこは元警察官のおじさんばかりが共同生活を送るシェアハウスだった。ひよりは夏目から話を聞き出そうとするが、当の夏目は口を割ろうとはしない。逆に藤堂や迫田のペースにひよりは乗せられていく。警察を退職し今や一般人となっているおじさんたちが捜査に介入してくるため、ひよりは慌てるが、「上には私が一声かけておきましょう」という伊達の一言で話は進んでいく。それぞれ持病を抱えたクセの強い“おじさま”たちに振り回されながらも、何としても事件を解決したいという強い信念を持って事件解決に走り回るひよりを中心にドラマが展開される。その他の登場人物としては、柳町北署の鑑識係でひよりのよき相談相手である杉岡沙耶役に西田直美、買物コーディネータとしてメゾンに御用聞きとして出入りする瀬川草介役に竜星涼らがキャスティングされている。基本路線はひよりと夏目がバディとなって捜査に当たることになりそうである。

 

 

テレ朝金 11:15(金曜ナイトドラマ) 1/11 ~ 『私のおじさん~WATAOJI~』 岡田結実、遠藤憲一、城田優、田辺誠一、青木さやか、小手伸也、他

新人女性ADとおっさん妖精が織りなす異色のSF社会派コメディ。世のモヤモヤをおっさん妖精がぶった切るという岸本鮎佳によるオリジナル脚本ドラマ。恋に破れ、働き口もなくした一ノ瀬ひかり(岡田結実)だったが、ようやく超過酷なロケで有名なバラエティ番組『限界MAX★あなたも私もヤッテミー!!』のADとして採用される。過酷な業務を押し付けられ、言いたいことも言えない新人ADのひかりの前に、ある日突然、等身大の妖精のおじさん(遠藤憲一)が現れる。陽気だが、毒舌で性格の悪いおじさんは、その日から四六時中ひかりに付きまとうが、その姿はひかり以外の人間には見えていないようだった。ひかりに励ましの言葉をかけるどころかディスりまくりで、ひかりが人と話しているときでも横から何かと口を出してきて、相手のことまで文句を言い始める。最初はうっとうしく思っていたひかりだったが、自分が口に出せない本音や愚痴をズバズバ言ってくれるおじさんの存在に、徐々に爽快感を覚えるようになるのだった。これまた遠憲ファン向けドラマ?私オジ=WATAOJIねぇ。ふーんてな感じ。

 

 

日テレ土10 1/19 ~ 『イノセンス~冤罪弁護士』 坂口健太郎、川口春奈、藤木直人、他

古家和尚によるオリジナル脚本。えん罪事件を科学の力で解決していく裁判・科学ドラマ。一人の若き弁護士がジャーナリストや科学者の協力を得て、意外な実証実験を行って科学的に冤罪事件を解き明かす。『ガリレオ』の弁護士板のようなドラマ。坂口健太郎演じる主人公の黒川拓は保駿堂法律事務所に所属する弁護士。不可能に近いとされる『冤罪弁護』に積極的に立ち向かい何度か勝利した実績を持つ。現場で起きた事象を実験で再現し事件の解明に挑む。先入観や思い込みに基づいた捜査の矛盾点を突いていく。黒川は普段は動きやすい服装で、第三者との円滑なコミュニケーションのために様々なものが詰め込まれた布袋を背負っている。基本的にいつも金欠。この黒川が所属する法律事務所に入ってきた新人弁護士・和倉楓役に川口春奈。手伝いとして拓と共に弁護活動にあたることになり黒川に振り回されるが、黒川が行う実証が『損得抜きの真実を求めるためのもの』と知ってからは次第に黒川を見る目が変化していく。また黒川が実証実験を依頼するのが、学生時代の先輩で東央大学理工学部物理学科准教授の秋保恭一郎(藤木直人)。秋保は他人には興味はないものの、犯罪に関わる実証実験であれば引き受ける。警察の捜査がいまだに科学的実証を軽視している現状に強い危機感を抱いており、それが黒川に協力する動機となっていた。実は秋保には肉親にまつわる悲しい過去があった。土曜10時枠としてはめずらしくジャニーズ色のないまじめなドラマで新鮮味はありそう。

 

 

NHK日8 1/6 ~ 大河ドラマ 『いだてん~東京オリムピック噺~』 中村勘九郎、阿部サダヲ、ビートたけし、森山未來、神木隆之介、星野源、小泉今日子、松坂桃李、松重豊、他

宮藤官九郎のオリジナル脚本によるオリンピック大河ドラマ。舞台は20世紀、ドラマでは日本と五輪の関係を通じて近代日本の変遷が描かれる。主人公は2人。一人は中村勘九郎演じる“オリンピックに初参加した男”金栗四三、もう一人は阿部サダヲ演じる“オリンピックを呼んだ男”田畑政治。2人の主役をリレーしながら、“知られざるオリンピックの歴史”が明らかにされる。日本のオリンピックは、マラソンの金栗四三と陸上短距離の三島弥彦の2人の選手から始まった。ところが 1912年に初参加した『ストックホルム大会』で、金栗は日射病で失神、三島も大惨敗してしまう。しかし持ち前の根性で猛勉強、その後日本はスポーツ大国へと成長する。1936年の『ベルリン大会』では、水泳の前畑秀子をはじめ金メダルを量産。念願の『東京オリンピック』招致を勝ち取る。だが、時代は戦争へと突入、夢は幻と消えてしまう。 そして敗戦。田畑は蛙と芋で飢えをしのぎ、執念で競技を再開。ついには、1964年の『東京オリンピック』を実現する。ドラマでは、1912年『ストックホルム』から、1936年『ベルリン』、1964年『東京』までの3大会を中心に、日本人の“泣き笑い”の歴史、激動の52年間を3篇の構成で描いていく。1909年からの“スポーツ維新”『ストックホルム大会』篇は、東京高等師範学校校長・嘉納治五郎のもとにオリンピックの招待状が届いたところから始まる。初の予選会が開催され、短距離走では三島弥彦が、マラソンでは金栗四三が優勝し世界に挑む。金栗は熊本の田舎っ子で高等師範の学生、一方の三島は子爵家の超エリートと好対照の二人だった。いよいよ『ストックホルム大会』、三島は外国人選手の体格に度肝を抜かれ予選敗退、一方の金栗は26キロ地点で日射病で倒れ惨敗。三島は競技を諦め銀行マンとして金融界で出世するが、一方の金栗は帰国後、春野スヤと結婚、再び壮絶な練習に挑む。しかし第1次世界大戦が勃発し『ベルリン大会』は中止。絶頂期で夢を奪われた金栗を、嘉納が救う。「夢は後進に託せばいい」。金栗は学校の先生になり、箱根駅伝を創設。多くの弟子を育て“スポーツ”は日本全国へと広がっていく。続いて 1930年からの“オリンピックの光と影”『ベルリン大会』篇、スポーツ大国へと成長した日本は、嘉納を中心に“東京オリンピック” 招致運動を始める。田畑政治は嘉納と行動を共にする。だが、ローマと競合、イタリア首相・ムッソリーニに直談判するも状況は厳しい。さらにIOC会長を日本へ招待するが、奇しくも 2・26 事件が発生。東京には戒厳令がしかれ、招致は最大の危機を迎える。しかし 1936年『ベルリン大会』開会式前日のIOC 総会で、東京は辛くも勝利。選手団長の田畑は感動に涙した。ヒトラーによる壮大な大会が幕を開け、「前畑頑張れ!」の実況に日本中が熱狂した。ところがその翌年、日中戦争が勃発。軍国化する日本に対し、各国からボイコット運動が起こる。嘉納はカイロ総会で「アジアの平和の実現は、日本の最高の決意である」と力説。執念のスピーチに東京開催が再度承認されるも帰路についた嘉納は船中で病死。程なく『東京オリンピック』返上が発表されてしまう。そして 1964年からの“復興、平和への願い”『東京大会』篇。1959年、田畑らの尽力により、ついに『東京オリンピック』の開催が決定する。だが、それは国を挙げての狂想曲の始まりであった。東龍太郎都知事の号令で“東京大改造”が始まる。慢性化する渋滞。進まない住居立ち退き。東京砂漠と言われた水不足。選手村の場所すら決まらない。相次ぐ危機が、組織委員会事務総長の田畑を襲う。委員会が置かれた“赤坂離宮”ではドタバタ劇が繰り広げられる。果たして、ドラマの行方は…。稀代の落語家・古今亭志ん生の目線から明治から昭和にかけての庶民の暮らしの移ろいが語られ、“東京の変遷”が4Kの美しい画像で映像化される。2020年の東京オリンピックを翌年に控え、これまでの大河ドラマのイメージと大きく異なる作品となりそうだ。ただし面白いかどうかは別。

 

 

TBS 日9 1/13 ~ 『グッド・ワイフ』 常盤貴子、唐沢寿明、小泉孝太郎、水原希子、北村匠海、滝藤賢一、吉田鋼太郎、賀来千香子、他

これまたリーガルドラマ。2009年から7年間米国で放映された人気ドラマ『The Good Wife』の日本版リメイク。弁護士に復職した主婦の活躍を描く法廷ヒューマンドラマ。夫がスキャンダルで逮捕され、16年ぶりに弁護士に復帰する妻を常盤貴子が演じる。主人公の蓮見杏子は出産を機に弁護士の仕事を辞め専業主婦としてエリート検事である夫・壮一郎(唐沢寿明)を支え、子供を育て、家庭を守ってきた。ところがある日、東京地検特捜部長を務める壮一郎が汚職の容疑で逮捕され、さらに女性スキャンダルまで持ち上がる。真相が明らかにならない中、子供たちを守るため杏子は復職を決意し、司法修習生時代の同期・多田征大(小泉孝太郎)が共同経営する神山多田法律事務所に仮採用され16年ぶりに弁護士として復帰する。しかしスキャンダルの渦中の妻として世間からは好奇の目にさらされ、さらに弁護士としての16年のブランクは大きく悪戦苦闘する。それでも杏子は強い信念を持ち、自分をあきらめず、自身の弱みも逆手にとって強く生き抜き、弁護士として、人として成長していく。検察内部で出世のために壮一郎を尋問し汚職事件を暴き、代わって東京地検特捜部長の席に座った脇坂博道を吉田鋼太郎が演じる。脇坂は壮一郎に立ちはだかる最大の敵となる。また壮一郎の部下だった特捜部員・佐々木達也役に滝藤賢一、法律事務所のパラリーガル・円香みちる役に水原希子、新人弁護士・朝飛光太郎役に北村匠海、多田と共同代表を務める神山佳恵役に賀来千香子らがキャスティングされている。夫の裏切りと逮捕という最悪な出来事で人生が一変してしまった杏子が、弁護士という仕事を通して自らの困難に果敢に立ち向かっていく姿と、神山多田法律事務所の面々が、表現の自由、過重労働、集団訴訟など、『いつ、誰が巻き込まれてもおかしくない』様々な案件に取り組んでいく活躍が描かれる。

 

 

日テレ 日10:30 1/6 ~ 『3年A組 今から皆さんは、人質です』 菅田将暉、永野芽郁、片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、川栄李奈、上白石萌歌、萩原利久、秋田汐梨、佐久本宝、若林薫、富田望生、鈴木仁、古川毅、望月歩、新條由芽、箭内夢菜、今田美桜、堀田真由、他

脚本家・武藤将吾による学園ミステリー。生徒29名を人質に取り、立てこもりを開始した高校美術教師の真実を追う。卒業まで残り10日、生徒たちの高校生活は平穏に幕を閉じるはずだった。だが、菅田将暉演じる3年A組の担任教師・柊一颯(ひいらぎいぶき)はその日、担任生徒29人を集めて、突然こう告げた。「今から皆さんは…僕の人質です」鳴り響く爆発音。騒然とする生徒たち。 この瞬間から教師と29人の人質生徒による『最後の授業』が始まる。 それは数ヶ月前に自ら命を落とした『ある一人の生徒の死の真相』に関連するものだった。遺書もなく、何かを告げることもなく、突然この世を去ったかつての学園のスター生徒。 29人の生徒は1人の教師に人質に取られ、心に蓋をして目を背けていたその『真実』と向き合うことになる。 なぜ、生徒は突然命を落としてしまったのか。 なぜ、教師は『人質』というセンセーショナルな方法で最後の授業を行おうとしたのか。事件の真相、そして謎が明らかになるまでの10日間が描かれる。本心を隠し、常に空気を読んで行動する学級委員・茅野さくら役に永野芽郁、成績優秀・頭脳明晰なクール男子・逢沢博己役に萩原利久がキャスティングされているほか、生徒役に、秋田汐梨、佐久本宝、若林薫、片寄涼太、富田望生、鈴木仁、川栄李奈、古川毅、上白石萌歌、望月歩、新條由芽、箭内夢菜、今田美桜、堀田真由ら、若手人気俳優が多く出演。異色なミステリードラマである。

 

 

 

 

最近、はやりとなっているリーガル・ドラマが3編。

前クールにも2編あり、さすがに新鮮味が薄れてきた。

2019年スタートの各ドラマ、予告サイトを覗いても

食指を動かされるような作品はほとんどない。

このまま平成は終わってしまうのか…。

寂しい限りである。

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