ハリ天狗の日々奮戦

天狗のごとく山を駆け、野を走る(かな^^;)。 東京は西の端・青梅発、全国行き。日々鍼を打つランニング鍼灸師の奮戦記。

2023佐渡国際トライアスロン大会完結

2023年09月08日 | 大会レポート


遠く超涼しかったフィンランドからの、酷暑が続く新潟県佐渡島だ。今年は当初からAタイプ参戦が決まっていた。ここ2回(2019,2022)ほど短い方のBタイプ出場が続いていて、振り返ってみたら2018年以来5年ぶりのAタイプ参戦だった。スイム4km、バイク190km、ラン42.2km、総距離236.2kmの日本最長トライアスロンだ。
フィンランドでのIronman70.3世界選手権の後、まさかのロストバゲージでバイクだけでなく決戦セットが戻って来ない事件のおかげですっかり開き直り、佐渡は気楽な気持ちで迎えることが出来た。落ち着いていた。ただ、連日の熱中症アラート発令でまさかの開催危機。前日のジュニアトライアスロンは中止。大人の部は当時午前4時に全面開催が確定。ホッとしたのは当日の朝だったのだ。


【まだ夜明け前のトランジットエリア】


【TTバイクがフィンランドから戻らず、ロードバイクで参戦】

■スイム(4km)1:33:51(704位)
フィンランドの前にウエットスーツをついに新調したので、本来ならもう処分したはずのあちこちに破れがある古いウエットスーツ、万が一のためにちょっと取っておこう。なんて長年愛用したからただ捨てられなかっただけのウエットに「万が一」の機会が早々に訪れてしまった。
発表された水温は29℃。ウエット不要の水温(25℃以上は自由)。ただこの高水温でクラゲが大量発生しているので、、、そうでなくても当然、暑くても着用。


【スタートエリアへ向かう】

1周2kmの三角形のコースを右回りで泳ぐ。一度浜に上がって2周回の合計4kmのスイムだ。



スタートはほぼ最後尾の大外。ひたすら混雑回避作戦だ。おかげで誰の足にも触れず触れられず悠々と進むことが出来た。水は澄み気持ちいい。浜へ向かうときは朝陽が眩しいが進行方向を定める目安になってよかった。のんびりスイムジョグって感じ。
浜へ上がり時計を見ると46分。スタート時のロスを引けば、まずはいつも通り。
応援の妻たちに大きく手を振ったが気づいてくれたかな。
2周目突入。引き続き大外コース。左呼吸でブイは見えにくいのだけど、左手にいるサーフボード上のライフセーバーの方々を目印にするので大丈夫。すっかり海にも泳ぎにも馴染んだので1周目より気持ちピッチを上げる。2ビートがしっかり打てるようになっていく。本番なのに今更の練習モードだ!
塩素アレルギーが出て、ほとんどスイムの練習はしていないので欲はかかない。久々の海での泳ぎを楽しもうと思った。その通りに楽しめた。嫌だったクラゲの被害もほんのちょっぴりで済んでやれやれ。


【 Garminより。ま、ちゃんと真っ直ぐ泳げてるな】

スイムフィニッシュは1時間33分。うーん、遅いが最後尾スタートのロスを考えればまず実力通りかな。



■トランジット9:39
もう処分すべきウエットなので乱暴に脱ぎ捨ててもいいのだけど、やっぱりね丁寧に脱ぎ、トライスーツを下に着ていないのでバイクジャージをあらためて着る。ヘルメットを被りバイクシューズを履いたところでトイレに行きたくなった。先に行っておけよと1人ツッコミ。スイム後トイレは実は初体験。

■バイク(190km)7:56:19(605位)
さて、今日はロードバイクだ。昔ヤフオクで落札した古いピナレロ。昨年の徳之島に続き、もうないと思っていたのにまさかの再登板。メーターもなし。


【10年前くらいにヤフオクで購入のピナレロP3】


【バイクスタート。今日は旅感覚で】

戦闘的はTTバイクではないが、佐渡島一周の長丁場だ。いつものZwift感覚でしっかり走ってやる。自分的には普段乗りの感じなのでロードバイク参戦、なんの問題もない。



下ハンで風を切る。高級TTバイクに徹底抗戦だ。と、あんまりムキになってはいけない。しっかり冷静に心拍140付近を目安に進む。
小さなアップダウンを繰り返し海岸線を進む。すっかり目に馴染んだ佐渡の風景。実りの季節を迎え黄色くなった稲と青い海と空。このコントラストはいつもながら本当に美しい。


【写真はレース翌日に】

澄み渡った海を左手に見ながらやがて佐渡トラ名物「Z坂」。多くの人がウヘーっと嘆く急坂だが、ハリ天には好物。このエリアでこの位置だと抜かれることはまずない。精神的にモリモリと力を頂戴する区間だ。
今年もしっかり抜きまくり、そのまま大佐渡を。大野亀、二ツ亀の坂も相当に稼がせてもらった。
大佐渡を回るとどんと南下。下り基調でしかも追い風。上り坂で落としていた平均速度を盛り返すようにビュンビュン飛ばす。1週間前のレースならバイクゴールの90km地点は3時間半弱くらい。微妙だがまぁこんなものか。今日はまだ半分に届かない。急にその距離の長さに圧倒され始める。
100km地点を過ぎ両津の街を抜け再び海岸線に出た。と、ここで急に右内転筋に痙攣勃発。やばいやばい。まだあと半分。こんなで痙攣が来てしまうのか。
速度緩め、右足を休めるように左主導でペダルを回す。が、いきなりの痙攣はかなりしつこい。残念ながら安全ピンを持っていない。仕方なく手のひらでパンパンと腿を叩く。なんとか復帰。
・・・が、もうこの時が地獄の始まりだった。以後、右、左、右と同じ内転筋の激しい攣りが続くことになったのだ。富士登山競走の前に仕込んだ秘密の梅粒を投入しようとしたら振動で全部ばら撒いてしまうという失態。気持ちも落ち込む。足が動かないので心拍ぐんぐん落ちる。
ゆるゆると抜いて行った選手に全くついていけない。情けなさ爆発だ。
激しく腿を叩きまくり、いっときは回復するのだが安全ピンの時のようにはいかない。
とうとう止まり尖った石のかけらで突く。応援の女性に大丈夫ですかと声をかけられたので「安全ピンとかお持ちではないですか?」と。うーん、持ってるわけないですね。
こうして迎える後半の激坂はやはり名物小木の坂だ。この区間だけは何故か奇跡的に痙攣が治まってくれてまたまた数十人を抜き去ってしばしの幸福感に浸らせてもらった。
が、残りの10kmほどはもう時速15kmとか、、、あり得ない。それ以上回すと両足いっぺんに痙攣が来て、本当に動けなくなってしまう。もうヤダヤダと小学生かお前は。2016年のケアンズの時より酷いかもしれない。暑いし、向かい風だし。
泣く思いでようやくのバイクフィニッシュ。嬉しい。変な「嬉しい」。ホントはあってはならない「嬉しい」。

■トランジッション
降車ラインでなんとか降りることは出来た。が、バイクを押して前になかなか進めない。バイクラックの列を間違える。バイクをラックにかける所まではよかったが、バイクシューズを脱げない。やっと脱いだが今度はランシュー問題だ。なんとかソックスまではクリア。ランシューに足を入れるが踵を入れられないのだ。靴べらを用意してあるがかがもうとすると足が攣る。そんなではどうしようもないと思い切ってかがめば今度は腹筋が攣った。悶絶だぜ。ため息。
ドスンと尻をついて座り込み、延々と時間を費やしランシューに足を入れることは出来た。でも締めることは諦めた。シューレースを引くだけでいいのに、、、それが出来ない。バイクラックの隣の選手が来た。オレ、すげぇ邪魔。すんません。場所を空けるのに時間がかかる。いざって横に移動。立てないのだ。嗚呼。

■ラン(42.2km) 5:10:28(349位)



なんとかスタート。もちろん歩き。足を前に出そうとするとバイクの時の内転筋ではなくハムストが攣りそうになる。そろりそろり。


【妻の前で走ろうとしたが、、、いたたたた〜】

ピンクの応援Tシャツのバラキンの金髪アフロの妻がもうやめてもいいよと。このまま歩きでは制限時間に間に合わないと計算しての声だった(後で聞かされる)。ボーッとしているハリ天、後は全歩きでも大丈夫だと思い込んでいた。歩きでもいいのだから止める気は全くなかった。とにかく水を被り、水を飲み、前に進めだ。


【頚、前に落ち、腰、曲がる】

まともではない歩き。なんか気持ち悪いしな。ひょこひょこと。ギラつく太陽は全身を焼き尽くす勢い。萎びた足は全く走れない。エイド毎にザブザブ水をかけてもらいなんとか命繋いでいる感じ。
最初の折り返し付近、4kmで41分もかかっていた。
体びしょびしょで歩き続けて折り返すと少しは走ってみようかという気が起きてきた。走り出す。キロ9分から8分、7分。案外行けるものだ。キャンプ場前、妻のあれ?という顔。元気はないが走れるようになって来たよ。スタートゴール会場に戻り、街の方へ。2度の折り返しで商店街を抜け2周目へ。


エイドでは水を被りまくり、コーラとお茶と水、梅干し。歩きながら補給。しばらく歩いてから徐々に走り出す、、、を繰り返す。そうしているうちに時々は5分台にまで突入。いい感じだ。陽が傾き始めるともっと走れるように。ちょうど陽が沈む頃にいつもお世話になっているカメラマンの小野口さんの前に。ダッシュで距離を広げて逆光写真撮って下さった。ラストですかと聞かれたが、、、今日はまだあと2周。


3周目はかなり快調だった。乗って来た感じ。コースに残っているのは赤ゼッケン(Aタイプ)の選手のみ。暗くなって涼しくなったためか平均して皆走れるようになっているみたい。


ラスト1周回。少し気が緩んだで速度落としたら、自分のナンバーカードに近いナンバーの選手に抜かれたことに気づき、これは負けてはいられない。まだそんな火が自分の中に残っていた。最後の力を振り絞り速度アップしてラスト5km。
ゴール地点へ向かう直線路は妻が歩道を並走してくれた。けど、速い。引きずられるように足を運ぶ。フィニッシュゲート前を通り過ぎ、あと2kmほど街中を。
最後の商店街ではなんとタッキーさんが迎えてくれた。


もう終わると思うと不思議と足が動くようになる。そしてついに長い長い1日が終わる。午後8時50分、朝6時にスタートしてから14時間と50分。佐渡ワーストタイムだけど、無事最後まで動けたし、終わり良ければ全て良しの笑顔でフィニッシュ完了。


■ゴール(236.2km) 14:50:17(471位)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 格別のフィニッシュ | トップ | スタミナ・・・ »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (猛虎2号)
2023-09-13 22:49:03
壮絶なレース展開、ご苦労様でした! ランスタートの感じから、後半の快走ぶりがウソのようです。ラストはタッキーの応援で締め括りとは、素敵な旅でしたね♪ 私も以前両足ふくらはぎと腹筋が同時に攣つてのたうち回ったことあります。😅
返信する
★猛虎2号さん (ハリ天狗)
2023-09-14 10:22:39
長い長いレース履歴の中でも「壮絶TOP10」入りの栄誉に輝くレースでありましたよ。
バイクの後半の様子ではもう絶望的だったのが、最後走れるようになるなんて、、、
これだからトライアスロンは面白くて楽しいですね。
と終わってしまえば何とでも!😅
返信する

コメントを投稿

大会レポート」カテゴリの最新記事