ベッルーノの街並みは、これまで訪れてきた南チロルやドロミティの町とは違って、
完全にイタリアのにおいがします。
もう少し正確に表現するなら、ヴェネツィアのにおいがする、といったほうがよいでしょうか。
街並みの向こう側にはドロミティの山々がその姿を見せてはいますが、
コルティナとは全く別の空気が流れているかのようです。
まずは街のはずれにあるサン・ステファノ教会(Chiesa di S.Stefano)へ。
シンプルながら正統派のゴシック様式の教会です。
脇にある広場も緑豊かで、栃の実がいくつも落ちていました。
内部は耐震のためでしょうか、細い鉄骨のハリがいくつも通っているのが少し気になりますが、
ヴォールト天井とバラ窓がなかなかいい雰囲気です。
教会を出ると、今度は旧市街へ。旧市街の入り口は、ドイオーナ門(Porta Doiona)です。
門の上のほうを見ると、「遊翼の獅子」のレリーフが。ヴェネツィアのにおいがするのも当然ですね。
通りには、ポルティコがありますが、窓やバルコニーの装飾は、ヴェネツィアン・ゴシック風です。
この通りは「メッツァテラ通り(Via Mezzatera)」。ベッルーノでもっとも古い通りの1つです。
やはりどことなくヴェネツィアの小運河沿いの街並みを連想させます。
こちらは、総督が利用していたレットーリ宮(Palazzo di Rettori)です。
アーチがとがっていないので、ルネサンス様式ですね。連窓と細い柱がヴェネツィア風です。
時計台は、周辺のヴェネツィアの衛星都市にはどこにでも見られるスタイルです。
同じ広場にドゥオーモがあります。
ファサードは13~14世紀のヴェネツィアン・ゴシックのアレンジでしょうか?
どこもかしこもヴェネツィアっぽいのかと思っていたら、鐘楼だけがなんとなく北のにおいがします。
でも、この鐘楼、新しい感じがしますよね。
ドゥオーモのそばには、こんな小さなかわいらしい礼拝堂がありました。
旧市街を抜けると、道幅が広くなるためか、街のあちこちからドロミティの山々を望むことができます。
さあ、ベッルーノのFSの駅に戻ってきました。そろそろ列車がやってきます。
ここから今日のうちにヴェネツィア→パリ→成田へと向かわなければなりません。
なんてハードスケジュールなんだろう…。
いよいよドロミティに別れを告げる日がやってきました。
昔は鉄道の駅だったというコルティナのバスターミナルから、
まずはカラルツォ・ディ・カドーレ(Calalzo di Cadore)までバスに乗ります。
オフシーズンのコルティナは本当に不便で、カラルツォからFSで何回も乗り換えてヴェネツィアまで出るか、
タイ・ディ・カドーレでプルマンを乗り換えてベッルーノ(Bellno)からFSに乗るか、
を決めかねていたので、とりあえずカラルツォまでの切符を買ったわけです。
プルマン自体は快適でした。
ドロミティの山々を眺めながら、カドーレ渓谷の小さな町々をバスは巡っていきます。
コルティナを過ぎてしばらくすると、車窓からはペルモ山(Monte Pelmo)が見えてきます。
なかなか写真を撮るタイミングがなく、ずいぶん遠くからの写真になってしまいましたが、
車窓からはもっと間近に見ることができます。
やがて右手に、チビアーナ山系の主峰、
サッソルンゴ・ディ・チビアーナ(Sassolungo di Cibiana)が見えてきます。
その手前、谷をはさんだちょうど向かい側に見える集落が、ムラーレス(Murales)と呼ばれる壁画で有名な村、
チビアーナ・ディ・カドーレ(Cibiana di Cadore)です。
プルマンやFSの時刻が許せば、ぜひ訪れてみたい場所だったのですが、
今回は残念ながら車窓から眺めるだけになってしまいました。
やがてプルマンは谷を抜けて、ピエーヴェ・ディ・カドーレ(Pieve di Cadore)へと向かいます。
ピエーヴェの街の少し手前には、写真のような美しい風景が広がっています。
ピエーヴェの市庁舎前広場です。ここも時間があれば、下車してゆっくりしてみたかったのですが・・・。
プルマンは、ピエーヴェの街を出てからほどなくして、
カラルツォ・ディ・カドーレ(Calalzo di Cadore)のFSの駅前に到着しました。
列車が来るまで一時間と少し。
プルマンの時刻表を確認すると、10分ほどでベッルーノ行きのプルマンが出発します。
これはプルマンに乗るしかない、ということですぐに切符を買ってプルマンに乗り込みます。
乗り込んだプルマンは、タイ・ディ・カドーレ (Tai di Cadore)までもと来た道を引き返していきます。
これならチビアーナに行けたかも、という思いが頭をよぎりますが、いまさら言ってもはじまりません。
ベッルーノで少し時間の余裕ができたことを喜ぶべきでしょう。
Tai di Cadoreの近くからの眺めです。正面に見えている山はクローダ・キュズ(Croda Cuz)で、
その奥がチビアーナ山系、チビアーナの村は写真の右手です。クルマなら15分程度でしょうか。
タイ・ディ・カドーレのバス停です。
コルティナから同じプルマンに乗ってきた人が、ここで私たちの乗ったプルマンが来るのを待っていました。
今日もいい天気、バス停からも山々がきれいに見えます。
ドロミティの山をこうやって眺めるのも今日で最後かと思うと、ちょっとさみしい気持ちになります。
プルマンは、一時間ほどでベッルーノの町に到着しました。
私たちにとっては、ボルツァーノ以来の大きな町です。
列車の出発まではまだ時間があります。ベッルーノの町を少し散策してみましょうか。
ようやくラヴァレード小屋に到着しました。まわりはみんな本格的なトレッカー風のいでたちです。
普段着の私たちは、どことなく場違いな印象です。
パッサポルト山がすぐ目の前に見えます。小さな山のようですが、これでも標高2700m以上あります。
一方、トレ・チーメは、たくさんのチーマ(頂)が乱立しているようにも見え、
何チーメ?といいたくなるような姿です。
さあ、のぼってみましょう。トレ・チーメとパッサポルト山のあいだの尾根(キレット?)まで行けば、
トレ・チーメの裏側や東ドロミティのパノラマを目の当たりにすることができるはずです。
写真ではよくわかりませんが、思ったより斜度がきつく、足元には石がごろごろしています。
ラヴァレード小屋までの平坦な道とは大違いです。
トレ・チーメも、チーマ・ピッコラをのぞいて、ほとんど見えなくなりました。
尾根まではあとわずかです。パッサポルト山がすぐ目の前に見えます。
今私たちが立っているのは標高2500m弱ぐらいのところでしょうか?
革靴はすっかりほこりだらけで、靴ずれもできています。
日の光を受けて、ラヴァレード小屋の屋根がまぶしく輝いています。それにしてもいい天気です。
幸運なことに、私たちがドロミティに滞在中、一度も雨や曇りの日はありませんでした。
ついにトレ・チーメを真横から眺めることのできる場所までやってきました。
ミズーリナ湖からみたときには、山の姿をしていたトレ・チーメも、ここから見ると、地面から突き出た岩の柱です。
正面にはまるで別の惑星にいるかのような風景が広がっています。
いくつかの山の名前はなんとなくわかりますが、このパノラマ全体に圧倒されます。
そして、ついに来ました。ガイドブックの写真でよくつかわれているアングルから見たトレ・チーメです。
実際に見ると、写真ではわからない迫力を感じます。まさに「岩の塊」です。
ほとんどの人は、さらにトレ・チーメの周囲をぐるっと一周していくようです。
時間も充分な装備もないわたしたちは、残念ながらここで引き返さなければなりません…。
見上げると、パラグライダーが気持ちよさそうに真っ青な空をゆっくりと飛んでいます。
ドロミティの青い空に赤や黄色のパラグライダー。もうすっかり見慣れた風景です。
歩き出してから15分ほど、ようやくトレ・チーメの3つの頂がはっきりわかるようになってきました。
歩いてきた方向を振り返ると、駐車場のあるレストハウスからかなり歩いてきたことがわかります。
“のこぎりの歯”もずいぶん小さくなりました。
しばらくすると遊歩道(?)の脇に小さな教会(礼拝堂)が見えてきます。
イタリアに限らず、ヨーロッパアルプスでは、このような登山道の脇に建てられた教会をよく見かけます。
古今東西を問わず、登山の安全を願う気持ちは変わりないのですね。
教会を正面から見たところです。
右手にはすぐそばまでトレ・チーメの断崖絶壁がせまっているのがわかりますね。
教会の背景に見えるのはクリスタッロ山です。
一つ前のの写真のさらに左手の様子です。えぐりとられたような谷が大きく広がっているのがわかります。
駐車場のあるレストハウスは、クリスタッロ山の手前、右手中ほどに小さく写っています。
チーマ・ピッコラが大きく見えるようになってきました。
駐車場からはずいぶん遠くまで歩いてきましたが、
トレ・チーメの裏側に回りこむまでには、まだまだあるかなければならないようです。
今朝のタクシードライバーの忠告が頭をよぎります…。
一時間で一周するなんて、とうていできそうにありません。
ただ幸いなことに、まだ道は平坦で、歩くのに苦労するようなことはありません。
正面に小さくラヴァレード小屋(Rifugio Lavaredo)が見えてきました。
その向こうの大きな岩山は、パッサポルト山(Crode Passaporto)です。
道のところどころにはこんな岩も転がっています。この岩、人が切り出したものではありません。念のため。
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山麓は徒歩で一周することができます。所要時間は一時間ほどの道のりとのこと。
私たちは、さっそく歩いてみることにしました。
右手を見ると、チーマ・ヴェスト(Cima Ovest)がすぐ目の前に圧倒的な迫力でせまってきます。
ここからは、チーマ・ピッコラ(Cima Piccola)はまだ見えてきません。
道の左手は、すぐ谷になっていて、
その向こうにのこぎりの歯のようなカディーニ山群(Gruppo Cadini di Misurina)の山頂が顔をのぞかせています。
南の方角には、ミズーリナ渓谷とは別の谷がひらけ、ここにもきれいなサファイアブルーの湖が見えています。
道は平坦で、トレッキングというよりハイキングに来ているかのようです。
目の前には屏風のような岩のかたまりが見えています。どんな名前がついているのでしょうか。
道はトレ・チーメに沿ってゆるやかにカーブしながら続いています。
やっとチーマ(頂き)がトレ(3つ)になってきました。
というより、この写真ではクアトロ・チーメ(4つの頂き)ですね。
ここまでで、もう20分ほど歩いているのですが、
テレビなどでよく見るアングルでトレ・チーメを仰ぎ見ることができるのは、もう少し先のようです。
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上の写真と同じアングル、旅行代理店のパンフレットなどで一度は見たことがあるのではないでしょうか。
コルティナ・ダンペッツォからミズリーナ湖を経由して
トレ・チーメ(Tre Cime di Lavaredo)へと向かうルートは、ツアーのハイライトにもなっています。
パンフレットなどでは「ドロミテ・アルプスの中に静かにたたずむ」などと書かれているので、
カレッツァ湖のような神秘的な雰囲気を想像していましたが、
実際に着いてみると「アレッ?」という感じです。
よく考えれば、これだけツアー客が来るんだから、観光地化されていないわけがないですよね。
それでも、こうやって見れば、やっぱりきれいな風景です。期待値が高すぎたのがいけなかったんですね。
湖は浅く、鏡のように風景を映し出してくれます。
近づいてみると、水の色はきれいなエメラルドグリーンに見えます。
写真ではうまく伝えられないのが残念ですが…。
湖の西側は遊歩道になっていて、散策を楽しむことができます。
湖の向こうには、ご覧の通りトレ・チーメがきれいに見えます。
ここからだと、グランデの後にピッコラが隠れて、頂は2つだけのように見えています。
このアングルが私の一番のお気に入りです。湖面に映るトレ・チーメがきれいですよね。
湖の北側にもホテルがあって、湖のまわりはそれなりににぎわっています。
散策をしている人たちも多く、中には日本人らしき母娘もいました。親孝行なんですね。
さあ、それではトレ・チーメへと向かいます。
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実は、この日の朝、私はタクシードライバー(女性です)と大ゲンカをしてからホテルを出てきていました。
その原因は、トレ・チーメでの滞在時間です。
「1時間くらいだから」という私と、
「そんなわけない。待っているあいだの1時間につき20ユーロ払ってもらうから覚悟して」
という彼女とのあいだで言い争いになってしまったわけですが、
サッソ・ポルドイの時とほぼ同じ服装の私は、このあと自分の認識不足を思い知らされることになるのでした…。
セルバ・イン・ガルデーナ(Selva in Gardena)のホテルを後にした私たちは、
車でコルティナ・ダンペッツォに向かいます。
ルートはサン・カシアーノを経由するマイナールート。
途中、もっとも標高が高いのが、このヴァルパローラ峠です。
サッソンゲールなど、見なれた山々をあとにして、坂道を登っていきます。
道の山側はこんな感じです。ドロミティらしい岩肌が続きますが、
少しずつ全体のフォルムが山らしく?円錐に近くなっているように感じます。
峠の全景です。ドロミティに数多くある峠の中では知名度は低いのですが、なかなか絵になると思いませんか?
後に見える山は、セッラレス山(Monte Sellares)というらしいのですが、はっきりしません。
ご存じの方いましたら、教えてください。
峠の脇には、ヴァルパローラ池(Lago Valparola)という小さな池があります。
この写真では水の色がうまく撮れていないのですが、きれいなエメラルドグリーンをしています。
峠付近からは、マルモラーダ(Marmolada)がとてもきれいに見えました。
空は本当に「抜けるような」という表現がぴったりの青空です。
いよいよアルペ・ディ・シウジともお別れです。帰りのルートはオルティセイへ降りるテレキャビンです。
まずはテレキャビンの駅まで一人乗りリフト(Seggiovia)で登っていきます。
アルペ・ディ・シウジではたくさんのリフトに乗りましたが、これが一番チャチい!
昔のスキー場にあったようなリフトです。
乗り心地はイマイチでも眺めは抜群。すっかり見なれた風景ともこれでお別れです。
リフトは地上にかなり近いところを通っていくので、怖さはありませんが、
後ろを振り向きながら写真を撮るのは、かなりきつい体勢です。
山頂にはレストハウスがありました。
天気もいいので、ここでパノラマを楽しみながらビールとサルシッチャ(ソーセージ)といきたいところですが、
残念ながら時間がありません。
これがオルティセイとアルペ・ディ・シウジを結ぶテレキャビンの駅です。わりと新しい感じですね。
シウジからのテレキャビンと形はよく似ていますが、コチラの色は赤。切符には「Funivia」の文字が…。
呼び名の違いはどこから?
キャビンの窓ガラスが汚れててきれいに写真が撮れないよ、なんて思っている間にオルティセイに到着。
写真はオルティセイの乗り場の様子です。
乗り場からは大きな橋がかかり、対岸と結ばれています。
橋の上からはごらんのような風景が。セッラ山群が街を見守っているかのようです。
このブログでは、もうしつこいくらいに紹介している
サッソ・ルンゴ(Sasso Lungo)とサッソ・ピアット(Sasso Piatto)ですが、
実は100枚近くも写真を撮ってきているんです。
というわけで、今日はお蔵入りさせるにはしのびない何枚かを紹介しましょう。
こうやって、サッソピアットと一対になって見えるのがいいのかもしれませんね。
男性的なサッソ・ルンゴと女性的なサッソ・ピアット。いいペアだと思いませんか?
サッソ・ピアットのふもとまでは、リフトで登ることができます。
正面やや右手の、そこだけ木が生えていないところにリフトが通っています。
アップで撮るとこんな感じです。この写真が一番ドロミティらしい岩肌の色合いがよく出ているように思います。
草原の緑や茶色の大地とのコントラストもあざやかですね。
この角度から見るサッソ・ルンゴは一段と荒々しい山容で、セッラ峠からの眺めをほうふつとさせます。
さまざまな角度から(でもないかな?)、サッソ・ルンゴとサッソ・ピアットを眺めてきましたが、
最後の一枚は再びパノラミカです。サッソ・ピアットの右奥にはマルモラーダも小さく見えていますね。
というわけで、個人的にちょっとすっきりして、今日はこれでおしまいです。
広い広いアルペ・ディ・シウジ。トレッカーやハイカーにはたまらない場所ですが、
時間も体力もない私たちは、馬車のお世話になることにしました。
車の乗り入れが規制されているため、観光馬車といえども貴重な交通機関です。
サッソ・ピアットを正面に見ながら出発です。
アルペ・ディ・シウジではBMXに乗った人もよく見かけました。
貸し出している様子はなかったので、おそらくテレキャビンでふもとから持ち込んできたのでしょう。
それはともかく、見てください、このパノラミックビュー。
馬車の上はこんな感じです。乗り心地はそれなりですが、風が心地よく感じられます。
それにしても、一頭で3人を運ぶわけですから、馬にとってはかなりきつい仕事でしょう。
ゆれる馬車の上から写真を撮るのは、なかなか大変ですが、
それでもシャッターを押さずにはいられなくなる風景が続きます。
いたるところに牛たちがキモチよさそうに寝そべっています。この牛たち、冬になったらどこへ行くのでしょう。
ご覧の通り、“ハイジな風景”が続きます。
空に浮かぶ雲も、まるで撮影用の書き割りのようなプロポーションで浮かんでいます。
途中で馬もひと休み。水を飲んでホッと一息、というところでしょうか。
サッソ・ルンゴとサッソ・ピアットが間近にせまってきました。
歩くと長い道のりも、馬車だとあっという間です。
やがて道は少しずつ上り坂になります。
この写真は後を振り返って撮ったもので、テッラロッサ、シリアー山群、カティナッチョが
幾重にも重なるように見えています。
このあたりになると、おじさんも馬車から降りて、馬といっしょにゆっくりと坂を登って行きます。
終点(特に決まっているわけではなく、乗るときに相談します。もちろんそれによって料金も変わります。)近くの
風景です。なんということはないかんがい用の池が、こんなにも絵になります。
さあ、そろそろアルペ・ディ・シウジともお別れです。
オルティセイからのテレキャビンに接続するリフト(Seggiovia)乗り場はもうすぐそこです。
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パノラマからの“パノラマ” を楽しんだあとは、谷をはさんで反対側のブラッチャ山に向かいます。
山というよりなだらかな丘のブラッチャは、どことなく美ヶ原高原を連想させます。
ブラッチャへ向かうのは、またまたテレキャビンです。最近改装されたのでしょうか、
パノラマへ向かうリフトのちょうど向かい側にあるふもとの駅はどことなくポップな感じです。
キャビンそのものも新しいですね。よく見ると、外側にスキーキャリアがついているのがわかるでしょうか。
やっぱり冬はスキー客でにぎわうのでしょうか。でも、急斜面がないので初心者かスノボ向けですね。
キャビンはゆるやかに草原の上を進んでいきます。
と言いたいところですが、斜度がゆるやかなためでしょうか、かなりの高速です。
山頂からは、さらに先の山の端までトレッキングを楽しむ人も多く見られました。
ガルデーナ渓谷のすばらしい眺望を望むことができるそうです。
シウジ方面にふりかえって見ると、
さっきまでいたパノラマの先に“テラロッサの歯”(Denti di terrarossa)が見えます。
その名の通り「赤い土の歯」のようです。その向こうには、カティナッチョ(Catinaccio)の山々が…。
こうしてシリアーやカティナッチョの山々を、昨日までとは反対の方角から眺めていると、
東ドロミティを一周してきたことが実感できます。
東の方角には、牛がのんびりと寝そべっている草原地帯が続き、
セチェーダ山(Seceda)やこぶのようなピク山(Monte Pic)の向こうにガイスラー山群がはっきりと見えています。
そして、何回でもついカメラを向けてしまうサッソ・ルンゴやセッラ山群の風景。
まるでツアーのパンフレット用の写真のようです。(自画自賛かな?)
斜面には、ところどころに木製のベンチが置かれています。
こんなところでお弁当を食べたら最高の気分でしょうね。無理を承知で、ホテルに頼んでみればよかったかも…。
とりあえず眺めのいいところへはできる限りいってみよう!ということで私たちが次に向かったのは、
パノラマ(Panorama)です。
パノラマへは、コンパッチョ(Compaccio)を少し下ったところから4人乗りのリフト(Seggiovia)で登ります。
ココがリフト降り場です。もちろん下る人にとっては「乗り場」ですが…。
リフトを降りると、サントネール山(Punta Santner)が手をのばせば届きそうなところに見えます。
ちょうどお昼どき近くとあって、リフト近くのリストランテはたくさんのお客さんでにぎわっていました。
平均年齢はけっこう高めで、初老といってもいい年代のご夫婦が目立ちました。みなさんお元気なんですね。
すぐ近くでは「ミルカチョコレート」のパッケージに描かれているような牛が、のんびりと草を食んでいます。
私たちが近づいても、警戒するそぶりもありません。
ガイスラー山群もこんなにきれいに見えます。
初夏だったら、芝の緑も青々として、もっときれいなんでしょうね。
北東の方角には、雪をかぶった山々も見えます。スイス・イタリアの国境付近の山々でしょうか。
もう一度高原のほうに振り返ってみると、
サッソ・ピアットからサス・リガイス(Sass Rigais)までの大パノラマが広がっていました。
テレキャビンを降りると、そこには広大な草原地帯が広がっています。
ドロミティといえば、どうしてもゴツゴツとした岩山を連想しますが、こんな場所もあるんです。
まるで「アルプスの少女ハイジ(シウジ?)」のような景色ですね。
丘の向こうに見えているのは、右からサッソ・ピアット(Sasso Piatto)、
サッソ・ルンゴ(Sasso Lungo)、そして少し奥にセッラ山群(Gruppo di Sella)です。
こちらはチル山群(Gruppo di Cir)です。それにしても絶好の散策日和になりました。
もし雨が降っていたらと思うと…神様に感謝です。
後を振り返ると、シラー山群(Gruppo di Sciliar)が見えます。
その手前にいくつか屋根が見えている場所が、アルペ・ディ・シウジの繁華街?コンパッチョ(Compaccio)です。
ここにはリストランテやミニバス乗り場(アルペ・ディ・シウジは一般車両乗り入れ禁止です)があって、
トレッキングや散策を楽しむ人たちの起点になっています。
こちらはコンパッチョからガイスラー山群(Le Odle)方面を見たところです。
丘の向こうはガルデーナ渓谷で、Funiviaでオルティセイ(Ortisei)の町へと下ることができます。
さあ、それではもう少し高いところへ登ってみることにしましょう。
アルペ・ディ・シウジ(Alpe di Siusi)は
ボルツァーノの東側、ガルデーナ渓谷の西側に沿って広がる高原地帯です。
日本語に訳すとすれば「シウジ高原」といった感じでしょうか。
セルヴァ・イン・ガルデーナから、ふもとのシウジ(Siusi)へは、バスを利用するのが一般的です。
オルティセイ(Ortisei)で乗り換えて約1時間弱の道のりです。
アルペ・ディ・シウジへはオルティセイからもFuniviaで登ることができるのですが、
私たちはあえてシウジから登るルートを選びました。
アルペ・ディ・シウジを縦断して、帰りはオルティセイから、という計画です。
シウジのFunivia乗り場はバス停からそれほど遠くない街のはずれにあります。
が、建物が見えてくるまでは「ほんとにココでだいじょうぶ?」と思うような場所です。
途中には小さな川が流れ、もうすっかり気分は山の中です。
この川にかかる橋を渡ると、丘の上に丸い建物が見えてきます。
「ここだ、ここだ」と一安心。バックに見えているのはサントネール山(Punta Santner)ですね。
ソプラボルツァーノから遠く眺めた山々が今はこんなに近くに見えます。
建物の壁面には「Cabinovia」と書かれています。日本でいうところの「テレキャビン」でしょう。
それにしてもいろんな呼び方があるんですね。
階段を登っていくと、乗り場だと思っていた建物は実はピッツェリアで、こちらの近代的な建物が乗り場です。
壁には夏のトレッキング向けと、冬のスキーツアー向けのイラスト地図が掲示されています。
次々と山の上に向かっていくゴンドラの形を見ると、確かに「Cabinovia」ですね。
白馬や八方尾根、栂池あたりにある「アレ」です。箱根のロープウェイなら「Funivia」なんでしょうけど。
さあ、いよいよ私たちの番です。山の上にはどんな風景が待っているのでしょうか。
あしたはドロミテを歩こう ―イタリア・アルプス・トレッキング 価格:¥ 1,680(税込) この本を読んでから、ドロミティを訪れると、 ドロミティの魅力をさらに深く感じることができます。 |
セッラ山群とチル山群のあいだ、ガルデーナ峠の方角が白みかけてくると、まもなくセルヴァに朝がやってきます。
朝日がのぼってきました。今日もいい天気になりそうです。
朝日を受けて、ドロミティの山々が輝きはじめます。
しばらくすると、あたりはすっかり明るくなり、高原の朝らしいすがすがしい空気が広がります。
さあ、それでは広い庭を通って朝食を食べに行きましょうか。
朝食は、夕食と同じリストランテですが、庭やプールに面した広い部屋でいただきます。
さすがにメニューも豊富で豪華です。オレンジジュースは、その場で機械を使って自分で絞ります。
パンも種類によっては温め直しができます。今日は一日ハードスケジュール。
きちんとした昼食を取れない可能性もあるので、この朝食はうれしいですね。