kan-haru blog 2008
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所属している会の情報化研究会にて5月21日の午後開催の「独立行政法人・情報通信研究機構」の本部見学会に参加して研究所を見てきました。
情報通信研究機構
情報通信研究機構(NICT)は、旧通信総合研究所(CRL)と旧通信・放送機構(TAO)が統合して2001年4月に発足したもので、施設は本部、横須賀などの3研究所と、大手町などの4か所のリサーチセンター、鹿島などの観測・技術センターが3か所と、2つの標準電波送信所を擁しています。
・研究機構沿革
旧通信総合研究所の主な沿革は、1896年(明治29年)10月逓信省電気試験所において無線電信の研究を開始し、1940年検見川で標準電波の発射業務が開始され、1952年郵政省電波研究所が発足して1988年に通信総合研究所に改称し、2001年1月には総務省に再編し同4月には独立行政法人となりました。
旧通信・放送機構は、1979年に通信・放送衛星機構を設立し衛星管制業務や、高度通信・放送研究を開始して、1990年に通信・放送機構に改称して、2001年に総務省通信総合研究所に再編され民間基盤技術研究促進業務を開始し、衛星管制業務を終了しました。
情報通信研究機構本部(東京都小金井市貫井北町4-2-1 地図参照)は、東京学芸大学に隣接の元通信総合研究所にあり、JR中央線武蔵小金井駅から京王バスで「小平団地」行きに乗車し、乗車約15分で「情報通信研究機構」バス亭を下車して徒歩1分で本部受付です。
・研究機構の概要
見学の初めに視聴室で広報室の栗原さんから、見学会のために制作された「研究機構の概要」についてプロジェクターで詳しく説明して頂きました。
説明によると研究機構は、平成20年度の予算規模が約474億円で、情報の電磁的流通と電波利用技術の研究・開発、高度通信・放送研究開発の支援、通信・放送事業の振興を主たる業務として常勤・非常勤要員が907名で研究業務を行っています。
活動拠点は、本部、横須賀などの3研究所に、大手町などの4か所のリサーチセンター、鹿島などの観測・技術センターが3か所と、2つの標準電波送信所を擁しています。
主な業務は3つの定常業務があり、1つは2千万台を超える電波時計の標準時通報電波を「はがね山」と「おおたかど山」長波局から発射しており、その2の宇宙天気予報センターの業務では電波の伝わり方の観測・予報・警報の送信・通報を行い、3つ目はアンテナ標準較正システムでは無線設備の機器試験・較正を行っております。
研究部門は、新世代ネットワーク、ユニバーサルコミュニケーション、安心・安全のためのICTの領域における研究を行う第一から第三の3つの研究部門があります。
本日の研究施設見学
・日本標準時の研究を見る
最初の研究施設見学は、先ず第一研究部門光・時空標準グループの日本標準時プロジェクトで、日本標準時をつくるのを見ました。
日本標準時を設定・維持・供給のシステム(左写真拡大)
日本標準時をつくるのは、温湿度管理と電磁界シールドを施した原器室に設置された、18台のセシウム原子時計と4台の水素メーザから作られます。標準時の生成は、原子時計と水素メーザを計測システムによって計測し、時刻を1日1回平均・合成して協定世界時UTCを生成して、それを9時間進めた日本標準時JSTをつくります。
日本標準時送出装置(写真拡大) 標準電波施設監視装置(写真拡大) 1990年代のセシウム原子時計
日本標準時の供給は、1999年に福島県のおおたかど山の国内初の長波帯標準電波送信所から40kHzの標準電波を発射し、2001年には佐賀県のはがね山から運用バックアップの60kHzの標準電波を発射しました。標準時刻電波は現在、電波時計だけでなく家電製品、計測器、通信機器などに広く活用されています。
日本標準時であなたのパソコンの時計を合わせまてみましょう
Windows XPパソコンの場合
1 [スタート]ボタン[設定]-[コントロールパネル]でコントロールパネルを開きます。
2 [日付と時刻]アイコンをダブルクリックして、日付と時刻のプロパティを開きます。
3 [インターネット時刻]タブで、[サーバ]に ntp.nict.jp と入力します。
4 [いますぐ更新]ボタンを押して、しばらく経過すると日本標準時に同期がとれます。
5 同期がとれると、「時刻は正常に......ntp.nict.jpと同期しました。」と表示されますので[OK]ボタンを押して終了です。
日付と時刻のプロパティ(画面拡大) 情報通信機構日本標準時(画面拡大)
NICT日本標準時(ここをクリック)を開くと、あなたのパソコン内蔵時計と日本標準時との時間の差が見られます。
・次世代衛星通信技術を見る
次の宇宙通信ネットワークグループ研究施設では、次世代の移動体と高速衛星通信技術の開発を見ました。ここでは、各種地球局技術や教育・医療・防災などの衛星通信応用技術の開発と将来に向けた先端的な衛星通信技術の研究の動向が窺えました。
WINDS高速衛星通信システムでは、固定マルチビームアンテナで日本国内9地区とアジア10都市との伝送が可能で、家庭用小規模アンテナでも大規模ユーザ用の直径5m程度のアンテナで超高速通信が可能で、宇宙開発機構(JAXA)と共同で開発を進めています。
宇宙通信ネットワークグループ研究室 衛星携帯電話端末 アクティブフェーズドアレイアンテナ
・宇宙天気予報研究活動を見る
国際宇宙ステーションを代表として人類活動が宇宙まで広がり、宇宙利用が生活と切り離せなくなりました。ここの研究部門では、太陽活動や宇宙環境の変化を調べる宇宙天気研究と、衛星の故障・障害や宇宙飛行士の被爆に影響を被る宇宙環境じょう乱(宇宙天気予報)を行っています。宇宙天気予報センターでは、各種の観測収集データを記録して天気予報の情報とした多数の実資料を目の当たりで見学してきました。
宇宙天気予報センター研究室 宇宙天気予報情報(写真拡大) 宇宙天気予報収集記録データ
情報通信研究機構では、Webによる宇宙天気情報サービスを提供しておりますので、「今日の宇宙天気予報」(宇宙天気情報センター、宇宙天気ニュースここをクリック)をご覧ください。
・NICT展示室
見学の最後にNICT研究活動への理解促進を、子供たちと地域住民に図ることを目的として作られたNICT展示室を覗いて見学を解散しました。
NICT展示室
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所属している会の情報化研究会にて5月21日の午後開催の「独立行政法人・情報通信研究機構」の本部見学会に参加して研究所を見てきました。
情報通信研究機構
情報通信研究機構(NICT)は、旧通信総合研究所(CRL)と旧通信・放送機構(TAO)が統合して2001年4月に発足したもので、施設は本部、横須賀などの3研究所と、大手町などの4か所のリサーチセンター、鹿島などの観測・技術センターが3か所と、2つの標準電波送信所を擁しています。
・研究機構沿革
旧通信総合研究所の主な沿革は、1896年(明治29年)10月逓信省電気試験所において無線電信の研究を開始し、1940年検見川で標準電波の発射業務が開始され、1952年郵政省電波研究所が発足して1988年に通信総合研究所に改称し、2001年1月には総務省に再編し同4月には独立行政法人となりました。
旧通信・放送機構は、1979年に通信・放送衛星機構を設立し衛星管制業務や、高度通信・放送研究を開始して、1990年に通信・放送機構に改称して、2001年に総務省通信総合研究所に再編され民間基盤技術研究促進業務を開始し、衛星管制業務を終了しました。
情報通信研究機構本部(東京都小金井市貫井北町4-2-1 地図参照)は、東京学芸大学に隣接の元通信総合研究所にあり、JR中央線武蔵小金井駅から京王バスで「小平団地」行きに乗車し、乗車約15分で「情報通信研究機構」バス亭を下車して徒歩1分で本部受付です。
・研究機構の概要
見学の初めに視聴室で広報室の栗原さんから、見学会のために制作された「研究機構の概要」についてプロジェクターで詳しく説明して頂きました。
説明によると研究機構は、平成20年度の予算規模が約474億円で、情報の電磁的流通と電波利用技術の研究・開発、高度通信・放送研究開発の支援、通信・放送事業の振興を主たる業務として常勤・非常勤要員が907名で研究業務を行っています。
活動拠点は、本部、横須賀などの3研究所に、大手町などの4か所のリサーチセンター、鹿島などの観測・技術センターが3か所と、2つの標準電波送信所を擁しています。
主な業務は3つの定常業務があり、1つは2千万台を超える電波時計の標準時通報電波を「はがね山」と「おおたかど山」長波局から発射しており、その2の宇宙天気予報センターの業務では電波の伝わり方の観測・予報・警報の送信・通報を行い、3つ目はアンテナ標準較正システムでは無線設備の機器試験・較正を行っております。
研究部門は、新世代ネットワーク、ユニバーサルコミュニケーション、安心・安全のためのICTの領域における研究を行う第一から第三の3つの研究部門があります。
本日の研究施設見学
・日本標準時の研究を見る
最初の研究施設見学は、先ず第一研究部門光・時空標準グループの日本標準時プロジェクトで、日本標準時をつくるのを見ました。
日本標準時を設定・維持・供給のシステム(左写真拡大)
日本標準時をつくるのは、温湿度管理と電磁界シールドを施した原器室に設置された、18台のセシウム原子時計と4台の水素メーザから作られます。標準時の生成は、原子時計と水素メーザを計測システムによって計測し、時刻を1日1回平均・合成して協定世界時UTCを生成して、それを9時間進めた日本標準時JSTをつくります。
日本標準時送出装置(写真拡大) 標準電波施設監視装置(写真拡大) 1990年代のセシウム原子時計
日本標準時の供給は、1999年に福島県のおおたかど山の国内初の長波帯標準電波送信所から40kHzの標準電波を発射し、2001年には佐賀県のはがね山から運用バックアップの60kHzの標準電波を発射しました。標準時刻電波は現在、電波時計だけでなく家電製品、計測器、通信機器などに広く活用されています。
日本標準時であなたのパソコンの時計を合わせまてみましょう
Windows XPパソコンの場合
1 [スタート]ボタン[設定]-[コントロールパネル]でコントロールパネルを開きます。
2 [日付と時刻]アイコンをダブルクリックして、日付と時刻のプロパティを開きます。
3 [インターネット時刻]タブで、[サーバ]に ntp.nict.jp と入力します。
4 [いますぐ更新]ボタンを押して、しばらく経過すると日本標準時に同期がとれます。
5 同期がとれると、「時刻は正常に......ntp.nict.jpと同期しました。」と表示されますので[OK]ボタンを押して終了です。
日付と時刻のプロパティ(画面拡大) 情報通信機構日本標準時(画面拡大)
NICT日本標準時(ここをクリック)を開くと、あなたのパソコン内蔵時計と日本標準時との時間の差が見られます。
・次世代衛星通信技術を見る
次の宇宙通信ネットワークグループ研究施設では、次世代の移動体と高速衛星通信技術の開発を見ました。ここでは、各種地球局技術や教育・医療・防災などの衛星通信応用技術の開発と将来に向けた先端的な衛星通信技術の研究の動向が窺えました。
WINDS高速衛星通信システムでは、固定マルチビームアンテナで日本国内9地区とアジア10都市との伝送が可能で、家庭用小規模アンテナでも大規模ユーザ用の直径5m程度のアンテナで超高速通信が可能で、宇宙開発機構(JAXA)と共同で開発を進めています。
宇宙通信ネットワークグループ研究室 衛星携帯電話端末 アクティブフェーズドアレイアンテナ
・宇宙天気予報研究活動を見る
国際宇宙ステーションを代表として人類活動が宇宙まで広がり、宇宙利用が生活と切り離せなくなりました。ここの研究部門では、太陽活動や宇宙環境の変化を調べる宇宙天気研究と、衛星の故障・障害や宇宙飛行士の被爆に影響を被る宇宙環境じょう乱(宇宙天気予報)を行っています。宇宙天気予報センターでは、各種の観測収集データを記録して天気予報の情報とした多数の実資料を目の当たりで見学してきました。
宇宙天気予報センター研究室 宇宙天気予報情報(写真拡大) 宇宙天気予報収集記録データ
情報通信研究機構では、Webによる宇宙天気情報サービスを提供しておりますので、「今日の宇宙天気予報」(宇宙天気情報センター、宇宙天気ニュースここをクリック)をご覧ください。
・NICT展示室
見学の最後にNICT研究活動への理解促進を、子供たちと地域住民に図ることを目的として作られたNICT展示室を覗いて見学を解散しました。
NICT展示室
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